JAPAN PE MARKET DATA

日本PE市場統計・データ分析2026

データ集計日: 2026年8月15日 | 対象: 大手町プレップPEファンドDB収録の日本PE案件 2,780件(127ファンド) | 執筆: 大手町プレップ編集部

日本のプライベート・エクイティ(PE)市場を、大手町プレップPEファンドDBに収録した127ファンド・2,780件の投資案件データで分析します。誰がどの業種に投資し、何年保有し、誰に売却しているのか──各ファンドの公式サイト・プレスリリースを一次情報として収集したデータベースを横断集計し、8本の詳細分析とあわせて日本PE市場の全体像を描きます。

日本PE市場 2026:サマリー

127社
対象PEファンド
日本案件を持つ収録ファンド
2,780件
収録投資案件
クラブディールは1件で集計
1,433件
現在投資中
一部売却・継続保有14件を別掲
1,052件
Exit済
完全Exitのみ
159件
2026年 新規投資
1〜8月・公表ベース
77件
2026年 Exit
1〜8月・公表ベース
4.3年
平均保有期間
中央値4年(n=699)
製造業
2026年最多業種
24件
アドバンテッジパートナーズ
収録件数最多ファンド
135件

状況未確認281件(公式サイトが現況を公表していない案件)は投資中・Exit済のいずれにも含めていません。2026年の件数は公式発表を確認できたもののみで、年末までに増加します。

投資件数の推移:2015年の3倍超の水準へ

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図1: 日本PE投資案件の新規投資件数(投資年月が判明している案件・大手町プレップ集計)(2026年は8月中旬までの公表分)

収録データで投資年が判明している案件を年別に並べると、2015年の65件から2024年の291件、2025年の289件へと、日本のPE投資は約10年で3倍超の水準に拡大しました。この推移には、バイアウトファンドの投資拡大に加えて、地方銀行系キャピタルによる事業承継投資の増加、近年設立された独立系ファンドの立ち上がりという構造変化が含まれています。なお古い案件ほど公式サイトから情報が削除されやすいため、過去年の件数は実際より少なめに出る点に留意してください(収録バイアス)。

市場の主要プレーヤーを個別に調べる場合はPEファンド一覧・業界マップから、各ファンドの投資先・戦略・ファンドサイズを確認できます。

2026年の投資動向:製造業・不動産建設・ヘルスケアに集中

2026年の新規投資159件(8月中旬までの公表分)では、製造業(24件)が最多で、不動産・建設、ヘルスケア、消費財・小売が続きます。経営権を取得するコントロール型に絞っても製造業が首位で、中堅製造業の事業承継と、建設・設備工事業の後継者問題が2026年のPE投資の中心にあることがデータから読み取れます。

詳細分析: 2026年の業種別ランキング・前年比較・月別推移

投資型の構成:事業承継が最大のディールソース

事業承継 599件(28%)バイアウト(その他)・MBO 380件(18%)カーブアウト 197件(9%)非公開化 79件(4%)事業再生 88件(4%)セカンダリー 41件(2%)成長・マイノリティ・VC 747件(35%)
図2: 投資型の構成(投資型が公表資料から判明する2,131件・ユニーク案件ベース)

投資型が判明する案件のうち、単一カテゴリとして最大なのは事業承継(599件)です。オーナー経営者の高齢化と後継者不在を背景に、事業承継バイアウトは日本のPE市場で最も安定したディールソースになっています。全国系の独立系ファンドに加えて、地方銀行系キャピタルが地元企業の承継の受け皿となる動きが2020年代に入り加速しました。残り672件は投資型の公表がなく、この構成比には含めていません。

詳細分析: 事業承継案件ランキング(ファンド別・業種別)

カーブアウト:大企業の「選択と集中」の受け皿

大企業がノンコア事業を切り出すカーブアウトは、収録データで197件。件数では2021年(18件)がピークですが、資生堂のパーソナルケア事業(ファイントゥデイ)、昭和電工・三菱マテリアルのアルミ事業のように、切り出された事業がPE傘下で再編され、さらに次の買い手へ引き継がれる大型案件の連鎖が2026年も続いています。Exitまで判明しているカーブアウト131件では、事業会社への売却が最多です。

詳細分析: カーブアウト案件の推移とSeller→PE→Exitの流れ

保有期間:平均4.3年・中央値4年

投資年月とExit年月がともに判明する完全Exit案件699件の保有期間は、平均4.3年・中央値4年。3〜5年での売却が最も厚く、「5年前後で投資回収する」という教科書的なPEファンドの投資サイクルが日本のデータでも確認できます。保有期間はIRRの分母そのものであり、Exit戦略と表裏一体です。

詳細分析: Exit方法別・業種別・投資年代別の保有期間

Exit分析:7割は事業会社への売却

事業会社への売却 394件(70%)Sponsor-to-Sponsor 77件(14%)IPO・市場売却 58件(10%)MBO・株式買戻し 27件(5%)その他 8件(1%)
図3: Exit方法の構成(Exit方法が判明する564件)

Exit済1,052件のうち売却方法が判明する564件では、事業会社への売却(Strategic Sale)が394件・70%と圧倒的多数を占めます。IPOは10%にとどまり、「日本のPEのExitはIPOよりM&A」という実務感覚がデータで裏付けられます。一方、PEからPEへ売却するSponsor-to-Sponsorは77件と少数派ながら、2024年以降明確に増加しています。

詳細分析: Strategic BuyerへのExitが多い業界
詳細分析: Sponsor-to-Sponsorの流れと案件リスト

ファンド別の得意業種:投資戦略マップ

同じ「日本のPEファンド」でも、製造業の事業承継を積み重ねるファンド、ITに集中するファンド、大型カーブアウト専業のファンドでは投資戦略がまったく異なります。投資先データが15件以上ある61ファンドについて、ファンド×業種のヒートマップと投資型・代表案件を整理しました。

ファンド収録件数最多業種
アドバンテッジパートナーズ 135件 製造業(41件)
SBI新生企業投資株式会社 112件 IT・ソフトウェア(46件)
エンデバー・ユナイテッド株式会社 98件 不動産・建設(29件)
アント・キャピタル・パートナーズ 95件 消費財・小売(22件)
阿波銀キャピタル株式会社 80件 製造業(22件)
いよぎんキャピタル株式会社 73件 その他業種(14件)

詳細分析: 全61ファンドのヒートマップと投資戦略比較

PE投資が集中している業界:累計では製造業、現在保有ではITが接近

累計投資件数では製造業(504件)が最多ですが、「現在PE傘下にある企業」で見ると製造業218件に対しIT・ソフトウェアが188件と肉薄しており、投資の重心が近年ITへ移っていることが分かります。業界ごとの関与ファンド数・業界再編(ロールアップ)の状況とあわせて分析しました。

詳細分析: 累計×現在保有で見る業界別集中度

大手町プレップが見る2026年の日本PE市場

以下は上記データに基づく大手町プレップ編集部の分析・示唆です。確認された事実(データ)と編集部の解釈を区別して記載します。

1. 事業承継はブームではなく「構造」になった

データ: 事業承継投資は2021年以降毎年60件超で推移し、2026年も8月中旬までに41件と投資型別で最大。担い手は全国系ファンドから地方銀行系キャピタルまで広がっています。
編集部の見方: 経営者の高齢化は今後10年続く人口動態の問題であり、事業承継型PEは景気循環に左右されにくい構造的な成長分野です。件数の多さに対してファンド間の重複は少なく、地域・業種ごとの棲み分けが進んでいます。

2. Sponsor-to-Sponsorの増加は市場の「成熟」のサイン

データ: S2Sは2015〜2019年の年1〜6件に対し、2024年14件・2025年10件・2026年は8月中旬までに9件。HITOWA(CVC→ポラリス→MBK)のように3代のPEオーナーを経る企業も現れています。
編集部の見方: 1巡目のファンドが投資回収期を迎え、企業規模が大きくなった投資先を次のサイズのファンドが引き継ぐ「階段構造」が日本でも機能し始めました。欧米市場で一般的なS2S比率にはまだ遠く、拡大余地が大きい領域です。

3. 大型カーブアウトの連鎖と外資系の日本注力

データ: 2026年には資生堂パーソナルケア事業(ファイントゥデイ)のCVCからベインキャピタルへの売却、アポロ傘下のアルミ事業(旧昭和電工・旧三菱マテリアル系)のMBKパートナーズへの売却など、カーブアウト起点の大型S2Sが相次いで公表されました。ブラックストーンによるテクノプロ、EQTによるベネッセなど外資系による日本の大型案件も継続しています。
編集部の見方: 東証の資本コスト改革・アクティビストの活動活発化を背景に、大企業の事業ポートフォリオ見直しは今後も続くとみられ、カーブアウト→PE→再編→次のオーナーという事業の「新陳代謝サイクル」が日本の大型PE市場の中心テーマであり続けると考えます。関連する株主提案の動向はアクティビストファンドDBで追跡しています。

4. 地域金融機関系キャピタルが「件数」の主役に

データ: 2026年の新規投資件数の上位には、ごうぎんキャピタル・いよぎんキャピタルなど地域銀行系キャピタルが並びます(マイノリティ出資・小規模承継を含む)。
編集部の見方: 金額ベースでは大型バイアウトが市場を牽引する一方、件数ベースの裾野は地域金融機関が広げています。「PE市場」を語る際は、大型バイアウトと地域の承継・成長投資という2つの層を分けて見る必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 日本にPEファンドは何社ありますか?

大手町プレップのPEファンドDBには日本・APAC・EMEA・USの492社を収録しており、うち日本企業への投資実績を確認できるのは127ファンドです。国内独立系のほか、銀行系・政府系、日本に投資する外資系ファンドを含みます。

Q. 2026年に日本のPEファンドが最も投資している業種は?

当サイト集計では2026年の新規投資159件のうち製造業が24件で最多です。不動産・建設、ヘルスケア、消費財・小売が続きます。詳細は2026年の投資動向をご覧ください。

Q. 日本のPEファンドの平均保有期間は何年ですか?

投資年月とExit年月がともに判明する完全Exit案件699件の集計で、平均4.3年・中央値4年です。Exit方法別ではIPOが最も長く、事業会社への売却がやや短い傾向があります。詳細は平均保有期間の分析へ。

Q. Sponsor-to-Sponsor(セカンダリーバイアウト)とは何ですか?

PEファンドが保有する企業を別のPEファンドへ売却するExit方法です。当サイトのデータでは77件を確認しており、2024年以降増加しています。セカンダリーバイアウトの用語解説Sponsor-to-Sponsorの分析をご覧ください。

Q. このデータの出典は何ですか?

各PEファンドの公式サイト(投資先一覧・案件ページ・プレスリリース)を一次情報として大手町プレップが独自に収集・分類した2,780案件です。公表されていない情報は推測で補完せず「非開示」として扱っています。集計基準はページ末尾の「集計方法・データ定義」に明記しています。

集計方法・データ定義

対象ファンド
大手町プレップPEファンドDB(収録492社)のうち、日本企業への投資案件を1件以上収録している127ファンド。国内独立系・銀行系・政府系に加え、日本で投資実績のある外資系ファンドを含みます。
対象案件
投資先企業の所在国が日本の案件、および国内ファンドで所在国の記載がない案件(国内ファンドの公式サイトは国内投資先のみを掲載しているため日本案件として扱う)。合計2,856レコード。複数ファンドによる共同投資(クラブディール)は市場全体の件数では1案件として数え、ファンド別の集計では各ファンドの投資実績として数えます(ユニーク案件数2,780件)。
データソース
各ファンドの公式サイト(投資先一覧・案件ページ・ニュースリリース)を一次情報として収集。投資時期・Exit時期・売却先は公式に公表されている情報のみを収録し、公表がないものは「非開示」「公表情報なし」として集計から明示的に区別しています。
Investment Date / Exit Date
公式発表の投資実行(または公表)年月・Exit年月。月まで確認できない案件は年のみを保持し、保有期間の計算からは除外します。日付が不明な案件に推定日を割り当てることはしません。
業種分類
投資先の公表事業内容から大手町プレップが独自に16の大分類(製造業/IT・ソフトウェア/ヘルスケア/消費財・小売/外食・食品サービス/B2Bサービス/人材/消費者サービス/金融/不動産・建設/物流・運輸/教育/メディア・エンタメ/エネルギー・環境/ホテル・レジャー/その他)へ正規化。全記事で同一の分類を使用します。分類根拠が公表されていない案件は「未分類」とし、業種別集計から除外します。
投資型(Deal Type)
各ファンドの公表資料の記載に基づき、事業承継/カーブアウト/非公開化/セカンダリー(PE間取得)/事業再生/MBO/バイアウト(その他)/成長・マイノリティ投資/ベンチャー投資へ正規化。公表情報から判別できない案件は「公表情報なし」(672件)として扱い、推測で割り当てません。
Exit分類
「事業会社への売却(Strategic Sale)」は公表された売却先が事業会社である案件。「Sponsor-to-Sponsor」は売却先が他のPEファンド(当サイトDB収録ファンドとの照合、および次オーナーの投資記録との突合で判定)。売却先が公表されていないExitは「売却先非開示」として比率計算の分母から除きます。
保有期間(Holding Period)
投資年月からExit年月までの月数を年換算(完全Exit案件のうち両方の年月が判明する699件のみ)。一部売却・継続保有中の案件は含みません。

本記事の集計・分類は公開情報を基に大手町プレップが独自に行ったものです。各社の公表方針の違いにより、実際の投資件数・Exit件数は収録件数より多い可能性があります。数値は「当サイトが一次情報で確認できた範囲」の集計であり、市場全体の統計(推計値)ではありません。誤りのご指摘はお問い合わせまでお寄せください。

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出典: 各PEファンド公式サイト・プレスリリース(2026年8月15日時点の収集データ)。個別案件の出典URLはPEファンドDBの各ファンドページに記載しています。本ページは業界研究・学習を目的とした情報提供であり、特定の金融商品の勧誘・投資助言を行うものではありません。

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