この記事で分かること

  • 製造業に投資しているPEファンドの件数ランキングと、DB最大の投資対象業種である理由
  • 件数上位に「分散型の大手ファンド」と「製造業専業ファンド」の二種類が混在する構造
  • 事業承継による町工場の受け皿と、大手メーカーの事業再編(カーブアウト)という2つの投資文脈
  • 集計・業種分類の定義と、ランキングを実務でどう読むべきか
情報確認日: 2026年9月8日(各ファンドの公開情報を確認・再集計した日) | 対象: 大手町プレップPEファンドDB収録の日本国内PE投資案件 2,370件(127ファンド) | 2026年の数値は8月までの年初来(YTD) | 執筆: 大手町プレップ編集部

結論:製造業はPE投資の最大業種、上位には「分散型大手」と「専業ファンド」が混在

大手町プレップが独自に構築・運用しているPEファンドDBに収録された日本国内投資案件を業種別に集計すると、製造業は件数ベースでDB最大の投資対象業種です。累計の投資記録に占める比率は約20%に達し、2026年についても市場全体で最も投資が多かった業種は製造業でした。日本のPE投資の主戦場は依然として「ものづくり」であることが、収録データからはっきり読み取れます。

製造業向け投資の件数ランキング上位には、性格の異なる2種類のファンドが並びます。ひとつは、アドバンテッジパートナーズやエンデバー・ユナイテッドのように、製造業以外の業種にも幅広く投資しつつ、製造業でも件数を積み上げている分散型の大手バイアウトファンドです(製造業比率はそれぞれ30%・28%にとどまります)。もうひとつは、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズや日本みらいキャピタル、MCPキャピタルのように、自社の投資の過半〜7割超が製造業案件という製造業専業型のファンドです。この「専業度(自社投資に占める製造業の比率)」の違いは、下のランキング表のshare列で確認できます。

案件の中身を見ると、二つの異なる文脈が同居しています。ひとつは後継者不在の中小サプライヤー・部品加工業を対象とした事業承継型の投資で、収録データでは最も件数の多い投資類型です。もうひとつは、大手メーカーが非中核事業を切り出すカーブアウト型の投資で、カーライル・ジャパンによるオムロンのデバイス・モジュール事業(アラタス)取得や、アポロ・グローバル・マネジメントによる昭和電工(現レゾナック)のアルミ缶・アルミ圧延事業、三菱マテリアルのアルミ圧延・押出製品事業の取得など、大企業の事業再編案件が実際に収録されています。件数の内訳・順位は下の表とグラフですべて確認できます(データはDB更新に合わせて自動で再集計されます)。

481件
製造業への投資(市場全体・累計)
全体の20%
195/251件
投資中/Exit済
23件
2026年YTD
4.3年
平均保有期間
中央値4年(n=180)

製造業投資件数ランキング

投資先の業種が製造業に分類される案件を、投資実行ファンド別に集計したランキングです。順位・件数に加えて、share(そのファンドの全投資に占める製造業の比率)・current(現在保有中の件数)・recent5(直近5年の件数)を併記しています。件数だけでなく、これらの列を合わせて読むことで、そのファンドが製造業を「主戦場」としているのか「多くの業種の中の一つ」として扱っているのかが見えてきます。

製造業投資件数ランキング(3件以上)
順位ファンド件数製造業比率投資中直近5年主な投資先細分野の例
1アドバンテッジパートナーズ4130%1715リズム・オートモーティブ・グループ、三菱鉛筆製造業/製造業 / 法人サービス
2エンデバー・ユナイテッド2728%84コイケ、富士工業製造/製造(樹脂成形品・精…
3MCPキャピタル2251%23プロパックホールディングス・フジダン、小寺電子製作所農薬製造/段ボール製造
4日本みらいキャピタル1763%34ニッパ、ソニテック計測機器/建材・産業機器商社
5アント・キャピタル・パートナーズ1516%45アーネスト、ビット自動車/製造業
6ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ1474%44NSKステアリング&コントロール、日本精蠟自動車部品/理科学計測機器
6大和PIパートナーズ1429%10エナックス、UACJ銅管(現:NJT銅管株式会社)リチウムイオン電池開…/銅管/継手製造
8アスパラントグループ1346%33小島製作所、大和紡績製造業
9ポラリス・キャピタル・グループ1227%01スペースバリューホールディングス、リンクステック技術・製造
10J-STAR1117%42堀内機械、トイファクトリー製造業
10アイ・シグマ・キャピタル1138%64三国商事、昭和KDE自動車部品製造/工具製造
10ベーシック・キャピタル・マネジメント1124%44マルゴ・レーベル、グラス・ワン各種ラベルの製造・販売/オフィス間仕切り用ガ…
13カーライル・ジャパン(カーライル・グループ 日本バイアウト部門)922%33オムロン デバイス&モジュールソリューションズ事業(アラタス株式会社)、キョウデン製造業・社会基盤/電子部品(プリント配…
14MSD企業投資838%75ルミナスホールディングス、塚本無線電解銅箔製造/精密金型・成形品製造
14SBI新生企業投資847%45コムコグループ、勝和産業RCモデル・ミニチュア…/住関係製品製造
14ティーキャピタルパートナーズ824%21オプトル、光金属工業所電子機器/航空機部品・自動車部…
14トラスター・キャピタル・パートナーズ・ジャパン・リミテッド850%20丸喜産業、日本オイルポンプ製造業(プラスチック…/製造業(ギアポンプ)
14ベインキャピタル817%65MCJ、ジャムコ航空宇宙・産業/航空宇宙
14ライジング・ジャパン・エクイティ836%00ゼクサスチェン株式会社(旧・センクシアチエン株式会社)、尾張精機製造業(工業用チェー…/自動車部品製造
20インテグラル718%23八十島プロシード、ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ機械製造保守業/光電子部品の開発・製…
20丸の内キャピタル727%55ジェイフィルム、中野冷機銅合金管・モールド製造/銅管製造
20名古屋キャピタルパートナーズ747%36メイク、小島機鋼卸売業(機械工具)/金属加工業(放電加工)
23NYC640%66アクト、ワールドパフォーマンスサービス精密板金加工/金属精密切削加工
23セレンディップ・ホールディングス640%62イワヰ、三河鉱産自動車・産業機械向け…/自動車部品事業統括ホ…
23ニューホライズン キャピタル611%11ラヴォックス、理光フロートテクノロジー駅弁・惣菜製造販売/輸送用機械器具製造(…
23日本グロース・キャピタル623%50東京電業、フロンティア振動計測機器製造/精密金型製造
23日本産業パートナーズ620%11東芝、EMデバイス重電・半導体・電機/電子部品(リレー)
23SMBCキャピタル・パートナーズ622%44シンジーテック、EMデバイスOA機器・産業用機器部…/車載電子部品製造
23REVIC復興キャピタル612%03田勇機業、日東工業製造業/繊維(機業)
30LBPI545%24山野鋼材、ショウエー製造業(特殊鋼及び一…/製造業(工業用ゴム製…
30ジャフコ グループ57%22ネイブ、協和—
30ユニゾン・キャピタル512%00デクセリアルズ、旭テックその他(電子材料メー…/その他(自動車部品)
30商工中金キャピタル545%45協和工業、サーテックカリヤ自動車部品・電子機器…/鋼管製造業
30KKRジャパン(KKR)528%22太陽ホールディングス、トプコン化学(ソルダーレジス…/半導体製造装置(成膜…
30ひろしまイノベーション推進機構529%23HARADA、クリスタルプロセス製造・卸売(ワーキング…/化学・製造(表面処理技…
30トライハード・インベストメンツ518%00シーアールエス、HPCシステムズ自動車用精密バネ等製造/電子部品製造
30日本産業推進機構512%33日栄インテック、タカギ製造業/一般製造業
38りそな企業投資450%33コバック、日本バルブコントロールズバルブ製造/ダンパ・ゲート製造
38アポロ・グローバル・マネジメント480%11パナソニック オートモーティブシステムズ、昭和電工株式会社 アルミ缶・アルミ圧延事業(現・株式会社レゾナック)アルミニウム製造・パ…/自動車・産業向け耐熱…
38サンライズキャピタル49%10北斗、ワールドパーティー自動車オークション/自動車整備工具
38ネクスト・キャピタル・パートナーズ422%11吉比化成、ヨコモ化学品/ラジコンカー製造販売
38マラトンキャピタルパートナーズ414%04塙商事、アルファエレクトロニクス自動車整備・販売/電子部品(輸出入・製…
38四国アライアンスキャピタル417%41新居浜自動車教習所、田窪工業所自動車教習所/収納用品製造
38日本投資ファンド427%33桜井グラフィックシステムズ、ファーネス印刷機製造/半導体パッケージ基板…
38京都キャピタルパートナーズ450%31ものづくり事業承継ホールディングス、シカタバッグの製造・卸売・O…/金属焼結フィルター等…
46AJキャピタル318%13アイペック、井貝金属切削加工/自動車整備・車検・レ…
46EQT320%11フジテック、パイオニア産業財(昇降機製造)/自動車エレクトロニクス
46Fore Bridge333%33メルテック、マキシム精密機器・制御機器/バルブプレート製造・…
46りそなキャピタル317%32キャットアイ、リンテック製造業(ボルト・ナッ…/製造業(自転車部品)
46キャス・キャピタル312%32富士テクノ工業、寿精密金属曲げ加工・生産設…/精密金型・プレス加工
46七十七パートナーズ360%33サンセイ・イサワ、米沢精密精密プラスチック成形…/精密金型部品・精密機…
46日本協創投資321%11ケイテック、フラット電子潤滑油の製造販売/電子部品及び電装品の…
46百五みらい投資343%32アサヒダイテック、ダイアトップ産業機械部品製造/金型・ダイカスト製造
46福岡キャピタルパートナーズ320%01JSファンダリ新潟(半導体ファンダリ事業)、AeroEdge航空機エンジン用部品…/半導体(アナログ・パ…
46雄渾キャピタル・パートナーズ325%11菱進テック/株式会社菱進、fitfit半導体・産業装置/外反母趾対応の婦人靴…
46阿波銀キャピタル360%32協立工業、友栄精密半導体製造装置部品・…/工業製品の溶剤塗装・…
46ソリューションデザイン375%00協和精工、稀産金属電磁ブレーキ・クラッ…/非鉄金属(レアメタル…
46スパークス・アセット・トラスト&マネジメント3100%33澤藤電機、シンニッタン輸送用機器製造業(自…/鍛造品製造販売

表の読み方として、share列が高いファンド(50%以上など)は製造業への専業性が高いことを意味します。逆に、件数トップクラスでもshareが3割前後にとどまるファンドは、製造業を含む幅広い業種に分散投資していることになります。現在保有件数(current)が投資件数(n)に近いファンドは長期保有型、recent5がnに近いファンドは近年集中的に投資している新興・成長中のファンドと読めます。カーブアウトを含む大企業の事業再編案件の実務はAdd-on買収・カーブアウトのモデリング教材でも扱っています。業種ごとの投資分布を俯瞰したい場合は業種別ファンドマップもあわせて参照してください。

年次推移:製造業投資は増加基調が続いてきたか

47352412012'1515'1621'1727'1835'1921'2032'2132'2238'2347'2439'2523'26
図:製造業向けPE投資件数の年次推移(市場全体)(薄色の最終棒は年途中の値)

年次の推移を見ると、2015年から2019年にかけて件数は右肩上がりに増加した後、2020年に落ち込みが見られます。この落ち込みはコロナ禍による投資活動の停滞が影響した可能性がありますが、断定はできません。その後は2023年・2024年にかけて水準を切り上げ、2025年も高水準を維持しています。2026年は8月中旬までのYTD件数であり、通年の実績ではない点に注意が必要です。過去の年間ペースと比較する場合は、単純な件数の大小ではなく、月割りの進捗ペースで見るのが実務的です。

投資類型の内訳:事業承継が最大、カーブアウトも一大勢力

事業承継 131件(29%)公表情報なし 97件(22%)カーブアウト 76件(17%)成長投資・マイノリティ 66件(15%)バイアウト 47件(11%)事業再生 28件(6%)
製造業向け投資の投資型構成(累計)

製造業向け投資を類型別に分解すると、事業承継型が最も件数が多く、次いで類型が確認できない「不明」、成長・マイノリティ出資、そしてカーブアウト型が続きます。バイアウト型・事業再生型はそれに次ぐ規模です。この内訳は、製造業という業種が持つ二面性をそのまま映しています。一方の極には、後継者不在の町工場・部品加工業者を承継する小口・多数型の投資があり、もう一方の極には、大手メーカーの非中核事業をカーブアウトする大型・少数型の投資があります。カーブアウト財務諸表の作成実務は、こうした大企業からの事業切り出し案件で必ず必要になるプロセスで、詳しくはカーブアウト財務諸表の作り方で解説しています。なお、growth_minority(成長・マイノリティ出資)に分類される案件は経営権の移転を伴わない点で事業承継・カーブアウトとは性質が異なり、マジョリティ・マイノリティバイアウトの違いを理解しておくと表の読み方がより正確になります。

分析:なぜこの順位になるのか

専業ファンドが上位に食い込む構造

製造業ランキングの特徴は、件数トップ層に分散型の大手だけでなく、製造業専業のブティック型ファンドが複数入ってくる点です。ジャパン・インダストリアル・ソリューションズや日本みらいキャピタルは、投資先の大半が自動車部品・精密機器・計測機器などの製造業に集中しており、投資チームが製造現場のオペレーションを深く理解していることを強みにしていると見られます。オペレーショナルDD(生産能力・製造工程の検証)が投資判断の中核を占めるのは、こうした製造業特化ファンドに特徴的な実務です。

町工場の事業承継とメーカーのカーブアウトは別の力学で動く

事業承継型の投資は、地域金融機関系や中小型ファンドが後継者不在の部品加工業・金属加工業を中心に積み上げているとみられ、代表的な投資先には自動車部品・精密加工・工業製品分野の中小企業が多く含まれます。一方でカーブアウト型は、外資系・大型ファンドが大企業の事業再編ニーズを捉える構図です。カーライル・ジャパンやアポロ・グローバル・マネジメントのような外資系大手は、大企業の非中核事業の切り出し(カーブアウト)を主戦場としているとみられます。この二つの文脈は投資規模もディールプロセスも大きく異なるため、同じ「製造業ランキング」の中でも読み分けが必要です。

開示方針の差がランキングに与える影響

件数はあくまで公式サイト・プレスリリース等で確認できた案件の数であり、各社の開示方針に左右されます。中小型の事業承継案件は投資先企業自身が広報を行うケースもあり、これが件数を押し上げている一因と考えられます。逆に、大型カーブアウト案件は当事者間の発表があるため確認しやすい一方、件数自体は少数にとどまります。ランキングの数字は「公開情報で確認できる投資活動量」であり、実際の製造業M&A市場全体の規模そのものではありません。

実務での使い方

製造業M&A・PE業界を目指す方にとって、このランキングは製造業特化ファンドと分散型ファンドのどちらでキャリアを積むかを考える手がかりになります。専業ファンドは製造現場に近い実務経験を積みやすく、分散型の大手はより大型のディール執行経験を積みやすい傾向があります。ファンドごとの特徴比較は日本のPEファンド比較を参照してください。

事業承継を検討する製造業のオーナー経営者や、カーブアウトを検討する大企業の事業企画部門にとっては、自社の規模・業態に近い実績を持つファンドを表から特定することが実務的な出発点になります。各ファンドの投資先・Exit実績はPEファンドDBの個社ページにすべて収録しています。業種全体の投資動向は2026年の業種別分析でも確認できます。

データの定義と限界

本ランキングの母集団は、大手町プレップPEファンドDBに収録された日本国内のPE投資案件のうち、投資先の主業種が「製造業」に分類されるものです。業種分類は編集部独自の正規化ルールに基づいており、投資先の事業内容の記載から機械的に判定しているため、複数業種にまたがる企業は主たる事業内容で1業種に紐づけています。業種が特定できない「未分類」の案件はこのランキングの母数に含まれません。集計の詳細は以下のとおりです。

集計方法・データ定義(大手町プレップPEファンドDB独自集計)

対象データ
大手町プレップPEファンドDBに収録された、日本のPEファンドおよび日本に投資する海外PEファンドによる日本国内企業への投資案件(投資先の国が日本、または国の記載がなく運用会社の本拠が日本の案件)。集計日時点で2,419レコード・重複を除いた2,370案件(127ファンド)。
件数の数え方
DB全体の件数は複数ファンドによる共同投資(クラブディール)を1案件として数え、ファンド別の件数は各ファンドの投資実績として1件ずつ数えます。両者は合計が一致しません。
当年(2026年)の扱い
2026年の数値は8月までの年初来(YTD)です(情報確認日2026年9月8日までに公開された案件のうち、8月までに実行・Exitしたもの。DBの日付は月単位で保持しています)。通年の数値ではないため、過年度との単純比較はできません。公表済みでもクローズ(実行)前の案件は含めていません。
データソース
各PEファンドの公式サイト・プレスリリース等の公開情報(2026年9月8日に確認)。記事本文の公開日・最終更新日は冒頭の記事情報欄を参照してください。
業種分類
投資先の業種・事業内容テキストを16の大分類に正規化した独自分類(表記揺れは正規化ルールで吸収)。「製造業」の判定基準は本文のデータ定義セクション参照。分類できない案件は「未分類」とし、本記事の集計に含めていません。

本ランキングは公開情報ベースの独自集計であり、日本国内の全PE投資を網羅した市場統計(推計値)ではありません。非公開案件や公式サイトに掲載されていない案件は含まれません。ファンドにより投資先の開示方針が異なるため、件数の差がそのまま実際の投資活動量の差を意味するものではない点にご注意ください。

製造業PE投資の論点

本記事はファンド別の投資件数を集計したデータ記事ですが、投資家サイドが製造業案件をどう評価するかという枠組みも、ランキングを読み解くうえで役に立ちます。製造業PE投資の仮説は「誰から、なぜ買えるのか」で型が決まり、大きく3つに整理できます。第一に、後継者不在の部品加工・中小メーカーを対象とする事業承継型。属人的な経営を、引き継げる組織に作り替えること自体が価値創造になります。第二に、大手メーカーの非中核事業を切り出すカーブアウト型。親会社から独立して事業を回すためのスタンドアロン化コストを誰がどこまで負担するかが、価格と投資リターンを左右します。第三に、特定分野で高シェアを持つ小規模企業を束ねるニッチトップ集約型です。この3つの型は、本ランキングで見た「専業ファンドと分散型大手の混在」「事業承継とカーブアウトという二大類型」という構図と対応しています。

デューデリジェンスの着眼点としては、受注残・工場稼働率・顧客集中という製造業特有のKPIを、単年の水準ではなく「構造」として読むことが基本になります。たとえば受注残は量だけでなく採算と確度、稼働率は繁閑の振れ幅、顧客集中は取引の代替可能性まで踏み込んで検証します。買収後のバリューアップは、長年据え置かれがちな製品価格の見直し(値決め)と、在庫・売掛金など運転資本の圧縮から着手するのが定石とされます。Exitについては、日本の製造業では同業・川下の事業会社への売却が主軸であり、IPOは条件が揃った場合の選択肢という位置づけです。

投資仮説ごとのKPIの読み方、5つに絞ったDD論点、EBITDA12億円の部品メーカーを題材にした数値ケースまで、詳論は別記事製造業PE投資の見方で体系的に解説しています。本ランキングで気になるファンドを見つけたら、同記事の枠組みでそのファンドの投資先を眺め直してみると、投資行動の背景が読み取りやすくなります。

出典: 本節のファンド・投資動向への言及は大手町プレップPEファンドDB(2026年8月時点)収録の公開情報に基づきます。

よくある質問(FAQ)

なぜ製造業がPE投資で最大の業種なのですか。

日本には後継者不在の中小製造業者が多く事業承継ニーズが厚いことに加え、大手メーカーが非中核事業をカーブアウトする事業再編の動きが継続的にあるためとみられます。件数ベースで見ると、この2つの投資類型が製造業向け投資の中心を占めています。

表のshare列が高いファンドは何が違いますか。

share列は、そのファンドの全投資件数のうち製造業が占める比率です。50%を超えるファンドは製造業に特化した専業ファンドとみられ、投資チームが製造業のオペレーション評価に強みを持つ傾向があります。

カーブアウト案件と事業承継案件は同じランキングに混在していますか。

はい、本ランキングは投資類型を問わず製造業向けのすべての新規投資を件数として集計しています。両者の内訳は「投資類型の内訳」セクションの表で別途確認できます。

このランキングは投資金額ベースですか。

いいえ、件数ベースです。カーブアウト案件は投資金額が大きい一方で件数は少なく、事業承継案件は金額が小さい一方で件数が多いため、金額ベースで見た場合の順位は大きく異なる可能性があります。

まとめ

製造業は大手町プレップPEファンドDBで最大の投資対象業種であり、その内訳には「事業承継による町工場の受け皿」と「大手メーカーのカーブアウト」という2つの異なる文脈が同居しています。件数ランキングの上位には、幅広い業種に分散投資する大手バイアウトファンドと、製造業に特化した専業ファンドの双方が入っており、share列を見比べることでその違いを読み分けられます。ヘルスケア・IT分野の同様の分析は、それぞれヘルスケアPEファンドランキング、IT・ソフトウェアPEファンドランキングで公開しています。

出典・データについて

※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・企業の評価や投資助言ではありません。

情報確認日(DB再集計日): 2026年9月8日(DB更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)