この記事で分かること

  • 固定費と変動費をどう分解するか(勘定科目法・高低点法・回帰分析)と、限界利益率から損益分岐点売上高・数量を求める式を、数値を代入して検算しながら理解できます。
  • 安全余裕率と営業レバレッジで、今の利益が売上変動に対してどれだけ強いか・弱いかを数字で把握できます。
  • 目標利益を達成するために必要な売上高・数量の逆算、特別注文の諾否、値引き・値上げの判断に、CVP計算をそのまま使う手順が分かります。
  • 複数製品を扱う場合に、販売数量が同じでもセールスミックス(構成比)が変わるだけで損益分岐点が動く仕組みを、設例で確認できます。

結論:CVP分析は「売る・作る・受ける」を決めるための計算道具

CVP分析(Cost-Volume-Profit analysis、損益分岐点分析)は、原価(Cost)・数量(Volume)・利益(Profit)の関係を一本の式に整理し、いくつ売れば赤字を脱するか、価格を変えたら何個分の販売量を追加・削減できるか、追加の注文を受けるべきかを数字で判断するための計算道具です。決算書を読むための分析ではなく、意思決定の前に手を動かして検算するための道具である点が、他の収益性分析と違うところです。

この記事では、固定費・変動費の分解から損益分岐点の計算、安全余裕率、営業レバレッジ、目標利益達成に必要な売上高の逆算、特別注文や価格改定の判断、複数製品のセールスミックスがBEP(Break-Even Point、損益分岐点)を動かす仕組みまでを、一つの仮設例の数値を一貫させて順に確認します。共通費配賦を経た事業別・製品別の収益性そのものは事業別・製品別・顧客別収益性分析で、売上増減を価格・数量・ミックスの3要因に分解する差異分析Price-Volume-Mix分析の実務で扱っているため、本記事ではCVP計算そのものと、それを使った意思決定に絞って解説します。

固定費と変動費の分解――勘定科目法・高低点法・回帰分析

CVP分析の出発点は、費用を固定費(販売数量に関わらず一定額発生する費用)と変動費(販売数量に比例して増減する費用)に分解することです。分解の方法には主に3つがあります。

1つ目は勘定科目法です。地代家賃・減価償却費・正社員の基本給などは固定費、原材料費・外注加工費・出来高払いの販売手数料などは変動費というように、勘定科目ごとに性質を判定して振り分けます。実務ではまずこの方法で大枠を作り、水道光熱費や一部の人件費のように販売量に応じて段階的に増減する「準変動費」だけを高低点法や回帰分析で補正するという使い方が一般的です。

2つ目は高低点法です。過去のデータのうち、生産・販売数量が最も多い月と最も少ない月の2点だけを使い、その間の総原価の変化額を数量の変化額で割って変動費率を求めます。以下は説明用の仮設例です。産業機械向けの部品を製造するP社の月次データが次のとおりだったとします。

生産数量(個)実際総原価(円)
1月90014,500,000
2月(最多)1,20016,200,000
3月(最少)70013,200,000
4月1,00015,150,000
5月1,10015,500,000
6月80014,000,000

(高低点法)
変動費率=(最多月の総原価-最少月の総原価)÷(最多月の数量-最少月の数量)
変動費率=(16,200,000円-13,200,000円)÷(1,200個-700個)=3,000,000円÷500個=6,000円/個
固定費=最多月の総原価-変動費率×最多月の数量=16,200,000円-6,000円×1,200個=9,000,000円/月
(検算:3月の数値でも13,200,000円-6,000円×700個=9,000,000円となり一致)

3つ目は回帰分析(最小二乗法)です。高低点法は2点しか使わないため、その2か月がたまたま特殊な月だと結果が歪みます。回帰分析はExcelのSLOPE関数・INTERCEPT関数などを使い、6か月分すべてのデータから最も当てはまりの良い直線を求める方法で、一時的な変動に強くなります。上の6か月のデータで回帰計算を行うと、変動費率は約5,757円/個、固定費は約929万円/月となり、高低点法(6,000円/個・900万円/月)とは近いものの一致しない値が出ます。これは、高低点法が2月と3月という2つの月だけを見ているのに対し、回帰分析は6か月全体のばらつきを均しているためです。以降の設例では、計算過程が追いやすい高低点法の結果(変動費6,000円/個、固定費900万円/月)を使って話を進めます。この固定費・変動費の分解の結果は、コスト構造とマージン予測で扱う予測モデルの前提にもそのまま使えます。

限界利益率と損益分岐点の計算式――導出と検算

売上高・変動費・固定費・利益の関係は、次の恒等式から出発します。

(出発点)
利益=売上高-変動費-固定費

ここで限界利益(売上高から変動費を差し引いた額で、固定費の回収と利益に充てられる部分)を使うと、利益=限界利益-固定費と書き換えられます。利益がちょうどゼロになる売上高・数量が損益分岐点(BEP)です。販売単価をP、単位あたり変動費をv、販売数量をQとすると、次の式が導けます。

(限界利益率と損益分岐点)
単位あたり限界利益=P-v
限界利益率=(P-v)÷P=1-変動費率
損益分岐点数量=固定費÷単位あたり限界利益
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

P社の設例で、販売単価を15,000円、前章で求めた変動費6,000円/個、固定費900万円/月として計算します。

式→代入→結果
単位あたり限界利益=15,000円-6,000円=9,000円/個
限界利益率=9,000円÷15,000円=60%
損益分岐点数量=9,000,000円÷9,000円=1,000個/月
損益分岐点売上高=9,000,000円÷60%=15,000,000円/月(検算:1,000個×15,000円=15,000,000円で一致)

意味としては、P社は月間1,000個・1,500万円の売上を確保できれば固定費をちょうど回収でき、それを1個・1円でも超えれば利益が出るということです。実際の生産能力を月間2,000個とし、現状の実績販売数量を1,400個(売上高21,000,000円)とすると、損益分岐点との距離を次章の安全余裕率で確認できます。

図1:P社の損益分岐点(CVP)チャート(設例) 900万円 1,500万円 3,000万円 0 BEP:1,000個/1,500万円 実績:1,400個/2,100万円 営業利益 360万円 0 1,000 1,400 2,000 数量(個/月) 売上高線 総費用線 固定費線(900万円)
図:P社の設例(販売単価15,000円・変動費6,000円/個・固定費900万円/月)。数量1,000個で売上高線と総費用線が交わり損益分岐点となる。

安全余裕率――今の売上はBEPからどれだけ離れているか

安全余裕率は、実績(または計画)売上高が損益分岐点売上高からどれだけ余裕を持って上にあるかを示す指標です。逆に、損益分岐点売上高が実績売上高の何%に達しているかを示す損益分岐点比率もあわせて確認すると、赤字までの距離感がつかみやすくなります。

式→代入→結果
安全余裕率=(実績売上高-損益分岐点売上高)÷実績売上高
=(21,000,000円-15,000,000円)÷21,000,000円=6,000,000円÷21,000,000円=約28.6%
損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷実績売上高=15,000,000円÷21,000,000円=約71.4%(安全余裕率と合計して100%)

意味としては、P社の現在の売上高21,000,000円は、そこから約28.6%(600万円、400個相当)落ち込んだところで初めて赤字転落するという計算です。安全余裕率が低い、つまり損益分岐点比率が高い会社ほど、需要のわずかな落ち込みで赤字に転落しやすいことを意味します。同じ限界利益率でも固定費が重い会社ほど損益分岐点売上高が押し上げられ、この余裕は小さくなります。

営業レバレッジ――固定費の重さが利益の振れ幅を決める

固定費の比重が大きい会社ほど、売上高が少し動いただけで営業利益が大きく動きます。この感応度を数値化したものが営業レバレッジ(オペレーティングレバレッジ)で、営業レバレッジ係数(DOL)は次の式で求めます。

式→代入→結果
営業レバレッジ係数(DOL)=限界利益総額÷営業利益
実績1,400個における限界利益総額=1,400個×9,000円=12,600,000円
実績1,400個における営業利益=12,600,000円-9,000,000円=3,600,000円
DOL=12,600,000円÷3,600,000円=3.5

DOLが3.5ということは、販売数量が1%増減すると、営業利益はその3.5倍、つまり約3.5%増減するという意味です。実際に販売数量を10%増やして1,540個にすると検算できます。限界利益総額は1,540個×9,000円=13,860,000円、営業利益は13,860,000円-9,000,000円=4,860,000円となり、営業利益の増加率は(4,860,000円-3,600,000円)÷3,600,000円=35%で、DOL(3.5)×10%=35%と一致します。逆に数量が10%減って1,260個になると、営業利益は2,340,000円まで下がり、減少率はちょうど35%です。固定費の重い会社ほどDOLは大きくなり、好況期には利益が跳ねやすい一方、不況期には赤字転落も速いという、諸刃の剣であることが分かります。

目標利益を達成するために必要な売上高・数量の逆算

損益分岐点数量の式に目標利益を加えるだけで、目標利益を達成するために必要な販売数量・売上高を逆算できます。


必要販売数量=(固定費+目標利益)÷単位あたり限界利益
必要売上高=(固定費+目標利益)÷限界利益率

P社が月間540万円の営業利益を目標にした場合を計算します。

式→代入→結果
必要販売数量=(9,000,000円+5,400,000円)÷9,000円=14,400,000円÷9,000円=1,600個/月
必要売上高=14,400,000円÷60%=24,000,000円/月(検算:1,600個×15,000円=24,000,000円)
検算(利益):売上高24,000,000円-変動費(1,600個×6,000円=9,600,000円)-固定費9,000,000円=5,400,000円で目標と一致

実績の1,400個から1,600個へ、月200個・約14.3%の増産・増販が必要という具体的な数字に落ちる点が、この逆算の実務的な価値です。予算編成の段階でこの数量が現実的な営業キャパシティや生産能力(月間2,000個)の範囲に収まっているかを確認し、収まらない場合は目標利益そのものか、価格・原価構造の見直しに話を戻す必要があります。

価格・数量の意思決定への応用

特別注文の諾否:追加固定費の有無で結論が変わる

通常の販売価格15,000円とは別に、ある顧客から300個をまとめて9,000円/個で買いたいという特別注文が来たとします。以下は説明用の仮設例です。P社の生産能力は月間2,000個で、通常の販売数量は1,400個ですから、特別注文を受けても合計1,700個で能力の範囲内に収まり、通常価格での販売を圧迫しません。この場合、特別注文の可否は全社の固定費ではなく、注文によって新たに発生する収益・原価(増分収益・増分原価)だけで判断します。

式→代入→結果(ケースA:追加の固定費が発生しない場合)
増分収益=300個×9,000円=2,700,000円
増分変動費=300個×6,000円=1,800,000円
増分限界利益=2,700,000円-1,800,000円=900,000円(追加固定費がゼロなので、そのまま増分営業利益)
→ 増分限界利益がプラスのため受諾

ここに、この注文のために休日出勤の管理者を配置する必要があり、追加で100万円の固定費が発生するという条件(ケースB)を加えると結論が変わります。

式→代入→結果(ケースB:追加固定費100万円が発生する場合)
増分営業利益=増分限界利益900,000円-追加固定費1,000,000円=△100,000円
最低受注可能価格=変動費6,000円+追加固定費1,000,000円÷300個=6,000円+3,333円=約9,333円/個
→ 提示価格9,000円は最低受注可能価格を下回るため、このままでは謝絶するか、価格の再交渉が必要

この設例が示す実務上のポイントは、通常の販売価格15,000円と単純に比較して「9,000円は安すぎる」と判断するのではなく、遊休生産能力の範囲内かどうか、そしてその注文のために新たに発生する固定費があるかどうかで結論が入れ替わるという点です。共通費の配賦を通じた既存事業・既存顧客の継続可否という論点は事業別・製品別・顧客別収益性分析で扱う撤退判断の考え方に近く、本記事の特別注文の判断とは切り分けて理解する必要があります。

値引きと値上げの判断:必要な数量変化を先に計算する

価格を変える前に、その価格変更後も現在と同じ限界利益総額を維持するには販売数量が何個必要かを先に計算しておくと、営業現場との交渉や予算の妥当性検証がしやすくなります。実績の1,400個・限界利益総額12,600,000円を基準に、価格を10%下げる場合と10%上げる場合を比べます。

項目現状値引き10%値上げ10%
販売単価15,000円13,500円16,500円
単位あたり限界利益9,000円7,500円10,500円
現状の限界利益総額を維持するために必要な数量1,400個1,680個1,200個
実績1,400個からの増減+280個(+20.0%)▲200個(▲14.3%)

式→代入→結果(値引き10%)
必要数量=現状の限界利益総額÷値引き後の単位あたり限界利益=12,600,000円÷7,500円=1,680個
増加率=(1,680個-1,400個)÷1,400個=280個÷1,400個=+20.0%

式→代入→結果(値上げ10%)
必要数量=12,600,000円÷10,500円=1,200個
減少率=(1,400個-1,200個)÷1,400個=200個÷1,400個=▲14.3%

価格を10%下げた場合、限界利益総額を維持するには数量を20.0%増やす必要があるのに対し、価格を10%上げた場合は数量が14.3%減っても限界利益総額は維持できます。これは限界利益率が下がるほど(値引きによって限界利益率が60%から55.6%に下がるほど)、同じ金額の価格変動を数量で埋め合わせるのに必要な増減率が非対称に大きくなるためです。値引きによる数量増加の見込みが本当に20.0%を超えるのか、営業現場の肌感覚だけでなく、この必要数量を先に共有したうえで判断することが実務上重要です。感応度分析としてこの必要数量を前提の一つとして動かす手法は感応度分析・シナリオ分析の作り方で扱うデータテーブルの実装とあわせて使うと、複数の値引き幅を一度に比較できます。

複数製品のセールスミックスが損益分岐点を動かす仕組み

ここまでの設例は、P社が単一製品だけを扱っているという前提の簡略化でした。実際にはP社は3つの製品X・Y・Zを並行して販売しています。以下も同様に説明用の仮設例です。3製品の販売単価・変動費・限界利益率が次のとおりだとします(固定費は全社共通で900万円/月)。

製品販売単価変動費/個限界利益/個限界利益率
X(標準品)15,000円6,000円9,000円60.0%
Y(普及品)10,000円7,000円3,000円30.0%
Z(高機能品)20,000円8,000円12,000円60.0%

製品ごとに限界利益率が異なるため、全社の損益分岐点は各製品の販売比率(セールスミックス)を加重した「加重平均限界利益率」で決まります。ここでは、月間合計1,200個という同じ販売数量のまま、ミックスだけをX600・Y400・Z200(基準ミックス)からX600・Y500・Z100(変化後ミックス)へ、ZからYへ100個振り替えた場合を比較します。

製品基準数量基準限界利益変化後数量変化後限界利益
X600個5,400,000円600個5,400,000円
Y400個1,200,000円500個1,500,000円
Z200個2,400,000円100個1,200,000円
合計1,200個9,000,000円1,200個8,100,000円

式→代入→結果
基準ミックスの売上高=600個×15,000円+400個×10,000円+200個×20,000円=17,000,000円
基準ミックスの加重平均限界利益率=9,000,000円÷17,000,000円=約52.9%
基準ミックスの損益分岐点売上高=9,000,000円÷52.9%=約17,000,000円(現在の売上高と一致=ちょうど収支トントン)
変化後ミックスの売上高=600個×15,000円+500個×10,000円+100個×20,000円=16,000,000円
変化後ミックスの加重平均限界利益率=8,100,000円÷16,000,000円=50.625%
変化後ミックスの損益分岐点売上高=9,000,000円÷50.625%=約17,777,778円

ここが本節の核心です。総販売数量はどちらも1,200個で変わっていません。それにもかかわらず、限界利益率の高いZ(限界利益12,000円/個)を100個減らし、限界利益率の低いY(限界利益3,000円/個)を100個増やしただけで、総限界利益は900万円から810万円へ、差額90万円(=(12,000円-3,000円)×100個)だけ縮小します。固定費900万円は変わらないため、営業利益は基準ミックスの0円(ちょうど損益分岐点)から、変化後ミックスでは90万円の赤字へと転落します。損益分岐点売上高そのものも約1,700万円から約1,778万円へ、4.6%ほど切り上がります。「何個売ったか」だけを見ていると、この変化はまったく見えません。

図2:セールスミックスの変化がBEPを動かす(設例) 損益分岐点売上高への影響 0 1,700万円 基準ミックス 1,778万円 変化後ミックス 総限界利益と固定費ラインの比較 固定費ライン(900万円) 900万円 基準ミックス 810万円 変化後ミックス
図:総販売数量1,200個は共通。左は損益分岐点売上高(1,700万円→1,778万円)、右は総限界利益と固定費900万円ラインとの比較(変化後は90万円届かず赤字)。

実務では、営業部門が数量目標を達成していても、値引き圧力の強い普及品や利益率の低い受託案件に販売比率が寄っていくと、この設例と同じ現象が起こります。数量ベースの予実管理だけでなく、限界利益率が異なる製品群を扱う場合は、加重平均限界利益率と製品別の販売比率を月次でセットで確認しておくことが、損益分岐点を見失わないための実務上のポイントです。売上高そのものの増減を価格・数量・ミックスの3要因に分解して見る手法はPrice-Volume-Mix分析の実務で扱っています。

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よくある質問(FAQ)

Q. 損益分岐点比率と安全余裕率はどちらを使えばよいですか。
A. 両者は足すと100%になる表裏の関係にあるため、どちらを主指標にしても伝えたい内容は同じです。「まだこれだけ余裕がある」と前向きに伝えたいときは安全余裕率、「損益分岐点まで売上高の何%に達しているか」というリスクの大きさを伝えたいときは損益分岐点比率というように、説明したい相手や文脈に応じて使い分けるとよいでしょう。

Q. 限界利益率は高ければ高いほど良いのですか。
A. 限界利益率が高いほど、同じ売上高の増減が利益に与える影響は大きくなりますが、これは裏を返すと固定費の重い体質と表裏一体であることが多く、売上が減少した局面での落ち込みも大きくなりやすいという性質があります。営業レバレッジの節で見たとおり、限界利益率だけでなく固定費の絶対額とあわせて、利益の振れ幅をどこまで許容できるかという観点で評価する必要があります。

Q. 複数製品を扱う場合、損益分岐点は個数と金額のどちらで管理すべきですか。
A. 製品ごとに限界利益率が異なる場合、合計の販売個数だけを見ていると、本記事の設例で示したとおりセールスミックスの変化による損益分岐点の動きを見落とします。全社の損益分岐点は金額(加重平均限界利益率を使った損益分岐点売上高)で管理し、そのうえで製品別の販売比率を月次であわせて確認する運用が実務的です。

Q. 固定費と変動費の分解は、費用ごとに毎回厳密に計算すべきですか。
A. 実務では、地代家賃や減価償却費のように性質が明らかな費用は勘定科目法で即座に固定費・変動費に振り分け、水道光熱費や一部の人件費のように販売量に応じて段階的にしか動かない準変動費だけを高低点法や回帰分析で補正するという使い分けが一般的です。全費用を毎回回帰分析にかける必要はありません。

Q. 特別注文は増分限界利益がプラスであれば必ず受けるべきですか。
A. 本記事の設例のとおり、遊休生産能力の範囲内で追加の固定費が発生しない前提であれば増分限界利益がプラスかどうかが判断の中心になります。ただし、その注文を受けることで通常価格の顧客に振り向けるはずだった生産能力を奪う場合は、通常販売を失う機会費用も比較に含める必要があり、単純に増分限界利益だけで判断できない点に注意が必要です。

まとめ

CVP分析は、固定費・変動費の分解、限界利益率、損益分岐点の3つの計算を土台に、安全余裕率で今の余裕を測り、営業レバレッジで利益の振れ幅を把握し、目標利益からの逆算、特別注文の諾否、値引き・値上げの判断にそのまま応用できる計算道具です。単一製品であれば計算は単純ですが、複数製品を扱う場合は、総販売数量が同じでもセールスミックスの変化だけで損益分岐点そのものが動くため、金額ベースの管理と製品別構成比の両方を追う必要があります。いずれの計算も、式に数値を代入したら必ず別の角度から検算し、社内で数字を出す前に自分の手で一致を確認する習慣が欠かせません。

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出典・参考(2026年9月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための仮設例です。