この記事で分かること
- 着地見込み=期の途中時点で実績とその後の見込みを合算し、当期末の着地数値を推定すること
- 予算・実績・着地見込みという3つの数字の違い
- 整数設例で確認する、9か月の実績から通期の着地をどう推定するか
- 経営会議で「着地はどうか」と聞かれたときに答えるべき内容
30秒で分かる定義
着地見込み(Landing Forecast)とは、決算期の途中時点で、すでに確定している実績とその後の残り期間の見込みを合算して、当期末(着地時点)にどのような数値になりそうかを推定することです。着地予想・通期着地見込み・フルイヤー見込みとも呼ばれます。「予算」が期初に立てた目標であり、「実績」がすでに確定した過去の数字であるのに対し、「着地見込み」は今この瞬間に立って通期の結果を見通す、経営会議で最も頻繁に聞かれる数字です。
なぜ実務で重要なのか
経営企画・FP&Aにとって、着地見込みは予実管理の集大成であり、月次の経営会議で「今期は予算に対して着地はどうなりそうか」を報告する際の中心的な数字です。経営陣にとっては、期末を待たずに配当方針や追加投資判断、株主・銀行への説明を検討するための材料になります。着地見込みが早い段階で予算未達と分かれば、期中に追加の施策(コスト削減、販促強化)を打つ時間的余裕が生まれます。
計算式(または仕組み)
残り月の見込みの作り方には、大きく2つのアプローチがあります。①受注残・商談パイプラインなど積み上げられる情報がある場合はそれを積算するボトムアップ型、②季節性やトレンドを踏まえて過去の実績パターンから機械的に延伸するトップダウン型です。実務では両方を組み合わせ、確度の高い受注は積み上げ、不確実な部分はトレンドで補うのが一般的です。
整数設例で確認する
設例(架空数値、単位:百万円)。年間売上予算1,200の会社で、9か月経過時点(第3四半期末)の実績は950でした。
- 受注残・商談パイプラインから見積もった残り3か月の見込みは280
- 着地見込み = 950(実績)+ 280(残り3か月の見込み)= 1,230
予算1,200に対して着地見込みは1,230であり、予算比+30(+2.5%)の上振れが見込まれます。経営会議では「9か月時点の実績が950で、このペースなら通期は1,230に着地しそうです。予算比では30の上振れです」という形で報告します。単に「実績950」だけを見て「予算未達か」と早合点しないよう、残り期間の見込みまで含めて評価することが重要です。
案件プロセス上の位置付け
着地見込みは、期初の予算編成と期末の実績確定の間をつなぐ、期中モニタリングの中心的なアウトプットです。毎月更新するローリングフォーキャストの直近の到達点として、着地見込みが位置付けられることもあります。着地見込みの精度自体は予測精度として別途評価され、精度の低い着地見込みが続く場合は、残り期間の見積もり方法自体を見直す必要があります。
財務モデル・Excelでの使い方
月次の実績シートと予測シートを1本につなげた「実績+見込み」のハイブリッド行を作ります。
- 経過月は実績値を、残り月は予測値を同じ行に並べ、
=SUM(全12か月分の行)で着地見込みを自動集計する - 予算行との差分列を作り、着地見込みが予算に対して何%上振れ・下振れしているかを一目で分かるようにする
- 月が進むごとに実績列が伸び、予測列が縮んでいく構造にしておくと、月次更新の作業がテンプレート化できる
実務家が確認するポイントとよくある誤解
誤解1:「着地見込みは予算の言い換えにすぎない」→ 予算は期初に固定された目標値であるのに対し、着地見込みは期中の実績や環境変化を反映して更新され続ける動く数字です。両者を混同すると、期中の異常を早期に検知できません。
誤解2:「経過月の実績が予算未達なら着地も未達」→ 残り期間の見込み次第で挽回する可能性があるため、実績だけでなく残り期間の受注状況やパイプラインを踏まえて着地を判断する必要があります。
確認ポイント:残り期間の見込みの前提(季節性、大型商談の確度)が楽観的すぎないか、過去の着地見込みの精度実績と比較して確認します。
日本実務での扱い(2026年7月時点)
日本企業の月次経営会議では「今期の着地はどうか」という質問が定番であり、着地見込みは経営陣が最も頻繁に確認する数字の1つです。四半期決算の開示にあたっては、通期の業績予想を期中に修正するかどうかの判断材料として着地見込みが使われます。上場企業では、業績予想の修正基準(売上高10%以上、利益30%以上の乖離など)に該当する見込みとなった場合、適時開示(業績予想の修正)が必要になるため、着地見込みの精度と早期把握が開示対応の観点からも重要になります。
面接・モデルテストで問われるポイント
Q:着地見込みと予算・実績はどう違いますか?
「予算は期初に設定した目標値、実績はすでに確定した過去の数字です。着地見込みは、期中時点での実績に残り期間の見込みを足し合わせて、当期末の結果を推定する動く数字です。着地見込みは月次で更新され、予算との比較を通じて期中の軌道修正の判断材料になります。」
深掘りでは「残り期間の見込みをどう作るか(積み上げ型とトレンド型の違い)」「業績予想の修正基準との関係」が定番です。
よくある質問(FAQ)
Q. 着地見込みとローリングフォーキャストはどう違いますか?
A. 着地見込みは当期末という決まった時点を対象にした見通しであるのに対し、ローリングフォーキャストは常に一定期間先(例えば12か月先)を見通す、期をまたいで更新し続ける予測手法です。着地見込みはローリングフォーキャストの一部として扱われることもあります。
Q. 着地見込みはどのくらいの頻度で更新すべきですか?
A. 多くの会社では月次で更新します。事業環境の変化が速い会社では、より高頻度(週次)で更新することもあります。
出典・参考(2026-07-25確認)
- 東京証券取引所(決算短信・業績予想の開示に関する取扱い) https://www.jpx.co.jp/
- 金融庁(業績予想の修正・適時開示に関する公表資料) https://www.fsa.go.jp/
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。