この記事で分かること

  • 経歴判明10名以上の主要25ファンドを対象に、8種の経歴属性の記載率をヒートマップで比較
  • 投資銀行経験の記載率は0%〜40.9%(サンライズキャピタル、判明22名)までファンド間で幅がある
  • J-STARは事業会社経験の記載率が91.7%(判明24名)と突出して高い
  • 比率の分母(経歴判明者数)はファンドごとに異なり、単純な優劣比較はできない
データ基準日: 2026年8月30日 | 対象: 大手町プレップPEファンドDBの日本カテゴリ133社の公式サイトに現職として掲載された1,456名(実人数1,438名) | 経歴判明10名以上のファンド | 執筆: 大手町プレップ編集部

結論:ファンドごとの経歴構成には大きなばらつきがある

大手町プレップPE人物データベースのうち、経歴判明者数が10名以上の主要25ファンドを対象に、投資銀行・戦略コンサル・FAS・監査法人・銀行・商社・事業会社・MBAの8属性の記載率をヒートマップで一覧化しました。投資銀行経験の記載率は0%のファンドから、サンライズキャピタル(判明22名中40.9%)まで幅があり、単一の「業界標準」があるわけではないことが分かります。

属性ごとに突出した数値を示すファンドも見られます。事業会社経験の記載率はJ-STAR(判明24名)で91.7%と他ファンドと比べて際立って高く、戦略コンサル経験の記載率はベインキャピタル(判明79名)で46.8%でした。ファンドごとの経歴構成の個性は明確ですが、比率の分母となる経歴判明者数はファンドによって10名台から80名台まで異なるため、単純な優劣比較には注意が必要です。

以下、ヒートマップと合わせて、系譜(独立系・金融機関系・外資系等)による傾向の違いも見ていきます。

25社
対象ファンド
経歴判明10名以上
8分類
IB・戦コン・FAS・監査・銀行・商社・事業会社・MBA
行=ファンド
読み方
色が濃いほど比率が高い
判明者
分母
ファンドごとに異なる

検証する仮説と分析対象

本記事で検証する仮説は「ファンドごとに人材の経歴構成に明確な特徴はあるのか」です。分析対象は、2026年8月30日時点で大手町プレップPEファンドDBに収録されたファンドのうち、経歴判明者数が10名以上の25ファンドです。判明者数が少ないファンドは比率が数名の増減で大きく変動するため、対象から除外しています。

各セルの比率は、そのファンドの経歴判明者数(n_known)を分母とした割合であり、ファンドごとに分母が異なります。またMBAは学歴に関する属性、それ以外の7属性は職歴に関する属性であり、記載を確認できた人物の判明数が少ないファンドでは、MBAの比率を参考値としても算出していません(表示上は「—」)。三値分類(記載を確認/記載を確認できず/判定不能)の考え方は他の記事と同様です。

ヒートマップで見る25ファンドの経歴構成

主要ファンドの経歴構成ヒートマップ(経歴判明10名以上・比率は判明者ベース)
ファンド判明投資銀行戦略コンサルFAS監査法人銀行商社事業会社MBA
ジャフコ グループ47名2.1%2.1%0.0%2.1%6.4%0.0%14.9%6.2%
インテグラル84名23.8%14.3%13.1%19.0%16.7%22.6%19.0%39.2%
ベインキャピタル79名32.9%46.8%1.3%1.3%5.1%5.1%2.5%37.7%
アドバンテッジパートナーズ27名3.7%29.6%3.7%3.7%7.4%11.1%7.4%36.4%
日本産業推進機構38名15.8%7.9%10.5%13.2%10.5%7.9%10.5%15.2%
アント・キャピタル・パートナーズ41名17.1%7.3%19.5%9.8%14.6%12.2%17.1%9.8%
アスパラントグループ15名0.0%0.0%13.3%6.7%33.3%6.7%13.3%
D Capital27名7.4%18.5%3.7%7.4%3.7%14.8%18.5%8.7%
丸の内キャピタル22名9.1%59.1%9.1%40.9%59.1%59.1%45.5%9.1%
ニューホライズン キャピタル31名0.0%0.0%3.2%22.6%0.0%0.0%0.0%16.7%
アイ・シグマ・キャピタル28名17.9%3.6%14.3%17.9%17.9%25.0%28.6%
日本企業成長投資20名5.0%25.0%0.0%0.0%0.0%5.0%25.0%12.5%
WMパートナーズ24名0.0%0.0%12.5%16.7%29.2%12.5%50.0%0.0%
ポラリス・キャピタル・グループ25名28.0%28.0%12.0%4.0%44.0%12.0%20.0%36.0%
J-STAR24名20.8%8.3%4.2%4.2%25.0%4.2%91.7%12.5%
REVA20名0.0%0.0%15.0%10.0%5.0%15.0%35.0%22.2%
アント・ソリューション・パートナーズ20名15.0%0.0%25.0%10.0%20.0%15.0%35.0%7.7%
ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ20名25.0%5.0%15.0%5.0%30.0%15.0%5.0%21.1%
サンライズキャピタル22名40.9%13.6%9.1%9.1%13.6%9.1%4.5%22.7%
マラトンキャピタルパートナーズ21名33.3%9.5%9.5%19.0%19.0%23.8%19.0%28.6%
MCPキャピタル19名15.8%5.3%10.5%5.3%15.8%5.3%5.3%
マーキュリアインベストメント16名0.0%0.0%0.0%12.5%25.0%12.5%18.8%25.0%
ロングリーチグループ19名0.0%26.3%0.0%10.5%0.0%0.0%0.0%36.8%
東京電力タイムレスキャピタル17名5.9%5.9%23.5%23.5%11.8%0.0%17.6%
アトラスキャピタル13名38.5%38.5%7.7%7.7%0.0%7.7%0.0%0.0%

色が濃いほど比率が高い(分母は各ファンドの経歴判明者数)。MBAは学歴、他は職歴の記載ベース。

色が濃いセルほど、その属性の記載率が高いことを示します。全体を俯瞰すると、戦略コンサル・銀行・商社の記載率が複数の属性で同時に高いファンド(例:丸の内キャピタル、判明22名で戦略コンサル・銀行・商社がいずれも59.1%)がある一方、特定の1〜2属性だけが突出するファンド(例:J-STARの事業会社91.7%、サンライズキャピタルの投資銀行40.9%)もあり、経歴構成のパターンはファンドによって様々です。ベインキャピタルは戦略コンサル46.8%・MBA37.7%がいずれも高く、外資系ファンドらしい構成が見て取れます。

一方で、ニューホライズン キャピタル(判明31名)のように投資銀行・戦略コンサル・銀行・事業会社の記載率がいずれも0%で、監査法人22.6%・MBA16.7%の記載が中心となっているファンドもあります。記載率が低い属性は、その経歴を持つ人物がいないことではなく、公式サイトでの記載範囲がファンドによって異なることを反映している可能性がある点に注意が必要です。

系譜による傾向の違い

ヒートマップの各ファンドには独立系・金融機関系・外資系グローバル・事業会社系・その他の系譜情報も付与しています。外資系・グローバルに分類されるベインキャピタルは戦略コンサル・MBAの記載率が高い一方、独立系に分類されるファンドの間でも数値には大きな幅があります。たとえば同じ独立系でも、インテグラル(判明84名)はMBA39.2%・投資銀行23.8%と幅広い属性で記載率が高いのに対し、REVA(判明20名)は投資銀行0%・戦略コンサル0%で事業会社35.0%が中心的な属性でした。系譜だけで経歴構成が一様に決まるわけではなく、ファンドごとの個性の方が大きい場合もあることが読み取れます。

結果から言えること・言えないこと

言えること。(1)経歴判明10名以上の25ファンドを比較すると、投資銀行・戦略コンサル・事業会社などの記載率はファンドごとに大きく異なります。(2)一部のファンドは特定の属性(事業会社、戦略コンサルなど)で突出した記載率を示しています。(3)同じ系譜に分類されるファンド同士でも、経歴構成には無視できない違いがあります。

言えないこと。(1)記載率が低い属性は、その経歴を持つ人物がいないことの確認ではなく、公式サイトでの開示範囲の違いを反映している可能性があります。(2)比率の分母(判明者数)はファンドによって異なるため、記載率の高低だけでファンドの優劣を判断することはできません。(3)経歴構成の違いが投資成績やファンドの実力を示すものではありません。

気になるファンドを見つけたら、次は選考対策を

経歴構成が近いファンドを見つけることは、キャリア戦略の出発点の一つになります。どのファンドを目指すにせよ、PEの投資実務ではLBOモデルを使ったリターン分析が中核になるため、選考ではモデリングテストが課されることもあります。まずは自分の適性を確認してみることをおすすめします。

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データの定義と限界

本記事のヒートマップの対象ファンド・母集団・三値分類の詳細は以下のとおりです。シリーズ全記事で共通の基準を使用しています。

集計方法・データ定義(大手町プレップPE人物データベース独自集計)

対象データ
大手町プレップPEファンドDBの地域カテゴリに「日本」を含むPEファンド133社(外資系・グローバルファンドの日本拠点を含む)について、各社公式サイトのチーム・メンバーページに現職として掲載された人物1,456名(2026年8月30日時点)。関連会社間の重複を除いた実人数は1,438名。
集計単位
人物属性(学歴・MBA・職歴など)の集計は実人数(ユニーク人物)単位、ファンド別の集計は人物・所属レコード単位で行っています。
三値分類
各属性は「記載を確認」「公式プロフィールに記載を確認できず」「経歴情報が不足し判定不能」の3つに分けています。比率は原則として記載有無を判定できた人数(判明者)を分母とし、本文・図表に分母を明記しています。「記載を確認できない」ことは「経歴・資格がない」ことを意味しません。
ランキングの基準
比率のファンド別ランキングは属性判明者10名以上のファンドを対象とし、5〜9名は参考値、4名以下は対象外としています。
データソース
各PEファンドの公式サイト(チームページ・人物プロフィール・会社概要等)の公開情報。役職名・経歴は公式表記を機械的な基準で正規化・分類しています。

本分析は公式サイトの公開情報のみを機械的に集計したものであり、各ファンドの実際の人員構成・採用基準を網羅・代表するものではありません。経歴の開示方針はファンドにより大きく異なるため、比率の差がそのまま実態の差を意味するとは限りません。出身大学・前職等は人物の能力・評価を示すものではなく、相関関係は因果関係を意味しません。

よくある質問(FAQ)

Q. どのファンドが対象ですか。
A. 大手町プレップPE人物データベースで経歴が判明した人物が10名以上いる25ファンドが対象です。判明者数が少ないファンドは比率が不安定になりやすいため対象外としています。

Q. MBAの数値が「—」になっているファンドがあるのはなぜですか。
A. MBAの記載を確認できた人物の判明数が少なく、参考値として提示するには不十分と判断したファンドは「—」表示としています。MBA経験者がいないという意味ではありません。

Q. このヒートマップはファンドの優劣を示していますか。
A. いいえ。経歴構成の違いを一覧できるようにしたものであり、どの構成が優れているかを評価するものではありません。分母となる判明者数もファンドごとに異なります。

Q. 特定の業界出身者に絞ったランキングはありますか。
A. あります。外資系投資銀行出身者に絞った外資系投資銀行出身者が多いPEファンドランキング、戦略コンサル出身者に絞った戦略コンサル出身者が多いPEファンドランキング、総合商社出身者に絞った総合商社出身者が多いPEファンドランキングを別途公開しています。

まとめ

主要25ファンドの経歴構成をヒートマップで一覧すると、ファンドごとに際立つ属性が異なり、単一の「典型的なPEファンド人材」は存在しないことが分かります。役職構成の観点からは若手比率が高いPEファンドはどこか、開示の充実度については人物プロフィール開示が充実しているPEファンドランキングもあわせてご覧ください。業界全体の経歴の傾向はPEファンド人材白書2026にまとめています。

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出典・データについて

  • 大手町プレップPE人物データベース(日本カテゴリ133社の公式サイト掲載情報を独自集計・2026年8月30日時点)
  • 大手町プレップPEファンドDB https://otemachiprep.com/pe-funds/

※本記事は公開情報に基づく教育目的のデータ分析であり、特定のファンド・個人の評価や、転職成否の保証・投資助言ではありません。出身大学・経歴は人物の能力を示すものではありません。

データ基準日: 2026年8月30日(人物データベースの更新に合わせて本記事の数値・表・グラフは再集計されます)