この記事で分かること
- 日本銀行のスタッフによる研究(約1万社・1999〜2017年度)では、中期金利の上昇に対する設備投資の反応は3〜4年後に最大となり、無形資産比率・成長期待・人手不足感によって大きさが違った
- 反応が小さい企業がある理由についての著者の解釈と、推計の絶対値を割り引いて読むべき理由、標本に含まれない企業や時期
- 経営企画・財務、銀行、アナリストが、投資計画と資金調達コストの前提を点検する手順(学習用の設例つき)
想定読者:事業会社の経営企画・財務・FP&A、銀行の法人営業・審査、セルサイド・バイサイドのアナリスト
前提知識:NPV(正味現在価値)とIRRの意味、%と%ポイントの違い
中期経営計画の設備投資枠を見直す会議で、「金利がさらに上がったら、この投資額は維持できるのか」と問われることが増えた。政策金利は2024年3月にマイナス金利政策が終了してから段階的に引き上げられ、2026年9月には1.25%程度になった1。銀行の側も、取引先の投資計画がどこまで縮むかを見通して貸出の計画を立てる必要がある。
ところが、日本では金利が長くゼロ近傍にあったため、金利が上がったとき企業の投資がどれだけ減るのかを、実務家が自分の経験から見積もるのは難しい。この問いに企業のミクロデータで答えようとしたのが、日本銀行調査統計局の平田篤己・高橋悠輔・加藤直也の3氏による論文である。この論文は日本銀行ワーキングペーパーとして公表されたもので、内容は執筆者個人の見解であり、日本銀行の公式見解ではないと明記されている2。
この記事が主に参照する研究
Hirata, A., Y. Takahashi and N. Kato(平田篤己・高橋悠輔・加藤直也、2025)「わが国における設備投資の金利感応度―パネルLP-IVを用いた検証―(Interest Rate Sensitivity of Capital Investment in Japan: An Analysis Using Panel LP-IV)」日本銀行ワーキングペーパーシリーズ No.25-J-4/No.25-E-13
- 公表:初版 2025年5月29日(日本語版 No.25-J-4)。参照した版:英語版 No.25-E-13(2025年11月13日掲載)を通読し、日本語版で用語と要旨を照合。ワーキングペーパー
- データ:経済産業省「企業活動基本調査」の調査票情報(従業者50人以上かつ資本金・出資金3,000万円以上の企業、外れ値処理後およそ1万社、推計期間1999〜2017年度)と「海外事業活動基本調査」。比較のため先進22か国のマクロ統計
- 方法:日本銀行の政策決定の発表前後に生じた金利変化(金融政策ショック)を操作変数にしたパネル・ローカルプロジェクション(パネルLP-IV)。金利と投資の相互の影響をできるだけ取り除いて、金利変化に対する投資の反応を推計する
- 位置づけ:既存の投資理論の枠組みで、日本の企業データと新しい推計手法を使って検証したもの。海外投資・成長期待・人手不足と金利感応度の関係は先行研究にない、と著者は述べている
この研究が「金 利感応度」として測ったもの
金利感応度とは、金利が1%ポイント動いたときに、ある経済変数がどれだけ動くかを表す尺度である。この論文が見ているのは、設備投資額を資本ストックで割った「I/K比率」(以下、設備投資比率)の変化だ。比率の平均はおおむね20%程度で、資本ストックの約2割に当たる額を毎年投資している計算になる3。
資本ストックには、貸借対照表に載る有形資産(土地を除く)だけでなく、研究開発費と販売費・一般管理費の一部を積み上げて推計した無形資産も含めている。販管費は30%を人的資本やブランドへの投資とみなし、研究開発費のストックは年15%、販管費のストックは年20%で減耗すると仮定した。これは米国の先行研究の値を使ったものである4。日本の会計では費用として処理される支出を「投資」に数えている点は、読むときに覚えておきたい。
金利は国債の3〜5年の利回りの平均(中期金利)を使う。ただし金利と投資は互いに影響し合う。景気が強く投資が多いときに日本銀行が利上げをすれば、データ上は「金利が上がっても投資が多い」という関係が出てしまう。そこで著者らは、政策決定の発表の10分前から20分後までに金利先物の価格が動いた分を「金融政策による予想外の金利変化」とみなし、それを手がかりに中期金利の変化が投資に及ぼす影響を取り出した。この手がかりの強さを示すF値は86で、弱すぎる問題はないと著者は判断している5。ローカルプロジェクションは、金利変化の1年後、2年後…5年後の投資の変化をそれぞれ推計する方法で、結果は「何年後にどれだけ下がるか」という時間の形で示される。
伝統的な投資理論では、金利が上がると企業価値の割引が大きくなり、市場価値と再取得価額の比率であるトービンのQが下がって投資が抑えられる。論文はこの理論の上に立ち、どの企業で金利の効きが弱いのかを企業の属性ごとに比べた。
研究が示した結果:反応は3〜4年後に最大、大きさは企業の属性で違う
まず国際比較である。先進22か国について、各時点の過去15年分の年次データを使うローリング推計では、資本コストに対する設備投資の感応度は2013年ごろまで安定してマイナスだったが、その後は弱まり、直近の推計期間では統計的に有意でなくなった6。
日本企業のデータでは、中期金利が1%ポイント上がると設備投資比率は有意に低下し、その落ち込みは3〜4年後に最大になった。投資の種類で分けると、有形資産投資ははっきり減る一方、無形資産投資は推計の誤差の幅が広く、有意な反応は確認できなかった7。
次に、企業を属性で2つに分けて同じ推計をした。図1は、論文の本文が述べる属性間の大小と有意性を独自に整理したものである。論文は結果を図で示しており数表は無いため、反応の大きさの数値は載せていない。
図1から読み取れるのは3つの対照である。第1に、無形資産の比率が中央値より低い企業は、高い企業より大きく投資を減らした。推計期間を前半と後半に分けても関係は変わらず、後半の方が全体の感応度は小さかった8。第2に、成長期待が高い業種や企業は金利に敏感に反応したが、成長期待が低い企業では反応が小さく、企業ごとに推計した成長期待で分けると有意でなかった9。第3に、日銀短観の雇用人員判断で人手不足感が強い規模・業種に属する企業では、投資は金利に有意に反応しなかった。人手不足感が強いのは、中堅・中小企業のサービス、建設、運輸・郵便などである10。
一方、海外の現地法人の設備投資が多い企業ほど国内投資が金利に反応しにくい、という仮説は支持されなかった。点推定では海外投資比率が高い企業の方がやや反応が小さいが、どちらのグループでも国内投資は利上げで減り、差は統計的に有意でなかった。企業規模や業種の偏りを傾向スコアでそろえた比較でも結論は同じである11。
数字をどう読むか:標本・方法・限界
論文の図に示された反応の大きさを、そのまま日本全体の投資の減少率として読むのは危うい。著者ら自身が、全体の反応は米国企業を対象にした先行研究(1%ポイントの利上げで設備投資比率が約3%ポイント低下)より大きいと述べ、その理由として推計上の事情を挙げている。企業活動基本調査には設備投資額そのものの項目がないため、資本ストックの差に減価償却を足して投資額を作っており、固定資産の売却・除却・減損があると投資がマイナスになる。利上げ期に減損が増えれば、反応が過大に推計されうる。そのため著者らは、絶対値は幅をもってみる必要があり、主にグループ間の相対的な差を議論すると明記している12。
このほか、著者らは次の限界を挙げている13。
- 著者はデータを2023年までと説明している(ただし本記事で紹介した企業データの推計期間は1999〜2017年度)。直近20年ほどは政策金利がゼロ近傍にあった。2024年の利上げ以降の企業行動は、データが蓄積してから分析を更新する必要がある
- 無形資産の減耗率などは米国の研究の値を使っており、日本に当てはまる保証はない。AIの普及で無形資産投資の性質が変わり、仮定自体が妥当でなくなっている可能性もある
- 海外投資比率は企業ごとの全期間の平均で、時系列の変化は考慮していない。買収など設備投資以外の形の海外直接投資も含まない
- 従業者50人未満などの中小企業は標本に含まれない。中小企業は借入への依存度が高く、金利感応度はより高い可能性があり、金利の水準だけでなく借りられるかどうかにも左右されうる
方法面では、政策ショックを手がかりにしているため、金利と投資の因果関係はかなりの程度まで取り出せている。ただし属性による違いは、グループに分けた比較である。成長期待の高い業種には業歴の若い企業が多く、借入制約のような別の要因を拾っている可能性を著者らも認めている14。「成長期待が低いから反応しない」という因果まで確定したわけではない。
他の研究との関係では、米国のデータで無形資産投資が有形資産投資より金利に反応しにくいことを示し、投資の無形化で経済全体の金利感応度が約4分の1下がったと試算したシカゴ連銀のエコノミストの分析がある15。人手不足については、短観の個票を使った日本銀行のスタッフの分析が、人手不足が長く続く企業ほど有形資産とソフトウェアへの投資に積極的になることを示している16。いずれも主論文の結果と同じ向きだが、後者は金利感応度そのものを推計したものではない。
大手町プレップの考察:「金 利に反応しにくい」と「金 利の影響がない」は違う
以下は編集部の推論で、論文の検証結果ではない。
この研究が測ったのは投資の「量」の反応である。無形資産投資や省力化投資が金利に反応しにくいとしても、それは金利が上がっても投資を続ける企業が多いという意味で、投資の採算が悪化しないという意味ではない。著者らが紹介する先行研究の説明では、無形資産は担保価値が低く減耗が速いため借入で賄いにくく、手元資金で投資されやすい17。人手不足の企業では、生産が労働力に縛られているため、金利が上がっても省力化投資を止められないと著者らは解釈している18。どちらの場合も、金利の上昇は投資額ではなく、投資の収益率と資本コストの差に表れると考えられる(仮説)。「当社の投資は金利に左右されない」という結論は、計画の量を据え置く理由にはなっても、ハードルレートを据え置く理由にはならない。
もう1つは、研究の金利と企業が実際に払う金利の違いである。論文の説明変数は国債の中期金利で、企業の借入金利には信用スプレッドが上乗せされ、そのスプレッドも金利とともに動きうると著者らは述べている19。表1のとおり、国債の3〜5年の利回りの平均は2024年3月19日の0.28%から2026年10月21日の2.18%へ、1.90%ポイント上がった20。ただしこの上昇には政策以外の要因も含まれ、研究が手がかりにした「予想外の政策変更」とは性質が違う。推計の弾性値にこの上昇幅を掛けて、日本全体の投資の減少を算出するような使い方は避けるべきだろう。
表は横にスクロールできます →
| 日付 | 政策金利 | 国債3〜5年 |
|---|---|---|
| 2024年3月19日 | 0〜0.1%程度 | 0.28% |
| 2024年7月31日 | 0.25%程度 | 0.58% |
| 2025年1月24日 | 0.5%程度 | 0.83% |
| 2025年12月19日 | 0.75%程度 | 1.36% |
| 2026年6月16日 | 1.0%程度 | 1.77% |
| 2026年9月18日 | 1.25%程度 | 2.15% |
| 2026年10月21日(参考) | (9月18日から据え置き) | 2.18% |
日本の実務への応用:誰が、何を見直すか
以下は立場ごとの使い方についての編集部の提案である。
事業会社の経営企画・財務では、投資計画を一括で扱わず、有形資産の増産・更新投資、ソフトウェアや研究開発などの無形資産投資、省力化投資に分けて金利の影響を見るのがよい。研究では、有形資産の比率が高い企業ほど投資が金利に反応した。自社の計画のうち金利で採否が変わりうるのはどの部分かを、案件の種類と期間で特定しておく。金利の前提は、政策金利だけでなく、無担保コールレートやTIBORなどの基準金利にクレジットスプレッドを足した借入金利と、案件のリスク調整後のハードルレートの2本立てで持ち、金利を全社の予算前提に加えておく。
銀行の法人営業・審査では、取引先を研究の属性に近い軸で分けて、利上げの影響が出やすい層を先に把握できる。有形資産投資が中心で、成長期待が高く、人手不足感が比較的弱い企業は、研究の結果に照らせば金利で投資を先送りしやすい層である。反対に、人手不足の強い業種の省力化投資は、金利が上がっても資金需要が残る可能性がある。標本外の小規模企業はより敏感な可能性があると著者らは指摘している。
アナリストは、会社が示す設備投資の計画値を見るとき、反応が3〜4年遅れて最大になるという結果を思い出したい。利上げの年に計画が維持されていても、2〜3年後の更新投資や増産投資の計画で調整が出る可能性がある。投資の内訳(有形・ソフトウェア・研究開発)と資金源(手元資金・借入)を分けて確かめたい。
学習用の設例:同じ1%ポイントでも、期間の長い投資ほど効く
研究が示した「有形資産投資の方が金利に反応する」という結果は、案件の採算計算からも直感的に理解できる。以下は架空の数値による設例で、論文の推計とは関係がない。
学習用の設例(架空)
- 製造業の甲社は、初期投資が各30億円の3案件を検討している。A 新工場の生産ライン(15年、毎年3.5億円)、B 物流の省力化設備(8年、毎年5.2億円)、C 受発注システム刷新(5年、毎年7.6億円)
- キャッシュフローは毎年末に同額、残存価値はない。現行のハードルレートは6.0%
- 金利の上昇がそのままハードルレートに上乗せされると単純化し、+0.5・+1.0・+2.0%ポイントの3通りを試す
基準の6.0%では、NPVは案件Aが3.99億円で最も大きい。ところがハードルレートを2%ポイント上げると、Aは−0.04億円、Bは−0.12億円と採算割れになり、キャッシュフローが5年間発生するCだけが0.34億円のプラスを保つ。3案件のIRRはいずれも8%前後で大差ないが、この設例では、期間の長いAほど現在価値の下落率が大きい。採否は期間だけでなく、毎年のキャッシュフローと当初の採算の余裕にも左右される。
表は横にスクロールできます →
| 案件 | 期間 | 毎年のCF | IRR | 現在価値加重平均年数 | 現在価値の変化率 | NPVの変化 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A 新工場の生産ライン | 15年 | 3.5億円 | 8.0% | 6.9年 | −6.2% | −2.12億円 |
| B 物流の省力化設備 | 8年 | 5.2億円 | 7.9% | 4.2年 | −3.8% | −1.24億円 |
| C 受発注システム刷新 | 5年 | 7.6億円 | 8.4% | 2.9年 | −2.7% | −0.85億円 |
表2の「現在価値加重平均年数」は、キャッシュフローの現在価値で加重した平均の年数で、債券のデュレーションと同じ考え方である。Aは6.9年、Cは2.9年で、ハードルレートが1%ポイント上がると、将来キャッシュフローの現在価値はAで−6.2%、Cで−2.7%変わる。この設例の範囲では、キャッシュフローが早く戻る投資ほど割引率の変化に鈍い。論文が先行研究から紹介する「無形資産は減耗が速い」という特徴と、この計算上の性質は同じ方向を向いている。ただし論文が金利感応度の低さを説明する主な経路は、担保価値の低さや手元資金での投資であり、この設例の計算は編集部による補助線である。
資金調達の面も確かめておく。甲社が案件Aの投資30億円のうち20億円を変動金利の借入で賄い(残りは手元資金)、基準金利1.0%に0.8%ポイントを上乗せした金利で借りるとすると、年間の支払利息は0.36億円である。基準金利が1%ポイント上がれば0.56億円となり、年0.2億円増える。借入金利の上昇は損益に直接表れるが、案件の採否を左右するのはハードルレートの側である。両者を別の行で管理すると、「利払いは増えたが投資の採算はまだ合う」のか「採算そのものが割れた」のかを区別できる。
明日から使える確認項目
- 投資計画を「有形・増産」「有形・更新」「省力化」「ソフトウェア・研究開発」に分け、それぞれの金額と現在価値加重平均年数を一覧にする。この年数が長く借入比率の高い区分を、金利シナリオで最初に見直す対象にする
- 金利の前提を「基準金利+スプレッド=借入金利」と「資本コスト+案件リスク=ハードルレート」の2行に分け、改定日と根拠(日本銀行の公表文、国債利回り、取引銀行の提示条件)を記録する
- 主要案件について、ハードルレート+0.5・+1.0・+2.0%ポイントでNPVを再計算し、符号が変わる案件と順位が入れ替わる案件を抜き出す(図2の手順)
- 利上げの翌年だけでなく、2〜4年先に予定している更新投資・増産投資の計画を、金利シナリオ別に置き直す。研究では反応が3〜4年後に最大になった
- 銀行・アナリストは、取引先やカバー企業を「無形資産比率」「成長期待」「人手不足感」「借入依存度」で分類し、利上げで投資が鈍りやすい層を先に確かめる。質問の例:「金利が1%ポイント上がった場合、来期以降の設備投資計画のうち見直し対象になる案件はどれで、総額はいくらか」
- 投資の実行後は、投資後評価で想定した金利と実際の調達金利の差を記録し、次の計画の前提に戻す
よくある質問
金利が1%上がると、日本の設備投資は何%減るのですか。
この研究から一つの数字を引き出すのは適切ではありません。推計は1999〜2017年度の低金利期の企業データにもとづき、反応の絶対値は投資額の作り方のために過大に出ている可能性があると著者ら自身が述べています。読み取るべきなのは、反応が3〜4年後に最大になることと、企業の属性による相対的な違いです。
日本銀行がこの論文の結論で金融政策を決めているのですか。
この論文は日本銀行のワーキングペーパーで、執筆者個人の見解であり、日本銀行の公式見解ではないと明記されています。政策判断の根拠を示すものとして読むのではなく、企業データを用いた一つの実証研究として扱うのが適切です。
自社は無形資産投資が中心なので、金利上昇は気にしなくてよいですか。
研究が示したのは投資の量が反応しにくいということで、採算に影響しないということではありません。ハードルレートや借入金利の前提は、投資の種類にかかわらず更新する必要があります。
まとめ
日本銀行のスタッフによる研究は、約1万社のデータと政策ショックを使った推計で、中期金利の上昇が日本企業の設備投資を減らし、その影響が3〜4年後に最大になることを示した。反応の大きさは一様でなく、無形資産の比率が高い企業、成長期待が低い企業、人手不足感が強い企業では小さかった。推計の絶対値は過大の可能性があり、標本は低金利期の中堅以上の企業に限られる。実務では、投資計画を種類と期間で分け、借入金利とハードルレートを別々に更新し、数年先の計画まで金利シナリオで点検するのが、この研究から引き出せる使い方である。
脚注
- R4(日本銀行の公表文)。2024年3月19日「金融政策の枠組みの見直しについて」で、マイナス金利政策などの枠組みは「その役割を果たした」として短期金利の操作を主たる政策手段とし、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0〜0.1%程度に誘導する方針とし、2024年7月31日に0.25%程度、2025年1月24日に0.5%程度、2025年12月19日に0.75%程度、2026年6月16日に1.0%程度、2026年9月18日に1.25%程度へ変更した。各回の公表文で確認。↩
- R1(英語版 No.25-E-13, 2025年11月)p.1(表紙の注記)・p.2(脚注*)。日本語版 No.25-J-4 の掲載ページにも「本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない」との注記がある。著者名の漢字表記は日本語版の掲載ページによる。日本語版の掲載日は2025年5月29日、英語版は2025年11月13日。本記事のページは英語版 PDF のページ番号(以下同じ)。↩
- R1 p.13〜14(4-1節、推計式)・p.16(4-2節、図4)。I/K比率の企業間平均はおおむね20%程度と記述されている。↩
- R1 p.13〜14(4-1節)・p.36(補論)。無形資産ストックは、調査で把握できる無形資産(主にのれん等)に、研究開発費のストック(減耗率15%)と販管費の30%のストック(減耗率20%)を加えたもの。値は Peters and Taylor(2017)による。↩
- R1 p.12〜16(4-1節、脚注15・16)。中期金利は財務省の国債金利の3〜5年の単純平均。操作変数は Kubota and Shintani(2022)が推計した1年ユーロ円金利先物の金融政策ショック(決定公表の10分前〜20分後の変化)。F値86。統制変数は ROA、流動資産比率、負債比率、総資産の対数、需給ギャップ、短観の貸出態度判断DI など。↩
- R1 p.9〜11(3節、図3)。OECD加盟22か国の年次パネル、後方15年のローリング推計(2004年から、終期2019年)。名目変数への置き換えや為替の除外でも同様の結果。↩
- R1 p.19〜20(4-3節、図6)。中期金利1%ポイントの上昇に対し、設備投資比率(全体)は有意に減少し3〜4年後に最大。有形資産は有意に減少、無形資産は誤差帯が広く有意でない。↩
- R1 p.20〜21(図7、脚注20)、p.21〜22(図8)。無形資産比率は中央値で二分。時期を二分した推計、減価償却の按分を変えた推計でも定性的に同じ。論文は結果を図で示し、数表は無い。↩
- R1 p.23〜26(5-1節、図10・図11)。業種別の需要見通し(内閣府「企業行動に関するアンケート調査」2010〜2023年度平均)による分類と、Fukunaga et al.(2023)に倣って企業ごとに推計した成長期待による分類の2通り。後者では成長期待が低いグループは金利に感応的でない、と記述されている。↩
- R1 p.26〜28(5-2節、図12・図13)。規模×業種(24業種)ごとの短観の雇用人員判断DI(15年平均)が全規模・全産業の平均より不足超の企業を「人手不足企業」とした。↩
- R1 p.28〜34(6節、図15〜17)。海外投資比率=海外現地法人の設備投資÷有形資産ストック(全期間平均)。傾向スコアマッチングは総資産・ROA・流動資産比率・負債比率・業種で実施。↩
- R1 p.21〜22(脚注22)。米国の Cloyne et al.(2023)は、1%ポイントの金利上昇で設備投資比率が約3%ポイント低下すると報告。著者らは、売却・除却を含む投資の定義により利上げ期の減損等で反応が過大推計されうるため、絶対値は幅をもってみる必要があり、主にグループ間の相対差を議論すると記述。↩
- R1 p.34〜35(7節)。4つの課題として、データの期間、無形資産の減耗率等の仮定、海外投資比率の扱い、中小企業を含まないことを挙げている。設備投資以外の海外直接投資を含まない点は p.29(脚注28)も参照。↩
- R1 p.25(脚注24)。情報通信業のように成長期待が高いとされる業種には比較的若い企業が多く、借入制約など成長期待以外の要因を捉えている可能性を指摘している。↩
- R2(Chicago Fed Letter No.482, 2023年8月)。米国の国民経済計算のデータと Romer and Romer の金融政策ショックによる推計。「約4分の1」は著者らの簡単な計算による値と記述されている。↩
- R3(Bank of Japan Review 2024-E-7, 2024年7月)p.1〜2(Chart 3・4)。短観の個票による分析で、人手不足が一時的な段階では有形資産投資は増えないが、人手不足が深刻・長期化すると非線形に増え、ソフトウェア投資も増える傾向があると報告している。↩
- R1 p.7(2節)。Döttling and Ratnovski(2023)は、無形資産は担保価値が低く減耗率が高いため金融政策が波及しにくいと報告し、Caggese and Pérez-Orive(2022)は、担保価値の低さから無形資産投資は借入より手元資金で行われやすいと指摘している、と紹介されている。↩
- R1 p.27〜28(5-2節)。労働投入で生産量が制約される場合、金利は設備投資の決定要因として働かず、省力化のための投資は金利が上がっても行われうると解釈し、労働力人口の減少で感応度がさらに下がる可能性に触れている。↩
- R1 p.12〜13(4-1節)。企業が直面する貸出金利には信用スプレッドが含まれ、金利の変化に応じてスプレッドも変動しうるため、金融政策による金利変化は企業の資本コストと一対一には対応しないと記述している。↩
- R5(財務省「国債金利情報」)。各日の3年・4年・5年の利回りを大手町プレップが単純平均した(2024年3月19日:0.19%・0.28%・0.367%、2026年10月21日:2.032%・2.188%・2.309%)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Hirata, A., Y. Takahashi and N. Kato (2025), “Interest Rate Sensitivity of Capital Investment in Japan: An Analysis Using Panel LP-IV,” Bank of Japan Working Paper Series No.25-E-13(日本語版:平田篤己・高橋悠輔・加藤直也「わが国における設備投資の金利感応度―パネルLP-IVを用いた検証―」日本銀行ワーキングペーパーシリーズ No.25-J-4). DOI:なし. 参照した版:英語版(2025年11月13日掲載、全文)と日本語版(2025年5月29日掲載、要旨と主要部分を照合)。ワーキングペーパー。 boj.or.jp (参照箇所:英語版 PDF p.1〜36(本文・図3〜17・補論)。脚注2〜14・17〜19の根拠。日本語版の掲載ページ https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2025/wp25j04.htm。閲覧日:2026年10月)
- R2 David, J. and F. Gourio (2023), “The Rise of Intangible Investment and the Transmission of Monetary Policy,” Chicago Fed Letter No.482. DOI: 10.21033/cfl-2023-482. 参照した版:ウェブ版(2023年8月)。種別:中央銀行の解説論文。 chicagofed.org (参照箇所:本文(無形・有形投資の金利感応度と総需要への含意)。脚注15の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Chikamatsu, K., S. Ikeda and T. Yagi (2024), “Effects of Demographic Changes on Medium- to Long-Term Business Fixed Investment,” Bank of Japan Review 2024-E-7. 参照した版:英語版(2024年7月)。種別:日本銀行のレビュー論文。執筆者の見解。 boj.or.jp (参照箇所:p.1〜3(Chart 3・4)。脚注16の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 日本銀行「金融政策の枠組みの見直しについて」(2024年3月19日)、「金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について」(2024年7月31日)、「金融市場調節方針の変更について」(2025年1月24日、2025年12月19日、2026年6月16日、2026年9月18日) boj.or.jp (参照箇所:各回の公表文の金融市場調節方針。2024年・2025年分は https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2024/index.htm ・ https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2025/index.htm から。脚注1と表1の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R5 財務省「国債金利情報」(過去の金利情報 1974年〜、および令和8年10月分) mof.go.jp (参照箇所:3年・4年・5年の利回り(2024年3月19日〜2026年10月21日の各日)。脚注20と表1の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。