この記事で分かること
- コーポレートガバナンス・コード導入期(2014〜2017年度)の東証一部企業では、社外取締役はまず男性が選ばれ、女性は2人目として取締役会の席を増やす形で加わる傾向があったこと(研究者はこれをトークニズム=形だけの登用と解釈した)
- その傾向は確率で+1.5%ポイント程度と小さく、選任前後の業績の比較でも大半で有意な差が検出されなかった一方、女性の社外取締役が1人いる企業では次の女性が選ばれにくかったこと
- 社外役員の女性比率が33.5%に達した現在、取締役会事務局・指名委員会・機関投資家が「何人目か」「席を増やしたのか」「社外だけか」をどう点検できるか(甲社の設例つき)
想定読者:上場企業の取締役会事務局・経営企画・総務(株主総会)部門、指名委員会の委員、議決権行使やエンゲージメントを担う機関投資家、ガバナンスを分析するアナリスト
前提知識:社外取締役と監査役の役割、株主総会での取締役の選任(研究の統計用語は本文で説明します)
ある上場会社の取締役会事務局が、次の株主総会の取締役候補の案を作っている。取締役は9人、うち社外取締役が3人で、女性は社外の1人だけだ。指名委員会からは「女性をもう1人」と求められ、機関投資家との面談でも同じ質問が出た。退任予定者はいない。席を1つ増やせば早いが、外から「数合わせ」に見えないだろうか。
この迷いには、日本企業のデータで答えた研究がある。武蔵大学・青山学院大学の研究者と、運用会社インベスコの日本法人に所属する研究者による論文「Tokenism in gender diversity on board of directors」で、2022年に学会で報告され、2024年3月にワーキングペーパー、同年11月に査読誌でオンライン公表された1。分析はコード導入直後の2014〜2017年度である。結果を確かめ、現在の制度に照らして何を点検すべきかを考える。
この記事が主に参照する研究
Kan Nakajima、Yoko Shirasu、Eiji Kodera(2025)「取締役会のジェンダー多様性におけるトークニズム(Tokenism in gender diversity on board of directors)」Journal of the Japanese and International Economies 75巻
- 公表:2022年に日本ファイナンス学会で報告(日本語題)。原稿の公開は2024年3月の東京経済研究センター(TCER)ワーキングペーパー E-201。査読誌は2024年11月オンライン、2025年3月号。参照した版:TCER ワーキングペーパー版(掲載誌版は未読)。査読:済(掲載誌)
- データ:東証一部の一般事業会社のうち監査役会設置会社、5,847企業年(2014〜2017年度)。取締役の人数・性別・兼任などを研究者が収集
- 方法:前期の取締役会の状態から当期の社外取締役の選任を説明するロジット回帰(相関の分析で、因果の識別ではない)。選任後の業績は傾向スコア・マッチングと差の差で比較
- 位置づけ:米国で示された「外部の圧力の下で、女性は席を増やす形で加えられる」という議論を、日本の手集めのデータで検証した実証研究
研究は「形 だけ」をどう測ったか
研究が分析したのは、コーポレートガバナンス・コード(以下コード)が2015年に独立社外取締役を少なくとも2名求めた直後の期間である。対象を東証一部の監査役会設置会社に絞ったのは、監査等委員会設置会社などへの移行が取締役会の人数そのものを変え、後で述べる物差しを狂わせるからだという2。
トークニズムは、少数派を少人数だけ迎え入れ、組織の多数派の構成を変えないまま多様性を示すことを指す。経営学では、少数派が2人以下だと象徴として扱われ力を発揮しにくく、3人前後(または3割前後)を超えると意見がまとまって反映されるようになるという「臨界量」の議論がある。研究はこれに従い、女性の社外取締役が1人か2人の状態をトークニズムの範囲とし、3人以上は含めないと定めた。標本の取締役の平均は8.92人で、その30%は2.676人だから、3人という目安と大きくは違わない3。
問題は、ある選任が形だけかどうかを外から判定する方法である。研究は米国の先行研究に倣い、取締役会の人数を増やして女性の社外取締役を迎えた場合をトークニズムの代理とした。既存の男性中心の取締役会が自分たちの席を守ったまま、外から来た女性のために席を足す、という見立てである。人数を増やさずに迎えた場合(退任者の後任など)と分けて分析し、同じ物差しを男性の社外取締役の選任にも当てて比べている4。3社以上で役員を兼ねる「多忙な」女性社外取締役も別に数えた5。分析はロジスティック回帰(ある出来事が起きる確率と、その前の状態との関係を推定する方法)で、説明に使う変数はすべて前年度の値である6。
男性が先に選ばれ、女性は2人目として席を足す形で加わった
出発点の数字から見ておく。2014年度、標本の企業のうち社外取締役がいない企業は96社、1人が631社、2人以上が879社だった。社外取締役の人数は2014年から2017年に男性が2,225人から2,621人(約1.2倍)、女性が203人から315人(約1.6倍)に増えた7。女性の伸びは大きいが、社外取締役に占める女性は8.4%から10.7%へ(編集部計算)と、なお1割前後にとどまる。企業年あたりで見ると、取締役会を増員して女性の社外取締役を迎えた年は1.5%、増員せずに迎えた年は0.9%、増員して男性の社外取締役を迎えた年は7.7%だった8。
回帰の結果は、選任の「順番」を示した。前年度に社外取締役が1人だった企業は、取締役会を増員して女性の社外取締役を迎える確率が有意に高く(係数1.129、z値4.25)、すでに2人以上いた企業では有意に低かった(係数−1.214)。前年度に社外取締役がいなかった企業では、女性の選任との関係は見られなかった。男性では、社外取締役がいない企業でも1人の企業でも、増員して迎える確率が有意に高い。人数を増やさずに女性を迎えた選任には、こうした傾向がなかった9。1人目は男性、2人目に女性を席を足して加え、コードの2名を満たしたら止まる、というのが著者らの読みである。
図1は、この関係を確率の変化(限界効果)に直したものだ。前年度に社外取締役が1人だと、女性を増員で迎える確率は+1.5%ポイント、男性は+11.2%ポイント変わる。2人以上いると、女性は−1.6%ポイント、男性は−13.9%ポイント変わる。女性の変化は男性より1桁小さく、著者らもトークニズムの経済的な影響は限られると結論している10。ただ、+1.5%ポイントは全標本の平均発生率1.5%と同じ大きさでもある。評価の基準となる確率が違うため「確率が倍になる」とは言えないが、絶対値だけで小さいと言い切れるかは物差しによる(編集部の見方)。
「2人目まで」で止まる様子は男女別の分析で見える。前年度に女性の社外取締役が1人いた企業は、新たに女性の社外取締役を迎える確率が、増員でも増員なしでも有意に低かった(係数−1.122・−1.140)。男性の社外取締役が1人いた企業は、増員して女性を迎える確率が高い(係数0.526)11。女性は1人で足りると扱われていた可能性を示す。
米国の研究では外部の圧力がトークニズムを生むとされたが、日本では外国人持株比率が高い企業ほど、人数を増やさずに女性を迎える選任が多い傾向があった(主に10%水準の弱い有意性)。著者らは、外国人投資家の規律がむしろ形式的でない選任を促した可能性があると解釈している12。前年度に女性の監査役が1人いた企業も、増員して女性の社外取締役を迎える確率が高かった(監査役からの横滑りは5件だけ)13。男性取締役の退任は人数を増やさない女性の選任と結びついていたが、女性取締役の退任は新たな女性社外取締役の選任につながっていなかった14。
一方、3社以上で役員を兼ねる多忙な女性社外取締役については、前年度の社外取締役の人数による一貫した傾向が見られず、多忙な女性ほどトークンとして選ばれやすいという仮説は支持されなかった。著者らは、経験と技能の豊富な女性はトークンとしての起用に向かないと解釈している15。最後に、増員して女性社外取締役を迎えた企業と、似た特徴の企業を傾向スコア・マッチングで組み合わせ、選任の前後でROA、トービンのQ、異常会計発生高、監査報酬の変化を比べたところ、大半で有意な差は検出されず、選任2年前〜選任年のトービンのQの比較だけが10%水準で有意だった16。
対象・方法・限界:10年前の東証一部、相関の分析、少ない事例
この研究には四つの留保が要る。第一に、識別は前年度の状態と当年度の選任の相関で、制度変更の前後を対照群と比べる設計ではない。著者らはワーキングペーパーで「準自然実験」と呼んでいるが、掲載誌の要旨からはこの表現が消えている17。第二に、増員をトークニズムの代理とする前提である。取締役会を増員する理由には、監督の強化や新事業に必要な知見の確保もありうる。増員型の選任が形だけだったかどうかを、研究は個々の取締役の役割(委員会の委員長かどうか等)では確かめていない。著者らは、当時の監査役会設置会社では任意の諮問委員会がまだ1割程度で、そうした検証が難しかったと説明している2。
第三に、事例の少なさである。発生率と観測数から逆算すると(編集部の概算)、増員型の女性の選任に当たる企業年は85〜90、多忙な女性の増員型は9〜14しかない。多忙な女性について「トークニズムは見られない」という結論は、「傾向を検出できなかった」と読むのが慎重だろう。業績比較の処置群も29〜35社にとどまる。第四に、時期と対象である。分析は2017年度までで、2018年のコード改訂でジェンダーを含む多様性が明記された後、2023年に女性役員比率の数値目標が置かれた後の行動は含まない。著者ら自身、期間の延長と、最適な取締役会の規模の検討を今後の課題に挙げている17。
関連する研究とも照らしておく。経済産業研究所のMorikawa(2014)は、2011年度の企業調査(非上場を含む3,198社)で、女性がトップの企業が追加の女性取締役を迎えないという意味のトークニズムは日本では見られないとした。定義も対象も時期も違い、本研究と矛盾するものではない18。米国のGormleyらの研究は、大手インデックス運用会社3社の2017年からの働きかけの後、企業が加えた女性取締役が2016年の少なくとも2.5倍(2019年)に増え、委員会の議長・委員への登用も増えたことから、反応は形だけではなかったとした19。本研究の外国人持株の結果と方向がそろうと編集部は見るが、国・時期・手法が違う。
大手町プレップの考察:形だけかどうかは「何 人目」と「席 」で見える
以下は編集部の推論で、研究が検証したものではない。
研究の貢献は、形だけの登用という評価の難しい問題を、外から観察できる二つの手がかり、つまり何人目の選任か、席を足したのか入れ替えたのかに落としたことにある。どちらも招集通知とコーポレートガバナンス報告書で毎年確かめられる。経営者が「多様性を重視している」と語っても、女性が2人目の社外取締役として増員で入り、その後も3人目が現れず、社内からの登用もないなら、研究の言う構図に近い。
ただ、現在の日本の論点は2017年とは位置がずれている。2025年7月末、プライム市場上場企業の役員に占める女性は社外役員で33.5%、社内役員で5.3%だった20。社外役員と社内役員で、女性の比率に約6.3倍の差がある。この集計は各社の選任の人数や順番を示さないが、「女性が社外に偏る」ことが新たな論点になっている、というのが編集部の仮説である。研究も、女性取締役の退任が次の女性の選任につながらないこと、女性の社内取締役が1人いると男性の社外取締役の選任が進むことを、多様性が定着していない兆候として挙げていた14。
もう一つは多忙さの扱いである。研究は、多忙な女性はトークンになりにくいと解釈した。他方、2026年改訂のコードは、他の上場会社の役員を兼ねる数を合理的な範囲にとどめるべきだとしている。経験のある女性の候補者が限られる中で兼任が増えれば、一人が使える時間は減る。兼任の多さを実力の証明と見るか時間の制約と見るかは、担う役割(どの委員会か、委員長か)とあわせて判断すべきだろう。
日本の実務への応用:2026年改訂のコードと女性役員比率の目標
現行の制度を一次資料で確かめておく。2026年7月21日に確定したコードの2026年改訂版は、プライム市場上場会社に、資質を備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場は2名)選任するよう求める(原則4-10)。取締役会はジェンダー・国際性・経歴・年齢・文化的背景を含む多様性と適正な規模を両立させ、経営戦略に照らして必要なスキルを特定し、その組み合わせを開示すべきだとされる(原則4-13)。解釈指針では、指名委員会・報酬委員会がジェンダー等の多様性やスキルの観点を含めて関与・助言する責務を負うこと、兼任の数は合理的な範囲にとどめることが書かれた21。
数値目標は政府の方針と取引所の規程にある。2023年の女性版骨太の方針は、プライム市場上場企業に、2025年を目途に女性役員を1名以上選任するよう努め、2030年までに女性役員比率を30%以上とすることを目指すよう求めた。東京証券取引所は同年10月10日施行の上場規程の改正で、これを企業行動規範の「望まれる事項」に置いた。政府の基本計画は2025年の成果目標を19%としている22。実績は図2のとおりで、2025年は17.7%と目標に1.3%ポイント届かず、女性役員のいないプライム企業は2.5%残る20。
見落としやすいのは目標の「役員」の範囲である。内閣府の集計は2024年以降、取締役・監査役・執行役に加えて、各社が目標の前提とした執行役員等も含む。取締役会の女性比率とは別の数字で、研究が見た取締役会の構成とも物差しが違う。
学習用の設例:甲社の3つの選任案を比べる
学習用の設例(架空)
- 甲社はプライム市場上場の監査役会設置会社。取締役9人(社内6人はすべて男性、独立社外3人のうち女性1人)
- 監査役4人(うち女性1人)、取締役を兼ねない執行役員18人(うち女性2人)
- 案A:取締役会を1人増やし、女性の社外取締役を加える。案B:退任する社内取締役の後任に女性の社外取締役を選ぶ。案C:案Bに加え、退任する男性の社外取締役の後任も女性にする
図3のとおり、取締役会の女性比率は現状の11.1%から、案Aで20.0%、案Bで22.2%、案Cで33.3%になる。案Aは研究の言う増員型そのもので、比率の上がり方も最も小さい。案Bは席を増やさずに社外取締役を4人(44.4%)にするが、女性は2人で研究の定義ではまだトークニズムの範囲にある。3人に届くのは案Cだけだ。
しかし、監査役と執行役員を含めた役員の女性比率は、案Cでも19.4%にすぎない。甲社の役員31人で30%に届くには女性が10人必要で、取締役3人・監査役1人の女性に加えて、執行役員で6人の女性が要る。取締役会の席の調整だけでは目標に届かず、社内の登用の積み上げが欠かせないことが、数字から分かる。表1は、取締役会の人数ごとに、30%・3分の1に必要な人数と、女性3人のときの比率をまとめたものだ。人数が10人を超えると、3人でも30%に届かない。
表1 取締役会の人数ごとの、人数の目安
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| 取締役会の人数 | 30%以上に必要な人数 | 3分の1以上に必要な人数 | 3人のときの比率 |
|---|---|---|---|
| 6人 | 2人 | 2人 | 50.0% |
| 7人 | 3人 | 3人 | 42.9% |
| 8人 | 3人 | 3人 | 37.5% |
| 9人 | 3人 | 3人 | 33.3% |
| 10人 | 3人 | 4人 | 30.0% |
| 11人 | 4人 | 4人 | 27.3% |
| 12人 | 4人 | 4人 | 25.0% |
| 13人 | 4人 | 5人 | 23.1% |
| 15人 | 5人 | 5人 | 20.0% |
明日から使える確認項目
取締役会事務局・指名委員会と機関投資家が、招集通知とガバナンス報告書から確かめられる手順を挙げる。
- 過去5期の取締役の名簿を並べ、社外取締役と女性取締役が「何人目」として、どの年に加わったかを1枚の表にする。女性が2人目の社外取締役として入り、その後に3人目も社内の女性取締役も現れていなければ、その理由を説明できるようにしておく
- 女性の取締役を迎えた年に取締役会の人数が増えたか、誰かの後任だったかを確かめる。増員だった場合は、その席が担う役割(どのスキルを補うか)をスキル・マトリックスの項目と対応させて書けるか
- 女性の社外取締役が、指名・報酬・監査のどの委員会に入り、委員長を務めているかを確認する。全員が委員でもない、または委員長が一人もいない状態が続くなら、指名委員会で議題にする
- 取締役会の女性比率と、執行役員まで含めた役員の女性比率を分けて開示し、有価証券報告書の人的資本の開示(女性管理職比率など)とあわせて、社内の女性の候補者(執行役員・部長層)の人数と育成計画を後継者計画と一緒に示す
- 女性の候補者の兼任数を数え、他の上場会社の役員を3社以上兼ねる場合は、出席率と時間の確保の考えを説明できるようにする
- 機関投資家はスチュワードシップ・コードの下での対話で「次の女性取締役は増員か、交代か」「社外の女性が退任したら後任の考え方は」「社内から取締役に上がる女性の候補者は何人いるか」を尋ね、回答を翌年の選任議案と照合する
よくある質問
女性の社外取締役を増員で迎えるのは、避けるべきことですか。
研究は増員型の選任をトークニズムの手がかりとしましたが、増員そのものが悪いとは示していません。補うスキルや委員会での役割を説明でき、その後の登用につながっていれば、形だけという評価は当たりにくいと考えられます。
女性取締役を増やすと業績は良くなるのですか。
この研究では、増員型で女性社外取締役を迎えた企業と似た企業を比べ、ROAやトービンのQなどの変化に、大半の比較で統計的に有意な差は検出されませんでした
まとめ
コード導入直後の2014〜2017年度の東証一部企業では、社外取締役はまず男性が選ばれ、女性は2人目として取締役会の席を足す形で加わり、女性が1人いれば次の女性は選ばれにくかった。その効果は確率で1〜2%ポイント程度で、選任後の業績の比較でも大半で有意な差は検出されず、相関の分析で事例も少ない。2025年には社外役員の女性が33.5%に達しており、編集部は、論点が社内の登用と役割の中身へ広がりつつあると考える。何人目か、席を足したのか、どの委員会で何を担うのかという三つの問いは、現在の指名の点検にも使える。
脚注
- R1(TCER Working Paper E-201, 2024年3月)p.1(表紙の日付)・p.32(謝辞:2022 Fall Conference of the Nippon Finance Association、2022 Hitotsubashi University Academic Conference、2023 Japan Society of Monetary Economics など)。2022年の日本ファイナンス学会での報告(日本語題「日本企業の取締役会におけるtokenism視点からのジェンダー多様性-コーポレートガバナンスコード導入黎明期の分析から」、報告者 中嶋幹)は R2(科研費の研究成果一覧。年のみの表示で月日は未確認)による。査読誌版は Journal of the Japanese and International Economies 75巻 101342(2024年11月オンライン、2025年3月号、DOI 10.1016/j.jjie.2024.101342)。著者の所属は R1 p.2〜3 による。掲載誌のオンライン公表は Crossref の登録(CC BY-NC-ND ライセンスの開始 2024年11月27日、DOI 登録 2024年11月28日)、査読ありは武蔵大学の研究者データベースの業績記録(Referee: Exist、Date of Issue 2025年3月)による。学会のプログラムは入手できていない。本稿のページは TCER 版 PDF の物理ページ(p.3=印刷ページ1)で、掲載誌版は自動取得が拒否されたため読んでいない。↩
- R1 p.16(第5節 Sampling、注14・注15)。日経 NEEDS から選んだ東証一部の一般事業会社のうち監査役会設置会社、2014〜2017年度、変則決算を除く。注15は、指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社への移行で取締役会の人数が変わることがトークニズムの識別の雑音になると説明する。注14は、2015年の東証の白書で監査役会設置会社の任意の諮問委員会の設置が1割程度だったため、社外取締役が取締役会で重要な役職に就いていたかなどの検証が難しいとする。↩
- R1 p.8(Kanter の4分類と臨界量。3人以上または30%)・p.10(第4節。女性社外取締役が1人または2人ならトークニズム、3人以上は該当しないとする定義。標本の取締役の平均8.92人×0.3=2.676)。↩
- R1 p.12(第5節 Research design)・p.15(表1の変数の定義)。Female1=前期に女性社外取締役がいない企業が1〜2人、または1人の企業が2人の女性社外取締役を選任し、取締役会の人数が増えた場合。Female2=同じ選任で人数が増えなかった場合。本文 p.12 は「社外取締役の人数の増加」、表1は「取締役会の増員」と書き、表現が揃っていない。Male1・Male2 は男性社外取締役の選任について同じ区分。米国の先行研究(Knippen et al., 2019)に依拠(p.8〜10)。↩
- R1 p.12(Female1b・Female2b:当期に3社以上で役員を兼ねる女性社外取締役の選任)・p.11(仮説2)。↩
- R1 p.14(ロジット回帰、説明変数はすべて前期の値、東証17業種と年度のダミー)・p.20(表3の注:企業単位のクラスター頑健標準誤差)。↩
- R1 p.18(図1:2014年度の社外取締役の人数別の企業数)・p.18〜19(図2:社外取締役の人数の男女別の推移。約1.2倍・1.6倍は論文の記述)。兼任を重複して数えると、男性2,487人→2,907人、女性236人→372人(p.19 注16)。社外取締役に占める女性の割合は図2の人数からの編集部計算。↩
- R1 p.16〜17(表2:被説明変数の平均。Female1 0.015、Female2 0.009、Male1 0.077、Male2 0.028。観測数5,847)。↩
- R1 p.20(表3:Female1 の model 5・6)・p.23(表5:Male1)・p.24(結果の解釈)。表3の Female1 の観測数は3,989。前期に社外取締役がいない企業(D0)の係数は Female1 で−0.115(z=−0.17)、Male1 で1.617(1%水準)。↩
- R1 p.26(表6:限界効果。各変数の平均で評価)・p.26〜27(本文。経済的な意味は限られるとの結論)。論文は限界効果を「%」と表記しているが、確率の変化なので本稿では%ポイントと書く。限界効果は回帰標本(3,989企業年)の各変数の平均で評価した値で、全標本(5,847企業年)の平均発生率1.5%とは基準が異なる。両者が同じ大きさだという比較は編集部による。↩
- R1 p.27(表7:前期の社外取締役の男女別の状態。前期に女性社外取締役が1人:Female1 −1.122、Female2 −1.140、いずれも5%水準。前期に男性社外取締役が1人:Female1 0.526、5%水準)。↩
- R1 p.20(表3)・p.24〜25(本文)。外国人持株比率は Female2 で6つのモデルのうち5つが10%水準、1つが5%水準で正。浮動株比率と海外売上比率は女性の選任で有意でない。同業の女性社外取締役の平均人数は Female2 で有意に負(予想と逆)。著者らは外部の圧力がトークニズムを生むという仮説を支持しないと結論。↩
- R1 p.28(表8:前期に女性監査役が1人。Female1 で1.102、5%水準)・p.28 注19(前年度の女性社外監査役が当年度に社外取締役になった例は5件)。↩
- R1 p.20・p.23(表3・表5)・p.25・p.29(本文)。男性取締役の退任数は Female2 で有意に正、女性取締役の退任数は Female1・Female2 とも有意でない(Male2 では両方とも有意に正)。前期に女性の社内取締役が1人いると Male1 が正(10%水準、表8)。このほか、女性CEO・総資産・ROA は Female1 で有意に正、取締役会の人数は有意に負。↩
- R1 p.22(表4)・p.24〜26(本文。仮説2は支持されない)・p.31(結論)。↩
- R1 p.29〜30(表9:1対1・非復元の傾向スコア・マッチング、キャリパー0.2σ。ΔROA・ΔQ・Δ異常会計発生高・Δ監査報酬を t−2〜t、t−1〜t+1、t〜t+2 で比較)。有意な差は t−2〜t の Q(10%水準)だけ。有意でないことは効果がないことの証明ではない。処置群は Female1 で29〜35社(変数と期間で異なる)。↩
- R1 p.3・p.5(”quasi-natural experiment”)、p.32(限界:導入初期だけの分析で、その後の女性取締役の要請・30%目標・大手運用会社の要請を含む期間への延長と、最適な取締役会の規模は今後の課題)。掲載誌版の要旨(Crossref・OpenAlex に登録された要旨で確認)は結論が同じで、”Using our sample period after the introduction of the Code” と書き換えられている。2018年のコード改訂で多様性が加わったことは R1 p.5 注4 と R5 による。↩
- R3 p.2(要旨)・p.7〜8(データ:経済産業研究所の企業調査と企業活動基本調査、2011年度、3,198社)・p.9(女性取締役のいない企業81%、1人14.3%、2人以上4.7%)・p.11(女性CEOの係数が負で有意でない)。↩
- R4 p.2(要旨:2019年に加えた女性取締役は2016年の少なくとも2.5倍)・p.29〜31(4.5.2節:委員会の議長・委員への女性の登用。9つの推定のうち負のものはなく、4つが正で有意)。米国の上場企業、2017年に始まった大手3社の働きかけの前後を、各社の保有比率の違いで比べる設計。NBER ワーキングペーパー版(2022年11月、2023年4月改訂)を参照。↩
- R5(内閣府男女共同参画局「上場企業における女性役員の状況」)の資料「東証プライム市場上場企業における女性役員の内訳」(2025年7月31日現在)・「女性役員割合の推移」。原資料は東洋経済新報社「役員四季報」と内閣府調査。役員は取締役・監査役・執行役に加え、各社が女性役員登用目標の前提とした執行役員等を含む。女性役員のいないプライム企業の割合2.5%(2025年)は同ページ本文の記載による。↩
- R6(金融庁・東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)の確定について」2026年7月21日)別紙1:原則4-10(p.23)、原則4-13 とその解釈指針(p.25)、原則4-7 の解釈指針(p.22)。ページは別紙1の PDF の物理ページ。↩
- R5 の資料「上場企業の女性役員数及び割合の推移」:女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(2023年6月13日)、東京証券取引所の有価証券上場規程の改正(2023年10月10日施行、企業行動規範の「望まれる事項」)、第5次男女共同参画基本計画の一部変更(2023年12月26日)による成果目標(東証プライム市場上場企業の役員に占める女性の割合19%、女性役員のいない企業0%、いずれも2025年)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Nakajima, K., Y. Shirasu and E. Kodera (2025), “Tokenism in gender diversity on board of directors,” Journal of the Japanese and International Economies 75, 101342. DOI: 10.1016/j.jjie.2024.101342. 参照した版:TCER Working Paper E-201 “Tokenism in Gender Diversity among Board of Directors”(2024年3月)。査読:済(掲載誌。2024年11月オンライン)。 tcer.or.jp (参照箇所:TCER 版の本文 p.1〜37(PDF の物理ページ)、表1〜9、図1〜2。掲載誌版(https://doi.org/10.1016/j.jjie.2024.101342、CC BY-NC-ND 4.0)は自動取得が拒否されたため未読で、要旨だけを Crossref・OpenAlex の登録で確認。脚注1〜17の根拠。公表日・査読の控えは papers/P0064/related/jjie_record.txt(Crossref・OpenAlex)と musashi_record.txt。閲覧日:2026年10月)
- R2 科学研究費助成事業データベース(KAKEN)「拡張ガバナンスとESG投資の長期的評価」(課題番号 20K01750、研究代表者 白須洋子)研究成果 kaken.nii.ac.jp (参照箇所:学会発表の一覧(2022年 日本ファイナンス学会、2023年 日本金融学会2023年度秋季大会ほか)。初出の確認。脚注1の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Morikawa, M. (2014), “What Types of Company Have Female and Foreign Directors?” RIETI Discussion Paper Series 14-E-032. 参照した版:RIETI DP(2014年6月)。査読:未査読(DP)。 rieti.go.jp (参照箇所:p.2・p.7〜9・p.11。脚注18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 Gormley, T. A., V. K. Gupta, D. A. Matsa, S. C. Mortal and L. Yang (2023), “The Big Three and board gender diversity: The effectiveness of shareholder voice,” Journal of Financial Economics 149(2), 323–348. DOI: 10.1016/j.jfineco.2023.04.001. 参照した版:NBER Working Paper No. 30657(2022年11月、2023年4月改訂)。査読:済(掲載誌)。 nber.org (参照箇所:NBER 版 p.2・p.29〜31(4.5.2節)。脚注19の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R5 内閣府男女共同参画局「上場企業における女性役員の状況」(女性役員割合の推移、東証プライム市場上場企業における女性役員の内訳、上場企業の女性役員数及び割合の推移。2025年7月末時点) gender.go.jp (参照箇所:ページ本文と掲載資料(pdf/yakuin_01.pdf・pdf/yakuin_03.pdf・pdf/suii.pdf)。2026年10月24日閲覧(本文の控え jp/gender_yakuin_page.txt)。脚注17・20・22の根拠、図2。閲覧日:2026年10月)
- R6 金融庁・株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)の確定について」(2026年7月21日)別紙1「コーポレートガバナンス・コード」(2026年改訂版) fsa.go.jp (参照箇所:別紙1(https://www.fsa.go.jp/news/r7/singi/20260721/01.pdf)原則4-7・4-10・4-13 と解釈指針(p.22〜25)。脚注21の根拠、表1。確定日は告知ページ本文(令和8年7月21日。控え jp/fsa_20260721.txt)と別紙1表紙。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。