このチュートリアルのゴール

  • 3製品を扱う会社の月次「予算×実績」データから、売上差異を価格差異・数量差異・ミックス差異に分解し、検証行で合計が総差異に一致することまで確認する
  • 変動費・固定費の差異を加え、予算営業利益から実績営業利益までを1本の「営業利益ブリッジ(ウォーターフォール用の表)」でつなぐ
  • 上期実績と下期予算から年間の「着地見込み」を作り、年間予算との差を示す。Excelの基本操作(数式入力・フィルハンドル・青字ルール)は前提知識とする

はじめに:なぜ「未達でした」で終わらない報告が必要なのか

経営会議やFP&A部門の月次報告で必ず聞かれる質問は「売上は予算に対してどうだったか」ではなく、「なぜそうなったか、どこを直せば良くなるか」です。実績と予算の差額(差異)を1つの数字で示すだけでは、「値上げが効いたのか」「数量が伸びたのか」「売れ筋が変わっただけなのか」は分かりません。この3つを分けて示すのが、本記事で組む価格差異・数量差異・ミックス差異の分解です。分解の考え方(なぜこの3つに分けるのか、実務でどう使うか)はPrice-Volume-Mix分析の実務に譲り、本記事はExcelのシートに実装する手順に集中します。予実管理そのものの型を先に押さえたい方は予実管理と差異分析の型を先に読むと理解が早くなります。

もう1つ実務で重要なのが、差異を「利益」の言葉に翻訳し直す作業です。売上側の差異(価格・数量・ミックス)に費用側の差異(変動費・固定費)を積み上げると、予算営業利益から実績営業利益までを1本の橋(ブリッジ)でつなげます。このブリッジ表は決算説明や経営会議のウォーターフォールチャートの元データにもなります。グラフの作り方(積み上げ棒からウォーターフォールを組む手順)はブリッジチャート構築チュートリアルに譲り、本記事は「グラフの元になる正しい数表」を作ることに集中します。

最後に、月の途中で必ず聞かれるのが「このままいくと年間はどうなるか」という着地見込みです。予算・フォーキャスト・見通しの違いにあるとおり、予算(年度初めに固定した目標)と見込み(今分かっている情報での予測)は別物です。上期の実績に下期の予算(または見直し後の見込み)を足して年間着地を作る手順も本記事で組みます。

本文に出てくる用語の対応表(迷ったらここに戻る)
用語ひとことで言うと
価格差異単価が予算からどれだけ動いたかによる売上の増減
数量差異販売数量の合計が予算からどれだけ動いたかによる売上の増減
ミックス差異製品ごとの販売構成比が予算から変わったことによる売上の増減
フレックス予算「実績の数量なら本来いくらかかるはずか」を予算単価で再計算した基準
有利差異・不利差異利益にプラスに効いた差異=有利、マイナスに効いた差異=不利
着地見込み今分かっている実績に残り期間の見込みを足した年間予測値

完成形の全体像

今回作るシートは1枚で完結します。上から下へ、4つのブロックが積み上がる構成です。

XBudget_vs_Actual.xlsx – Excel(完成形の全体像)
BC〜Kメモ
4-11① 元データ+売上差異分解製品別の予算・実績と価格/数量/ミックス差異検証行あり
14-21② 変動費・固定費の差異フレックス予算を挟んで数量成分とレート成分に分解
24-32③ 営業利益ブリッジ①②の差異を積み上げて予算OP→実績OPをつなぐウォーターフォール表の元データ
35-40④ 着地見込み上期実績+下期予算=年間着地
図0:①で作った差異の合計値(J8・K8・C10)を③でそのまま引用します。同じ数字をシートのあちこちで再入力しない、というのがこのシート設計の一番の狙いです。

設例の会社:産業用部品を3種類(製品A・B・C)販売する事業部の、ある月(便宜上「6月」)の予算と実績です。単位はすべて円(数量は個)とし、数字はすべて理解のための仮設例で、実在の企業の水準を示すものではありません。

1予算・実績の元データを入力する(10分)

目的:3製品の予算数量・予算単価・実績数量・実績単価を1つの表にまとめます。この4つの数字さえ揃えば、あとの差異分解はすべて数式で自動的に決まります。

操作:B4:I4に見出し、B5:B7に製品名。C5:C7(予算数量)・D5:D7(予算単価)・F5:F7(実績数量)・G5:G7(実績単価)はすべて手入力(青字)。E列・H列・I列は数式です(J列・K列はSTEP 2で追加します)。
X① 元データ(STEP 1)
BCDEFGHI
4製品予算数量予算単価予算売上実績数量実績単価実績売上売上差異
5製品A2001,000=C5*D52501,050=F5*G5=H5-E5
6製品B2001,500=C6*D61801,450=F6*G6=H6-E6
7製品C100800=C7*D7140850=F7*G7=H7-E7
8合計=SUM(C5:C7)=SUM(E5:E7)=SUM(F5:F7)=SUM(H5:H7)=SUM(I5:I7)
図1:E列・H列は「数量×単価」、I列は「実績売上−予算売上」。この段階でI8を見ると総差異は62,500円の有利差異(実績が予算を上回った)と分かりますが、これが値上げの効果か、数量が伸びた効果か、売れ筋が変わっただけかはまだ分かりません。STEP 2で分解します。

期待値:C8=500、E8=580,000、F8=570、H8=642,500、I8=62,500

つまずき:E列やH列を「数量+単価」のように足し算で組んでしまうミスが起こりがちです。売上は必ず「数量×単価」の掛け算になることを、入力のたびに指差し確認してください。

2売上差異を価格・数量・ミックスに分解する(15分)

目的:I8の62,500円という総差異を、価格が動いた効果・全体の数量が動いた効果・製品構成(ミックス)が動いた効果の3つに分けます。分解の考え方はシンプルです。価格差異は「単価の差×実際に売れた数量」ミックス差異は「実際に売れた数量×(その製品の予算単価−予算の加重平均単価)」数量差異は「全体の数量の増減×予算の加重平均単価」で計算します。

操作:J4「価格差異」・K4「ミックス差異」を見出しに追加。J5:J7、K5:K7に数式。B9に「予算加重平均単価」、C9に数式。B10に「数量差異(会社計)」、C10に数式。B11に「検証:価格+数量+ミックス」、C11に検証式。
X① 価格・数量・ミックスへの分解(STEP 2)
BD(参照)F(参照)J(価格差異)K(ミックス差異)
5製品A1,000250=(G5-D5)*F5=F5*(D5-$C$9)
6製品B1,500180=(G6-D6)*F6=F6*(D6-$C$9)
7製品C800140=(G7-D7)*F7=F7*(D7-$C$9)
8合計=SUM(J5:J7)=SUM(K5:K7)
9予算加重平均単価(C9)=E8/C81,160
10数量差異・会社計(C10)=(F8-C8)*$C$981,200
11検証:価格+数量+ミックス(C11)=J8+C10+K862,500(I8と一致)
図2:$C$9(予算加重平均単価)は絶対参照にしてから縦にコピーします。C9はまだ入力していない段階でK列の式に登場しますが、Excelは行の上下に関係なくセルを参照できるため、この順番で組んでも壊れません。C11がI8と一致すれば分解は成功です。なお、K5:K7は合計(K8)を出すための途中計算で、製品ごとの「ミックスへの寄与度」としては読めません(平均単価より安い製品は構成比が動かなくても必ずマイナスになる式のため)。製品別の寄与度を見たい場合は=(F5-$F$8*C5/$C$8)*(D5-$C$9)のように実績構成比と予算構成比の差を使う式に組み替えます。

期待値:J8=10,500(価格差異・有利)、K8=−29,200(ミックス差異・不利)、C10=81,200(数量差異・有利)、C11=62,500(I8と一致)

数字の中身を読み解くと、実際の販売構成は予算より製品A・Cの比率が上がり、単価が最も高い製品Bの比率が下がっています(予算では数量ベースで製品Bが40%、実績では約32%)。数量そのものは500個→570個と伸びて81,200円の有利差異を生みましたが、その伸びの中身が低単価品に偏ったため、ミックス差異の合計で29,200円が押し戻されています。「量は伸びたのに、思ったほど儲からない」という現場の感覚は、たいていミックス差異に表れます。

つまずき:ミックス差異の符号を逆にしてしまう間違いが多発します。ミックス差異は「予算単価−平均単価」の順で引き算をするため、平均より安い製品の構成比が上がると、ミックス差異の合計はマイナスになります(製品ごとの値ではなく、合計で判断してください)。逆に書くと符号が総崩れになるので、検証行(C11とI8の一致)を必ず確認してください。

3変動費・固定費の差異を計算する(15分)

目的:売上側の差異が分かっても、それだけでは利益への影響は分かりません。費用側の差異も、変動費と固定費で扱いを分ける必要があります。変動費は「数量が変われば当然増減する」部分があるため、その部分(数量成分)と、単価そのものが上下した部分(レート成分)を分けて見ます。固定費は数量に関係なく発生する費用なので、予算と実績の単純な差だけで十分です。

操作:14行目に見出し、15〜17行目に製品別の変動費を計算。C・F列は①の予算数量・実績数量をそのまま参照します。D15:D17(予算変動費単価)とH15:H17(実績変動費単価)が入力セル(青字)、それ以外は数式です。
X② 変動費の差異分解(STEP 3)
BC(参照)DEF(参照)GHI
14製品予算数量予算変動費単価予算変動費実績数量フレックス変動費実績変動費単価実績変動費
15製品A=C5600=C15*D15=F5=F15*D15620=F15*H15
16製品B=C6900=C16*D16=F6=F16*D16880=F16*H16
17製品C=C7500=C17*D17=F7=F17*D17520=F17*H17
18合計=SUM(E15:E17)=SUM(G15:G17)=SUM(I15:I17)
19数量差異(変動費)(C19)=G18-E1832,000(不利=実績と同じ数量・構成なら本来これだけ増えるはずの変動費)
20レート差異(変動費)(C20)=I18-G184,200(不利=1個あたりの原価が予算単価より高かった分)
図3:G列(フレックス予算変動費)が今回のキモです。「実績と同じ570個・同じ製品構成で売ったなら、予算単価ではいくらかかったはずか」を計算した基準線で、これと予算(E18)の差が数量差異、実績(I18)との差がレート差異になります。C19の32,000円は、売上側の数量差異(81,200円)とミックス差異(−29,200円)を合わせた動きに対応する費用側の反作用で、数量差異(81,200円)だけと1対1で対になるわけではありません。費用側も分けたい場合は、予算平均変動費単価(E18/C8=700円)を使うと数量分49,000円・ミックス分−17,000円に分解できます。
操作:21行目に固定費。B21に「固定費」、C21(予算・青字)に90,000、D21(実績・青字)に95,000を入力し、E21に差異式を入れます。
X② 固定費の差異(STEP 3続き)
BC(予算)D(実績)E(差異)
21固定費90,00095,000=D21-C21
図4:固定費差異はE21=5,000(不利)。数量が伸びても固定費は動かない前提なので、フレックス予算の考え方は使わず、予算と実績を直接引くだけで十分です。

期待値:E18=350,000、G18=382,000、I18=386,200、数量差異=32,000、レート差異=4,200、固定費差異=5,000。すべて「実績のほうがコストが高い=不利差異」をプラスの値で表しています。

つまずき:変動費側の「数量差異」(32,000)には、売上側の数量差異とミックス差異の両方の影響が混ざっています(分けたい場合は図3のキャプション参照)。符号については、売上側は「数量が増えて売上が増えた(有利)」、費用側は「数量が増えてコストも増えた(不利)」と正反対の意味を持つため、ブリッジ表に積み上げるときは費用側の差異だけ符号を反転させます。

4営業利益ブリッジ(ウォーターフォール用の表)を作る(10分)

目的:ここまでに作った6つの差異(価格・数量・ミックス・変動費数量・変動費レート・固定費)を1本の表に積み上げ、予算営業利益から実績営業利益までをつなげます。差異ブリッジレポートの設計の基本は「起点→増減の内訳→終点」の3部構成で、これがそのままウォーターフォールチャートの元データになります。

操作:25行目に起点(予算営業利益)、26〜31行目に6つの差異、32行目に終点(実績営業利益=SUM)。売上側の差異はそのままプラス、費用側の差異はマイナスを付けて参照します。
X③ 営業利益ブリッジ(STEP 4)
BC
25予算営業利益(起点)=E8-E18-C21
26+価格差異=J8
27+数量差異(売上)=C10
28+ミックス差異=K8
29−数量差異(変動費)=-C19
30−レート差異(変動費)=-C20
31−固定費差異=-E21
32実績営業利益(終点)=SUM(C25:C31)
図5:C32は161,300になり、「実績売上642,500−実績変動費386,200−実績固定費95,000」で直接計算した値(=H8-I18-D21)と完全に一致します。2通りの経路が同じ答えに着地することが、ブリッジが正しく組めた証拠です。この表の各行をそのままウォーターフォールチャートの「増減」欄に流し込めば図解が完成します(グラフの作り方)。

期待値:C25=140,000(予算営業利益)、C32=161,300(実績営業利益)。差額21,300円は、価格・数量の伸びが、不利なミックスとコスト増を上回った結果です。

つまずき:C29〜C31で符号を反転させ忘れる(プラスのまま参照する)と、コストが増えたのに実績営業利益が予算より高く出るという矛盾が起きます。C25とC32を、①②の実績・予算から直接計算した値(=E8-E18-C21、=H8-I18-D21)と照合し、一致を確認してください。

5着地見込みを作る(10分)

目的:月次の差異分析ができたら、次に聞かれるのは「このままいくと年間はどうなるか」です。着地見込みは、確定している実績(YTD=年初来累計)に、残り期間の予算または見直し後の見込みを足して作ります。

操作:35行目に見出し、36〜40行目に年間予算・上期実績・下期予算・着地見込み・予算対比を計算。ここでは「月次の予算営業利益は年間を通じて一定(140,000円/月)」という単純化の前提を置きます。
X④ 着地見込み(STEP 5)
BC
36年間予算営業利益=C25*12
37上期(1〜6月)累計実績750,000
38下期(7〜12月)予算=C36/2
39着地見込み=C37+C38
40予算対比(着地−年間予算)=C39-C36
図6:C36は140,000×12=1,680,000。C37の750,000は、今回分解した6月分を含む上期累計実績という設定です。C39=1,590,000、C40=−90,000。「下期を予算どおり進めても、上期の不足分90,000円(上期予算840,000−上期実績750,000)は取り戻せず、年間では90,000円ショートする」という一文が、この表1枚から作れます。

期待値:C36=1,680,000、C38=840,000、C39=1,590,000、C40=−90,000

C38を「年間予算の残り月数分」ではなく、直近の実績トレンドを反映した見直し後の見込みに置き換えると、より精度の高い着地予測になります。この考え方を毎月更新し続ける運用がローリングフォーキャストです。

つまずき:上期実績と下期予算を単純に合算しただけで「着地見込み」と呼び、下期に分かっている悪材料(固定費の上振れなど)を反映し忘れるケースが多く見られます。着地見込みは新しい実績や見通しが入るたびに更新するのが前提です。

遊んでみる:前提を動かす実験

完成したシートは、入力セル(青字)だけを変えて挙動を確認することで理解が深まります。3つ試してみてください。

  • 実験①:高単価品の数量を伸ばしたら? F6(製品Bの実績数量)を180→220に変更。総差異は62,500→120,500に拡大し、価格差異10,500→8,500・数量差異81,200→127,600・ミックス差異−29,200→−15,600と変わります。単価が最も高い製品の比率が上がったことで、ミックス差異の悪化が半分近くまで縮む様子が確認できます。「量を伸ばすなら、どの製品を伸ばすかで利益への効き方が変わる」ということです。
  • 実験②:値下げで数量を守ったら? G5(製品Aの実績単価)を1,050→950に変更(数量は元の250個のまま)。総差異は62,500→37,500に縮小し、価格差異は10,500→−14,500に転落しますが、数量差異81,200とミックス差異−29,200は変わりません。価格差異は実績数量を掛けて計算するため単価の変化だけを映し、数量やミックスには波及しないという分解方式の性質が確認できます。
  • 実験③:固定費の悪化が下期も続いたら? D21(固定費実績)を95,000→120,000に変更すると、実績営業利益は161,300→136,300に25,000円悪化します(予算比の固定費差異も5,000→30,000に拡大)。この悪化が下期6か月も続くと見て、下期見込みを840,000−25,000×6=690,000に置き換える(C38を直接書き換えず、調整額の行を1行足して差し引くのが安全です)と、着地見込みは1,590,000→1,440,000、年間予算との差は−90,000→−240,000に拡大します。上期実績C37(750,000)は変えず、下期への影響だけを見ている点に注意してください。

よくあるミス

  • 符号ルールを途中で変えてしまう:売上側の差異は「実績が予算より良ければプラス」、費用側の差異は「実績が予算より悪ければプラス」で統一し、ブリッジ表で費用側だけマイナスを付けて反転させます。この統一ルールを崩すと、シートが大きくなるほど検証が困難になります。
  • 予算加重平均単価に$を付け忘れる:C9(予算加重平均単価)を絶対参照にせずにK列(ミックス差異)へコピーすると、行がずれるたびに参照先が変わって式が壊れます。F4キーで$を付ける癖をつけてください。
  • 検証行を作らずに次のブロックへ進む:価格+数量+ミックス=総差異(C11とI8の一致)、予算OP+差異合計=実績OP(C32と直接計算値の一致)を必ず作り、合わない状態のまま先のブロックに進まないこと。
  • フレックス予算を作らず予算と実績を直接比べる:変動費は数量が増えれば増えるのが自然なので、フレックス予算(実績数量×予算単価)を挟まずに予算と実績を直接比較すると、「数量が伸びたから増えた分」と「単価が上がったから増えた分」が混ざってしまいます。
  • 下期の見込みを「予算のコピー」のまま固定する:下期を年間予算の残り分のまま使うのは出発点として悪くありませんが、既知の悪材料(実験③の固定費悪化など)が判明した時点で見直し後の数字に更新しないと、着地見込みの意味が薄れます。

よくある質問(FAQ)

Q. 価格差異の計算で、実績数量ではなく予算数量を使う方法もあると聞きました。どちらが正しいのですか?

A. どちらも実務で使われる方式で、「正解」は1つではありません。本記事の方式(価格差異は実績数量、数量差異とミックス差異は予算単価・予算加重平均単価で評価)では、数量差異とミックス差異が実績単価の影響を受けません(実験②で確認できます)。また、価格と数量が同時に動いた交差部分がすべて価格差異に含まれるため残差が出ません。予算数量を使う方式では、この交差部分が「結合差異」として別に残るので、どちらに寄せるかを社内ルールで決めておく必要があります。重要なのは、どの方式でも「3つの差異の合計が総差異に一致する」ことを検証行で確認することです。

Q. 検証行(価格+数量+ミックス)が総差異と合いません。どこを疑えばよいですか?

A. 多くの場合、①予算加重平均単価(C9)の絶対参照の付け忘れ、②ミックス差異の引き算の順序(予算単価−平均単価、の順であるべき所を逆にしている)、③どこかの製品行だけ数式をコピーし忘れて手入力の値が残っている、の3つのいずれかです。製品ごとの差異(J5:J7、K5:K7)を1行ずつ手計算で照合すると原因が絞れます。

Q. 変動費のフレックス予算は、固定費にも作るべきですか?

A. 不要です。固定費は定義上、数量の増減と関係なく発生する費用なので、フレックス予算(数量調整後の基準線)を作る意味がありません。固定費は予算と実績を直接比較するだけで十分です。

Q. 着地見込みは何を根拠に更新すればよいですか?

A. 基本は「新しく確定した実績」と「既に判明している変化点(受注状況、価格改定、固定費の増減など)」の2つです。根拠のない期待や希望的観測で下期の数字を上振れさせると、着地見込みの信頼性が失われます。

Q. 製品が3つより多い場合、この表は使えますか?

A. 使えます。①のブロック(4〜11行目)に行を追加し、SUM関数の範囲を広げるだけで同じ構造のまま製品数を増やせます。数十製品規模になったら、カテゴリでグループ化してからミックス差異を見る方が読みやすくなります。

まとめ

  • 売上の総差異は価格差異・数量差異・ミックス差異に分解して初めて「何が起きたか」が分かる。3つの合計が総差異に一致することを検証行で確認する。
  • 費用側の差異はフレックス予算(実績数量×予算単価)を基準に数量成分とレート成分に分け、固定費は予算と実績を直接比較する。
  • 6つの差異を1本の営業利益ブリッジに積み上げれば、予算営業利益から実績営業利益までが数字でつながり、着地見込みの土台にもなる。

出典・参考(2026年9月確認)

本記事の設例(製品A・B・Cの予算・実績数値)は説明用の仮設例であり、出典はありません。価格差異・数量差異・ミックス差異の分解方式は、FP&A実務で広く使われる複数の方式のうち一つを採用しています(詳細はPrice-Volume-Mix分析の実務を参照)。

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例はすべて理解のための仮設例です。