この記事で分かること

  • 日本国内でいま実際にPE傘下にある企業数を、ファンド別に集計した「保有企業数ランキング」
  • 市場全体で確認できる現在保有企業は約1,039社。保有企業数の多さと経営関与の深さが別物である理由
  • 保有企業のほぼ全てがコントロール型のファンドと、ほぼマイノリティ出資のファンドの違い
  • 平均経過年数・最古の保有企業から、各ファンドの保有スタイルを読み解く方法
データ集計日: 2026年8月19日 | 対象: 大手町プレップPEファンドDB収録の日本国内PE投資案件 2,326件(127ファンド) | 2026年の数値は8月中旬までのYTD(年初来) | 執筆: 大手町プレップ編集部

結論:保有企業数の上位は地銀系・金融機関系、中身は「ストック型」の出資が中心

大手町プレップPEファンドDBの収録データによれば、2026年8月中旬時点で日本国内において保有継続中(Exit未確定を含む)と確認できるPE傘下の企業は、市場全体で約1,433社です。本ランキングは、この「いま保有している企業数」をファンド別に集計したものです。

上位には、アドバンテッジパートナーズ、エンデバー・ユナイテッドといった投資件数の多い独立系の大手に加えて、WMパートナーズや日本成長投資アライアンス、J-STARなどが並びます。ただし保有企業の内訳は、経営権を握るバイアウト型から少数株式の成長出資型までファンドにより大きく異なり、保有数の多さがそのまま経営関与の深さを意味するわけではありません。

一方、クレアシオン・キャピタルやジャフコ グループのように、現在保有する企業のほぼ全てが経営権移転型(コントロール型)というファンドもあります。保有企業数ランキングは、件数だけでなく「何を保有しているか」まで見なければ実態を見誤ります。

投資件数ランキング累計投資実績ランキングが「これまでに何件投資したか」というフロー指標であるのに対し、本ランキングは「いまExitせずに持っている企業がどれだけあるか」というストック指標です。両者を混同しないことが重要です。

1,039件
現在PE傘下にある企業(市場全体)
投資中と確認できた案件
30社
投資中10件以上のファンド
上位30社表示
2026年8月19日
データ集計日

現在保有企業数ランキング

以下は、DBで保有継続中(Exit未確定を含む)と確認できる企業を、ファンド別に集計したランキングです。件数に加え、コントロール型の内訳、ファンド類型、保有企業の平均経過年数、最も長く保有している企業とその投資年、直近1年で新たに加わった企業数を併記しています。

現在の投資中企業数ランキング上位30(レコード基準)
順位ファンド投資中うち2026年平均経過年数最古の保有案件類型主要業種
1アドバンテッジパートナーズ4533.3年ネットプロテクションズ(2016年〜)独立系製造業17・IT・ソフトウェア6
2エンデバー・ユナイテッド4463.2年ロゴスホールディングス(2019年〜)独立系不動産・建設16・IT・ソフトウェア10
3WMパートナーズ3014年ギークス(2015年〜)独立系ヘルスケア7・IT・ソフトウェア4
4日本成長投資アライアンス2952.9年ヒトトヒトホールディングス(2019年〜)独立系IT・ソフトウェア11・ヘルスケア5
5J-STAR2804年HARITA(2017年〜)独立系エネルギー・環境7・B2Bサービス5
6クレアシオン・キャピタル2634.1年スリーアローズ(2012年〜)独立系消費財・小売4・IT・ソフトウェア4
6日本産業推進機構2644.7年ユーエスマート(2015年〜)独立系教育6・ホテル・レジャー4
8ジャフコ グループ2303.3年オミカレ(2017年〜)独立系IT・ソフトウェア5・メディア・エンタメ4
9ベーシック・キャピタル・マネジメント2232.9年カルネヴァーレ(2018年〜)独立系ヘルスケア4・製造業4
10アント・キャピタル・パートナーズ2113.2年ニューオークボ(2017年〜)金融機関系消費財・小売6・製造業4
10日本グロース・キャピタル210独立系IT・ソフトウェア6・製造業5
12インテグラル2034.6年ヨウジヤマモト(2009年〜)独立系消費財・小売4・不動産・建設4
13MSD企業投資1904.1年日本電解(2016年〜)金融機関系製造業7・消費財・小売5
14りそなキャピタル1803.9年松金工業(2021年〜)金融機関系不動産・建設6・製造業3
14ニューホライズン キャピタル1823年たち吉(2015年〜)独立系不動産・建設7・消費財・小売2
16日本企業成長投資1703.8年サング(2019年〜)独立系外食・食品サービス3・不動産・建設3
17SMBCキャピタル・パートナーズ1631.7年たまご&カンパニー(2023年〜)金融機関系製造業4・消費財・小売4
18NYC1571.1年渡辺工業(2023年〜)長期保有・サーチファンド型製造業6・B2Bサービス3
18REVA1531.5年イー・アール(2023年〜)商社・事業会社系不動産・建設5・B2Bサービス2
18グロースパートナーズ1551年ランサーズ(2024年〜)独立系IT・ソフトウェア5・消費財・小売2
18セレンディップ・ホールディングス1513.9年佐藤工業(2015年〜)商社・事業会社系製造業6・不動産・建設1
18四国アライアンスキャピタル1504.1年GEホールディングス(2018年〜)地域金融機関系製造業4・消費財・小売2
23ポラリス・キャピタル・グループ1414.1年BAKE(2017年〜)独立系消費財・小売4・ヘルスケア4
23丸の内キャピタル1422.5年サイプレスホールディングス(2019年〜)商社・事業会社系製造業5・消費財・小売3
25アイ・シグマ・キャピタル1332.3年ツバキスタイル/椿化工(2021年〜)商社・事業会社系製造業6・消費財・小売2
25ユニゾン・キャピタル1324.5年LTLファーマ(2016年〜)独立系ヘルスケア5・消費財・小売3
25KKRジャパン(KKR)1313.5年PHCホールディングス(2014年〜)外資系不動産・建設4・IT・ソフトウェア2
25ブルパス・キャピタル1322.8年せーの(2021年〜)商社・事業会社系消費財・小売5・消費者サービス3
29PROSPER1221.3年ソラトニワ熱海伊豆山(2024年〜)独立系B2Bサービス5・不動産・建設2
29カーライル・ジャパン(カーライル・グループ 日本バイアウト部門)1213.9年三共理化学(2019年〜)外資系製造業3・ヘルスケア2

「平均経過年数」は、現在保有している企業に投資してからの経過年数の平均です。数値が小さいファンドは最近になって保有企業を急速に積み増している可能性があり、数値が大きいファンドは長期間にわたって同じ企業を保有し続けている可能性があります。「最古の保有企業」の投資年と合わせて読むと、そのファンドの保有スタイルがより具体的に見えてきます。

分析:なぜこの順位になるのか

ストック型の地銀系・金融機関系と、コントロール型のバイアウトファンド

保有企業数上位の内訳を見ると、エンデバー・ユナイテッドは保有44社のうちコントロール型(分類可能な案件ベース)は2社と、経営権を握らない出資を積み上げるストック型の構成です。対照的に、クレアシオン・キャピタル(保有26社全てがコントロール型)、ジャフコ グループ(保有23社全てがコントロール型)、インテグラル(保有20社中18社がコントロール型)は、そのほとんどが経営権を持つ投資です。同じ「保有企業数」でも、経営への関与度合いはファンドによって大きく異なります。

保有スタイルの違いは平均経過年数に表れる

保有企業の平均経過年数にも幅があります。長期保有・サーチファンド型に分類されるNYCは平均1.1年で、最古の保有企業でも2023年投資と新しく、直近1年だけで7社が新たに加わっており、事業承継先を積極的に積み増している局面にあることがうかがえます。対して、インテグラルの保有企業の平均経過年数は4.6年で、最古の保有企業(株式会社ヨウジヤマモト)は2009年投資、10年以上の保有が続いています。同じ「長期保有」を志向するファンドでも、今まさに積み増しの局面にあるのか、すでに長期保有に入っているのかは、この平均経過年数の違いから読み取れます。

新しく立ち上がったファンドの急成長

保有企業数の順位そのものは中位でも、平均経過年数が短く、直近1年の新規保有数が多いファンドには急成長中の新興プレイヤーが目立ちます。グロースパートナーズは保有15社の平均経過年数が1.0年で、最古の保有企業(ランサーズ株式会社)も2024年投資、直近1年で5社が新たに加わりました。株式会社SMBCキャピタル・パートナーズも保有16社の平均経過年数が1.7年、REVA株式会社も保有15社の平均経過年数が1.5年と、いずれもDB上は2023年以降に投資を本格化させ、急速に保有企業を積み増している段階にあることがうかがえます。こうしたファンドは、累計投資件数ではまだ上位に入らなくても、今後のランキングで存在感を増していく可能性があります。

開示方針の限界

保有企業数も投資件数と同様、DBは公開情報を基礎としているため、投資先を積極的に公表するファンドほど多く表れます。特に大型バイアウトファンドは投資先の一部しか公表しないことがあり、実際の保有企業数はランキング上の数字を上回っている可能性があります。現在PE傘下にある企業の業種別分布は業種集中度の市場分析、保有期間の市場全体の傾向は保有期間の市場データで確認できます。

類型別に見る保有企業数上位の顔ぶれ

保有企業数上位の類型を見ると、アドバンテッジパートナーズ、エンデバー・ユナイテッド、WMパートナーズ、日本成長投資アライアンス、J-STARなどの独立系ファンドが上位の大半を占め、アント・キャピタル・パートナーズ、りそなキャピタル、MSD企業投資といった金融機関系が続きます。クレアシオン・キャピタル、ジャフコ グループ、インテグラルは保有企業数こそ中位ながら、コントロール型の比率が高いのが特徴です(同じ独立系でもエンデバー・ユナイテッドのように少数出資中心の構成のファンドもあります)。REVA・セレンディップ・ホールディングスのような商社・事業会社系ファンドも一定数の保有企業を抱えています。件数の多寡だけでなく、どの類型のファンドかを併せて見ることで、保有企業への関与の深さが見えてきます。

実務での使い方

投資先管理・モニタリング業務に関心がある方にとって、保有企業数はファンドの運用チームがどれだけの規模の投資先支援・ガバナンス関与を担っているかを推し量る手がかりになります。投資先へのガバナンス関与の考え方は投資先へのガバナンス関与、投資後のモニタリング実務はPEのポートフォリオモニタリング実務で解説しています。

事業会社・売却検討中のオーナーにとっては、自社と近い業種・規模の企業を長期間保有してきたファンドを、平均経過年数と保有企業の業種から探すという使い方ができます。保有期間が長期化した投資先の売却準備はExitレディネス評価が参考になります。各ファンドの保有企業一覧はPEファンドDBの個社ページで確認できます。

保有企業が増えるほど、問われるのはモニタリングの質

投資件数だけでなく、保有している企業をどう管理し価値を伸ばすかが、PEファンドの実務の本丸です。投資後の経営管理・KPIモニタリング・ガバナンス構築まで、実務の型を体系的に学べる教材を用意しています。

→ 教材ラインアップを見る

データの定義と限界

本ランキングの母集団は、大手町プレップPEファンドDBで保有継続中(Exit未確定を含む)と確認できる日本国内の投資先企業です。売却が確認された企業や、保有状況が不明な企業は含みません。集計の詳細は以下のとおりです。

集計方法・データ定義(大手町プレップPEファンドDB独自集計)

対象データ
大手町プレップPEファンドDBに収録された、日本のPEファンドおよび日本に投資する海外PEファンドによる日本国内企業への投資案件(投資先の国が日本、または国の記載がなく運用会社の本拠が日本の案件)。集計日時点で2,374レコード・重複を除いた2,326案件(127ファンド)。
件数の数え方
市場全体の件数は複数ファンドによる共同投資(クラブディール)を1案件として数え、ファンド別の件数は各ファンドの投資実績として1件ずつ数えます。両者は合計が一致しません。
当年(2026年)の扱い
2026年の数値は8月中旬時点のYTD(年初来)です。通年の数値ではないため、過年度との単純比較はできません。公表済みでもクローズ(実行)前の案件は含めていません。
データソース
各PEファンドの公式サイト・プレスリリース等の公開情報(2026年8月19日時点)。

本ランキングは公開情報ベースの独自集計であり、日本国内の全PE投資を網羅した市場統計(推計値)ではありません。非公開案件や公式サイトに掲載されていない案件は含まれません。ファンドにより投資先の開示方針が異なるため、件数の差がそのまま実際の投資活動量の差を意味するものではない点にご注意ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 保有企業数が多いファンドは優れたファンドですか。
A. いいえ。保有企業数は投資スタイル(小口多数の出資か、大型少数のバイアウトか)と開示方針に強く依存する指標であり、運用成績やリターンの優劣を示すものではありません。

Q. 保有企業数ランキングと投資件数ランキング(単年・累計)はどう違いますか。
A. 投資件数ランキングは「これまでに何件投資したか」というフロー指標、本ランキングは「いま売却せずに持っている企業がどれだけあるか」というストック指標です。過去に投資して既にExitした企業は本ランキングに含まれません。

Q. 平均経過年数が短いファンドは投資回転が速いのですか。
A. 必ずしもそうとは限りません。平均経過年数が短いのは、最近になって新規保有が急増している場合と、実際に保有期間が短い場合の両方があり得ます。判別には直近1年の新規保有数や、Exit件数ランキングと合わせて確認する必要があります。

Q. このランキングは何を除外していますか。
A. 保有状況が非開示・不明な案件は集計から除外しています。したがって実際の保有企業数はランキング上の数値をやや上回る可能性があります。

Q. 「直近1年で新たに加わった企業数」が多いファンドは、今後もランキング上位を維持しますか。
A. 分かりません。新規保有が多い局面が一時的なものか、継続的な傾向かはこの1年分の数値だけでは判断できません。数四半期〜数年単位の推移を見るには、次回以降のDB更新時の再集計と比較する必要があります。

Q. 平均経過年数が「不明」と表示されるファンドがあるのはなぜですか。
A. 個々の投資先の投資年が公開情報から確認できない場合、平均経過年数や最古の保有企業を算出できません。この場合は該当項目を非表示とし、実績がないと誤解されないようにしています。

まとめ

現在保有企業数ランキングは、各ファンドの「いまの姿」を映すストック指標です。上位は地銀系・金融機関系ファンドが中心ですが、保有企業の大半が経営権を持たない出資であるのに対し、コントロール型のバイアウトファンドは保有数こそ少ないものの経営関与の度合いが深いという違いがあります。平均経過年数・最古の保有企業と合わせて読むことで、各ファンドの保有スタイルをより正確に把握できます。

投資件数の累計は累計投資実績ランキング、Exitの実績はExit件数ランキングで確認できます。

出典・データについて

※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・企業の評価や投資助言ではありません。

最終データ更新日: 2026年8月19日(DB更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)