この記事で分かること
- 中国の上場製造業2,959社の工場を衛星の熱赤外で追った研究で、工場の熱の前年同期比の変化が、1〜3四半期先の売上成長率と翌四半期の株価リターンを予測したこと(当期・前期と4〜6四半期先の売上とは、統計的に有意な関係は確認されなかった)
- 効果は統計的に有意だが1社あたりでは小さく、決算発表時の株価反応との関係は情報が手に入りにくい企業で強く、空売りや機関投資家が熱の情報で売買していた明確な証拠は得られなかったこと
- 日本のアナリスト・投資家が使う場合に、工場の一覧づくり、熱と売上の対応を崩す要因、観測の数の不足をどう点検するか(決算短信の開示時期と設例つき)
想定読者:製造業を担当するセルサイド・バイサイドのアナリスト、運用者、事業会社の経営企画・調達・与信の担当者、オルタナティブデータの導入を検討する人
前提知識:売上成長率(前年同期比)と回帰分析の係数の読み方、株式の超過リターンの考え方(研究の用語は本文で説明します)
電子部品メーカーを担当するアナリストが、四半期の売上予想を詰めている。会社の月次の受注は開示されておらず、決算説明会で聞いた稼働率は前四半期の話だ。業界団体の統計は翌月にならないと出ないし、工場の見学で聞ける内容にも限りがある。四半期が終わってから決算短信が出るまでの1か月余り、手元の材料は前回の会社の見通しと、取引先や同業他社の断片的な話だけになる。
工場がどれだけ動いているかを、会社の発表を待たずに外から測れないか。この問いに、工場が出す熱を人工衛星で測るという方法で答えようとした研究が、米国の財務・投資の査読誌に2025年に掲載された1。本稿では、どこまで早く・どの程度の精度で読めたのかを確かめ、日本で使うときの限界と点検の手順に落とす。
この記事が主に参照する研究
Yuan Xue、Bohui Zhang、Xiaofeng Zhao(2025)「熱赤外放射の衛星データによる企業の操業のナウキャスティング(Nowcasting Firms’ Operating Activities from Satellite Data on Thermal Infrared Radiation)」Journal of Financial and Quantitative Analysis 61巻3号
- 公表:2024年3月にSSRNで論文を公開(初版の作成日は2024年2月26日)、2025年9月に掲載誌でオンライン公開。参照した版:掲載誌のサイトが公開した受理稿(2025年4月版)。査読:済
- データ:中国の深圳・上海の両取引所に上場する製造業2,959社、28,236工場、61,346企業・四半期(2014年第2四半期〜2022年第4四半期)。米航空宇宙局(NASA)のLandsat 8・9の熱赤外画像
- 方法:工場の熱の前年同期比の変化で、その後の売上・費用・投資・雇用・利益率と株価リターンを説明する回帰とポートフォリオの分析(予測関係の分析)。熱が操業の停止に反応するかは、新型コロナの地域ごとの流行時期の違いを使った差の差の分析で確かめた
- 位置づけ:新しいデータと手法による実証研究。販売の段階を測る既存のオルタナティブデータに対し、生産の段階を直接測る指標を提案する
工場の熱で何を測るのか
物を作る工程は電力や燃料を使い、使ったエネルギーの一部は必ず熱として外に出る。著者らはこの物理の原則を出発点に、工場の屋根や敷地から出る熱赤外放射(TIR)の強さを操業の強さの代わりに使った。熱は売上が計上されるより前、生産の段階で出る。消費者の購買データや店舗の駐車場の車の数のような既存のオルタナティブデータが販売の段階を測るのに対し、収益が生まれる過程のより早い段階を測る、というのが著者らの位置づけである2。
使った衛星は、米国の地質調査所(USGS)が配信するLandsat 8・9で、熱赤外を30m四方の画素で捉える。1機では同じ地点を16日ごとに撮り、2021年9月に9号機が加わってからは2機合わせて8日ごとになった。画像は撮影後おおむね4〜6時間で配信される。工場の場所は、子会社のデータベースから議決権50%以上の子会社・工場の住所を集め、地図と航空写真で輪郭を1件ずつ手作業で特定した。事務所ビルは工場と分けている3。
熱は気温や季節でも変わる。そこで著者らは、工場の熱から周囲5kmの裸地の熱を差し引いた「調整後TIR」(単位はケルビン)を四半期で平均し、会社の工場を単純平均または初期投資額の比率で加重して会社の値にした。分析に使う指標は、その前年同期比の変化率(前年同期の値の絶対値で割る)である4。季節の影響を前年同期との比較でさらに取り除く設計で、売上を前年同期比で見るアナリストの習慣とも合う。
熱が先に動き、売上は1〜3四半期遅れて付いてきた
最初の確認は、熱が本当に操業を映すかどうかである。新型コロナの流行は都市ごとに時期がずれた。その違いを使った差の差の分析では、工場の所在地の感染が1標準偏差多いと、熱の前年同期比の変化が約0.11低下し、標本平均の約3割(論文の計算で32.43%)に当たった5。都市封鎖や行政による操業停止の日付が明確な56件(候補143件から、火災・洪水・移転や一部の生産ラインだけの停止などを除いたもの)を集計すると、停止日に合わせて調整後TIRが平均約0.26K、停止前より24%下がった6。
本題の売上である。翌四半期の売上成長率(前年同期比)を、当期の熱の変化で説明する回帰では、当期の株価リターン、規模・負債比率・赤字か否かなどの企業特性、工場所在地の気温・降水・日照・GDP成長率、企業と年四半期の固定効果を統制しても、係数は等加重で0.314(1%水準で有意)、投資加重で0.281(5%水準)だった。論文本文の計算(係数を小数第2位に丸めて標準偏差を掛けたもの)では、熱の変化が1標準偏差大きい会社は、翌四半期の売上成長率が0.57・0.52ポイント高く、売上成長率の中央値9.82%に対して5.8%・5.3%に当たる(表の係数のまま掛けると0.58・0.53ポイント)7。当期の株価リターンも売上を予測しており、それを統制したうえでの関係なので、熱には株価にまだ表れていない情報があると著者らは読む。
図1は、同じ回帰で説明する売上の時期をずらした結果である。当期の熱は、1・2・3四半期先の売上成長率と有意に結びついた。検証した範囲(前の四半期から6四半期先まで)のうち、同じ四半期・前の四半期と4〜6四半期先の売上とは、統計的に有意な関係は確認されなかった8。熱が売上の計上より先に動くという、指標の設計が想定した順序と合う形である。ただし投資加重の2・3四半期先は10%水準にとどまる。
結果は、Landsat 8だけの画像、品質の高い画像だけ、解像度は粗いが毎日撮るMODISの画像に替えても、新型コロナの期間を除いても保たれた。本社以外の工場の熱が結果を生み、事務所ビルの熱では統計的に有意な予測関係は確認されなかった9。熱は売上原価・設備投資・従業員数とも正の関係があり、翌四半期の営業利益率とも正に結びついた(表1)10。
大きさは冷静に読む必要がある。翌四半期の売上成長率の標準偏差は53.43%で、1標準偏差あたり0.52ポイントという差はその約1.0%(100分の1程度)にすぎない11。数千社の平均として確かに存在する関係だが、1社の次の四半期の売上をこれだけで言い当てられる精度ではない。
株価への織り込みの遅れを示唆する結果
熱に株価が知らない情報があるなら、熱が増えた会社の株価はその後上がるはずだ。四半期ごとの横断面の回帰(Fama–MacBeth 法)では、投資加重の熱の変化が1標準偏差大きいと翌四半期のリターンが0.19%、規模と簿価時価比率で調整した超過リターンが0.21%高かった。熱の変化で五つに分けて毎月組み替え、上位20%を買い下位20%を売るポートフォリオは、ファーマ・フレンチの5ファクターに対するアルファが月0.45%(12倍した年率で5.4%)で、5%水準で有意だった12。論文は取引コストや空売りの制約を差し引いた収益を示していない。
表1 TIR変化が1標準偏差大きい企業は、その後どれだけ違ったか
表は横にスクロールできます →
| 結果の指標 | 1標準偏差あたりの差 | 大きさの目安 | 有意水準 | 原典 |
|---|---|---|---|---|
| 翌四半期の売上成長率 | +0.52ポイント | 中央値9.82%の5.3% | 5% | 表3 |
| 翌四半期の売上原価の伸び | +0.39ポイント | 売上の伸びより小さい | 5% | 表5 |
| 翌四半期の営業利益率 | +0.11ポイント | 中央値の1.6% | 5% | 表5 |
| 翌四半期の株価リターン | +0.19% | 平均の約5% | 5% | 表6 |
| 同・規模とB/Mで調整した超過リターン | +0.21% | 平均の約7% | 1% | 表6 |
| 次の決算発表前後3日の超過リターン | +0.06% | — | 5% | 表OA.6 |
| 上位20%買い・下位20%売りのアルファ(月次) | 0.45% | 年率5.4%(12倍) | 5% | 表7 |
誰がこの情報を使っていたかの分析が、実務家には最も示唆的だろう。熱の変化は、同じ四半期の空売りの純取引指標(前年同期との差)とも、適格外国機関投資家(QFII)の保有の変化とも統計的に有意な関係がなく、機関投資家の保有の変化とは等加重の指標で弱い正の関係があるだけだった13。有意でないことは使われていないことの証明ではないが、著者らは、洗練された投資家が熱の情報で売買していることを示す明確な証拠は得られなかったと解釈している。熱が増えた会社は、次の決算発表時の株価の反応(前後3日)も良く、コンセンサス予想の誤差とも正の関係があった。著者らは、市場もアナリストも熱の情報を十分には織り込んでいないと解釈している14。
予測力は会社によって違う。翌四半期の決算発表前後3日の株価反応との関係を調べると、金融機関の会社訪問が多い会社では弱く(訪問の記録を開示する深圳上場企業だけの分析)、工場が高速鉄道の駅から遠い会社や、会計上の利益調整が大きい会社では強かった15。売上の予測でも、エネルギー効率の高い産業では1標準偏差あたり2.26ポイント(それ以外は0.32ポイント)、生産性の高い会社では2.21ポイント(同0.37ポイント)と大きく、国有企業の点推定は−0.15ポイントと小さかった(非国有は0.79ポイント。国有企業の合計効果の有意性は表に示されていない)16。
研究の対象と限界
結果は、中国の上場製造業の2014〜2022年について得られたものだ。売上・株価との関係は統制を加えた予測関係で、熱が売上を生むという因果を示したものではない。差の差で確かめたのは、熱が操業の打撃に反応するという測定の妥当性の部分である。工場の特定は手作業で、議決権50%以上の子会社の拠点に限られるため、委託先の工場は対象にならない。著者ら自身、毎日撮るMODISでは雲で観測が欠け、中国の南部・東部で欠損が多いことを限界に挙げ、Landsat 8だけの観測頻度では係数が小さくなることも示している17。本稿は掲載誌の受理稿に基づき、掲載版の数値は確認していない。
米国では、別の研究者らが大手小売44社・67,078店舗の駐車場の衛星データを調べ、決算発表前後3日で、車が増えた会社は市場を約1.6%上回り、減った会社は約3%下回ったと報告している(貸株料控除後)。そこではデータの主な買い手はヘッジファンドで、悪い知らせの前に情報を持つ空売りが増え、個人投資家との情報の格差が広がった18。熱の研究では、対象期間の中国A株で、同じ種類の情報が洗練された投資家の売買に使われていたことを示す明確な証拠は得られなかった。同じ研究者の一部は、世界の都市で熱とGDPの関係を測った別の論文も公表している19。
大手町プレップの考察:熱の価値は、ほかの情報の乏しさで決まる
編集部の見方では、この研究の核心は「衛星の熱が売上を予測する」こと以上に、「予測力は情報が手に入りにくい場所に集まる」ことにある。会社訪問が少ない、駅から遠い、利益調整が大きいといった条件で決算発表時の株価反応との関係が強まったのは、熱が他の情報源の代わりとして働いたためと考えられる(仮説。訪問の分析は深圳上場企業に限られる)。そうだとすると、開示の頻度と信頼性が高く、アナリストの取材も行き届いた大型株では、熱が加える情報は小さくなりやすい。逆に、取材の少ない中小型の製造業や、海外に主要な工場を持ち現地の状況が見えにくい会社では、相対的な価値が残る可能性がある。
もう一つは、熱と売上の対応が崩れる場面である。国有企業で効果の点推定が小さかったことは、熱が生産量を測っても、それが売上や利益に変わるかは経営の効率に依存することを示唆する。在庫を積み増す生産、委託生産への切り替え、燃料から電気への転換や省エネ設備の導入、製品価格の大きな変動は、いずれも熱と売上の比例関係を変えうる(編集部の推論で、研究は検証していない)。熱は「どれだけ作ったか」の手がかりであって、「いくらで売れたか」の手がかりではない。
日本の実務への応用
日本の上場会社の第1・第3四半期決算短信は、各四半期の終了後45日以内の開示が原則で、通期の決算も遅くとも45日以内、30日以内がより望ましいとされている20。研究の熱の指標が予測したのは主に1〜3四半期先の売上である。編集部としては、決算の前の数週間を埋めるより、次の四半期以降の売上予想の方向を点検する材料になりうると考える(会社の見通しより早いかどうかは、研究では検証されていない)。
取材の制約も違う。日本ではフェア・ディスクロージャー・ルールにより、上場会社が未公表の重要情報をアナリストや投資家に選択的に伝えることには制約がある(伝えるときは原則として同時に公表する)21。編集部の見方では、個別取材で得られる情報に限りがある分、外から観測できる公開データを、チャネルチェックと並ぶ裏付けの一つとして持つ意味はある。Landsatの画像は公開されており、すぐに使えることを著者らも利点に挙げている22。
ただし、そのまま当てはめるには障害が多い。海外の工場や委託先で生産する会社では、連結子会社の工場の一覧を作るだけで手間がかかる。雲の多い季節には使える画像が減る(日本の雲の量は本稿では確認していない)。何より、研究の係数は中国の2014〜2022年の平均で、日本企業の売上の予測式としては検証されていない。熱は売上予想を置き換えるものではなく、会社の業績予想や月次開示、稼働率の説明と食い違っていないかを確かめる材料として使うのが現実的だろう。
学習用の設例:3工場の会社の熱を集計する
学習用の設例(架空)
- 甲社は国内にA工場(投資比率50%)とB工場(30%)、海外にC工場(20%)を持つ
- 調整後TIRの前年同期→当期は、A 4.0K→4.6K、B 3.0K→2.7K、C 2.5K→1.0K(Cは一部の設備を止めた想定)
- 会社の値は研究と同じく、工場の値を平均してから前年同期比の変化率を計算する
表2のとおり、同じ3工場でも集計の仕方で結論が変わる。等加重ではC工場の大きな落ち込みが効いて−12.6%、投資加重では−2.6%にとどまる。さらに、地図の作業でC工場を見落とすと、会社の値は7.2%と符号まで変わる。研究が等加重と投資加重の両方で結果を示し、工場の特定に手間をかけた理由はここにある。
表2 設例:甲社の3工場から会社のTIR変化を作る(架空)
表は横にスクロールできます →
| 工場 | 投資比率 | 前年同期 | 当期 | 変化率 |
|---|---|---|---|---|
| A工場(国内) | 50% | 4.0K | 4.6K | 15.0% |
| B工場(国内) | 30% | 3.0K | 2.7K | −10.0% |
| C工場(海外) | 20% | 2.5K | 1.0K | −60.0% |
| 会社(等加重) | 各1/3 | 3.17K | 2.77K | −12.6% |
| 会社(投資加重) | 上の比率 | 3.40K | 3.31K | −2.6% |
| C工場を見落とした場合(投資加重) | A・Bで按分 | — | — | 7.2% |
次に、観測の数である。1四半期91日に、8日ごとの撮影なら通過は約11.4回だが、工場と周囲がともに晴れていなければ使えない。雲のない割合を仮に30%とすると使える観測は約3.4回、70%でも約8.0回にとどまる(図2)。数回の観測の平均は、操業の一時的な止まりや撮影時刻の偶然に左右されやすい。前年同期の値も同じだけ不確かなので、変化率の誤差はさらに大きくなる。
明日から使える確認項目
以下の期間・枚数・一致率などの基準は編集部の仮の目安で、研究ではその有効性を検証していない。
- 工場の一覧:担当企業の有価証券報告書の「設備の状況」と連結子会社の一覧から、生産拠点の所在地・主要製品・設備の帳簿価額を表にする。委託生産の比率が大きい製品は、熱で追えない売上として分けておく。
- 対応の確認:過去8四半期以上について、拠点ごとの熱の前年同期比と、セグメント売上の前年同期比を並べ、方向が一致した四半期の割合を数える。一致が半分程度にとどまるなら、目安としてその会社には使わない。
- 崩れる要因の質問:IRへの取材では「在庫の積み増し・取り崩しの計画」「委託先への生産移管」「燃料転換や省エネ投資の時期」を聞く。いずれも熱と売上の関係を変える。
- 観測の数:四半期ごとに使えた画像の枚数を記録し、たとえば3枚未満の四半期は判断に使わない、と事前に決める。前年同期の枚数も確認する。
- 使い方の線引き:熱が会社の見通しやコンセンサス予想と食い違ったときは、予想を直す前に、月次開示・業界統計・取引先の決算で裏付けを取る。熱だけを根拠に売買の判断をしない。
よくある質問
衛星の熱のデータは、個人でも手に入りますか。
研究が使ったLandsatの画像は米国の地質調査所が公開しており、取得自体は可能です。ただし工場の輪郭の特定、雲の除去、周囲の地表との差し引き、会社単位への集計には専門的な処理が必要で、研究も外部のデータ会社の支援を受けています。
日本株でも同じ超過リターンが得られますか。
分かりません。研究は中国の上場製造業を対象にしたもので、取引コストも差し引いていません。米国の駐車場データの研究では、データが一部の投資家に広まった後の姿が報告されており、利用者が増えれば予測から得られる収益は小さくなると考えるのが自然です。
まとめ
中国の上場製造業2,959社の研究では、工場の熱の前年同期比の変化が1〜3四半期先の売上成長率を予測し、当期・前期の売上とは統計的に有意な関係は確認されなかった。翌四半期の株価リターンも予測し、決算発表時の株価反応との関係は会社訪問が少ない会社(深圳上場企業の分析)や利益調整の大きい会社で強かった。ただし1社あたりの効果は売上成長率のばらつきに比べて小さく、結果は相関の分析で、日本企業では検証されていない。日本で使うなら、工場の一覧と観測の数を確かめたうえで、会社の見通しを点検する裏付けの一つとして扱うのがよいと編集部は考える。
脚注
- R1(JFQA 受理稿, 2025年4月)p.1。SSRN 版(4738878)は作成日2024年2月26日・掲載2024年3月11日(SSRN の要旨ページの Internet Archive 保存版 2024年5月19日で確認)。掲載誌(Journal of Financial and Quantitative Analysis 61巻3号 pp.1073–1111)は2025年9月8日にオンライン公開、2026年5月号(Crossref の登録情報で確認。種類は学術誌論文)。受理稿は掲載誌のサイトに受理論文として掲載されていた。本稿は、掲載誌のサイトが受理論文として公開した2025年4月版 PDF(80ページ。元の URL は2026年10月時点で閲覧できず、Internet Archive の2025年7月7日保存版で取得)に基づく。掲載版の本文は未確認。ページは PDF の物理ページ(印刷されたページ番号+1)。2021年より前に同じ結果を述べた前身稿は見つからなかった(標本は2014〜2022年)。↩
- R1 p.2〜3(1節)、p.6、p.9〜10(2.2節・付録1)。既存のオルタナティブデータが販売の段階に偏り、本研究の指標が生産の段階を測るという整理は著者らの位置づけ。↩
- R1 p.11〜14(3.1〜3.3.1節)。Landsat 9 は2021年9月打ち上げ。雲のない画像(工場と周囲5km)だけを使い、品質の低い Tier 2 の画像は全体の2.2%(脚注8)。工場の特定には中国の子会社データベース(CNRDS)と Google Maps/Earth を使い、工場・事務所ビル・混在に分類した。↩
- R1 p.14〜15(3.3.2〜3.3.3節・式(2)(3))。投資加重は工場の初期投資額が会社の全工場の投資額に占める比率。↩
- R1 p.19〜20(4.1.1節)・表2(p.51)。工場・四半期のパネル(2019年第1四半期〜2020年第2四半期)で、説明変数は所在都市の新規感染者数(1を足した自然対数)。統制ありの係数は −0.057(5%水準)。1標準偏差(1.88)の感染増で約0.11低下、標本平均0.35に対し32.43%(論文の計算。0.11÷0.35は31.4%で、丸めの経路は論文に書かれていない)。熱の水準(調整後TIR)では約0.17K低下。↩
- R1 p.22〜23(4.1.2節)・図4。日次の観測は MODIS(1km)による。個別の工場の事例(同 p.21〜22)は本稿では扱わない。↩
- R1 p.23〜24(4.2.1節 A)・表3(p.52)列(2)(4)。標準誤差は企業と年四半期の二重クラスター。売上成長率は % 単位の変数なので、1標準偏差あたりの差は%ポイント(論文本文は「0.57%」「0.52%」と表記)。本文の0.57・0.52は論文本文の計算(1.85×0.31、1.87×0.28)で、表の係数のまま掛けると0.58(1.85×0.314)・0.53(1.87×0.281)、中央値比は5.9%・5.4%。当期の株価リターンの係数は 0.143(1%水準)。↩
- R1 表4(p.53)と p.25。等加重の係数は 1・2・3四半期先で 0.314・0.289・0.310(1%・5%・5%水準)、投資加重は 0.281・0.310・0.278(5%・10%・10%水準)。同じ四半期は 0.042・0.138、前の四半期は −0.035・−0.055 でいずれも有意でない。↩
- R1 p.25、表 OA.3(p.72〜75)。Landsat 8 だけで作った指標は係数が小さくなるが有意。↩
- R1 p.26〜27(4.2.1節 B)・表5(p.54〜55)。従業員数は年次のデータのため、同じ年の変化と比べている(翌期ではない)。↩
- R1 p.18(3.5節)・表1。翌四半期の売上成長率は平均18.75%、中央値9.82%、標準偏差53.43%。比率(0.52÷53.43)は大手町プレップの計算。↩
- R1 p.28〜30(4.2.2節)・表6(p.56〜57)・表7(p.58)。ポートフォリオは2014年第2四半期〜2022年第4四半期、価値加重で毎月組み替え。投資加重の上位−下位の超過リターンは月0.43%(論文の年率換算5.16%)、5ファクターのアルファは月0.45%(同5.40%)。等加重では0.40%・0.46%。年率は月次を12倍した論文の換算。取引コストは論文で扱っていない(本文に記載なし、大手町プレップの確認)。↩
- R1 p.30〜32(4.2.3節)・表8(p.59)・表 OA.4・OA.5。空売りの指標は、日次の(新規の空売り−買い戻し)÷総売買高を四半期で平均した純取引の比率で、その前年同期との差を使う(空売りが可能な銘柄のみ、CSMAR)。機関投資家は保有比率の前年同期差。A株とB株の価格差とも有意な関係はなかった。売買への利用を示す明確な証拠がないという結論は著者らの解釈(p.32・p.38)。↩
- R1 p.34〜35(5.2節)・表 OA.6(p.79)・脚注19。決算発表前後3日の累積超過リターンの係数は投資加重で 0.031(5%水準)、1標準偏差で0.06%。アナリスト予想の誤差(実績の1株利益−1年前のコンセンサス予想、株価で割る)との正の関係は脚注で述べられ、表は示されていない。↩
- R1 p.35〜38(5.3〜5.4節)・表 OA.7(p.80)。被説明変数は翌四半期の決算発表前後3日の累積超過リターン(CAPM で調整)で、四半期のリターン全般の分析ではない。会社訪問のデータは訪問記録の開示が義務づけられた深圳上場企業のみ(訪問した金融機関数が上位10%の会社、交差項 −0.135(統制変数ありの列(2))、5%水準)。高速鉄道は工場から最寄り駅までの平均距離が上位10%の会社、利益調整は裁量的発生高の絶対値が上位10%の会社(いずれも全標本)。↩
- R1 p.32〜34(5.1節)・表9(p.61)。投資加重の指標。エネルギー効率(産業の売上÷エネルギー消費量)と生産性(全要素生産性)はいずれも上位10%とそれ以外の比較。交差項は10%水準。効果量の数値は原論文本文(p.34)による(表の係数から計算すると丸めがわずかに異なる)。↩
- R1 p.21 脚注16、表 OA.3。↩
- R2(JFQA 60巻2号, 2025年, 掲載版)p.2〜4(誌面552〜554)。データは RS Metrics の店舗別の日次データ(2011年第1四半期〜2017年第4四半期)。ヘッジファンドが主な顧客で、アナリストや投資信託の運用者は広く使っていないとの記述(p.2、IHS Markit の2019年の調査を引用)。R2 の初出は2021年より前(2018年からの学会発表)で、本稿では比較のための関連研究として扱う。↩
- R3(SSRN 4393439, 作成日2023年3月20日)の要旨。世界の都市(2004〜2019年)で、熱の GDP に対する弾性値は0.61、平均の熱が1K高いと年間の GDP 成長率が3.4%高い。本文は確認していない。↩
- 東京証券取引所『決算短信・四半期決算短信 作成要領等』(2024年4月)p.3〜4。第2四半期(中間期)は半期報告書の法定提出期限(中間期末後45日以内)による。↩
- 金融商品取引法 第27条の36第1項(e-Gov 法令検索、2026年10月24日閲覧)。対象は未公表の重要情報(投資者の投資判断に重要な影響を及ぼすもの)の、取引関係者への伝達。伝達を受けた者が守秘義務と売買をしない義務を負う場合などの例外がある。操業の情報一般の取材を禁じるものではない。↩
- R1 p.4(1節)。データの処理・提供は Alt Data Tech の支援を受けた(p.1 謝辞)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Xue, Y., B. Zhang and X. Zhao (2025), “Nowcasting Firms’ Operating Activities from Satellite Data on Thermal Infrared Radiation,” Journal of Financial and Quantitative Analysis 61(3), 1073–1111. DOI: 10.1017/S0022109025102147. SSRN 4738878. 参照した版:掲載誌のサイトが公開した受理稿(2025年4月)。査読:済。 doi.org (参照箇所:受理稿 PDF(https://jfqa.org/wp-content/uploads/2025/06/25293-Nowcasting.pdf、2026年10月時点は Internet Archive の2025年7月7日保存版で取得)p.1〜38、表1〜9、Online Appendix 表 OA.3・OA.4〜OA.7。SSRN 版 https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4738878 は要旨のみ確認。掲載版は未確認。脚注1〜17・22の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Katona, Z., M. O. Painter, P. N. Patatoukas and J. Zeng (2025), “On the Capital Market Consequences of Big Data: Evidence from Outer Space,” Journal of Financial and Quantitative Analysis 60(2), 551–579. DOI: 10.1017/S0022109023001448. 参照した版:掲載版(オープンアクセス、CC BY)。査読:済。 doi.org (参照箇所:誌面551〜554(要旨・I節)。脚注18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Huang, F., B. Zhang and X. Zhao (2023), “The Thermodynamics of the Economy,” SSRN Working Paper No. 4393439. DOI: 10.2139/ssrn.4393439. 参照した版:SSRN の要旨(作成日2023年3月20日、Internet Archive の2024年4月14日保存版)。査読:未査読(WP)。 papers.ssrn.com (参照箇所:要旨のみ。脚注19の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 株式会社東京証券取引所(2024)『決算短信・四半期決算短信 作成要領等』2024年4月。 jpx.co.jp (参照箇所:p.3〜4(決算発表の早期化の要請、第1・第3四半期決算短信の開示時期)。脚注20の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R5 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第27条の36(e-Gov 法令検索)。 laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第27条の36第1項(重要情報の公表)。脚注21の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。