この記事で分かること

  • 将来価値(FV)の定義と計算式、複利と単利の違い
  • 複利計算を1年ずつ積み上げて検算する整数設例
  • 現在価値(PV)との関係と、投資判断での使われ方
  • ExcelのFV関数での実装方法

30秒で分かる定義

将来価値(Future Value、略称FV、読み方:しょうらいかち)とは、現在の一定金額に、一定の利率を複利で適用した場合に、将来の一時点で得られる金額のことです。「元利合計」「複利計算後価値」とも呼ばれます。貨幣の時間的価値(同じ金額でも、将来受け取るより今受け取る方が価値が高いという考え方)を、現在から将来へ向かう方向で捉えた概念であり、将来のキャッシュフローを現在時点の価値に引き直す正味現在価値(NPV)計算の逆算にあたります。

なぜ実務で重要なのか

個人の資産形成・企業の年金運用では、一定の利回りを前提に、将来いくらの資産を形成できるかを試算する際にFVの考え方を使います。コーポレートファイナンス・FP&Aでは、積立計画(設備更新のための積立、退職給付債務の将来見込み等)の設計にFVの発想が用いられます。投資銀行・PEの実務では、単独のFV計算そのものよりも、その裏返しであるNPV・IRRの計算で複利の考え方が土台になるため、FVを正確に理解しておくことがDCF法などの評価手法の前提知識になります。

計算式

FV = PV × (1 + r)n

PVは現在の金額(元本)、rは1期あたりの利率、nは期間数です。複利では、各期の利息が元本に組み入れられ、翌期はその合計額に対して利息が計算されます。これに対し単利では、常に当初の元本にのみ利息が計算されるため、期間が長くなるほど複利との差が拡大します。

整数設例で確認する

設例(架空数値):現在の元本1,000,000円を年利5%で3年間、複利で運用した場合を計算します。

  • 1年目末:1,000,000 × 1.05 = 1,050,000円
  • 2年目末:1,050,000 × 1.05 = 1,102,500円
  • 3年目末:1,102,500 × 1.05 = 1,157,625円

公式で検算すると、FV = 1,000,000 × 1.053 = 1,000,000 × 1.157625 = 1,157,625円で、1年ずつ積み上げた計算と一致します。仮に単利で計算すると、FV = 1,000,000 ×(1 + 0.05 × 3)= 1,150,000円となり、複利との差は 1,157,625-1,150,000=7,625円です。この差が「利息にも利息が付く」複利効果であり、期間が長くなるほど拡大します。

投資判断への影響

FVは、将来必要な金額から逆算して現在の積立額や必要利回りを決める場面で使われます。例えば、将来の設備更新に一定額が必要と分かっている場合、想定利回りでのFV計算から、毎期いくら積み立てれば目標額に届くかを設計できます。一方、投資案件の採算性評価では、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引くIRRやNPVの方が主に使われ、FVは主に「割引計算の逆方向」の確認や、確定利回り商品の将来受取額の試算で登場します。割引率(利率)が高いほどFVは大きくなる点は、NPVでは割引率が高いほど現在価値が小さくなる関係と方向が逆であり、混同しやすいので注意が必要です。

財務モデル・Excelでの使い方

  • Excelでは =FV(rate, nper, pmt, [pv], [type]) 関数を使います。上記の設例なら =FV(0.05,3,0,-1000000) で1,157,625(正の値)が返ります(pvを負値で入力するのがExcelの符号規則です)。
  • 毎期一定額を積み立てる場合はpmt引数に積立額(負値)を指定すると、元本と積立の複利合計が一度に計算できます。
  • 債券利回りの検算や、退職給付債務の将来見込み額の試算シートでも同じ考え方のロジックが使われます。

この用語をExcelで「組める」状態にする

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実務家が確認するポイントとよくある誤解

誤解1:「将来価値の計算は単利で行うのが基本」→ 正しくは、金融実務では複利計算が標準です。単利は説明の便宜上使われることはありますが、実際の預金・投資商品はほぼ全て複利ベースで運用されます。

誤解2:「割引率が高いほどFVは小さくなる」→ 正しくは、FVは利率(割引率と同じ数値を使うことが多い)が高いほど大きくなります。NPV計算で「割引率が高いほど現在価値が小さくなる」関係と逆方向であるため、この2つを混同しないよう注意が必要です。

日本実務での扱い(2026年8月時点)

個人の資産形成では、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の資産形成シミュレーションにおいて、想定利回りに基づくFVの考え方が広く使われています。金融庁は資産形成に関する情報提供の一環として、こうした複利計算の考え方を用いた資産形成シミュレーションツール等を公表しています(2026年8月時点)。企業会計上、FV自体を直接開示する場面は限られますが、退職給付債務の計算や資産除去債務の割引計算など、複利・現在価値の考え方は会計基準の随所で用いられています。

面接・モデルテストで問われるポイント

Q:現在価値と将来価値の関係を説明してください。
「将来価値(FV)は現在の金額に複利で利率を適用して将来時点の金額を求める計算であり、現在価値(PV)はその逆に、将来のキャッシュフローを割引率で現在時点の価値に引き直す計算です。数式としてはFV=PV×(1+r)のn乗、PV=FV÷(1+r)のn乗という表裏の関係にあり、投資評価の実務では将来キャッシュフローをPVに引き直すNPV・DCF法として使われることが多いです。」(30秒回答例)

深掘りでは、名目金利と実質金利の違い、複数期間・複数キャッシュフローがある場合の現在価値合計の計算方法が問われます。

よくある質問(FAQ)

Q. 名目金利と実質金利のどちらを使ってFVを計算すべきですか?
A. インフレの影響を除いた実質的な購買力を知りたい場合は実質金利を、将来受け取る名目上の金額を知りたい場合は名目金利を使います。目的に応じて使い分けることが重要です。

Q. 積立を伴う場合のFVはどう計算しますか?
A. 初期元本のFVと、毎期の積立額それぞれのFV(年金の将来価値)を合算します。ExcelのFV関数ではpmt引数に積立額を指定することで一度に計算できます。

出典・参考(2026-08確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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