この記事で分かること

  • 監査法人出身者は経歴判明1,043名中120名(11.5%)、FAS出身は99名(9.5%)、公認会計士資格の記載は1,078名中74名(6.9%)
  • 「監査法人とFASの両方」の経験が確認できたのは36名(3.5%)にとどまり、段階的キャリアパスは一部にとどまる
  • 会計士出身者の比率が高いPEファンド上位は丸の内キャピタル53.1%、雄渾キャピタル・パートナーズ25.0%など、ファンド差が大きい
  • 三値分類(記載を確認できず≠経験なし)と分母の明示
データ基準日: 2026年8月30日 | 対象: 大手町プレップPEファンドDBの日本カテゴリ133社の公式サイトに現職として掲載された1,456名(実人数1,438名) | 執筆: 大手町プレップ編集部

結論:監査法人×FASの両方経験は判明者の3.5%——「一直線ルート」は一部にとどまる

公認会計士のキャリアパスとして「監査法人でDDに携わり、FASに転じて専門性を深め、その後PEファンドへ」という段階的なストーリーが語られることがあります。大手町プレップのPEファンドDBに収録された人物データベースで確認すると、経歴情報が判明した1,043名のうち、監査法人での勤務経験を確認できたのは120名(11.5%)、FASでの勤務経験は99名(9.5%)でした。公認会計士資格の記載は、学歴・資格情報が判明した1,078名のうち74名(6.9%)です。

このうち監査法人・FASの両方の経験を確認できたのはわずか36名(判明1,043名の3.5%)でした。監査法人経験者120名のうち36名(30.0%)はFAS経験も併せ持ちますが、残り84名(70.0%)は監査法人経験のみが確認でき、FASを経ずに別の経路をたどっているか、経歴情報が限定的です。「監査法人→FAS→PE」という一直線のルートは、会計士系人材の中でも一部の経路にとどまっています。

120名
監査法人経験
判明1043名中11.5%
74名
公認会計士記載
6.9%
36名
監査法人+FAS
両方の経験記載
19名
FAS+会計士

検証する仮説と分析対象

本記事で検証する仮説は「監査法人からFASを経てPEファンドに至る段階的キャリアパスが、会計士系人材の主流ルートである」というものです。分析対象は日本のPEファンドDB収録133社のうち、公式サイトで経歴情報を確認できた実人数の中から、経歴情報が判定可能だった1,043名(監査法人・FAS)または1,078名(公認会計士資格。学歴・資格情報の判明範囲がやや異なるため分母を分けています)です。データ時点は2026年8月30日です。

各属性は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「情報不足で判定不能」の三値で管理しています。「記載を確認できず」は該当の経歴・資格がないことの確認ではなく、公式プロフィールが簡潔で記載されていないだけの可能性があります。比率は判定可能だった人数を分母としています。

監査法人・FAS・会計士資格のクロス集計

監査法人の記載を確認 120名(8%)記載を確認できず 923名(64%)情報不足で判定不能 395名(27%)
監査法人経験の三値分類(実人数ベース)

監査法人経験者120名とFAS経験者99名の関係を見ると、両方確認できたのは36名、監査法人のみは84名、FASのみは63名、いずれも確認できなかったのは860名です(判明1,043名)。同様にFASと公認会計士資格のクロス集計では、両方確認できたのは19名、FASのみ80名、会計士資格のみ48名、いずれも確認できなかったのは896名でした(同じ1,043名を分母に統一)。FAS経験者99名のうち公認会計士資格も確認できたのは19名(19.2%)にとどまり、FAS人材の大半は会計士資格の記載がFAS経験と必ずしもセットではないことが分かります。

会計士出身者比率が高いPEファンドランキング

会計士系キャリアパスの記載状況
ステップ人数備考
監査法人の経験記載120経歴判明1043名中
FASの経験記載99
監査法人→FAS両方36王道パスの実在を確認
公認会計士の記載74資格記載は任意

公認会計士資格の記載者比率をファンド別に見ると、丸の内キャピタルが53.1%(判明32名中17名)で突出して高く、雄渾キャピタル・パートナーズ25.0%(12名中3名)、ひろしまイノベーション推進機構23.1%(13名中3名)、インテグラル20.2%(84名中17名)が続きます。ただし判明人数が10〜13名程度と小規模なファンドが複数含まれており、1〜2名の増減で比率が大きく変動する点には注意が必要です。判明人数が84名と比較的大きいインテグラルの20.2%は、相対的に安定した数値として読むことができます。

結果から言えること・言えないこと

言えること。(1)監査法人・FAS・公認会計士資格は、いずれも判明者の1割前後を占める、確立した経歴ルートです。(2)監査法人とFASの両方を経験した人材は判明者の3.5%であり、複合ルートとしては一部にとどまります。(3)会計士出身者の比率はファンドによって大きな差があり、一部のファンドで特に高い水準です。

言えないこと。(1)記載がないことは経験・資格がないことの確認ではなく、開示バイアスにより実際の比率はここで示した数値より高い可能性があります。(2)監査法人・FAS経験や会計士資格がPEファンドの採用条件であるかは、このデータからは検証できません。(3)判明人数が小さいファンドのランキングは母数が小さく、サンプルの偏りによる振れ幅が大きくなります。

DDの実務経験を、投資判断モデリングにつなげる

監査法人・FASでの財務デューデリジェンス経験は、PEファンドでの投資検討に活きる素地になりますが、投資実務ではLBOモデルを使ったリターン分析が別途中核スキルとして求められます。大手町プレップの講座では、買収価格・レバレッジ・エグジットリターンの関係をExcelで一から組みながら学べます。

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データの定義と限界

本分析の母集団・三値分類・分母設定は以下のとおりです。

集計方法・データ定義(大手町プレップPE人物データベース独自集計)

対象データ
大手町プレップPEファンドDBの地域カテゴリに「日本」を含むPEファンド133社(外資系・グローバルファンドの日本拠点を含む)について、各社公式サイトのチーム・メンバーページに現職として掲載された人物1,456名(2026年8月30日時点)。関連会社間の重複を除いた実人数は1,438名。
集計単位
人物属性(学歴・MBA・職歴など)の集計は実人数(ユニーク人物)単位、ファンド別の集計は人物・所属レコード単位で行っています。
三値分類
各属性は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「経歴情報が不足し判定不能」の3つに分けています。比率は原則として記載有無を判定できた人数(判明者)を分母とし、本文・図表に分母を明記しています。「記載を確認できない」ことは「経歴・資格がない」ことを意味しません。
ランキングの基準
比率のファンド別ランキングは属性判明者10名以上のファンドを対象とし、5〜9名は参考値、4名以下は対象外としています。
データソース
各PEファンドの公式サイト(チームページ・人物プロフィール・会社概要等)の公開情報。役職名・経歴は公式表記を機械的な基準で正規化・分類しています。

本分析は公式サイトの公開情報のみを機械的に集計したものであり、各ファンドの実際の人員構成・採用基準を網羅・代表するものではありません。経歴の開示方針はファンドにより大きく異なるため、比率の差がそのまま実態の差を意味するとは限りません。出身大学・前職等は人物の能力・評価を示すものではなく、相関関係は因果関係を意味しません。

よくある質問(FAQ)

Q. 公認会計士でなければPEファンドの投資業務に就けませんか。
A. データからは必須条件とは言えません。公認会計士資格の記載は判明者の6.9%にとどまり、大半のPE人材は会計士資格の記載がありません。

Q. 監査法人からFASを経ずに直接PEに転職する人はいますか。
A. FAS経験者99名のうち、監査法人経験の記載がないのは63名(63.6%)です。「記載なし」は監査法人経験がないことの確定ではありませんが、FASからPEへ直接向かうケースも一定数存在すると考えられます。

Q. なぜ丸の内キャピタルは会計士出身者比率が高いのですか。
A. 本データからは理由までは特定できません。公式サイトの人物情報を集計した結果として比率が高い、という事実のみを確認できます。

Q. データはいつ時点のものですか。
A. 2026年8月30日時点の各社公式サイト掲載情報です。

まとめ

監査法人・FAS・公認会計士資格は、それぞれPE人材の1割前後を占める確立したルートですが、「監査法人→FAS→PE」という一直線の経路を確認できたのは判明者の3.5%にとどまりました。会計士系人材のキャリアは、監査法人からFASを経る場合と、いずれか一方の経験のみでPEに至る場合の両方が併存していると読むのが実態に近いでしょう。会計士以外を含めた前職の全体像はPE転職者の直前職ランキングで確認できます。

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出典・データについて

  • 大手町プレップPE人物データベース(133社の公式サイト掲載情報を独自集計・2026年8月30日時点)
  • 大手町プレップPEファンドDB https://otemachiprep.com/pe-funds/

※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・個人の評価や、転職成否の保証・投資助言ではありません。出身大学・経歴は人物の能力を示すものではありません。

データ基準日: 2026年8月30日(人物データベースの更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)