この記事で分かること

  • 新規投資だけでなくExit・一部売却も加味した独自指標「PE Activity Index」2026年ランキング
  • 指数の計算式(新規×1.0+Exit×0.7+一部売却×0.3)とその設計思想の全開示
  • 新規投資だけで見た順位と、回収活動を含めた順位とで顔ぶれがどう変わるか
  • 指標の限界(金額を反映しない・開示方針に左右される)と実務での読み方
情報確認日: 2026年9月8日(各ファンドの公開情報を確認・再集計した日) | 対象: 大手町プレップPEファンドDB収録の日本国内PE投資案件 2,370件(127ファンド) | 2026年の数値は8月までの年初来(YTD) | 執筆: 大手町プレップ編集部

結論:新規投資でも回収でも「動いている」ファンドを1本の指標で示す

「今年もっとも活発なPEファンドはどこか」という問いに答えるため、大手町プレップはPEファンドDBの公開情報をもとに、新規投資件数とExit(売却)件数の両方を反映した独自指標PE Activity Indexを算出しています。件数ランキングが「投資しているファンド」だけを映すのに対し、この指標は投資と回収の両輪で活動量を捉える設計です。

2026年(8月中旬までのYTD)の集計では、NYCとマラトンキャピタルパートナーズが並んで首位です。両社はいずれも新規投資のみでスコアを積み上げており、Exitによる加点はありません。一方、ニューホライズン キャピタルは新規投資が2件にとどまるものの、Exit7件を積み上げたことでスコア6.9まで浮上しており、新規投資だけのランキングとは異なる顔ぶれが見えてきます。

この指標はDPIやIRRのような公式なファンド実績指標ではなく、大手町プレップが独自に設計した集計指標です。計算式・重み付けの根拠は次章で完全に開示します。

80社
2026年に投資活動を公表したファンド
新規投資・Exit・一部売却のいずれか
新規×1+Exit×0.7+一部売却×0.3
指数の計算式
当年に発生したイベント数を加重合計
2026年9月8日
データ集計日
2026年は8月中旬までのYTD

2026年 PE Activity Index ランキング

新規投資件数・Exit件数・一部売却(パーシャルExit)件数の内訳とスコア、前年同期スコアを併記したランキングです。対象は2026年にいずれかの活動を記録した80ファンドです。

2026年 PE Activity Index 上位25(YTD・レコード基準)
順位ファンドIndex新規投資Exit一部売却前年同期Index類型主要業種
1NYC77001長期保有・サーチファンド型B2Bサービス3・物流・運輸2
1マラトンキャピタルパートナーズ77004独立系消費財・小売2・IT・ソフトウェア1
3ニューホライズン キャピタル6.92703.4独立系消費者サービス6・製造業1
4日本産業推進機構6.84403.1独立系消費財・小売3・教育2
5エンデバー・ユナイテッド66002独立系消費財・小売3・製造業1
6クレアシオン・キャピタル5.83401独立系外食・食品サービス2・消費財・小売1
7グロースパートナーズ55003独立系IT・ソフトウェア1・外食・食品サービス1
7日本成長投資アライアンス55005独立系IT・ソフトウェア2・ヘルスケア2
9アドバンテッジパートナーズ4.74107.4独立系製造業2・外食・食品サービス2
10アイ・シグマ・キャピタル4.43201商社・事業会社系製造業3・不動産・建設1
10インテグラル4.43203独立系不動産・建設2・IT・ソフトウェア1
10ベーシック・キャピタル・マネジメント4.43205.4独立系ヘルスケア2・製造業2
13キャス・キャピタル4.20600.7独立系ヘルスケア6
14いよぎんキャピタル44001地域金融機関系不動産・建設2・ヘルスケア1
15丸の内キャピタル3.42201商社・事業会社系製造業1・ヘルスケア1
15福岡キャピタルパートナーズ3.42201.7地域金融機関系物流・運輸1・不動産・建設1
17ロングリーチグループ3.11301独立系外食・食品サービス3・消費財・小売1
18REVA33002商社・事業会社系不動産・建設2・IT・ソフトウェア1
18YMFGキャピタル33004地域金融機関系B2Bサービス1・製造業1
18ベインキャピタル33005.7外資系消費財・小売1・製造業1
18SMBCキャピタル・パートナーズ33002金融機関系ヘルスケア1・人材1
18アトラスキャピタル33003独立系IT・ソフトウェア1・不動産・建設1
23J-STAR2.80404独立系消費財・小売2・製造業1
24D Capital2.72102独立系B2Bサービス1・消費財・小売1
24カーライル・ジャパン(カーライル・グループ 日本バイアウト部門)2.72102.7外資系B2Bサービス1・製造業1

表を読む際は、スコアの内訳(新規/Exit/一部売却)を必ず確認してください。同じスコア水準でも、新規投資中心のファンドはいま資金を投じているフェーズにあり、Exit寄与の大きいファンドは保有先の売却期を迎えているフェーズにあると読めます。前年同期スコアとの比較も併記しているため、活動量が伸びているか縮んでいるかも合わせて確認できます。

計算式:Activity Indexはどう算出されるか

PE Activity Indexは、次の式でファンドごとに算出しています。

PE Activity Index = 新規投資件数 × 1.0 + Exit件数 × 0.7 + 一部売却件数 × 0.3

対象期間は2026年1月から8月中旬までのYTD、対象イベントは新規投資・Exit(完全売却)・一部売却の3種類のみです。投資中の保有継続や、金額の大小は指標に反映されません。重み付け(1.0/0.7/0.3)は、大手町プレップ編集部が「新規獲得のほうがソーシングからクロージングまでの工数が大きい」という考え方に基づいて独自に設定したものであり、業界標準や公式の評価基準ではありません。

具体例として、ニューホライズン キャピタルは新規投資2件・Exit7件のため、2×1.0+7×0.7=6.9とスコアが算出されます。逆に新規投資のみのマラトンキャピタルパートナーズは、新規7件・Exit0件のため7×1.0=7.0とシンプルに新規件数がそのままスコアになります。

分析:新規上位と回収込み上位はなぜ違うのか

収録データを新規投資とExitの内訳で分解すると、ファンドごとの「動き方」の違いが見えてきます。NYC・マラトンキャピタルパートナーズ・エンデバー・ユナイテッドは新規投資のみでスコアを積み上げるタイプで、Exit件数はいずれもゼロです。長期保有・サーチファンド型や承継特化の新興ファンドは、売却前提のない事業承継投資を積み重ねる投資スタイルのため、この時期にExitが計上されにくい構造にあるとみられます。

対照的に、キャス・キャピタルは2026年の新規投資が0件であるにもかかわらず、Exit6件によりスコア4.2でランキングに入っています。回収活動のみで指標に浮上する典型例です。日本産業推進機構(NSSK)は新規4件・Exit4件とバランス型で、投資と回収を並行して進めているファンドの動き方を示しています。

前年同期スコアとの比較では、NYCが1.0から7.0へ、ニューホライズン キャピタルが3.4から6.9へ、クレアシオン・キャピタルが1.0から5.8へと伸びた一方、アドバンテッジパートナーズは7.4から4.7へと低下しています。同じ独立系・長期保有型のカテゴリー内でも、年によって活動量に振れがある点が読み取れます。

本指標も件数ランキングと同様、PEファンドDBの公開情報の開示方針に左右されます。投資先・Exit先を積極的に公表するファンドほどスコアが高く出やすく、非開示案件の多い大型ファンドの活動量は過小に表れる点に留意してください。

なお、DB収録127ファンドのうち、2026年に新規投資・Exit・一部売却のいずれかを記録し本指標の対象となったのは80ファンドです。残りのファンドは同期間に公開情報ベースで確認できる活動がなかったことを意味しますが、これは「活動していない」ことの証明ではなく、非開示・未公表の可能性も含んでいる点にご注意ください。

実務での使い方

PE・M&A業界を目指す方にとって、スコア上位のファンドは投資・回収の両面で人手を必要としているフェーズにある可能性が高く、採用ニーズの手がかりになります。ファンドレベルでの資金の動き(Capital Call・分配・キャリー)を理解したい場合はファンドレベル・キャッシュフローモデルの作り方が参考になります。回収の質を測るDPI・TVPI・RVPIやMOICといった指標は、Activity Indexが捉えていない「リターンの中身」を補完する視点です。

事業オーナーや資本業務提携を検討する企業にとっては、投資フェーズにあるファンド(新規偏重)と回収フェーズにあるファンド(Exit偏重)を見分けることで、いま接触すべき相手先を絞り込む手がかりになります。単純な新規投資件数は投資件数ランキング、Exitの実績はExit件数ランキングで個別に確認できます。

データの定義と限界

本指標の母集団は、大手町プレップPEファンドDBに収録された日本国内のPE投資案件のうち、2026年(1月〜8月中旬)に新規投資・Exit・一部売却のいずれかのイベントが確認できたものです。件数はレコード単位で集計しているため、複数ファンドが参加するクラブディールは、参加ファンドそれぞれに1件として加算されます。集計の詳細は以下のとおりです。

集計方法・データ定義(大手町プレップPEファンドDB独自集計)

対象データ
大手町プレップPEファンドDBに収録された、日本のPEファンドおよび日本に投資する海外PEファンドによる日本国内企業への投資案件(投資先の国が日本、または国の記載がなく運用会社の本拠が日本の案件)。集計日時点で2,419レコード・重複を除いた2,370案件(127ファンド)。
件数の数え方
DB全体の件数は複数ファンドによる共同投資(クラブディール)を1案件として数え、ファンド別の件数は各ファンドの投資実績として1件ずつ数えます。両者は合計が一致しません。
当年(2026年)の扱い
2026年の数値は8月までの年初来(YTD)です(情報確認日2026年9月8日までに公開された案件のうち、8月までに実行・Exitしたもの。DBの日付は月単位で保持しています)。通年の数値ではないため、過年度との単純比較はできません。公表済みでもクローズ(実行)前の案件は含めていません。
データソース
各PEファンドの公式サイト・プレスリリース等の公開情報(2026年9月8日に確認)。記事本文の公開日・最終更新日は冒頭の記事情報欄を参照してください。
PE Activity Indexの定義(独自指標)
Index=当年の新規投資件数×1+完全Exit件数×0.7+一部売却件数×0.3。対象期間は2026年1月〜8月(YTD)。投資活動の「動き」を新規・回収の両面から捉えるための編集部指標で、金額・リターンは反映していません。重み付けは投資実行を1、投資回収の完了を0.7、部分的な回収を0.3と置いた編集部設定です。

本ランキングは公開情報ベースの独自集計であり、日本国内の全PE投資を網羅した市場統計(推計値)ではありません。非公開案件や公式サイトに掲載されていない案件は含まれません。ファンドにより投資先の開示方針が異なるため、件数の差がそのまま実際の投資活動量の差を意味するものではない点にご注意ください。

よくある質問(FAQ)

PE Activity Indexは公式のファンド実績指標ですか。

いいえ、大手町プレップが独自に設計した集計指標です。新規投資1.0・Exit0.7・一部売却0.3という重み付けは編集部の判断によるもので、IRRやMOICのような公式なリターン指標ではありません。

新規投資が0件のファンドがランキングに入ることはありますか。

はい。Exitや一部売却のみでもスコアが付くため、たとえばキャス・キャピタルは2026年の新規投資が0件でもExit6件によりスコア4.2として集計対象に入っています。

このランキングは投資金額を反映していますか。

いいえ、件数ベースの指標です。金額の大小に関わらず1件は1件としてカウントするため、大型案件を少数手がけるファンドの活動量は過小に表れる可能性があります。

なぜ新規投資とExitで重みが違うのですか。

新規獲得のほうがソーシングからクロージングまでの工数が大きいという考え方から新規を基準の1.0とし、Exitはやや軽い0.7、一部売却をさらに軽い0.3としています。この重み付けは編集部の設計であり、絶対的な基準ではない点にご留意ください。

まとめ

PE Activity Indexは、新規投資とExit・一部売却を1つの指標に統合することで、「投資しているファンド」だけでなく「回収を進めているファンド」も可視化する試みです。2026年YTDでは地域金融機関系・長期保有型が新規投資主導で上位に立つ一方、Exit実績によって順位を押し上げるファンドも存在し、単純な投資件数ランキングとは異なる構造が見えてきます。計算式と重み付けの根拠を理解した上で、内訳(新規/Exit/一部売却)と合わせて読むことが、この指標を正しく使う鍵になります。

新規投資に絞った順位は投資件数ランキング、回収面だけを見るならExit件数ランキング、直近の伸びを見るなら投資モメンタム分析で確認できます。

出典・データについて

※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・企業の評価や投資助言ではありません。

情報確認日(DB再集計日): 2026年9月8日(DB更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)