この​記事で​分かる​こと

  • PMT・IPMT・PPMT・NPER・RATEの5関数を組み合わせて、元利均等返済(アニュイティ型)の返済予定表を1行のロジックで作る方法
  • 符号ルール(pvをプラスで入力するとpmt・ipmt・ppmtがマイナスで返る仕組み)と、#NUM!エラー・循環参照の直し方
  • 据置期間・ボーナス返済・期中一部繰上返済という、実務でよく出る3つの応用パターンへの対応方法
  • LBOのデットスケジュール(期首残高ベース・トランシェ+キャッシュスイープ)と、PMT型の元利均等返済がなぜ設計思想が異なるのか

結論:元利均等返済は​PMT一発で​計算でき、​内訳と​残高は​IPMT・​PPMTで​分解する

元利均等返済とは、借入期間を通じて毎回の返済額が一定になる返済方式です。元利均等返済と​元金均等返済​(アモチゼーション)の​違いにあるとおり、満期に元本をまとめて返す一括返済(バレット)や、毎回の元本部分が一定になる元金均等返済とは異なる、独立した返済ロジックです。Excelでこの返済額を求める関数がPMTで、借入元本・金利・返済回数の3つが決まれば、返済予定表を作らなくても毎回の返済額を一発で計算できます。

ただし実務でPMTの値だけを求めて終わることはほとんどありません。融資審査や与信管理では、各回の返済額のうち利息がいくらで元本がいくら減るのかという内訳と、各時点の残高を追う返済予定表が必要になります。この内訳を求めるのがIPMT(利息部分)とPPMT(元本部分)で、返済回数を延ばしたり金利を逆算したりする場面ではNPERとRATEを使います。以下では、借入8,400万円・年利2.4%・84回(月次)の設例を使い、この5関数を実際にどう組み合わせて返済予定表を作るかを、式への数値代入と検算つきで説明します。数値例はいずれも説明用の仮設例です。

5関数の​役割分担:構文・​引数・​符号​ルール

元利均等返済の計算に使う5つの関数は、いずれも「一定の金利で、一定額を、一定回数支払う」という同じ前提を共有しており、引数の並びもよく似ています。まず全体像を一覧で確認します。

関数構文主な引数の意味返す値
PMT=PMT(rate, nper, pv, [fv], [type])rate=1期あたりの金利、nper=総返済回数、pv=借入元本毎回の返済額(利息+元本の合計)
IPMT=IPMT(rate, per, nper, pv, [fv], [type])per=利息を知りたい回(1〜nper)指定した回の返済額のうち利息部分
PPMT=PPMT(rate, per, nper, pv, [fv], [type])同上指定した回の返済額のうち元本部分
NPER=NPER(rate, pmt, pv, [fv], [type])pmt=毎回の返済額完済に必要な返済回数
RATE=RATE(nper, pmt, pv, [fv], [type], [guess])guess=金利の初期推定値(省略時10%)反復計算で求めた1期あたりの金利

[fv](将来価値)は省略すると0として扱われ、返済が完了した時点で残高がゼロになることを意味します。通常の融資や住宅ローンであればfvは省略でよく、満期時に残債をあえて残すバルーン返済を組み込む場合だけ、fvに残す金額を指定します。[type]は支払いのタイミングで、期末払い(0、省略時のデフォルト)と期首払い(1)を切り替えます。日本の融資・ローンの多くは期末払いのため、本記事の設例もtype=0(省略)で統一します。

符号ルール
借入元本pvをプラスの値で入力すると、pmt・ipmt・ppmtは借り手にとっての支払い(キャッシュアウト)を表すマイナスの値で返ります。rate・pmt・pv・fvの符号と、nper・perの期間単位(年か月か)は、すべての引数で必ず揃える必要があります。

以下は説明用の仮設例です。借入元本8,400万円・年利2.4%・返済回数84回(7年、月次)の融資で、毎回の返済額を求めます。金利は年利のままではなく1か月あたりの利率に換算してrateに入力し、nperも「年」ではなく「回(月)」の単位で入力します。

設例への代入
=PMT(2.4%/12, 84, 84000000) = −1,087,348円

pvに8,400万円をプラスで入力しているため、返ってくる値は借り手が毎回支払う金額を表すマイナスの1,087,348円になります。表やグラフで扱いやすいようにプラスの支払額として使いたい場合は、pvをマイナスで入力する(=PMT(2.4%/12,84,-84000000)とすれば+1,087,348円が返る)か、得られた値の符号を反転させるかのどちらかで統一します。本記事では以降、支払額・利息・元本をいずれもプラスの金額として表記します。関数そのものの構文早見表はExcel​関数の​早見辞典にまとめていますが、本記事では返済予定表という1つの実務作業に絞って、5関数を組み合わせる手順を扱います。投資評価の場面でExcel関数を検算しながら使いこなすという考え方は、NPV・​IRR・​XIRR​関数の​実践とも共通しています。

返済予定表の​作り​方:期首残高・​利息・​元本・​期末残高を​1行で​回す設計

返済予定表は、各回について「期首残高→利息→元本→期末残高」の4つの値を1行に並べ、その行を返済回数だけ繰り返す表です。1行のロジックさえ正しく組めれば、行をコピーして下に伸ばすだけで84行でも240行でも同じ考え方で作れます。

1行の構成
期首残高=前回の期末残高(初回のみ借入元本)
利息=期首残高×月利
元本=返済額−利息
期末残高=期首残高−元本

この設計のポイントは、利息と元本を求めるのに必ずしもIPMT・PPMTを使う必要がない、という点です。返済額(PMT)と期首残高さえ表の中にあれば、利息は「期首残高×月利」、元本は「返済額−利息」という四則演算だけで求められます。IPMT・PPMTは「特定の1回だけの内訳を知りたい」場面(たとえば12回目の利息だけを単独で知りたいとき)には便利ですが、表全体を作るときは期首残高を行から行へ引き継ぐ設計のほうが崩れにくく、後述する循環参照も避けやすくなります。次の表は、この設例の返済予定表のうち、1〜6回目と79〜84回目を抜き出したものです。

回期首残高返済額利息元本期末残高
184,000,0001,087,348168,000919,34883,080,652
283,080,6521,087,348166,161921,18782,159,465
382,159,4651,087,348164,319923,02981,236,436
481,236,4361,087,348162,473924,87580,311,561
580,311,5611,087,348160,623926,72579,384,836
679,384,8361,087,348158,770928,57878,456,258
………………
796,478,6821,087,34812,9571,074,3915,404,291
805,404,2911,087,34810,8091,076,5394,327,752
814,327,7521,087,3488,6561,078,6923,249,060
823,249,0601,087,3486,4981,080,8502,168,210
832,168,2101,087,3484,3361,083,0121,085,198
841,085,1981,087,3682,1701,085,1980

84回目だけ返済額が1,087,368円とわずかに大きくなっているのは、円未満の端数を毎回四捨五入して積み上げると、最終回に20円分の残高が残ってしまうためです。実務ではこの端数を最終回にまとめて調整し、期末残高をちょうどゼロに揃えます。この調整をせず、すべての回を1,087,348円で固定してしまうと、最終回の期末残高が0円ではなく20円だけ残る計算になり、「表計算上は完済したはずなのに残高が消えない」という小さな事故につながります。

この表が正しいかどうかは、次の2点で検算できます。1点目は、各回について利息+元本=返済額が成立しているかどうかです。たとえば1回目は168,000円+919,348円=1,087,348円、84回目は2,170円+1,085,198円=1,087,368円で、いずれも一致します。2点目は、84回分の元本を合計すると借入元本8,400万円にちょうど一致し、期末残高が0円に収束しているかどうかです。以下は、この設例全体の合計値です。

項目金額
総返済額(84回の合計)91,337,252円
総利息(84回の合計)7,337,252円
元本返済合計84,000,000円
最終(84回目)期末残高0円

元本返済合計が借入元本8,400万円と一致し、最終期末残高が0円に収束しているため、この返済予定表は検算上問題ないと確認できます。返済が進むにつれて利息の絶対額は減り、その分だけ元本の返済ペースが速くなっていく点も、この表の重要な読み方です。次の図は、1回目・12回目・24回目・36回目・48回目・60回目・72回目・84回目について、返済額に占める利息と元本の比率がどう変化するかを示したものです。

利息と元本の内訳推移(設例) 利息 元本 15.5% 1回 13.6% 12回 11.5% 24回 9.3% 36回 7.1% 48回 4.9% 60回 2.6% 72回 0.2% 84回
図:設例。​借入8,400万円・​年利2.4%・84回の​元利均等返済で、​返済額​(月108.7万円前後でほぼ一定)に​占める​利息​(金色)と​元本​(青色)の​割合が、​返済の​進行とともに​変化する​様子。

毎回の返済額そのものはほぼ一定でも、その中身は返済が進むほど「利息中心」から「元本中心」へと入れ替わっていきます。これは、利息が常にその回の期首残高(まだ返していない借入残高)に金利を掛けて計算されるためで、残高が減るほど利息の絶対額も減り、返済額に占める元本の比率が上がっていく構造です。この構造は、後述するLBOのデットスケジュールで期首残高に金利を掛けて利息を計算する考え方とも共通しています。

累計の​利息・​元本と、​元金均等の​利息を​関数で​出す

返済予定表を作らずに、ある期間の利息や元本の合計だけを知りたい場面があります。たとえば初年度の支払利息を損益計画に入れたいときは、CUMIPMT(累計利息)とCUMPRINC(累計元本)が使えます。構文はCUMIPMT(rate, nper, pv, start_period, end_period, type)で、CUMPRINCも同じ並びです。PMT系と違って6つの引数がすべて必須で、typeも省略できません。期は1から数え、rate・nper・pvのいずれかが0以下、またはstart_periodがend_periodより大きいと#NUM!になります。pvには借入額をプラスで入れ、結果は支払いを表すマイナスの値で返ります。以下は前掲の設例(借入8,400万円・年利2.4%・84回)の1〜6回目です。

設例への代入(CUMIPMT・CUMPRINC)
=CUMIPMT(2.4%/12, 84, 84000000, 1, 6, 0) ≈ −980,346円
=CUMPRINC(2.4%/12, 84, 84000000, 1, 6, 0) ≈ −5,543,743円

利息は、前掲の表の1〜6回目の利息を足した980,346円と一致します。元本は表の合計が5,543,742円で、1円だけ違います。表は行ごとに円未満を丸めて積み上げているためです。利息と元本を足した6,524,089円も、返済額を円単位にした1,087,348円×6=6,524,088円と1円ずれますが、これも返済額の円未満の端数(1回あたり約0.22円)によるもので、計算の誤りではありません。

ISPMT(rate, per, nper, pv)は、毎回の元本が一定の元金均等返済で、指定した回の利息を返す関数です。元利均等の返済予定表には使えません。Microsoftの説明にあるとおり、ほかの関数と違ってperは0から数えます。

同じ借入を元金均等で返すと、毎回の元本は8,400万円÷84回=1,000,000円です。1回目の利息は=ISPMT(2.4%/12, 0, 84, 84000000)で−168,000円(元利均等の1回目と同額)、84回目はper=83で−2,000円です。84回分の利息の合計は7,140,000円で、上の表の元利均等の7,337,252円より197,252円少なくなります。同じ条件なら、元利均等は返済初期の元本の減りが遅い分、総利息が多くなります。

据置期間・​ボーナス​返済・​期中​一部​繰上返済への​対応

基本の返済予定表が作れると、実務でよく出る3つの応用パターンにも同じ考え方で対応できます。据置期間(利息のみを支払う期間)、ボーナス返済(半年ごとの増額返済)、期中一部繰上返済(借入の途中でまとまった額を追加で返す)の3つです。いずれもPMT・NPERの前提である「一定額を一定回数支払う」という条件が途中で変わるため、単純に1つのPMTだけでは表現できず、期間を区切ったり、返済ストリームを分けたりする工夫が必要になります。

据置期間:元本を​減らさず​利息だけを​支払う​期間

不動産開発資金や設備投資資金では、工事期間中など元本の返済を始められない期間を設け、その間は利息だけを支払う据置期間​付きの​融資を組むことがあります。据置期間中は元本が減らないため、その間の利息は借入元本にそのまま金利を掛けた金額になります。以下は説明用の仮設例です。先ほどと同じ借入8,400万円・年利2.4%の融資で、最初の12か月を据置期間(利息のみ)とし、残り72か月を元利均等返済に充てるとします。

据置期間中の毎月利息
=84,000,000×2.4%/12 = 168,000円(12か月間、元本は8,400万円のまま)

据置期間中の毎月利息168,000円は、据置なしの場合の1回目の利息(先の表の168,000円)とまったく同じ金額です。据置期間とは、いわば「1回目の利息だけを12回繰り返し、元本を1円も減らさない期間」だと理解すると分かりやすくなります。据置期間が終わった後は、借入元本8,400万円が丸ごと残っているため、残り72回でこれを元利均等返済することになります。

据置後の返済額
=PMT(2.4%/12, 72, 84000000) = 1,253,846円

据置なしの設例では84回で完済し、総利息は7,337,252円でした。据置期間を12か月挟んだこの設例では、据置中の利息2,016,000円(168,000円×12か月)と、据置後72か月分の利息6,276,932円を合わせて、総利息は8,292,932円になります。据置なしより955,680円多い計算です。据置期間は資金繰りの負担を先送りできる一方、元本が減らない期間の分だけ総利息が増えるという副作用があることが、この検算からも確認できます。返済計画を組み直す際の考え方はリスケジュール​(期間延長・元本据置)とも重なる部分があります。

ボーナス​返済:半年ごとの​増額返済を​組み込む

日本の住宅ローンでは、毎月の返済に加えて年2回(半年ごと)のボーナス月にまとめて増額返済する「ボーナス返済(ボーナス併用払い)」が使われることがあります。フラット35の説明では、元利均等返済・元金均等返済のいずれについても、6か月ごとのボーナス払いを融資金額の40%以内で併用できるとされています。ボーナス返済がある場合、借入元本を1つのPMTで計算するのではなく、「毎月返済する部分」と「ボーナス月に追加で返済する部分」の2つの返済ストリームに元本を分けて、それぞれ別のPMTで計算するのが基本的な考え方です。

以下は説明用の仮設例です。先ほどと同じ借入8,400万円・年利2.4%・7年(84回)の融資のうち、1,200万円をボーナス返済分、残り7,200万円を通常の毎月返済分に振り分けるとします。通常返済分は、これまでと同じ月利0.2%・84回でPMTを計算します。

毎月返済分(7,200万円)
=PMT(2.4%/12, 84, 72000000) = 932,013円

ボーナス返済分は、6か月ごとに1回返済するため、rateとnperの単位を「半年」に揃え直す必要があります。月利0.2%を6か月分複利で計算すると、半年あたりの利率は(1+0.2%)^6−1で約1.2060%になり、7年間の返済回数は84回÷6か月で14回です。

ボーナス返済分(1,200万円、半年ごと14回)
=PMT(1.2060%, 14, 12000000) = 936,685円

2つのストリームを合計すると、毎月返済分932,013円×84回=78,289,092円と、ボーナス返済分936,685円×14回=13,113,590円の合計で91,402,682円となり、総利息は約7,402,682円です。ボーナス返済なし(通常返済のみ)の設例の総利息7,337,252円と比べると、同じ元本・同じ年利のはずなのに約65,430円だけ多くなります。これは、ボーナス返済分が半年複利ベースで計算されるため、毎月複利で計算する通常返済分とわずかに条件が異なることが原因です。ボーナス返済を組み込むときは、単純に元本を按分するだけでなく、この総支払額への影響も確認しておく必要があります。

期中​一部​繰上返済:期間短縮型と​返済額軽減型

借入期間の途中でまとまった資金ができた場合、元本の一部を前倒しで返済する「一部繰上返済」を行うことがあります。繰上返済には、毎回の返済額を変えずに残りの返済期間を短くする「期間短縮型」と、残りの返済期間を変えずに毎回の返済額を減らす「返済額軽減型」の2通りがあり、どちらもExcelでの組み方が異なります。

以下は説明用の仮設例です。先ほどの基本設例(借入8,400万円・年利2.4%・84回)で、24回目の返済が終わった時点の残高は61,420,647円でした。ここでまとまった500万円を一部繰上返済し、残高を56,420,647円に減らすとします。

期間短縮型:同じ返済額のまま、残り回数をNPERで求め直す
=NPER(2.4%/12, -1087348, 56420647) ≈ 54.84回(25回目から数えて)

毎回の返済額1,087,348円を変えずに返済を続けると、残高56,420,647円は約54.84回で完済できる計算になります。実際には端数が出るため、25回目から数えて55回目(通し番号では79回目)に、通常より小さい910,865円の最終返済で完済します。繰上返済をしなかった場合は84回目まで、通しで60回分の返済が必要でしたが、繰上返済によって79回目、5回(5か月)早く完済できる計算です。

この繰上返済によって、25回目以降に支払うはずだった利息は、繰上返済をしなかった場合の3,820,253円から、繰上返済後は3,207,010円に減り、差額の613,243円分の利息を削減できます。500万円を早く返した分だけ、その後にかかるはずだった利息が発生しなくなるためです。

繰上返済による完済時期の前倒し(設例) 通常返済(繰上なし) 繰上返済後(期間短縮型) 0円 ▲500万円 繰上返済 6,142万円 2,546万円 完済(84回目) 5,642万円 2,008万円 完済(79回目) 36回 48回 60回 72回 24回
図:設例。​24回目の​返済後に​500万円を​一部​繰上返済​(期間短縮型)​した​場合の​残高推移。​通常どおり84回目まで​返済した​場合より​5回早い​79回目に​完済する。

一方、返済額軽減型では、残りの返済回数(この場合は60回のまま)を変えずに、減った残高56,420,647円をその60回で返し切れるよう、返済額を計算し直します。

返済額軽減型:同じ残り回数のまま、返済額をPMTで求め直す
=PMT(2.4%/12, 60, 56420647) = 998,832円

この場合、完済時期は繰上返済前と変わらず84回目のままですが、25回目以降の毎回の返済額が1,087,348円から998,832円へ、月あたり約8.9万円軽減されます。期間短縮型は総利息の削減額が大きく、返済額軽減型は毎月のキャッシュフロー負担を軽くしたいときに向いているため、繰上返済を行う目的に応じてどちらの型で計算するかを選ぶ必要があります。

NPER・​RATEで​逆算する:返済期間や​金利を​求める​場面

PMT・IPMT・PPMTが「返済額や内訳を求める」関数であるのに対し、NPERとRATEは「返済額と金利、または返済額と期間が先に決まっていて、残りの1つを逆算する」場面で使います。

以下は説明用の仮設例です。借入元本8,400万円・年利2.4%の融資で、資金繰り上、毎月の返済額を120万円までに抑えたいとします。この場合、何回で完済できるかをNPERで求めます。

設例への代入(NPER)
=NPER(2.4%/12, -1200000, 84000000) ≈ 75.49回

NPERの結果は必ずしも整数になりません。75.49回という結果は、「75回は120万円ずつ払い、76回目に端数分だけ小さい金額を払えば完済できる」ことを意味します。実際に計算すると、75回分は120万円ずつ、76回目は584,501円で完済する計算になり、先ほどの基本設例(84回・毎回1,087,348円)よりも短い期間で返し終えることが分かります。毎回の返済額の上限を先に決めて、そこから返済期間を逆算するという使い方は、事業計画やキャッシュフローの制約から返済スケジュールを設計するときによく使います。

RATEは、返済額・期間・借入額の3つがすでに契約や見積書で決まっている状態から、そこに織り込まれている実質的な金利を逆算するときに使います。以下は説明用の仮設例です。先ほどの基本設例の条件(借入8,400万円・84回・毎回1,087,348円)だけが分かっていて、金利が明記されていない場合を考えます。

設例への代入(RATE)
=RATE(84, -1087348, 84000000) ≈ 0.2%(月)→ 年率換算で2.4%

この結果は、最初にPMTで2.4%/12を使って求めた返済額から出発しているため、月利0.2%(年率2.4%)に戻ることが検算上も確認できます。RATEは反復計算によって答えを近似するため、[guess](初期推定値、省略時10%)から出発して収束するまで最大20回の反復計算を行い、収束しない場合は#NUM!エラーを返します。契約条件から想定と大きくかけ離れた金利が出た場合や、#NUM!エラーが出た場合は、guessの値を変えて計算し直すか、金利以外の前提(返済回数の数え方や、月次か年次かといった期間の単位)が正しいかを先に確認する必要があります。

LBOの​デットスケジュールとの​違い:なぜLBOでは​PMTを​使わないのか

元利均等返済の返済予定表と、LBO(レバレッジド・バイアウト)で作るデットスケジュールは、どちらも「期首残高×金利」で利息を計算するという点では同じですが、元本の返済額を決める考え方が根本的に異なります。元利均等返済では、PMT・NPERの前提どおり毎回の返済額があらかじめ一定に決まっています。これに対しLBOの​デットスケジュールでは、各期にいくら元本を返済するかは、その期に実際に生み出されたフリー​キャッシュ​フローの水準によって変わります。

LBOの借入は、契約上決められた最低限の約定弁済(マンダトリー・アモチゼーション)に加えて、余剰資金が生じた期にその余剰資金を追加で元本返済に充てるキャッシュスイープという仕組みを組み込むのが一般的です。キャッシュスイープの金額は年度ごとの業績によって変動するため、「毎回一定額を返済する」というPMT・NPERの前提そのものが成立しません。そのためLBOのモデルでは、PMT関数で毎回の返済額を固定するのではなく、各期の期首残高に金利を掛けて利息を計算し、その期のキャッシュフローから使える金額をそのまま元本返済に充てるという、フローチャート的な計算を積み上げていきます。

同様に、プロジェクト​ファイナンスの領域でも、返済額をあらかじめ固定するPMT型とは異なる設計が使われます。案件が生み出すキャッシュフロー(CFADS)から返済余力を測り、そこから逆算して返済スケジュールを組むDebt Sculptingという手法がその代表例です。融資審査の現場では、こうした返済能力の分析そのものが信用分析・​融資審査の中心的なテーマになっており、DSCR​(元利金返済カバー率)のような指標で、実際のキャッシュフローが約定返済額をどれだけ上回っているかを継続的に確認します。元利均等返済のPMT計算は「返済額を先に固定する」設計であるのに対し、これらの手法は「キャッシュフローから返済額を導く」設計であるという違いを理解しておくと、案件の性質に応じてどちらの考え方でモデルを組むべきかを判断しやすくなります。

よく​ある​符号​エラー・​循環参照の​対処

PMT系の関数でつまずく典型的な原因は、大きく分けて符号の不整合、期間単位の不一致、循環参照の3つです。

1つ目は符号の不整合です。pvをプラスで入力したのにfvだけマイナスで入力してしまう、あるいは返済予定表の中で一部のセルだけ符号を反転させてしまうといったミスがあると、PMT・IPMT・PPMTの結果の符号がちぐはぐになり、期末残高が正しくゼロに収束しなくなります。表を作るときは、pv・pmt・ipmt・ppmt・fvのうち、どれを「プラスの支払い」として扱うかを最初に決め、シート全体でその向きを統一することが重要です。

2つ目は期間単位の不一致です。年利をそのままrateに入れてしまい、nperだけ月次の回数(84回など)を入れてしまうと、rateとnperの単位が食い違い、PMTの結果が実態とかけ離れた金額になったり、NPER・RATEでは#NUM!エラーになったりします。月次の返済予定表を作るときは、rateを「年利÷12」の形で必ず月利に変換し、nper・perも「月」の単位で統一されているかをその都度確認する必要があります。

3つ目は循環参照です。返済予定表の利息を「期首残高×金利」ではなく、返済期間全体の平均残高や、他のシートの合計値を参照する形で計算していると、利息の計算結果が巡り巡って自分自身の計算に影響を与えてしまい、循環参照が発生することがあります。残高基準の​利息計算で見たとおり、平均残高方式は特に循環参照を招きやすい典型例です。返済予定表では、利息を必ず「その回の期首残高(前の行から引き継いだ値)×金利」という一方向の参照だけで計算し、後ろの行の値を先の行の利息計算に使わないようにすることで、循環参照を避けられます。より複雑な財務モデルで生じるLBO​モデルの​循環参照問題も、根本的な原因は同じで、利息や配当の計算がキャッシュ残高を通じて自分自身に戻ってくる参照構造にあります。数式が思ったとおりに計算されているかを1つずつ確認したいときは、数式監査の​技術で扱うF2・F9によるセル単位の検証が役立ちます。

面接での​答え方​(30秒回答例)

「PMT関数を使って何ができるか説明してください」といった質問には、関数名の暗記ではなく、実務のどの場面で使うかまでを含めて答えると、理解の深さが伝わります。以下はその回答例です。

回答例(30秒)
「PMTは、借入元本・金利・返済回数から、元利均等返済の毎回の返済額を求める関数です。返済予定表を作るときは、PMTで求めた返済額と各回の期首残高から利息と元本の内訳を分解し、期末残高がゼロに収束するかを検算します。据置期間やボーナス返済が入る場合は、返済額が一定という前提が崩れるので、期間やストリームを分けて別々にPMTを計算します。ただしLBOのように返済額自体が業績次第で変わる案件では、PMTではなく期首残高に金利を掛けて利息を計算し、キャッシュフローから返済額を組み立てる設計になります。」

よく​ある​質問​(FAQ)

元利均等返済と​元金均等返済は、​どちらの​総支払額が​少なくなりますか。

一般に、​同じ​借入額・​同じ​金利・​同じ​返済期間であれば、​毎回の​元本返済額を​一定に​する​元金均等返済の​ほうが、​返済初期に​元本が​早く​減る​分だけ​総利息が​少なくなり、​総支払額も​元利均等返済より​少なくなります。​フラット35の​試算例でも、​借入2,000万円・​年1.5%・30年の​条件で、​元金均等返済の​ほうが​総返済額が​約33万6,000円少なくなると​説明されています。​一方で​元利均等返済は​毎回の​返済額が​一定で​資金計画が​立てやすいと​いう​特徴が​あり、​どちらが​適しているかは​総支払額だけでなく、​返済初期の​負担の​大きさとの​バランスで​判断されます。

PMTの​結果が​マイナスに​なるのは、​計算が​間違っていると​いう​ことですか。

間違いではありません。​借入元本​pvを​プラスの​値で​入力した​場合、​PMT・​IPMT・​PPMTは​借り手に​とっての​支払い​(キャッシュアウト)を​表すため、​符号の​ルールどおり​マイナスで​返ります。​プラスの​金額と​して​扱いたい​場合は、​pvを​マイナスで​入力するか、​結果の​符号を​反転させるかの​いずれかで、​シート全体の​符号を​統一してください。

NPERや​RATEで​#NUM!エラーが​出る​ときの​主な​原因は​何ですか。

多くの​場合、​rate・​pmt・​pv・​fvの​符号が​揃っていないか、​rateと​nper・​perの​期間単位​(年か月か)が​一致していない​ことが​原因です。​RATEの​場合は​これに​加えて、​反復計算が​20回以内に​収束しなかった​場合にも​#NUM!エラーに​なります。​契約条件から​見て​極端な​金利が​出た​場合や、​そもそも​エラーに​なる​場合は、​guess​(初期推定値)を​変えて​計算し​直すとともに、​期間​単位や​符号を​1つずつ​確認してください。

ボーナス​返済を​組み込む​とき、​なぜPMT​関数だけでは​計算できないのですか。

PMT​関数は​「一定額を一定間隔で支払う」と​いう​単一の​返済​ストリームを​前提に​している​ためです。​ボーナス​返済が​ある​場合、​毎月の​返済と​ボーナス月の​返済と​いう​支払間隔の​異なる​2つの​ストリームが​同時に​存在する​ため、​元本を​按分したうえで、​毎月分は​月次の​PMT、​ボーナス分は​半年ごとの​PMT​(半年複利の利率に換算)と​いうように、​別々に​計算する​必要が​あります。な​お日本の​住宅​ローンでは、​ボーナス​返済に​充てられる​金額を​融資額の​40%以内と​する​制限が​設けられている​例が​あります。

LBOの​モデルでは、​なぜ​元利均等返済の​PMT関数を​使わないのですか。

LBOの​借入は、​契約上の​最低限の​約定弁済に​加えて、​その​期の​余剰​キャッシュフローを​使って​追加で​元本を​返済する​キャッシュスイープの​仕組みを​持つのが​一般的で、​返済額が​あらかじめ一定に​決まっていないためです。​PMT・​NPERは​「毎回の返済額が固定されている」ことを​前提に​した​関数の​ため、​返済額が​業績に​よって​変動する​LBOの​借入には​使えません。​LBOの​デットスケジュールでは、​期首残高に​金利を​掛けて​利息を​計算し、​その​期の​キャッシュフローから​使える​金額を​そのまま​元本返済に​充てる、と​いう​ボトムアップの​計算を​積み​上げます。

まとめ

元利均等返済の返済予定表は、PMTで毎回の返済額を求め、各回の期首残高に金利を掛けて利息を計算し、返済額から利息を引いた残りを元本として期末残高を更新していく、という1行のロジックを積み重ねて作ります。pv・pmt・fvの符号とrate・nperの期間単位をシート全体で統一すること、そして最終回で残高がちょうどゼロに収束するかを検算することが、事故のない表を作るための最低条件です。据置期間・ボーナス返済・一部繰上返済といった応用パターンは、いずれも「返済額が一定」という前提が部分的に崩れる場面であり、期間やストリームを分けて計算し直すことで対応できます。LBOやプロジェクトファイナンスのように返済額自体が業績やキャッシュフローに応じて変動する案件では、PMT・NPERの前提が成立しないため、期首残高ベースの利息計算とキャッシュフローからの積み上げという、別の設計のスケジュールを組む必要があります。

出典・参考​(2026年9月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための仮設例です。