想定読者:事業会社の経営企画・FP&A・経理で、予算や業績見込みの前提(販売単価、原材料単価、為替、設備投資など)を管理している方
前提知識:前提一覧シートの考え方、%と%ポイントの違い(短観の知識は不要です)

結論:短観は前提行ごとに対応させ、年4回の点検の合図に使う

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)では業況判断DIが注目されますが、予算や見込みの前提行に直結しやすいのは、それ以外の項目です。たとえば2026年10月1日公表の9月調査では、企業が事業計画の前提にしている米ドル円レート(全規模・全産業、2026年度)の平均が、6月調査の152.57円から154.23円へ、1.66円円安方向に動きました1。自社の為替前提がこの水準から大きく離れていないかを点検する、といった使い方です。運用は次の3段階です。

  1. 短観の項目を自社の前提行に対応させた「項目対応表」を作る(図表1)。
  2. 前提行ごとに、点検を始める変化の目安を社内ルールとして数値で決める(日本銀行が定めた基準ではありません)。
  3. 公表のたびに点検し、「変更」か「据え置き」かを理由とともに「モデル前提更新表」に記録する(図表3)。

短観は調査対象企業の回答の集計で、日本銀行の景気判断や予測ではありません2。前提を決める根拠ではなく、点検を始める合図として使います。業況判断DIの定義と計算は用語集の日銀短観に委ね、前提は値・出典・更新日を1か所で管理する前提一覧シートに置くものとして進めます。

短観の項目は3種類あり、単位と定義が違う

経済指標は一般に政府機関などが調査で集めた数字から作られ、企業アンケートで景況を測る型もあります(米国の購買担当者景気指数〈PMI〉など)3。短観は日本銀行が統計法に基づいて行うこの型の調査で、3・6・9・12月に調査し、4月初・7月初・10月初・12月央に2日に分けて公表します。資本金2千万円以上の民間企業から抽出した企業(2026年9月調査は9,104社)が対象で、規模は資本金で大企業(10億円以上)・中堅企業(1億円以上10億円未満)・中小企業(2千万円以上1億円未満)に分けます4。前提の点検に使う項目は次の3種類です5。

  • 判断項目:「販売価格」「仕入価格」「雇用人員」などを3つの選択肢から選んでもらい、第1選択肢の回答社数構成比(%)から第3選択肢の構成比(%)を引いたDI(ディフュージョン・インデックス)にします。単位は%ポイントで、規模で重み付けしない1社1票の集計です。
  • 年度計画:売上高・設備投資額・為替レートなどの計画と実績です。金額は母集団全体の推計値(百万円)に、為替レートは回答値の単純平均(円/ドル)に集計します。
  • 物価見通し:販売価格と物価全般の1・3・5年後の見通しを選択肢で尋ね、参考値の「見通しの平均」(%)を公表します。

価格判断DIの計算式
価格判断DI(%ポイント)=「上昇」の回答社数構成比(%)-「下落」の回答社数構成比(%)。構成比は小数第1位を四捨五入して整数にしてから引きます

以下は学習用の架空事例です。100社中「上昇」55社、「もちあい」35社、「下落」10社なら、DI=55-10=+45ポイントです。値上げ幅が平均1%でも10%でもDIは同じで、単価の上昇率(%)には置き換えられません。また、販売価格・仕入価格・借入金利水準の3つは、水準ではなく「3か月前と比べた変化の方向」を尋ねています6。DIが下がっても「上昇」が「下落」より多い限り、値上がりは続いています。

なお日本銀行は、賃金(正社員1人当たり所定内給与の前年比)の項目新設と在庫関連2項目の廃止を、2027年前半を目途に始める予定です(時期は未確定)7。法人企業景気予測調査との使い分けは、用語集の法人企業景気予測調査に委ねます。

短観項目対応表:どの項目を、どの前提行の点検に使うか

図表1は、短観の項目を前提行に対応させるひな形です。自社版は、前提一覧シートの各行に「短観で見る項目」と「見る区分(規模×業種)」の列を足して作ります。

図表1:短観項目対応表(全国短観の項目と自社の前提行)
短観の項目(単位・定義)見る区分自社の前提行使い方と注意点
販売価格判断DI(「上昇」-「下落」。3か月前と比べた変化)自社と同じ規模・業種販売単価の上昇率同業で値上げが広がっているか。上昇幅は分からない
仕入価格判断DI(同上。主要原材料〈外注加工費を含む〉・主要商品)自社と同じ規模・業種原材料単価の上昇率仕入コスト上昇の広がり。水準は購買実績や市況で補う
企業の物価見通し(販売価格・物価全般の1・3・5年後、%)全規模・全産業、または自社の規模×製造・非製造中期計画の販売単価・物価販売価格は現在比の累積、物価全般は前年比で、ベースが違う
設備投資額(年度計画。前年度比・修正率、%)自社の規模、取引先の業種Capexの実行時期、取引先の投資意欲調査のたびに修正される。自社案件の積み上げは置き換えない
想定為替レート(円/ドル・円/ユーロ、上期・下期)全規模・全産業。輸出企業(大企業・製造業)も別掲ドル円前提他社が計画に置いた前提の単純平均。市場の予測ではない
雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」。水準の判断)自社と同じ規模・業種採用充足率マイナスは「不足」超。賃金は別の統計で見る
資金繰り判断DI(「楽である」-「苦しい」)・貸出態度判断DI(「緩い」-「厳しい」)。「最近」のみ。借入金利水準判断DI(「上昇」-「低下」。変化の方向)自社の規模運転資金、借入の確度・金利地合いの確認のみ。借入条件は金融機関との協議で置く
対象:2026年4月時点の全国短観の調査項目。出所:日本銀行「短観の解説」(2026年4月)第2章2を基に大手町プレップ作成。加工内容:右2列は編集部の整理。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

概要(公表初日)の価格判断の表は大企業と中小企業だけなので、中堅企業や個別業種は公表2日目の調査全容で確認します8。

以下の数値例は学習用の架空事例です。U社は食品包装資材メーカー(製造業。資本金1億円以上10億円未満の中堅企業と仮定)で、前提一覧シートに次の行があります(単位:百万円)。

  • 販売単価の上昇率(年度平均・前年度比)+3.0%。前年度の売上高9,000、数量は一定
  • 円建て原材料の単価上昇率(同)+6.0%。前年度の円建て原材料費3,300
  • ドル建て原材料の購入額は年12百万ドル(上期・下期各6百万ドル)、ドル円前提140円
  • 設備投資額(Capex)480(稟議済み300、未稟議180)、採用充足率95%

販売価格と仕入価格の判断DIの差から、価格転嫁の余地を読む

2つの価格判断DIは、どちらも円ベースで、消費税など制度変更の影響を除いた判断です9。この2つの差を見ます。

価格判断DIの差(編集部が便宜的に使う引き算)
差(%ポイント)=仕入価格判断DI-販売価格判断DI

差が大きい、または拡大しているときは、仕入の値上がりを感じる企業が販売の値上がりを感じる企業より多いことを示します。ここから「価格転嫁(コストの上昇分を販売価格に反映すること)が追いついていない可能性がある」と読むのは編集部の仮説です。DIは上昇幅を示さず、同じ企業の同じ品目の組み合わせでもないため、差は日本銀行の公表指標でもありません。

以下は学習用の架空事例です。U社の区分(製造業・中堅企業)の価格判断DIが図表2のように動いたとします。差は回次1が22、回次2が30(前回比+8)、回次3が32(+2)、回次4が19(-13)です。社内の目安を「差が前回比で±5ポイント以上動いたら点検する」とすると、回次2と回次4が点検の対象になります。

図表2:販売価格判断DIと仕入価格判断DIの推移と差(架空) 販売価格判断DI(実線・●) 仕入価格判断DI(破線・■) 単位:%ポイント 0 10 20 30 40 50 60 70 40 52 58 54 18 22 26 35 差 22 (初回) 差 30 前回比+8 差 32 前回比+2 差 19 前回比−13 回次1 X年3月調査 (4月初公表) 回次2 X年6月調査 (7月初公表) 回次3 X年9月調査 (10月初公表) 回次4 X年12月調査 (12月央公表) 目安:差が前回調査比で±5ポイント以上動いた回次(回次2は+8、回次4は−13)は点検を始める
単位:%ポイント。対象期間:X年度の4回の調査(U社が属する製造業・中堅企業の区分)。差=仕入価格判断DI-販売価格判断DI。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

目安に該当したら、短観の外にある自社の事実(回次2は購買部の購入単価、回次4は営業部の価格改定の実績)を確かめます。実データでは、2026年9月調査の「最近」の差は大企業・製造業が19(仕入59-販売40)、中小企業・製造業が30(仕入71-販売41)で、6月調査(22、36)から縮みました10。転嫁が進んだのか、仕入価格が落ち着いたのかは、このDIだけでは区別できません。なお、中小企業・製造業の販売価格判断DIは6月調査の「先行き」が52、9月調査の「最近」が41で、先行きDIには癖があるとされます11。「前回の先行き」と「今回の最近」の差を記録してから、見通しをどこまで織り込むかを決めます。

設備投資計画と想定為替レートは「修正される数字」「他社の前提」として読む

設備投資計画は調査のたびに修正される

設備投資額の年度計画は、前年度の3月調査から翌年度の6月調査まで6回調査され、6月調査で実績が確定します。修正率は前回調査からの修正の大きさで、前年度比とは別の数字です。前年度比の分母は3月調査と6月調査以降で入れ替わるため、「前回の前年度比+今回の修正率」は今回の前年度比と一致しません12。

修正率の計算式
修正率(%)=(今回調査の推計値-前回調査の推計値)÷前回調査の推計値×100

日本銀行によると、過去の平均的なパターンでは、大企業は3月から6月調査にかけて上方修正され、12月調査から翌年6月調査にかけては工事の遅れなどで下方修正されがちです。中小企業は年度計画を事前に作らない企業が多く、ほぼ一貫して上方修正されます。年によって異なり、中堅企業の説明はありません13。2026年9月調査の2026年度計画(含む土地投資額)は、大企業・全産業が前年度比+11.3%・修正率-0.2%、中小企業・全産業が-4.7%・+4.0%でした(全規模・全産業は+7.6%・+0.8%)14。中小企業の計画値を、そのまま実績の見込みとして読まないようにします。

自社のCapexは案件の積み上げで置き、短観の伸び率を当てはめません。短観は、同じ区分の計画が下方修正に転じたときに未稟議案件のずれ込みを点検する合図に使い、取引先の投資意欲は機械受注統計(機械メーカーの受注額の統計)も併用できます。短観の設備投資額は、リース資産・使用権資産と土地を含む有形固定資産への新規計上額で、ソフトウェア投資額と研究開発投資額を含まず、GDP統計の設備投資とも異なるため、定義をそろえて比べます15(Capexと償却の関係は減価償却とCapexの実務)。

想定為替レートは「他社が計画に置いた前提」の平均

年度計画の「為替レート」は、想定為替レートを設定している企業が、事業計画の前提にしている円レートを上期・下期ごとに答えるもので、回答値の単純平均です16。

これは市場の予測でも実勢レートでもなく、自社の前提が他社の計画前提から大きく外れていないかを点検する材料です。外貨建て収入の多い輸出型なら、自社の前提が短観より円高側にあるほど保守的ですが、外貨建て費用の多い輸入型では、費用を小さく見積もっている可能性があります(編集部の整理)。輸入型のU社は下期のドル建て購入が6百万ドルなので、1円の円安で下期の原材料費が6百万円増えます(1円あたりの影響額の考え方は用語集の為替・原材料価格の感応度開示)。

物価見通しと、雇用・資金繰りの判断は「地合い」を見る

企業の物価見通しは、販売価格が「現在の水準と比べた変化率」、物価全般が「各時点の前年比」で、ベースが違います。2026年9月調査(全規模・全産業)の販売価格の3年後+5.1%は現在からの累積で、年率に直すと(1+5.1%)の3分の1乗-1≒1.7%(編集部の簡易な複利換算)なので、物価全般の3年後2.6%とそのまま比べません17。雇用人員(マイナスは「不足」超)・資金繰り・貸出態度・借入金利水準の判断は、人手や資金調達の地合いを示すもので18、採用充足率や借入金利の前提は、応募・内定の実績や金融機関の提示条件で置きます(人員計画は人員計画・人件費モデリング入門)。

モデル前提更新表を運用する:変更の目安と、年4回の判断・記録

9月調査は2026年10月1日に概要・要旨が公表され、調査全容は翌2日に公表される日程です。次は、12月調査が2026年12月14日(調査全容は15日)、3月調査が2027年4月1日(同2日)の予定です19。公表のたびに、次の手順で点検します。

  1. 公表初日に、概要で自社の区分の数値を拾います。前回比は自分で引き算せず、概要の「変化幅」(「最近」は前回調査の「最近」との差、「先行き」は今回の「最近」との差)を使います20。
  2. 前提行ごとの目安に当てはめ、「該当」か「未満」かを記録します。
  3. 該当した行は短観以外の根拠(価格改定や購入単価の実績、先物為替レート、稟議の進捗)で確かめ、「変更」か「据え置き」かを決めます。
  4. 前提一覧シートの該当セルだけを更新し、更新前後の値・理由・記録者・日付を残します。据え置きも記録します(予測と実績のずれの測り方は着地見込みと予測精度の管理)。

U社の目安は、過去の前回比の動きを見て決めたという仮定の例です。価格差は前回比±5ポイント、ドル円は短観の下期の値と自社前提との差±3円、設備投資額は同じ区分の修正率±2%、採用充足率は雇用人員判断DIの前回比±3ポイントとしています(採用充足率は、この年度は目安に該当しなかったものとして図表3では省きます)。過去8回(2年分)の前回比を並べ、動きの大きい上位2〜3回が引っかかる水準に置くのが一例で、緩すぎれば形骸化し、厳しすぎれば毎回が点検になります。

共通前提を予算編成方針で定めて期中は固定する会社では(年度予算の作り方)、固定する予算前提と、四半期ごとに見込みを引き直すローリングフォーキャストの前提を分け、後者だけを短観に合わせて更新する運用が考えられます(編集部の提案)。

図表3は、U社のX年度の4回分の更新表です。目安に該当しても据え置く場合があり(回次2の設備投資額)、該当しない回も記録し、変更の理由は自社の事実に置きます。12行のうち変更・一部変更は4行、据え置きは8行です。

図表3:モデル前提更新表(U社・X年度の4回分・架空)
回次(調査月)項目短観の数値(架空)目安判断(更新前→更新後)理由
回次1(X年3月調査)価格差販売18・仕入40、差22初回据え置き(販売3.0%、原材料6.0%)基準値として記録
ドル円140.0円、差0.0円未満据え置き(140円)-
設備投資額前年度比+2.0%(初回)初回据え置き(480)基準値として記録
回次2(X年6月調査)価格差販売22・仕入52、差30(+8)該当一部変更(円建て原材料6.0→7.5%)購入単価の実績が前年比+7.5%前後。販売価格は計画どおり
ドル円141.5円、差+1.5円未満据え置き(140円)-
設備投資額修正率+6.0%該当据え置き(480)年度初めの上方修正はよくある動き(日本銀行FAQは大企業・中小企業で説明)。自社案件は不変
回次3(X年9月調査)価格差販売26・仕入58、差32(+2)未満据え置き(販売3.0%、原材料7.5%)-
ドル円144.0円、差+4.0円該当変更(下期140→143円)先物為替レートが143円前後(根拠は先物、短観は合図)
設備投資額修正率+1.5%未満据え置き(480)-
回次4(X年12月調査)価格差販売35・仕入54、差19(-13)該当変更(販売3.0→3.5%)10月改定の実績が年度平均で+3.5%相当
ドル円143.5円、差+0.5円(前提143円)未満据え置き(143円)-
設備投資額修正率-2.5%該当変更(480→420)未稟議180のうち60が翌期へずれ込む見込み
単位:DIは%ポイント、為替は円/ドル(短観の想定為替レートは下期の値)、設備投資額は百万円、修正率は%。価格差の括弧内は前回比、原材料は円建て。記録者はいずれも担当A。対象期間:X年度の4回の調査。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

変更した行には影響額を添えます。数量一定の簡易計算で、価格(年度平均の前提)は前年度の金額全体に、為替は購入が残る下期分だけに掛けます。原材料は円建てとドル建てに分けて置き、同じ費用を二重に動かしません。

前提更新の影響額(営業利益、概算、単位:百万円)
回次2:円建て原材料費の増加=3,300×(7.5%-6.0%)=3,300×1.5%=49.5 → 営業利益-49.5
回次3:下期のドル建て原材料の円換算増=6百万ドル×(143円-140円)=18 → 営業利益-18
回次4:売上高の増加=9,000×(3.5%-3.0%)=9,000×0.5%=45 → 営業利益+45
合計=-49.5-18+45=-22.5。設備投資額は480-60=420(稟議済み300+未稟議120)で、営業利益には直接影響しません

よくある間違いと、この方法の限界

  • DIを単価の上昇率に読み替える、全規模・全産業だけを見る。DIは広がりの指標で、規模や業種で水準も方向も違います。
  • 定例見直しをまたいで数字をつなぐ。調査対象企業は原則2〜3年に1度見直されます。2026年3月の見直し(8,836社→9,209社)では前回調査との間に不連続が生じ、3月調査の概要は前回調査を新しい対象企業で再集計した値と比べています21。前回比に公表の変化幅を使うのはこのためです。
  • 公表日の状況と思い込む。2026年9月調査の回答期間は8月26日から9月30日でした22。為替のように日々動く前提は、公表日の実勢も別に見ます。

実務チェックリスト

  • 自社の規模(資本金基準)と業種区分を決め、前提一覧シートに短観の対応列を足したか
  • 変更の目安を数値で決め、「社内ルールの例で、日本銀行の基準ではない」と明記したか
  • 前回比は概要の変化幅を使い、DI(%ポイント)・修正率(%)・為替(円/ドル)の単位を混ぜていないか
  • 目安に該当した項目を、営業・購買・財務・稟議の事実で確かめてから判断したか
  • 据え置きも含め判断・理由・更新前後の値・記録者・日付を残し、前回の「先行き」と今回の「最近」の差も記録したか

よくある質問(FAQ)

自社の業種が、短観の31業種のどれに当たるのか分かりません。

業種区分は日本標準産業分類がベースで、日本銀行の解説に分類コードとの対応表があります。自社の事業の中分類で当てはめ、難しければ製造業(素材業種・加工業種)・非製造業の上位区分で見ます23。

同業の販売価格判断DIは高いのに、自社の値上げは通っていません。前提を下げるべきですか。

DIは同じ区分で「上昇」と答えた企業と「下落」と答えた企業の比率の差で、取引先ごとの交渉結果とは別物です。前提を動かす根拠は取引先別の価格改定の実績に置き、DIは点検の合図と交渉材料にとどめます。

まとめ

短観の価格判断、設備投資計画、想定為替レート、雇用・企業金融の判断は、前提行の点検に使えます。項目ごとに前提行へ対応させ、点検の目安を社内ルールとして数値で決め、公表のたびに変更も据え置きも理由とともに記録します。短観は点検の合図であり、前提の根拠は自社の実績や先物レートに置きます。

脚注

  1. 日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」p.1「(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)」。米ドル円の2026年度は、2026年6月調査152.57円、9月調査154.23円(参考文献 R1)。↩
  2. 日本銀行「『短観(全国企業短期経済観測調査)』のFAQ」1-3。集計結果は調査対象企業からの回答を集計したもので、日本銀行の景気判断や予測を示すものではないと記載(参考文献 R2)。↩
  3. Corporate Finance Institute「Economic Indicators」。経済指標が政府機関などによる調査から作られること、ISMのPMIが企業への調査で生産・新規受注・在庫・納期・受注残・雇用などを集めることを説明している。一般的な概念の参考であり、短観については記載がない(短観の項目・定義は日本銀行の資料で確認)(参考文献 R3)。↩
  4. 日本銀行「短観の解説」(2026年4月)第1章1・2(p.1)に統計法に基づく調査であることと調査対象、第1章4・5(p.5)に調査時期と公表時期(4月初・7月初・10月初・12月央、2日間に分けて公表)、第1章5(p.7)に資本金による企業規模区分。2026年9月調査の調査対象企業数(全国企業9,104社)は「短観(概要)―2026年9月―」p.1(参考文献 R4、R1)。↩
  5. 日本銀行「短観の解説」第1章3(p.4)に全国短観の4区分26項目、第2章2(p.11〜15)に判断項目・年度計画・物価見通しの調査内容と、年度計画を前年度3月調査から翌年度6月調査まで6回調査すること、第3章1〜3(p.19〜20)にDIの算式と構成比の整数化、計数の母集団推計、想定為替レートの単純平均、「見通しの平均」の算出。1社1票の単純集計は同FAQ 2-1(参考文献 R4、R2)。↩
  6. 日本銀行「短観の解説」第2章2(p.11)、同FAQ 2-4。借入金利水準・販売価格・仕入価格の3項目は、水準ではなく変化の方向性を尋ねる(参考文献 R4、R2)。↩
  7. 日本銀行調査統計局「『全国企業短期経済観測調査』の見直しに関する最終案」(2026年4月)p.1「1.はじめに」、p.13「3.調査項目見直しに関する最終案」。所定内給与の前年比(正社員1人当たり)の新設、製商品在庫水準・製商品流通在庫水準の廃止、2027年前半を目途に調査開始(時期は確定次第公表)(参考文献 R7)。↩
  8. 日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」p.2「2.需給・在庫・価格判断」は大企業と中小企業の表。「短観の解説」第1章5(p.5)に、公表初日が概要・要旨、公表2日目が詳細な計数を収録した調査全容とある(参考文献 R1、R4)。↩
  9. 日本銀行「短観の解説」第2章2(p.13)。販売価格・仕入価格の判断は、いずれも円ベースで、消費税など制度の変更の影響を除いた判断(参考文献 R4)。↩
  10. 日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」p.2の販売価格判断・仕入価格判断(製造業、「最近」)。大企業は6月調査で販売40・仕入62、9月調査で販売40・仕入59。中小企業は6月調査で販売40・仕入76、9月調査で販売41・仕入71。差は編集部の計算(参考文献 R1)。↩
  11. 日本銀行「『短観』のFAQ」2-3。「先行きDI」の動きには、景気の状況や業種などに応じてある程度癖がある点に留意が必要と記載。本文の52と41は「短観(概要)―2026年9月―」p.2(中小企業・製造業の販売価格判断)による(参考文献 R2、R1)。↩
  12. 日本銀行「『短観』のFAQ」3-4。年度計画を前年度3月調査から翌年度6月調査まで計6回調査し6月調査で実額を確定すること、修正率の式、前年比の分母が3月調査とその他の調査で異なるため「前回調査の前年比+今回調査の修正率≒今回調査の前年比」が必ずしも成り立たないこと(参考文献 R2)。↩
  13. 日本銀行「『短観』のFAQ」3-6。設備投資額(含む土地投資額)の調査回ごとの平均的な修正パターン(大企業・中小企業)と、年によって大きく異なるケースもあるという注記(参考文献 R2)。↩
  14. 日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」p.5「4.設備投資計画等」の「設備投資額(含む土地投資額)」。2026年度(計画)の前年度比と修正率(参考文献 R1)。↩
  15. 日本銀行「短観の解説」第2章2(p.14)に設備投資額の定義、同FAQ 3-6にGDP統計の民間企業設備投資と異なる旨、「短観(概要)―2026年9月―」p.5の注1に設備投資額(含む土地投資額)はソフトウェア投資額・研究開発投資額を含まない旨(参考文献 R4、R2、R1)。↩
  16. 日本銀行「短観の解説」第2章2(p.13〜14)に為替レートの定義と半期(上期・下期)ごとの調査、第3章2(p.20)と同FAQ 3-5に回答値の単純平均(参考文献 R4、R2)。↩
  17. 日本銀行「『短観』のFAQ」4-3に、販売価格の見通しは現在の水準と比べた変化率、物価全般の見通しは各時点の前年比でベースが異なる旨。数値は「短観(概要)―2026年9月―」p.7「7.企業の物価見通し」の「(参考)見通しの平均」(全規模合計・全産業、今回)(参考文献 R2、R1)。↩
  18. 日本銀行「短観の解説」第2章2(p.12〜13)。雇用人員(「過剰」-「不足」)、資金繰り(手元流動性水準・金融機関の貸出態度・資金の回収や支払条件などを総合した判断)、金融機関の貸出態度(いずれも「最近の状況」のみ調査)、借入金利水準(「上昇」-「低下」)の定義(参考文献 R4)。↩
  19. 日本銀行「統計データの公表・掲載予定(2026年7月~2027年6月)」の「8.短観」の行。概要及び要旨は2026年10月1日・12月14日・2027年4月1日、調査全容は各翌日。公表時刻は午前8時50分(「短観の解説」p.5)(参考文献 R5、R4)。↩
  20. 日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」p.1の(注)2。「最近」の変化幅は前回調査の「最近」との対比、「先行き」の変化幅は今回調査の「最近」との対比(参考文献 R1)。↩
  21. 日本銀行「短観調査対象企業の定例見直し」(2026年3月6日)p.1〜2。調査対象企業が8,836社から9,209社に増加、2025年12月調査と2026年3月調査の間のデータの不連続、2026年3月調査の概要では2025年12月調査の新ベースのデータを比較対象とする取扱い(参考文献 R6)。↩
  22. 日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」p.1の「回答期間 8月26日~9月30日」。回答期間が調査表等の配付日から公表日までの約1か月間であることは「短観の解説」第2章1(p.11)(参考文献 R1、R4)。↩
  23. 日本銀行「短観の解説」第1章5(p.6〜7)の「全国短観の業種区分」と、対応する日本標準産業分類(コード)の表(参考文献 R4)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。