この記事で分かること
- 米国の上場企業17,071社・年(2007〜2020年度)を調べた研究では、売上原価の内訳を多く開示する企業ほど決算への株価反応が強く、アナリスト予想が正確だった一方、販管費の内訳ではそうした関連が見られなかったこと
- 2027年から適用されるIFRS第18号と米国の新基準が求める費用の内訳と、連結の売上原価に性質別の内訳を求める定めがない日本基準の現状の違い
- 費用の内訳を予想モデルにどう生かし、開示が乏しい会社に何を確かめるか(費用の分け方で営業利益の予想がどれだけ変わるかの設例つき)
想定読者:上場企業を分析する株式・クレジットのアナリスト、IR・経理・経営企画の担当者、IFRS任意適用企業の決算実務の担当者、DDで損益を読むFAS・PEの実務家
前提知識:損益計算書の利益段階と、固定費・変動費の区別(研究で使う指標は本文で説明する)
素材メーカーの決算を前に、アナリストが翌期の利益予想を組み直している。主要原料の市況は前年より1割近く上がり、春の賃上げも続いた。ところが連結損益計算書の売上原価は1行だけで、そのうち材料費・人件費・減価償却費がいくらかは書かれていない。販管費の注記には主要な費目が並ぶが、売上原価の中身は決算説明会で聞くしかない。結局、売上原価率を前年並みに置いて予想を出す。
費用の内訳を開示させる動きは、いま国際的に進んでいる。米国の財務会計基準審議会(FASB)は2024年11月、売上原価や販管費の中身を表で開示させる会計基準更新書(ASU 2024-03)を公表し、2027年の年次報告から適用される1。国際会計基準審議会(IASB)が2024年4月に公表したIFRS第18号も、費用を機能別に表示する会社に、減価償却費や従業員給付などの金額を表示科目ごとに注記させる2。ただ、内訳を増やせば分析が良くなるとは限らない。作成の手間は確実に増え、情報が多すぎて読まれないおそれもある。米ジョージア工科大学の研究者2人による論文は、新基準の前から米国企業が任意で出してきた内訳を大量に集め、投資家とアナリストの行動との関係を調べた。
この記事が主に参照する研究
James J. Blann、James R. Moon, Jr.(2026)「損益計算書の費用の分解(Income Statement Expense Disaggregation)」The Accounting Review 101(3)
- 公表:SSRN 版(4576578)の Crossref 登録は2023年9月20日(SSRN のページは未確認)、同年に学会発表。参照した版:著者が公開するワーキングペーパー(2025年7月)。査読:済(2026年に掲載。掲載版の本文は未確認)
- データ:米国の上場企業(金融・公益を除く)、2007〜2020年度、最大17,071社・年。費用の内訳は金融データ会社の開示項目データから数えた
- 方法:内訳の数と、決算への株価反応・アナリスト予想の性質との相関を回帰分析で調べる。企業が自ら開示を選ぶため、因果の識別ではない
- 位置づけ:新しいデータで、開示の分解が利用者に役立つかという既存の問いを「科目の中身の内訳」に広げた実証研究
費用を「分 解する」とは何を細かくすることか
損益計算書の費用は、二つの切り口でまとめられる。機能別は売上原価・販売費・一般管理費のように「何の活動に使ったか」で分け、性質別は材料費・人件費・減価償却費のように「何を消費したか」で分ける。日本の上場企業の多くは機能別の表示で、売上原価から差し引いた売上総利益が最初の利益段階になる。
研究が扱うのは、売上原価や販管費という1行の中身を細かく示す「縦の分解」である。売上原価が材料費・労務費・減価償却費にいくらずつ分かれるかを、注記や経営者による財政状態・経営成績の分析(MD&A)で示すことがこれに当たる。科目を増やす「横の分解」については研究の蓄積があるが、縦の分解は機械で読めるデータが乏しく、大規模な検証がほとんどなかった。
著者らは、金融データ会社のCompustatが10-K(米国の年次報告書)から拾っている内訳の記録に目を付けた。Compustatは売上原価に30種類、販管費に18種類の構成要素を記録しており、ある企業・年度に記録された構成要素の数を、その企業の分解の度合いとした3。金額の大きさではなく「何項目に分けたか」を数える指標で、内訳はすべて同じ重みで扱われる。無作為に選んだ30件を手作業で数え直すと、販管費では相関が96%、売上原価では57%(異常な1件を除くと82%)だった4。
役立つかどうかは、二つの物差しで測る。一つは利益反応係数(ERC)で、決算サプライズ1単位に対して株価がどれだけ動くかを表す。分かりやすい情報が添えられていれば、投資家は利益の意味を早く正確に読み取り、反応が強くなると考える。もう一つは、翌年度のコンセンサス予想の正確さと、アナリスト間のばらつきである。
売上原価の内訳には有用性と整合する関連があり、販管費では確認されなかった
まず実態である。標本の平均で、売上原価は2.139項目(中央値2)、販管費は1.245項目(中央値0)に分解されていた5。売上原価か販管費のどちらかを分解する企業は、2007年度の約65%から2020年度にはほぼ90%に増え、販管費の平均項目数は約0.5から約2.7へ伸びた6。ただし中身は新基準の区分とずれている。新基準が名指しする区分(棚卸資産・製造、従業員報酬など)に当たる内訳を出す企業は、売上原価で31%、販管費で21%にとどまり、多くは「その他」に分類される独自の内訳だった。開示は、規模が大きくセグメントが多い企業、機関投資家の保有が厚い企業で多く、研究開発の比重が高い業種で少なかった。業績が悪い企業ほど内訳を多く出す傾向もあった7。
次に、内訳ごとの「効き方」の違いである。翌期の利益を構成要素の金額に回帰すると、売上原価の構成要素は6組の比較のうち5組で係数が統計的に異なり、販管費の構成要素は0組だった8。売上原価の中身は翌期利益への効き方がそれぞれ違うので、分けて示す意味がある。販管費の構成要素は係数の大きさにばらつきがあるものの、その差は統計的に確認されなかった。利用者の行動の分析でも、同じような違いが表れた。
売上原価の分解が1標準偏差(約2項目)多い企業では、ERCが平均より16.5%大きかった9。アナリストの翌年度予想は、株価で調整した絶対予想誤差が標本平均比で約8.0%小さく、予想のばらつきは12.1%小さかった10。販管費の分解については、どの物差しでも統計的に有意な関連がなかった。図1は、論文の係数から同じ計算方法で両者を並べたものである。
図1から読み取るべきは、効果の向きと大きさよりも、売上原価と販管費の非対称である。ERCの結果は推定の仕方で強さが変わり、統制変数とサプライズの交差項まで入れた推定では10%水準の有意にとどまる。それでも、収益と費用を分けた追加分析が結果を補強している。売上原価の分解は、費用側の予想外れに対する株価の反応を強めたが、売上側の予想外れへの反応とは関係がなかった。アナリストについても、改善したのは費用の予想の正確さで、売上の予想ではなかった11。内訳の情報が費用の読みに使われていることと整合する。
販管費には気になる結果もある。10-K提出後60日間の株価を見ると、販管費の分解が多い企業ほど、決算の良し悪しがあとから株価に織り込まれていた12。著者らは、販管費の細かい内訳が利益情報の織り込みをかえって遅らせた可能性があると解釈している。
研究の対象・方法と、結果の読み方の限界
著者らは、売上原価が売上に直接結びつき数量に応じて動く費用であるのに対し、販管費は費用と投資の性格が混じり、固定的な部分が多いことを違いの理由に挙げる13。似た持続性の項目を分けても投資家の判断は良くならないという先行研究(Holzman らの2021年の論文)とも合う14。
限界は少なくない。第一に、内訳を出すかどうかは企業が選んでおり、情報環境の良い企業ほど内訳を出すという逆の関係を排除しきれない。著者ら自身、強い因果の推論はできないと書いている15。第二に、測っているのは項目の数で、金額の大きさや説明の質ではない。第三に、作成の費用を測っていないため、開示の便益が費用を上回るかは分からない。第四に、2007〜2020年度の米国の任意開示の結果で、全社に義務づけた後の開示が同じ働きをする保証はない。開示を選んだこと自体が伝えていた信号は、強制化で薄まりうると著者らも述べている16。
開示する側の費用を示した研究もある。韓国では、製造原価明細書が2004年より前は上場企業に義務づけられ、その後は任意になった。この変更を使ったシカゴ大学などの研究者らの論文(2019年のワーキングペーパー版)によると、費用構造が業界の標準から離れた企業や市場シェアの高い企業ほど明細を出さない傾向があり、出さなくなった企業は、出し続けた企業に比べて売上総利益が6.3%増え、株式の流動性が8.5%下がった17。競合に原価構造を知られる不利益と、資本市場での便益のトレードオフである。投資家に役立つ内訳ほど、競争上は出したくない内訳でもありうる。
大手町プレップの考察:分けるべきは「動 き方の違う費用」
ここからは編集部の見方である。研究の非対称は、内訳の数そのものより、内訳が予想の前提を分けられるかどうかで説明できると考えられる(仮説)。材料費は数量と市況、労務費は人員と賃金、減価償却費は過去の設備投資で決まり、翌期への動き方がまるで違う。売上原価を1本の率で置くと、この違いがすべて平均化される。販管費の多くを占める本社の人件費や賃借料は、内訳を分けても「前年並み」という同じ前提に落ち着きやすい。
この見方に立つと、IFRS第18号が機能別表示の会社に求める注記の意味がはっきりする。減価償却・償却・従業員給付・減損損失・棚卸資産の評価減を、売上原価や販管費の行ごとに示させるのは、まさに動き方の違う費用を機能別の科目から切り出す作業である。一方で、研究は「その他」に分類された独自の内訳もアナリストの予想精度と関連していたと報告している18。決められた区分を埋めるだけの注記になれば、会社ごとに意味のあった内訳が押しのけられるおそれがあり、著者らもこの点を指摘している19。
日本の実務への応用:基準によって手に入る内訳が違う
日本基準の連結財務諸表では、販管費を一括で表示する場合に、退職給付費用・引当金繰入額と、販管費合計の10%を超える費目を注記する。連結の売上原価は1つの科目で表示し、材料費・労務費のような性質別の内訳を示す定めはない(収益性の低下による棚卸資産の評価損は区分掲記か注記)。個別財務諸表には製造原価明細書の添付が求められるが、連結財務諸表でセグメント情報を注記していれば不要とされる20。実際に売上原価の内訳が手に入るかどうかは、明細書を任意で載せる会社もあるため、個社の開示で確認する必要がある。製造原価明細書の読み方は製造原価報告書を作って読むで扱っている。
表1 費用の内訳を開示させるルールの比較(2026年10月時点)
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| 基準 | 販管費・営業費用の内訳 | 売上原価の内訳 |
|---|---|---|
| 日本基準(連結) | 販管費を一括表示するなら主要な費目を注記(退職給付費用・引当金繰入額と、販管費合計の10%超の費目) | 1科目で表示(棚卸資産の評価損は区分掲記か注記)。個別の製造原価明細書も、連結でセグメント情報を注記していれば不要 |
| 日本基準(個別) | 同じく主要な費目を注記(減価償却費・引当金繰入額と、10%超の費目) | 製造原価明細書(上の場合を除く) |
| IFRS第18号(2027年1月1日以後に始まる年度) | 機能別に表示するなら、各表示科目に含まれる減価償却・償却・従業員給付・減損損失・棚卸資産の評価減を注記 | 売上原価の行にも上記5項目の内訳が付く |
| 米国 ASU 2024-03(2027年の年次から) | 関連する費用科目ごとに、棚卸資産の購入・従業員報酬・減価償却・無形資産の償却などを表で開示。販売費の総額も | 売上原価の行にも上記の内訳が付く(表示は変えない) |
IFRSを任意適用する会社は事情が違う。IFRS第18号は2027年1月1日以後に始まる事業年度から適用され、前年度の比較情報も組み替える21。3月決算の会社なら、2027年4月に始まる年度(2028年3月期)が最初になる計算だ。ただし日本で使われるのは金融庁長官が定める指定国際会計基準で、IFRS第18号の指定の状況は本稿では確認していない22。日本基準については、企業会計基準委員会
アナリストの側では、日本基準の会社を分析するとき、内訳の代わりになる情報を組み合わせることになる。決算説明資料の利益増減要因(原材料価格・数量・固定費)、セグメント情報、為替・原材料価格の感応度開示、キャッシュ・フロー計算書の減価償却費である。研究では、セグメント数の少ない企業ほど費用の内訳が役立つ傾向も示されており(株価反応の分析では差が統計的に有意でない)、セグメント情報が一部を代替している可能性がある24。
学習用の設例:費用の分け方で営業利益の予想はどれだけ変わるか
学習用の設例(架空)
- 製造業X社の前年は、売上高10,000百万円、売上原価7,000百万円(材料費4,000・労務費1,800・減価償却費1,200)、販管費2,000百万円、営業利益1,000百万円
- 翌年は販売数量が10%減り、材料単価が8%、賃金が2%上がる。販売価格は据え置く
- 材料費は数量と単価に比例、労務費と販管費の人件費は賃金に比例、減価償却費と販管費のその他は固定、運賃・販売手数料は数量に比例すると仮定する
費用率を前年並み(売上原価率70%・販管費率20%)に置くAの方法では、営業利益は900百万円と出る。売上原価を性質別に分けるBでは276百万円、販管費も分けるCでは142百万円になる。AとCの差758百万円のうち82%は、売上原価を分けたことによる。
表2 設例:販売数量−10%のときの翌年の予想(百万円)
表は横にスクロールできます →
| 項目 | 前年(実績) | A 費用率一定 | B 売上原価だけ性質別 | C 販管費も分ける |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,000 | 9,000 | 9,000 | 9,000 |
| 売上原価 | 7,000 | 6,300 | 6,924 | 6,924 |
| うち材料費 | 4,000 | — | 3,888 | 3,888 |
| うち労務費 | 1,800 | — | 1,836 | 1,836 |
| うち減価償却費 | 1,200 | — | 1,200 | 1,200 |
| 販管費 | 2,000 | 1,800 | 1,800 | 1,934 |
| 営業利益 | 1,000 | 900 | 276 | 142 |
図2は、販売数量の変化を−20%から+20%まで動かしたときの3つの予想である。費用率一定のAは数量にほとんど反応せず、固定費の重さ(固定費と変動費の分解)を反映するCは、数量が20%落ちれば−346百万円の赤字、20%伸びれば1,606百万円まで振れる。内訳が分かるかどうかは、予想の水準だけでなく振れ幅の見積りを左右する。
この設例は、内訳が分かれば予想が当たることを示すものではない。固定・変動の区分が誤っていれば、細かいモデルの方が大きく外れる。研究が示したのも、内訳と予想精度の平均的な関連である。費用構造の考え方はコスト構造とマージン予測、原価の上昇と価格改定の時間差は仕入値上がりと価格改定の時間差をPLに織り込むで詳しく扱っている。
明日から使える確認項目
- 担当企業の有価証券報告書で、販管費の注記に並ぶ費目と、それが販管費合計の何%を説明しているかを確かめる。説明されない残りが大きければ、その中身は会社に聞く対象になる。
- 個別財務諸表に製造原価明細書があるか、連結のセグメント情報を理由に省略しているかを確認する。省略している会社には「売上原価のうち材料費・労務費・減価償却費のおおよその構成比」と「原料価格が1割動いたときの影響額」を質問する。
- 予想モデルの売上原価を、少なくとも「数量に比例する費用」「賃金に連動する費用」「固定費(減価償却費など)」の3つに分け、それぞれに別の前提を置く。販管費を細かく分けるのは、広告宣伝費や販売手数料のように売上と連動する費目に絞る。
- IFRS任意適用の会社なら、2027年以後に始まる年度の財務諸表で、機能別の各科目に含まれる減価償却・従業員給付などの注記が出るかを確認し、出たら過年度の推計と突き合わせる。作成側は、費目を機能別の科目に配分した金額を集計できるかを、早めに会計システムで点検する。
- 決算の予想外れを分析するときは、売上の外れと費用の外れを分けて記録する。研究で内訳が効いたのは費用側の外れだった。
よくある質問
販管費の内訳は開示しても意味がないということですか。
研究が示したのは、米国の任意開示の範囲で、販管費の内訳の数と株価反応・アナリスト予想の間に統計的な関連が見られなかったということです。広告宣伝費や研究開発費など、個別の費目が分析に役立つ場面まで否定したものではありません。
日本基準の会社でも、売上原価の内訳を知る方法はありますか。
個別財務諸表に製造原価明細書を載せている会社であれば、材料費・労務費・経費の構成が分かります。載せていない会社でも、決算説明資料の利益増減要因、キャッシュ・フロー計算書の減価償却費などを組み合わせると、おおよその構成を推計できます。
まとめ
米国企業の任意開示を集めた研究では、売上原価の内訳を多く出す企業ほど決算への株価反応が強く、アナリストの費用の予想が正確で、販管費の内訳にはそうした関連が見られなかった。相関の分析であり、強制開示のもとで同じ効果が出るとは限らない。それでも、動き方の違う費用を分けて示すことに価値があるという読み方は、IFRS第18号の注記の設計とも重なる。日本基準の連結財務諸表には売上原価の性質別内訳を求める定めがなく、内訳の有無は個社の開示で確かめるほかない。分析する側は代わりの情報を組み合わせ、作成する側は内訳を集計できる体制を整えておきたい。
脚注
- R5(FASB In Focus, 2024年11月)p.1〜2。ASU 2024-03 は2024年11月4日公表、損益計算書の表示は変えず注記で開示、2027年の年次開示・2028年の四半期開示から適用。R1(WP 2025年7月)p.2 は「2026年12月15日より後に始まる年度、2027年12月15日より後に始まる四半期」と記す。↩
- R4(IFRS Foundation, Project Summary: IFRS 18, 2024年4月)p.13。機能別に表示する会社は、減価償却・償却・従業員給付・減損損失・棚卸資産の評価減の金額を、営業区分の各表示科目ごとに注記する。適用開始は p.15。↩
- R1(WP 2025年7月)p.3・p.12〜13(III 節・脚注5)、表1(p.43)。ページは PDF の物理ページ(本文の印刷ページは物理ページ−1)。分解の指標は記録された固有の構成要素の数で、内訳を開示しない企業(観測値の26.1%)は0とする。XBRL のタグからの測定は独自タグが多く断念した(脚注6)。版について:SSRN 版(DOI 10.2139/ssrn.4576578)は Crossref の記録で2023年9月20日に登録されている(posted は2023年。SSRN のページ自体は取得できず未確認)。同じ2023年に Southeastern Summer Accounting Research Conference で発表された(R1 p.1 の謝辞、R9)。掲載誌は The Accounting Review 101(3): 137-165(オンライン2026年4月16日、DOI 10.2308/tar-2023-0545。Crossref の記録で確認)。本稿は掲載前の WP 版に基づき、掲載版との数値の異同は確認していない。↩
- R1(WP 2025年7月)p.13〜15(III 節)。構成要素のラベル(売上原価約3.1万・販管費約2.6万)は約54%を手作業、残りを単語の意味の近さで機械分類し、機械分類の正答率は売上原価80%・販管費74%と著者は報告している。↩
- R1(WP 2025年7月)表2(p.44)、p.16。標準偏差は売上原価1.859・販管費1.972。↩
- R1(WP 2025年7月)p.17、図1(p.41)。いずれも図から読んだ概数として論文が記載した値。2018・2019年度は値が低く、除いても主要な結果は変わらないと著者は述べる(脚注11)。↩
- R1(WP 2025年7月)p.16〜17(新基準の区分に当たる内訳を出す企業の割合)、表2(p.44。「その他」の平均は売上原価1.156・販管費0.813、新基準の区分は0.422・0.313)、p.19〜21・表3(決定要因)。業績との負の関係は、悪業績を表す第4主成分の符号を反転させた指標(Performance)との負の関連として報告されている(p.21)。↩
- R1(WP 2025年7月)p.22〜23、表4(p.46〜47)。売上原価の構成要素は6組中5組で係数の差が5%水準で有意、販管費は6組すべてで10%水準でも有意でない。↩
- R1(WP 2025年7月)p.25、表5(p.48)。サプライズと売上原価の分解の交差項は、統制変数との交差項を含む推定で0.0528(10%水準で有意)、含まない推定で0.0734(1%水準で有意)。16.5%は 1.859×0.0528÷0.595 として論文が計算した値。販管費の交差項は有意でない。↩
- R1(WP 2025年7月)p.26〜27、表7(p.50)。正確性は、翌年度のコンセンサス予想の絶対誤差を株価で割り100倍して負号を付けた値(付録B, p.39 の変数定義)。売上原価の分解の係数は、予想の正確性で0.2053(5%水準で有意)、ばらつきで−0.0828(1%水準で有意)。8.0%・12.1%は論文の記載値で、表2の平均(−4.787・1.277)を用いた編集部の検算と一致する。↩
- R1(WP 2025年7月)p.27〜29、表8(p.51)。費用側のサプライズは、アナリストの売上予想と利益予想の差から逆算した費用予想を使って測っている。↩
- R1(WP 2025年7月)p.26、表6(p.49)。10-K 提出後の約60日間の超過リターンで(本文 p.25 は提出2日後〜61日後、表の変数名は2日後〜60日後と記し、原典内で定義が食い違う)、サプライズと販管費の分解の交差項が正で5%水準で有意。「織り込みを妨げる可能性」は著者の解釈。↩
- R1(WP 2025年7月)p.29〜30(VI 節)。著者らは、売上原価の価値関連性は販管費の約4倍とする Barth らの2023年の研究も引いている。↩
- R3(Holzman, Marshall, Schroeder and Yohn, 2021)。本稿では原論文の本文を確認しておらず、R1 p.10〜11・p.22 の紹介による。↩
- R1(WP 2025年7月)p.8・p.33〜34(VII 節)。↩
- R1(WP 2025年7月)p.6〜8、p.33。作成費用を測っていないこと、債権者や取締役など他の利用者への影響を調べていないことも著者が限界として挙げている。↩
- R2(Berger, Choi and Tomar, 2019年6月の WP 版)p.2・p.4。開示傾向は1標準偏差あたり6.3%・4.7%低下、売上総利益の増加率は標本の平均に対する比率。2024年の掲載版(Management Science 70(3))の要旨(Crossref の登録内容)は、非開示後に収益性が1.6%ポイント上昇したと記す。WP 版の6.3%(売上総利益の増加率)とは指標・単位が異なり、標本・推定を含む両版の異同は確認していない(掲載版の本文は未読)。↩
- R1(WP 2025年7月)p.30〜31、表9(p.52〜53)。アナリストの予想精度との関連は「その他」の売上原価の内訳(5%水準)と棚卸資産・製造の内訳(10%水準)に見られた。株価反応は新基準の区分に当たる内訳で見られた。↩
- R1(WP 2025年7月)p.6〜7。↩
- R6(連結財務諸表規則)第52条・第53条・第55条第2項、R7(財務諸表等規則)第75条第2項・第85条第2項。e-Gov 法令検索の2026年8月7日施行の版で確認(2026年10月24日)。個別財務諸表の販管費の主要な費目は、減価償却費・引当金繰入額と10%超の費目。↩
- R4(IFRS Foundation, Project Summary: IFRS 18, 2024年4月)p.15。初年度に前年度の比較情報も組み替える(遡及適用)。3月決算の会社の適用開始年度は、この規定から編集部が当てはめたもの。↩
- R6(連結財務諸表規則)第312条。金融庁長官の告示による指定の状況は本稿では確認していない。↩
- R8(ASBJ「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」2026年10月23日)p.1〜4。開発中の会計基準・指針と審議中のテーマ(のれんの会計処理及び開示に関する検討、2026年10月開始)が挙がっている。↩
- R1(WP 2025年7月)p.31〜33(VI 節)。結果は表にされておらず(untabulated)、論文の記述による。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Blann, J. J. and J. R. Moon, Jr. (2026), “Income Statement Expense Disaggregation,” The Accounting Review 101(3): 137-165. DOI: 10.2308/tar-2023-0545. 参照した版:著者公開のワーキングペーパー版(2025年7月、53ページ)。査読:済(掲載版の本文は未確認)。 scheller.gatech.edu (参照箇所:WP 版 p.1〜34、表1〜表9(p.43〜53)、図1(p.41)。ページは PDF の物理ページ。脚注1・3〜13・15・16・18・19・24の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Berger, P. G., J. H. Choi and S. Tomar (2024), “Breaking it Down: Economic Consequences of Disaggregated Cost Disclosures,” Management Science 70(3): 1374-1393. DOI: 10.1287/mnsc.2023.4780. 参照した版:WP 版「Breaking it Down: Competitive Costs of Cost Disclosures」(2019年6月9日、54ページ)と掲載版の要旨(Crossref に出版社が登録した要旨、2026-10-25 取得)。査読:済(掲載版の本文は未確認)。 mitsloan.mit.edu (参照箇所:2019年 WP 版 p.2・p.4(脚注4)・p.6。脚注17の根拠。控え papers/P0076/related/berger_choi_tomar_2019_wp_fulltext.txt。閲覧日:2026年10月)
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- R4 IFRS Foundation (2024), “Project Summary: IFRS 18 Presentation and Disclosure in Financial Statements,” April 2024. ifrs.org (参照箇所:p.13(費用の表示と性質別の注記)、p.15(適用開始・遡及適用)。脚注2・21の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R5 Financial Accounting Standards Board (2024), “In Focus: Disaggregation of Income Statement Expenses (DISE),” November 2024. storage.fasb.org (参照箇所:p.1〜2。脚注1の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R6 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)、e-Gov 法令検索(2026年8月7日施行の版)。 laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第52条・第53条・第55条・第312条。脚注20・22の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R7 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)、e-Gov 法令検索(2026年8月7日施行の版)。 laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第75条・第85条。脚注20の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R8 企業会計基準委員会(2026)「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」2026年10月23日。 asb-j.jp (参照箇所:p.1〜4。脚注23の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R9 Blann, J. J., Curriculum Vitae(Updated January 2024), Internet Archive 保存版(2024年2月29日)。 web.archive.org (参照箇所:p.1〜2(本論文の学会発表と投稿状況)。脚注3の初出の根拠。SSRN 版の登録は Crossref(DOI 10.2139/ssrn.4576578)。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。