想定読者:事業会社の経営企画・FP&A・経理で、景気後退を想定した事業計画や予算の前提を置く方
前提知識:四半期の売上高・営業利益・棚卸資産・売上債権を自社で取り出せること(指数化の考え方は本文で説明します)

結論:後退期の振れ幅は、勘ではなく自社の過去実績と公式の山・谷で測る

「景気が後退したら売上は何%落ちるか」と聞かれたときは、自社の過去の後退期の実績で答えます。手順は3つです。

  1. 局面を定義し、局面ごとの業績ドライバーの動きを一覧表にする(図表2)。
  2. 自社の四半期実績を内閣府の景気基準日付に重ね、山を含む四半期を100とする指数で振れ幅と遅れを測る(図表3・図表4)。
  3. 局面の想定・振れ幅・遅れの3点を予測前提として置く。

以下は学習用の架空事例です。産業用ゴム部品メーカーのW社(年商150億円)で後退期2回を重ねると、売上高の谷は山の四半期より22%低い値と27%低い値、営業利益は70%と80%低い値で、営業利益の変化率は売上高の約3倍でした。評価側の話(山の利益をそのまま使わず均す)はサイクル業種のバリュエーション、シナリオの物語とトリガーはシナリオプランニングの実務に委ね、本記事は局面と業績ドライバーの関係の実測に絞ります。

局面をそろえる:公式は拡張と後退の2つ、減速と回復は本記事の便宜的な区分

内閣府経済社会総合研究所は、景気循環の山と谷を景気基準日付として設定しています。一致指数の採用系列から作るヒストリカルDI(系列ごとに谷から山を上昇、山から谷を下降とみなし、上昇系列の割合を出したDI)が50%を下回る直前の月が山、上回る直前の月が谷に対応し、景気動向指数研究会の議論を踏まえて研究所長が設定します1。景気動向指数(内閣府が毎月公表する景気の統計)のうち、現在の景気を表す一致指数が山・谷の判定の土台です。どの指標で局面を判断するかは事業計画に使う経済指標の選び方が扱います。

2026年10月2日に閲覧した表では、第14循環が谷2002年1月・山2008年2月・谷2009年3月(拡張73か月、後退13か月)、第16循環が谷2012年11月・山2018年10月・谷2020年5月(拡張71か月、後退19か月)です。四半期の基準日付は、第14循環が山2008年1-3月・谷2009年1-3月、第16循環が山2018年10-12月・谷2020年4-6月です2。

表の最新の日付が暫定かどうかも確認します。第16循環の山(2018年10月)は2020年7月30日の研究会で、谷(2020年5月)は2021年11月30日の研究会で、それぞれ暫定的に設定され、2022年7月19日の研究会で確定しました3。閲覧時点の表に暫定の日付はなく、2020年5月の谷より後の山も載っていません。2026年7月23日の研究会の議事要旨でも、次の暫定山の判断は今後の話として扱われています4。

海外の解説には、景気循環を長期的な成長率の周りでの実質GDPの変動とし、拡大・ピーク・後退・不況・谷・回復の6段階で説明する例があります(そこでの「不況」は成長が安定成長線を下回る段階を指し、日本語の一般的な使い方とは範囲が異なります)5。日本の公式の山・谷は、GDPではなく一致指数の採用系列から決め、実質GDPや日銀短観の動きは、大きなかい離がないかを確認する参考指標という位置づけです6。そこで本記事は、公式の2区分に合わせて、拡張を回復・拡大・減速に分けて使います(図表1)。後退と不況は区別せず後退にまとめます。減速と回復は公式の区分ではなく、この記事の便宜的な定義です。自社の事情で変えてよく、変えたら過去分も同じ定義で測り直します。

図表1:景気循環の模式図と、本記事で使う4つの局面 谷山谷 模式図 公式区分 拡張(谷から山まで)後退(山から谷まで) 本記事 回復拡大減速後退 回復:谷を含む四半期の翌四半期から4四半期 拡大:拡張のうち回復・減速以外 減速:山を含む四半期の2四半期前から山の四半期まで 後退:公式と同じ
単位:なし(模式図で、実データではない)。対象:景気循環の1循環(谷→山→谷)。出所:内閣府経済社会総合研究所「景気基準日付」の拡張・後退の区分を基に、回復・拡大・減速の定義は大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

図表1のとおり、公式の山・谷に4局面を割り当てると、過去の実績を日付で機械的に仕分けられます。模式図は拡張を後退より長く描いてあり、表の第2〜第16循環の15回でも、拡張の平均は38.5か月、後退の平均は16.3か月です(編集部の計算。以下、平均や比率は表示桁未満を四捨五入)。

局面×業績ドライバーの一覧表をつくる

図表2は、局面ごとの動きの一般的な傾向の整理です。矢印は水準の方向(↑増加・上昇、↓減少・低下、→横ばい)で、海外の解説の一般的な考え方7と編集部の整理に基づく仮説です。業種や自社の事情、物価の動きで逆になることがあります。

図表2:局面×業績ドライバーの一覧表(一般的な傾向。業種で異なる)
ドライバー拡大減速後退回復確認する自社データ
販売数量↑ 受注・出荷が増える→ 伸びが鈍る↓ 受注・出荷が減る→ 下げ止まり、戻り始め受注残、顧客別・製品別の出荷数量
販売価格↑ 値上げが通りやすい→ 据え置き、値上げが通りにくい↓ 値引き・価格競争→ 低位で横ばい価格改定の履歴、値引き率
原価↑ 原材料・賃金が上がる↑ 上がり続けやすい原材料↓、人件費→(下がりにくい)原材料↑、人件費→原材料の購入単価、人件費と固定費の内訳
在庫・運転資本↑ 売上に見合って増える↑ 売れ残りで在庫が増える↑ 在庫増、売上債権は遅れて減る↓ 在庫を圧縮、のち再び増える棚卸資産・売上債権の回転日数
設備投資↑ 能力増強・更新案件が増える→ 実行は続くが新規は慎重↓ 延期・中止(実行額は遅れて減る)→ 更新投資から再開稟議済み・未稟議の案件と実行時期
与信(貸倒れ)→ 回収は順調→ 回収の遅れが出始める↑ 貸倒れ・支払遅延が増える→ 貸倒れは遅れて収まる売掛金の年齢別残高、遅延先、貸倒引当金
単位:なし(方向の定性的な整理)。対象:本記事の4局面(図表1)。矢印は水準の方向(↑増加・上昇、↓減少・低下、→横ばい)。海外の一般的な考え方と編集部の整理に基づく仮説で、実績の確認は図表3・図表4の手順で行う。出所:大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

内閣府の景気動向指数では、実質機械受注(製造業。設備投資向け機械の受注の統計)や在庫率指数(景気と逆向きに動く逆サイクル系列)が先行系列、営業利益(全産業)が一致系列、実質法人企業設備投資(全産業)・最終需要財在庫指数・きまって支給する給与(製造業)が遅行系列に採用されています8。設備投資・在庫・賃金の一部が景気に遅れて動くという表の読み方と矛盾しません。ただし表は仮説で、業種によっては逆になるため、自社の数字で確かめます。在庫と売上債権は、残高だけでなく棚卸資産回転日数(在庫が売れるまでの平均日数)と売上債権回転日数(売上の回収までの平均日数)で見ます。与信は、取引先ごとの回収状況と貸倒引当金(回収不能の見込額をあらかじめ費用にする引当金)の水準を確認します。商品群ごとに需要の伸びが違う点は所得弾力性の記事で扱います。

自社実績を景気基準日付に重ね、山を100とする指数で振れ幅と遅れを測る

以下は学習用の架空事例です。W社は産業用ゴム部品メーカーで、四半期は暦年(1-3月、4-6月…)と同じとします。重ねる後退期は、公式の表の第14循環(山2008年1-3月、谷2009年1-3月)を後退期A、第16循環(山2018年10-12月、谷2020年4-6月)を後退期Bとします。W社の数値はすべて架空で、新製品や顧客の喪失などの固有要因は除いた後の値と仮定します。手順は次のとおりです。

  1. 公式の山を含む四半期を k=0 とし、谷までの四半期数を数える。Aは2008年1-3月から2009年1-3月で4、Bは2018年10-12月から2020年4-6月で6。
  2. 各系列を、山の四半期の値で割って100を掛ける。当時の売上規模は今と違うため、指数にそろえて比べる。
  3. k=0〜8で極値(売上高・営業利益・売上債権・設備投資は最小、棚卸資産は最大)を探し、振れ幅と遅れを読む。

指数・振れ幅・遅れ
指数=その四半期の値÷山の四半期の値×100
振れ幅(%)=極値の指数−100(山の四半期の値に対する変化率)
遅れ(四半期)=極値のk−公式の谷のk(プラスは公式の谷より後)

たとえば後退期Aの売上高は、山の四半期の3,000百万円がk=5で2,340百万円なので、2,340÷3,000×100=78、振れ幅は78−100=−22%です。後退期Bの営業利益は、300百万円がk=6で60百万円なので、60÷300×100=20、振れ幅は−80%です。図表3は売上高と営業利益の推移です。

図表3:山を100とするW社の売上高と営業利益の推移(架空) 売上高(実線・●) 営業利益(破線・■) 内閣府の景気基準日付の谷 後退期A:山 2008年1-3月 0 20 40 60 80 100 120 −2 −1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 山の四半期からの経過 k 谷(k=4) 後退期B:山 2018年10-12月 0 20 40 60 80 100 120 −2 −1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 山の四半期からの経過 k 谷(k=6) 78 30 73 20 指数=各四半期の値÷山の四半期の値×100。数字は各系列の最小値(k=0〜8)。縦軸は指数、横軸は四半期。
単位:指数(山を含む四半期=100)。対象期間:後退期A(山2008年1-3月)と後退期B(山2018年10-12月)の山の2四半期前から8四半期後。縦の点線は内閣府の景気基準日付の谷(Aは山の4四半期後、Bは6四半期後)。出所:内閣府「景気基準日付」の山・谷の四半期と学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成(W社の数値はすべて架空)。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

後退期Aの売上高は山の100から78(k=5)まで、営業利益は30(k=4)まで下がり、公式の谷(k=4)に対して売上高は1四半期遅れ、営業利益は同時でした。後退期Bの売上高は73、営業利益は20で、どちらもk=6の公式の谷と同じ四半期でした。売上高の指数が95以下になった最初の四半期は、Aがk=2(90。k=1は96)、Bがk=4(94。k=3は96)で、山の直後から落ちるとは限りません。

図表4は、5つの系列の結果です。

図表4:W社の後退期2回の振れ幅と遅れ、予測前提への置き方(架空)
項目(極値)山の四半期の実額 A/B(百万円)後退期A 指数(k)・山比後退期B 指数(k)・山比公式の谷との差 A/B(四半期)予測前提への置き方
売上高(最小)3,000/3,80078(k=5)、−22%73(k=6)、−27%+1/0−22〜−27%。谷は公式の谷と同じか1四半期後
営業利益(最小)200/30030(k=4)、−70%20(k=6)、−80%0/0−70〜−80%(売上高の変化率の3.0〜3.2倍)。谷は公式の谷と同じ
棚卸資産(最大)1,500/1,900116(k=2)、+16%119(k=6)、+19%−2/0+16〜+19%。最大は公式の谷の2四半期前〜同じ四半期
売上債権(最小)2,100/2,70079(k=6)、−21%78(k=7)、−22%+2/+1−21〜−22%。谷は公式の谷の1〜2四半期後
設備投資(最小)200/30030(k=6)、−70%54(k=7)、−46%+2/+1−46〜−70%。谷は公式の谷の1〜2四半期後
単位:指数(山の四半期=100)、%は山の四半期の値に対する変化率、差は四半期、実額は百万円。後退期A:山2008年1-3月・谷2009年1-3月(谷はk=4)、後退期B:山2018年10-12月・谷2020年4-6月(谷はk=6)。k=0〜8の極値。出所:内閣府「景気基準日付」の山・谷の四半期と学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成(W社の数値はすべて架空)。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

営業利益の変化率は売上高の変化率の3.2倍(A:−70÷−22)と3.0倍(B:−80÷−27)です。固定費(売上が減っても減らない費用)が大きい事業で起こりやすい動きです(営業レバレッジの計算はコスト構造とマージン予測)。棚卸資産は山の後に積み上がり、最大の四半期の売上高に対する比は、山の四半期の1.00に対して、Aが1.29(116÷90、k=2)、Bが1.63(119÷73、k=6)でした。残高が増えて売上が減るので、回転日数は伸びます。積み上がる時期もAとBで違いました。

実測結果を予測前提に落とす:局面の想定・振れ幅・遅れ

予測前提には、次の3点を置きます。

  1. 局面の想定:山の想定時期(t0)と後退期間。時期は予測ではなくシナリオの前提です。後退期間は、表の第2〜第16循環の15回で最短8か月、最長36か月、中央値14か月です(編集部の計算)。W社が重ねた13か月(山から4四半期後の谷)と19か月(6四半期後の谷)はこの範囲に入るので、その2つを含む幅で置きます。
  2. 振れ幅:2回の幅のまま置きます(売上高−22〜−27%、営業利益−70〜−80%など)。2回では平均や標準偏差に意味がなく、幅も実績が取り得た範囲の一例です。
  3. 遅れ:各ドライバーの谷や最大を、公式の谷から何四半期後(前)に置くか。t0からの時間展開に使います。

直近四半期の売上高3,800百万円・営業利益300百万円を山の水準とみなします(仮定)。売上高の最小は、3,800×(1−22%)=2,964から3,800×(1−27%)=2,774百万円、営業利益の最小は、300×(1−70%)=90から300×(1−80%)=60百万円です。営業利益率は山の7.9%(300÷3,800)から、Aの組み合わせで3.0%(90÷2,964)、Bの組み合わせで2.2%(60÷2,774)に下がります(Aは売上高の最小がk=5、営業利益の最小がk=4で、四半期が1つずれています)。このとき数量・価格・原価・在庫・与信を別々に動かさず、後退期の実績で同時に起きた組み合わせとして置きます(相関を考慮したシナリオ設計。複数のドライバーを同時に動かすとき、現実にあり得ない組み合わせを避ける考え方)。在庫や売上債権の残高を貸借対照表に接続する方法は運転資本の予測実務、受注型業種の受注ショックの時間展開は受注ショックの8四半期試算、三表の更新はマクロ前提を三表に変換する記事で扱います。

山・谷は事後に決まる:足元の局面判断は暫定として扱う

山の2018年10月は、暫定設定が山の月の21か月後(2020年7月30日)、谷の2020年5月は暫定設定が谷の月の18か月後(2021年11月30日)、確定が26か月後(2022年7月19日)でした(月の差、編集部の計算)9。公式の日付に重ねられるのは山・谷が設定済みの過去の後退期だけで、足元の局面は公式には決まっていません。

足元には、CI一致指数(一致系列の動きを合成し、景気の量感を測る指数)の基調判断(改善・足踏み・局面変化・悪化・下げ止まり)を暫定の目安に使えます。基準では「局面変化」を、事後に判定される山(谷)がそれ以前の数か月にあった可能性が高いことを示すものとし、景気拡張・後退はすべて暫定的で、正式な景気基準日付とは別とされています10。公表済みで最新の2026年7月分の基調判断は「改善」です(速報は2026年9月7日、改訂値は9月29日公表)11。実務では、減速を「足踏み」、後退入りを「下方への局面変化」や「悪化」に当てはめて暫定的に使い(編集部の提案)、判断が変わったら前提を見直す約束を前提一覧に書きます。

よくある間違いと、この方法の限界

  • 2回の実績を平均して1本の想定にする。2回は少なく、原因も同じとは限りません。第16循環の後退期について、研究会の事務局説明は輸出や生産の減少傾向と新型コロナウイルス感染症の影響を挙げています12。次の後退期が幅の外に出ることはあり、再現の保証はありません。
  • 公式の山・谷を自社の山・谷と思い込む。W社の売上が95以下になったのは山から2〜4四半期後でした。業界固有のサイクルが強い業種では、公式の日付との関係が弱いこともあります。
  • 相関を因果と読む。局面と業績の関係は相関です。新製品・顧客喪失・M&A・価格改定は除いてから重ねます。
  • 判定方法が変わる可能性を忘れる。2026年7月23日の研究会は、参考指標として公表している新しい一致指数を2027年4月分の公表から改善版に切り替えること、新指数による日付判定を早ければ次の山の暫定設定時に採用することで合意しました13。

実務チェックリスト

  • 公式の山・谷を内閣府の表で閲覧日付きで確認し、暫定か確定かを記録して、四半期基準日付と谷までの四半期数に直したか
  • 局面(回復・拡大・減速・後退)の定義を書き、過去分も同じ定義で仕分けたか
  • 重ねる系列から新製品・顧客喪失・M&A・価格改定などの固有要因を除いたか(除けない分は注記したか)
  • 山の四半期を100とする指数に直し、極値のkと公式の谷との差を、系列ごと・後退期ごとに記録したか
  • 2回の結果を平均にせず幅のまま予測前提に置き、遅れは四半期の整数で置いたか
  • 棚卸資産と売上債権は、残高の指数だけでなく売上高や売上原価に対する比(回転日数)でも確認したか
  • 足元の局面は暫定判断と明記し、見直しの条件(基調判断の変化など)を前提一覧に書いたか

よくある質問(FAQ)

後退期の実績が1回分しかなく、月次データはあります。どう重ねますか。

月次なら四半期にまとめず、表の山・谷の月(たとえば2008年2月・2009年3月)にそのまま重ねられます。1回分では「幅」にならないため、結果は「1回の実績」と注記し、上限・下限の根拠には使いません。

自社の業界は、公式の景気と別のサイクルで動いています。

公式の日付は国全体の転換点で、業界の転換点ではありません。重ねても遅れが大きくばらつくなら、業界の統計から自分で山と谷を置き、同じ手順で測ります。公式の日付との位置関係は別に記録します。

まとめ

後退期の振れ幅は、局面を定義し、自社の四半期実績を内閣府の景気基準日付に重ね、山を100とする指数で測ります。W社の設例では、売上高が−22〜−27%、営業利益が−70〜−80%で、売上高と営業利益の谷は公式の谷と同じか1四半期後、売上債権と設備投資の谷は1〜2四半期後でした。この幅と遅れを、局面の想定とあわせて予測前提に置きます。山・谷は事後に決まるため、足元の局面は暫定として扱います。

脚注

  1. 内閣府経済社会総合研究所「景気基準日付」冒頭の説明。景気基準日付(山・谷)はCI一致指数の採用系列から作られるヒストリカルDIに基づき、景気動向指数研究会での議論を踏まえて経済社会総合研究所長が設定すること、ヒストリカルDIが50%を上回る直前の月が景気の谷、下回る直前の月が景気の山に対応することの記載(本文は要約)(参考文献 R1)。↩
  2. 同ページの「景気基準日付」の表(2026年10月2日閲覧)。第14循環・第16循環の谷・山・谷、拡張・後退・全循環の期間、「(参考)四半期基準日付」の山・谷。表は第1〜第16循環の行で、第16循環が最終行(参考文献 R1)。↩
  3. 内閣府「景気動向指数研究会」の会議資料等のページ(R2)に第19〜21回の議事要旨が掲載されている。第19回(2020年7月30日)議事要旨 議題1の「議論の結果」(p.3)で2018年10月を景気の暫定的な山に設定することが妥当と合意し、同日の経済社会総合研究所「第19回景気動向指数研究会を受けた経済社会総合研究所における対応」の1.で暫定的に設定、第20回(2021年11月30日)議事要旨 議題1の「議論の結果」(p.3)で2020年5月を第16循環の暫定的な谷に設定、第21回(2022年7月19日)議事要旨 議題1の「議論の結果」(p.3)で2018年10月を第16循環の景気の山、2020年5月を谷に確定(参考文献 R2〜R5、R12)。↩
  4. 第22回(2026年7月23日)議事要旨 議題1(p.4)の事務局発言。次の暫定山の判断は蓄積のある現行指数で行うこと、過去に決めた日付は確定しているものと考えていること(参考文献 R6)。↩
  5. Corporate Finance Institute「Business Cycle」の「What is a Business Cycle?」「Stages of the Business Cycle」。景気循環をGDPの長期的な自然成長率の周りでの変動とし、実質GDPの成長で測ること、Expansion・Peak・Recession・Depression・Trough・Recoveryの6段階を挙げている。一般的な概念の参考であり、日本の景気基準日付の定義ではない(参考文献 R7)。↩
  6. 第21回議事要旨 議題1(p.1)。景気の山・谷の判定時は、ヒストリカルDIが50%を下回る直前の月を山の候補、上回る直前の月を谷の候補とし、波及度・量的な変化・拡張後退期間の長さの3つを条件としつつ、参考指標(GDP、短観)の動きと大きなかい離がないかを確認すると説明されている(参考文献 R5)。↩
  7. CFI「Business Cycle」の「Stages of the Business Cycle」。Expansionでは債務者が概ね期日どおりに返済し投資が高いこと、Recessionでは生産者が需要の減少にすぐ気づかず生産を続けて供給過剰となり価格が下がりがちなこと、Recoveryでは低価格で需要が戻り、貸出が前向きになり、減耗した資本の更新が新規投資につながることが書かれている。図表2のうち数量・価格・在庫・設備投資・与信の一部の根拠で、他は編集部の整理(参考文献 R7)。↩
  8. 内閣府「景気動向指数の利用の手引」「3.統計の作成方法」(先行は主に需給の変動、一致は主に生産の調整、遅行は主に生産能力の調整という考え方)と「4.第13次改定(2021年3月)の主な内容」の採用系列の新旧対照表(現行系列)。先行系列に最終需要財在庫率指数・鉱工業用生産財在庫率指数(いずれも逆サイクル)・実質機械受注(製造業)、一致系列に営業利益(全産業)、遅行系列に実質法人企業設備投資(全産業)・最終需要財在庫指数・きまって支給する給与(製造業、名目)(参考文献 R8)。↩
  9. 日付は第19回(2020年7月30日)・第20回(2021年11月30日)・第21回(2022年7月19日)の研究会の開催日(各議事要旨p.1の「日時」)。月数は編集部の計算で、日を無視した月の差(参考文献 R3〜R5)。↩
  10. 内閣府「『CIによる景気の基調判断』の基準」(統計表一覧のページに令和8(2026)年5月12日付で掲載)。基調判断の5区分、「③局面変化」の定義と注1〜注5(注4:定義欄の「景気拡張」「景気後退」はすべて暫定的、注5:正式な景気循環〈景気基準日付〉はヒストリカルDIに基づき研究会の議論を踏まえて経済社会総合研究所長が設定)(参考文献 R9)。↩
  11. 内閣府「景気動向指数(令和8(2026)年7月分速報)結果の概要」(2026年9月7日)p.1 ②「景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している。」。2026年9月29日公表の「速報からの改訂状況(令和8(2026)年7月分)」p.1の基調判断も同じ文言。「改善」は景気拡張の可能性が高いことを示す、という定義は基準(R9)による(参考文献 R10、R11、R9)。↩
  12. 第21回議事要旨 議題1の事務局説明のまとめ(p.2)。米中貿易摩擦を受けた中国経済の減速、世界的な情報関連財需要の一服等の影響から輸出や生産が減少傾向となり、2020年に入って新型コロナウイルス感染症の影響もあって大きく低下したとの記載(参考文献 R5)。↩
  13. 第22回議事要旨 議題1の「議論の結果」(p.4)。令和9年4月分の公表以降、改善案(新CI一致指数・新DI一致指数)に切り替えて参考指標として公表を開始すること、新CI・新DIに基づく景気基準日付の判定方法は、早ければ次の景気の山の暫定設定の際、従来の判定方法による場合と大きなかい離が生じないかを確認した上で採用し、その際に新CI一致指数等を正式系列へ切り替えること(参考文献 R6)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。