この早見辞典の使い方
- 財務モデリングで使うExcel関数を5グループ(検索・参照/集計・条件/財務/日付/その他・PowerPoint)に分類しています。
- 各行は関数名・用途・構文例の3列。まず下の分類マップで当たりをつけ、該当グループの表で構文を確認してください。
- 構文例の
[ ]は省略可能な引数です。日付・利率などの単位や符号の扱いは各表の注記を参照。 - INDEX/MATCH・XLOOKUP・NPV・IRRなど個別解説がある関数は関連記事へリンクしています。
結論:関数は「暗記」より「分類して引く」
財務モデリングで使うExcel関数は数百種のうちごく一部です。用途ごとに検索・参照/集計・条件/財務/日付/その他へ分類しておけば、必要な場面で素早く引き出せます。本辞典は頻出の約40項目を1行ずつ整理したリファレンスです。丸暗記ではなく、「何をしたいか」から逆引きする使い方を想定しています。
Excel関数の分類マップ
検索・参照
値の位置を探したり、番号で値を切り替えたりする関数です。表引き(INDEX/MATCH・XLOOKUP)は使用頻度が高いため別記事で詳しく扱っています。
| 関数名 | 用途 | 構文例 |
|---|---|---|
| CHOOSE | インデックス番号に対応する値を返す。シナリオ(強気/基本/弱気)の切替に便利 | =CHOOSE(番号, 値1, 値2, …) |
| XMATCH | 検索値の位置(行/列番号)を返す。MATCHの後継で完全一致が既定 | =XMATCH(検索値, 検索範囲, [一致モード]) |
表引きの本命は INDEX/MATCHとXLOOKUP を参照。
集計・条件
条件付きの合計・カウント、配列計算を行う関数群です。加重平均や期待値の算出にはSUMPRODUCTが重宝します。
| 関数名 | 用途 | 構文例 |
|---|---|---|
| COUNTA | 空白でないセルの個数を数える | =COUNTA(範囲) |
| COUNTIF | 1条件に合うセルの個数 | =COUNTIF(範囲, 条件) |
| COUNTIFS | 複数条件に合うセルの個数 | =COUNTIFS(範囲1, 条件1, 範囲2, 条件2, …) |
| SUMIF | 1条件に合う値を合計 | =SUMIF(範囲, 条件, [合計範囲]) |
| SUMIFS | 複数条件に合う値を合計(合計範囲を先頭に指定) | =SUMIFS(合計範囲, 範囲1, 条件1, …) |
| SUMPRODUCT | 配列同士を掛けて合計。加重平均・期待値の計算に多用 | =SUMPRODUCT(配列1, 配列2, …) |
| IFS | 複数条件を順に評価し、最初に真となった値を返す(Excel 2016以降) | =IFS(条件1, 値1, 条件2, 値2, …) |
例:期待リターンは各シナリオの確率×リターンを =SUMPRODUCT(確率範囲, リターン範囲) で一括計算できます。
財務関数
時間価値(貨幣の現在価値・将来価値)やローン返済に関わる関数です。符号の約束として、支払い(キャッシュアウト)は負、受取りは正で入力すると整合します。利率と期間は単位を揃える(月次なら月利・月数)ことが重要です。
| 関数名 | 用途 | 構文例 |
|---|---|---|
| PV | 将来キャッシュフローの現在価値 | =PV(利率, 期間, 定期支払額, [将来価値], [支払期日]) |
| FV | 現在の元本・積立の将来価値 | =FV(利率, 期間, 定期支払額, [現在価値], [支払期日]) |
| PMT | 元利均等返済の毎期支払額 | =PMT(利率, 期間, 現在価値, [将来価値], [支払期日]) |
| IPMT | 指定した期の支払額のうち利息部分 | =IPMT(利率, 期, 期間, 現在価値, …) |
| PPMT | 指定した期の支払額のうち元金部分 | =PPMT(利率, 期, 期間, 現在価値, …) |
| RATE | 期間あたりの利率を逆算 | =RATE(期間, 定期支払額, 現在価値, [将来価値], …) |
| RRI | 期首→期末の値から成長率(CAGR)を算出 | =RRI(期間, 現在価値, 将来価値) |
| XNPV | 不定期な日付のキャッシュフローの正味現在価値 | =XNPV(割引率, 値の範囲, 日付の範囲) |
投資評価の NPV・IRR・XIRR関数 は別記事で詳述。感応度分析は What-If分析 を参照。
日付
期日計算やタイムラインの構築に使う関数です。月末揃え(EOMONTH)や期間の年換算(YEARFRAC)はモデリングの日付軸で頻出します。
| 関数名 | 用途 | 構文例 |
|---|---|---|
| TODAY | 今日の日付(ファイルを開くたびに再計算) | =TODAY() |
| EDATE | 開始日から指定月数だけ前後させた日付 | =EDATE(開始日, 月数) |
| EOMONTH | 指定月数後の月末日を返す | =EOMONTH(開始日, 月数) |
| YEARFRAC | 2つの日付間の期間を年(小数)で返す | =YEARFRAC(開始日, 終了日, [基準]) |
その他・PowerPoint
エラー処理や自作関数、入力規則などのExcel実務操作と、資料作成で使うPowerPointの基本操作をまとめました。純粋な操作系はショートカット記事と併読してください。
| 項目 | 用途 | 構文・操作例 |
|---|---|---|
| IFERROR | 数式がエラーのとき指定値を返す(#N/A・#DIV/0!対策) | =IFERROR(値, エラー時の値) |
| LAMBDA | 独自の関数を数式で定義(名前を付けて再利用) | =LAMBDA(引数, 計算式)(引数値) |
| マクロ記録(VBA) | 操作を記録してVBAコード化し自動化 | 開発タブ→マクロの記録 |
| データの入力規則 | ドロップダウンリストで入力値を限定 | データ→データの入力規則→リスト |
| 条件付き書式 | 重複値などを自動でハイライト | ホーム→条件付き書式→重複する値 |
| 選択範囲内で中央 | セル結合せず見出しを中央揃え(Center Across Selection) | セルの書式→配置→横位置 |
| 列幅・再表示 | 列幅の自動調整、非表示列の再表示 | 列境界をダブルクリック/選択→右クリック→再表示 |
| シート保護 | 特定セルの編集を制限しデータを保護 | 校閲→シートの保護 |
| PowerPoint操作 | 整列・重ね順・画像トリミング・リボン/ショートカット操作 | 配置→整列/図の形式→トリミング 等 |
まとめ
関数は数を覚えることより、用途で分類して素早く引ける状態を作ることが実務では効きます。まずは分類マップで当たりをつけ、該当グループの構文例をそのまま貼り付けて調整する——この使い方でモデリングの手が止まりにくくなります。表引きや投資評価など頻度の高い関数は、関連記事の個別解説と併せて手に馴染ませておきましょう。
出典・参考(2026-07-16確認)
- Microsoft Excel 関数の一般的な仕様(Microsoft サポート「Excel 関数(アルファベット順/カテゴリ別)」)。
- Microsoft PowerPoint の一般的な操作(配置・整列・図のトリミング等)。
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための仮設例です。関数の引数名・仕様はExcelのバージョンにより異なる場合があります。
