JAPAN PE MARKET DATA
PEファンド別・得意業種マップ:どのファンドが何に投資しているか
「日本のPEファンド」と一口に言っても、製造業の事業承継を積み重ねるファンド、ITに集中投資するファンド、大型カーブアウト専業のファンドでは、投資戦略はまったく別物です。共通データベースから、日本案件の投資先データが15件以上ある55ファンドについて「ファンド×業種」のヒートマップを作成しました。各ファンド名からPEファンドDBの個別ページへ移動し、投資先の全リストを確認できます。
ヒートマップの見方
行がファンド、列が業種で、各セルは収録された日本投資案件の件数です。色が濃いほど、そのファンドの投資がその業種に集中していることを示します(濃淡は各行内の相対値)。件数は投資規模(金額)を反映しないため、少数の大型案件を手掛けるファンドは薄く見える点に注意してください。ファンドの並びは収録件数順です。
ファンド×業種ヒートマップ(全55社)
横にスクロールできます。業種「その他業種」は金融・教育・メディア等の少数業種の合算。
主要バイアウトファンドの戦略プロファイル
コントロール型投資(経営権取得)を主体とする主要ファンドについて、投資型・得意業種・代表投資先を整理しました。
| ファンド | 収録件数 | 最多業種 | 主な投資型 | 最近の投資先(例) |
|---|---|---|---|---|
| アドバンテッジパートナーズ | 135件 | 製造業(41件) | 成長・マイノリティ投資・事業承継 | リズム・オートモーティブ・グループ株式会社、三菱鉛筆株式会社 |
| エンデバー・ユナイテッド株式会社 | 98件 | 不動産・建設(29件) | バイアウト(その他) | (株)コイケ、(株)明和美装 |
| ジャフコ グループ株式会社 | 69件 | その他業種(11件) | バイアウト(その他) | カシオヒューマンシステムズ株式会社、株式会社DGF人材開発 |
| ニューホライズン キャピタル | 53件 | 不動産・建設(16件) | 成長・マイノリティ投資 | 株式会社ラヴォックス、株式会社New Order |
| 大和PIパートナーズ株式会社 | 49件 | 製造業(14件) | 事業再生・成長・マイノリティ投資 | 株式会社マリン・プロフーズ、株式会社ワイ・インターナショナル |
| クレアシオン・キャピタル株式会社 | 48件 | その他業種(15件) | バイアウト(その他) | 株式会社ケンコーホールディングス、非公開(消費財の製造・販売、2026年1月投資) |
| サンライズキャピタル | 46件 | その他業種(11件) | 事業承継・成長・マイノリティ投資 | ソーシャルデータバンクグループ、株式会社JPMC |
| ベインキャピタル | 46件 | その他業種(16件) | 非公開化・バイアウト(その他) | ファイントゥデイホールディングス株式会社、INFORICH |
| ポラリス・キャピタル・グループ株式会社 | 44件 | 消費財・小売(13件) | カーブアウト・事業承継 | ソフトブレーン株式会社、株式会社DDグループ |
| MCPキャピタル株式会社 | 43件 | 製造業(22件) | カーブアウト・事業承継 | 株式会社サンキョウ・ロジ・アソシエート、株式会社アウトソーシングトータルサポート |
| 株式会社日本産業推進機構 | 43件 | その他業種(16件) | 事業承継・カーブアウト | 株式会社WEWORLD、日栄インテック株式会社 |
| ユニゾン・キャピタル株式会社 | 42件 | 消費財・小売(12件) | バイアウト(その他)・カーブアウト | 千手ホールディングス、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン |
| カーライル・ジャパン(カーライル・グループ 日本バイアウト部門) | 41件 | 製造業(9件) | 非公開化 | 株式会社杉孝、オムロン デバイス&モジュールソリューションズ事業(アラタス株式会社) |
| インテグラル株式会社 | 40件 | 製造業(7件) | 事業再生・事業承継 | 八十島プロシード株式会社、アットホームホールディングス株式会社 |
| 日本成長投資アライアンス株式会社 | 38件 | IT・ソフトウェア(12件) | 事業承継・成長・マイノリティ投資 | 株式会社エス・エス・ビー、株式会社メディアリンク・アイ |
| ティーキャピタルパートナーズ株式会社 | 34件 | 消費財・小売(10件) | 事業承継・カーブアウト | 株式会社FCホールディングス、株式会社アーキビジョン二十一及びアーキビジョン・ホールディングス |
| 日本産業パートナーズ株式会社 | 30件 | その他業種(15件) | カーブアウト・MBO | 株式会社東芝、株式会社プロテリアル(旧 日立金属) |
| アイ・シグマ・キャピタル株式会社 | 29件 | 製造業(11件) | 非公開化 | サニタリーホールディングス株式会社、株式会社ロングライフ |
| マラトンキャピタルパートナーズ株式会社 | 29件 | 不動産・建設(5件) | 事業承継・成長・マイノリティ投資 | 株式会社アグレイド、株式会社ギャラリー・ド・ポップ |
| アスパラントグループ株式会社 | 28件 | 製造業(13件) | 事業承継・カーブアウト | 株式会社キット、株式会社小島製作所 |
コントロール型比率が6割以上のファンドを収録件数順に掲載。地域金融機関系など成長・マイノリティ投資主体のファンドはヒートマップ本体でご覧ください。
「業種特化」と「分散」の2つの戦略(編集部分析)
以下はヒートマップから読み取れる編集部の分析です。
ヒートマップを俯瞰すると、ファンドの戦略は2つの型に分かれます。特化型は特定業種にセルが集中するファンドで、テクノロジー系カーブアウトの日本産業パートナーズ、ITに厚いSBI新生企業投資などが典型です。業種の専門知識・経営人材ネットワーク・買い手リレーションを再利用でき、ロールアップの起点にもなります。分散型は製造・消費財・サービスに広くセルが分布するファンドで、アドバンテッジパートナーズやJ-STARのような総合型がこれにあたります。案件ソースを業種で絞らず、事業承継・カーブアウトという「入口の型」で強みを築くアプローチです。
PE志望者がファンド研究をする際は、このマップで「どの業種の案件を経験できそうか」を見た上で、各ファンドの個別ページで投資先の実名リストを確認するのが効率的です(PEファンド転職ガイド)。
よくある質問(FAQ)
Q. 日本のPEファンドはそれぞれ何の業種に強いのですか?
ファンドにより明確に異なります。例えばアドバンテッジパートナーズは製造業、SBI新生企業投資はIT・ソフトウェアが最多です。本記事のヒートマップで55ファンドの業種分布を比較できます。
Q. 「得意業種」はどう判定していますか?
各ファンドの公表投資先(日本案件)を業種分類し、投資件数の分布から機械的に集計しています。ファンド自身が掲げる重点業種ではなく、実際の投資実績ベースの分布です。件数は投資規模を反映しない点にご注意ください。
Q. 特定の業種に強いファンドを探すにはどうすればよいですか?
ヒートマップを業種の列で見て、色の濃いファンドを確認してください。各ファンド名のリンク先(PEファンドDBの個別ページ)で、投資先の全リスト・投資戦略・ファンドサイズを確認できます。
集計方法・データ定義
- 対象ファンド
- 大手町プレップPEファンドDB(収録492社)のうち、日本企業への投資案件を1件以上収録している127ファンド。国内独立系・銀行系・政府系に加え、日本で投資実績のある外資系ファンドを含みます。
- 対象案件
- 投資先企業の所在国が日本の案件、および国内ファンドで所在国の記載がない案件(国内ファンドの公式サイトは国内投資先のみを掲載しているため日本案件として扱う)。合計2,419レコード。複数ファンドによる共同投資(クラブディール)は市場全体の件数では1案件として数え、ファンド別の集計では各ファンドの投資実績として数えます(ユニーク案件数2,370件)。
- データソース
- 各ファンドの公式サイト(投資先一覧・案件ページ・ニュースリリース)を一次情報として収集。投資時期・Exit時期・売却先は公式に公表されている情報のみを収録し、公表がないものは「非開示」「公表情報なし」として集計から明示的に区別しています。
- Investment Date / Exit Date
- 公式発表の投資実行(または公表)年月・Exit年月。月まで確認できない案件は年のみを保持し、保有期間の計算からは除外します。日付が不明な案件に推定日を割り当てることはしません。
- 業種分類
- 投資先の公表事業内容から大手町プレップが独自に16の大分類(製造業/IT・ソフトウェア/ヘルスケア/消費財・小売/外食・食品サービス/B2Bサービス/人材/消費者サービス/金融/不動産・建設/物流・運輸/教育/メディア・エンタメ/エネルギー・環境/ホテル・レジャー/その他)へ正規化。全記事で同一の分類を使用します。分類根拠が公表されていない案件は「未分類」とし、業種別集計から除外します。
- 投資型(Deal Type)
- 各ファンドの公表資料の記載に基づき、事業承継/カーブアウト/非公開化/セカンダリー(PE間取得)/事業再生/MBO/バイアウト(その他)/成長・マイノリティ投資/ベンチャー投資へ正規化。公表情報から判別できない案件は「公表情報なし」(530件)として扱い、推測で割り当てません。
- Exit分類
- 「事業会社への売却(Strategic Sale)」は公表された売却先が事業会社である案件。「Sponsor-to-Sponsor」は売却先が他のPEファンド(当サイトDB収録ファンドとの照合、および次オーナーの投資記録との突合で判定)。売却先が公表されていないExitは「売却先非開示」として比率計算の分母から除きます。
- 保有期間(Holding Period)
- 投資年月からExit年月までの月数を年換算(完全Exit案件のうち両方の年月が判明する705件のみ)。一部売却・継続保有中の案件は含みません。
- 本記事の対象ファンド
- 日本案件の収録投資先が15件以上あり、業種を分類できた案件が15件以上あるファンド。外資系ファンドは日本投資分のみを集計しています。ヒートマップの件数はマイノリティ出資を含む収録全件で、投資金額は反映していません。
本記事の集計・分類は公開情報を基に大手町プレップが独自に行ったものです。各社の公表方針の違いにより、実際の投資件数・Exit件数は収録件数より多い可能性があります。数値は「当サイトが一次情報で確認できた範囲」の集計であり、市場全体の統計(推計値)ではありません。誤りのご指摘はお問い合わせまでお寄せください。
ファンド研究の次は、投資判断の中身へ
どのファンドが何に投資しているかが分かったら、次は「なぜその案件を選ぶのか」という投資判断の中身です。投資仮説とICでファンドの意思決定を、ペーパーLBOで面接レベルの計算を体験できます。PEの選考対策・実務準備を体系的に進めるならLBOマスター講座へ。
出典: 各PEファンド公式サイト・プレスリリース(2026年9月8日時点)。
データで市場を知る、から、モデルで案件を評価するへ。
日本PE市場のデータの次は、LBO・バリュエーション・財務モデリングを日本語で手を動かして学ぶ。実務Excel教材をそろえています。