この記事で分かること

  • 大手町プレップPEファンドDB収録全期間(最古の記録は1998年)の投資件数で見る、日本PEファンドの累計実績ランキング
  • 累計上位10社でDB全体のレコードの何%を占めるか、127ファンド中何社が10件以上の実績を持つか
  • 「累計が多い=いま活発」ではない理由と、直近5年の件数・最終投資年から保有スタイルを見分ける方法
  • 開示方針の違いが累計順位に与える影響と、このランキングを実務でどう読むべきか
情報確認日: 2026年9月8日(各ファンドの公開情報を確認・再集計した日) | 対象: 大手町プレップPEファンドDB収録の日本国内PE投資案件 2,370件(127ファンド) | 2026年の数値は8月までの年初来(YTD) | 執筆: 大手町プレップ編集部

結論:累計上位は老舗の独立系・金融機関系ファンド、ただし「いまの活発さ」は別指標で見る

大手町プレップPEファンドDBには、日本国内のPE投資案件が127ファンド・2,419件(レコード基準、集計日2026年9月8日)収録されています。このうち投資年が確認できる最も古い記録は1998年(アドバンテッジパートナーズ)で、本ランキングはこの全期間を通算した投資件数でファンドを並べたものです。

累計上位には、アドバンテッジパートナーズ、エンデバー・ユナイテッド、アント・キャピタル・パートナーズなど、いずれも2000年代前半までに投資を始めた独立系・金融機関系ファンドが並びます。REVIC復興キャピタルのような2010年代に立ち上がった政府系ファンドも上位に入っており、比較的短期間で件数を積み上げている点が老舗勢とは対照的です。

収録データ全体では、127ファンドのうち10件以上の投資レコードを持つファンドは73社です。一方、累計上位10社だけでレコード全体の30%を占めており、記録として蓄積された投資実績は、長く活動を続けてきた一部のファンドに集中する構造になっています。

ただし、累計件数が多いことは、そのファンドが今も同じペースで投資しているとは限りません。ヴィンテージイヤーの考え方と同じく、累計と直近5年の実績を並べて読むことが、このランキングを正しく使う鍵になります。

2,370件
DB収録の日本国内投資(市場全体)
クラブディールは1件に集約
127社
収録ファンド数
73社
累計10件以上のファンド
30%
上位10ファンドの件数シェア
レコード基準

累計投資件数ランキング(DB収録全期間)

以下は、投資日が確認できる全期間の記録を、ファンド別に累計したランキングです。件数に加えて、経営権移転型(コントロール型)の件数、ファンド類型、最初の投資年〜直近投資年、直近5年の件数を併記しています。

累計投資件数ランキング上位30(レコード基準)
順位ファンド累計投資中Exit済直近5年最古〜最新主要業種
1アドバンテッジパートナーズ1354589341998〜2026年製造業41・消費財・小売18
2エンデバー・ユナイテッド984452352002〜2026年不動産・建設29・製造業27
3アント・キャピタル・パートナーズ952171212002〜2026年消費財・小売22・B2Bサービス20
4ジャフコ グループ692346202010〜2025年IT・ソフトウェア8・製造業5
5J-STAR652837192006〜2025年消費財・小売13・ヘルスケア12
6WMパートナーズ583022152015〜2026年ヘルスケア11・IT・ソフトウェア10
7ニューホライズン キャピタル531823252008〜2026年不動産・建設16・製造業6
8REVIC復興キャピタル5002252016〜2025年消費財・小売10・製造業6
9大和PIパートナーズ4934612001〜2022年製造業14・消費財・小売10
10クレアシオン・キャピタル482618202012〜2026年消費財・小売6・IT・ソフトウェア5
11サンライズキャピタル461224112007〜2026年IT・ソフトウェア6・不動産・建設6
11ベインキャピタル463013222006〜2026年製造業8・IT・ソフトウェア6
13ベーシック・キャピタル・マネジメント452223182003〜2026年製造業11・不動産・建設6
14ポラリス・キャピタル・グループ441430102005〜2026年消費財・小売13・製造業12
15MCPキャピタル43113192000〜2025年製造業22・B2Bサービス4
15日本産業推進機構432617202015〜2026年教育7・ヘルスケア6
17ユニゾン・キャピタル42132972000〜2026年消費財・小売12・ヘルスケア8
18カーライル・ジャパン(カーライル・グループ 日本バイアウト部門)411226112002〜2026年製造業9・IT・ソフトウェア8
19インテグラル402015142009〜2026年製造業7・消費財・小売7
20日本プライベートエクイティ3993042004〜2026年B2Bサービス1・消費財・小売1
21日本成長投資アライアンス38298212017〜2026年IT・ソフトウェア12・消費財・小売7
22ティーキャピタルパートナーズ3492562005〜2025年消費財・小売10・製造業8
23日本産業パートナーズ3052232003〜2023年製造業6・IT・ソフトウェア4
24アイ・シグマ・キャピタル291316102009〜2026年製造業11・消費財・小売6
24マラトンキャピタルパートナーズ2901272021〜2026年不動産・建設5・消費財・小売4
26アスパラントグループ2852362014〜2025年製造業13・B2Bサービス10
26トライハード・インベストメンツ280042007〜2022年不動産・建設6・製造業5
28日本みらいキャピタル2742352003〜2025年製造業17・IT・ソフトウェア4
28SMBCキャピタル・パートナーズ27162222021〜2026年製造業6・消費財・小売4
28リサ・パートナーズ270002015〜2019年ホテル・レジャー8・消費財・小売3

表の「最初の投資年〜直近投資年」は、そのファンドの投資実績としてDBで確認できる期間です。直近投資年が2026年でなければ、ここ数年は新規投資の公表がないことを意味します。たとえば大和PIパートナーズは投資年が2001〜2022年で、累計49件のうち直近5年はわずか1件、日本産業パートナーズも2003〜2023年で累計30件のうち直近5年は3件にとどまります。累計件数だけを見ていては、こうした違いは見えません。

上位ファンドで見る投資件数の分布

グラフは累計上位ファンドの投資件数を横棒で比較したものです。上位10社でレコード全体の30%を占める一方、127ファンド中73ファンドは10件以上の実績を持ち、記録の裾野そのものは広いことも確認できます。累計件数はDBへの掲載開始時期や開示方針にも左右されるため、1件差の順位変動を過度に意味づけず、上位グループのおおまかな顔ぶれとして見るのが実務的です。

分析:なぜこの順位になるのか

老舗ファンドが上位を占める構造

累計ランキングの性質上、投資を始めた年が古いファンドほど有利です。アドバンテッジパートナーズ(1998年〜)、ユニゾン・キャピタル(2000年〜)、エンデバー・ユナイテッド/アント・キャピタル・パートナーズ(ともに2002年〜)など、上位の多くは2000年代前半までにファンド事業を開始しています。投資先の公表を続けてきた期間の長さが、そのまま累計件数の差になって表れています。

「累計が多い=いま活発」ではない

一方で、累計件数と直近の活動量は別物です。REVIC復興キャピタル(累計50件)は直近5年の件数が25件、ニューホライズン キャピタル(累計53件)も直近5年が25件と、累計の半分がここ5年で積み上がったファンドがあります。対照的に、大和PIパートナーズや日本産業パートナーズのように、累計順位は上位でも直近投資年が2022〜2023年で止まっているファンドも存在します。「いま最も投資しているファンド」を知りたい場合は、2026年の投資件数ランキングを確認してください。

コントロール型比率もファンドで大きく異なる

累計件数に占める経営権移転型(コントロール型)案件の比率も、ファンドの性格を映します。ジャフコ グループは累計69件全てがコントロール型(買収型)である一方、エンデバー・ユナイテッドは累計98件のうちコントロール型は4件にとどまり、大半が成長・マイノリティ出資です。同じ「投資件数」でも、中身の投資スタイルはファンドごとに大きく異なる点は、順位を見る際に必ず押さえておくべきポイントです。上位ファンドが投資先へどう関与しているかという文脈では、セカンダリーバイアウト(SBO)のように他のPEファンドから引き継ぐ案件も一定数含まれています。

開示方針の影響

本DBは公式サイト・プレスリリースなど公開情報を基礎としているため、投資先を継続的に公表してきたファンドほど累計件数が多く表れます。逆に、投資先を限定的にしか公表しない、あるいは近年になって情報開示を始めたファンドの累計実績は、実態より少なく見える可能性があります。日本のPEファンド比較ではファンドごとの特徴を横断的に確認できます。

類型別に見る累計上位の顔ぶれ

累計上位のファンド類型を見ると、アドバンテッジパートナーズ、エンデバー・ユナイテッド、ジャフコ グループ、J-STAR、クレアシオン・キャピタル、ポラリス・キャピタル・グループ、ユニゾン・キャピタル、インテグラルなどの独立系ファンドが最も層が厚く、アント・キャピタル・パートナーズ、大和PIパートナーズ、MCPキャピタルといった金融機関系が続きます。サンライズキャピタル、カーライル・ジャパンなどの外資系、REVIC復興キャピタルのような政府系・官民ファンドも累計上位30社の中に含まれています。累計件数だけを見ると独立系バイアウトファンドの存在感が目立ちますが、エンデバー・ユナイテッドやアント・キャピタル・パートナーズのように成長・マイノリティ出資を数多く含むファンドも上位にあり、件数の内訳は一様ではないという点が、このランキングの構造的な特徴です。

実務での使い方

PE・M&A業界を目指す方にとって、累計件数は各ファンドが何年からどの業種に投資してきたかという蓄積を知る手がかりになります。志望動機や面接での業界研究の材料としても使えます。特に、累計件数が多くても直近5年の件数が少ないファンドは、採用ニーズが縮小している可能性がある一方、累計と直近5年がともに多いファンドは組織が拡大局面にある可能性が高く、両方の数値を見比べることで応募先の見極めに役立ちます。

事業承継やカーブアウトを検討する企業オーナー・経営企画部門にとっては、自社と近い業種・投資類型を長年手掛けてきたファンドを、累計の主要業種とファンド類型(firm_type)から絞り込むという使い方が実務的です。ファンドごとの投資先一覧はPEファンドDBの個社ページで確認できます。いま実際に何社を保有しているかは投資中企業数ランキングで別途確認できます。

データの定義と限界

本ランキングの母集団は、大手町プレップPEファンドDBに収録された日本国内のPE投資案件のうち、投資日が確認できるレコード全体(1998年〜2026年8月中旬)です。件数はファンド別のレコード基準で集計しており、複数ファンドが共同出資したクラブディールは、参加した各ファンドの実績としてそれぞれ計上されます。集計の詳細は以下のとおりです。

集計方法・データ定義(大手町プレップPEファンドDB独自集計)

対象データ
大手町プレップPEファンドDBに収録された、日本のPEファンドおよび日本に投資する海外PEファンドによる日本国内企業への投資案件(投資先の国が日本、または国の記載がなく運用会社の本拠が日本の案件)。集計日時点で2,419レコード・重複を除いた2,370案件(127ファンド)。
件数の数え方
DB全体の件数は複数ファンドによる共同投資(クラブディール)を1案件として数え、ファンド別の件数は各ファンドの投資実績として1件ずつ数えます。両者は合計が一致しません。
当年(2026年)の扱い
2026年の数値は8月までの年初来(YTD)です(情報確認日2026年9月8日までに公開された案件のうち、8月までに実行・Exitしたもの。DBの日付は月単位で保持しています)。通年の数値ではないため、過年度との単純比較はできません。公表済みでもクローズ(実行)前の案件は含めていません。
データソース
各PEファンドの公式サイト・プレスリリース等の公開情報(2026年9月8日に確認)。記事本文の公開日・最終更新日は冒頭の記事情報欄を参照してください。

本ランキングは公開情報ベースの独自集計であり、日本国内の全PE投資を網羅した市場統計(推計値)ではありません。非公開案件や公式サイトに掲載されていない案件は含まれません。ファンドにより投資先の開示方針が異なるため、件数の差がそのまま実際の投資活動量の差を意味するものではない点にご注意ください。

よくある質問(FAQ)

累計ランキングは投資金額ベースですか。

いいえ、件数ベースです(レコード基準)。集計期間はDBに収録された全期間に及び、最も古い記録は1998年です。

累計順位が高い=現在も投資が活発、と考えてよいですか。

いいえ。累計順位は長い年月の蓄積を反映するため、直近5年の投資件数と最終投資年を必ず併せて確認してください。累計上位でも直近の投資が止まっているファンドがあります。

総合ランキング(2026年単年)と本ランキングで同じファンドが上位に入るのはなぜですか。

2026年単年のランキングは今年の投資ペース、本ランキングはDB収録全期間の累計です。集計期間が異なるため、同じファンドが両方の上位に入ることは珍しくありません。

なぜ全ファンドの累計が同じ精度で載っていないのですか。

大手町プレップPEファンドDBは公開情報を基礎に継続更新されているため、投資先の公表が限定的なファンドや、DBへの収録が浅いファンドの累計実績は、実際より少なく表れる可能性があります。

コントロール型とマイノリティ型の違いは、累計ランキングにどう影響しますか。

経営権を握るコントロール型の投資は、意思決定や実行に時間がかかるため件数が伸びにくく、逆にマイノリティ出資・成長資金型は小口で数多くこなせるため件数が伸びやすい傾向があります。累計件数の多さは、投資額の大きさや案件の難度とは別の指標である点に注意してください。

まとめ

累計投資件数ランキングは、DB収録全期間を通じてどのファンドが投資実績を積み重ねてきたかを示す指標です。上位の顔ぶれは老舗の独立系・金融機関系ファンドが中心ですが、直近5年の件数・最終投資年と合わせて読まなければ「いま活発なファンド」を見誤ります。コントロール型かマイノリティ型かという中身も含めて多面的に確認することが重要です。

2026年単年の勢いは投資件数ランキング、いま実際に保有している企業数は投資中企業数ランキング、独立系・地銀系など類型別の勢力図はPE投資の担い手分析で確認できます。

出典・データについて

※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・企業の評価や投資助言ではありません。

情報確認日(DB再集計日): 2026年9月8日(DB更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)