この記事で分かること

  • 13週資金繰り表(13-week cash flow)がなぜ再生の現場で必須なのか
  • 直接法(実際の入出金)の構造と、最低現金ラインを割るショート週の特定
  • 期首現金100の整数設例と、Excelでの組み方(期末=期首+入金−出金)
  • ローリング更新と予実差異分析で精度を保つ実務

結論:困窮の引き金は「資金繰り」だから、週次で先回りする

13週資金繰り表(13-week cash flow/13週CF)は、週次の入金・出金を13週(約三ヶ月)先まで予測し、現金残高の推移を見える化するツールです。事業再生・ターンアラウンドの現場では必須で、理由はシンプル——倒産の直接の引き金は赤字ではなく、現金(流動性)のショートだからです。黒字でも現金が尽きれば倒れます(黒字倒産)。だから、どの週に現金がショートするかを先回りして手を打つのです。

構造:直接法で週次に組む

13週CFは直接法(実際の入出金ベース)で作ります。PLの発生主義(accrual)ではなく、現金がいつ動くかが重要だからです。各週の基本式は:

週末現金 = 週首現金 + 入金(売掛回収など) − 出金(仕入・人件費・利息・税・リースなど)

次週の週首現金は、当週の週末現金を引き継ぎます。入金は売掛の回収サイクル、出金は支払サイクルに合わせて週次に置きます。

13週の現金残高の推移(設例・単位:百万円) 最低現金ライン 20 W7 ショート(18) 95 85 W1 W13 現金残高
図:週末現金を追うと、第7週で最低現金ライン(20)を割る。このショート週を先回りして手を打つ。

設例:ショート週を見つける

前提(単位:百万円)。期首現金 100、最低現金ライン(手元に必要な最低残高)= 20。上図のように毎週の入金−出金を積み上げると、週末現金は 95→88→80→70→55→40→18(第7週)と推移します。

  • 第7週の週末現金 18 < 最低ライン 202不足でショート
  • 対応例:(a)リボルバー(当座貸越・コミットライン)の引出、(b)支払サイトの繰延(仕入先交渉)、(c)回収の前倒し(ファクタリング等)、(d)DIP・スポンサー資金。
  • 例えば第6〜7週に10の追加資金を引くと、第7週は 18+10 = 28 > 20 となりショートを回避できます。

ポイントは、ショートする週を事前に特定し、手を打つ時間を稼ぐこと。事後ではなく事前だから、13週の先回りが意味を持ちます。

Excelでの組み方

  • 列に週(W1〜W13)、行に週首現金・入金項目・出金項目・週末現金を並べる。
  • 週末現金 = 週首現金 + SUM(入金) − SUM(出金)。次週の週首 = 前週の週末(セル参照で連結)。
  • 最低ラインを下回る週を条件付き書式で赤く光らせる。
  • 入金・出金は回転日数(売掛・買掛・在庫)と支払条件から週次に落とす。

ローリング更新と予実差異分析

13週CFは毎週ローリングで更新します。経過した1週を落とし、新しい1週を末尾に足して常に13週先を見ます。さらに、予想(フォーキャスト)と実績の差(バリアンス)を毎週分析し、予測精度を高めます。困窮局面では、この精度が金融機関・スポンサーとの信頼(追加支援の可否)に直結します。

面接での答え方(30秒回答例)

Q:なぜ・13週の資金繰りを見るのか?
「困窮企業の倒産の引き金は、赤字ではなく現金のショートだからです。13週、つまり四半期先までの週次の入出金を直接法で見える化し、どの週に最低現金ラインを割るかを事前に特定します。その上で、リボルバーの引出、支払の繰延、回収の前倒し、追加資金といった手を先回りして打ちます。黒字でも現金が尽きれば倒れるので、PLではなく現金を直接見るのが重要です。」

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ間接法ではなく直接法?
A. いつ現金が動くかを週単位で把握するのが目的だからです。間接法(利益から調整)では週次の入出金のタイミングが見えないため、CF計算書とは別に直接法で作ります。

Q. 13週と12ヶ月の違いは?
A. 13週は四半期相当の短期・週次の資金繰り管理(現金の生命線)、12ヶ月モデルは中期の収益・資本構成の見通しです。目的と粒度が異なります。

まとめ

13週資金繰り表は、週次の入出金を直接法で13週先まで見える化し、どの週に現金がショートするかを先回りして手を打つツールです。期末=期首+入金−出金で週を連結し、最低現金ラインを割る週を特定。ローリング更新と予実差異分析で精度を保ちます。

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための仮設例です。