この​記事で​分かる​こと

  • ユニタリーチャージ(サービス対価・サービス購入料)の定義と、利用料金型との違い
  • アベイラビリティ型・利用量連動型(シャドートール)・利用料金型の収入構造
  • 年間1,200のサービス対価の設例で、CFADS・DSCRと減額の影響を計算
  • 日本のPFI法・類型との関係と、レンダーが見る減額条項・公共側の信用

30秒で​分かる​定義

ユニタリーチャージ(Unitary Charge)とは、PFI・PPPで公共主体が、施設の整備・維持管理・運営といったサービスの対価として事業者(SPC)に支払う対価です。施設が利用可能な状態にあるかどうか(アベイラビリティ)や、サービス水準に応じて支払う型が代表的で、要求水準を満たさないときは支払が減額されます。読み方は「さーびすたいか(ゆにたりーちゃーじ)」です。

英国のPFIで広く使われた用語で、日本のPFI実務では「サービス購入料」「サービス対価」と呼ばれることがあります。PFIの事業方式(BTO・BOT・BOO)が施設の所有権の移転に着目した分類であるのに対し、本ページは収入の構造を扱います(PFI​事業方式)。

なぜ実務で​重要なのか

銀行・インフラファンドのPF担当、SPCに出資する建設・運営会社、自治体や国の担当者が、事業の収入構造とリスク配分を設計する際に使います。事業者の収入の大半がサービス対価の場合、融資の返済原資は、公共側の支払の確実性と、減額が生じる可能性で決まります。PPP全体の位置づけはPPP・​PFIで扱っています。

収入モデルの違いがDSCRやバンカビリティ(融資のつきやすさ)に与える影響はPPPの​アベイラビリティペイメントと​利用料金方式に整理しています。

計算式​(または仕組み)

収入の型支払の根拠需要リスク主な特徴
アベイラビリティ型施設が利用可能で、要求水準を満たしていること主に公共側(契約による)利用者数に左右されず、未達時は減額
利用量連動型(シャドー・トール)利用量(交通量・利用者数など)× 単価事業者・公共側が分担利用者からは料金を取らず、公共が利用量に応じて支払う
利用料金型(独立採算型)利用者から直接収受する料金事業者公共は対価を支払わない。需要が収入を決める

日本の整理では、PFI事業の類型として、独立採算型、混合型、サービス購入型が示されています[1]。混合型は、利用料金とサービス購入料の両方を収入とする型です。これは事業者の収入源(公共の支払か利用者の料金か)による分類で、上の表の支払額の決め方(利用可能性か利用量か)とは別の軸です。サービス購入型でも利用量に連動する支払部分を含む設計はあり得るため、名称だけで需要リスクの所在は決まりません。内閣府の資料も、事業案件ごとに官民のリスク分担が異なると留保しています[1]。

月次の支払額 = 基本サービス対価 − 減額 ± 物価等による改定
CFADS = サービス対価 − 維持管理運営費 − SPC運営費 − 公租公課
DSCR = CFADS ÷ 元利返済額

サービス対価は、一般に、施設整備費相当(融資の元利返済の原資)、維持管理・運営費相当、SPCの経費・利益に分けて設定されます。減額の式や改定の指標は、案件ごとの契約で定められます。

整数設例で​確認する

設例(架空数値)。単位は百万円。事業期間15年のサービス購入型(支払はアベイラビリティ型のみ)で、年間のサービス対価は1,200(月額100)とします。維持管理運営費400、SPC運営費60、公租公課40、元利返済560とします。

① CFADS = 1,200 − 400 − 60 − 40 = 700
② DSCR = 700 ÷ 560 = 1.25倍、出資者への分配原資 = 700 − 560 = 140

架空の減額式:減額 = 月額サービス対価 × 利用不能日数 ÷ 当月の日数。ある月に施設が3日間利用できなかったとします(当月30日)。

③ 減額 = 100 × 3 ÷ 30 = 10(当月の支払は90)
④ 年間のCFADS = 700 − 10 = 690、DSCR = 690 ÷ 560 = 1.23倍(1.232)、分配原資 = 690 − 560 = 130

項目減額なし3日間の利用不能で減額あり
サービス対価(年)1,2001,190
CFADS700690
DSCR1.25倍1.23倍
分配原資140130(−7.1%)

減額10は、サービス対価の約0.8%、CFADSの約1.4%にすぎませんが、分配原資では約7.1%に当たります。レバレッジの高い案件ほど、減額が出資者に与える影響が大きくなります。

リスク​配分への​影響

アベイラビリティ型では、事業者は、需要リスクを負わない代わりに、建設・性能・運営のリスクを負います。事業者はこのリスクを、建設会社や運営会社との契約(減額を下請けに転嫁する条項)で配分するのが一般的です。

融資の審査では、(1) 公共側の支払の信用と予算措置、(2) 減額の発生条件と上限、(3) 物価改定の条項、(4) DSCRの余裕(設例では1.25倍)を確認します。借入額の決め方はDebt Sizingとは?DSCR・LLCR・ギアリングから借入可能額を決める方法が参考になります。

財務​モデル・​Excelでの​使い方

  • 月次の支払:=基本サービス対価/12*(1+物価改定率*改定対象割合)-減額。減額は =月額*利用不能日数/当月日数 のような式で、契約の式に合わせる。
  • CFADSとDSCR:=サービス対価-維持管理運営費-SPC運営費-公租公課、=CFADS/元利返済。最小値は =MIN()、期間平均は =AVERAGE() で表示する。
  • 減額シナリオ:利用不能日数を0・3・10・30日などに変えた場合のDSCRと分配原資をデータテーブルで一覧にする。
  • 返済設計:サービス対価のキャッシュフローから、DSCRが一定になるよう返済を設計する方法はDebt Sculptingとは?​CFADSから​返済​スケジュールを​設計する​方法で扱っています。

この​用語を​Excelで​「組める」​状態に​する

サービス​対価・​減額・​物価改定から​CFADSと​DSCRを​月次で​計算し、​減額​シナリオの​影響を​分配原資で​示せるようになる。

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実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「ユニタリーチャージは利用者が払う料金だ」→ 公共主体が事業者に払う対価です。利用者から料金を収受するのは利用料金型で、需要リスクは事業者が負います。

誤解2:「サービス購入型なら収入は固定で保証される」→ 要求水準を満たさなければ減額されます。設例では3日間の利用不能で月10の減額が生じます。

誤解3:「VFMが高ければ事業者の収益も高い」→ VFM(バリュー・​フォー・​マネー)は公共側の財政負担の比較で、事業者の収益性とは別の指標です。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)日本のPFI法では、公共施設等の整備等(建設、製造、改修、維持管理、運営など)に関する事業で、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して効率的かつ効果的に実施されるものを「特定事業」と定義しています(第2条第2項)[2]。公共施設等運営権の制度では、利用料金を自らの収入として収受する公共施設等運営事業が規定されています(第2条第6項)[2]。

日本のPFI実務では、「ユニタリーチャージ」の名称よりも、「サービス購入料」と呼ばれることが一般的で、施設整備費・維持管理費・運営費などに分けて支払う契約が多いとされます。減額の方法や改定の指標は契約で定められ、案件ごとに異なります。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:アベイラビリティ型のユニタリーチャージで、レンダーが見るポイントは。
「需要リスクは公共側にありますが、施設が利用可能で要求水準を満たすことが支払の条件なので、減額リスクが事業者に残ります。減額の発生条件と上限、公共側の支払能力、物価改定、DSCRの余裕を確認します。設例では、3日間の利用不能で月10の減額が出ても、DSCRは1.25倍から1.23倍に下がる程度です。」

深掘りの観点:減額の下請けへの転嫁、利用料金型との需要リスクの違い、DSCRの最小値と平均値。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. シャドー・トールとは何ですか。
A. 道路などで、利用者から料金を取らず、公共側が交通量などの利用量に応じて事業者に支払う方式です。利用量が収入を決めるため、需要リスクの一部を事業者が負います。

Q. サービス対価は物価で改定されますか。
A. 契約で定められた指標(物価指数など)と対象部分(維持管理費など)に応じて改定されるのが一般的です。具体的な指標・頻度は案件ごとの契約で決まります。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. 内閣府 民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)「PFI事業の概要」(PPP事業類型の図:独立採算型・混合型・サービス購入型). https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/aboutpfi/pdf/pfijigyou_gaiyou.pdf(2026年11月参照)
  2. e-Gov法令検索「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」第2条第2項・第6項. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC1000000117(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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