この記事で分かること
- 拠点×燃料の使用量に単位換算と排出係数を掛けて tCO2e(二酸化炭素換算トン)を出す算定表の列構成と、係数マスタを分けて拠点別・燃料別に集計する手順
- 学習用の架空事例の X 社で、Scope1 を 2,285.2、Scope2 を 2 つの基準で 3,307.5 と 2,227.5(いずれも tCO2e)と出し、差 1,080.0 の出どころを読む方法
- 単位・係数の版・拠点漏れの検算、前年差を活動量と係数に分ける 2 段分解、開示や照会回答で添える注記項目
想定読者:有価証券報告書のサステナビリティ開示や取引先からの排出量照会に対応する、経理・経営企画・サステナビリティ担当者
前提知識:Excel の SUMIFS と、Scope1・Scope2 の区分を知っていれば足ります。
結論:算定表は「1行1明細」で組み、係数は別のマスタから引く
「Scope1・2 を拠点別に」と求められても、請求書や検針票の束から表を作る段階で止まりがちです。結論から言うと、算定表は拠点とエネルギー種別ごとの 1 行 1 明細に、使用量・単位換算・排出係数・排出量を横に並べ、係数は別のマスタ表から引きます。こうしておくと、検算も係数の改定も 1 か所で済みます。
学習用の架空事例の金属加工メーカー X 社(国内 2 工場、本社、営業所 1。20X2 年度)で組むと、Scope1 は 2,285.2 tCO2e になりました。Scope2 は 2 つの基準で 3,307.5 と 2,227.5 です。差の 1,080.0 は、再エネ電力メニューを契約した第 2 工場の分だけです。係数はすべて設例用の仮値で、実在の最新の係数ではありません。実際の値は環境省・経済産業省の資料で確認します。
温室効果ガスの一覧表(インベントリ)は、算定範囲を決め、活動量(燃料や電力の使用量)を集め、排出係数で換算し、集計して報告するという流れで作るのが一般的な考え方です1。Scope1・2・3 の定義は用語集のスコープ1・2・3排出量(燃料の燃焼による直接排出、購入電力などの間接排出、それ以外のサプライチェーン排出の区分)に任せ、本記事は Scope1・2 の表の組み方に絞ります。Scope3 は別の算定課題として扱いません。制度の確認時点は 2026 年 10 月です。
算定表の列構成と、3つの表の役割
算定の基本式は「排出量=活動量×排出係数」です。環境省の温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver6.1、2026 年 3 月。以下マニュアル)も、温室効果ガス排出量(ガスの重量)を活動量×排出係数(活動量当たりの排出量)で求めると定めています2。Excel では役割の違う 3 つの表に分けます(図表1)。
図表1の①〜③が算定、④⑤が集計と開示です。活動量シートには、拠点コード、エネルギー種別、使用量、帳票どおりの単位、実測か推計かの区別、出所の帳票名を 1 行 1 明細で入れます。検針票や請求書で確かめた実測値と、見込みで置いた推計値は列で区別します(編集部の見解)。係数マスタには種別ごとの係数・単位・年度または版・出所を入れ、③の明細から参照します。係数の改定はマスタの差し替えだけで全明細に反映されます。
どの会社・拠点を含めるかという算定範囲は、表を作る前に決めます。連結の範囲や持分比率の扱いは自社の選択で、開示との整合を確認します。土台は連結と持分法の記事で整理しています。
Scope1:単位を揃えて、拠点×燃料の表を完成させる
係数が「熱量当たり」か「数量当たり」かを見分ける
最初のつまずきは係数の単位です。マニュアルでは、A 重油・LPG・ガソリンなどの燃料は、使用量に単位発熱量(燃料 1 単位当たりの熱量。GJ/kL など)、炭素排出係数(熱量当たりの炭素排出量。tC/GJ)、44/12(炭素の重さを二酸化炭素の重さに直す係数)を掛けます3。一方、都市ガスは使用量(千m3)に「単位使用量当たりの排出量」(tCO2/千m3)を掛ける形で、係数にはガス事業者の事業者別排出係数を使うと定められています4。算定表では、熱量当たりの係数を一度「数量当たりの tCO2」に直すと、どの燃料も同じ形で掛けられます。X 社の設例用の仮値は次のとおりです。
数量当たり排出係数(設例用の仮値)
A 重油:39.0 GJ/kL × 0.0190 tC/GJ = 0.741 tC/kL、× 44/12 = 2.717 tCO2/kL
LPG:50.0 GJ/t × 0.0168 tC/GJ = 0.840 tC/t、× 44/12 = 3.080 tCO2/t
ガソリン:34.0 GJ/kL × 0.0180 tC/GJ = 0.612 tC/kL、× 44/12 = 2.244 tCO2/kL
都市ガス:数量当たりで与えられる想定で 2.000 tCO2/千m3
帳票の単位を係数の単位に合わせる
都市ガスは m3 で届くので 1,000 で割って千m3 に、LPG は kg で届くので 1,000 で割って t にします。A 重油とガソリンは kL のままです。なお都市ガスなどの気体は、25℃・1 bar の標準環境状態の体積に換算する必要があります。ただし計測時の圧力や温度が分からない都市ガスは、計測時の体積を標準環境状態の体積とみなすとされています5。
| 拠点 | 燃料 | 使用量(帳票の単位) | 換算後の使用量 | 排出係数 | 排出量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 本社 | 都市ガス | 18,000 m3 | 18 千m3 | 2.000 tCO2/千m3 | 36.0 |
| 第1工場 | 都市ガス | 420,000 m3 | 420 千m3 | 2.000 tCO2/千m3 | 840.0 |
| 第2工場 | 都市ガス | 260,000 m3 | 260 千m3 | 2.000 tCO2/千m3 | 520.0 |
| 第1工場 | A重油 | 150 kL | 150 kL | 2.717 tCO2/kL | 407.6 |
| 第2工場 | A重油 | 90 kL | 90 kL | 2.717 tCO2/kL | 244.5 |
| 第1工場 | LPG | 12,000 kg | 12 t | 3.080 tCO2/t | 37.0 |
| 第2工場 | LPG | 30,000 kg | 30 t | 3.080 tCO2/t | 92.4 |
| 本社 | ガソリン | 8 kL | 8 kL | 2.244 tCO2/kL | 18.0 |
| 第1工場 | ガソリン | 12 kL | 12 kL | 2.244 tCO2/kL | 26.9 |
| 第2工場 | ガソリン | 10 kL | 10 kL | 2.244 tCO2/kL | 22.4 |
| 営業所 | ガソリン | 15 kL | 15 kL | 2.244 tCO2/kL | 33.7 |
| 燃料別小計:都市ガス 1,396.0/A重油 652.1/LPG 129.4/ガソリン 101.0 | 2,278.5 | ||||
| 拠点別小計:本社 54.0/第1工場 1,311.5/第2工場 879.3/営業所 33.7 | 2,278.5 | ||||
図表2のとおり、エネルギー起源の CO2 は合計 2,278.5 tCO2 です。燃料別では都市ガスの 1,396.0 が最大で、拠点別では第 1 工場の 1,311.5 が最大です。燃料別小計の和と拠点別小計の和がともに 2,278.5 になることが、集計の最初の検算です(検算3)。
明細を小数第 1 位に四捨五入して足したため、丸める前の合計 2,278.42 を丸めた 2,278.4 とは 0.1 ずれます。制度に基づく報告では、算定排出量は小数点以下を切り捨てた整数で報告するとされているので6、その場合は制度の規則に従ってください。換算を忘れたときの影響も大きく、本社の都市ガス 18,000 m3 を千m3 に直さず 2.000 を掛けると 36,000.0 になり、正しい 36.0 の 1,000 倍です。
CO2以外のガスをCO2eに直し、Scope1に足す
燃料の燃焼以外にも、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)、フロン類(HFC など)の排出があり得ます。これらは地球温暖化係数(GWP。そのガス 1 t が CO2 何 t 分の温室効果を持つかを表す比)を掛けて CO2 換算にします。マニュアルは、温室効果ガス算定排出量(tCO2)=排出量(t ガス)×地球温暖化係数と定め、表では CH4 が 28、N2O が 265 です。HFC・PFC はガスごとに係数が違うため、個別に合算してから換算します7。
設例では、社有車などから CH4 が 0.05 t、N2O が 0.02 t 出たと仮置きします。CH4 は 0.05 × 28 = 1.40、N2O は 0.02 × 265 = 5.30 で、合計 6.70 tCO2e です。Scope1 は 2,278.5 + 6.7 = 2,285.2 tCO2e となります。
GWP は参照する評価報告書の版で値が変わります。マニュアルによれば、制度の GWP は令和 6 年 4 月 1 日から更新され、令和 6 年度報告(令和 5 年度排出量)の算定から適用されました。SSBJ の気候関連開示基準は、直接測定の方法による場合も、見積りの方法で使う排出係数がまだ CO2 換算されていない場合も、報告期間の末日に利用可能な最新の IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価に基づく 100 年の GWP を使うことを求めています。ただし法域の当局または上場する取引所が異なる GWP を求める場合は、その部分でその GWP を使えるとされています8。使った版は算定表のメモ欄に残します。自社に CH4・N2O・フロン類の排出活動があるかは、事業活動を一覧にして確認します(編集部の整理)。
Scope2:2つの基準を同じ表で並べて差を読む
Scope2 は購入した電力の使用に伴う間接排出で、算定方法が 2 つあります。GHG プロトコルの Scope2 ガイダンスは、ロケーション基準を「エネルギーを使う地域の電力系統の平均的な排出の強さを反映する方法」、マーケット基準を「企業が意図して選んだ電力(または選ばなかった結果)の排出を反映する方法」と説明しています(訳は編集部)。また、契約書類(証書や供給元別の排出率など)の情報を得られる市場で事業を行う企業には、2 つの方法で報告する「2 元報告」を求めています9。
開示する数字は制度で異なります。SSBJ の気候関連開示基準は、ロケーション基準による Scope2 の開示を求め(第 53 項)、報告に必要な契約証書の情報がある場合はその情報を提供することを求めたうえで、マーケット基準の排出量を開示することでその情報提供に代えられるとしています(第 54 項)10。一方、環境省・経済産業省の基本ガイドラインは、温対法の算定・報告・公表制度に準じて測定するため 2 元報告は求めないと、SSBJ 事務局のハンドブックが整理しています11。どの数字を出すかは提出先の要求次第です(編集部の見解)。
マニュアルでは、電気の使用に伴う CO2 排出量を電気使用量(kWh)×単位使用量当たりの排出量(tCO2/kWh)で求め、係数は国が公表する電気事業者ごとの排出係数を使います。国は算定対象年度の前年度の値を毎年度公表します12。環境省は 2026 年 1 月に令和 6 年度の「基礎排出係数(非化石電源調整済)」と「調整後排出係数」を公表しています。制度の報告では、温室効果ガス算定排出量(基礎排出量)には前者を、調整後排出量には後者を使います13。係数の名前だけで 2 基準に当てはめず、定めを確認します。SSBJ の実務対応基準第 1 号(2026 年 6 月 11 日公表。2027 年 3 月 31 日以後に終わる年次報告期間から適用、早期適用可)は、SSBJ 基準の開示で SHK 制度の方法による排出量を使う場合に限り、基礎排出量(調整後排出量ではありません)のうち他人から供給された電気・熱の使用に伴う CO2 を、追加の調整なしにマーケット基準の Scope2 に含めます。ロケーション基準の Scope2 には、同じ活動量に国が公表する平均的な排出係数(全国平均係数など)を掛けた量を含めます14。
設例では、ロケーション基準側は全拠点に共通の仮の係数 0.000450 tCO2/kWh を掛けます。マーケット基準側は拠点ごとの契約で係数を変え、第 2 工場だけが再エネ電力メニューを契約して証書で排出を無効化した想定で 0.000000 とします。契約情報のない他の 3 拠点は、簡略化のためロケーション基準側と同じ 0.000450 を置きます。
| 拠点 | 電力使用量(kWh) | ロケーション基準側の係数 | 排出量 | マーケット基準側の係数 | 排出量 | 差(左−右) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本社 | 1,200,000 | 0.000450 | 540.0 | 0.000450 | 540.0 | 0.0 |
| 第1工場 | 3,600,000 | 0.000450 | 1,620.0 | 0.000450 | 1,620.0 | 0.0 |
| 第2工場(再エネメニュー) | 2,400,000 | 0.000450 | 1,080.0 | 0.000000 | 0.0 | 1,080.0 |
| 営業所 | 150,000 | 0.000450 | 67.5 | 0.000450 | 67.5 | 0.0 |
| 合計 | 7,350,000 | ― | 3,307.5 | ― | 2,227.5 | 1,080.0 |
図表3のとおり、差が出るのは第 2 工場だけです。2,400,000 kWh × 0.000450 = 1,080.0 で、ロケーション基準側の合計 3,307.5 に対して約 32.7%にあたります。Scope1 と合わせると、ロケーション基準側は 2,285.2 + 3,307.5 = 5,592.7、マーケット基準側は 2,285.2 + 2,227.5 = 4,512.7 tCO2e です。
説明文には「第 2 工場の再エネ電力メニュー契約の分だけマーケット基準は小さい」と書き、契約内容と証書の有無を添えます。再エネの調達を進めれば必ずマーケット基準の値が小さくなるとは言えず、契約の中身、証書の有無と無効化、契約情報のない拠点の係数の置き方で結果は変わります。
検算と、前年比の2段分解
算定表ができたら次の 5 点を確かめます。
- 単位:換算後の使用量の単位と、係数の分母の単位が一致しているか(千m3、t、kL、kWh)。
- 係数の出所と版:どの年度・どの事業者の係数かがマスタに書かれ、前年の係数が混ざっていないか。
- 拠点の網羅:活動量シートの拠点コードが拠点一覧と一致し、12 か月分の帳票がそろっているか。
- 合計:燃料別小計の和と拠点別小計の和が一致するか(図表2では 2,278.5)。
- 前年比:増減が説明できるか。
係数の版違いは見落としやすく、当年の電力 7,350,000 kWh に前年の係数 0.000470 を掛けると 3,454.5 となり、当年の係数 0.000450 で出した 3,307.5 と 147.0 ずれます。
前年比の説明には、増減を「活動量の変化」と「係数の変化」に分ける 2 段分解が使えます。設例の前年(20X1 年度、数値は仮定)は、電力 7,000,000 kWh に係数 0.000470 で、ロケーション基準側の Scope2 が 3,290.0 tCO2e でした。当年は 3,307.5 なので、差は+17.5、前年比は+0.5%(小数第 2 位を四捨五入)です。
2段分解の式(活動量効果は前年係数、係数効果は当年の活動量で評価)
活動量効果 =(7,350,000 − 7,000,000)× 0.000470 = +164.5
係数効果 = 7,350,000 ×(0.000450 − 0.000470)= −147.0
検算:3,290.0 + 164.5 − 147.0 = 3,307.5
図表4のとおり、前年比はほぼ横ばいの+17.5 ですが、中身は活動量の増加(電力使用量が前年比+5.0%)による+164.5 と、係数の低下による−147.0 の相殺です。係数が下がった理由(電源構成の変化、契約先の変更など)はこの計算では分かりません。仮説にとどめ、確認するまで原因とは書かないでください。分解は評価の順序で配分が変わり、両方が同時に動いた分は係数効果に入っています。開示に使うなら、この約束を注記に残します。
開示・照会回答で添える注記項目
数字だけでは比較も検証もできないため、次の項目を注記に添えます。
- 算定範囲:対象の会社・拠点、除外した拠点とその理由。
- 対象期間と、数値が実測か推計か(推計の割合や対象)。
- 算定方法と、使った係数の出所・年度・版(燃料の係数、電気事業者別の係数)。
- CO2 以外のガスの有無と、GWP の出所・版。
- Scope2 の基準(ロケーション基準かマーケット基準か)と、契約や証書の内容。
- 前年からの方法・範囲の変更と、増減要因。
制度面では、SSBJ の気候関連開示基準(2025 年 3 月 5 日公表、2026 年 3 月 13 日改正)が、Scope1・2 を連結会計グループとその他の投資先に分けて開示することを求めています(第 52 項)15。適用の対象・時期や保証は扱いません。全体像はESG・サステナビリティ開示の基礎(日本)、有報の記載欄は有報のサステナビリティ情報開示、枠組みの関係はESG開示規制の枠組みとISSB・IFRS S1/S2で確認してください。範囲・係数・推計の別が書かれていない数字は、グリーンウォッシング(環境への配慮を実態より良く見せること)と受け取られる恐れがあります。
よくある間違いと、この表の限界
本記事の係数は仕組みを追うための仮値で、実在の最新係数ではありません。実務では出所と版を確認して算定表に残します。X 社が温対法の算定・報告・公表制度や開示基準の対象になるかは、本記事では判断していません。次の段階は削減投資の評価です。内部炭素価格(社内で CO2 1 t に仮想の価格を置き、投資判断に織り込む考え方)で評価する方法や、KPI設計への使い方は別の記事に任せます。
実務チェックリスト
- 算定範囲(会社・拠点)を表の作成前に決め、除外拠点の理由を記録したか。
- 活動量シートが 1 行 1 明細で、帳票の単位、実測か推計か、出所の帳票名を持っているか。
- 係数マスタに、係数の単位・年度または版・出所があり、明細が必ずマスタを参照しているか。
- 換算後の使用量の単位と係数の分母の単位が一致しているか(m3→千m3、kg→t など)。
- Scope2 を提出先の要求に合わせた基準で出し、2 基準を並べる場合は差の原因を契約・証書で説明できるか。
- 前年差を活動量効果と係数効果に分け、約束と原因の確認状況を注記したか。
よくある質問(FAQ)
再エネ電力メニューを契約しているのが一部の拠点だけでも、マーケット基準の表は作れますか。
作れます。GHG プロトコルのガイダンスは、すべての拠点に契約データがなくても、基準への不適合にはならないとしています16。契約情報のない拠点にどの係数を置いたかを、注記に書いてください。
請求書が未着の月は、どう扱えばよいですか。
前年同月などから見込みの使用量を置き、その行を推計と区別して残します。確定したら実測に差し替え、差し替えた月と金額を記録します。
まとめ
算定表は、拠点×エネルギー種別の 1 行 1 明細で、係数をマスタに分けて組みます。燃料は熱量当たりの係数を数量当たりに直し、帳票の単位を揃えて掛けます。Scope2 は 2 つの基準を並べ、差を契約と証書で説明します。単位・係数の版・拠点漏れを検算し、前年差は活動量と係数に分け、範囲・係数の版・基準・実測と推計の別を注記に添えます。
脚注
- Corporate Finance Institute「Carbon Accounting」。GHG インベントリの作成手順(組織境界の理解、活動量の収集、排出係数による換算、集計、報告)と、他のガスを CO2e に換算する考え方が一般的な概念として書かれている。同ページは米国の係数ツールにも言及するが、その部分は使わない。日本の係数は環境省の資料による(参考文献 R6)。↩
- 環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver6.1)」(2026 年 3 月)第Ⅱ編(PDF)Ⅱ-14 ページ「(2) 活動ごとの排出量の算定」。温室効果ガス排出量(t ガス)=活動量×排出係数(活動量当たりの排出量)と記載(参考文献 R1)。↩
- 同マニュアルⅡ-33 ページ「3.1.1 燃料の使用」(2) 算定式。燃料使用量×単位発熱量×炭素排出係数×44/12 と記載(参考文献 R1)。↩
- 同マニュアルⅡ-43〜44 ページ「3.1.2 都市ガスの使用」。算定式は都市ガス使用量(千m3)×単位使用量当たりの排出量(tCO2/千m3)、係数は国が公表するガス事業者の事業者別排出係数(①)などと記載。(参考文献 R1)。↩
- 同マニュアルⅡ-44 ページ「(4) 活動量」。気体は温度 25℃・圧力 1 bar の標準環境状態における量への換算が必要であり、都市ガスは計測時の圧力・温度が求められない場合に計測時体積を標準環境状態体積とみなすと記載(参考文献 R1)。↩
- 同マニュアルⅡ-15 ページ。温室効果ガスごとの排出量の CO2 換算値(算定排出量)は小数点以下を切り捨てた整数値で報告すると記載(参考文献 R1)。↩
- 同マニュアルⅡ-14 ページ(HFC・PFC は個別のガスで係数が異なるため個別に合算してから換算)、Ⅱ-15 ページ(算定式、令和 6 年 4 月 1 日の係数更新と適用開始)、Ⅱ-16 ページ表Ⅱ-2-3(CO2 が 1、CH4 が 28、N2O が 265)(参考文献 R1)。↩
- サステナビリティ基準委員会「気候関連開示基準」(サステナビリティ開示テーマ別基準第 2 号、2025 年 3 月 5 日公表、2026 年 3 月 13 日改正)第 66 項(直接測定の方法による場合)、第 68 項(見積りの方法で、使う排出係数が CO2 換算されていない場合)。最新の IPCC の評価による 100 年の GWP を用いること、法域の当局または上場する取引所が異なる GWP を求める場合の例外(参考文献 R4)。↩
- WRI/WBCSD「GHG Protocol Scope 2 Guidance」1.5 節(p.7〜8)および 1.5.1 節(p.8)。ロケーション基準・マーケット基準の説明と、契約書類の情報を提供する市場に事業を持つ企業が 2 つの方法で報告する旨(訳は編集部)(参考文献 R3)。↩
- 同基準 第 6 項(10)(11)(定義)、第 53 項、第 54 項。第 54 項は、契約証書に関する情報を提供する代わりに、マーケット基準の排出量の開示を行えると規定(参考文献 R4)。↩
- サステナビリティ基準委員会事務局「SSBJ 基準の適用にあたり、『サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.7)』を参考にする際の留意事項」(2025 年 12 月 25 日公表)第 8 項(1)。基本ガイドラインが 2 元報告を求めないとしていること、SSBJ 基準が第 53 項・第 54 項を求めることを整理している。同ハンドブックは SSBJ の審議を経ていない旨が明記されている(参考文献 R5)。↩
- 前掲マニュアルⅡ-45〜46 ページ「3.1.3 他人から供給された電気の使用」。電気使用量(kWh)×単位使用量当たりの排出量(tCO2/kWh)から証書等に係る排出量を控除または加算すること、係数は国が公表する電気事業者ごとの排出係数であること、国が算定対象年度の前年度の値を毎年度公表することを記載(参考文献 R1)。↩
- 環境省報道発表「令和 6 年度の電気事業者ごとの基礎排出係数(非化石電源調整済)・調整後排出係数等の公表について」(2026 年 1 月 9 日)。他人から供給された電気の使用に伴う CO2 排出量は、温室効果ガス算定排出量の算定では基礎排出係数(非化石電源調整済)と代替値を、調整後温室効果ガス排出量の算定では調整後排出係数を用いるとの記載(「概要」の節。参考文献 R2)。基礎排出量が温室効果ガス算定排出量を指すことは脚注14 の実務対応基準第 4 項による。↩
- サステナビリティ基準委員会「サステナビリティ開示実務対応基準第 1 号 温対法における SHK 制度の定める方法により測定し報告する温室効果ガス排出を用いて『気候基準』の定めに従う場合の開示」(2026 年 6 月 11 日)第 2 項(範囲)、第 4 項(基礎排出量・調整後排出量・間接排出の定義)、第 7 項(2)①②、第 11 項(適用時期)、BC21 項(基礎排出量を基礎とする理由)、BC25 項(平均的な排出係数として全国平均係数・代替値等を挙げる)(参考文献 R7)。↩
- 前掲「気候関連開示基準」第 52 項。スコープ1・スコープ2 の温室効果ガス排出を、連結会計グループに関するものとその他の投資先に関するものに分解して開示する(参考文献 R4)。↩
- 前掲「GHG Protocol Scope 2 Guidance」1.5.1 節(p.8)。「Not having contractual data for every site will not cause noncompliance with the GHG Protocol Corporate Standard and Scope 2 Guidance.」と記載(参考文献 R3)。↩
参考文献(2026年10月確認)
- R1 環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver6.1) 第Ⅱ編 温室効果ガス排出量の算定方法」(2026年3月。掲載ページ「マニュアル・様式」の表示による) policies.env.go.jp (参照箇所:Ⅱ-14〜16、Ⅱ-33、Ⅱ-43〜46 ページ。脚注2〜7・12 の根拠。閲覧日:2026年10月6日)
- R2 環境省「令和6年度の電気事業者ごとの基礎排出係数(非化石電源調整済)・調整後排出係数等の公表について」(2026年1月9日) env.go.jp (参照箇所:「概要」の節。脚注13 の根拠。閲覧日:2026年10月6日)
- R3 World Resources Institute/World Business Council for Sustainable Development「GHG Protocol Scope 2 Guidance」(2015年) ghgprotocol.org (参照箇所:1.5 節、1.5.1 節(p.7〜8)。脚注9・16 の根拠。閲覧日:2026年10月6日)
- R4 サステナビリティ基準委員会「サステナビリティ開示テーマ別基準第2号 気候関連開示基準」(2025年3月5日公表、2026年3月13日改正) ssb-j.jp (参照箇所:第6項(10)(11)、第52〜54項、第66項、第68項。脚注8・10・15 の根拠。閲覧日:2026年10月6日)
- R5 サステナビリティ基準委員会事務局「SSBJ ハンドブック:SSBJ 基準の適用にあたり、『サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.7)』を参考にする際の留意事項」(2025年12月25日公表) ssb-j.jp (参照箇所:第8項(1)(p.2)。脚注11 の根拠。閲覧日:2026年10月6日)
- R6 Corporate Finance Institute「Carbon Accounting」(一般的な概念の参考) corporatefinanceinstitute.com (参照箇所:「What are Greenhouse Gases?」「Process for Preparing a GHG Inventory」の節。脚注1 の根拠。閲覧日:2026年10月6日)
- R7 サステナビリティ基準委員会「サステナビリティ開示実務対応基準第1号 温対法におけるSHK制度の定める方法により測定し報告する温室効果ガス排出を用いて「気候基準」の定めに従う場合の開示」(2026年6月11日公表) ssb-j.jp (参照箇所:第2項、第4項、第7項、第11項、BC21項、BC25項。脚注14 の根拠。閲覧日:2026年10月6日)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。