概要
アウレリウス・グループは2005年にドイツ・ミュンヘンで設立された、企業の事業部門・子会社の切り出し(カーブアウト)や事業再生型バイアウトを専門とするオルタナティブ投資グループである。かつては自社勘定(permanent capital)型の上場持株会社「AURELIUS Equity Opportunities SE & Co. KGaA」として株式市場で評価される特殊なPEプレイヤーだったが、2023年に上場を廃止し、現在は複数のクローズドエンド型ファンド(直近はAURELIUS Opportunities Fund V、8.3億ユーロ)を通じて欧州・北米の中堅企業のカーブアウト案件に投資する体制へ移行している。事業セグメントはプライベートエクイティ(ミッドマーケット・バイアウト、ロワーミッドマーケット、グロース)、プライベートデット、不動産の3本柱で構成され、買収後は自社の運営支援チーム「AURELIUS WaterRise」が経営改善に深く関与する“オペレーショナル・バリューアップ型”を特徴とする(公式サイト記載の事実)。2026年6月には東京拠点を新設し日本企業の海外カーブアウト案件の発掘に乗り出しており、大手町プレップの分析としては、日本の事業会社による非中核国際資産の売却ニーズと、アウレリウスの得意とする複雑なカーブアウト案件が親和性を持つと判断されたための布石とみられる。他方で、2025年7月に買収した英Exertis(DCC plc子会社)が買収後わずか1年足らずで経営破綻(2026年5月に管財人選任)に至っており、大手町プレップの分析としては、同社の高回転・高リスクな事業再生型モデルには一定の執行リスクが伴うことを示す事例として留意が必要である。
投資戦略・重点領域
投資戦略
バイアウト(PE) カーブアウト グロースエクイティ(アドオン型プラットフォーム構築) クレジット(プライベートデット) 不動産
重点業種
テクノロジー&ビジネスサービス インダストリアル&ケミカルズ ライフスタイル&消費財 エネルギー・スマートインフラ ヘルスケア流通
基本情報
- 正式英語名
- AURELIUS Group
- 本拠地
- ミュンヘン、ドイツ(登記上の本店:Unterer Anger 3, 80331 Munich。グループの一部運用会社はグリュンヴァルト(ミュンヘン近郊)に登記)。かつての上場持株会社AURELIUS Equity Opportunities SE & Co. KGaAは2023年にミュンヘン証券取引所から上場廃止となり、現在は非公開の運用会社体制。
- 設立
- 2005年(Dirk Markus氏、Gert Purkert氏が共同設立。ミュンヘンにて創業。2006年フランクフルト証券取引所オープンマーケットに上場、2015年にSE & Co. KGaA形態へ移行、2023年に上場廃止し非公開化)
- 活動地域
- EMEA / US / APAC
- 出自/系列
- 2005年にMcKinsey出身のDirk Markus氏とGert Purkert氏がミュンヘンで設立。当初は自己資本50万ユーロの投資ビークルとして中堅企業の事業再生型バイアウト(ターンアラウンド)に特化し、2006年にフランクフルト証券取引所オープンマーケットへ上場、2015年にSE & Co. KGaA(AURELIUS Equity Opportunities SE & Co. KGaA)へ改組した。その後2016年にプライベートエクイティ(ファンド運用型のカーブアウト投資)、2017年にプライベートデット(AURELIUS Finance Company)、2018年に不動産事業へと多角化し、2023年には上場持株会社形態を解消(ミュンヘン証券取引所より上場廃止)して非公開の運用会社グループ「AURELIUS Group」として再編された。現在はPE(ミッドマーケット・バイアウト/ロワーミッドマーケット/グロース)、プライベートデット、不動産の3本柱で欧州・北米に10拠点を展開する。日本との関係では、2026年6月に東京拠点(AURELIUS Japan)を新設し、Japan Post Investment Corporation出身のEiji Shibata氏を代表に迎え、日本企業による海外事業の売却(カーブアウト)案件の発掘を目的に掲げている(公式プレスリリース)。すでに帝人グループの北米オートモーティブ事業(現CSP)やレゾナック・ホールディングス傘下のFIAMM Energy Technology(イタリア)の買収など、日系企業がらみの案件を実行済みであり、2026年にはLSG Group(旧ルフトハンザ子会社)のアジア太平洋部門を神戸物産・グルメ杵屋の日本企業連合へ売却することも公表しており、投資・売却の両面で日本と接点を持つグループである。
- 状態
- 運用中
- 投資方針
- 案件の多くはカーブアウト(事業部門・子会社の完全買収)またはミッドマーケット・バイアウトであり、公式発表からは基本的にマジョリティ(多くの場合100%)取得が中心と読み取れる。個別案件でのステーク比率(%)は非開示のものが大半で、グループとして「マジョリティ中心」と一般化できるが、正確な持分比率は各案件のプレスリリースに明記されていないケースが多い。
- 主な案件タイプ
- カーブアウト(事業部門・子会社の切り出し買収)、ミッドマーケット・バイアウト、グロース/アドオン買収(プラットフォーム構築)、プライベートデット(アセットベース融資)、不動産(直接・間接投資)、一部案件でのセカンダリー的な事業売却(買収先による資産の再売却含む)
- 投資サイズ(Equity Check)
- 公式サイトでは1社あたりの標準的なエクイティチケットは明記されていないが、AURELIUS Opportunities Fund Vについて「1社あたり最大2億ユーロの投資余力」と公式発表(2025年 End-of-Year Review)。旧AURELIUS European Opportunities IVでは「エクイティチケット最大1億ユーロ」と公式発表。
- 対象企業EV
- 公式には投資先候補の年間売上高基準を「概ね1億ユーロ以上」と発表(AURELIUS European Opportunities IVに関する公式発表)。企業価値(EV)ベースの明確な目標レンジは非開示。
- Fund Size
- AURELIUS Opportunities Fund V:8.3億ユーロ(2025年6月19日最終クローズ、公式発表・大幅にオーバーサブスクライブ)。前身のAURELIUS European Opportunities IV:コミットメント3.5億ユーロ(コインベストプログラム込みで実質5億ユーロ規模、2021年4月クローズ)。
- AUM
- グループ全体を単一の数値として開示する公式資料は確認できず「非開示」。直近の主要ファンドはAURELIUS Opportunities Fund V(2025年6月クローズ、8.3億ユーロ)およびAURELIUS European Opportunities IV(2021年4月クローズ、5億ユーロ相当・コミットメント3.5億ユーロ+コインベストプログラム)。2025年通期で年間売上高合計50億ユーロ超・従業員数約1.7万人規模の事業を新規取得したと公式発表(AURELIUS「2025年振り返り」記事)。
- 主要ファンド
- AURELIUS Opportunities Fund V(8.3億ユーロ(最終クローズ)・2025)
- AURELIUS European Opportunities IV(コミットメント3.5億ユーロ(コインベスト込み実質5億ユーロ)・2021)
- AURELIUS Growth Investments
- AURELIUS Finance Company(プライベートデット)(2017年以降累計4億ポンド超を投融資したと公式発表・2017年開始)
掲載区分・注記:投資先一覧は公式サイトの個別投資先ページ(/investment/配下)で確認できた案件、および公式プレスリリース・投資先企業自身のプレスリリースで確認できた大型カーブアウト案件を中心に掲載。網羅的な全ポートフォリオリスト(完全EXIT済み案件を含む)は公式サイト上で一覧化されていないため、確認できた範囲にとどまる。
投資先(ポートフォリオ)
| 投資先 | 国 | 業種 | 投資時期 | Exit時期 | 投資期間 | 状態 | 案件タイプ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| アリボス・グループ(aribos Group)保険会社・フリート事業者向けの自動車板金・塗装修理サービスグループ | ドイツ | テクノロジー&ビジネスサービス | 2024 | — | 2年3ヶ月(継続中) | 投資中 | プライベートエクイティ(グロース) |
| ヨーロピアン・イメージング・グループ写真・映像機器のオムニチャネル小売(実店舗+EC) | 英国(英・独・ベルギー・オランダ・ポーランドで展開) | ライフスタイル&消費財 | 2016 | — | 10年3ヶ月(継続中) | 投資中 | プライベートエクイティ(ロワーミッドマーケット) |
| ハロー・ヘルスケア・グループAAH Pharmaceuticals・LloydsClinicalなど英国の医薬品・ヘルスケア製品卸売持株会社 | 英国 | テクノロジー&ビジネスサービス(ヘルスケア流通) | 2022 | — | 4年3ヶ月(継続中) | 投資中 | プライベートエクイティ(ミッドマーケット・バイアウト) |
| DIDグループフォークリフト・トラック搭載クレーン・高所作業車のレンタル事業 | ドイツ・オーストリア・スイス(DACH地域) | テクノロジー&ビジネスサービス(産業サービス) | 2019 | — | 7年3ヶ月(継続中) | 投資中 | プライベートエクイティ(グロース) |
| モビリティ・ケア・グループ移動補助器具・住宅改修・車両改造の提供(自治体・介護機関・個人向け) | オランダ(ベネルクス) | テクノロジー&ビジネスサービス | 2025 | — | 1年3ヶ月(継続中) | 投資中 | プライベートエクイティ(ミッドマーケット・バイアウト) |
| ティーエムグループ(tmgroup)不動産取引向けの物件調査(プロパティサーチ)集約サービスを法律事務所等に提供 | 英国 | テクノロジー&ビジネスサービス | 2023 | — | 3年3ヶ月(継続中) | 投資中 | プライベートエクイティ(ミッドマーケット・バイアウト) |
| WZT(税理士・監査法人グループ)ミュンヘンを拠点とする税務アドバイザリー・監査サービス提供会社 | ドイツ | テクノロジー&ビジネスサービス(プロフェッショナルサービス) | 2025 | — | 1年3ヶ月(継続中) | 投資中 | プライベートエクイティ(グロース) |
| CSP(旧テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズ北米事業)自動車・大型トラック・船舶・レジャー用車両向け炭素繊維・ガラス繊維複合部品の設計・製造(従業員約4,500名、2024年売上高10億ドル超) | 米国 | インダストリアル&ケミカルズ(自動車部品・複合材料) | 非開示 | — | 非開示 | 投資中 | カーブアウト(帝人からの事業部門切り出し) |
| FIAMM・エナジー・テクノロジー蓄電・バッテリー技術製品の製造(イタリア・ヴィチェンツァ本拠、従業員1,000名超、2024年売上高3.77億ユーロ) | イタリア | インダストリアル&ケミカルズ(バッテリー・蓄電) | 非開示 | — | 非開示 | 投資中 | カーブアウト(レゾナック・ホールディングスからの事業部門切り出し) |
| エクサティス UK&アイルランド事業(旧DCC子会社)ITディストリビューション事業(Exertis UK&I、Hypertec、Exertis Supplies、Exertis Ireland等の複数ブランド、買収時売上高約20億ポンド規模) | 英国・アイルランド | テクノロジー&ビジネスサービス(IT流通) | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 不明 | カーブアウト(DCC plcからの事業部門切り出し) |
| ランディス・ギア EMEA事業電力・ガス・熱・水道向けスマートメーター及び関連ソフトウェア・サービス事業(生産拠点5カ所、従業員約2,700名、2024年度売上高約6億ドル) | 欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域全体 | インダストリアル&ケミカルズ(エネルギーマネジメント・スマートメーター) | 非開示 | — | 非開示 | 投資中 | カーブアウト(Landis+Gyr Group AGからの地域事業切り出し) |
| LSGグループ航空会社向け機内食・オンボード物販サービスの世界最大手の一角(買収時売上高約20億ドル、従業員約19,000名) | ドイツ(本社)、グローバル49カ国で事業展開 | 航空機内食・機内販売サービス | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 一部Exit | カーブアウト(ルフトハンザからの事業部門切り出し)/アジア太平洋部門は再売却 |
| ヴィンケルマン・オートモーティブ・ポーランド | — | トーショナル・ダンパー(ねじり振動ダンパー)の著名メーカー。Industrials & Chemicalsセグメント。 | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| エクサーティス(アイルランド) | — | — | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| クロムウェル | — | — | 2025/10 | — | 11ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| FIAMMエナジーテクノロジーズ | — | — | 2025/08 | — | 1年1ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| デミス(DEMIS) | — | — | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ボディケア(Bodycare) | — | — | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ザ・タイヤ・グループ | — | — | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ラーニア(Lernia) | — | — | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ナショナル・ティンバー・グループ | — | — | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| テック・フォリエン・アルゴイ | — | — | 2025/01 | — | 1年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| デリバーン | — | — | 2024/01 | — | 2年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| nrg+(エヌアールジープラス) | — | — | 2024/01 | — | 2年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| トリニー・ロンドン | — | — | 2024/01 | — | 2年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| アムスキャン・インターナショナル | — | — | 2024/01 | — | 2年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ガストロヒーロー(Gastro Hero) | — | — | 2023/01 | — | 3年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| リトル・ビッグ・ホテルズ | — | — | 2023/01 | — | 3年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| MUVIQ | — | — | 2024/05 | — | 2年4ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ファインダーズ・インターナショナル | — | — | 2024/01 | — | 2年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| トゥルーテックス(Trutex) | — | — | 2024/01 | — | 2年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ヴィントホフ・グループ | — | — | 2023/01 | — | 3年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ヴェック(WECK) | — | — | 2023/01 | — | 3年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| ザ・オリジナル・ファクトリー・ショップ | — | — | 2023/01 | — | 3年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| デンタラ・グループ | — | ドイツ10拠点で展開する高品質な歯科技工所ネットワーク。3Dプリント・自動化技術を活用した専用ミリングセンターを保有。 | 2023/01 | — | 3年8ヶ月(継続中) | 投資中 | 非開示 |
| DCCインフォテック | — | — | 2025/11 | 非開示 | 非開示 | 不明 | 非開示 |
| ランディス・ギア EMEA事業(メータリング) | — | — | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 不明 | 非開示 |
| センサス・インターナショナル(旧・ザイレム社水道・熱量計事業) | — | — | 非開示 | 非開示 | 非開示 | 不明 | 非開示 |
公式で確認した社名 38 社を収録(うち投資状況の個別確認済み 28 社)/一部のみ収録(残りは確認中)/最終確認日: 2026-08-01 情報源 ↗
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