想定読者:企業価値評価やM&Aで株式価値・EVを算定する財務・M&A担当者、若手のアナリスト
前提知識:EV(事業価値)から株式価値への橋渡しとWACC(加重平均資本コスト)の基本。現在価値の計算は本文で手順を示します

結論:負債の時価は「乖離する行だけ」拾い、橋渡しの標準は簿価

EVから株式価値へ降りるとき、有利子負債(借入金と社債)は貸借対照表の金額、つまり簿価を引くのが実務の標準的な置き方です(編集部の整理)。ただ、低金利の時期に固定金利で借りた長期の借入金や社債が残る会社では、いまの市場金利で測り直した金額(時価)が簿価と離れます。その差が評価に効くのか、どこに使うのかを判断します。ネットデット(有利子負債−現金)に含める項目の広がりはネットデット完全ガイドに、EVブリッジの全体像はEVからEquity Valueへに任せ、ここでは有利子負債を簿価と時価のどちらで測るかだけを扱います。

結論は3点です。第一に、時価を拾うのは固定金利の長期借入金と固定利付社債の行で、変動金利や短期の借入は簿価と時価がほぼ同じとみなされます。第二に、学習用の架空事例(上場の製造業X社、単位は百万円)では、簿価600の有利子負債の時価は579で、差は21(3.5%)でした。株式価値は、ネットデットを時価にすると+21.0(+1.1%)、WACCのウェイトも時価にするとEVが下がり、差し引き+3.1(+0.2%)にとどまりました。第三に、時価は感度分析や交渉の論点として使い、簿価を誤りとは扱いません。

前提は2026年10月時点、日本基準の連結財務諸表の注記です。金融商品の時価等の注記は企業会計基準第10号が定め、時価の算定を定める企業会計基準第30号(時価算定会計基準)は2021年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用されています1。以下の設例はすべて学習用の架空事例で、実在の企業や有価証券報告書の数値ではありません。

なぜ簿価と時価は離れるのか

日本基準では、借入金や社債は原則として債務額(借りた元本)を貸借対照表に載せます。社債を額面と違う価額で発行した場合などは、償却原価法(差額を期間にわたって少しずつ振り替える方法)で算定した額です2。基準の考え方として、借入金は一般に市場がなく、社債は市場があっても自社発行の社債を時価で自由に清算するには制約がある、として時価評価の対象にしていません3。つまり簿価は借入時の約束の金額で、いまの市場金利は反映されていません。

時価は別の物差しです。時価算定会計基準は時価を「算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格」と定めています4。負債では、将来に払う元利金を、いまの市場で求められる利回りで現在価値に直した金額がおおまかな目安です。価格と利回りが逆向きに動く関係は債券の基礎を参照してください。

図表1は、設例の2本について、市場の調達利回りと「簿価に対する時価の割合」の関係です。長期借入金は表面利率0.8%、社債は0.5%で、利回りがその利率と等しい点で時価は簿価(100%)に一致し、それより高いと時価は簿価を下回ります。設例の想定利回り(長期借入金1.8%、社債1.5%)では、時価は簿価の96.2%と95.2%です。利回りがさらに1ポイント上がると、時価は長期借入金で約10.9、社債で約9.0、合計19.9下がります。

図表1:市場の調達利回りと、簿価に対する時価の割合 88% 92% 96% 100% 104% 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 100%=簿価 長期借入金(1.8%で96.2%) 社債(1.5%で95.2%) 実線+丸:長期借入金(表面利率0.8%・残存4年) 破線+四角:社債(表面利率0.5%・残存5年) 白抜きの丸は表面利率と一致する利回り(時価=簿価)。
単位:簿価(額面)を100%とした時価の割合。対象:学習用の架空の借入金・社債(毎年利払い・満期一括返済)。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

乖離を左右するのは、市場金利の水準、残存期間(長いほど金利変化の影響が大きい)、自社の信用力の3つです。負債の時価には自社の債務不履行リスクが反映されます5。この部分はクレジットスプレッド(国債利回りに対する上乗せ利回り)として、現在価値に直す利回りに入ります。したがって、変動金利の借入や返済期限が1年以内の借入は乖離が小さく、固定金利で残存期間の長い借入・社債は乖離しやすいと考えられます。

有価証券報告書の注記から時価を拾う

適用指針は、連結財務諸表の注記で、金融商品について貸借対照表の科目ごとに、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価、その差額を記載するとしています。ただし、現金や、短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似するものは、注記を省略できます6。適用指針の開示例では、製造業の例が社債・長期借入金の時価を、元利金の合計額と残存期間・信用リスクを加味した利率による現在価値法で算定しレベル2とする文言である一方、金融業の例は短期借入金とコマーシャル・ペーパーを「近似」として省略しています7。どちらも一例なので、対象会社の注記を実際に読みます。

図表2は、その注記を架空のX社で再現した読み取り表です。拾う手順は4段階です。

  1. 社債と長期借入金の行から、計上額・時価・差額を拾い、差額の符号で含み益(時価が小さい)か含み損かを確認する。
  2. 短期借入金や変動金利借入の行が無いときは、「近似として省略」の文があるかを確認する。行が無いことは、時価が不明であることも、差がゼロであることも意味しない。残高は貸借対照表から拾い、簿価を代用すると資料に明記する。
  3. 時価の区分(レベル1〜3)と評価技法の説明を読む。レベル2・3の時価には、算定に用いた評価技法とインプットの説明が求められている8。借入金や社債の多くはレベル2(観察可能な利率を使う)だが、利率の取り方は会社ごとに異なる。
  4. 返済予定額の注記も見る。社債・長期借入金などは返済予定額の合計を期間別に注記するので9、残存期間の見当がつき、次節の計算で検算できる。
図表2:有価証券報告書「金融商品関係」注記の読み取り表(X社・架空)(単位:百万円)
科目連結貸借対照表計上額時価差額(時価−計上額)時価の区分と評価技法(注記の説明文)読み方
短期借入金(記載省略)(記載省略)―「短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似する」旨の文差額が「ゼロ」なのではなく、「近似」として記載を省いた行。残高は貸借対照表で拾う
社債200190−10レベル2。元利金の合計額を、残存期間と信用リスクを加味した利率で割り引く計上額=簿価、時価=元利金を現在価値に直した額。差額の符号と、利率の説明を確認
長期借入金300289−11レベル2。同上1年内返済予定分を含むかを注記の注書きで確認
計(社債+長期借入金)500479−21―時価が簿価より 21(4.2%)小さい=含み益の方向
対象時点:20X1年3月31日(連結決算日)。(注)短期借入金の簿価100は貸借対照表から拾う(変動金利)。差額率は −21÷500=−4.2%。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成(様式の考え方は、参考文献R2の適用指針第19号の開示例を参考にした)。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表2では、2行の合計で時価が計上額を21(4.2%)下回ります。同じレベル2でも信用スプレッドの置き方が違えば時価は変わるので、他社と並べるときは評価技法の説明を読み比べてください。

注記で拾えないとき:自分で時価を見積もる

非上場会社の評価や注記が省略された場合は、元利金を市場の調達利回りで現在価値に直して見積もります。利回りには負債コストの推定結果を使い、推定方法は負債コストの実務計算に任せます。設例の1.8%(長期借入金)と1.5%(社債)は、その推定が済んだ後の仮定値です。社債の理論価格の考え方は社債の理論価格評価を参照してください。

設例の条件は、長期借入金が元本300・残存4年・表面利率0.8%、社債が元本200・残存5年・表面利率0.5%で、どちらも毎年利払い・満期一括返済です。短期借入金は元本100の変動金利で、簿価=時価とみなします(仮定)。

時価(固定利付の借入金・社債)
時価=各年の利払い額を(1+市場利回り)のt乗で割った合計+元本÷(1+市場利回り)の残存年数乗

長期借入金の利払いは毎年300×0.8%=2.4です。1.018のt乗で割る係数は、1〜4年目で順に0.9823、0.9649、0.9479、0.9311なので、利息分は2.4×(0.9823+0.9649+0.9479+0.9311)=9.2、元本分は300×0.9311=279.3、合計は288.5です。社債の利払いは毎年200×0.5%=1.0で、1.015のt乗の係数は0.9852、0.9707、0.9563、0.9422、0.9283です。利息分は4.8、元本分は200×0.9283=185.7、合計は190.4です(丸め前は190.43で、4.8と185.7の和とは端数で0.1ずれます)。以降は丸め前の合計(288.52、190.43)を四捨五入した289と190を使います。簿価に対して長期借入金は−11(−3.7%)、社債は−10(−5.0%)です。有利子負債の合計は、簿価が100+300+200=600、時価が100+289+190=579で、差は21(簿価の3.5%)です。

内訳が拾えないときの代替として、海外の教育サイトは、総負債を1本のクーポン債(利払い額を利息費用、満期を加重平均残存期間とみなす債券)として評価する簡易法を紹介しています10。設例で試すと、利息費用は2.4+1.0+100×1.0%(短期借入金の利率の仮定)=4.4、利回りは簿価で加重した1.57%、残存年数は短期借入金を1年とみなした3.83年で、利息分16.2と元本分565.2の合計は581.5でした。積み上げの579との差は2.5(0.4%)ですが、この近さは設例の置き方によるもので、粗い近似です。内訳が拾えるなら銘柄別に積み上げてください。

EV・株式価値・WACCへの影響を試算する

図表3は、同じX社の評価を、簿価と時価の組み合わせ3通りで並べた表です。前提は、次年度のFCFF(事業から生じ、株主と債権者に分配できるフリー・キャッシュフロー)が130、永久成長率gが1.0%、株主資本コストKeが8.0%、負債コスト(税引前)が1.7%、実効税率30%、時価総額1,900です。WACC=E÷(D+E)×Ke+D÷(D+E)×負債コスト×(1−税率)、EV=FCFF÷(WACC−g)の簡便式を使います。WACCの導出はWACCの計算方法に任せ、有利子負債資本比率のウェイトだけを簿価と時価で入れ替えます。

ケースAは、D比率が600÷(600+1,900)=24.0%、E比率76.0%で、WACCは76.0%×8.0%+24.0%×1.7%×0.7=6.08%+0.29%=6.37%(0.01%に四捨五入)です。EVは130÷(0.0637−0.01)=2,420.9、株式価値は2,420.9−500=1,920.9です。ケースBはネットデットだけを479にし、株式価値は2,420.9−479=1,941.9(Aより+21.0、+1.1%)です。ケースCはウェイトも時価にします。D比率は579÷(579+1,900)=23.4%に下がり、WACCは6.41%に上がります(+0.04ポイント)。EVは130÷(0.0641−0.01)=2,403.0(Aより−17.9、−0.7%)、株式価値は2,403.0−479=1,924.0(Aより+3.1、+0.2%)です。

図表3:簿価ベースと時価ベースの、EV から株式価値までとWACCの比較(X社・架空)(単位:百万円。WACC・ウェイトは%)
項目ケースA:簿価・簿価ケースB:ブリッジだけ時価ケースC:ブリッジもウェイトも時価
有利子負債(短期借入金100を含む)600579579
現金100100100
ネットデット(有利子負債−現金)500479479
WACC に使う時価総額(観察値と仮定)1,9001,9001,900
有利子負債の比率 D÷(D+E)24.0%24.0%(WACCは簿価の6.37%のまま)23.4%
株主資本の比率 E÷(D+E)76.0%76.0%76.6%
WACC(0.01%に四捨五入)6.37%6.37%6.41%
EV=FCFF÷(WACC−g)2,420.92,420.92,403.0
株式価値=EV−ネットデット1,920.91,941.91,924.0
ケースAとの差(差額率)―+21.0(+1.1%)+3.1(+0.2%)
計算の前提:EVは0.01%に四捨五入したWACCで計算。次年度FCFF 130、永久成長率g 1.0%、株主資本コストKe 8.0%、税引前の負債コスト1.7%、実効税率30%(すべて仮定)。対象時点:評価基準日=決算日。差額率はケースAの株式価値1,920.9に対する割合。検算:ケースAは1,920.9+500=2,420.9、ケースCは1,924.0+479=2,403.0(EVと一致)、各ケースのD比率とE比率の合計は100%。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

読み方は3つです。第一に、ブリッジを時価にして株式価値が増える効果(+21.0)と、ウェイトを時価にしてEVが下がる効果(−17.9)は、設例ではほぼ打ち消し合いました。これは設例の前提で起きた結果で、一般的な法則ではありません。なお、EVは四捨五入後のWACCで計算しており、丸め前のWACCではCとAの差は+1.4ですが、読み方は同じです。第二に、乖離が大きく出るのは、負債比率が高く、固定金利の長期債が多く、金利環境が大きく変わった会社です。第三に、差の大きさを評価の前提の幅と比べます。設例ではWACCが0.1ポイント動く(6.37%→6.47%)だけでEVが約44(約1.8%)動くので、株式価値の1.1%の差は、前提の置き方による幅と同じ程度です。時価を拾う手間に見合うかは、この比較で判断します。

どの場面でどちらを使うか

図表4は、4つの場面の標準、時価に置き換える条件、設例での差を並べた早見表です。EVブリッジで上場会社の時価総額からEVを作る場面では、比較する会社の全部で同じ定義を使うことが最優先で、1社だけ時価にすると倍率が歪みます(有利子負債の定義も揃えます)。DCFでも簿価を引くのが一般的で(編集部の整理)、時価は感度分析として示します。WACCのウェイトは、時価が原則です(評価実務の考え方で、会計基準の定めではありません)が、簿価との差が小さければ感応度も小さくなります。

図表4:場面別・簿価と時価の使い分け早見表(設例の差額の単位:百万円)
場面実務の標準(編集部の整理)時価に置き換えるとき本記事の設例での差
EVブリッジ(時価総額+有利子負債−現金等でEVを作る)BSの有利子負債(簿価)を使う。比較する会社全部で定義を揃える金額が大きく時価が信頼できるとき、全社同じ方法で感度としてネットデット 500→479(−21)
DCFのEV→株式価値簿価(BS)のネットデットを引くのが一般的感度分析や交渉の論点として示す。結論を「時価が正しい」としない株式価値 +21.0(+1.1%)
WACCのデット・ウェイト時価が原則(自己資本と同じ考え方)。差が小さければ簿価で代用する例もある時価を注記で拾えれば時価。拾えなければ簿価と明記D比率 24.0→23.4%、WACC+0.04ポイント
M&Aでの債務の引受・繰上返済継続するなら含み益は経済的価値。繰上返済なら額面+手数料の支払義務が残りうる契約(期限前弁済条項・チェンジ・オブ・コントロール)を確認してから値引き材料にする含み益 21 のうち取れる額は契約次第
「実務の標準」は編集部の整理であり、法令や会計基準が定めた方法ではありません。対象:上場の製造業X社(学習用の架空事例)。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

M&Aの場面は少し違います。買い手が債務を引き受けて継続するなら、時価が簿価を下回る含み益は経済的な価値です。しかし繰上返済すれば額面(簿価)で返済する義務が残ります。設例の含み益21を価格の値引きに使えるかは、期限前弁済の条項や手数料、既存債務のチェンジ・オブ・コントロール条項(支配権の変更で貸し手が期限前弁済を求められる条項)の有無によるため、契約を見ずに断定しません。

実務上の落とし穴

有価証券報告書の時価は決算日のものなので、評価基準日の金利と違うときは、図表1のような感応度で補正の大きさを確認します。有利子負債の定義(リースや退職給付を含めるか)は、比較する会社の全部で揃えます。また、時価が簿価より小さい理由には、市場金利の上昇だけでなく自社の信用力の低下もありえます。適用指針の結論の背景にも、自社の信用リスクが増加すると金銭債務の時価が減少する、という見方が紹介されています11。含み益が出ていること自体を、良いニュースと決めつけてはいけません。

実務チェックリスト

  • 有利子負債を、変動金利・短期、固定金利の長期借入金、固定利付社債に分け、時価を拾う行を絞る。注記の表から計上額・時価・差額を拾い、差額が簿価の何%かを確認する
  • 「近似として省略」の科目は、簿価を代用する前提を資料に明記する(差がゼロだとは書かない)
  • 時価のレベルと評価技法の説明を読み、利率の取り方が自社の評価と揃っているかを確認する
  • 注記が拾えないときは、返済予定額と市場利回りで銘柄別に積み上げ、簡易法は検算にとどめる
  • 差を株式価値に対する%とWACCのウェイトの変化で確認し、評価の前提の幅より小さければ簿価で進める
  • M&Aでは、繰上返済の義務と手数料、期限前弁済条項を契約で確認してから、含み益を価格の議論に使う

よくある質問(FAQ)

変動金利の借入でも、時価と簿価がずれることはありますか。

金利が定期的に改定されても、借入後に自社の信用力が大きく悪化していれば、上乗せ利回りの差が時価に影響しえます。開示例には短期借入金を現在価値法で算定しレベル2とする例もあるので、注記に行があれば読み、「近似」とあるなら簿価で代用します。

上場社債のように市場価格があれば、そのまま時価に使えますか。

活発な市場の相場価格があれば、レベル1のインプットとして最も優先されます(時価算定会計基準第11項)。ただし、自社が額面で償還する義務は残るので、買収時の繰上償還の判断は契約を確認します。

まとめ

有利子負債の簿価は借入時の約束の金額で、時価は市場金利と信用力で測り直した金額です。乖離しやすいのは固定金利の長期借入金と社債で、変動金利や短期借入は近似とみなされます。設例では、株式価値への影響はネットデットだけなら+1.1%、WACCも含めると+0.2%でした。標準は簿価で橋渡しし、時価は注記から拾って感度として使い、含み益は契約を確認してから価格の議論に使います。

脚注

  1. 企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第40-2項は、金融商品の時価等に関する事項などの注記を定め、連結財務諸表で注記している場合は個別財務諸表での記載を要しないとする(参考文献R1)。企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」第16項は、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用すると定める(参考文献R3)。↩
  2. 企業会計基準第10号第26項。支払手形、買掛金、借入金、社債その他の債務は債務額をもって貸借対照表価額とし、社債を社債金額よりも低い価額又は高い価額で発行した場合など、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には償却原価法に基づいて算定された価額とする(参考文献R1)。↩
  3. 企業会計基準第10号「結論の背景」第67項。金融負債は、借入金のように一般的には市場がないか、社債のように市場があっても自己の発行した社債を時価により自由に清算するには事業遂行上等の制約があると考えられることから、デリバティブ取引により生じる正味の債務を除き、債務額をもって貸借対照表価額とし、時価評価の対象としないことが適当であるとしている(参考文献R1)。↩
  4. 企業会計基準第30号第5項(参考文献R3)。引用は同項の文言どおり。↩
  5. 企業会計基準第30号第15項。負債の時価の算定にあたっては、負債の不履行リスクの影響を反映し、不履行リスクは企業自身の信用リスクに限られないとする(参考文献R3)。↩
  6. 企業会計基準適用指針第19号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」第4項(1)。リース負債を除く金融商品について、貸借対照表の科目ごとに貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額を注記し、現金及び短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似するものは注記を省略できるとする(参考文献R2)。↩
  7. 企業会計基準適用指針第19号「参考(開示例)」の「2. 製造業」「3. 金融業」。開示例は理解を深めるためのもので、各企業は実情に即して注記する必要があると同指針は断っている。製造業の例では社債・長期借入金の時価を、元利金の合計額と残存期間・信用リスクを加味した利率による現在価値法(将来の元利金を利率で割り引く方法)で算定しレベル2に分類する旨の文があり、金融業の例では短期借入金及びコマーシャル・ペーパーを時価が帳簿価額に近似するとして注記を省略している(参考文献R2)。↩
  8. 企業会計基準適用指針第19号第5-2項(3)。時価がレベル2又はレベル3に分類される金融資産及び金融負債について、時価の算定に用いた評価技法及びインプットの説明を注記する(参考文献R2)。レベル1〜3の定義は企業会計基準第30号第11項(参考文献R3)。↩
  9. 企業会計基準適用指針第19号第4項(5)。社債、長期借入金、リース負債及びその他の有利子負債については、返済予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を注記する(参考文献R2)。↩
  10. Corporate Finance Institute「Market Value of Debt」。負債の市場価値は帳簿価額と異なること、銀行借入のように取引されない負債は分析者が見積もること、総負債を1本のクーポン債とみなして見積もる考え方が書かれている(一般的な概念の参考。訳・要約は編集部。同ページの数値・式は本記事で使っていない。参考文献R4)。↩
  11. 企業会計基準適用指針第19号「結論の背景」第38項。金銭債務の時価は、企業自身の信用リスクが増加した場合に減少するため、投資者にとって有用な情報を提供することにはならないのではないかという見方がある、と記し、そのため時価の開示に加えて企業自身の信用リスクを反映しない金額も開示できるとした(参考文献R2)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。