この記事で分かること
- 米国の上場企業の登録商標465,521件を、公告日の株価の反応で1件ずつ評価した研究では、価値の中央値が19.8百万ドル、95%点はその11.8倍と大きくばらつき、件数ではなく価値がその後の利益や市場シェアの伸びと結び付いたこと
- 市場の反応で測る価値と、買収時のPPA(取得原価の配分)で計上する商標権の評価額は、同じものを測っていないこと。日本の商標制度・会計基準と米国の違い
- 設例(架空の菓子メーカーの買収)で、ロイヤルティ率と割引率の置き方が商標権とのれんをどれだけ動かすかと、評価額を点検する手順
想定読者:消費財・食品・小売などブランドが価値の中心にある案件を扱うFA・FAS・PEの担当者、PPAの評価を受け取る事業会社の経理・経営企画、ブランドを持つ企業を分析するアナリスト
前提知識:PPAとのれんの基本、DCFの割引計算(研究の方法は本文で説明します)
食品メーカーが菓子メーカーを買う案件で、評価会社から取得原価の配分の報告書が届く。商標権は数十億円、残りの大半はのれんである。数字の根拠はロイヤルティ率、割引率、耐用年数の三つの仮定でほぼ決まっている。経理部長からは「この商標権の金額は高いのか低いのか、何と比べればよいのか」と聞かれる。
ブランドの価値は、取引の外では1件ずつ確かめる物差しが乏しい資産である。この点に、株価の反応という別の物差しで答えようとしたのが、ポルトガルのNova School of Business and Economics(NOVAリスボン大学)の研究者ら4名による論文「The value of trademarks」である。2022年11月にワーキングペーパーとして公表され、2026年9月に学術誌Journal of Financial Economicsにオープンアクセスで掲載された1。
この記事が主に参照する研究
Pranav Desai、Ekaterina Gavrilova、Rui C. Silva、Margarida Soares(2026)「商標の価値(The value of trademarks)」Journal of Financial Economics 185, 104358
- 公表:初版 2022年11月(SSRNのワーキングペーパー)。参照した版:学術誌掲載版(2026年9月オンライン公開、CC BYのオープンアクセス)。査読:済
- データ:米国特許商標庁(USPTO)の商標記録を、手作業の確認を含めて米国の上場企業21,456社に照合。価値の推定は1961〜2016年に公告された登録商標465,521件、業績は2021年まで
- 方法:商標の公告日を含む3日間の株価の超過反応から1件ごとの金額を推定し、その後の業績と結び付ける回帰分析(相関)。審査官の割当ての偶然を使った操作変数法で、登録が業績に与える因果的な効果も推定
- 位置づけ:特許の価値を株価の反応で測る既存の方法を商標に応用し、新しい照合データで測った研究(新しい理論の提示ではない)
商標の価値を測る三つの物差し
商標は、商品やサービスの出所を示す名称・ロゴ・形・音などである。特許と違って技術の新しさは問われず、使い続ける限り更新して保有できる。論文は、特許が製造業に偏るのに対し、商標は卸・小売や非耐久消費財など特許の少ない業種でも広く使われることを示した。2016年には、標本企業の33.3%が商標だけを取得し、特許だけの企業は9.6%だった2。
その価値の測り方は、大きく三つに分けられる(表1)。一つ目は、広告費や販売管理費の累計を資産とみなす原価の積み上げである。二つ目は、買収の際の取得原価の配分
表1 商標の価値を測る三つの物差し
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| 物差し | 何を測るか | 長所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 原価・会計の積み上げ | 商標の取得・維持の費用、広告費・SG&Aの累計 | 社内の記録で計算できる | 将来の収益を映さない。資本化する割合の仮定に左右される(R3) |
| 取引価格(PPA) | 買収時に識別された商標権の公正価値(多くはロイヤルティ免除法) | 買い手が実際に払った対価の内訳として開示される | 評価は買い手と評価人の仮定に依存。買収された企業しか見えない |
| 市場の反応(R1) | 商標の公告で株価が見直した価値(製品のニュースを含む) | 上場企業の商標1件ごとに、前向きの価値を測れる | 株価の過熱で膨らむ。商標そのもの以外の情報も混じりうる |
三つ目の方法の考え方は、M&Aの発表日の株価反応で取引の価値を測るイベントスタディと同じである。米国では、審査を通った商標は異議申立てのために官報で公告され、30日以内に異議がなければ登録に進む3。論文は、この公告日とその後2営業日の計3日間に、市場全体の動きを差し引いた異常収益率のうち商標に起因する部分を統計的に取り出し、公告の成功確率で補正したうえで、同じ日に公告された商標・特許の件数で割り、公告前日の時価総額を掛けた。商標の価値はマイナスにならない(不要になれば使用をやめられる)とも仮定している4。
研究が示した結果:中央値は約2,000万ドル、ただし裾が長い
推定された商標1件の価値(2021年の価格に換算)は、中央値が19.8百万ドル、平均が57.5百万ドルだった。5%点の0.9百万ドルから95%点の234.2百万ドルまで広がり、少数の高額な商標が平均を押し上げている(図1)。株価の反応に直すと、商標に起因する部分は平均37bp、中央値31bpにすぎない5。
この分布から読み取りたいのは「平均的な商標」という考え方の危うさである。中央値と95%点の差は一桁を超える。業種でも差があり、中央値は耐久消費財の12.3百万ドルから石油・ガス・石炭の51.0百万ドルまで開いた6。登録された商標のうち、すでに販売している製品について「使用中」を根拠に出願されたものの中央値は17.9百万ドル、まだ販売していない製品について「使用の意思」を根拠に出願され、その後登録されたものは23.7百万ドルだった7。著者らは、使用意思の商標が近く出る製品の情報を投資家に伝えるためだと説明している。
企業単位では、1年間に公告された登録商標の価値の合計は平均120.0百万ドル、総資産(簿価)の3.7%に当たる。ただし半分以上の企業・年は公告がゼロで、資産を時価で測ると比率は1.9%に下がる8。比較のため同じ方法で測った特許は、1件の中央値が13.7百万ドルと商標より低いが、件数が多いため企業・年の合計は総資産の5.7%と商標より大きい9。
実務家にとって興味深いのは、論文が推定値を買収の会計と突き合わせた点である。2016年に完了し、取得した商標の価値を個別に開示した合併について、対象会社から移転した商標を論文の方法で合計すると平均588百万ドル、買い手が報告した額は平均595百万ドルだった(推定は報告の98.8%、編集部計算)10。件数や選び方は付録にあり、本稿では確認していない。平均が近いことは、個々の案件で両者が一致することまでは意味しない。
次に、価値の高い商標を得た企業はその後伸びたか。商標の価値の合計を総資産で割った指標が1標準偏差高い企業は、粗利益の伸びが1年後に1.4%、5年後に4.3%高かった。中央値の企業(粗利益111.7百万ドル)に直すと、1年後1.6百万ドル、5年後4.8百万ドルの差になる。市場シェアの伸びも1年後0.8%、5年後2.7%高く、生産高、マークアップ、設備、従業員数も同じ向きに動いた。いずれも統計的に有意である。利益・生産高・マークアップ・市場シェアには公告の前から伸びていた形跡がなく、設備と従業員は公告の前から増え始めていた11。
この回帰に商標の件数を加えると、件数は有意でなくなり、価値の指標だけが残った。特許の価値や広告費を統制しても結果はほぼ変わらない12。商標の数を数えるだけでは、どの商標が効いているのかは分からない、ということである。
ここまでは相関である。論文は因果を確かめるため、出願を担当する審査官がほぼ無作為に割り当てられ、審査官によって登録を認める割合が違うことを利用した。寛容な審査官に当たって登録が増えた企業は、5年後に利益が8.5%、市場シェアが9.7%高かった(登録の成功率1標準偏差あたり)。ただしこの推定は商標の「価値」ではなく「登録できたかどうか」の効果で、前段の数値とは直接比べられないと著者自身が断っている13。
価値の源泉について、著者らは二つの経路を示した。小売のPOSデータを使った回帰では、使用意思を根拠に出願された登録商標は新製品の投入と旧製品の廃番の増加と、使用中を根拠とする登録商標は既存製品の価格と販売数量の上昇と結び付いた。著者らはこれを、新製品を生む製品革新と、模倣を防いで他社の製品と区別する差別化の両方を株価が評価している証拠と解釈している14。競合が多く集中度(HHI)の低い業種ほど商標の株価反応が大きいことも、差別化の経路と整合的である15。
何を測っていないか:標本・方法・限界
まず標本は米国の上場企業に限られる。照合できたのは全商標の約19%で、非上場企業の商標は含まれない。業績の分析からは金融と公益を除いている16。
次に、株価の反応で測る以上、株価の歪みがそのまま入る。論文自身の検証でも、株式市場が過熱していた時期の中央値は29.3百万ドルで、そうでない時期の19.7百万ドルの約1.5倍だった。また、反応が商標そのものではなく、新分野への進出など会社の戦略についての知らせへの反応である可能性も、著者らは排除できないと認めている17。
版による数字の違いにも注意が要る。2022年11月のワーキングペーパーの要旨は「平均的な商標1件は36.76百万ドル、年間の新規商標は総資産の約2%」としていた。掲載版の表では商標1件の平均は57.5百万ドルで、要旨では中央値19.8百万ドルを示し、企業・年の平均は総資産の3.7%としている。旧版の平均と掲載版の中央値は統計量が違うので、そのまま比べられない18。古い版の数字を引用した二次情報が残っているため、引用するなら掲載版によるべきである。
別の物差しとの関係では、Michael Ewens、Ryan H. Peters、Sean Wangの研究が参考になる。買収・清算などで付いた価格に現れた識別無形資産とのれんから、販売管理費のうち長く効く資産とみなせる割合を推定し、全体で28%、業種別では消費財20%からヘルスケア51%まで幅があるとした19。取引価格から無形資産を測るこの方法と、株価の反応で測る今回の方法は、別々の物差しとして並べて読むものである。
大手町プレップの考察:市場の評価とPPAの評価額は別物である
編集部の見方では、この研究の数字をPPAの商標評価の「答え」として使うのは誤りである。理由は二つある。
第一に、測っているものが違う。研究の価値は、公告の知らせで投資家が見直した企業価値の増分で、新製品の見通しも含む。PPAの商標権は、のれんから切り離して譲渡できる法的権利の価値で、ロイヤルティ免除法なら「その商標を持たずに借りたら払うはずの使用料」の現在価値である。新製品の期待の多くは、PPAでは商標権ではなくのれんや他の無形資産に入ると考えられる(仮説)。
第二に、単位が違う。研究の中央値は米国上場企業の商標1件の値で、PPAが扱うのは対象会社のブランド群全体である。一つのブランドに多数の商標(名称・ロゴ・キャッチフレーズ)が付く以上、件数を掛け合わせても意味のある比較にはならない。
それでも研究は、PPAを点検する視点を三つ与える。推定価値は商標によって大きくばらつき、件数では業績の伸びを説明できなかったこと、使用中を根拠とする商標と使用意思を根拠とする商標では結び付く製品の動きが違ったこと、そして集中度の低い業種ほど株価の反応が大きかったことである。これを受けて、商標を売上の大きい製品群から順に確かめ、まだ使っていない出願中の商標を既存の商標と分けて扱うことを編集部は提案したい。日本の出願中の商標への当てはめは研究が検証したものではなく、編集部の考察である。
日本の実務への応用:制度の違いを押さえる
日本の会計基準でも、企業結合で受け入れた資産に「法律上の権利など分離して譲渡可能な無形資産」が含まれれば、識別可能なものとして扱う(企業結合会計基準第29項)。2008年(平成20年)の改正で、識別可能な無形資産は原則として識別して計上することになった(同第100項)20。登録された商標権は法律上の権利であり、識別可能無形資産の典型である。のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間で規則的に償却する(同第32項)ため、商標権に多く配分するほどのれんが減り、買収後の償却費の配分も商標権の耐用年数の置き方で変わる21。IFRSとの違いはのれん償却の日本基準とIFRSの違いを参照されたい。
商標制度の手続は米国と順序が違う。日本の商標法では、出願は出願公開され(第12条の2)、審査を経て登録された後に商標掲載公報が発行され、その発行の日から2か月以内に限り登録異議の申立てができる(第43条の2)。存続期間は登録から10年で、更新登録の申請により更新できる(第19条)22。米国のように「登録前の公告」が審査の結論を市場に伝える一つの節目になる構造ではないため、日本で同じ方法を試すなら、どの日付に株価が反応するのかを確かめるところから始める必要がある(編集部の見方。日本で検証した研究は本稿では確認していない)。
開示の面では、東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード(2026年7月版)が、原則4-1の解釈指針で、知的財産等の無形資産への投資を競争力・企業価値向上の源泉と位置づけ、その創出・取得・強化・保護・収益化に戦略的に取り組むべきだとしている23。商標の件数を並べる開示より、どの商標がどの事業の売上と価格を支えているかを示すほうが、研究の結果に照らして投資家に伝わりやすいと考えられる(仮説)。
学習用の設例:ロイヤルティ率と割引率でのれんはどこまで動くか
学習用の設例(架空)
- 食品メーカーA社が、菓子メーカーB社(無借金)の株式100%を600億円で取得する
- B社の簿価純資産は260億円、商標以外の評価差額は土地の20億円
- 主力ブランドの売上は1年目180億円、10年目まで年2%成長し、その後は年1%で続く
- ロイヤルティ率3%、税率30%、商標の割引率9%(期末割引)。償却による節税効果は加えない
1年目の税引後ロイヤルティは180億円×3%×(1−30%)=3.78億円である。これを10年分割り引き、11年目以降は永続成長の式で現在価値にすると、商標権は50.3億円になる。評価差額(商標権と土地)に税率を掛けた21.1億円が繰延税金負債として差し引かれ、時価純資産は309.2億円、のれんは290.8億円となる(図2)。商標を識別しなければのれんは326.0億円で、差は35.2億円である。
前提を動かすと、評価額は大きく変わる(表2)。割引率9%のまま、ロイヤルティ率を2%にすると33.5億円、4%にすると67.0億円で、評価額はロイヤルティ率に比例する。割引率を8%から10%に動かすと、基本のロイヤルティ率で57.6億円から44.6億円まで下がる。九つの組合せの幅は29.7〜76.8億円で、最大は最小の2.6倍、のれんは272.2〜305.2億円の範囲で動く。耐用年数を20年で打ち切れば、基本ケースの評価額は39.0億円(−22.4%)になる。
表2 設例:商標権の評価額とのれん(億円)
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| 割引率\ロイヤルティ率 | 2% | 3% | 4% |
|---|---|---|---|
| 8% | 38.4(299.1) | 57.6(285.7) | 76.8(272.2) |
| 9% | 33.5(302.5) | 50.3(290.8) | 67.0(279.1) |
| 10% | 29.7(305.2) | 44.6(294.8) | 59.5(284.4) |
この設例で一番効いているのはロイヤルティ率だが、その設定は比較可能なライセンス契約などを踏まえたものか、根拠を確認したい。研究では商標の推定価値が大きくばらつき、集中度の低い業種ほど株価の反応が大きかった。評価の議論は、主力ブランドのロイヤルティ率が市場の競争状態とブランドの粗利率に照らして妥当かに時間を割くべきだろう(編集部の見方)。
明日から使える確認項目
- 対象会社の商標の一覧を、件数ではなく、各商標が付く製品群の売上と粗利の大きい順に並べ替える。上位の商標について、登録の有無、指定商品・役務の区分、存続期間の満了日と更新の予定、異議・無効審判・訴訟の有無を確認する(知的財産DDの対象を絞る)。
- 評価人に、ロイヤルティ率・割引率・耐用年数のそれぞれについて感応度表(表2の形)を求め、商標権とのれんの幅を経営陣に示す。基本ケースだけの報告書は受け取らない。
- ロイヤルティ率の妥当性を一つの質問で確かめる。「このロイヤルティを第三者に払ったとして、ブランド事業に製造・販売の機能に見合う利益が残るか」。残らない率は高すぎる可能性がある。
- 出願中の商標(まだ使っていないもの)を一覧から分け、どの新製品・新事業に対応するかを経営陣に聞く。研究では、使用意思を根拠に出願されその後登録された商標は新製品の投入と、使用中を根拠とする登録商標は既存品の価格・数量と結び付いていた。日本の出願中の商標を既存の商標と別の前提で扱うのは、この結果からの編集部の推論である。
- 買収後は、主力ブランドの既存品目を固定したバスケットで売上の伸びを価格と数量に分ける(指数の定義と重みを明示して、価格要因と数量要因に分解する)。価格が下がって数量だけで売上を保っているなら、PPAの前提だった差別化が崩れている兆候として減損の検討につなげる。
よくある質問
中央値1,980万ドルという数字は、日本企業の商標にも当てはまりますか。
当てはまるとは言えません。米国の上場企業が1961〜2016年に公告した商標についての株価からの推定で、企業規模や市場、商標制度が違います。日本の案件の比較値として使うのではなく、推定価値が商標によって大きくばらつくという分布の形を参考にするのが適切です。
商標の件数が多い会社は、ブランド力が強いと言えますか。
この研究では、件数と価値を同時に業績の分析に入れると、件数は説明力を失いました。件数は出願の方針や事業の数にも左右されるため、どの商標が売上と価格を支えているかを見る必要があります。
PPAで商標権を大きく評価すると、何が変わりますか。
のれんが減り、評価差額に対応する繰延税金負債が増えます。日本基準ではのれんを20年以内で規則的に償却するため、配分を商標権に移すと、商標権の耐用年数をどう見積もるかで年々の償却費と利益計画が変わります。評価の前提は、買収後の減損の検討でも出発点になります。
まとめ
株価の反応で測ると、米国上場企業の商標1件の価値は中央値で約2,000万ドルあり、推定価値は商標によって大きくばらついた。価値の高い商標を得た企業ほどその後の利益と市場シェアの伸びが大きく、件数より価値のほうがその伸びをよく説明した。ただしこの値は米国の上場企業について投資家が見直した価値で、PPAで計上する商標権とは測る対象が違う。日本の実務で生かすなら、商標を件数でなく売上で並べ、使用中と出願中を分け、ロイヤルティ率と割引率の感応度でのれんへの影響を確かめることを編集部は勧める。
脚注
- R1(Journal of Financial Economics 185, 2026) p.1(表紙)。2023年10月31日投稿受付、2026年8月23日採択、2026年9月7日オンライン公開、CC BY 4.0。初版は R2(SSRN 4280505。Date Written 2022年11月18日、Posted 2022年11月22日。日付は Internet Archive の保存版で確認。本稿が読んだのは同じ内容の AEA 2023 年次大会掲載版、2022年11月17日付)。著者の公開履歴では本論文の最初の学会発表は2022年9月で、それより前の前身稿は見つからなかった(2026年10月24日確認)。↩
- R1 p.1〜2(1章)、p.4(2.1節。名称・記号・形・ロゴ・音・色が商標の対象になること)、p.7(3.2節・図3。2016年の割合)。卸・小売・非耐久消費財で商標の利用が多いことも p.7(図4)による。↩
- R1 p.4(2.2節)。手数料は1区分あたり250ドルまたは350ドル、出願から登録まで通常12〜18か月、公告から30日以内に異議申立てができる。登録後は10年ごとに更新し、使用していれば存続する。1884〜2021年の出願の約63.5%が登録に至る(使用中80.0%、使用意思43.7%。p.5)。↩
- R1 p.7(4章・式と脚注17・19)、p.9(脚注20・21)。評価式は、商標分の超過リターンの期待値を公告の成功確率 p で 1/(1−p) 倍に補正し、同日の商標・特許の件数で割って、公告前日の時価総額を掛ける(p は使用意思78.9%、使用中78.7%)。方法は Kogan, Papanikolaou, Seru and Stoffman(2017, R4)の特許の評価法に基づくと著者は述べている(p.3・p.7。R4 の本文は本稿では確認していない)。公告日に情報が株価に織り込まれ、出願日などには異常リターンが見られないという検証は付録表C.1にあり、本稿は本文の記述(p.7)だけを確認した。↩
- R1 p.8〜9・表2 Panel A。金額は消費者物価指数で2021年のドルに換算した値。対象は1961〜2016年に公告され登録された商標。↩
- R1 p.10(4章)。業種別の分布の詳細は付録表F.3(本稿は本文に記された値のみ確認)。95%点は耐久消費財105.1百万ドル、石油・ガス・石炭432.3百万ドル。↩
- R1 p.8〜9・表2 Panel A(いずれも登録された商標。表2の注)。使用意思(intent-to-use)の商標は、まだ商業的に使っていない商品のための出願で、1988年の法改正で導入された(p.12)。使用意思で出願されても公告前に使用を開始した商標は、公告時点で使用中に分類し直されている(p.4 脚注8。最終標本の出願の2.8%)。著者の説明は p.2・p.9。↩
- R1 p.2・p.10(5章)・表2 Panel B、p.21(9章。資産の時価で割った場合の1.9%、付録表F.5)。総資産・金額は2021年ドルに換算。↩
- R1 p.10(4章)。特許の価値も同じ株価反応法で推定した値。企業・年あたりの件数は特許10.4件、商標2.5件。↩
- R1 p.9〜10(4章)。IFRS第3号が企業結合で識別無形資産をのれんと別に公正価値で計上することを利用した検証。案件の件数・選定条件は付録表D.1にあり、本稿では確認していない。百分率は編集部の計算。↩
- R1 p.10〜11(5章)・表4(p.17)・図5(p.11)。係数は1標準偏差あたりの伸び(%)で、業種×年の固定効果と企業特性を統制。表4の6指標はすべて1%水準で有意。中央値企業の換算は論文の計算。↩
- R1 p.11(5章、付録表F.7・F.8)。付録表は本稿では確認しておらず、本文の記述による。↩
- R1 p.12〜14(6章)・表6・表7(p.13)。使用意思の出願に限った推定で、第1段階の F 値は経験則の10を大きく上回る(p.12)。生産高・設備・従業員も5年後にそれぞれ9.8%・8.1%・9.0%高い。商標の価値ではなく登録の有無の効果である点は p.14。↩
- R1 p.14〜15(7章)・表8・表9。NielsenIQ の小売スキャナーデータ(2006〜2020年)による。1標準偏差あたり、カテゴリー売上は1年後8.8%・3年後18.2%、5年後の新製品は20.3%、廃番は16.8%増えた。回帰による関連の分析で、表9(p.21の注)は登録された商標を出願の根拠(使用意思・使用中)で分けている。著者の解釈は p.2・p.15。↩
- R1 p.17〜18(8.2節)・表14(p.23)。広告費と商標は互いに補完的に増える(同表 Panel B・C)。↩
- R1 p.5〜6(3.1節)・表1。照合できた商標は120万件超、照合先は Compustat の上場企業。業績は2021年まで、商標は2016年までに公告されたもの。↩
- R1 p.18〜20(9章)。過熱期の定義は Haddad ほか(2022)による。過熱期と非過熱期の倍率は編集部の計算。↩
- R2(SSRN 4280505 の AEA 2023 掲載版、2022年11月17日) p.1(要旨。平均的な商標1件の値)、R1 p.1(要旨。中央値)・p.8 表2 Panel A(平均57.45・中央値19.82百万ドル)・p.2。↩
- R3(Ewens, Peters and Wang, NBER Working Paper No. 25960、2019年6月初版・2023年10月改訂版) p.1〜4。研究開発費の年あたり減価率は33%(米経済分析局の値は23%)、販売管理費の資本化割合は先行研究の30%に対し28%。学術誌(Management Science)掲載版は本稿では確認していない。↩
- R5(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」、2026年1月9日までの修正を反映した企業会計基準委員会の公表版)第29項・第100項。↩
- R5 第32項。のれんの金額に重要性が乏しい場合の例外も同項に定めがある。↩
- R6(商標法〔昭和34年法律第127号〕。e-Gov 法令検索で2026年10月24日に確認)第12条の2・第19条・第43条の2。↩
- R7(東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」2026年7月21日版) p.17(原則4-1の解釈指針)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Desai, P., E. Gavrilova, R. C. Silva and M. Soares (2026), “The value of trademarks,” Journal of Financial Economics 185, 104358. DOI: 10.1016/j.jfineco.2026.104358. 参照した版:学術誌掲載版(2026年9月7日オンライン公開、CC BY 4.0、24ページ。NOVAリスボン大学の機関リポジトリ RUN の公開ファイル)。査読:済。 doi.org (参照箇所:本文 p.1〜21、表1・表2・表4・表6〜9・表14(p.6・8・17・13・15・23)、図3・図5。オンライン付録は未確認。脚注1〜18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Desai, P., E. Gavrilova, R. Silva and M. Soares (2022), “The Value of Trademarks,” SSRN Working Paper No. 4280505. 参照した版:AEA 2023 年次大会掲載版(2022年11月17日付、64ページ)。査読:未査読(WP)。 aeaweb.org (参照箇所:p.1(要旨・謝辞)。初版の日付と版による数値の違いの確認に使用。SSRN の掲載日は Internet Archive の保存版(2022年12月2日取得)で確認。脚注1・18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Ewens, M., R. H. Peters and S. Wang (2019), “Measuring Intangible Capital with Market Prices,” NBER Working Paper No. 25960. DOI: 10.3386/w25960. 参照した版:NBER WP 版(2019年6月初版、2023年10月改訂版)。査読:本稿が読んだ版は未査読(WP。Management Science 掲載版 DOI: 10.1287/mnsc.2021.02058 は未確認)。 nber.org (参照箇所:p.1〜4(要旨・序論)。脚注19の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 Kogan, L., D. Papanikolaou, A. Seru and N. Stoffman (2017), “Technological Innovation, Resource Allocation, and Growth,” Quarterly Journal of Economics 132(2), 665–712. DOI: 10.1093/qje/qjw040. 参照した版:書誌のみ Crossref で確認(本文は未確認)。査読:済。 doi.org (参照箇所:R1 が方法の前身として挙げる研究。脚注4。閲覧日:2026年10月)
- R5 企業会計基準委員会「企業会計基準第21号 企業結合に関する会計基準」(最終改正2019年1月16日。2026年1月9日までに公表された修正を反映した版)。 asb-j.jp (参照箇所:第29項・第32項・第100項。脚注20・21の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R6 商標法
(昭 和34年法律第127号)。 e-Gov 法令検索。 laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第12条の2・第19条・第43条の2(2026年10月24日確認)。脚注22の根拠。閲覧日:2026年10月) - R7 株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」(2026年7月21日)。 jpx.co.jp (参照箇所:p.17(原則4-1・解釈指針)。脚注23の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。