想定読者:事業会社の不動産・財務担当や、不動産ファンド・アセットマネージャーの若手で、保有物件の利回りを税引前で説明しているが、税引後の手元資金までは計算したことがない方
前提知識:NOIと借入の元利返済の意味(本文でも簡単に触れます)

結論:税引後の​手元​資金は、​BTCFから​「課税所得で決まる税額」を​引いて​求める

以下は学習用の架空事例です。事業会社X社(架空)が保有する賃貸オフィスビル1棟で、取得価額6,000.0百万円、1年目のNOI​(純営業収益。​賃料収入から​運営費用を​引いた、​借入前の​収益)は300.0百万円です。借入は3,600.0百万円で、毎年の元本返済は144.0百万円、1年目の支払利息は90.0百万円とします。

利回りを説明するときによく使うBTCF(Before-Tax Cash Flow、税引前キャッシュフロー)は、NOIから元本返済と支払利息を引いた額です1。1年目は300.0−144.0−90.0=66.0百万円で、自己資金2,400.0百万円に対する比率(エクイティ​配当率、キャッシュオンキャッシュ・​リターンと同じ考え方)は2.75%です。ところが法人税は、このBTCFではなく別に計算した課税所得にかかります。1年目の課税所得は109.8百万円、税額は32.9百万円で、税引後の手元資金(ATCF)は33.1百万円、BTCFの約半分(税額÷BTCF=49.8%)です。

差が生じるのは、元本返済は現金が出ていくのに課税所得の計算では引けず、減価償却は現金が出ていかないのに課税所得の計算では引けるためです。税引前の取得モデルは不動産取得​モデルの​作り方に委ね、本稿はこの2点を表で確かめ、売却時の手取りと税引後IRRまで通します。

設例の​前提と、​計算の​流れ

設例の入力値は次のとおりです(単位:百万円。すべて仮定で、実在の物件・企業とは関係ありません)。

  • 取得価額6,000.0:土地2,400.0、建物本体3,000.0、建物附属設備600.0(全額を耐用年数15年の電気・給排水設備と仮定。実際は昇降機17年など設備ごとに異なる)。取得時の諸費用は取得価額に含めた単純化
  • 借入3,600.0(取得価額の60%)、金利2.5%、25年の元金均等返済(毎年の元本返済144.0)。自己資金2,400.0。返済形態の違いは商業用​不動産​ローンの​組成実務を参照
  • NOI:1〜5年目は300.0から毎年6.0ずつ増加(300.0、306.0、312.0、318.0、324.0)。6年目は330.0
  • 5年目末に売却。売却価額は6年目NOI÷出口キャップレート5.5%、売却費用は売却価額の1%(取得時と​出口の​キャップレートは別の仮定)
  • 税率:法人の所得に対する合成の税率を一律30%と仮定(根拠は後述)

計算は2本の経路に分かれます(図表1)。現金の流れは「NOI−元本返済−支払利息=BTCF」、税務の計算は「NOI−支払利息−減価償却=課税所得」です。両方に乗るのは支払利息だけで、元本返済は現金の経路にだけ、減価償却は税務の経路にだけ乗ります。税額は課税所得から決まり、現金で納めるので、ATCF=BTCF−税額となります2。

図表1:NOIから分かれる2本の計算(1年目の数値)① 現金の流れ(BTCF → ATCF)② 税務の計算(課税所得 → 税額)NOI300.0−元本返済144.0−支払利息90.0=BTCF66.0−税額32.9=ATCF33.1現金のみ両方に乗るNOI300.0−支払利息90.0−減価償却100.2=課税所得109.8×30%=税額32.9両方に乗る税務のみ現金で納付税額は課税所得から決まる元本返済は現金だけ、減価償却は税務だけに乗る。差し引く項目が違うので、BTCFと課税所得は別の数字になる。
単位:百万円。​対象期間:保有1年目。​枠線の​色は​赤=現金のみ、​金=税務のみ、​紺=両方、の​区別​(文字でも併記)。​出所:学習用の​仮定に​基づき大手町​プレップ​作成。​(スマートフォンでは​図を​横に​スクロールできます)

図表1は1年目の数値です。BTCFは66.0、課税所得は109.8で、同じNOI300.0から出発しても、引くものが違うため別の数字になります。

課税所得に​入る​もの・​入らない​もの

元本返済は​損金に​ならない

法人税の課税所得は、益金の額から損金の額を引いて求めます。損金に入るのは、原価、販売費・一般管理費その他の費用、損失の額などです3。借入金の元本の返済は、借りた現金を返す取引であり、費用でも損失でもないため、損金に入りません(編集部の整理)。一方、支払利息は費用なので損金に入ります。

減価償却は​損金に​なるが、​現金は​出ない

建物は使ううちに価値が減るため、取得価額を耐用年数にわたって費用に配分します。これが減価償却で、毎年の償却費は損金に入りますが、支出はすでに取得時に済んでいるため、その年の現金は動きません。損金に入れられるのは、法人が償却費として損金経理(確定した決算で費用として処理すること)をした額のうち、償却限度額までです4。

2026年10月時点の法令では、平成19年4月1日以後に取得した建物と、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備の償却方法は定額法(毎年同額を償却する方法)だけです。取得時期が古い資産は旧定額法・旧定率法など別の規定によります5。土地は使っても価値が減らない資産として償却しません。耐用年数は財務省令の別表で定められ、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の事務所用建物は50年、電気設備(蓄電池電源設備を除く)と給排水・衛生設備は15年です6。定額法の償却率は50年が0.020、15年が0.067です(別表第八)。区分の詳細は建物・​附属設備の​法定耐用年数に委ね、ここでは次の結果だけを使います。

年間の減価償却費(定額法)
建物本体:3,000.0×0.020=60.0
建物附属設備:600.0×0.067=40.2
合計:60.0+40.2=100.2(5年間で501.0)

設例では会計上の償却費も同額とし、会計と​税務の​差異による申告調整は考えません。

年次表で​BTCF・​課税所得・​税額・​ATCFを​通す

前提を表にします(図表2)。Aが現金の流れ、Bが税務の計算で、課税所得から税額を出し、AのBTCFから引いてATCFにします。税額は課税所得に30%を掛け、小数第2位を四捨五入した値(1年目は109.8×30%=32.94→32.9)を使います。

図表2:BTCFから課税所得・税額・ATCFまでの年次表(単位:百万円)
項目1年目2年目3年目4年目5年目
A 現金の流れ(税引前)
NOI300.0306.0312.0318.0324.0
−元本返済144.0144.0144.0144.0144.0
−支払利息90.086.482.879.275.6
=BTCF66.075.685.294.8104.4
B 税務の計算(課税所得と税額)
NOI300.0306.0312.0318.0324.0
−支払利息90.086.482.879.275.6
−償却(建物本体)60.060.060.060.060.0
−償却(附属設備)40.240.240.240.240.2
=課税所得109.8119.4129.0138.6148.2
税額(×30%)32.935.838.741.644.5
C 税引後
ATCF(BTCF−税額)33.139.846.553.259.9
D 読み取り用の参考行
課税所得−BTCF43.843.843.843.843.8
償却の節税額(×30%)30.130.130.130.130.1
対象期間:保有1〜​5年目。​課税所得−BTCF=元本返済−減価償却。​税額は​小数第2位を​四捨五入した​値を​以降の​計算に​使う。​節税額は​100.2×30%=30.06を​小数第1位に​丸めて​表示。​出所:学習用の​仮定に​基づき大手町​プレップ​作成。​(スマートフォンでは​表を​横に​スクロールできます)

5年間の合計は、BTCFが426.0、税額が193.5、ATCFが232.5です。税額はBTCFの45.4%(193.5÷426.0)を占めます。読み取りのポイントは2つです。

  • 課税所得がBTCFより大きい:差はどの年も43.8(元本返済144.0−減価償却100.2)です。現金より大きい所得に税がかかるため、5年目でも税額44.5がBTCF104.4の42.6%にあたります。
  • 減価償却の節税額:償却費100.2に税率30%を掛けた30.06(表では30.1)が、毎年の税額を減らしています。償却がなければ1年目の税額は(300.0−90.0)×30%=63.0で、32.9との差は30.1です。5年間では150.3です。

税率の​置き​方:30%は​単一の​仮定

実際の税負担は、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税の合成で、法人の規模や所在地で変わります。国税庁の「法人税の税率」は、2026年4月1日現在の法令等で、普通法人の税率を23.2%としています(資本金1億円以下の法人などは年800万円以下の部分が15%、ただし所得が年10億円を超える事業年度は17%)7。地方法人税は、課税標準となる法人税額に10.3%を掛けて計算します8。財務省の資料は、国と地方を合わせた法人実効税率を平成30年度の改正後で29.74%とし、2026年4月施行の防衛特別法人税の課税対象に該当する場合は30.64%となる、と注記しています9。

設例では、これらの範囲に近い30%を、課税所得に一律に掛ける単一の仮定として置きました。事業税が損金に入る効果を織り込んだ「実効税率」の考え方を使った単純化です。自社の税率は、規模・所在地・事業年度に応じて確認してください(税率の考え方は実効税率に委ねます)。

売却時の​税引後​手取り:簿価・​譲渡益・​税額

5年目末に売却するときも、同じ発想です。売却価額から売却費用と借入残高を引いたものが税引前の手取りで、そこから譲渡益に対する税額を引いたものが税引後の手取りです(図表3)。法人が資産を売却したときの収益は、通常の益金として事業の所得に合算され、譲渡した資産の簿価は損金側に入ります(編集部の整理)10。

図表3:5年末に売却したときの税引前・税引後の手取り(単位:百万円)
項目金額計算
A 税引前の手取り
売却価額6,000.0330.0÷5.5%
−売却費用60.0売却価額の1%
−借入残高2,880.03,600.0−144.0×5年
=税引前の手取り3,060.06,000.0−60.0−2,880.0
B 譲渡益と税額
取得価額6,000.0土地+建物本体+附属設備
−償却累計額501.0100.2×5年
=簿価5,499.06,000.0−501.0
譲渡益441.06,000.0−60.0−5,499.0
譲渡益の税額132.3441.0×30%
C 税引後の手取り
=税引後の手取り2,927.73,060.0−132.3
時点:5年目末に​売却​(6年目の初め)。​売却価額=6年目​NOI÷出口​キャップレート。​土地は​償却しない。​売却価額の​うち土地は​2,400.0(取得価額と同額)、​建物等は​3,600.0と​考え、​土地の​譲渡益は​生じない​設定。​出所:学習用の​仮定に​基づき大手町​プレップ​作成。

譲渡益は441.0(売却価額6,000.0−売却費用60.0−簿価5,499.0)、税額は132.3で、税引後の手取りは2,927.7(税引前3,060.0−132.3)です。

譲渡益441.0は、償却累計額501.0から売却費用60.0を引いた額に一致します。つまり、売却価額が取得価額と同じ6,000.0でも、償却で簿価を下げた分だけ譲渡益が生じ、保有中に受けた節税額150.3(=501.0×30%)が、売却時の税額の中で取り戻されます。減価償却は税を減らすのではなく、課税の時期を先に送る効果だと分かります。

税引前と​税引後の​IRR・​マルチプルを​比べる

自己資金の流れを並べて、IRR(内部収益率。投資した資金に対する年率換算の収益率)とエクイティマルチプル(回収総額÷自己資金。MOICと同じ考え方)を求めます。5年目は、年間のキャッシュフローに売却の手取りを加えます。

自己資金のキャッシュフロー(0年目〜5年目、百万円)
税引前:−2,400.0/66.0/75.6/85.2/94.8/104.4+3,060.0=3,164.4
税引後:−2,400.0/33.1/39.8/46.5/53.2/59.9+2,927.7=2,987.6
回収総額:税引前3,486.0、税引後3,160.2。マルチプル:3,486.0÷2,400.0=1.45倍、3,160.2÷2,400.0=1.32倍

各年末にキャッシュフローが生じるとして求めたIRRは、税引前が8.16%、税引後が5.82%で、差は2.34ポイントです。税引後のマルチプルは1.32倍で、税引前の1.45倍より0.13倍低くなります。税引前の8.16%だけを見ると、この仮定では手元のリターンを高く見積もることになります。

税率と建物本体の耐用年数を動かしたのが図表4です。耐用年数は新築の法定年数50年のほか、中古資産では使用可能期間の見積りや簡便法で短い年数を使う場合があるため11、35年・25年も置きました(償却率は別表第八の0.029・0.040)。

図表4:税引後IRR・マルチプルの感応度(税引前は8.16%・1.45倍)
耐用年数\税率25%30%35%
50年(基本)6.21%1.34倍5.82%1.32倍5.42%1.29倍
35年6.25%1.34倍5.85%1.32倍5.46%1.29倍
25年6.28%1.34倍5.90%1.32倍5.51%1.29倍
単位:各​セルの​上段は​税引後IRR​(年率、%)、​下段は​税引後​エクイティマルチプル​(倍)。​行は​建物本体の​耐用年数、​列は​税率。​太字は​基本ケース​(50年・30%)。​建物附属設備は​15年の​まま。​出所:学習用の​仮定に​基づき大手町​プレップ​作成。

読み取りは次のとおりです。第一に、税率が5ポイント動くと税引後IRRは約0.4ポイント動きます(耐用年数50年で、25%が6.21%、35%が5.42%)。第二に、耐用年数を50年から25年に縮めても、税率30%の税引後IRRは5.82%から5.90%へ0.08ポイントしか上がりません。償却を早めても売却時に譲渡益が増えて税が戻るため、効果は先送りの時間価値に限られるからです。結果はこの仮定の下での計算で、按分比率や出口キャップレートが違えば変わります。

注意点:赤字の​年・土地の​譲渡・器の​違い

課税所得が​マイナスに​なる年と、​キャッシュとの​ずれ

設例は、どの年も課税所得が黒字になるように組みました。1年目のNOIが支払利息と償却費の合計190.2(=90.0+100.2)を下回ると課税所得はマイナスになります。2026年10月時点の法人税法では、前10年以内に開始した事業年度の欠損金額を、その後の所得から差し引けます。上限は原則として所得の50%で、資本金1億円以下の中小法人等は所得の全額までです。欠損金が生じた年に青色申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を出していることなどが条件です12。本稿は繰越を計算に入れていません。

逆に、現金が足りないのに税が出る場合もあります。1年目のNOIが元利返済額の234.0(=144.0+90.0)だと、BTCFは0なのに課税所得は43.8(=234.0−90.0−100.2)で、税額は13.1です。税の13.1は別の資金で払うことになります。課税所得は黒字でも資金が足りない、いわゆる黒字倒産に近い状況は、元本返済が減価償却を上回る間に起こりやすい構造です。

土地の​譲渡に​かかる​追加課税

設例は、土地を取得価額と同額(2,400.0)で売る設定にして、土地の譲渡益が生じないようにしています。法人の土地の譲渡には、通常の法人税に加えて譲渡利益の5%(短期所有の土地は10%)を上乗せする制度(租税特別措置法第62条の3、第63条)がありますが、2026年10月時点の条文は、平成10年1月1日から令和11年3月31日までの譲渡には適用しないと定めています13。期限付きの停止措置なので、土地の値上がりがある物件は売却時点の条文を確認してください。

導管性の​ある​器は​別の​計算

本稿は、X社が物件を直接保有し、所得が法人税等の対象になる場合です。J-REITのように一定の要件を満たす器では、分配金が損金に入り、法人レベルの課税の位置が変わります(導管性要件)。TMKなどの器や外国人投資家の課税は、不動産​クロスボーダー​投資の​実務に委ねます。

消費税や固定資産税の精算金の扱いは省略しました。個人の保有は所得税・住民税の別の区分になるため扱いません。

実務​チェックリスト

  • NOIから引く項目を、現金の経路(元本返済・支払利息)と税務の経路(支払利息・減価償却)に分けて表にしたか
  • 取得価額を土地・建物本体・附属設備に按分し、土地を償却せず、按分比率の根拠を記録したか
  • 耐用年数と償却率を省令の別表と国税庁の資料で確認し、時点(確認年月)を残したか
  • 税率の構成(法人税・地方法人税・住民税・事業税)と、単一の仮定にした根拠を書いたか
  • 課税所得がマイナスになる年と、課税所得が黒字でBTCFが小さい年を確認し、繰越欠損金の扱いを別途確認したか
  • 売却時の簿価(取得価額−償却累計額)から譲渡益と税額を求め、税引後の手取りを出したか
  • 税引前と税引後のIRR・マルチプルを並べ、差を税率・按分・出口キャップレートの仮定とあわせて説明したか
  • 法人の直接保有か、導管性のある器か、個人か、保有主体を明記したか

よく​ある​質問​(FAQ)

減価償却費を​会計上で​計上しなかった​場合も、​税務上の​損金に​入りますか。

入りません。​損金に​なるのは​損金経理した​額の​うち償却限度額までなので、​会計上の​償却が​少なければ​損金も​その​範囲にと​どまります。​会計と​税務の​差は​申告書で​調整します。

​固定資産税や​維持費は、​この​表の​どこに​入りますか。

固定資産税の​年税額や​修繕費など​毎年の​運営費用は、​NOIの​定義に​含めるのが​一般的で、​設例でも​300.0の​NOIに​織り込まれた​前提です​(NOIの内訳はNOIとはを参照)。​大規模な​改修​(資本的支出)は​取得価額に​加えて​償却する​扱いが​あり、​この​表には​含めていません。

まとめ

税引後キャッシュフローは、NOIから現金の経路でBTCFを求め、別に税務の経路で課税所得と税額を求めて、BTCFから税額を引くことで出ます。設例では1年目の課税所得109.8がBTCF66.0を上回り、税額32.9がBTCFの約半分になりました。売却時は、償却で下がった簿価との差が譲渡益になり、保有中の節税が戻ります。この仮定の下で、税引前のIRR8.16%は税引後5.82%になりました。

脚注

  1. Wall Street Prep「Before-Tax Cash Flow (BTCF)」。BTCFを、NOIから年間の債務返済(元利)を引いた税引前のキャッシュフローとして説明している。米国の不動産投資を前提にしたページで、一般的な概念の参考にとどめ、設例の数値は使っていない(参考文献 R1)。↩
  2. Wall Street Prep「After Tax Cash Flow (ATCF)」。ATCFを、課税所得(NOIから支払利息と減価償却などを引いた額)を求め、税額を計算し、税引後に残るキャッシュを出す手順として説明している(一般的な概念の参考)。同ページ末尾の算式は税額の基準を「NOI−債務返済(元利)」としており、減価償却を引かず元本返済を引く形で、日本の法人税の課税所得とは合わないため、本稿では使っていない。米国(IRS・限界税率)を前提にしたページ(参考文献 R2)。↩
  3. 法人税法第22条第3項。各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入すべき金額を、売上原価その他の原価の額、販売費・一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で債務の確定しないものを除く)の額、資本等取引以外の取引に係る損失の額と定める。借入金の元本の返済がこれらに当たらないという点は、条文の列挙からの編集部の整理(参考文献 R3)。↩
  4. 法人税法第31条第1項。減価償却資産の償却費として損金の額に算入する金額は、法人が損金経理をした額のうち、政令で定める償却の方法に基づいて計算した償却限度額に達するまでの金額とする。建物とその附属設備(暖冷房設備、照明設備、昇降機など)が減価償却資産に当たることは、法人税法施行令第13条第1号(参考文献 R3、R4)。↩
  5. 法人税法施行令第48条の2第1項第1号(平成19年4月1日以後に取得した資産)。建物と建物附属設備・構築物は定額法とし、平成28年3月31日以前に取得した建物以外のもの(附属設備・構築物)に限り定率法も選べる。平成19年3月31日以前の取得分は同令第48条第1項第1号・第2号(平成10年3月31日以前に取得した建物は旧定額法または旧定率法、それ以後の建物は旧定額法)。2026年10月22日にe-Gov法令検索で現行条文を確認(参考文献 R4)。↩
  6. 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一。建物の「鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造」の「事務所用又は美術館用のもの及び左記以外のもの」は50年。建物附属設備の「電気設備(照明設備を含む。)」の「その他のもの」(蓄電池電源設備は6年)と「給排水又は衛生設備及びガス設備」は15年。別表第八(平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産の定額法の償却率表)は、耐用年数50年が0.020、35年が0.029、25年が0.040、15年が0.067。国税庁の確定申告書等作成コーナー「耐用年数表(建物)」にも建物50年・電気設備15年・給排水設備15年の記載がある(参考文献 R5、R6)。↩
  7. 国税庁 タックスアンサー No.5759「法人税の税率」(令和8年4月1日現在法令等)。普通法人の税率は23.2%。資本金1億円以下の法人など(一定の法人を除く)は年800万円以下の部分が15%で、令和7年4月1日以後に開始する事業年度のうち所得金額が年10億円を超える事業年度は17%(参考文献 R7)。↩
  8. 地方法人税法第10条第1項。基準法人税額に対する地方法人税の額は、課税標準法人税額に100分の10.3の税率を乗じて計算する(参考文献 R8)。↩
  9. 財務省「法人課税に関する基本的な資料」。国・地方の法人実効税率の表に平成30年度の29.74%(法人税率23.2%、大法人向け事業税所得割3.6%)が載る。注記3は、防衛特別法人税(2026年4月施行)の課税対象に該当する場合の日本の法人実効税率を30.64%と記す。住民税・事業税の細かな構成は同ページから読み取れず、本稿は30%を仮定にとどめた(参考文献 R9)。↩
  10. 法人税法第22条第2項は、資産の有償または無償による譲渡などに係る収益の額を益金の額に算入すべき金額とし、同条第3項第1号は売上原価その他これに準ずる原価の額を損金の額に算入すべき金額とする。譲渡した固定資産の簿価が損金側に入るという整理は、これらの条文を踏まえた編集部の整理(参考文献 R3)。↩
  11. 国税庁 タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」。中古資産は、その使用可能期間の見積りで耐用年数を決められ、見積りが難しい場合は簡便法で算出できると説明している(参考文献 R10)。↩
  12. 法人税法第57条第1項は、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度の欠損金額を損金の額に算入し、損金算入限度額を所得の金額の100分の50とする。同条第11項は、資本金1億円以下の普通法人(大法人の完全子会社などを除く)などの中小法人等について限度額を「所得の金額」とする。国税庁 タックスアンサー No.5762(令和8年4月1日現在法令等)は、欠損金が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出していること、帳簿書類を保存していることを要件として説明し、平成30年4月1日前に開始した事業年度の欠損金は9年としている(参考文献 R3、R12)。↩
  13. 租税特別措置法第62条の3第1項は、法人が土地の譲渡等をした場合、譲渡利益金額に100分の5を乗じた額を法人税額に加算すると定め、同条第15項は、平成10年1月1日から令和11年3月31日までの間にした土地の譲渡等には第1項を適用しないと定める。第63条(短期所有に係る土地の譲渡等)は100分の10で、同条第8項が同じ期間の適用停止を定める。2026年10月22日にe-Gov法令検索で確認した現行条文(2026年10月16日施行の改正まで反映)(参考文献 R11)。↩

参考文献​(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。