この​記事で​分かる​こと

  • 関連会社の定義と、議決権20%以上・15%以上20%未満の判定基準
  • 子会社・関連当事者との違いと、持分法を適用する範囲
  • 持分法投資利益と配当による投資額の変化を、整数設例で検算
  • 連結PL・CFでの表示と、財務モデル・EVブリッジでの扱い

30秒で​分かる​定義

関連会社(かんれんがいしゃ、Affiliated Company/Associate)とは、子会社以外の会社等で、出資・人事・資金・技術・取引などの関係を通じて、その財務および営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる会社です。財務諸表等規則は、会社等および当該会社等の子会社がこのような影響を与えることができる、子会社以外の他の会社等を関連会社と定義しています[1]。議決権の20%以上を自己の計算において所有していることが目安で、連結財務諸表では持分法で会計処理します。

子会社のように全体を連結するのではなく、投資先の損益のうち自社の持分に応じた額を取り込むのが持分法です。会計処理は連結会計・​持分法で全体像を扱い、本ページは判定と会計処理の基礎に絞ります。

なぜ実務で​重要なのか

IB・PE・FASは、企業価値(EV)から株主価値を求めるEVブリッジで、関連会社への投資をどう加減するかを判断します。持分法投資損益は営業利益に含まれないため、EBITDAベースの倍率評価と整合させる必要があります。評価の実務は持分法適用会社株式の​評価​(EVブリッジにおける取扱い)で扱っています。エクイティ・リサーチは、総合商社など関連会社の損益が大きい業種で、持分法損益の見方が重要です。総合商社の事例は総合商社の​決算を​分解して​読むで確認できます。経営企画は、出資比率の変更や追加出資で、関連会社から子会社へ(またはその逆)なる場合の影響を見ます。

計算式​(または仕組み)

判定は、議決権の所有割合と、人事・融資・技術・取引などの実質的な関係で行います。財務諸表等規則の要件を整理すると、次のとおりです[1]。

区分要件
議決権20%以上自己の計算で議決権の20%以上を所有している場合
議決権15%以上20%未満次のいずれかの要件にも当たる場合:役員等の就任、重要な融資、重要な技術の提供、重要な販売・仕入などの取引、その他重要な影響を与えられることが推測される事実
緊密な者との合算自己と緊密な関係があり同一内容の議決権を行使すると認められる者等の議決権を合わせて20%以上で、上記の追加要件(役員就任・融資・技術・取引など)のいずれかに当たる場合
共同支配企業複数の独立した企業が契約等に基づいて共同で支配する企業に当たる場合

いずれも、財務上または営業上若しくは事業上の関係からみて、重要な影響を与えることができないことが明らかであると認められるときは、関連会社に当たりません[1]。再生手続・更生手続・破産手続などの開始決定を受けた会社で、重要な影響を与えることができないと認められるものも、20%以上基準の対象から除かれます[1]。

持分法投資損益 = 関連会社の当期純利益 × 持分比率(のれんの償却や未実現損益の消去などの調整前)
投資額(期末) = 投資額(期首) + 持分法投資損益 − 配当金の受取額

持分法では、投資額を被投資会社の資本と損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、連結決算日ごとに修正します。被投資会社から配当金を受け取った場合は、配当金相当額を投資額から減額します[2]。連結財務諸表上、持分法による投資損益は、営業外収益または営業外費用の区分に一括して表示します[2]。

整数設例で​確認する

設例(架空数値)。単位は百万円。A社が関連会社B社の議決権30%を取得原価3,000で取得した(B社の純資産10,000の30%と同額で、のれんは生じないと仮定)。当期のB社の当期純利益は800、配当は200とします。

  • 持分法投資利益 = 800 × 30% = 240(営業外収益)
  • 投資額 = 3,000 + 240 = 3,240
  • 配当金の受取額 = 200 × 30% = 60。投資額から減額し、3,240 − 60 = 3,180
  • 検算:B社の期末純資産 = 10,000 + 800 − 200 = 10,600、その30% = 3,180 で一致

持分法では、B社が稼いだ利益のうち自社の持分(240)が当期純利益に入りますが、現金で受け取ったのは配当の60だけです。差額の180は、投資額(貸借対照表)に残ります。のれんの償却、未実現損益の消去、被投資会社の会計方針の統一などの調整は、この設例では省略しています。

PL・​BS・​CFへの​影響

PL:持分法による投資損益は、営業外収益または営業外費用に一括表示されるため、営業利益・EBITDAには含まれません[2]。設例では営業外収益に240が加わります。

BS:投資額は、貸借対照表の投資その他の資産(科目名は会社により異なる)に表示され、設例では期末3,180になります。

CF:間接法の営業CFでは、持分法による投資利益240を非資金損益として差し引き(−240)、現金で受け取った配当60を「利息及び配当金の受取額」として加算します[3]。受取配当金を営業CFに記載する方法を採用している場合、利益は240でも、営業CFに入るのは60です。受取利息・受取配当金を投資CFに記載する方法を選んでいる場合は、配当60は投資CFに入り、営業CFの増加は0になります[3]。

財務​モデル・​Excelでの​使い方

  • 行の設計:投資額のロールフォワード(期首、+持分法投資損益、−受取配当金、期末)を1ブロックにします。
  • 持分法投資損益:=関連会社の当期純利益 × 持分比率を、営業外収益の行に入れます。
  • CFへの接続:営業CFの調整欄に=−持分法投資損益、配当の受取額を=関連会社の配当 × 持分比率で別行に置きます。
  • EVブリッジ:EBITDAに持分法損益を含めない場合、EVから株主価値を求めるときに関連会社投資(簿価または評価額)を加算する、という手順で整合させます。簿価か時価かは前提に明記します。
  • チェック:投資額の期末残高が、関連会社の期末純資産×持分比率(のれん等の調整前)と大きく乖離していないか確認します。

この​用語を​Excelで​「組める」​状態に​する

関連会社への​投資額の​ロールフォワードを​組み、​持分法損益が​連結​PL・​CF・​EV​ブリッジに​どう​表れるかを​数式で​追えるようになる。

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実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「議決権20%以上なら必ず関連会社」→ 20%以上でも、財務および営業または事業の方針の決定に重要な影響を与えることができないことが明らかなときは該当しません[1]。

誤解2:「20%未満なら関連会社ではない」→ 15%以上20%未満でも、役員の就任・重要な融資・技術提供・重要な取引などの要件に当たれば関連会社になります[1]。

誤解3:「持分法損益は営業利益に含まれる」→ 持分法による投資損益は営業外収益または営業外費用に一括表示されます[2]。EBITDAでの評価では、含めない前提でEVブリッジを組みます。

誤解4:「関連会社と関連当事者は同じ」→ 関連当事者は財務諸表等規則に別に定義があり、関連会社を含みつつ、役員・主要株主なども対象になる、より広い概念です。取引の開示は関連当事者取引で扱います。

確認ポイント:持分比率だけでなく、役員派遣・融資・取引の実態、持分法適用の有無(重要性による不適用)、決算日のずれを確認します。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)関連会社の定義は財務諸表等規則第8条に、持分法の会計処理と開示は企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」に定められています[1][2]。持分法は、非連結子会社と関連会社への投資に原則として適用されますが、連結財務諸表への影響が重要でない場合は適用しないことができます[2]。判定の詳細は、企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」も参照します。

有価証券報告書では、「関係会社の状況」で関連会社が示され、連結財務諸表の注記に持分法の適用範囲が記載されます。財務DDやM&Aでは、関連会社が戦略的な提携先である場合の支配権の移転やコール・プットオプションなどの契約も確認します。連結の判定に関する解説は連結と​持分法|どこからが​「グループの数字」に​なるのかが詳しく扱っています。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:関連会社の判定基準と、持分法の会計処理を説明してください。
「議決権の20%以上を所有していれば原則として関連会社で、15%以上20%未満でも役員の就任や重要な融資・取引があれば関連会社になります。持分法では、被投資会社の当期純利益のうち持分に応じた額を営業外収益に計上し、受け取った配当は投資額から減額します。」

深掘りの観点:持分比率30%の関連会社が純利益800、配当200のとき、投資額と営業CFがどう動くか(設例の240、60、3,180)、EVブリッジでの扱い、子会社との違い、が聞かれます。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. 関連会社の損益は営業利益に入りますか。
A. 入りません。連結財務諸表上、持分法による投資損益は営業外収益または営業外費用に一括して表示されます[2]。

Q. 関連会社への出資比率が上がると、会計処理はどう変わりますか。
A. 支配力基準で子会社に当たるようになると、持分法から連結へ切り替わります。逆に子会社が関連会社に該当するようになる場合もあり、その場合は処理が変わります。個別の事案は基準と適用指針で確認します。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. e-Gov法令検索「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和三十八年大蔵省令第五十九号)第8条第5項・第6項・第8項. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338M50000040059(2026年11月参照)
  2. 企業会計基準委員会(ASBJ)「企業会計基準第16号 持分法に関する会計基準」第6項・第14項・第16項. https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards_system/details.html?topics_id=37(2026年11月参照)
  3. 企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」(1998年3月13日)第二・二・3(利息及び配当金の区分は2方法から選択)、第三・様式2(間接法の調整項目). https://www.fsa.go.jp/p_mof/singikai/kaikei/tosin/1a909b2.htm(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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