想定読者:経営企画・FP&A・事業部の管理会計担当者、増員や拠点拡張の採否を数字で説明したい事業責任者
前提知識:固定費と変動費の違い。限界利益(売上高から変動費を引いた額)の意味。

結論:増員・増床の直後は利益が落ちます。元に戻る数量を先に計算して判断します

物流代行センターの受注が伸び、作業チームの処理能力の上限が見えてきたとします。「あと1チーム増やすか」を議論するとき、予算モデルが固定費を月額一定で置いていると、増員の直後に利益が下がる谷が計算に出てきません。

結論は3点です。第一に、人員・拠点・設備は一定の能力ごとにまとまって増えるため、固定費は階段状になり、営業利益は出荷件数に対してのこぎりの歯の形になります。能力を超えた直後は追加固定費がそのまま乗り、利益は段を上げる前の水準(その段の頂点)を下回ります。第二に、元の水準へ戻るには、追加固定費を1件当たり限界利益で割った件数だけ出荷が増える必要があります。本記事ではこれを段の回収数量(段ごとの損益分岐数量)と呼びます。第三に、能力超過が小さい場合や一時的な場合は残業・外注・受注制限が有利になりえ、需要が継続して大きいときに増員が有利になります。設例のY社では、1チームを足す段の回収数量は5.0千件です。

設例は学習用の架空事例で、件数は千件、金額は千円、いずれも月次です。法令は2026年10月時点の労働基準法に基づきます。

段階固定費の仕組み:1段当たり能力と1段当たり固定費で置く

段階固定費(ステップコスト。階段状の固定費とも呼ばれます)は、一定の活動水準の範囲では一定で、水準に達すると段階的に増える費用です。Corporate Finance Institute(CFI)の解説も同趣旨で定義し、新しい活動水準に近づく局面で見落とすと利益を逃し得ると述べています1。日本の原価計算基準は、一定の範囲の操業度では固定的で、それをこえると急増して再び固定化する原価要素(監督者給料など)を「準固定費」と呼び、固定費または変動費とみなして帰属させるか、両方の部分に分解するとしています2。これは原価計算上の分類の手続で、本記事は予算と意思決定のために段の形のまま残します(編集部の整理)。AI基盤の容量費用が階段状に増える例はAI企業のビジネスモデルと収益構造で扱っています。

固定費は、売上や生産量が変わっても一定期間はほぼ一定額かかる費用ですが、一定なのは能力の範囲内に限られます。固定費・変動費の分解の解説では階段費と呼んでいます。段階固定費は、資源ごとに1段当たり能力(1チームが月に処理できる件数)と1段当たり固定費(その1チームの月額人件費)の2つで置き、必要な段数は数量を能力で割って切り上げます。Excel では CEILING(数量 ÷ 1段当たり能力, 1) です。CEILING 関数は、基準値の倍数のうち最も近い値へ切り上げ、数値が基準値の倍数と等しいときは丸めずにその値を返します3。能力ちょうどでは段が上がらず、わずかでも超えると次の段が必要になる動きと一致します。

設例:物流代行センターY社の前提

以下は学習用の架空事例です。EC事業者から出荷業務を受託する物流代行センターY社の前提を図表1に示します。1件当たり限界利益(受託単価から変動費を引いた額)は300円で、円/件の数値はそのまま千円/千件として使えます。いまの出荷は月40千件で、4チームの能力をちょうど使い切っています。

図表1:Y社の前提条件(月次)
項目値単位
受託単価700円/件
変動費(梱包材80+配送委託費320)400円/件
1件当たり限界利益300円/件(=千円/千件)
1チーム(5人)の処理能力10千件/月
1チームの月額人件費(300千円×5人。事業主負担等を含む仮定)1,500千円/月
1区画の処理能力50千件/月
1区画の月額賃料3,000千円/月
基本固定費(管理者・システム等。段で変わらない)1,200千円/月
対象期間:月次(1か月)。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。

人件費の月割りや法定福利費は人員計画・人件費モデリング入門に、固定費と変動費の分け方は費目別にコスト構造を推定する記事に委ねます。

出荷件数ごとの営業利益と、段の回収数量

数量別の営業利益(段階固定費あり)
必要チーム数 = CEILING(出荷件数 ÷ 10, 1)、必要区画数 = CEILING(出荷件数 ÷ 50, 1)
固定費 = 1,200 + 1,500 × 必要チーム数 + 3,000 × 必要区画数
営業利益 = 300 × 出荷件数 − 固定費

出荷44千件なら、CEILING(44 ÷ 10, 1) = 5チーム、CEILING(44 ÷ 50, 1) = 1区画で、固定費は 1,200 + 1,500×5 + 3,000×1 = 11,700千円、営業利益は 300×44 − 11,700 = 1,500千円です。出荷件数ごとの結果が図表2です。

図表2:出荷件数別の営業利益(単位:件数は千件、金額は千円/月)
出荷件数チーム数区画数売上高変動費固定費営業利益読み方
404128,00016,00010,2001,800能力ちょうど(頂点)
415128,70016,40011,7006005チーム目で−1,200
445130,80017,60011,7001,500能力の1割超
455131,50018,00011,7001,80040千件の水準に戻る
505135,00020,00011,7003,3005チーム体制の頂点
516235,70020,40016,200−9006チーム目+2区画目
556238,50022,00016,20030050千件より低い
606242,00024,00016,2001,8006チーム体制の上限
対象期間:月次(1か月)。売上高=700×出荷件数、変動費=400×出荷件数、固定費=1,200+1,500×チーム数+3,000×区画数。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表2のとおり、40千件でチームの能力が尽き、41千件では5チーム目が必要になって固定費が1,500千円増えます。限界利益は1千件分の300千円しか増えないので、営業利益は1,800千円から600千円へ1,200千円(=1,500−300)下がります。段を上げた瞬間は追加固定費の全額が乗り、その後は出荷が1千件増えるごとに300千円ずつ戻ります。これがのこぎりの歯の谷です。元の1,800千円に戻る数量は、次の式で求めます。

段の回収数量(段ごとの損益分岐数量)
段の回収数量 = 段を上げた追加固定費 ÷ 1件当たり限界利益
チーム1段:1,500 ÷ 300 = 5.0千件、40 + 5.0 = 45.0千件で、40千件の営業利益に戻る

5.0千件は新しい1チームの能力10千件の半分で、5チーム体制(能力50千件)の稼働率(保有する能力に対する実際の処理量の比率)でいえば、段を上げた直後の41千件では82%、45千件で90%です。出荷が41〜44千件にとどまるなら、5チーム目を足すより40千件で受注を止めたほうが月次の営業利益は高く、45千件を超える需要が続く見込みがあって初めて、5チーム目が受注制限を上回ります。

区画の段は6チーム目も同時に必要になるため、追加固定費は 1,500 + 3,000 = 4,500千円で、51千件の営業利益は3,300千円から−900千円へ4,200千円下がります。4,500 ÷ 300 = 15.0千件で65千件に戻るように見えますが、60千件を超えると7チーム目が必要になるため、実際に3,300千円へ戻るのは70千件です。回収数量の式は、途中で別の段が来ないときだけ成り立ちます。

図表3:出荷件数と段階固定費・営業利益(のこぎり型) ① 限界利益と固定費(千円/月。縦軸は 6,000 から) 6,000 10,000 14,000 18,000 実線:限界利益=300×件数 破線:固定費(階段状) ② 営業利益=限界利益−固定費(千円/月。A・B は段を上げた直後の落ち込み) −2,000 0 2,000 4,000 A B A:1,500 低下 45 で 1,800 に回復 B:4,500 低下 斜線:直前の頂点より利益が低い区間(谷) チーム能力いっぱいの点(頂点) 20 30 40 50 60 月間出荷件数(千件)。目盛りはチーム能力の境目(10 千件ごと)
単位:千円(月次)。横軸は月間出荷件数(千件)。対象期間:月次(1か月)。上段の縦軸は6,000から。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

図表3の上段では、限界利益の直線と固定費の階段の縦の差が営業利益です。下段のA・Bの数値は、能力をわずかに超えた点での落ち込み幅(追加固定費の全額)です。斜線は直前の頂点より利益が低い区間で、谷Aは40超から45千件まで、谷Bは50超から続き、60千件でも1,800千円と、頂点の3,300千円には戻りません。

増員・増床か、残業・外注・受注制限か:需要の継続期間で結論が変わる

需要が44千件に増え、能力40千件を1割(4千件)超えたとします。受注制限は40千件で受付を止める案で、営業利益は図表2の1,800千円です。増員は5チーム目を足す案で、1,500千円です。限界利益の増加は300×4=1,200千円で、追加の人件費1,500千円を下回り、受注制限より300千円低くなります。回収数量5.0千件に4千件が届かないためです。

残業は、既存の4チーム20人で4千件を処理する案です。1人は月に2千件を所定160時間(1日8時間×20日)で処理するので、生産性は12.5件/人時です。4千件には320人時、1人月16時間が必要です。割増賃金の基礎となる月給を256千円と仮定すると、時間単価は256千円÷160時間=1,600円です。労働基準法第37条第1項は、時間外労働の割増賃金を政令で定める率(2割5分以上5割以下の範囲内)以上で払うよう定め、1か月60時間を超えた時間は5割以上としています4。厚生労働省のリーフレットは、1日8時間・週40時間を超える時間外労働の割増率を月60時間以下で25%、60時間超で50%(中小企業も2023年4月1日から)と示しています5。1人月16時間は60時間以下なので、法定の下限25%で計算すると時間単価は1,600円×1.25=2,000円、残業人件費は320人時×2,000円=640千円です。営業利益は 1,800 + 4×300 − 640 = 2,360千円で、受注制限より560千円高くなります。

ただし、残業には労使協定(36協定)の締結・届出が必要で、上限もあります。協定で定める時間外労働の限度時間は原則として月45時間・年360時間です。通常予見できない業務量の大幅な増加などに伴い臨時的に超える場合の協定にも、年720時間以内・月100時間未満などの上限があり6、この例外を見込みのある継続的な需要に常用するのは難しいと考えられます(編集部の見解)。

外注は、梱包・出荷の作業だけを外注先へ1件200円で委託し、梱包材と配送委託費は従来どおりY社が負担する案です。限界利益は300−200=100円/件なので、4千件で400千円増え、営業利益は2,200千円です。自社で行うか外部に委ねるかの比較は内製・外注判断の考え方に沿います。4案を図表4に並べます。

図表4:能力を1割超える需要(44千件)への対応案の比較(単位:千円)
項目受注制限(40千件で停止)増員(5チーム目)残業(既存20人)外注(作業のみ)
① 月次の営業利益(44千件)1,8001,5002,3602,200
② 受注制限との差(月次)0−300+560+400
③ 3か月で40千件に戻る場合の累計差0−2,400+1,680+1,200
④ 12か月続く場合の累計差(44千件)0−4,200+6,720+4,800
⑤ 12か月続く場合の累計差(50千件)0+17,400前提にできない(年480時間)+12,000
対象期間:月次、および3か月・12か月の累計。プラス=受注制限より有利、マイナス=不利。立上げ費用600・縮小費用900は学習用の仮定。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表4のとおり、需要が3か月で40千件に戻るなら、増員は月−300の3か月分−900に立上げ費用600と縮小費用900が加わって−2,400で、残業の+1,680、外注の+1,200に大きく劣ります。44千件が12か月続いても、増員は−300×12−600=−4,200です。残業は1人年192時間(16時間×12か月)で年360時間以内に収まり、残業(+6,720)も外注(+4,800)も増員を上回ります。

50千件が12か月続くなら結論が変わります。増員は月+1,500(図表2の3,300−1,800)で、立上げ費用を引いて12か月+17,400となり、外注の+12,000を上回ります。残業は1人月40時間で月45時間に収まりますが、12か月続くと年480時間で年360時間を超え、継続的な前提にできません。超過分をx千件とすると、増員が外注を上回るのは 300x − 1,500 > 100x、つまり7.5千件超です。年360時間の範囲で残業を常時使える量も、20人×月30時間×12.5件/人時=7.5千件です。ただし、7.5千件までを残業(1件当たり人件費は2,000円÷12.5件=160円、限界利益は140円)、残りを外注で処理する組み合わせの増益は 140×7.5 + 100×(x − 7.5) = 300 + 100x で、増員が上回るのは 300x − 1,500 > 300 + 100x、つまり9千件超です。設例の仮定では、継続的な需要が、受注制限と比べるなら45千件超、外注だけと比べるなら47.5千件超、残業と外注の組み合わせと比べるなら49千件超に達する見込みがあるときに、増員が有利になります。

段を上げるのは数か月で済んでも、下げるときは契約や労務の制約を受けます。区画の賃貸借は契約期間36か月で、中途解約には賃料6か月分(18,000千円)の違約金がかかると仮定します(学習用の仮定)。55千件の需要が6か月で50千件に戻る場合(金額は千円)、6チーム目と2区画目を足した営業利益は月300で、50千件の3,300より月3,000低く、6か月で18,000の悪化です。解約しなければ残り30か月の賃料90,000が固定費として残るため、違約金18,000を払って解約すると、合計36,000の悪化です(立上げ・縮小費用を除く)。人員削減についても、厚生労働省は、整理解雇の有効性が人員削減の必要性、解雇回避の努力、人選の合理性、手続の妥当性に照らして厳しく判断されると説明しています7。法的判断は個別の事情によるため断定せず、縮小費用を仮置きして損失を見積もるにとどめます。個別の追加受注の最低価格は追加受注を受ける最低価格の決め方で扱います。

予算モデルへの組み込み方

月次の予算モデルでは、出荷件数の行の下に、資源ごとの1段当たり能力・1段当たり固定費・現在の段数を入力セルとして置き、必要段数の行を CEILING で計算します。固定費の行は「基本固定費+Σ(段数×1段当たり固定費)」です。回収数量のセルと、「継続して見込む需要 − (現在の能力+回収数量)」がプラスかを示す判断の行を置くと、増員を検討する条件が一目で分かります。年次で固定費を平準化すると図表3の谷が消えるため、段の判断は月次で行います。

よくある間違いと、この設例の成立条件・限界

よくある間違いは、回収数量を通常の損益分岐点と混同することです。回収数量は段を上げる前の頂点の利益に戻る数量で、利益がゼロになる数量ではありません。後者を求める損益分岐点分析(CVP分析)は価格・数量の意思決定に使う実務の記事で扱っています。

この設例は、限界利益が1件300円で一定であること、チームと区画の段が独立で能力いっぱいまで使えること、残業の生産性が通常時と同じであること、外注先の能力に制約がなく品質差を無視できることを前提にしています。立上げ・縮小費用は一括の仮置きで、金利や時間価値は考慮せず、残業代の事業主負担や深夜・休日の割増は省略しています。実際の判断では、自社の契約・賃金・就業規則と最新の法令を確認してください。

実務チェックリスト

  • 人員・拠点・設備ごとに、1段当たり能力と1段当たり固定費を契約書・賃金台帳・見積書から置き、能力は理論値ではなく実際に処理できる件数にしている。
  • 必要段数を CEILING で計算し、能力ちょうどの数量では段が上がらないこと(40千件で4チーム)を確認している。
  • 出荷件数ごとの営業利益表で、各段の直後の落ち込みと、段の回収数量(追加固定費 ÷ 1件当たり限界利益)を出している。
  • 増員・増床は、受注制限・残業・外注とその組み合わせと同じ表に並べ、需要が3か月で戻る場合と12か月続く場合に分けて比べている。
  • 残業案は1人当たりの月間時間を計算し、限度時間(月45時間・年360時間)と割増率(月60時間超は50%)の範囲か確かめている。
  • 段を下げる費用(契約期間・中途解約違約金・縮小費用)を仮置きして損失を計算し、法的な判断は専門家に確認している。

よくある質問(FAQ)

パートや派遣のように、1人・時間単位で増減できる人員も段階固定費として置きますか。

段が小さいほど谷は浅くなります。1段を1人(能力2千件、人件費300千円)にすると、落ち込みは300千円、回収数量は 300 ÷ 300 = 1.0千件で、5人チームより小さくなります。ただし、回収に必要な稼働率(新しい1段の能力の半分)は変わりません。

すでに結んだ賃貸借契約の賃料は、増床の判断から除いてよいですか。

解約できず回避できない賃料は、どの案を選んでも変わらないため、比較から除きます。差額原価・増分分析(案によって変わる額だけを比べる考え方)の整理です。一方、解約して回避できる賃料と、そのときの違約金は案によって変わるため、比較に含めます。

まとめ

段階固定費は、能力の1段ごとに増えて営業利益をのこぎり型にします。段を上げた直後は追加固定費の全額が乗って利益が頂点を下回り、追加固定費を1件当たり限界利益で割った数量だけ出荷が増えて元に戻ります。能力を1割超える需要でも、一時的な場合や回収数量に届かない場合は残業・外注・受注制限が有利で、設例では継続的に49千件を超える見込みがあって初めて、増員が残業と外注の組み合わせも上回ります。

脚注

  1. Corporate Finance Institute「Step Costs」。段階固定費(stair-step costs)を、一定の活動水準では一定で、活動水準が閾値に達すると増減する費用と定義し、新しい活動水準に近づく局面で考慮しないと利益を逃し得ると説明する。一般的な概念の参考であり、同ページの設例・数値は使っていない(参考文献 R1)。↩
  2. 企業会計審議会「原価計算基準」第2章第1節8(四)。「ある範囲内の操業度の変化では固定的であり、これをこえると急増し、再び固定化する原価要素たとえば監督者給料等」を準固定費と呼ぶ。続く段落は、準固定費を固定費または変動費とみなしていずれかに帰属させるか、固定費の部分と変動費の部分とに分解するとする。同(四)は操業度を「生産設備を一定とした場合におけるその利用度」と定める(参考文献 R2)。↩
  3. Microsoft「CEILING 関数」(Excel)。基準値の倍数のうち、絶対値に換算して最も近い値に切り上げられた数値を返す。指定された数値が基準値の倍数と等しい場合は、数値は丸められずにその値が返される(参考文献 R3)。↩
  4. 労働基準法(昭和22年法律第49号)第37条第1項。時間外労働・休日労働に対し、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の「二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率」で計算した割増賃金を支払うこと。延長時間が1か月について60時間を超えた場合は、超えた時間について「五割以上の率」。同条第5項は、割増賃金の基礎となる賃金に家族手当・通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金を算入しないと定める(2026年10月2日に厚生労働省「法令等データベースサービス」掲載の条文で確認。参考文献 R4)。↩
  5. 厚生労働省リーフレット「中小企業の事業主の皆さまへ 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます 2023年4月1日から」(末尾に「(2022.4)」の表記)。1日8時間・週40時間を超える時間外労働の割増賃金率は、月60時間以下で25%、60時間超で50%。2023年4月1日から中小企業も月60時間超は50%となる。月60時間超を深夜に行わせた場合は75%、法定休日労働は35%(参考文献 R5)。↩
  6. 労働基準法第36条。第1項は、過半数労働組合または過半数代表者との書面による協定を行政官庁に届け出た場合に、協定で定めるところにより労働時間を延長できるとする。限度時間は「一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間」(第4項)。当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合の協定には、年720時間を超えない範囲などの上限(第5項)、1か月の時間外・休日労働の合計が100時間未満などの要件(第6項)がある。研究開発業務(同条第11項)や、自動車の運転の業務・医師など(附則第139条〜第142条)には別の取扱いがあり、本文は倉庫内作業の設例に一般の規定を当てはめた(2026年10月2日に同データベースの条文で確認。参考文献 R4)。↩
  7. 厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」。解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできない(労働契約法第16条)。整理解雇は、人員削減の必要性、解雇回避の努力(配置転換、希望退職者の募集など)、人選の合理性、解雇手続の妥当性に照らして有効かどうかが厳しく判断される(参考文献 R6)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。