想定読者:製造業の経理・経営企画・FP&A(財務計画・分析)の担当者、工業簿記を学び始めた方、製造業の財務デューデリジェンスで製造原価や在庫を読む方
前提知識:材料費・労務費・経費の区別と、売上原価・棚卸資産の関係。仕訳の知識は使いません。

結論:月末仕掛品を完成品に換算して按分する。Z社では方式の差より、換算を省く誤りのほうが大きい

連続生産の工場では、月末に作りかけの仕掛品が残ります。当月の製造費用をそのまま完成品の原価にすると、未完成分の原価まで売上原価に入り、仕掛品が増えた月は利益を実態より小さく見せます。以下、工業用塗料を単一工程で連続生産する学習用の架空事例(Z社)で、求め方を確かめます。

総製造費用(月初仕掛品原価+当月製造費用)を、完成品と月末仕掛品に分けます。月末仕掛品は完成品換算量(作りかけの仕掛品が完成品何kg分の作業量に当たるか)に直し、材料費と加工費(直接材料費以外の原価)を別々に按分(比で割り振ること)します。月初仕掛品原価の扱いが、月初と当月を合算する平均法と、月初仕掛品を先に完成させたとみなす先入先出法で異なります。Z社では総製造費用18,840千円のうち、完成品原価は平均法16,524千円、先入先出法16,500千円で、差は24千円(約0.15%)でした。一方、換算を省いて当月製造費用17,520千円をそのまま完成品原価にすると、売上総利益は平均法の3,876千円より996千円(約25.7%)小さい2,880千円になります。996千円は、月末仕掛品原価が月初より増えた分です。基準が当月製造費用をそのまま完成品原価とすることを認めるのは、月末仕掛品の数量が毎期ほぼ等しい場合です1。月初2,000kgから月末3,000kgへ50%増えたZ社には当てはまりません。

前提は3つです。第一に、日本の原価計算基準(企業会計審議会、1962年。2026年10月時点の掲載文言)に沿った実際原価計算で、算定手続は第2章第4節24に定められています2。第二に、仕損・減損(不良品の発生や蒸発などで失われる分)はないものとし3、ある場合は仕損コストの見える化と歩留まり改善に委ねます。第三に、単一工程の単純総合原価計算に限ります。購入した商品・材料の払出単価は在庫の評価方法とCOGSに委ね、本記事は仕掛品の按分に絞ります。

総合原価計算は何を求める計算か:個別原価計算との違いと、原価を2つに分ける理由

基準は、製品別計算を生産形態に応じて、単純総合・等級別総合・組別総合の各原価計算と、個別原価計算に分けます(原価計算の分類軸の1つで、集計の単位の違いです)。単純総合原価計算は「同種製品を反復連続的に生産する生産形態に適用する」ものです。個別原価計算は「種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用」され、特定の製造指図書ごとに原価を集計します4。Corporate Finance Institute(CFI)も、顧客ごとに仕様が異なる仕事には job order costing(個別原価計算に当たる)、標準化された製品には process costing(総合原価計算に当たる)が使われると、一般論として説明しています5。受注案件ごとの集計は個別原価計算で案件別採算表を作るに委ねます。

原価は材料費と加工費に分けます。基準は、当期製造費用と期首仕掛品原価を「原則として直接材料費と加工費とに分け」ると定め、加工費を「直接材料費以外の原価要素を総括して」分類できる区分としています6。本記事では、労務費、電力などの経費、配賦(共通の費用を一定の基準で製品に割り振ること)された製造間接費をまとめて加工費と呼び、金額は所与として扱います。

分ける理由は、原価の発生の仕方が違うからです。Z社では、樹脂・顔料などの材料を工程の始点で全量投入するため、加工がほとんど進んでいない仕掛品にも完成品と同量の材料が入っています。一方、労務費・電力・設備の減価償却などの加工費は、加工の進み具合(加工進捗度)に応じて均等に発生します。仕掛品が完成品の何kg分に当たるかは両者で違うため、換算量は要素ごとに求めます。

数量ボックスと完成品換算量:材料費と加工費で換算量が違う

以下は学習用の架空事例です。Z社の20X3年6月は、月初仕掛品2,000kg(加工進捗度40%)、当月投入18,000kg、完成品17,000kg、月末仕掛品3,000kg(加工進捗度50%)です。まず数量ボックス(入る量と出る量を左右に並べた確認表)で、2,000+18,000=20,000kgと17,000+3,000=20,000kgが一致することを確かめます。

換算量は、仕掛品の現在量に比率を掛けて求めます。基準は、材料費では仕掛品に含まれる材料消費量が完成品に含まれる量の何割か、加工費では仕上り程度が完成品の何割かを掛けると定めています(要約)7。Z社の材料は始点で全量投入のため比率100%で、月初2,000kg、月末3,000kgです。加工費は進捗度が比率で、月初は2,000×40%=800kg、月末は3,000×50%=1,500kgです。

加工費にはもう一つ、当月に行った加工量が必要です。数量ボックスの釣り合いから17,000+1,500−800=17,700kgと逆算でき、当月投入18,000kgは使えません。

図表1:数量ボックスと完成品換算量(Z社・20X3年6月) 材料費:始点で全量を投入 換算量 = 現在量 × 100% 入る量(kg換算) 出る量(kg換算) 月初仕掛品 2,000kg × 100% = 2,000 当月投入 18,000kg × 100% = 18,000 完成品 17,000kg × 100% = 17,000 月末仕掛品 3,000kg × 100% = 3,000 合計 20,000 合計 20,000 = 加工費:進捗に応じて発生 換算量 = 現在量 × 進捗度 入る量(kg換算) 出る量(kg換算) 月初仕掛品 2,000kg × 40% = 800 当月の加工量 17,000+1,500−800 = 17,700 完成品 17,000kg × 100% = 17,000 月末仕掛品 3,000kg × 50% = 1,500 合計 18,500 合計 18,500 = 破線の枠は仕掛品。材料は始点で全量投入のため、仕掛品も完成品と同量の材料を含みます。 加工費の「当月の加工量」は、数量ボックスの釣り合いから逆算した値です。
単位:kg(加工費は完成品換算のkg)。対象期間:20X3年6月。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

図表1のとおり、左右は材料費で20,000kg、加工費で18,500kgと釣り合い、月末仕掛品の換算量は材料で3,000kg、加工で1,500kgと2倍違います。1つの比率で済ませると一方が過大か過小になります。

平均法と先入先出法で完成品原価を求める

原価(千円)の前提です。月初仕掛品原価は、材料費1,000(2,000kg×500円)と加工費320(800kg換算×400円)で計1,320、当月製造費用は、材料費10,440(18,000kg×580円)と加工費7,080(17,700kg換算×400円)で計17,520、総製造費用は18,840です。材料単価は500円から580円へ16%上がり、加工費の単価は両方400円です。差の源泉を材料費に絞る編集部の設定です。

平均法

平均法は、月初仕掛品原価と当月製造費用を要素ごとに合計し、完成品数量と月末仕掛品の換算量の比で按分します8。合算して平均する考え方は、CFIも購入在庫の加重平均法として説明しますが、仕掛品は扱っていません9。

平均法(材料費・加工費それぞれ)
完成品に含まれる原価 =(月初仕掛品原価 + 当月製造費用)× 完成品数量 ÷(完成品数量 + 月末の換算量)
月末仕掛品原価 =(月初仕掛品原価 + 当月製造費用)− 完成品に含まれる原価

先入先出法

先入先出法は、月初仕掛品が当月の最初に完成したとみなします。基準は「期首仕掛品原価は、すべてこれを完成品の原価に算入し」、当期製造費用を「完成品数量から期首仕掛品の完成品換算量を差し引いた数量と期末仕掛品の完成品換算量との比により」按分すると定めています10。古い原価から先に払い出す考え方は、CFIも在庫の評価方法として説明しています11。

先入先出法(材料費・加工費それぞれ)
完成品に含まれる原価 = 月初仕掛品原価 + 当月製造費用 ×(完成品数量 − 月初の換算量)÷ 当月の作業量
月末仕掛品原価 = 当月製造費用 × 月末の換算量 ÷ 当月の作業量
当月の作業量 = 完成品数量 − 月初の換算量 + 月末の換算量

図表2:平均法と先入先出法の計算表(単位:千円。④・⑪はkg換算、⑤・⑫は円/kg)
項目平均法先入先出法
材料費(始点で全量投入)
① 月初仕掛品原価1,0001,000
② 当月製造費用10,44010,440
③ 按分する原価11,440(① + ②)10,440(②のみ)
④ 按分の比 = 完成品 : 月末仕掛品17,000 : 3,00015,000 : 3,000
⑤ 単位原価 = ③ ÷ ④の合計(円/kg)572580
⑥ 完成品の材料費9,724(17,000 × 572円)9,700(① + 15,000 × 580円)
⑦ 月末仕掛品の材料費1,7161,740
加工費(進捗度で換算)
⑧ 月初仕掛品原価320320
⑨ 当月製造費用7,0807,080
⑩ 按分する原価7,400(⑧ + ⑨)7,080(⑨のみ)
⑪ 按分の比 = 完成品 : 月末仕掛品17,000 : 1,50016,200 : 1,500
⑫ 単位原価 = ⑩ ÷ ⑪の合計(円/kg)400400
⑬ 完成品の加工費6,800(17,000 × 400円)6,800(⑧ + 16,200 × 400円)
⑭ 月末仕掛品の加工費600600
合計
完成品原価 = ⑥ + ⑬16,52416,500
月末仕掛品原価 = ⑦ + ⑭2,3162,340
照合:両者の合計(= ① + ② + ⑧ + ⑨)18,84018,840
対象期間:20X3年6月。先入先出法の④・⑪の左は完成品数量−月初の換算量。按分の考え方は原価計算基準24(二)1・2による。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表2のとおり、完成品原価は平均法16,524千円(材料費9,724+加工費6,800)、先入先出法16,500千円(9,700+6,800)、月末仕掛品原価は2,316千円と2,340千円で、どちらも合計は総製造費用18,840千円に一致します。先入先出法の当月の作業量(分母)は、材料が15,000+3,000=18,000kg、加工が16,200+1,500=17,700kgです。加工の16,200kgは、月初仕掛品の残り60%(1,200kg)と当月着手・完成分15,000kgの合計です。月初仕掛品原価は按分せず完成品へ全額入れます。

差の源泉と、在庫・売上総利益への効き方

完成品原価の差24千円は、すべて材料費から生じています。材料の単価が月初仕掛品の500円と当月の580円で違うためです。平均法は両者を合算した572円で評価するので、月末仕掛品の材料費は、当月単価で評価する先入先出法より小さく(1,716千円と1,740千円)、その分だけ完成品の材料費が大きくなります(9,724千円と9,700千円)。加工費は単価が同じなので差が出ません。

両方式の差の式(編集部が上の2つの式から代数で導いた整理)
完成品原価の差(平均法 − 先入先出法)= 月末の換算量 × 月初の換算量 ×(当月単価 − 月初仕掛品の単価)÷(完成品数量 + 月末の換算量)

Z社の材料費では3,000kg×2,000kg×(580−500)円÷20,000kg=24,000円で、図表2の差と一致します。月初と当月で単価が同じ要素では差は出ません。差は単価差に比例し、値下がり局面では符号が逆になります。

月末仕掛品原価は貸借対照表の棚卸資産(仕掛品)に載り、完成品原価は製品を経て売上原価につながります。加工費に設備の減価償却などの固定費が含まれる場合、その分も仕掛品に載ります(全部原価計算の扱い)。基準は、原価計算が「仕掛品、半製品、製品等の製造原価をたな卸資産として計上すること」を可能にさせるものとし12、企業会計基準第9号も棚卸資産に仕掛品を含めます13。CFIも、製品原価は売れるまで資産として貸借対照表に載ると説明しています14。

Z社の仕掛品は1,320千円から、2,316千円(平均法)または2,340千円(先入先出法)へ増えます。完成品原価は「月初仕掛品原価+当月製造費用−月末仕掛品原価」でも求まり(平均法で1,320+17,520−2,316=16,524千円)、この形が製造原価報告書の当期製品製造原価です。完成品17,000kgを当月に全量1,200円/kgで販売し(売上高20,400千円)、製品在庫はないと仮定すると、結果は図表3のとおりです。

図表3:2方式の差と財務諸表への影響(単位:千円)
項目平均法先入先出法差(平均法 − 先入先出法)
完成品原価 = 売上原価(全量販売)16,52416,500+24
月末仕掛品原価(BSの仕掛品)2,3162,340−24
売上総利益(売上高 20,400)3,8763,900−24
売上総利益率19.0%19.1%−0.1ポイント
照合:完成品原価 + 月末仕掛品原価18,84018,8400
対象期間:20X3年6月。前提:完成品17,000kgを全量1,200円/kgで販売し、製品の月初・月末在庫はない。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

先入先出法のほうが売上原価は24千円小さく、売上総利益は3,900千円(19.1%)と、平均法の3,876千円(19.0%)を上回ります。ただし、仕掛品がやがて完成・販売されれば費用の累計は変わらず、24千円は翌月以降に逆向きに現れます。方式の違いは利益の総額でなく計上時期の違いで、値上がり局面で先入先出法の利益と在庫が大きくなる向きは、購入在庫の払出単価と同じです。仕掛品が増える月は、増えた分の資金が在庫に寝るため、運転資本の増加として営業キャッシュフローを押し下げます。在庫が売上原価の何日分あるかを示す棚卸資産回転日数(DIO)も延びやすくなります。

進捗度の見積りと、この設例の成立条件・限界

進捗度の見積りが粗いと、在庫と利益が動く

加工進捗度は物量で測れず、現場の見積りになりやすい数字です(編集部の見解)。平均法で月末仕掛品の進捗度だけを動かします(千円未満は四捨五入。完成品原価は18,840千円から月末仕掛品原価を引きます)。40%なら加工費の換算量は1,200kgで、月末仕掛品原価は2,204千円(112千円減)、完成品原価は16,636千円、売上総利益は3,764千円です。60%なら1,800kgで、2,425千円(109千円増)、16,415千円、3,985千円です。10ポイントのずれが売上総利益を約110千円(約3%)動かし、両方式の差24千円より大きい値です。

加工費の換算量を計算しにくい場合、基準は月末仕掛品を直接材料費のみで計算する簡便法も認めます15。Z社(平均法)なら月末仕掛品1,716千円、完成品原価17,124千円で、仕掛品が大きい工程には向きません(編集部の見解)。

よくある間違い

先入先出法の加工費の分母に、正しい17,700kgでなく当月投入の18,000kgを使うと、単価が400円から約393円に下がります。月初の換算量を引かず17,000kgを使うと、月初の作業量を二重に数え、月末仕掛品の加工費が600千円でなく約574千円になります。始点投入の材料に進捗度を掛けると、月末仕掛品の材料費(平均法)が1,716千円でなく約928千円になります。

成立条件と限界

本記事の前提(単一工程・仕損なし、材料の始点投入、加工費の均等発生、加工費単価が月初と当月で同じ、全量販売、売価1,200円/kg)は、すべて仮定です。基準24(二)は後入先出法と、月末仕掛品を予定原価・正常原価で評価する方法も挙げます。一方、棚卸資産の評価方法では原価計算基準より優先される企業会計基準第9号(第2項)は、2026年10月時点で評価方法の一覧(第6-2項)に後入先出法を含めず、継続適用を求めます(第6-3項)16。本記事は後入先出法と予定原価による評価を扱わず、按分方法も継続適用が基本と読みます(編集部の読み)。月末仕掛品原価が正味売却価額(売価から見積追加製造原価と見積販売直接経費を引いた額)を上回る場合は、期末に簿価を切り下げる低価法の対象です17。

実務チェックリスト

  • 仕損・減損の有無を確認し、ある場合は基準27に沿って別に処理している。
  • 数量ボックス(月初+当月投入=完成品+月末)を、材料と加工のそれぞれで照合し、材料の投入点(始点・途中・連続)の根拠を残している。
  • 加工進捗度の見積り者・方法・時点を決め、10ポイント動かしたときの影響額も把握している。
  • 材料費と加工費のそれぞれで、「月初仕掛品原価+当月製造費用=完成品に含まれる原価+月末仕掛品原価」を照合し、平均法か先入先出法かを継続して適用している(変更時は両方式の差額を記録)。
  • 月初と月末の仕掛品が大きく違う月に、当月製造費用をそのまま完成品原価とする扱い(基準24(二)6)を使っていない。
  • 完成品原価と月末仕掛品原価が、製造原価報告書・貸借対照表の仕掛品と一致している。

よくある質問(FAQ)

材料を工程の途中で投入する場合、材料の換算量はどうなりますか。

基準の定義は、仕掛品に含まれる材料消費量が完成品に含まれる量の何割か、という比率なので、投入点を過ぎたかどうかで決まります(編集部の適用)。投入点が進捗60%なら、進捗50%の月末仕掛品は材料を含まず換算率0%、60%以上は100%です。連続投入なら加工費と同じ進捗度で換算します。

月初仕掛品がない月は、平均法と先入先出法で結果が違いますか。

同じ結果です。月初仕掛品原価も月初の換算量もゼロなので、平均法の按分対象は当月製造費用だけになり、先入先出法の分母も平均法と同じ値になります。月末仕掛品がない月も同様です。

完成品を全量売らず、製品在庫が残る場合はどうなりますか。

本記事の完成品原価は、仕掛品から製品に振り替わる金額です。製品のうち売れた分を売上原価に、残りを製品在庫に分ける段階は別の評価方法(先入先出法・平均原価法など)の問題で、在庫の評価方法とCOGSで扱っています。

まとめ

総合原価計算では、総製造費用を完成品と月末仕掛品に分け、月末仕掛品は完成品換算量に直して材料費と加工費を別々に按分します。Z社では、方式の差24千円は月初仕掛品と当月の材料単価の違いから生じました。換算を省く誤りの996千円や、進捗度の10ポイントのずれによる約110千円のほうが、方式の差より大きく利益を動かします。

脚注

  1. 原価計算基準 第2章第4節24(二)6。「期末仕掛品の数量が毎期ほぼ等しい場合には、総合原価の計算上これを無視し、当期製造費用をもつてそのまま完成品総合原価とすることができる」(参考文献 R1)。↩
  2. 企業会計審議会「原価計算基準」(昭和37年11月8日)。公益財団法人財務会計基準機構「会計基準検索システム ASSET-ASBJ」の掲載ページ(最終更新日の表示は2026年7月17日)で全文を確認した。同ページの条番号はアラビア数字表記で、本記事もこれに従う。完成品総合原価と期末仕掛品原価の算定手続は第2章第4節24に定められている(参考文献 R1)。↩
  3. 原価計算基準 第2章第4節27。「総合原価計算においては、仕損の費用は、原則として、特別に仕損費の費目を設けることをしないで、これをその期の完成品と期末仕掛品とに負担させる」(参考文献 R1)。本記事では扱わない。↩
  4. 原価計算基準 第2章第4節20(製品別計算の4類型)、21、31。21は単純総合原価計算を「同種製品を反復連続的に生産する生産形態に適用する」とし、当期製造費用に期首仕掛品原価を加えた「総製造費用」を完成品と期末仕掛品に分割計算して完成品総合原価を求め、製品単位に均分して単位原価を計算すると定める。31は個別原価計算を「種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する」とし、特定製造指図書について直接費と間接費を個別的に集計すると定める(参考文献 R1)。↩
  5. Corporate Finance Institute「Job Order Costing Guide」の「What is Job Order Costing?」「Job Order Costing vs. Process Costing」の各節。job order costing は顧客ごとに固有・特注の仕事に、process costing は標準化された製品に使われるという一般的な説明(参考文献 R2)。海外の一般論であり、日本の制度の根拠ではない。↩
  6. 原価計算基準 第2章第4節24(一)「当期製造費用および期首仕掛品原価を、原則として直接材料費と加工費とに分け」、同第2章第1節8(三)の末尾「必要ある場合には、直接労務費と製造間接費とを合わせ、又は直接材料費以外の原価要素を総括して、これを加工費として分類することができる」(参考文献 R1)。↩
  7. 原価計算基準 第2章第4節24(一)。「期末仕掛品の完成品換算量は、直接材料費については、期末仕掛品に含まれる直接材料消費量の完成品に含まれるそれに対する比率を算定し、これを期末仕掛品現在量に乗じて計算する。加工費については、期末仕掛品の仕上り程度の完成品に対する比率を算定し、これを期末仕掛品現在量に乗じて計算する」。基準が定めるのは期末仕掛品の換算量であり、月初仕掛品の換算量を同じ考え方で求めるのは編集部の適用である(参考文献 R1)。↩
  8. 原価計算基準 第2章第4節24(二)1。当期の直接材料費総額(期首仕掛品および当期製造費用中に含まれる直接材料費の合計額)と当期の加工費総額を、「それぞれ完成品数量と期末仕掛品の完成品換算量との比により完成品と期末仕掛品とにあん分」して算定する方法を「平均法」とする(参考文献 R1)。↩
  9. Corporate Finance Institute「Weighted Average Cost Method」の「Weighted Average Cost (WAC) Method Formula」の節。cost of goods available for sale(期首在庫+仕入)を units available for sale で割るという、購入在庫の評価方法の説明(参考文献 R3)。仕掛品の完成品換算量は扱っていない。↩
  10. 原価計算基準 第2章第4節24(二)2。「期首仕掛品原価は、すべてこれを完成品の原価に算入し、当期製造費用を、完成品数量から期首仕掛品の完成品換算量を差し引いた数量と期末仕掛品の完成品換算量との比により、完成品と期末仕掛品とにあん分して完成品総合原価および期末仕掛品原価を算定する(先入先出法)」(参考文献 R1)。↩
  11. Corporate Finance Institute「First-In First-Out (FIFO)」の「What is First-In First-Out (FIFO)?」の節。最も早く購入または生産された財から先に売却・払出(費用化)されるとみなすという、在庫の評価方法の説明で、設例は購入在庫(参考文献 R4)。仕掛品の完成品換算量は扱っていない。後入先出法との比較や税務の記述は日本の制度と異なるため使っていない。↩
  12. 原価計算基準 第1章6(一)1(1)。原価計算は「損益計算書上売上品の製造原価を売上高に対応させ、貸借対照表上仕掛品、半製品、製品等の製造原価をたな卸資産として計上することを可能にさせ」るものとされる(参考文献 R1)。↩
  13. 企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」第3項。「棚卸資産は、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等の資産であり、…」(参考文献 R5)。↩
  14. Corporate Finance Institute「Product Costs」の「Costs on Financial Statements」の節。製品原価は貸借対照表上は棚卸資産(資産)として扱われ、製品が売れるまで売上原価として損益計算書には現れないという一般的な説明(参考文献 R6)。同ページの数値例は使っていない。↩
  15. 原価計算基準 第2章第4節24(二)4。「前3号の方法において、加工費について期末仕掛品の完成品換算量を計算することが困難な場合には、当期の加工費総額は、すべてこれを完成品に負担させ、期末仕掛品は、直接材料費のみをもつて計算することができる」(参考文献 R1)。↩
  16. 企業会計基準第9号 第2項(「棚卸資産の評価方法、評価基準及び開示に関しては、「企業会計原則」及び「原価計算基準」に定めがあるものの、本会計基準が優先して適用される」)、第6-2項(評価方法として個別法・先入先出法・平均原価法・売価還元法を挙げる。要約)、第6-3項(「棚卸資産の評価方法は、事業の種類、棚卸資産の種類、その性質及びその使用方法等を考慮した区分ごとに選択し、継続して適用しなければならない」)、第34-3項(原価計算基準24(二)に平均法・先入先出法・後入先出法が示されてきたことへの言及)。原価計算基準24(二)3は後入先出法を、同5は期末仕掛品を予定原価または正常原価で評価できることを定める(参考文献 R5・R1)。↩
  17. 企業会計基準第9号 第5項(「正味売却価額」は売価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除したもの。要約)、第7項(通常の販売目的〈販売するための製造目的を含む〉で保有する棚卸資産は取得原価を貸借対照表価額とし、期末の正味売却価額が取得原価より下落している場合は正味売却価額を貸借対照表価額とする。要約)(参考文献 R5)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。