この記事で分かること
- 米国の大手銀行の商業用不動産(CRE)ローンでは、借り手の業績報告が届いた四半期に内部格付が大きく動く一方、報告が古くなっても格付はほとんど動かないこと
- 報告が古いローンほどデフォルト状態にある確率が高く、遅れて届いた報告ほどNOIの悪化を含んでいたこと。ただし銀行は、原油急落や金利上昇のように危険が見えた場面では監視を強めていたこと
- 日本の不動産向け融資の管理や、ローン債権の評価・DDで「NOIの基準日」を管理項目にする手順と、据え置きDSCRの感応度の見方(学習用の設例つき)
想定読者:不動産向け融資の審査・期中管理を担う銀行・ノンバンクの担当者、ローン債権やCMBSを評価するクレジット投資家・FAS、借入側でレンダー報告を担うアセットマネジャー
前提知識:NOIとDSCRの意味、内部格付とデフォルト確率(PD)の大まかな考え方(回帰分析の知識はなくても読める)
年1回届くはずのレントロールと物件の収支報告が、期限を過ぎても来ない。催促はしたが、返済は滞っていない。こうしたローンの内部格付を、前回の数字のまま据え置くか、それとも何らかの形で下げるか。多くの担当者は前者を選ぶだろう。延滞のない先の格付を、新しい事実もないのに下げる理由は説明しにくいからだ。
この「報告がないこと」自体にリスクの情報が含まれているかを、米国の監督データで確かめた研究がある。米連邦準備制度理事会(FRB)の研究者2名が2025年4月に公表したワーキングペーパーで、題名は「便りのないのは悪い便り」を意味する。本稿では、研究が示した数値と示していない点を分けたうえで、日本の不動産向け融資の管理とローン債権の評価に持ち込む方法を考える。
この記事が主に参照する研究
Samuel K. Hughes and Joseph B. Nichols(2025)”No News is Bad News: Monitoring, Risk, and Stale Financial Performance in Commercial Real Estate” Finance and Economics Discussion Series 2025-032(Federal Reserve Board)
報告の「古 さ」をどう測るか
CREローンの契約では、借り手が物件の業績を貸し手に報告する時期が決められており、多くは年1回である。研究が使う監督データでは、銀行が保有する各ローンについて、手元にある最新のNOI
決算が締まった直後に毎年届くなら、平均の古さは約2四半期になる。実際にはコロナ前(2015〜2019年)の平均で約4四半期あり、2022年以降はそこからさらに1四半期近く古くなった5。銀行が見ているNOIは、平均して1年前の物件の姿だということになる。
証券化されたローンでは扱いがはっきりしている。著者らによれば、CMBSの業界標準の報告様式では、借り手が通常4四半期続けて報告しないとサービサーの要注意リストに載り、特別サービサーへの移管に進む6。銀行が自ら保有するローンには、こうした一律の手当てがない。
研究が示した結果:報告が来れば動き、来なければ動かない
まず、銀行は借り手の報告に強く依存していた。NOIが更新された四半期には、内部格付のデフォルト確率
問題は報告が来ないときである。同じローンの中で比べると、NOIの情報が1四半期古いほど、その四半期にデフォルト状態(銀行がPDを100%とした状態)にある確率は3.77bp高かった。平均0.396%に対して9.5%高い。当期と過去4四半期の古さを入れた推計では、5つの係数の和は約6bp(平均比15.2%)だった。どちらも同時点のデフォルト状態との関係で、将来の新たなデフォルトの確率を推計したものではない9。支払の延滞でみても向きは同じだが、関係は弱い(同時点で平均比2.7%、5%水準で有意)。著者らは、報告を怠ったこと自体を理由に貸し手が技術的なデフォルトを認定できるため、デフォルトの方が古さと強く結びつく可能性を挙げている10。
遅れて届いた報告の中身も悪かった。前回の報告から間が1四半期空くごとに、NOIの増加率は0.201%ポイント低く、NOIが前回より減っていた確率は0.836%ポイント高い(平均39.4%)。もっとも、大きく遅れた報告でもNOIは平均では増えており、悪化は一部のローンに偏っている11。
ところが銀行の格付は逆の動きをした。NOIの情報が1四半期古いほど、1bpを超えるPDの変更が起きる確率は1.45%ポイント低く(平均20.9%)、PDの水準もわずかに低い(4.04bp、平均1.112%)。著者らはこれを、銀行が報告を待って判断する「様子見」の運用と読んでいる12。図1は、各推計の係数をそれぞれの標本平均で除した参考値である。NOIの減少は報告が届いた四半期だけの標本で、説明変数も前回の報告からの間隔なので、別枠に分けた。
赤の実現したローンの状態と紺の銀行の評価で、符号が逆になっている。ただし推計式・標本・結果の指標が項目ごとに違い、同じ物差しではない。棒の長さの差から、リスクと評価の乖離の大きさは判断できない。デフォルト状態には、報告の懈怠を理由に銀行が認定する技術的デフォルトも含まれうる。著者らは、銀行が地域の雇用統計や現地訪問などの別の経路でもリスクを見ている可能性を認めつつ、借り手が出す数字(ハード情報)の方がリスク管理上の価値はかなり大きいとみている13。
危険が見えたときには監視を強めていた
銀行が単に怠慢だったわけではない。研究の後半は、監視に費用がかかることを前提に、情報の価値が上がった場面で銀行が監視を強めたかを、因果関係として識別しようとしている(表1)。
表は横にスクロールできます →
| 場面 | 監視(情報の鮮度) | 格付・読み方 |
|---|---|---|
| 原油急落後、企業向け融資で石油・ガスへの与信が大きい銀行が、影響の無い都市に持つCREローン | 情報の古さが23%低下(2016年初まで) | 都市の景気では説明しにくく、銀行側の事情で監視を強めたと著者は解釈 |
| 同・影響が中程度の都市 | 露出の大きい銀行は約24%低下、小さい銀行は11%上昇 | 同じ都市でも銀行によって監視の向きが逆 |
| 同・影響が最も大きい都市 | 両方の銀行で25〜27%低下(2016年末まで) | ショックから約2年かかった |
| 10年国債利回りが100bp上昇したときの変動金利ローン(固定金利ローンとの差) | 古さが0.138四半期低下、財務欄の空欄が1.1%ポイント低下 | PDの悪化が2%ポイント、改善も1.4%ポイント増える |
一つは2014年後半の原油急落である。石油・ガス産業への企業向け融資が多い銀行は、石油と無関係な都市に持つCREローンでも、2016年初までに情報の古さを23%縮めた。影響が中程度の都市では、こうした銀行が古さを約24%縮めた一方、露出の小さい銀行は11%古くしている。最も打撃の大きい都市では、どちらの銀行も情報を新しくしたが、それには約2年かかった14。
もう一つは金利である。10年国債利回りが100bp上がると、変動金利ローンの融資金利は約0.40%ポイント上がり、延滞も増える。このとき固定金利ローンと比べて情報の古さは0.138四半期縮み、財務欄が空欄のローンは1.1%ポイント減った。格付も動き、悪化が2%ポイント(平均比20%)増えただけでなく、改善も1.4%ポイント増えた。悪化と改善の両方向の格付変更が増えたという結果である。著者らは、銀行が監視を強めてリスクの高い先と低い先を見分けた可能性を挙げる一方、引当(CECL)の負担を相殺するために一部のPDを下げる誘因がありうることも論じている15。
研究の範囲と限界
対象は米国の大手銀行が保有する投資用の4用途で、自己使用の物件、建設ローン、ホテルは含まない。中小の銀行やノンバンク、CMBSの結果ではない。報告の古さとデフォルトの関係は相関であり、報告の遅れがデフォルトを引き起こすことを示したものではない。業績が悪い借り手ほど報告を遅らせる、という向きで読むのが自然だろう(編集部の見方)。著者ら自身も古さを「銀行の情報需要と借り手の情報供給の結果」と位置づけている。付録では、地域の失業率が上がった後に平均の古さが上がる関係も示されている16。デフォルトの定義に報告懈怠による技術的デフォルトが含まれうる点も、関係の一部が機械的である可能性を残す。WPであり、査読を経た結論ではない。
近い問いの研究として、同じ監督データの企業向け融資を使ったCooper HowesとGregory Weitznerの研究がある。地域の失業率が1%ポイント上がると、銀行のPDが実際のデフォルトを言い当てる力が平均の約3分の1高まり、その効果は新規融資に集中していた17。景気が悪いときに銀行が情報を集めるという点で本研究の後半と整合し、既存の融資では動きが鈍いという点では前半の「様子見」と方向がそろう(この対比は編集部の整理)。また、行員による審査の間隔を監視の指標とし、担保価値を下げた法改正の後に監視が減ったことを示したスウェーデンの研究もあると、本研究は紹介している18。
大手町プレップの考察:「据 え置き」は中立の仮定ではない
以下は研究を踏まえた編集部の見方で、研究が検証したことではない。
古いNOIをそのまま評価に用いる場合は、「NOIは前回から変わっていない」という仮定を置くことになる。格付には地域の情報や現地確認などのソフト情報も入りうるので、格付の据え置きがそのまま同じ仮定だとは限らない。それでも、遅れて届いた報告ほどNOIが減っている確率が高かった以上、古い数字に頼る評価は分布の悪い側を見えにくくする。著者らが結論で、古いNOIをそのまま、あるいは市場賃料の指数で伸ばして使う「前送り」の手法に偏りがあると警告しているのも、この点である19。
実務で効くのは、古さを格付の値そのものに反映させることより、確認の順番を決める指標として使うことだと考えられる(仮説)。原油と金利の場面では銀行が情報を新しくし、金利の分析では悪化と改善の両方向の格付変更が増えた。監視を強めれば判断の材料が増えると考えられる。限られた人手をどのローンに向けるかを、報告の古さと財務の余裕の組み合わせで決めるのが合理的だろう。借り手の側からみれば、期限どおりの報告は、貸し手に悪い推測をさせないための手段でもある。
日本の実務への応用
日本でも不動産向け融資は増えている。日本銀行の金融システムレポート(2026年4月号)は、不動産業向け貸出が全産業向けより速いペースで伸び、与信先が個人の貸家業から不動産ファンドなどへ徐々に移っていると指摘する20。不動産ファンド向けのノンリコースローンは返済原資が物件のキャッシュフローと売却価値に限られ、賃料の変動を直接受けやすい。同レポートは、現時点では債務者区分は良好で、不動産業のデフォルト率も低いとしている21。
デフォルトが少ない局面は、報告の遅れが見過ごされやすい局面でもある。米国の結果を日本の銀行の格付にそのまま当てはめる根拠はない。日本の金融機関が物件の報告の基準日をどう管理しているかを示す公開統計も、本稿では確認できていない。それでも、物件のキャッシュフローと売却価値が返済原資であるノンリコースローンほど、最後に受け取ったNOIの鮮度が与信判断の前提を左右する点は共通している。商業用不動産ローンの組成実務で扱うDSCRの維持基準やスプリンギング・コベナンツも、検証に使うNOIが古ければ発動が遅れる。
学習用の設例:古さと余裕の薄さで確認の順番を決める
学習用の設例(架空)
- ある銀行が2026年第3四半期時点で保有する不動産向けローン6件(A〜F)。数値はすべて架空
- 手元のNOI(直近に受け取った年間NOI)と年間の元利払いから、DSCRを計算する。維持基準は1.20倍
- 古さが4四半期以内は「通常の遅れ」とみなす(研究が示した米国の平均的な古さを目安にした線引き)
- それを超えた1四半期ごとにNOIが1〜3%ずつ下がっていると仮定した場合のDSCRを並べる。低下率は感応度を見るための仮定で、研究の推計値ではない
最後のNOIのままなら、6件すべてが維持基準を上回る。報告の古さで見ると、C・D・E・Fの4件が4四半期を超えている。このうちEは余裕が大きく、基準に達するのは1四半期に約19.2%ずつNOIが下がった場合である。確認を急ぐべきは、古さと余裕の薄さが重なるDで、1四半期あたり1.3%の低下で基準に達する(表2)。Fは最も古いが、基準に届くのは1四半期あたり3.3%の低下である。
表は横にスクロールできます →
| ローン | 基準日/古さ | 据え置き | 1% | 2% | 3% | 1.20倍に届く率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A(賃貸住宅) | 2025年4Q/3 | 1.40 | 1.40 | 1.40 | 1.40 | — |
| B(物流施設) | 2025年4Q/3 | 1.30 | 1.30 | 1.30 | 1.30 | — |
| C(オフィス) | 2025年1Q/6 | 1.30 | 1.27 | 1.25 | 1.22 | 3.8% |
| D(商業施設) | 2024年4Q/7 | 1.25 | 1.21 | 1.18 | 1.14 | 1.3% |
| E(賃貸住宅) | 2025年2Q/5 | 1.49 | 1.47 | 1.46 | 1.44 | 19.2% |
| F(オフィス) | 2024年2Q/9 | 1.43 | 1.36 | 1.29 | 1.22 | 3.3% |
| 維持基準未満の件数 | 0 | 0 | 1 | 1 |
この表の目的は、各ローンの本当のDSCRを推定することではない。最後のNOIに頼った結論が、どの程度の悪化で崩れるかを先に知ることにある。1〜3%は研究とは独立に置いた仮定である。研究の係数(前回の報告からの間隔1四半期あたりNOI増加率が約0.201%ポイント低い)は報告間のNOI増加率についての推計で、設例の直近NOIに対する低下率とは対象が違い、直接は比べられない。
明日から使える確認項目
- 保有ローンの一覧に「直近NOIの基準日」と「受領日」の2列を加え、評価時点との差を四半期で計算する。受領日だけでは古さは分からない。
- 古さが5四半期以上(設例の線引きに合わせた編集部の目安)のローンを抽出し、DSCRの余裕(維持基準に達するまでのNOIの低下率)と並べて、両方が悪い先から確認する。表2の右端の列がその計算である。
- 報告の未着を格付やウォッチの判断材料として記録する。延滞がないことを理由に据え置く場合は、その根拠(現地確認、テナントの入退去情報など)を残す。
- 古いNOIを市場の賃料指数で伸ばして使っている評価やモデルを洗い出し、据え置きと低下の感応度を併記する。
- ローン債権の購入やリファイナンスの検討では、データテープの各ローンについて「このNOIは何年何月時点の数字で、いつ受け取ったか」を質問する。
- 金利上昇や特定業種の悪化など、危険が見えた局面では、影響を受ける先から報告の催促と現地確認を前倒しする。研究でも、金利上昇の影響を受けた変動金利ローンでは情報が新しくなり、悪化と改善の両方向の格付変更が増えた。
よくある質問
報告が遅れている先は、格付を下げるべきですか。
研究は、古さがデフォルトと相関することを示しましたが、どれだけ格付を下げれば正しいかは示していません。まず確認の優先順位を決め、報告を取り寄せるか現地を確認してから判断するのが現実的です。
日本の銀行にも同じ結果が当てはまりますか。
対象は米国の大手銀行のCREローンで、日本のデータでは検証されていません。物件の収支が返済原資になるノンリコースローンでは仕組みが近いため、確認の手順として参考にできます。
まとめ
米国の大手銀行のCREローンでは、借り手の業績報告が届くと格付は大きく動いたが、報告が来ないあいだは動かず、古いローンほどデフォルト状態にある確率は高かった。遅れて届いた報告ほど、NOIの悪化を含んでいた。一方で銀行は、危険が目に見えた場面では監視を強めていた。金利の分析では、悪化と改善の両方向の格付変更が増えた。報告の古さは、格付を機械的に下げる材料というより、限られた監視の人手をどこに向けるかを決める指標として使うのがよい。
脚注
- R1。FRBの掲載ページ・FEDS 2025年一覧の表示「April 2025」、PDF p.2 の日付、Crossref の DOI 登録(2025年4月)による(2026年10月23日確認。掲載ページには別に最終更新日「September 19, 2025」の表示があるが、内容の改訂は確認できない)。著者ページ・SSRN 等で前身の版は見つからなかった。謝辞(PDF p.2)によれば、OFR・FRBのセミナー、Boca Finance and Real Estate Conference、AREUEA-ASSA 2025 で報告。表紙(PDF p.1)に、FEDS は議論のための暫定的な資料で、結論は著者のものでありFRBの見解ではない旨の記載がある。本記事のページは PDF の物理ページ(印刷ページ番号+1。以下同じ)。↩
- R1 p.8(3節・脚注14)・p.41(付録A)。Form Y-14Q Schedule H.2 は CCAR(大手銀行の資本計画の審査)の一部として集めるローン単位のデータ。自己使用物件は収集の対象外で、建設ローンやホテル等の用途は分析から除いている。NOIの報告は2011〜12年、稼働率は2014年から始まり、主な分析は2015年第1四半期以降(原油の分析は2013年から)。標本の終期は本文に明記がない(図には2024年第1四半期の分布がある)。↩
- R1 p.17〜19(式(3))・p.24〜25(Table 4)は、ローン・報告四半期×都市(CBSA)・暦四半期・経過期間の固定効果を入れた線形確率モデル。p.25〜30(6.1節)は原油急落を外生ショックとする比較、p.30〜36(6.2節)は変動金利ローンと固定金利ローンの差の差。↩
- R1 p.6(2節)・p.8〜9(3節)。報告は概ね年1回で、基準日から受領まで数四半期の遅れが一般的とされる。古さの例は p.9 の記述による。↩
- R1 p.9〜10・Figure 2。2020年は0.25〜0.5四半期上昇(小売で大きい)、2022年に一旦コロナ前の水準に戻り、その後は2019年比で1四半期近く上昇。↩
- R1 p.6(2節)。CRE Finance Council の Investor Reporting Package に基づく扱いとして著者が記載(同会の文書は本稿では未確認)。↩
- R1 p.14(4.1節)・Figure 6。係数は付録 Table B6。NOIが更新された四半期とその前後の四半期を比べる一般化イベントスタディ。↩
- R1 p.4(1節)・p.17〜18(Table 1 (1))。NOI変化率1%あたりPDは0.00693%ポイント低下。稼働率1%ポイントの上昇でPDは0.0167%ポイント低下し、賃貸住宅で反応が大きい(同 (2))。更新された四半期だけを見た推計のため、総効果は過小になりうると著者は注記。↩
- R1 p.19〜21(式(3)・Table 2 (1)(2))。従属変数は、その四半期に銀行のPDが100%(デフォルト中)かどうか(Table 2 注)で、当期の古さとの同時点の関係。係数0.0377(%ポイント)、平均0.396%。累積は当期と遅行4期の古さの5係数の和で0.060(p値0.000)。米国大手銀行のCREローンで、自行が組成・管理するローンに限った主推計(他行から取得したローンを含めても結果は同様と付録で報告)。↩
- R1 p.18・p.20〜21(Table 2 (3)(4))。延滞は支払遅延の残高があるローン。同時点の係数0.0120(5%水準で有意)、平均0.445%、累積0.025(p値0.010)。遅行項を入れた式では同時点の係数は有意でない。延滞の方が銀行間で客観的な定義だと著者は説明。↩
- R1 p.21〜23(5.2節)・Table 3 (1)(3)。係数は−0.201(NOI変化率、%ポイント)と0.836(NOI減少の確率、%ポイント)。平均はNOI変化率5.016%、減少の割合39.40%。稼働率の減少確率も0.433%ポイント高い。NOI変化率との負の関係は主に賃貸住宅によるもので、減少確率との正の関係は全用途で見られる。↩
- R1 p.23〜26(5.3節)・Table 4 (1)〜(4)、Figure 11。PDの変更は四半期で1bpを超える変更(Table 4 注、p.41)。係数はPD変更の確率−0.0145(平均0.209)、PDの水準−0.0404%ポイント(平均1.112%)。遅行項を含めた累積はPD変更の確率で−0.004。当期または前期にデフォルトしているローンは除外。図1の値は、各推計の係数をその推計の標本平均で除した編集部の換算(参考値)。↩
- R1 p.26(5.3節)。↩
- R1 p.25〜30(6.1節)・Table 5・Figure 12〜13。監視には担当者の時間という直接費用と、報告を求めることで取引関係を損ねる間接費用があり、情報の価値が上がれば銀行は費用を払うはずだという仮説(p.3・p.25)。石油・ガスへの与信が平均(5.4%)を上回る銀行を露出が大きいとし、28行・141,423件のローンを都市の雇用構成(石油・ガス関連の雇用比率0.36%・5%で区分)と組み合わせた。変化率は2014年上期を基準とする。↩
- R1 p.30〜36(6.2節)・Table 6 (3)(6)(9)・Table 7 (3)(9)・Table 8 (6)(9)(12)。100bpあたり、融資金利0.402%ポイント、延滞0.134%ポイント、古さ−0.138四半期、財務欄が空欄の確率−1.1%ポイント(平均12.9%)、PD変更3.35%ポイント、悪化約2%ポイント(平均9.7%)、改善1.4%ポイント。変動金利の判定はデータに初めて現れた時点の金利種別による。両方向の格付変更の理由として、著者は監視の強化(p.35)と、CECLの引当を相殺するため一部のPDを下げる誘因(p.36)の両方を可能性として挙げている。↩
- R1 p.37(7節)・p.71〜(付録C)。古さは銀行の監視(情報需要)と借り手の報告の誘因(情報供給)の均衡の結果で、失業率の上昇後に平均の古さが上がることから、悪いショックが借り手からの情報供給を減らすことが示唆されると著者は述べる。↩
- R2 p.1〜4(2022年8月版)。米国大手銀行の企業向け融資(Y-14Q Schedule H.1)で、銀行のPDが実際のデフォルトを説明する感応度を情報の質の指標とした。同じ銀行が同じ時期に失業率の異なる地域へ出した融資を比べている。R2 は後に Review of Economic Studies 93(5)(2026年)に掲載(Crossref で確認、2026年10月23日。掲載版の本文は未確認)。↩
- R3。R1 p.8 の紹介による(本文は未確認)。↩
- R1 p.21(5.1節)・p.37(7節)。著者は、古いNOIをそのまま、または市場賃料やインフレの指標で伸ばして信用リスクを推計する手法を業界で一般的とし(逸話的な観察と明記)、報告のない物件の悪化を見逃しうると述べる。↩
- R4 PDF p.8(冊子 p.3)・図表Ⅰ-4。大手行・地域銀行の不動産業向け貸出の内訳は PDF p.23〜24(Ⅲ章1節・図表Ⅲ-1-6〜8)。↩
- R4 PDF p.58(冊子 p.53、Ⅴ章1節)・図表Ⅴ-1-15(2025年9月末、大手行と地方銀行の貸出残高構成比)。不動産SPC向けの貸出期間は5年程度が多く、リファイナンス時に条件が大きく変わる可能性に注意が必要とも記載。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Hughes, S. K. and J. B. Nichols (2025), “No News is Bad News: Monitoring, Risk, and Stale Financial Performance in Commercial Real Estate,” Finance and Economics Discussion Series 2025-032, Board of Governors of the Federal Reserve System. DOI: 10.17016/FEDS.2025.032. 参照した版:FEDS 版(2025年4月、PDF 89ページ)。査読:未査読(WP)。 doi.org (参照箇所:要旨、1〜7節、付録A・C(PDF p.1〜42、p.70〜72)、Table 1〜8。脚注1〜16・19の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Howes, C. and G. Weitzner (2022), “Bank Information Production Over the Business Cycle,” Working Paper(2022年8月版、FDIC Bank Research Conference 掲載). 後に Review of Economic Studies 93(5), pp.3209-3244 に掲載(DOI: 10.1093/restud/rdaf107). 参照した版:2022年8月版。査読:参照した版は未査読(掲載版は未確認)。 fdic.gov (参照箇所:要旨・1節(p.1〜4)。脚注17の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Cerqueiro, G., S. Ongena and K. Roszbach (2016), “Collateralization, Bank Loan Rates, and Monitoring,” Journal of Finance 71(3), pp.1295-1322(書誌は R1 の参考文献による). 参照した版:本文未確認(R1 p.8 の紹介による)。査読:済。 (参照箇所:R1 p.8 の紹介のみ。脚注18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 日本銀行
(2 026)「金 融システムレポート(2 026年4月号)」 boj.or.jp (参照箇所:PDF p.8(概要・図表Ⅰ-4)、p.23〜24(Ⅲ章1節)、p.58(Ⅴ章1節・図表Ⅴ-1-15)。脚注20・21の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。