この記事で分かること
- 公認会計士資格の記載は経歴判明1,078名のうち74名(6.9%、95%信頼区間5.5〜8.5%)
- 監査法人での勤務経験の記載(11.5%)は資格保有の記載(6.9%)より多い
- ファンド別では9.1%〜53.1%まで大きな開きがあり、上位は特定の少数ファンドに偏る
- FAS経験と会計士資格の重なり(クロス集計)と、公開データの限界
結論:公認会計士の記載は判明者の6.9%、ただしファンドにより9.1%〜53.1%と大きな差
大手町プレップPE人物データベース(日本カテゴリのPEファンド133社対象、2026年8月30日時点)で経歴情報を確認できた人物のうち、公認会計士資格の記載があるのは74名で、判明1,078名に対する比率は6.9%(95%信頼区間5.5〜8.5%)、実人数1,438名に対する比率は5.1%でした。関連する監査法人での勤務経験の記載は経歴判明1,043名のうち120名(11.5%)で、資格保有の記載よりも一段多く見られます。
ファンド単位で見ると比率には大きな開きがあります。公認会計士の記載比率が最も高いのは丸の内キャピタルで判明32名のうち17名(53.1%)、対して上位10ファンドの中で最も低いマラトンキャピタルパートナーズでも9.1%と、全体平均(6.9%)を上回る水準に集まっています。「公認会計士はPE転職に有利なのか」という問いに対し、データが示すのは平均的な有利さの証明ではなく、一部のファンドで会計士資格が明確に高い比率で見られるという偏りです。
検証する仮説と分析対象
本記事で検証する仮説は「公認会計士資格を持っているとPEファンドへの転職に有利ではないか」です。2026年8月30日時点のPEファンドDB日本カテゴリ133社の公式サイト掲載情報のうち、経歴の記載から公認会計士資格の有無を判定できた人物を分母としています。資格に関する記載がない場合は「公式プロフィールに記載を確認できず」として扱い、資格を持たないことの確認とは区別しています。記載の粒度はファンドによって差が大きく、氏名・役職のみを掲載する会社では資格の有無自体が判定不能になる点に留意してください。
ファンド別ランキングと監査法人経験との比較
| # | ファンド | 系譜 | 該当者 | 判明者数 | 比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 丸の内キャピタル | その他 | 17 | 32 | 53.1% |
| 2 | 雄渾キャピタル・パートナーズ | 独立系 | 3 | 12 | 25.0% |
| 3 | ひろしまイノベーション推進機構 | 金融機関系 | 3 | 13 | 23.1% |
| 4 | インテグラル | 独立系 | 17 | 84 | 20.2% |
| 5 | 日本みらいキャピタル | 独立系 | 2 | 10 | 20.0% |
| 6 | アント・キャピタル・パートナーズ | 金融機関系 | 7 | 41 | 17.1% |
| 7 | WMパートナーズ | 独立系 | 4 | 26 | 15.4% |
| 8 | アント・ソリューション・パートナーズ | その他 | 3 | 20 | 15.0% |
| 9 | J-STAR | 独立系 | 3 | 24 | 12.5% |
| 10 | マラトンキャピタルパートナーズ | 独立系 | 2 | 22 | 9.1% |
| 11 | D Capital | 独立系 | 3 | 36 | 8.3% |
| 11 | RBGパートナーズ | 独立系 | 1 | 12 | 8.3% |
上位10ファンドの内訳を見ると、丸の内キャピタル53.1%(判明32名中17名)を筆頭に、雄渾キャピタル・パートナーズ25.0%、ひろしまイノベーション推進機構23.1%、インテグラル20.2%(判明84名中17名)と続きます。インテグラルは判明母数が84名と大きいため、比率だけでなく実人数(17名)でも会計士資格保有者が多い点が特徴です。上位10ファンドはいずれも全体平均6.9%を上回っており、公認会計士の記載は一部のファンドに集中する傾向がうかがえます。
資格保有そのものではなく監査法人での勤務経験まで範囲を広げると、経歴判明1,043名のうち120名(11.5%、95%信頼区間9.7〜13.6%)が該当します。資格記載(6.9%)より監査法人経験の記載(11.5%)の方が多いのは、監査法人在籍者の中に公認会計士試験合格前後の立場で在籍していた、または資格の記載を省略している人物が含まれるためと考えられます。
FAS経験との重なり
FAS(財務アドバイザリー)経験と公認会計士資格のクロス集計では、経歴情報を確認できた1,043名のうち、両方の記載があるのは19名、FAS経験のみの記載は80名、公認会計士資格のみの記載は48名、いずれの記載もないのは896名でした。公認会計士資格の記載がある67名(19名+48名)のうち19名(28.4%)はFAS経験も記載しており、FAS経験の記載がある99名(19名+80名)のうち19名(19.2%)は公認会計士資格も記載しています。FASと会計士資格は完全に重なるわけではありませんが、一定の関連が見られるルートです。FASからPEへの転職実態はFAS出身者はPEファンドに転職できるのかで詳しく扱っています。
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結果から言えること・言えないこと
言えること。(1)公認会計士資格の記載は経歴判明者の6.9%と少数派ですが、監査法人経験の記載(11.5%)はそれより広く見られます。(2)ファンド別の比率には9.1%〜53.1%という大きな開きがあり、一部のファンドに会計士資格保有者が集中しています。(3)FAS経験と公認会計士資格には一定の重なりがあり、両方を経て入る例が確認できます。
言えないこと。(1)本データは資格の有無を公式サイトに明記している人物のみが対象で、記載していない資格保有者を含む実際の比率はこれより高い可能性があります。(2)ファンド別ランキングの比率は判明母数が小さいファンド(10〜数十名規模)ほど1名の異動で大きく変動するため、絶対的な序列として扱うべきではありません。(3)公認会計士資格の保有と採用・活躍の因果関係はこのデータからは検証できず、「資格があれば有利」と断定することはできません。
データの定義と限界
「公認会計士」は公式プロフィールに公認会計士資格または合格の記載がある場合を集計しています。USCPA等の海外資格や会計士試験の科目合格のみの記載は、明記がない限りここでの「公認会計士」には含めていません。FASとのクロス集計は、経歴情報を確認できた1,043名を共通の分母としています。
集計方法・データ定義(大手町プレップPE人物データベース独自集計)
- 対象データ
- 大手町プレップPEファンドDBの地域カテゴリに「日本」を含むPEファンド133社(外資系・グローバルファンドの日本拠点を含む)について、各社公式サイトのチーム・メンバーページに現職として掲載された人物1,456名(2026年8月30日時点)。関連会社間の重複を除いた実人数は1,438名。
- 集計単位
- 人物属性(学歴・MBA・職歴など)の集計は実人数(ユニーク人物)単位、ファンド別の集計は人物・所属レコード単位で行っています。
- 三値分類
- 各属性は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「経歴情報が不足し判定不能」の3つに分けています。比率は原則として記載有無を判定できた人数(判明者)を分母とし、本文・図表に分母を明記しています。「記載を確認できない」ことは「経歴・資格がない」ことを意味しません。
- ランキングの基準
- 比率のファンド別ランキングは属性判明者10名以上のファンドを対象とし、5〜9名は参考値、4名以下は対象外としています。
- データソース
- 各PEファンドの公式サイト(チームページ・人物プロフィール・会社概要等)の公開情報。役職名・経歴は公式表記を機械的な基準で正規化・分類しています。
- 資格の判定
- 公認会計士・米国公認会計士(USCPA)の記載を確認できた場合に「記載あり」としています。資格の記載は任意のため、実際の有資格者はこれより多い可能性があります。
本分析は公式サイトの公開情報のみを機械的に集計したものであり、各ファンドの実際の人員構成・採用基準を網羅・代表するものではありません。経歴の開示方針はファンドにより大きく異なるため、比率の差がそのまま実態の差を意味するとは限りません。出身大学・前職等は人物の能力・評価を示すものではなく、相関関係は因果関係を意味しません。
よくある質問(FAQ)
Q. 公認会計士資格があればPEファンドへの転職に有利ですか。
A. データからは因果関係を検証できません。ファンド別の比率には大きな差があり、一部のファンドで比率が高い一方、平均は6.9%にとどまります。
Q. USCPA(米国公認会計士)も含まれていますか。
A. 公式プロフィールに資格として明記されている場合は含めていますが、資格の種別まで区分した集計は行っていません。
Q. 監査法人出身であれば公認会計士資格を持っていますか。
A. 必ずしも一致しません。監査法人経験の記載(11.5%)は公認会計士資格の記載(6.9%)より多く、資格取得前後の立場で在籍していたケースも含まれると考えられます。
Q. FASと公認会計士、どちらの経歴の方がPEで多いですか。
A. 経歴判明1,043名で見ると、FAS経験の記載がある99名(19名+80名)に対し、公認会計士資格の記載がある67名(19名+48名)で、FAS経験の記載の方がやや多くなっています。
まとめ
公開経歴データからは、公認会計士資格の保有者はPE業界全体では少数派(6.9%)である一方、丸の内キャピタルをはじめとする一部のファンドでは比率が突出して高いことが分かります。会計士資格を軸にしたキャリアパスの詳細は監査法人からFAS、そしてPEへで、より広くFAS出身者の実態はFAS出身者はPEファンドに転職できるのかであわせてご確認ください。
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出典・データについて
- 大手町プレップPE人物データベース(日本カテゴリ133社の公式サイト掲載情報を独自集計・2026年8月30日時点)
- 大手町プレップPEファンドDB https://otemachiprep.com/pe-funds/
※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・個人の評価や、転職成否の保証・投資助言ではありません。出身大学・経歴は人物の能力を示すものではありません。
データ基準日: 2026年8月30日(人物データベースの更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)