この記事で分かること
- 債券の基本用語(額面・クーポン・満期・パー/アンダーパー/オーバーパー)
- 債券のいちばん大切な性質「価格と利回りは逆に動く」理由
- 直接利回り(カレントイールド)と最終利回り(YTM)の違い
- 日本国債(JGB)・社債市場と日銀の金利の関係
結論:債券は「先に金額が決まった借用証書」、だから金利が動くと価格が動く
債券(bond)は、発行体(国・企業など)がお金を借りるために発行する借用証書です。あらかじめ額面(par/face value)とクーポン(coupon=表面利率)、満期が決まっています。クーポンが固定されている以上、あとから市場金利が動くと、投資家が受け取る利回りを合わせるために価格が動きます。これが債券の最重要の性質――市場金利が上がると既発債の価格は下がり、金利が下がると価格は上がる(逆相関)です。
基本用語とパー/アンダーパー/オーバーパー
- 額面(par/face value):満期に返ってくる金額。価格は額面100あたりで表す。
- クーポン:額面に対する年利。額面100・クーポン2%なら毎年2を受け取る。
- パー(par):価格=額面(100)。アンダーパー:価格<100(割安に見えるが理由がある)。オーバーパー:価格>100。
- 直接利回り(カレントイールド)=クーポン ÷ 価格。ざっくりの利回り。
- 最終利回り(YTM)=満期まで保有した場合の利回り。価格・クーポン・償還差益をすべて織り込む(詳細は債券利回りの基礎とYTM)。
設例:価格95円・クーポン2円なら
設例(額面100・単位:円)。クーポン2%(毎年2を受取)の債券が、市場金利上昇で価格95(アンダーパー)で取引されているとします。
- 直接利回り(カレントイールド)= 2 ÷ 95 = 約2.1%。クーポン率2%より高い(価格が額面より安いから)。
- さらに満期に100で償還されれば、95→100の償還差益5も得られる。これも含めた利回りがYTMで、直接利回りより高くなる。
- 逆に価格105(オーバーパー)なら、直接利回り=2÷105=約1.9%、償還で105→100の差損5が出るためYTMはさらに低い。
つまりアンダーパー=利回り高、オーバーパー=利回り低。価格と利回りが逆に動くことが、数字でも確認できます。
主な債券の種類
- 国債(JGB):日本国が発行。信用リスクが最も低く、金利の基準(ベンチマーク)になる。
- 地方債・社債:地方公共団体・企業が発行。信用リスクに応じて国債より高い利回り(格付で測る)。
- 劣後債・ハイブリッド:弁済順位が低いぶん利回りが高い(デットの種類)。
- 転換社債(CB):株式に転換できるオプション付き(転換社債入門)。
- 金利のタイプ:固定利付(クーポン一定)と変動利付(市場金利連動)。
日本市場での見方
日本では国債(JGB)の利回りが金利の基準です。日本銀行の金融政策(政策金利・国債買入れ)がJGB利回りを大きく動かし、それが社債の発行金利や既発債の価格に波及します(金融政策と市場)。社債は「国債利回り+信用スプレッド」で価格が決まるイメージで、格付が下がるほどスプレッド(上乗せ利回り)が広がります。
面接での答え方(30秒回答例)
Q:なぜ金利が上がると債券価格は下がる?
「債券はクーポンと額面が先に決まっているからです。市場金利が上がると、新しく発行される債券のほうが高いクーポンを付けます。すると、低いクーポンの既発債は魅力が落ちるので、利回りが新しい水準に見合うところまで価格が下がります。クーポンが固定である以上、利回りを調整するのは価格しかない、というのが逆相関の本質です。」
よくある質問(FAQ)
直接利回りとYTMはどちらを見る?
ざっくりの比較なら直接利回り(クーポン÷価格)、正確な比較ならYTMです。YTMは償還差益・差損まで織り込むため、アンダーパーではYTM>直接利回り、オーバーパーではYTM<直接利回りになります。
アンダーパーの債券は「お得」?
価格が安いのには理由(金利上昇や信用リスク)があります。利回りが高いのはリスクの対価なので、単純に得とは限りません。格付とスプレッドを併せて見ます。
まとめ
債券は額面・クーポン・満期が先に決まった借用証書で、市場金利が動くと価格が逆に動きます。パー(100)を境に、アンダーパーは利回り高、オーバーパーは利回り低。ざっくりは直接利回り、正確にはYTMで測ります。日本ではJGB利回りが基準で、日銀の政策と信用スプレッドが社債価格に波及します。
出典・参考(2026-07-16確認)
- 財務省(国債・JGBの仕組み)、日本証券業協会(公社債の基礎)
- 日本銀行(金融政策・国債買入れ)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資勧誘・投資助言ではありません。設例は理解のための仮設例です。実際の利回り計算は日数計算・経過利子等で異なります。