このチュートリアルのゴール

  • 売上が落ちた製造業(架空)を題材に、白紙のExcelから13週分の直接法・資金繰り表を組み上げる全手順(セル番地・数式・正解値つき)
  • 売掛金の回収予定を週ごとに割り付け、最低必要現金残高との不足額を判定し、当座貸越(借入枠)の引出し・返済をMIN/MAX関数で循環参照なく自動化する方法
  • 完成後は前提を動かして遊ぶ実験3つ。「借入枠が足りないと、借りきれずに資金ショートする」という感覚まで

はじめに:なぜ月次ではなく13週(週次)で資金繰りを見るのか

月次の資金繰り表は「今月・来月」の大きな流れをつかむには十分ですが、支払いは月の途中の特定の週に集中します。給与は25日、家賃は月初、借入の返済日は契約書の指定日と、支払いのタイミングは月内でバラバラです。月次表では黒字に見える月でも、月の途中の特定の週だけ現金が足りなくなることがあり、これが実際の資金ショートの起き方です。13週(約1四半期)を週単位で並べる資金繰り表は、この「月の中のどの週が危ないか」まで解像度を上げて見るための道具です。

13週資金繰り表がなぜ事業再生や銀行交渉の現場で重視されるのか、その位置づけの解説は13週資金繰り表(13-week CF)に譲ります。本記事はその位置づけを前提に、シートそのものの組み方に絞ります。月次・3か月単位の資金繰り表を作りたい場合は資金繰り予測の実務を、月次版を同じようにゼロから組みたい場合は月次資金繰り表を12か月で作る構築チュートリアルを参照してください。

本チュートリアルの設例は、年商5億円程度(週次売上高が概ね9,000〜10,000千円)の中堅製造業(架空)です。主要取引先からの受注が落ち込み、売上が週を追うごとに緩やかに減少している局面で、①いつ現金が足りなくなるのか、②資金繰り表の当座貸越(銀行の借入枠)をどこまで使えば持ちこたえられるのか、を数値で確かめます。数字はすべて理解のための仮設例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。単位はすべて千円です。

本文に出てくる用語の「ひとこと対応表」
用語ひとことで言うと
直接法入金・出金を項目別にそのまま週次で並べる作り方(間接法は利益から逆算する)
当座貸越あらかじめ決めた枠極度額の中で、必要な分だけ随時借りられる短期の借入枠(口座残高の不足分が自動で貸し越される形態もある)
最低必要現金残高これを割り込むと支払いに支障が出る、という手元現金の下限ライン
ローリング更新1週間終わるごとに実績を入力し、予測する13週間を1週先へずらしていく運用のしかた
予実差異計画(予定)と実績(実際の数字)の差。翌週以降の判断材料になる

完成形の全体像

迷子にならないよう、最初に完成形の「地図」を見ておきます。シートは5つのブロックでできています。列は左からC・D列に直近2週間の実績、E列以降に第1週〜第13週(Q列)を並べます。

X13W_CashFlow.xlsx – Excel(完成形の全体像)
BC〜DE〜Q
3-10① 前提ブロック最低現金残高・借入枠・金利・回収比率など8項目(うち2つは数式)
12-14② 週次の売上と回収直近2週間の実績売上第1〜13週の売上計画と回収予定
15-19③ 出金ブロック仕入・給与・家賃・借入返済・支払利息
20-24④ 判定ブロック出金合計・営業収支・判定前残高・不足額
25-28⑤ 当座貸越ブロック自動引出し・返済・期末現金
図0:完成形の5ブロック。組む順番は①→②→③→④(不足額まで)→⑤。支払利息(19行目)だけは⑤を組んだあとに生きる数式で、理由はSTEP5で分かります。

1前提ブロックを作る(5分)

目的:この資金繰り表で「決め」になる数字を1か所に集めます。あとで前提を動かして遊ぶときも、触るのはここだけです。

操作:B3〜B10に項目名、C3〜C10に数値を入力します。入力セルはすべて青字にしてください。
X① 前提ブロック(すべて手入力・青字、C6とC8のみ数式)
BC
3最低必要現金残高20,000
4当座貸越極度額(借入枠)15,000
5当座貸越金利(年率)5.2%
6当座貸越週利(=年率÷52)=C5/52
7現金売上比率(当週回収)50%
8掛け売上比率(2週間後回収)=1-C7
9仕入支払比率(対売上・同週払い)60%
10期首現金(第1週開始時点)12,000
図1:最低必要現金残高は「これを割り込むと支払いに支障が出る」という下限で、当座貸越極度額(借りられる上限)とは別物です。両者を混同しないことが本チュートリアル最大のポイントです。C6・C8は前提同士の関係を数式にしておくと、C5やC7を変えた実験のときに自動で連動します。

2週の並べ方と売上を入力する(10分)

目的:資金繰り表は「利益から逆算する」間接法ではなく、入金・出金の実額をそのまま項目別・週別に並べる直接法で作ります(両者の違いはキャッシュフロー計算書の直接法と間接法)。直接法は手間がかかりますが、「どの項目が・いつ・いくら」という現場感覚に直結するため、13週資金繰りではほぼ直接法一択です。

操作:12行目に週番号(C=-1、D=0、E=1…Q=13)を入力し、13行目に週次売上高の計画を入力します(すべて青字)。C・D列は「直近2週間の実績」で、これから組む回収予定表の材料になります。
X② 週番号と売上高(C〜F列、G列以降も同じパターン)
BCDEF
12週番号-1012
13週次売上高(計画)10,20010,20010,00010,000
図2:12行目の週番号は数式には使わず、あとで自分が迷わないための見出しです。売上は第1週から2週ごとに200ずつ減らし、E〜Q列(第1〜13週)に 10,000/10,000/9,800/9,800/9,600/9,600/9,400/9,400/9,200/9,200/9,000/9,000/8,800 と入力します。C・D列(週-1・週0)は「もう終わった過去の週」で、STEP3の回収計算だけに使います。

3回収予定表を組む:売掛金を週に割り付ける(10分)

目的:直接法の一番の難所がここです。今週の売上がそのまま今週の入金になるわけではありません。本設例では現金売上比率50%(即日回収)、掛け売上比率50%(2週間後に回収)という単純な前提を置き、「その週に入金される予定額」を過去の売上まで遡って計算します。

操作:E14に =ROUND(E13*$C$7,0)+ROUND(C13*$C$8,0) と入力し、Q14まで右コピーします。C列・D列(過去の週)には入金予定を入れません。
X② 入金:売上回収(E・F列の数式)
BCDEF
13週次売上高10,20010,20010,00010,000
14入金:売上回収=ROUND(E13*$C$7,0)+ROUND(C13*$C$8,0)=ROUND(F13*$C$7,0)+ROUND(D13*$C$8,0)
正解値10,10010,100
図3:E14は「今週の売上×現金比率」(今週分)+「2週間前の売上×掛け比率」(期日が来た分)。2週間前を参照するのは、E列から見て2つ左の列(E→C)というだけなので、右へコピーすればF列は自動でD列を、G列は自動でE列を参照します。取引先数が多い実務では、請求書ごとの期日を別表に並べてSUMIFS関数で週ごとに集計する方法もあります(SUMIFS関数の使い方)。本記事は仕組みの理解を優先し、比率と一律2週間という前提で進めます。

4仕入・固定費・借入返済を並べる(10分)

目的:出金側を項目別に並べます。仕入は同週払い、給与・家賃・借入返済は毎月(4週間隔)のタイミングで発生するため、該当する週だけに金額を入力します。この「山」を均等にならさないことが、資金ショート週を見つけるための核心です。

操作:15行目は仕入支払を数式で(E15に=ROUND(E13*$C$9,0)を入れてQ15まで右コピー)。16〜18行目の給与・家賃・借入返済は、該当する週の列だけに金額を直接入力します(すべて青字)
X③ 出金:仕入・給与・家賃・借入返済(E〜F列)
BE (第1週)F (第2週)
15出金:仕入支払(対売上60%・同週)=ROUND(E13*$C$9,0)=ROUND(F13*$C$9,0)
正解値6,0006,000
16出金:給与支払(第4・8・12週のみ)00
17出金:家賃支払(第1・5・9・13週のみ)9000
18出金:借入金返済・元本(第2・6・10週のみ)01,800
図4:給与は第4・8・12週に4,200、家賃は第1・5・9・13週に900、借入返済は第2・6・10週に1,800を入力し、それ以外の週は0にします。3つの支払いが同じ週に重ならないよう時期をずらしているのは仮設例上の単純化ですが、実務でも支払日を分散できないか検討する価値がある論点です。4週おきに発生させる単純化のため、13週の中に家賃が4回入っています(実際の月次払いなら3回。実務では暦の支払日に合わせて該当する週を決めます)。

5資金過不足を判定する:最低現金残高との比較(10分)

目的:ここまでの入金・出金を集計し、「最低必要現金残高を割り込む週」を数式で特定します。支払利息(19行目)はSTEP6で組む当座貸越の残高(25行目)を参照します。25行目はまだ空ですが、この時点では0として扱われるだけなので心配いりません。

操作:19〜21行目・23〜24行目はE列に数式を入力してQ列まで右コピーします。22行目だけは別扱いで、E22に=$C$10、F22に=E28を入力し、F22をQ列まで右コピーします(E28はSTEP6で作るので、この時点では0と表示されるだけで心配いりません)。E22をそのままQ列まで右コピーすると、全週の期首現金が12,000に固定され、現金が週をまたいで引き継がれなくなります。
X④ 判定ブロック(E列の数式)
BE(第1週)正解値
19出金:支払利息(当座貸越)=ROUND(E25*$C$6,0)0
20出金合計=SUM(E15:E19)6,900
21営業収支(入金-出金合計)=E14-E203,200
22期首現金=$C$1012,000
23資金過不足判定前残高=E22+E2115,200
24不足額(=最低現金残高との差)=MAX(0,$C$3-E23)4,800
図5:22行目は第1週だけ=$C$10(前提の期首現金)を参照する特別扱いで、第2週(F22)からは=E28(前週末の期末現金、STEP6で作成)を参照します。24行目の不足額が4,800ということは、このままでは第1週の時点で最低現金残高を4,800下回る、つまりすでに資金ショートしていることを意味します。これを埋めるのがSTEP6の当座貸越です。

6当座貸越の自動引出し・返済を組む、循環を避ける(10分)

目的:不足額が出た週は当座貸越から自動的に引き出し、余裕が出た週は自動的に返済する数式を作ります。ポイントはその週の利息計算が、その週自身の借入額に依存しないようにすること。今週の借入を決めるのに今週の利息が必要で、その利息を決めるのに今週の借入額が必要…という堂々巡り(循環参照)を避けるため、利息は前週末の残高だけを参照します(考え方の一般論は財務モデルの循環参照)。

操作:26〜28行目はE列に数式を入力してQ列まで右コピーします。25行目だけは、E25に「まだ借りていない」という意味で0を直接入力し、F25に=E27を入力してからF25をQ列まで右コピーします(E25自体はコピーしません。含めるとF25以降が0のまま固定されます)。
X⑤ 当座貸越ブロック(E・F列)
BE(第1週)F(第2週)正解値 E→F
25当座貸越 期首残高(前週末)0=E270・4,800
26当座貸越 増減(+引出/-返済)=MAX(-E25,MIN($C$3-E23,$C$4-E25))=MAX(-F25,MIN($C$3-F23,$C$4-F25))4,800・(2,295)
27当座貸越 期末残高=E25+E26=F25+F264,800・2,505
28期末現金残高=E23+E26=F23+F2620,000・20,000
図6:26行目のMAX/MINが本チュートリアルの心臓部です。MIN($C$3-判定前残高, $C$4-前週残高)は「必要な引出額」と「まだ借りられる残りの枠」の小さい方を選び、枠を超えて借りようとするのを防ぎます。MAX(-前週残高, …)は「返済しすぎて残高がマイナスになる」のを防ぎます。第1週は不足額4,800をそのまま引き出して期末現金がちょうど最低現金残高20,000に一致し、第2週は営業収支の黒字で2,295を自動返済します。

完成:13週間の全体を見る

ここまでのブロックをQ列(第13週)まで右コピーすると、全体像が見えてきます。

X完成 — 全13週の主要数値
BEFGHIJKLMNOPQ
14入金:売上回収10,10010,1009,9009,9009,7009,7009,5009,5009,3009,3009,1009,1008,900
20出金合計6,9007,8055,88310,0806,6607,5605,6409,8406,4207,3205,4009,6006,180
23判定前残高15,20022,29524,01721,33224,37226,51230,37230,03232,91234,89238,59238,09240,812
24不足額4,800000000000000
27当座貸越 期末残高4,8002,50500000000000
28期末現金残高20,00020,00021,51221,33224,37226,51230,37230,03232,91234,89238,59238,09240,812
図7:不足額が出るのは第1週の4,800だけで、当座貸越はここで引き出され、第3週末には全額返済(残高0)に戻ります。以降は給与が重なる第4・8・12週に営業収支が一時的にマイナス(それぞれ▲180・▲340・▲500)になりますが、すでに積み上がった現金の範囲で吸収され、追加の借入は発生しません。第13週末の現金残高は40,812まで回復します。

7毎週更新する:実績を入れて予実差異を見る(10分)

目的:13週資金繰り表は作って終わりではありません。1週間が終わるごとに実績を入力し、計画との差(予実差異)を確認したうえで、翌週以降の判断に反映します。これを繰り返して予測期間を1週ずつ先送りしていく運用をローリングフォーキャストと呼びます。

操作:メインの表の下(31〜35行目)に、計画・実績・差異の3列だけの小さな表を作ります。計画列は本表のE列(第1週)を参照し、実績列にその週の実際の数字を入力、差異列は実績-計画にします。
X第1週の予実差異(C=計画/D=実績/E=差異)
BC 計画D 実績E 差異
31入金合計=E149,700=D31-C31
32出金合計=E206,900=D32-C32
33営業収支=C31-C32=D31-D32=D33-C33
34当座貸越 増減=E265,200=D34-C34
35期末現金残高=E2820,000=D35-C35
図8:ある取引先の入金が計画より400少なかったとします(D31=9,700)。営業収支は計画3,200に対し実績2,800(▲400)になりますが、その分だけ当座貸越の引出しが計画4,800に対し実績5,200(+400)へ自動的に増え、期末現金残高そのものは計画通り20,000で着地します。現金の帳尻は当座貸越が吸収する一方、当座貸越の残高は計画より400多い状態で翌週を迎えます——これが翌週の判断材料になります。注意点が1つあります。C31〜C35は本表のE列を参照する数式なので、このままE列を実績で上書きすると計画側も書き換わり、差異が常に0になります。ローリングでは、まずC31〜C35を「値として貼り付け」して固定し、そのうえで第1週の列を実績に置き換えます。実績になった週は左側(C・D列の実績欄)へ移し、右端に新しい第13週を1列追加して、表示期間を14週に増やさず常に向こう13週が見える状態を保ちます。

遊んでみる:前提を動かす実験3つ

完成した資金繰り表は「動かして」初めて実務の道具になります。主に前提(青字のセル)を変え、不足額や当座貸越の動きがどう変わるかを観察してください。

  • 実験①:最低必要現金残高を引き上げたら? C3を20,000→25,000に。第1週の当座貸越引出額は4,800→9,800とほぼ倍増し、第3週で完済していた借入が、第4週末になっても3,681残ったままになります。「安全のために現金を厚めに持つ」判断は、そのまま「必要な借入枠を増やす」判断と表裏一体であることが分かります。
  • 実験②:借入枠(極度額)が足りなかったら? C4を15,000→4,000に。第1週に必要な引出額4,800に対し、借りられるのは枠いっぱいの4,000まで。MIN関数が枠を超える引出しを止めるため、期末現金残高は19,200となり、最低必要現金残高20,000を800下回ります。借入枠を最大限使い切ってもなお資金ショートするのはこのケースです。
  • 実験③:週-1の掛け売上の入金が1週間遅れたら? 今度は数式セル自体を一時的に書き換えます。E14を=ROUND(E13*$C$7,0)(週-1分の掛け回収5,100を除いた金額)に、F14を=ROUND(F13*$C$7,0)+ROUND(D13*$C$8,0)+ROUND(C13*$C$8,0)(本来の第2週分に、遅れてきた週-1分5,100を上乗せ)に書き換えます。第1週の入金は10,100→5,000へ落ち込み、当座貸越の引出額は4,800→9,900とほぼ倍になります。売掛金の一部の入金が1週間ずれただけで、必要な借入額をここまで動かすという実感が持てます。

進捗チェック(完成):実験①・②で変えたC3・C4を元の値に戻し、実験③で書き換えたE14・F14を元の数式(=ROUND(E13*$C$7,0)+ROUND(C13*$C$8,0)=ROUND(F13*$C$7,0)+ROUND(D13*$C$8,0))に戻せば、いつでも図7の基本形に戻ります。

よくあるミス

  • 最低必要現金残高と当座貸越極度額の混同:前者は「割り込んではいけない下限」、後者は「借りられる上限」で、意味も使う場所も違います。図5・図6の式で$C$3と$C$4を取り違えると、判定そのものが崩れます。
  • 支払利息を「今週末」の残高で計算してしまう:E19を=ROUND(E27*$C$6,0)(今週末残高)にすると、今週の利息が今週の借入額に依存し、その借入額が利息に依存する堂々巡りになります。必ず25行目(前週末残高)を参照してください。
  • $の付け忘れ:$C$3・$C$4・$C$6・$C$7・$C$9のような前提参照は絶対参照、E13やE23のような同じ週内の参照は相対参照です。F4キーで$を付けてから右コピーする癖をつけてください。
  • 給与・家賃を全週に均等按分してしまう:13週で割った金額を毎週均等に入れると、支払いが集中する週の山が消え、資金ショート週を見つけるという目的そのものが果たせなくなります。
  • 回収の前提を作ったきりにしてしまう:「2週間後に回収」という前提は仮設例の単純化です。実務では取引先ごとの支払サイトの違いや、そもそも回収サイト自体を短縮する打ち手(CCC改善の実務)と合わせて見直すと、13週資金繰りの厳しさそのものが変わってきます。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ当座貸越の増減をMAXとMINの組み合わせで作るのですか?

A. MINで「必要な引出額」と「借入枠の残り」の小さい方を選んで枠超えを防ぎ、MAXで「返済額」が前週末の残高を超えてマイナスにならないよう下限を作っています。1つの式に2つの歯止めを同時にかける、というのがこの式の意味です。

Q. 最低必要現金残高はどう決めればいいですか?

A. 決まった公式はありませんが、目安になるのは「支払いが集中する1〜2週分の出金額」や「予測できない入金遅延の実績幅」です。まずC3を0にして判定前残高(23行目)が最も低くなる週と金額を確認し、そこに支払いの山や入金遅延の余裕分を上乗せして最低必要現金残高を置く、という順番でも構いません。

Q. 直接法ではなく間接法で作ってはダメですか?

A. 間接法は月次・年次のPL・BSと整合させやすい一方、「どの週にいくら現金が動くか」という粒度は苦手です。13週のような短い期間の資金繰りでは、実務上ほぼ直接法が使われます。

Q. 「掛け売上は2週間後に回収」という前提はどう決めればいいですか?

A. 実務では、取引先ごとの請求書の支払期日を並べた売掛金年齢表や、DSO(売上債権回転日数)の実績値から逆算します。本記事は仕組みの理解のために一律2週間という単純な前提を置いていますが、実際のシートでは取引先ごとの回収予定を積み上げる方がより正確です。

Q. 当座貸越には金利以外に注意すべき点がありますか?

A. 一般的な当座貸越では、金利のほかに実務上注意すべきなのは「枠が常に使えるとは限らない」という点です。当座貸越は銀行側に貸出義務を負わない契約が多く、業況が悪化すると極度額の減額や更新見送りがあり得ます。これに対し、貸出義務のある借入枠(コミットメントライン)では、未使用枠にもコミットメントフィー(未使用枠手数料)がかかるのが一般的です。本設例ではどちらのコストも含めていませんが、実際の借入枠を評価する際は契約条件(極度額・期限・解約条項・手数料)を確認し、実験②のように枠が減った場合の資金繰りも確かめておくと安全です。

まとめ

  • 13週資金繰り表は、入金・出金を項目別にそのまま並べる直接法で組む。回収予定は「今週の現金分+期日が来た掛け分」を過去の週まで遡って割り付ける。
  • 最低必要現金残高との不足額をMAX(0, 最低現金残高-判定前残高)で判定し、当座貸越の自動引出し・返済はMIN/MAXの組み合わせと「前週末残高を参照する利息計算」で循環参照を避けて組む。
  • 完成させて終わりにせず、毎週実績を入力して予実差異を確認し、13週の窓を1週ずつ先送りする(ローリング)運用まで含めて「使える資金繰り表」になる。

出典・参考(2026年9月確認)

本記事の会社設例(売上・仕入・給与・家賃・借入返済・当座貸越の各数値)はすべて説明用の仮設例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。制度や統計に基づく記載はなく、出典として掲げる一次情報はありません。

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための仮設例です。