この辞典の使い方

  • 債券・クレジット関連の約49語を4分類(利回り・価格/金利・スプレッド/債券の種類・市場/クレジット・リスク)で一覧できます。
  • 各用語は日本語の訳語・英語名(略称)・1行定義で対照。式がある指標は定義内に計算式を添えています。
  • 下の分類マップで当たりを付け、該当分類の表で用語を探す使い方を想定しています。
  • さらに詳しく学ぶときは、各項の関連記事(債券の基礎・YTMイールドカーブ・格付など)へ進んでください。

結論:まず「利回り・金利・商品・リスク」の4分類で捉える

債券・クレジットの用語は数が多く見えますが、実務では①利回り・価格の測り方②金利(単利・複利・固定・変動)の種類③債券・投資商品と市場のしくみ④クレジット・リスクと市場行動の4つに整理すると迷いにくくなります。本辞典はこの4分類で用語を並べ、日本語の訳語・英語名・1行定義を対にして「思い出す・調べ直す」ための早見版です。個別の詳しい解説は末尾の関連記事にまとめています。

分類マップ:どの用語がどのグループか

債券・クレジット用語の4分類マップ 1. 利回り・価格 直接利回り/YTW・YTC/FCF利回り 益利回り/表面利回り/デットイールド 売り買いスプレッド ほか(14語) 2. 金利・スプレッド APR/APY/実効金利・名目金利 単利/複利/固定金利・変動金利 金利の測り方をそろえる(8語) 3. 債券の種類・市場 確定利付/CD/ETF/投資信託 コモディティ/先物/保証証券 流通市場(セカンダリー)ほか(9語) 4. クレジット・リスク 金利/再投資/期限前償還リスク 財務制限条項/空売り・踏み上げ/追証 目論見書・資金証明ほか(18語)
図:本辞典に収録した約49語の4分類。以下の各表がこの4グループに対応します。

1. 利回り・価格の指標

「1年あたりどれだけ収益が得られるか」を測る利回り系の用語です。分子(収益)と分母(価格・元本・コスト)の取り方で名前が変わります。

用語(日本語)英語(略称)1行定義
直接利回り(経常利回り)Current Yield年間クーポン÷現在価格。債券価格に対する1年間の利息収入の割合。
コール利回りYield to Call(YTC)発行体が期限前に繰上償還(コール)した場合を前提に計算する利回り。
最低利回りYield to Worst(YTW)YTMやYTCなど想定シナリオのうち最も低くなる利回り。保守的評価に使う。
益利回りEarnings Yield1株利益÷株価(PERの逆数)。株式の期待収益率の目安。
FCF利回りFree Cash Flow Yieldフリーキャッシュフロー÷時価総額。企業が生む現金の株価対比の割合。
値上がり益利回りCapital Gains Yield(売却価格−取得価格)÷取得価格。価格変動から得る収益率。
取得原価利回りYield on Cost現在の配当・賃料÷当初取得価格。当初投資額に対する利回り。
デットイールドDebt YieldNOI÷ローン残高。不動産融資で貸し手が返済余力を見る指標。
開発利回りDevelopment Yield完成後NOI÷総開発コスト。開発案件の採算性を測る。
表面利回りGross Rental Yield年間賃料収入÷物件価格。経費控除前の不動産利回り。
賃貸利回りRental Yield年間賃料(純額)÷物件価格。賃貸不動産の収益率。
AFFO利回りAFFO Yield調整後運用資金(AFFO)÷株価。REITの分配余力を測る利回り。
YIELD関数Yield FunctionExcelで確定利付債の利回りを計算する関数(YIELD)。
売り買いスプレッドBid-Ask Spread売値と買値の差。流動性コストを表す価格差の目安。

2. 金利・スプレッド(金利の種類と複利)

同じ「金利」でも、単利か複利か、手数料込みか、固定か変動かで意味が変わります。表示のルールをそろえるための用語群です。

用語(日本語)英語(略称)1行定義
年率(名目・手数料込み)Annual Percentage Rate(APR)手数料を含む年間金利を単利ベースで表示したもの。
実質年利回りAnnual Percentage Yield(APY)複利効果を反映した実際の年間利回り。同じ表面金利でもAPRより大きくなる。
複利Compound Interest利息を元本に組み入れ、その合計に次の利息が付く計算方法。
単利Simple Interest当初元本のみに利息が付き、利息は元本に組み入れない計算方法。
実効金利Effective Interest Rate複利や手数料を反映した実質的な年利。表面金利との差に注意。
名目金利Nominal Interest Rate物価変動や複利を織り込まない表面上の金利。
固定金利Fixed Interest Rate契約期間を通じて変わらない金利。
変動金利Floating Interest Rate指標金利に連動して定期的に見直される金利。

3. 債券の種類・投資商品と市場

確定利付をはじめ、預金証書・ファンド・先物・保証など、債券まわりで登場する商品と市場のしくみです。

用語(日本語)英語(略称)1行定義
確定利付(債券)Fixed Income定められた利息と満期を持つ債券などの金融商品の総称。
譲渡性預金Certificate of Deposit(CD)満期と金利が定められた預金証書。中途解約に制約がある。
上場投資信託Exchange Traded Fund(ETF)取引所で株式のように売買できる、指数連動などの投資信託。
投資信託Mutual Funds多数の投資家の資金をまとめ、運用会社が分散運用するファンド。
コモディティ(商品)Commodities原油・金・穀物など標準化された取引対象資産。
コモディティ化Commoditization製品・サービスが差別化を失い、価格競争に陥ること。
先物契約Futures Contract将来の受渡価格・数量を現時点で約定する取引所取引の契約。
保証証券Surety Bond債務不履行時に保証会社が履行・賠償を引き受ける保証契約。
流通市場(セカンダリー)Secondary Market既発行の証券を投資家どうしで売買する市場。

4. クレジット・リスクと市場行動

金利・信用にまつわるリスク、契約上の制約、空売りや証拠金など市場行動、発行時の開示書類までをまとめました。

用語(日本語)英語(略称)1行定義
金利リスクInterest Rate Risk金利変動で債券価格が上下するリスク。金利上昇時は価格下落。
期限前償還リスクPrepayment Risk借り手が早期返済し、想定した利息収入が得られなくなるリスク。
再投資リスクReinvestment Risk受取利息などを当初と同じ利回りで再投資できないリスク。
財務制限条項Debt Covenants借入契約で借り手に課される財務・行動上の制約条項。
掛け売り(信用販売)Credit Sales代金後払いで商品を販売すること。売掛金(債権)が発生する。
売上債権回転日数Debtor Days売掛金÷売上高×365。代金回収までの平均日数。
買い戻し日数Days to Cover空売り残高÷平均出来高。空売りの解消に要する日数の目安。
空売り残高Short Interest未決済の空売りポジションの総量。
空売りShort Selling借りた証券を売り、値下がり後に買い戻して利益を狙う取引。
踏み上げ(ショートスクイーズ)Short Squeeze株価上昇で空売り勢が一斉に買い戻し、価格がさらに急騰する現象。
取り付け騒ぎBank Run預金者が一斉に払い戻しを求め、銀行が資金繰り難に陥ること。
維持証拠金Maintenance Margin信用取引で維持すべき最低証拠金の水準。
追証発生価格Margin Call Price証拠金が維持水準を下回り、追加入金が必要になる価格。
ドルコスト平均法Dollar Cost Averaging(DCA)定期的に一定額を投資し、取得単価を平準化する手法。
資金証明Proof of Funds取引に必要な資金を保有していることを示す証明書類。
目論見書Prospectus証券発行時に投資家へ交付する募集内容の開示書類。
仮目論見書Red Herring Prospectus価格未定のまま先行開示する暫定版の目論見書(米国IPO等で使用)。
リボルビング・クレジット枠Revolving Credit Line上限の範囲内で反復して借入・返済できる融資枠(回転信用)。

まとめ

債券・クレジットの用語は、利回り・価格/金利・スプレッド/債券の種類・市場/クレジット・リスクの4分類で捉えると全体像がつかめます。利回り系は「分子(収益)と分母(価格・元本・コスト)の取り方」、金利系は「単利・複利・固定・変動の区別」を押さえるのが要点です。各用語の背景や計算は、下の関連記事で個別に確認してください。

出典・参考(2026-07-16確認)

  • 財務省「国債・公社債に関する用語・制度の解説」
  • 日本証券業協会「証券用語集(公社債・投資信託・信用取引ほか)」
  • 日本銀行「金融・金利・時系列に関する用語解説」

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための仮設例です。