概要
Capvisはスイス・バールに本拠を置く独立系プライベート・エクイティ運用会社で、起源はスイス銀行公社(後のUBS)のエクイティ投資部門に遡り、2003年にUBSからスピンオフして独立した。DACH地域(ドイツ・オーストリア・スイス)の中堅企業を中心に、ヘルスケア・産業技術・高度サービス&ソフトウェアの3分野でオーナー企業の事業承継型バイアウトを主軸としてきた。1999年設立のFund Iから2018年クロージングのFund V(調達額EUR 1.2bn超)まで5本のブラインドプール型ファンドを組成したが、2023年に募集を開始した目標EUR 1bnのFund VIは市場環境の悪化とパートナー数名の離脱を背景に2024年2月に中止され、2025年以降はファミリーオフィス等と個別に組む「ディール・バイ・ディール」方式へ戦略転換している。大手町プレップによる公開情報ベースの分析:この転換は、欧州ミッドキャップPE市場における近年の資金調達難と組織内の人材流出が重なった結果とみられ、伝統的なブラインドプール・ファンドモデルからの離脱という点で欧州中堅PEファーム再編の一事例といえる。日本・APAC地域での投資実績を示す一次情報は確認できず、投資対象は一貫して欧州(特にDACH)に集中している。
投資戦略・重点領域
投資戦略
バイアウト(PE) 事業承継型バイアウト 継続ビークル(GP主導セカンダリー) ディール・バイ・ディール(2025年以降の新方針)
重点業種
ヘルスケア 産業技術(Industrial Technology) 高度サービス&ソフトウェア(Advanced Services & Software)
基本情報
- 正式英語名
- Capvis AG
- 本拠地
- バール(Baar)、スイス・ツーク州(所在地:Grabenstrasse 17, CH-6340 Baar)。非上場の独立系プライベート・エクイティ運用会社であり、Capvis自体の株式上場情報はない。
- 設立
- 1990年(起源)。公式サイトは「1990年以来、地域・グローバルなチャンピオン企業の育成に取り組んできた」と述べるが、これはスイス銀行公社(Swiss Bank Corporation)のエクイティ・バンキング部門としての活動起点を指すとみられる。1995〜1998年は「SBC Equity Partners」、1998年のUBS/SBC合併後は「UBS Capital」傘下の「Capvis Equity Partners」として活動し、2003年にUBSからスピンオフして独立系PEファームとなった。2019年に社名を現行の「Capvis AG」に変更している。
- 活動地域
- EMEA
- 出自/系列
- 起源はスイス銀行公社(Swiss Bank Corporation)のエクイティ・バンキング部門(1995年以前)。1995〜1998年は「SBC Equity Partners」としてスイス銀行公社の欧州投資部門を担当。1998年のUBS・SBC合併後は「UBS Capital」傘下で「Capvis Equity Partners」としてスイス・オーストリア市場を担当した。2003年にUBSからスピンオフし、経営陣主導の独立系プライベート・エクイティファームとなった。2019年に社名を「Capvis AG」に変更し、企業アイデンティティを刷新。2024年2月には、市場環境の悪化と複数パートナーの離脱(Giovanni Revoltella、Eric Trueeb、Ueli Eckhardt、Philippe Bucherほか)を背景に、目標EUR 1bnのCapvis Equity VIの募集を中止し、フランクフルト支社を閉鎖、2025年以降はファミリーオフィス等と組む「ディール・バイ・ディール」方式へ戦略転換したことを自社ニュースページで公表している。日本およびAPAC地域における投資活動を示す一次情報は確認できず、投資対象は一貫して欧州(特にDACH地域)に集中している。
- 状態
- 運用中(ただし2024年2月に伝統的なブラインドプール型ファンド(Fund VI)の募集を中止し、2025年以降はディール・バイ・ディール方式へ戦略転換中。既存ポートフォリオの運営・EXIT活動は継続)
- 投資方針
- マジョリティ主体。公式サイト・各種プレスリリースでは一貫して「majority stake」「过半数取得」の取得が明記されており、オーナー企業・創業家からの事業承継案件で過半数株式を取得する形態が中心。少数株主として参画した具体的な事例は確認できなかった。
- 主な案件タイプ
- 事業承継型バイアウト(マジョリティ取得)、バイアウト(PE)、継続ビークル(GP主導セカンダリー)、ディール・バイ・ディール(2025年以降の新方針)
- 投資サイズ(Equity Check)
- 非開示。公式サイト(投資方針ページ)には対象企業の企業価値(EV)レンジのみ記載があり、1件あたりのエクイティ投資額(チケックサイズ)自体は開示されていない。
- 対象企業EV
- EUR 100〜500百万(公式サイトInvestment Focusページ記載の対象企業価値レンジ)
- Fund Size
- 直近の完了ファンドはCapvis Equity V LP(2018年9月最終クロージング、EUR 1.2bn超、目標EUR 1.0bnを大きく上回る調達)。後継のCapvis Equity VI(2023年に目標EUR 1.0bnで募集開始)は市場環境の悪化とパートナー数名の離脱を背景に2024年2月に募集を中止し、以降は伝統的なブラインドプール型ファンドを組成していない(2025年以降はディール・バイ・ディール方式に転換)。
- AUM
- 非開示。公式サイト(capvis.com)には具体的なAUM数値の記載がなく、規制当局提出書類等でも確認できなかった。直近の完了ファンド(Capvis Equity V、2018年、EUR 1.2bn超)と過去の累計ファンド総額(Fund I〜Vの単純合計で約EUR 3.2bn)から一定の規模感は推測できるが、これは分析であり公式のAUM開示ではない。
- 主要ファンド
- Capvis Equity I LP(EUR 310百万・1999年)
- Capvis Equity II LP(EUR 340百万・2004年)
- Capvis Equity III LP / Capvis III Limmat LP(EUR 608百万・2008年)
- Capvis Equity IV LP(EUR 720百万(目標EUR 600百万から増額)・2014年(2014年1月ハードキャップでクロージング))
- Capvis Equity V LP(EUR 1.2bn超(目標EUR 1.0bnを上回る)・2018年(2018年9月最終クロージング))
- Capvis Equity VI(募集中止)(目標EUR 1.0bn(未達・組成中止)・2023年募集開始、2024年2月中止)
掲載区分・注記:portfolio配列は、公式サイトInvestmentsページ(2026年7月時点)に掲載された現保有13社に加え、プレスリリース等で個別に確認できた近年(2020〜2025年)の主要EXIT案件(Hennecke、ARAG、BSI Software)および一部売却案件(Visable)を含めている。過去の全EXIT案件(IPO10件・M&A売却30社超、公式サイト記載)を網羅したものではない。
投資先(ポートフォリオ)
| 投資先 | 国 | 業種 | 投資時期 | Exit時期 | 投資期間 | 状態 | 案件タイプ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シュルター・グループ ↗ 低電圧電子部品・回路保護デバイス、コネクタ、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)の開発製造 |
スイス | 産業技術(電子部品) | 2023-01 | — | 3年6ヶ月(継続中) | 投資中 | 事業承継型バイアウト(オーナー家族からの過半数取得) |
| アマン・ギルバッハ ↗ デジタル歯科技術、CAD/CAM歯科補綴システムの開発製造 |
オーストリア | ヘルスケア(デジタル歯科) | 2018 | — | 8年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| アメガ・グループ ↗ 産業用コンベアベルト・搬送システムの製造・供給 |
オランダ | 産業技術 | 2018 | — | 8年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| テルティアヌム・グループ ↗ 高齢者向け住宅・介護施設の運営、在宅介護サービス |
スイス | ヘルスケア(高齢者ケア) | 2020 | — | 6年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| ゾヴィス ↗ IoT3Dセンサーによる人流分析ソフトウェア・ハードウェアの開発 |
スイス | 産業技術(IoT) | 2019 | — | 7年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| バリオシステムズ ↗ 電子機器の受託製造(EMS)サービス |
スイス | 高度サービス&ソフトウェア(電子製造受託) | 2018 | — | 8年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| フェルス・グループ ↗ 自動車部品向け冷間成形(コールドフォーミング)ソリューションの開発製造 |
ドイツ | 産業技術 | 2017 | — | 9年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| ティーマックス 高温断熱システムの製造 |
ドイツ | 産業技術 | 2017 | — | 9年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| ゴタ・コスメティクス 化粧品の研究開発・受託製造(ODM/OEM) |
イタリア | 高度サービス&ソフトウェア(化粧品受託製造) | 2016 | — | 10年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| カフェ・パートナー ↗ オフィス向けコーヒー・給水機の販売・レンタル・保守サービス |
ドイツ | 高度サービス&ソフトウェア | 2010 | — | 16年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト(2021年に一部持分をCapvis Fund III継続ビークルへ移管) |
| ヘスナチュア ↗ オーガニック・サステナブル素材を用いた衣料品の企画・販売 |
ドイツ | その他(サステナブルファッション) | 2012 | — | 14年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト(2021年に一部持分をCapvis Fund III継続ビークルへ移管) |
| アリーナ ↗ 競泳水着・スイムウェアの企画製造販売 |
イタリア | その他(スポーツ用品) | 2014(一部報道では2013年取得との記載あり) | — | 12年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト(2021年に一部持分をCapvis Fund III継続ビークルへ移管) |
| アデックス・パートナーズ ITストラテジー・デジタルコンサルティング |
ドイツ | 高度サービス&ソフトウェア | 2022 | — | 4年1ヶ月(継続中) | 投資中 | バイアウト |
| ヘネッケ・グループ ↗ ポリウレタン(PU)加工機械・プラントの開発製造 |
ドイツ | 産業技術 | 2016-04 | 2025-12 | 9年8ヶ月 | Exit済 | 戦略的売却(ストラテジックセール) |
| アラグ 農業用精密散布システム・スマート流体コンポーネントの開発製造 |
イタリア | 産業技術(精密農業) | 2020-11 | 2023-08 | 2年9ヶ月 | Exit済 | 戦略的売却(ストラテジックセール) |
| ビーエスアイ・ソフトウェア ↗ CRM/CX(顧客管理・体験)ソフトウェアの開発 |
スイス | 高度サービス&ソフトウェア | 非開示(取得時期は今回の一次資料では未確認) | 2024-07 | 非開示 | Exit済 | セカンダリー・バイアウト |
| ヴィザブル(旧Wer liefert was) ↗ 欧州向けB2Bマーケットプレイス(Wer liefert was、Europages等)の運営 |
ドイツ | 高度サービス&ソフトウェア | 2017-02 | 非開示 | 9年5ヶ月(継続中) | 一部Exit | 戦略的少数株主受け入れ |
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