想定読者:決算書や有価証券報告書から、増収の中身(数量か値上げか)を読み取りたい財務分析・経営企画・金融機関の担当者
前提知識:売上高と成長率(%)の計算(物価指数の知識は不要です)

結論:売上を価格指数で割り、増収を「数量」と「価格」に分けて読む

増収の決算を読んでも、伸びたのが販売数量なのか値上げなのかは、売上高だけでは分かりません。数量を開示しない会社・セグメントでは、社内データを使うPVM分析(売上の増減を価格・数量・構成の変化に分ける手法)もそのままでは使えません。そこで、外部の価格指数(基準年の価格を100として物価の動きを表した指数)で名目売上(その年の価格で測った通常の売上高)を割り、基準年の価格で測り直した実質売上を求めます。実質売上の伸びを数量の推定値、残りを価格要因として読みます。

どの指数で割るかが結果を左右します。2026年8月の前年同月比は、消費者物価指数(CPI)(家計が買う財・サービスの価格の指数)の総合で+1.9%、10大費目の「家具・家事用品」で+4.9%、中分類の「家事用消耗品」で+10.1%でした(2025年=100)1。日本銀行の国内企業物価指数(企業物価指数のうち、企業間で取引される財の国内向けの価格を生産者段階で調べたもの。2020年平均=100、速報)は、総平均で+7.6%、類別の「プラスチック製品」で+11.2%でした2。家事用消耗品の会社がCPIの総合を当てると、価格上昇率を5分の1以下に見積もることになります。

手順は3段階です。式で名目成長率を実質成長率と価格上昇率に分け、売り先に合う指数を選び(図表1)、分解表(図表2・3)と開示数量との突き合わせ(図表4)から増収の質を分析メモに書きます。この方法は、自社の価格が指数と同じように動くという仮定に基づく推定で、事実(開示値)とは分けて扱います。

分解式:(1+名目成長率)=(1+実質成長率)×(1+価格上昇率)

名目値は物価の変動を含んだ値、実質値は物価の影響を除いた値です。名目値を物価の指標(デフレーター)で調整して基準年と比べられるようにする考え方は、国内総生産(GDP)の名目・実質換算と共通です3(GDP全体の指数の作り方は用語集のGDPデフレーター)。会社の売上高にも同じ割り算を使います。

実質売上と成長率の分解式
実質売上=名目売上÷(価格指数÷100)
(1+名目成長率)=(1+実質成長率)×(1+価格上昇率)
実質成長率=(1+名目成長率)÷(1+価格上昇率)-1

実質売上は「基準年の価格で評価した売上」で、実質成長率は数量の伸びの推定値として読みます。指数を別の年=100に付け替えても成長率は変わりません(FAQ)。式を展開すると、名目成長率=実質成長率+価格上昇率+交差項(実質成長率×価格上昇率)です。

名目成長率から価格上昇率を引いて実質成長率とする簡便法は、交差項の分だけずれます。学習用の仮定として、名目+12.0%、価格+10.0%とします。厳密な実質成長率は1.12÷1.10-1=+1.8%ですが、引き算では+2.0%で、差の0.2ポイントは実質成長率の1割にあたります。値上げ幅が大きいほど差が広がるため、割り算で求めます。

社内に数量と単価のデータがあるなら、PVM分析のほうが確実です(Price-Volume-Mix分析の実務)。外部の指数による実質化は数量が見えない場合の推定で、構成の変化(高単価品へのシフトなど)は分けられません。

価格指数の選び方:売り先・価格の段階・粒度をそろえる

選ぶ基準は3つです。1つ目は売り先(消費者向けか企業向けか、財かサービスか、輸出か)、2つ目は価格の段階で、指数が調べる取引段階と自社の売上が計上される段階をそろえます。日本銀行も、企業物価指数の価格の調査段階・時点を、実質GDPの算出で実質化の対象となる出荷額などとそろえていると説明しています4。3つ目は粒度で、総合ではなく自社の品目に最も近い類別・品目を選びます。図表1は、売り先ごとの対応です。

図表1:価格指数の選び方(売り先と価格の段階ごとの対応)
売り先と商品当てる指数(作成機関)価格の段階と粒度使うときの注意点
消費者向けの財・サービス(日用品・外食など)消費者物価指数CPI(総務省統計局)小売段階の価格。10大費目→中分類→小分類→品目(589品目)。財は448品目、サービスは141品目消費税を含む。ウエイトは2025年の家計消費支出で固定。サービスのウエイトの約3分の1は持家の帰属家賃
企業向けの財(素材・部材・機械など)国内企業物価指数(日本銀行)生産者段階の出荷時点の価格。23類別・515品目(2020年基準)消費税を含むベース(除く参考指数あり)。2025年基準への移行は2027年央の予定
企業向けのサービス(リース・警備・建物サービスなど)企業向けサービス価格指数SPPI(日本銀行)生産者段階の価格。26類別・146品目(2020年基準)個人向けサービスと小売サービスは対象外
輸出する財輸出物価指数(日本銀行)通関段階の船積み時点のFOB(本船渡し)価格。7類別・184品目(2020年基準)円ベースは為替の動きを反映する。契約通貨ベースと使い分ける
単位:品目数は個。対象:2026年10月時点で公表されている指数(CPIは2025年基準、ほかは2020年基準)。出所:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説」、日本銀行「企業物価指数(2020年基準)の概要」「企業向けサービス価格指数(2020年基準)の概要」を基に大手町プレップ作成。加工内容:売り先ごとの対応づけは編集部の整理。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

各指数の内容は、CPIは総務省統計局5、国内企業物価指数と輸出物価指数は日本銀行6、企業向けサービス価格指数も日本銀行7の解説によります。

CPIは家計が買う財・サービスの小売段階の価格、企業物価指数は企業間で取引される財の生産者段階の価格を調べ、対象と段階が違います8。メーカーが小売店や卸へ出荷する場合、売上は小売価格ではなく出荷価格で計上されるため、消費者向けの製品でも企業物価指数の該当類別が近いことがあります。迷ったら複数の指数を当てて、推定値の幅で示します。コスト側に当てる指数は費目ごとに物価指数を当ててコスト前提を作るで扱います。

基準年にも注意が必要です。2026年10月時点で、CPIは2025年基準(2025年=100)、国内企業物価指数と企業向けサービス価格指数は2020年基準(2020年=100)で、国内企業物価指数の2025年基準への移行は2027年央の予定で、改定をまたぐ期間は、過去の指数を新しい基準と比べられるよう換算した接続指数を使います9。基準年の違う指数の水準は比べず、変化率を使うか、X1年度=100に付け替えて使います。期間は決算期の平均の指数に合わせます(CPIは3月分の公表時に年度平均指数を公表します10)。

Z社の5年分:名目売上を実質化し、数量と価格に分ける

以下は学習用の架空事例です。日用品メーカーのZ社(連結売上はX1年度400億円、X5年度500億円。単位は億円)の2つのセグメントを扱います。X1〜X5年度は特定の暦年ではありません。

  • 家庭用品:自社通販と直営店で消費者へ直接売る割合が高いと仮定し、CPIの中分類に相当する指数を当てます。出荷数量(百万個)を開示している設定です。
  • 樹脂部材:企業向けに出荷するため、国内企業物価指数の類別(プラスチック製品に近い品目)に相当する指数を当てます。数量は開示していません。

価格指数はどちらも学習用の架空値で、X1年度=100に付け替えています。計算は次の順です。

  1. 実質売上を求めます。家庭用品のX5年度は、280÷(111.7÷100)=250.7億円(X1年度の価格で評価した売上)です。
  2. 名目・実質・価格の前年比を求めます。家庭用品のX5年度は、名目+4.9%、実質+0.5%、価格+4.4%です。
  3. Z社合計の実質売上は2つのセグメントの合計とし、合計の価格指数は名目÷実質×100で逆算します(GDPデフレーターと同じ作り方です)。
図表2:名目売上の実質化と、数量・価格の分解(Z社、X1〜X5年度)
年度名目売上(億円)価格指数(X1年度=100)実質売上(億円)名目成長率(%)実質成長率(%)価格上昇率(%)交差項(ポイント)
家庭用品(CPIの中分類に相当する架空の指数)
X1年度235100.0235.0----
X2年度242101.0239.6+3.0+2.0+1.00.0
X3年度252103.0244.7+4.1+2.1+2.00.0
X4年度267107.0249.5+6.0+2.0+3.90.1
X5年度280111.7250.7+4.9+0.5+4.40.0
樹脂部材(国内企業物価指数の類別に相当する架空の指数)
X1年度165100.0165.0----
X2年度178101.7175.0+7.9+6.1+1.70.1
X3年度191104.5182.8+7.3+4.4+2.80.1
X4年度202109.2185.0+5.8+1.2+4.50.1
X5年度220115.2191.0+8.9+3.2+5.50.2
Z社合計(価格指数は名目÷実質×100で逆算)
X1年度400100.0400.0----
X2年度420101.3414.6+5.0+3.7+1.30.0
X3年度443103.6427.4+5.5+3.1+2.30.1
X4年度469107.9434.5+5.9+1.7+4.10.1
X5年度500113.2441.6+6.6+1.6+4.90.1
単位:売上は億円、成長率は前年比(%)、交差項はポイント。実質売上はX1年度の価格で評価。対象期間:X1〜X5年度。小数第2位を四捨五入(計算は丸める前の値)、合計の実質売上は丸める前の値の合計。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表2のとおり、Z社の名目売上はX1年度の400億円からX5年度の500億円へ、年平均成長率(CAGR)(複利で均した1年あたりの成長率)で+5.7%伸びました。しかしX1年度の価格で測り直した実質売上は441.6億円で、CAGRは+2.5%にとどまります。X5年度の名目+6.6%のうち、実質は+1.6%、価格は+4.9%で、交差項は0.1ポイント未満です。表示値の足し算は、四捨五入のため0.1ずれることがあります。

増収の質を読む:価格寄与比率で値上げ頼みを見分ける

名目成長率のうち、実質成長率を除いた部分が価格の寄与で、交差項は価格側に含めます。PVM分析が価格差異を実績数量で測るのと同じ置き方です。

価格寄与と価格寄与比率
価格寄与(ポイント)=名目成長率-実質成長率(=価格上昇率+交差項)
価格寄与比率(%)=価格寄与÷名目成長率×100

目安として、価格寄与比率が50%未満なら数量主導、50%以上70%未満なら併進、70%以上なら値上げ頼みの疑いとします。実質成長率がマイナスなのに名目成長率がプラスなら、数量減を値上げで補っていると読みます。これは編集部の整理した社内ルールの例で、公的な基準ではありません。自社の過去の値上げ局面を見て決めます。

図表3は、Z社合計の名目成長率を数量と価格に分けたものです。X2年度は名目+5.0%のうち価格が+1.3ポイント(価格寄与比率27%)、X3年度は+5.5%のうち+2.4ポイント(44%)でしたが、X4年度は+5.9%のうち+4.2ポイント(72%)、X5年度は+6.6%のうち+5.0ポイント(75%)へ上がり、値上げ頼みの疑いに入ります。セグメント別では、家庭用品がX5年度に91%、樹脂部材がX4年度に79%です。

図表3:Z社の名目成長率を、数量と価格に分ける(架空) 数量(実質成長率) 価格(名目成長率-実質成長率) 単位:%(前年比) 02468 +3.7 +1.3 名目 +5.0% +3.1 +2.4 名目 +5.5% +1.7 +4.2 名目 +5.9% +1.6 +5.0 名目 +6.6% X2年度 27% 数量主導 X3年度 44% 数量主導 X4年度 72% 値上げ頼みの疑い X5年度 75% 値上げ頼みの疑い 価格寄与比率 価格寄与比率=価格寄与÷名目成長率。70%以上を「値上げ頼みの疑い」とするのは社内ルールの例です。
単位:%(前年比)。対象期間:X2〜X5年度(Z社合計)。数量は実質成長率、価格は名目成長率から実質成長率を引いた値(交差項を含む)。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

値上げ頼みであること自体が悪いわけではなく、続けられるかが論点です。値上げ後の数量の反応は価格弾力性を自社データで見積もる手順で確かめます。値上げが一巡すると価格寄与は縮むため、数量が伸びなければ名目成長率も鈍ります(ディスインフレとデフレを区別する)。

開示数量との突き合わせ:推定値と開示値の差を読む

販売数量や生産実績などの数量を開示している会社なら、推定を開示値で確かめられます。Z社の家庭用品は出荷数量を開示している設定です。指数からの推定(実質成長率)と開示値を並べ、差(開示-推定)を読みます。売上÷数量の単価の伸びも、指数の伸びと比べます。

図表4:家庭用品の開示数量と、価格指数による推定値の突き合わせ(Z社、X1〜X5年度)
年度出荷数量(百万個)開示数量の伸び(%)推定数量の伸び(%)差(ポイント)売上÷数量の伸び(%)価格指数の伸び(%)差(ポイント)
X1年度120.0------
X2年度122.0+1.7+2.0-0.3+1.3+1.0+0.3
X3年度124.3+1.9+2.1-0.2+2.2+2.0+0.2
X4年度125.0+0.6+2.0-1.4+5.4+3.9+1.5
X5年度122.5-2.0+0.5-2.5+7.0+4.4+2.6
単位:出荷数量は百万個、伸びは前年比(%)、差はポイント(開示-推定、単価の伸び-指数の伸び)。推定数量の伸びは図表2の家庭用品の実質成長率。対象期間:X1〜X5年度。開示数量は架空。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表4のとおり、X2・X3年度は開示値と推定値の差が0.3ポイント以内で、指数が自社の価格の動きをおおむね表していたと読めます。X4・X5年度は、開示値が推定値より1.4ポイント・2.5ポイント低く、売上÷数量の単価は指数より1.5ポイント・2.6ポイント速く上がっています。X5年度は、推定では数量が+0.5%の微増でしたが、開示値では-2.0%の減少で、増収の質は推定から受ける印象より弱いと読めます。

差の原因の候補は次の3つです。いずれも仮説で、売上高と指数だけでは決められません。

  • 自社の値上げ幅が、指数の品目より大きい。
  • 高価格帯の品目へ構成が移った。
  • 内容量やサイズが変わった(個数の数量開示には現れない)。

値上げの時期と対象品目、品目別の構成、内容量の変更を、決算説明資料などで確認します。開示される「販売数量」の定義(出荷ベースか販売ベースか、個数か重量か)は企業ごとに異なるため、比べる前に確認します。客数と客単価を開示する小売・外食では、客数が数量に近い指標です(既存店売上高伸び率)。

推定の限界:指数と自社の価格がずれる理由

  • 品質調整による価格のずれ:指数は品質を固定した価格の動きを測ります。CPIは調査銘柄を変更するとき、品質や容量の違いによる価格差を除いて接続します11。企業物価指数も品質調整を行い、品質変化分が把握できない場合は指数が横ばいになるよう接続します12。性能向上に伴う値上げは指数に出にくく、値札とずれます。
  • 内容量の変更:内容量を減らして価格を据え置く実質値上げは、売上高だけでは検出できません。CPIは容量比による換算や単位重量当たりの価格で、内容量の変化を価格の変化に反映します(例:1袋70gを80gに増量して価格を据え置くと、価格指数は下がる)13。開示数量の単位と内容量の変更の有無を確認します。
  • 固定ウエイトと構成の変化:CPIは2025年の家計消費支出、国内企業物価指数は2019・2020年の平均出荷額で、品目のウエイトを固定した指数です14。自社の品目構成が変わると指数とずれるため、品目を細かく分けて当てます。
  • 消費税:CPIと国内企業物価指数は消費税を含むベースで作られています15。売上高が税抜(税抜経理方式)の会社では、消費税率が上がる年は指数に税率の上昇分も含まれるため、実質売上が小さく出ます。国内企業物価指数には消費税を除いた参考指数があります。

分析メモの書き方:推定と開示を分けて結論を書く

分析メモは、結論、根拠、推定の前提、確認事項の順に書くと伝わります。図表2〜4をもとにしたZ社の例です。

分析メモの例(Z社)
結論:X4・X5年度の増収は、値上げへの依存度が高まった。
根拠:名目売上はX1年度400億円からX5年度500億円(CAGR+5.7%)。価格指数で実質化した実質売上(X1年度価格)は441.6億円(CAGR+2.5%)。X5年度の名目+6.6%のうち、価格寄与は+5.0ポイント(75%)。家庭用品の開示数量はX5年度に-2.0%で、推定(+0.5%)より弱い。
前提:価格は指数と同じに動くという仮定の推定。樹脂部材は数量の開示がなく推定のみ。
確認事項:家庭用品の数量の定義(個数か重量か)、値上げの時期と品目、内容量の変更。

実務チェックリスト

  • 売り先(消費者・企業、財・サービス、輸出)と、売上が計上される価格の段階を確認したか
  • 指数は自社の品目に最も近い類別・品目か。複数の指数で推定値の幅を見たか
  • 指数の基準年、決算期に合う期間平均、消費税の扱い(税込か税抜か)をそろえ、実質成長率を割り算で求めたか
  • 開示数量や客数などの開示値があれば、推定値と並べて差の原因を確認したか(数量の定義も)
  • メモで推定と開示、仮説と事実を書き分け、確認事項を残したか

よくある質問(FAQ)

CPIの基準年(2025年=100)と企業物価指数の基準年(2020年=100)が違います。実質売上を合算できますか。

基準年の違う指数のまま実質化した売上は、評価する価格の年が違うため合算できません。各指数をX1年度の値で割って100を掛け、X1年度=100に付け替えてから実質化し、足します。付け替えても上昇率は変わらないため、成長率の分解結果は変わりません。

売上の多くが外貨建てです。どの指数を当てますか。

輸出物価指数の円ベースは、外貨建ての価格を円に換算する際に為替相場の動きを反映します16。円換算した売上を円ベースの指数で割ると、為替の影響が価格要因に混ざります。契約通貨ベースで数量と価格に分け、為替は別の要因として示す方法が整理しやすいと考えます(編集部の見解)。

まとめ

名目売上を価格指数で割って実質売上を求め、名目成長率を実質成長率(数量の推定値)と価格寄与に分けると、数量を開示しない会社の増収の質も読めます。指数は売り先・価格の段階・粒度で選びます。Z社の名目売上のCAGR+5.7%に対して実質売上のCAGRは+2.5%で、X4・X5年度は価格寄与比率が7割を超えました。推定値は開示数量と突き合わせ、仮説と事実を分けて書きます。

脚注

  1. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)8月分」(令和8年9月18日公表)p.1 表1、p.2 表3と同ページの「総合指数の前年同月比に寄与した主な内訳」。総合は指数102.2(2025年=100)で前年同月比+1.9%、10大費目の家具・家事用品は+4.9%、中分類の家事用消耗品は+10.1%(参考文献 R1)。このPDFは毎月の公表で差し替わるため、数値は2026年10月2日時点の版による。↩
  2. 日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」(2026年9月11日公表)p.3。国内企業物価指数(2020年平均=100)は総平均が指数136.1で前年同月比+7.6%、類別のプラスチック製品が130.5で+11.2%(参考文献 R2)。国内企業物価指数が、企業間で取引される財のうち国内で生産した国内向けの財の、生産者段階の出荷時点の価格を調べる指数であることは「企業物価指数(2020年基準)の概要」1.・2.(2)(参考文献 R3)。↩
  3. Corporate Finance Institute「Nominal GDP vs. Real GDP」。実質GDPは物価の影響を調整した値で、名目GDPをGDPデフレーターで調整してインフレの影響を除き、基準年と比べられるようにすると説明している。CPIは消費者向けの財の価格だけを対象とするため、GDPの実質化にはGDPデフレーターが適するとも説明している。一般的な概念の参考であり、日本の指数の内容は日本の一次資料で確認した(参考文献 R4)。↩
  4. 日本銀行「企業物価指数(2020年基準)の概要」2.(1)、同「2020年基準 企業物価指数の解説」第1章2(p.2)。名目金額から価格要因を除去して実質値を算出する際のデフレーターとしての機能も持つ。同解説の第6章8-3(p.37)・8-4(p.39)は、デフレーターとして使う場合に、実質化の対象となる出荷額・通関貿易額と価格の調査時点・段階をそろえるためと説明(参考文献 R3、R5)。↩
  5. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説 I 概要」p.1〜3。家計の消費支出が対象、算式はラスパイレス型、基準時とウエイトの参照年次は2025年、指数品目は589品目、価格は小売物価統計調査の小売価格、10大費目・中分類・小分類・品目の順に積み上げ、別掲に「持家の帰属家賃を除くサービス」がある。消費税などの間接税も消費支出に含める(p.1 注2)。同「V 2 財・サービス分類別品目数及びウエイト」(p.167)に、財448品目、サービス141品目、サービスのウエイト(全国、1万分比)4,964のうち持家の帰属家賃が1,634(参考文献 R6、R7)。約3分の1は1,634÷4,964=32.9%の編集部計算。↩
  6. 日本銀行「企業物価指数(2020年基準)の概要」1.・2.(2)(4)(5)。国内企業物価指数は生産者段階の出荷時点の価格を調査し、5大類別・23類別・515品目、消費税を含むベース。参考指数に「消費税を除く国内企業物価指数」。輸出物価指数は通関段階の船積み時点のFOB価格を原則とし、円ベースと契約通貨ベースを作成、7類別・184品目、消費税を含まない(参考文献 R3)。↩
  7. 日本銀行「企業向けサービス価格指数(2020年基準)の概要」1.・2.(2)(3)。企業間で取引されるサービスが対象で個人向けサービスは対象外、主な対象外に小売サービスなど。2020年基準は7大類別・26類別・59小類別・146品目で、消費税を含むベース、サービスの提供者(生産者)段階の価格を調査(参考文献 R8)。↩
  8. 日本銀行「企業物価指数(2020年基準)のFAQ」2-12。消費者物価指数は家計が購入する財・サービスを小売段階で、企業物価指数は企業間で取引される財を生産者段階で調べるなど指数作成方法などが異なるため、対象範囲など各指数の定義を確認して使い分ける必要があると説明(参考文献 R9)。↩
  9. 総務省統計局「2025年基準改定について」。2025年基準の指数は2025年の平均を100とした指数で、遡及結果を令和8年8月7日に公表。接続指数は過去の指数を2025年基準の指数と比較できるよう換算したもの(参考文献 R10)。企業物価指数も過去の基準の指数を2020年基準の分類に組み替えた接続指数を作成(「企業物価指数(2020年基準)の概要」2.(9)、参考文献 R3)。日本銀行「企業物価指数・2025年基準改定の基本方針」(2026年6月)p.17「6.おわりに」に、2025年基準改定結果の公表と新基準指数への移行は現時点では2027年央を予定とある(参考文献 R11)。企業向けサービス価格指数は、日本銀行の公表データ一覧で2020年基準として2026年8月分が2026年9月28日に掲載(参考文献 R12)。↩
  10. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説 I 概要」p.4「4 指数の公表」。12月分の公表時に年平均指数を、3月分の公表時に年度平均指数を公表(参考文献 R6)。↩
  11. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説 III 第2 比較時価格の算出時における品質調整」p.16。調査銘柄を変更した場合に、新旧の銘柄の品質・パッケージ容量の違いによる価格差が指数に入り込まないよう、品質差を定量的に評価して反映し、オーバーラップ法、容量比による換算、ヘドニック法などから最適な方法を選ぶ(参考文献 R13)。↩
  12. 日本銀行「企業物価指数(2020年基準)の概要」2.(6)。調査価格の変更時に、新旧商品の品質変化による価格変動分を除去するよう努め、把握が困難な場合はやむを得ず指数が横ばいとなるよう接続する(参考文献 R3)。↩
  13. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説 III 第2 比較時価格の算出時における品質調整」p.17「(2) 容量比による換算」。価格の調査単位を重量(容量)とする品目では、重量の変更による実質的な価格の変更が価格指数に反映される。ポテトチップスを1袋70gから80gに増量して1袋の価格を据え置いた場合は、単位重量当たり価格が下落し、価格指数も下落する(参考文献 R13)。↩
  14. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説 I 概要」p.1〜2(基準時加重相対法算式〈ラスパイレス型〉、ウエイトは主に家計調査の2025年平均の品目別消費支出金額)(参考文献 R6)。日本銀行「企業物価指数(2020年基準)の概要」2.(2)(3)・(7)(固定基準ラスパイレス指数算式、国内企業物価指数のウエイトは2019年と2020年の国内向け出荷額の平均)(参考文献 R3)。↩
  15. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説 I 概要」p.1 注2(消費税などの間接税も消費支出に含める)(参考文献 R6)。日本銀行「企業物価指数(2020年基準)の概要」2.(2)(国内企業物価指数は消費税を含むベースで作成、参考指数として消費税を除く国内企業物価指数)(参考文献 R3)。↩
  16. 日本銀行「企業物価指数(2020年基準)のFAQ」2-28。円ベースの指数は外貨建ての調査価格を銀行の対顧客電信直物相場(月中平均の仲値)で円価格に換算して指数化し、その月に取引がなく外貨建て価格が横ばいでも、為替相場が変化すれば円建ての指数は変動する(参考文献 R9)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。