この記事で分かること
- 米国の初期VC 1社が残した8,815件の案件記録から、VCの選別がどの程度当たり、どの程度外れていたか
- チーム・市場・プロダクト・Exitの4つの採点のうち、どれが「累計100万ドル以上の調達」を、どれが「1,000万ドル以上の大型調達」を説明したか
- VC・CVCの投資担当、起業家、事業会社の新規事業担当が、採点表と見送った案件の記録で確かめるべきこと(学習用の設例つき)
想定読者:VC・CVCの投資担当、スタートアップへの出資や協業を検討する事業会社の担当者、資金調達を準備する起業家
前提知識:シード・シリーズAなどの資金調達ラウンドと、投資倍率(MOIC)の基本
シード案件の投資委員会で、担当者が推す会社がある。創業者2人は大手IT企業の出身で、前職でも新規事業を立ち上げた。一方、顧客は試験導入の3社だけで、市場の大きさは担当者の推計に頼っている。委員の一人が「チームは良いが、事業はまだ何も分からない」と言い、別の委員は「この段階ではチームを見るしかない」と返す。
681社のVCに所属する885人(主に米国、一部は米国外)に投資判断の要因を聞いた研究では、企業単位の集計で、経営陣を最も重要な要因に挙げたVCが47%で、事業に関わる要因(プロダクト・市場・ビジネスモデルなど)を挙げた37%を上回った1。ただ、これは「何を重視しているか」の答えであり、重視した情報が「当たっていたか」は別の問題である。本稿では、1つのVCの全案件と採点の記録を数年後の結果と突き合わせた研究を手がかりに、初期の選別がどの情報でどこまで当たるのかを整理する。
この記事が主に参照する研究
Young Soo Jang、Steven N. Kaplan(2025)「ベンチャーキャピタルのスタートアップ選別(Venture Capital Start-up Selection)」NBER Working Paper No. 33483
- 公表:初版 2023年10月(SSRN)、NBER WP 2025年2月。参照した版:NBER WP 版(2025年8月版で照合)。査読:未査読(Management Science で修正・再投稿中と著者が記載)
- データ:米国中西部のプレシード・シード投資を行う匿名のVC 1社が、2015〜2021年に検討した8,815件の案件、うち詳しく分析して採点した366件、投資した114件。その後の資金調達と存続は商用データベース(PitchBook)で2024年3月まで追跡
- 方法:選別の段階ごとの成果の比較と、採点と成果の回帰分析(予測の関係を見るもので、因果の識別ではない)
- 位置づけ:「チーム(騎手)か事業(馬)か」という既存の論点を、判断時点の記録という新しいデータで検証したもの
VCの選別を「漏 斗」として読む
VCの案件は、持ち込まれた多数の会社から、面談、詳細な分析、投資委員会を経て少数に絞られる。この流れは漏斗に例えられ、先の調査では1件の投資の背後に約100件の検討があるとされた2。VC投資プロセスの各段階で何が落とされたかを記録しておけば、後から「落とした会社」と「残した会社」のその後を比べられる。
研究が使ったVCは、2015年に100万ドルの1号ファンドで始まり、2016年に約10百万ドル、2019年に約30百万ドルのファンドを組成した小規模な投資家である。初回の投資額は平均110千ドルで、当初は出資の主導や取締役の派遣をほとんど行わない方針だった3。このため選別の力を見るのに向いていると著者らは述べる。
このVCは8,815件を検討し、366件(4.2%)を詳しく分析し、114件に投資した。採点した会社のうち投資に至ったのは31.1%である4。採点は4つの要素で行われた。チームは創業者の人数、事業と技術の経験、業界経験、起業経験、熱意、取締役や助言者を見る。市場は規模と成長、既存企業や他のスタートアップとの競争、プロダクトは提供物の質、顧客にとっての価値、差別化、顧客の反応、Exitは既存投資家の追加出資の力や買収される機会を見る5。日本で参考にする場合は、自社のVCデューデリジェンスの項目とどう対応するかを確かめておく。
成果の物差しは、その後に他のVCを含めて累計でいくら調達できたかである。100万ドル以上を「本格的な資金を得た」、1,000万ドル以上を「明確に前進した」目安とする。この区切りには根拠がある。このVCの投資先のうち、累計1,000万ドル未満の63社の投資倍率(MOIC)は中央値1.0倍だったのに対し、1,000万ドル以上の26社は中央値3.0倍、5,000万ドル以上の5社は中央値8.2倍だった(2022年末時点の評価)6。少数の大きな成功がリターンの大半を生むパワーローの構造の中では、大きな調達に届く会社を選べるかどうかが問われる。
見送った案件の3割も、後に100万ドル以上を調達していた
最初の発見は、VCが詳しく分析せずに見送った会社の行方である。7,929社のうち30%が後に100万ドル以上を、10%が1,000万ドル以上を調達した。一方で、2024年3月時点で研究上の定義による「存続」は42%、「不成功」は少なくとも51%だった。ここでの存続は、PitchBookに記録があり、買収・廃業されておらず、2020年以降に資金を調達していることを指し、不成功は買収も存続もしていない会社を指す。営業中でも不成功に数えられうるので、実際の廃業率とは違う7。2025年8月の改訂版は、2021〜22年の資金調達の過熱が数字を押し上げた可能性を検討し、2016年・2019年・2021年に検討した案件で100万ドル以上の調達率が27%・33%・28%とほぼ安定していたことを示した8。
次に、選別の段階ごとに結果を比べたのが図1である。対象地域の外として見送った案件を除くと、詳しく分析した会社は、分析しなかった会社より明らかに成績が良く、投資した会社はさらに良かった。
採点なしと採点・不投資の100万ドル以上の差、投資先と他の2群の1,000万ドル・2,500万ドル以上の差は、いずれも1%水準で統計的に有意だった9。1,000万ドル以上の割合で見ると、投資先は採点なしの約4.6倍である(大手町プレップの計算)。著者らはこれを、極めて早い段階でもVCに選別の力がある証拠と読む。同時に、投資先でも1,000万ドル以上に届いたのは32%で、68%は届いていない。要旨の言葉では“the selection is noisy”(選別は雑音が大きい、拙訳)である。投資先と採点・不投資の会社の存続・不成功の差も、統計的には有意でなかった。
投資した会社の成績が良いのは、VCが出資後に支援したからだという説明もありうる。著者らは、採点・不投資の会社の多くも他のVCから資金を得ていたこと、このVCが運営面の支援を重視していなかったことから、選別による説明の方が有力と考えている。ただし、詳しい分析の過程そのものが、出資しなかった会社の役に立った可能性も否定していない10。
チームは初期の調達を、プロダクトは大型の調達を説明した
では、4つの採点のうちどれが当たっていたのか。まずVC自身の判断を見ると、投資した会社と見送った会社の採点の差は、チーム(五分位の平均で0.75段)とプロダクト(0.71段)で大きかった11。
その採点を数年後の成果と突き合わせたのが図2である。チームの採点は累計100万ドル以上の調達と正の関係があったが、1,000万ドル以上・2,500万ドル以上の調達や不成功とは関係が見られなかった。プロダクトの採点は1,000万ドル以上と2,500万ドル以上の調達、不成功の少なさと関係していた。市場の採点が単独で有意だったのは、固定効果を入れたときの5,000万ドル以上だけである12。
大きさの感覚をつかむと、チームの採点が五分位で1段上がるごとに、100万ドル以上を調達する確率が約4.0%ポイント高い。プロダクトでは、1段ごとに1,000万ドル以上の確率が約3.5%ポイント、2,500万ドル以上が約3.0%ポイント高い。
単独の採点とは別に、組み合わせで見ると差は大きくなる。プロダクトと市場の採点がともに上位2つの五分位に入る会社は、1,000万ドル以上を調達する確率が21.8〜27.7%ポイント、2,500万ドル以上が8.5〜10.6%ポイント高かった。著者らは、前者でほぼ2倍、後者で約3倍に当たると説明し、この組み合わせの予測はVC自身の投資判断をわずかに上回るとも述べている13。
著者らの解釈は、チームは初期の前進を、事業の要素は大きく遅い成功を説明する、というものだ。プロダクトマーケットフィットを得る前は起業家の力が、得た後は事業そのものが成否を左右するという既存の議論に沿わせたうえで、このVCを含むVCがチームを重く見すぎている可能性と整合的だとしている14。
採点しなかった案件の見送り理由も手がかりになる。理由が記録された7,199件のうち、最も多いのは地域(40%)で、業種(1,145件)、段階が早すぎる(13%)が続いた。チームを理由にした見送りは1%に満たない。「面白くない」として見送った会社は61%が不成功に分類され、1,000万ドル以上に届いたのは2%だった。逆に「評価額が高すぎる」として見送った会社は22%が1,000万ドル以上を調達しており、すでに段階が進んでいた会社が混じっていたと著者らは見ている15。案件の出所では、他のVCから紹介された案件の成績が良く、100万ドル以上の調達率は50%だった16。
1社のデータで言えること、言えないこと
この研究の強みは、VCが検討したすべての案件と、判断した時点の情報がそろっている点にある。成功した会社だけを後から集めるとサバイバーシップバイアスが入るが、この研究は落とした会社も追っている。代表性について著者らは、2015年7月以降に中西部でシード資金を調達した2,836社の34%をこのVCが見ており、シードに限れば見た会社と見ていない会社でその後の調達額・存続・不成功に有意な差がないことを確かめた17。
限界も著者ら自身が挙げている。対象はVC 1社とその採点方法だけで、このVCの選別力が例外的に高い(または低い)可能性には答えられない。採点は主観的で、他のVCが同じ採点を再現できるとは限らない。成果はPitchBookの記録で測り、見つからない会社は調達ゼロとみなした。PitchBookがVC資金を広く定義している可能性もある。追跡は2024年3月までで、上場した会社はまだない18。成果は「その後の調達額」で、企業価値やファンドのリターンそのものではない点にも注意が要る。
他の研究との関係では、ベンチャー投資を受けて上場した50社の事業計画を追ったKaplan, Sensoy and Strömberg(2009)が、事業の内容は安定している一方で経営陣は大きく入れ替わることを示し、投資家は事業をより重視すべきだと示唆した19。今回の研究は、判断時点の採点を使ってこの見方と整合する結果を得た。他方、前述のVCへの調査が示すように、実務の重心はチームに置かれている。なお、共著者のKaplanはスタートアップやVCファンドに投資しているが、データを提供したVCには投資していないと論文に開示されている20。
大手町プレップの考察:「次 の資金」と「大 きな成長」は別の問いではないか
以下は編集部の推論であり、論文が検証したものではない。この研究から最も実務に効くのは、同じ「良い案件か」という問いの中に、少なくとも2つの異なる予測が混ざっていると気づくことだと考えられる。一つは、この会社が次のラウンドで資金を得られるか。もう一つは、ファンドのリターンを左右するほど大きく育つか。研究が測ったのは累計の調達額であって次のラウンドへの到達そのものではないが、累計100万ドル以上を前者の、1,000万ドル以上を後者の目安と読めば、チームの評価は前者に、プロダクト(組み合わせでは市場も)の評価は後者に効いたことになる(仮説)。シードVCが次のラウンドへの橋渡しを重視するなら、チームを重く見ることには一定の理由がある。しかしファンドの成績は後者で決まるため、採点の重みを前者に合わせたままでは、リターンに効く情報を割り引くことになる。
もう一つは、「他の投資家も出資した」という事実の扱いである。見送った案件の3割が後に100万ドル以上を調達していたことを踏まえると、他社の出資は、それだけでは大きく育つ証拠として弱い。
日本の実務に持ち込むときの注意
日本の市場は規模が大きく違う。政府の「スタートアップ育成5か年計画」(2022年11月)は、2021年のVC投資額を日本2,300億円・1,400件、米国36.2兆円・17,100件と示し、スタートアップへの投資額を当時の8,000億円規模から2027年度に10兆円規模とする目標を掲げた21。調達額の区切り(100万ドル・1,000万ドル)を為替で換算して日本に当てはめるのは適切でない。日本で使うなら、自社の投資先の分布から「次のラウンドに進んだ」「その次の大型ラウンドに届いた」といった段階で区切り直す必要がある。
独立系VCの投資担当にとっては、採点の要素ごとに当たり外れを検証する材料になる。CVCや事業会社の新規事業担当は、財務リターンに加えて事業上の目的を持つ。協業の相手として見るとき、チームの評価が初期の調達には効いても大型の調達までは説明しなかったという結果を踏まえ、編集部としては、提携の前提となる市場規模やプロダクトの検証材料も整理しておくことを提案する(協業判断は研究の対象外)。起業家が準備に応用するなら、チームに加えてプロダクトや市場の検証材料を整理しておく、という示唆が考えられる。ただし、これは編集部の提案であり、日本の初回調達について検証した結果ではない。日本のCVCの分布は日本のCVC投資動向データ分析で扱っている。
設例:選別の精度はファンドの倍率をどれだけ動かすか
学習用の設例(架空)
- シードVC甲は30社に1.0億円ずつ、計30億円を投資する
- 投資先を「大型の追加調達に届いた会社(到達組)」とそれ以外に分ける。到達組の平均倍率は5.0倍(感応度として3.0倍・8.0倍も示す)、それ以外は0.6倍と置く
- ファンドのグロスの倍率=到達率h×到達組の倍率+(1−h)×0.6倍。手数料・成功報酬・投資のタイミングは考えない
図3は、到達率hとファンドの倍率の関係である。研究の1,000万ドル以上の割合と同じ大きさ(7%・15%・32%)を参照線として置いた。水準は同じではなく、大きさの目安である。
到達組の倍率が5.0倍なら、到達率15%で倍率1.26倍(回収37.8億円)、32%で2.01倍(60.2億円)になる。到達率が15%か32%かの違いだけで、ファンドの倍率は約1.6倍異なる。到達組の倍率が3.0倍しかない場合、元本を回収するだけで16.7%の到達率が要る。VCのポートフォリオ構築や必要なExit Valueの逆算と組み合わせると、何社に投資し、何社が大きく育つ前提なのかを点検できる。
次に、採点表そのものの点検である。甲が過去に採点した40社を、チームの採点とプロダクト・市場の採点が「高評価」(甲の5段階評価で4以上)かどうかで分け、その後に大型調達へ届いた社数を数えたとする(表1)。
表は横にスクロールできます →
| 採点の組み合わせ | 社数 | 大型調達に到達 | 到達率 |
|---|---|---|---|
| チーム高評価×プロダクト・市場ともに高評価 | 8社 | 4社 | 50.0% |
| チーム高評価×プロダクト・市場それ以外 | 12社 | 2社 | 16.7% |
| チームそれ以外×プロダクト・市場ともに高評価 | 8社 | 2社 | 25.0% |
| チームそれ以外×プロダクト・市場それ以外 | 12社 | 1社 | 8.3% |
| (再掲)チーム高評価の計 | 20社 | 6社 | 30.0% |
| (再掲)プロダクト・市場ともに高評価の計 | 16社 | 6社 | 37.5% |
| 全体 | 40社 | 9社 | 22.5% |
この架空の数字では、チームが高評価の会社の到達率は30.0%、プロダクトと市場がともに高評価の会社は37.5%で、全体の22.5%を上回る。チームも含めすべて高評価なら50.0%に上がる一方、チームだけが高評価の会社は16.7%にとどまる。ただし1つの区分が8〜12社しかなく、この差は偶然でも生じる。実務では、数年分の採点をためて同じ表を作り、どの採点が何を予測しているかを確かめ続けることが要る。
明日から使える確認項目
- 採点表の各項目について「何を予測するための項目か」を書き分ける。初期の調達か、大型の調達か、存続か。予測の対象が違えば、効く項目も違う。
- 見送った案件も含め、案件ごとに採点・見送り理由・出所を記録し、1年ごとにその後の調達をデータベースや登記で確認する。見送り理由は「地域・段階・業種」(方針による見送り)と「事業・競争・面白くない」(質の判断)を分けておく。
- 投資委員会で「他のVCも出資予定」が根拠に挙がったら、こう質問する。「その出資は、次のラウンドに進めることの証拠か、大きく育つことの証拠か」。
- チームの評価が高くプロダクトと市場の評価が低い案件は、投資の可否とは別に、プロダクトと市場の仮説を何で確かめるか(顧客の反応、競合との差、市場の大きさの推計)をメモに書く。VC Investment MemoのMarket・Productの章に、検証可能な形で残す。
- ファンドの計画では、到達率×到達組の平均倍率+(1−到達率)×それ以外の平均倍率でファンドの倍率を点検し、到達率が想定より半分になった場合の倍率も示す(図3の感応度)。
よくある質問
この研究は「チ ームを見なくてよい」と言っているのですか。
そうではありません。チームの採点は累計100万ドル以上の調達と関係しており、初期の前進には効いています。示されたのは、チームの評価が大型の調達や不成功の少なさまでは説明しなかったという点です。また、対象はVC 1社の採点で、他のVCにそのまま当てはまるとは限りません。
日本のシード投資でも同じ結果になりますか。
分かりません。研究は米国中西部の小規模なシードVCの2015〜2021年の案件に基づいています。市場の規模や調達額の水準が違うため、自社の案件記録で同じ比較を行って確かめる必要があります。
まとめ
1つのシードVCの8,815件の記録を追った研究は、VCの選別に力があることと、その選別が雑音を多く含むことを同時に示した。見送った案件の3割も後に資金を得ており、投資先でも1,000万ドル以上に届いたのは3分の1にとどまる。チームの採点は累計100万ドル以上の調達と、プロダクトの採点は大型の調達と不成功の少なさと関係し、プロダクトと市場がともに高い案件は大型の調達に届きやすかった。何を予測したいかで見るべき情報が変わる。結果はVC 1社の未査読の研究に基づくため、自社の採点と見送り理由を記録し、数年後の結果と突き合わせて確かめたい。
脚注
- R2(NBER WP 版, 2016年9月。JFE 2020 掲載)p.2(要旨)・p.19(表7の説明)。681社のVCに所属する885人への質問票調査(対象は主に米国のVCで、米国外のVCも含む。p.10)。割合は同じ会社の複数の回答を平均した企業単位の集計(p.6)。経営陣を「重要な要因」に挙げた回答は95%。事業に関わる要因を最も重要としたのは37%。↩
- R2 p.17(表6の説明)。中央値の回答に基づく目安で、経営陣と会うのは検討した案件の約4件に1件。↩
- R1(NBER WP 版, 2025年2月)p.8〜9(2.1節)・p.18(3.3節)。2024年に3,000万ドル超の4号ファンドを組成。初回投資額の中央値は100千ドル、最大390千ドル。本記事のページは PDF の物理ページ番号(以下同じ)。↩
- R1 p.9(2.2節)・表1(p.34)。検討からの投資率は1.3%。2020年の検討件数の急増は、中西部のスタートアップのオンライン会議で1,000件超の案件を受けたため(p.9)。↩
- R1 p.11〜12(2.4節)。各要素は下位項目の点数の合計(0〜15)を10で頭打ちにしたもの。分析では年ごとの五分位、全期間の五分位、素点の3通りを使い、結果はおおむね同じ(p.12)。↩
- R1 p.13〜14(2.5節)。VC自身による2022年12月時点の評価。平均はそれぞれ2.5倍・4.1倍・9.7倍(1,000万ドル未満の平均は、約70倍で売却された1件が押し上げている)。2,500万ドル以上の13社は平均6.1倍・中央値6.4倍。1,000万ドル以上の26社のうち50%、1,000万ドル未満の63社のうち10%が3倍を超えた。社数の合計(89社)は投資先114社と一致しないが、論文に説明はない。↩
- R1 p.15〜16(3.1節)・表3 パネルA(p.37)。何らかのVC資金を得た割合は47%、2,500万ドル以上は4%、5,000万ドル以上は2%、買収は7%。研究上の存続(I(Survival))は、PitchBookに無い・買収された・廃業した・2020年以降に調達していない場合を0とし、不成功(I(Unsuccessful))は買収も存続もしていない場合を1とする(p.14)。後期ステージのため見送った525件は分析から除外(p.13)。PitchBook で見つからない会社は調達ゼロとみなす(p.14)。↩
- R1 の2025年8月改訂版(AEA 2026年次大会の掲載版)p.15〜16。同版は全米ベンチャーキャピタル協会と PitchBook の統計も引いて、2021〜22年の取引件数の増加は大きな急増ではなかったとしている。NBER 版にはこの検討は無い。↩
- R1 p.16〜19(3.2〜3.3節)・表3 パネルB(p.38)。対象地域の外として見送った案件を除く。採点・不投資の会社は85%が何らかのVC資金を得た。5,000万ドル以上(採点なし1%・採点・不投資2%・投資4%)の差は有意でない。投資先の100万ドル以上には、このVC自身の出資(平均110千ドル)が含まれる。↩
- R1 p.6〜7(1節)・p.18〜19(3.2〜3.3節)。詳しい分析が出資しなかった会社の役に立った可能性については、英国の初期案件で同様の関係を報告した Gonzalez-Uribe ほか(2022)を引いている。p.19 の比率(62%・90%)は表3の値(60〜61%・88%)と一致しないため、本記事では使っていない。↩
- R1 p.20(3.4節)・表4(p.41)。4つの採点を1つずつ入れた回帰ではいずれも1%水準で有意。4つを同時に入れるとチーム・プロダクト・Exitが有意、業種と時期の固定効果を加えるとプロダクトとExitだけが有意(p.21)。↩
- R1 p.21〜23(3.7〜3.8節)・表6(p.44・p.46)。線形確率モデル。採点した361社、案件の出所と事前の調達の有無・額を調整。図2は固定効果を入れた列。チームと100万ドル以上の係数は固定効果なしで0.039、ありで0.040(いずれも5%水準)。成果は他のVCを含む累計の調達額で、検討後の調達だけに限った指標でも結果は変わらない(表6 パネルB、p.23)。市場は単独では不成功と有意な関係がない(表6 パネルC)。五分位を個別のダミーにした表7でも傾向は同じだが、統計的にはやや弱い(p.23〜24)。↩
- R1 p.26(3.9節)・表8 パネルA3(p.50)・p.30(4節)。範囲は固定効果なし・ありの係数(1,000万ドル以上は0.218・0.277、いずれも1%水準。2,500万ドル以上は0.085・0.106、いずれも5%水準)。本文の「28%超・11%超」という表現は表の係数と一致しないため、記事は表の係数を用いた。チームと市場、チームとプロダクトの組み合わせも1,000万ドル以上を予測した(表8 パネルA1・A2)。↩
- R1 p.7〜8(1節)・p.24〜25(3.8節)・p.30(4節)。2段階の説明は Rajan(2012)、後段については Kaplan, Sensoy and Strömberg(2009)に依拠している。↩
- R1 p.26〜27(3.10節)・表9(p.53)・表10(p.54)。採点しなかった7,929件のうち7,199件(90.8%)で理由を記録。比率は論文本文の記載どおり。ただし業種は本文が14%と記載する一方、表9の1,145件を記録7,199件で割ると約15.9%(finance/calc.py の PASS_IND_SHARE)になり、論文内で一致しないため、本記事は件数で示した。事業・競争・市場・面白くないの見送りは、回帰でも100万ドル・1,000万ドル以上の調達と有意に負の関係。評価額が高すぎるとした見送りは1,000万ドル・2,500万ドル以上と正の関係。↩
- R1 p.20(3.5節)・表3 パネルC(p.39)。出所の分かる6,581件のうち、自ら発掘58%、持ち込み25%、他VCの紹介17%。紹介案件の1,000万ドル以上は16%。成果の回帰では、出所の係数はおおむね有意でない(表6)。↩
- R1 p.10〜11(2.3節)・表2(p.35)。シードとアーリーを合わせた4,493社では31%を見ており、見た会社の平均調達額は見ていない会社より小さい(9.91百万ドル対17.25百万ドル)。中西部のユニコーン14社のうち6社を見ていた。↩
- R1 p.15〜16(3.1節)・p.30〜31(4節)・p.14(2.5節)。著者らは、30%という水準が平均より良い案件の流れを反映している可能性も区別できないとしている(p.15〜16)。↩
- R3(Journal of Finance, 2009)の要旨(Crossref で確認)。本文は未確認。R1 は p.3・p.29 でこの研究を紹介している。↩
- R1 p.1(表紙の注記)。↩
- R4(内閣官房, 2022年11月)p.2(2.目標)・p.10(5.第二の柱)。2021年の数値の出所として、計画は一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターと PitchBook-NVCA の統計を挙げている(p.25 の注15)。投資額の定義は統計ごとに異なる。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Jang, Y. S. and S. N. Kaplan (2025), “Venture Capital Start-up Selection,” NBER Working Paper No. 33483. DOI: 10.3386/w33483. 参照した版:NBER WP 版(2025年2月)。主要な数値と追加の検討を2025年8月改訂版(AEA 2026年次大会の掲載版)で照合。初版:SSRN(DOI: 10.2139/ssrn.4569932、2023年10月登録)、2023年11月の Private Equity Research Symposium(UNC Institute for Private Capital)で発表。査読:未査読(著者 Jang のサイトでは Management Science で修正・再投稿中、2026年10月確認)。 nber.org (参照箇所:本文1〜4節、表1〜10(PDF p.1〜31, p.34〜55)、8月改訂版 p.15〜16。脚注3〜18・20の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Gompers, P., W. Gornall, S. N. Kaplan and I. A. Strebulaev (2020), “How do venture capitalists make decisions?,” Journal of Financial Economics 135(1), 169-190. DOI: 10.1016/j.jfineco.2019.06.011. 参照した版:NBER Working Paper No. 22587(2016年9月)。査読:済(掲載誌)。 nber.org (参照箇所:NBER WP 版の要旨 p.2、p.17(表6の説明)、p.19(表7の説明)。脚注1・2の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Kaplan, S. N., B. A. Sensoy and P. Strömberg (2009), “Should Investors Bet on the Jockey or the Horse? Evidence from the Evolution of Firms from Early Business Plans to Public Companies,” Journal of Finance 64(1), 75-115. DOI: 10.1111/j.1540-6261.2008.01429.x. 参照した版:掲載誌の要旨(Crossref)。査読:済(掲載誌)。 doi.org (参照箇所:要旨のみ。脚注19の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 内閣官房(2022)「スタートアップ育成5か年計画」(新しい資本主義実現会議決定、2022年11月28日)。 cas.go.jp (参照箇所:p.2(2.目標)、p.10(5.第二の柱)、p.25(注15)。脚注21の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。