この​記事で​分かる​こと

  • 子会社の定義と、支配力基準による判定(議決権の過半数、40%以上50%以下+要件)
  • 関連会社との違いと、連結・持分法の取り込み方の違い
  • 子会社の損益を全額合算し、関連会社は持分だけを取り込む整数設例
  • 連結の範囲の例外(非連結子会社)と、IFRS第10号との関係(2026年11月時点)

30秒で​分かる​定義

子会社(こがいしゃ、Subsidiary)とは、他の会社(親会社)に、財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会など)を支配されている会社です。日本基準では、議決権の過半数の所有だけでなく、実質的に支配しているかで判定する「支配力基準」を採り、親会社は原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めます[3][4][5]。会社法にも子会社の定義があり、会計上の定義と規定は別ですが、考え方は近いものです[1][2]。本ページは、子会社・関連会社の判定と連結・持分法との関係を扱い、連結の手続は連結会計・​持分法で解説しています。

なぜ実務で​重要なのか

子会社に当たるかで、財務諸表の作り方と買収後の数字が大きく変わるためです。IB・PEは、買収対象の子会社構成と非支配株主持分を確認してEVブリッジを組みます(非支配株主持分の​EV​ブリッジ​調整を参照)。FASは、連結の範囲に入る会社の網羅性を財務DDで検証します。経営企画・経理は、出資比率が変わるたびに連結・持分法の区分を見直します。融資担当は、単体と連結のどちらに返済能力があるかを判断します。

計算式​(または仕組み)

財務諸表等規則は、意思決定機関を支配している会社等を、次のように定めています(財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて支配していないことが明らかな場合を除く)[3]。

区分議決権の所有割合追加要件会計上の扱い
子会社過半数不要原則として連結
子会社40%以上50%以下緊密な者・同意者の議決権を合わせて過半数、取締役会の過半数を占める、支配契約の存在、資金調達額の過半について融資、その他支配が推測される事実のいずれか原則として連結
関連会社20%以上不要(重要な影響を与えることができないことが明らかな場合を除く)持分法
関連会社15%以上20%未満役員等の派遣、重要な融資、重要な技術の提供など、重要な影響が推測される事実のいずれか持分法

なお、再生手続・更生手続・破産手続などにある会社で、有効な支配従属関係が存在しないと認められるものは、議決権の所有割合にかかわらず除かれます[3]。連結財務諸表規則は、連結財務諸表提出会社にすべての子会社を連結の範囲に含めることを求めます。ただし、支配が一時的であると認められる子会社と、連結の範囲に含めることで利害関係人の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる子会社は除きます[4]。非連結子会社及び関連会社に対する投資は、原則として持分法で連結貸借対照表に計上します[4]。

整数設例で​確認する

設例(架空数値・単位は百万円)。親会社Aが、各社の議決権を所有しています。

会社議決権他の状況判定
B社55%なし子会社(過半数)
C社45%A社の関係者がC社取締役会の過半数を占める子会社(40%以上50%以下+要件)
D社25%なし関連会社(20%以上)
E社17%A社が重要な融資を行っている関連会社(15%以上20%未満+要件)

次に、子会社S社(A社の議決権80%)を連結する簡略な数値例です。S社の売上高4,000、当期純利益600、A社の売上高10,000、当期純利益1,000、A社とS社の内部売上500を消去します。配当、のれん、未実現利益は考慮しません。

  • 連結売上高 = 10,000 + 4,000 − 500 = 13,500
  • 連結当期純利益 = 1,000 + 600 = 1,600、非支配株主に帰属する当期純利益 = 600 × 20% = 120、親会社株主に帰属する当期純利益 = 1,600 − 120 = 1,480
  • 関連会社D社(25%、当期純利益400)は持分法を適用し、持分法による投資利益 = 400 × 25% = 100。連結当期純利益は 1,600 + 100 = 1,700、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,480 + 100 = 1,580

子会社は売上高や費用を全額取り込み、関連会社は純利益の持分だけを取り込みます。設例では、S社の売上高4,000は連結売上高に入りますが、D社の売上高は入りません。

開示・​規制上の​位置付け

財務諸表等規則は、親会社、子会社、関連会社と、財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合の当該他の会社等(その他の関係会社)を合わせて「関係会社」と定義し[3]、関係会社との取引について、資産・負債・営業費用などの注記を求めています(例:関係会社に対する資産の注記は第39条)[3]。連結財務諸表では、子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分は非支配株主持分とされます[5]。EVブリッジでの扱いは非支配株主持分​(NCI)​完全ガイドで解説しています。なお、会社法は、子会社が親会社である株式会社の株式を取得することを原則として禁止しています(第135条)[1]。

財務​モデル・​Excelでの​使い方

  • 判定シート:出資先ごとに議決権比率と追加要件のフラグを入力し、=IF(比率>0.5,"子会社",IF(AND(比率>=0.4,要件),"子会社",IF(比率>=0.2,"関連会社",IF(AND(比率>=0.15,要件),"関連会社","対象外")))) のように区分します(緊密な者の合算などは別セルで調整するスクリーニング用の簡略式です)。
  • 連結の合算:子会社は全額合算し、=子会社純利益*(1-親持分比率) で非支配株主に帰属する利益を計算します。
  • 持分法:=関連会社純利益*持分比率 を営業外の項目として別行に置きます。
  • 検算:非支配株主に帰属する利益と親会社株主に帰属する利益の合計が、連結当期純利益と一致することを確認します。多通貨の連結は超インフレ​国の​子会社を​どう​連結するかも参考になります。

この​用語を​実務で​「使える」​状態に​する

子会社・​関連​会社を​判定し、​連結の​合算と​持分法の​損益取り​込みを​同じ​モデルの​中で​組めるようになる。

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実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「議決権が50%を超えなければ子会社ではない」→ 40%以上50%以下でも、追加要件を満たせば子会社です。設例のC社は、取締役会の過半数を占めるという要件で子会社に当たります。

誤解2:「子会社は必ず連結される」→ 原則は連結ですが、支配が一時的な場合などは連結の範囲から除かれます。除かれた子会社は非連結子会社として、原則として持分法で計上します。

誤解3:「会社法の子会社と会計上の子会社は同じ定義」→ 規定は別で、判定の基準が異なる場合があります。会社法施行規則も財務及び事業の方針の決定の支配を基準にし、40%以上の保有と追加要件、緊密な者・同意者の議決権の合算などを定めていますが[2]、規定は財務諸表等規則と別なので、要件や集計方法の違いを個別に確認します。

確認ポイント:議決権の所有割合だけでなく、役員の派遣、融資、契約の有無を確認します。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)日本基準では、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」が、親会社と子会社を意思決定機関の支配の有無で定義し、議決権の過半数の所有、または40%以上50%以下でかつ一定の要件に該当する場合などを支配している企業としています[5]。親会社は原則としてすべての子会社を連結し、一時的な支配などの場合は連結の範囲に含めません[5]。IFRS会計基準第10号は、支配(control)を連結の基礎とし、投資者が投資先を支配しているかを判定して連結を求めます[6]。日本基準と同じ会社でも、判定の結果が異なる場合があります。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:子会社と関連会社の違いと、それぞれの会計処理を説明してください。
「子会社は議決権の過半数、または40%以上50%以下で一定の要件を満たす会社など、意思決定機関を支配している会社で、原則として連結し、売上や費用を全額取り込みます。関連会社は20%以上など、重要な影響を与える会社で、持分法により純利益の持分だけを取り込みます。」

深掘りの観点:非支配株主持分の扱い、持分法適用会社のEVブリッジでの扱い。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. 子会社でも連結しないことはありますか。
A. あります。支配が一時的であると認められる場合や、連結することで利害関係人の判断を著しく誤らせるおそれがある場合は、連結の範囲に含めません。これを非連結子会社といい、原則として持分法を適用します。ただし、持分法を適用すると利害関係人の判断を著しく誤らせるおそれがある場合や、重要性が乏しい場合は、持分法の対象から除かれます[4]。

Q. 議決権が過半数に満たなくても子会社になりますか。
A. 40%以上50%以下で追加要件を満たす場合のほか、緊密な者や同意者の議決権を合わせて過半数となり、かつ取締役会の構成・支配契約・融資などの要件のいずれかに該当する場合(自己の保有が40%未満でも該当し得ます)などが、規則に定められています[3]。判定は規則と個別の事実で行います。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. e-Gov法令検索「会社法」(平成17年法律第86号)第2条第3号、第135条. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086(2026年11月参照)
  2. e-Gov法令検索「会社法施行規則」(平成18年法務省令第12号)第3条. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418M60000010012(2026年11月参照)
  3. e-Gov法令検索「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第8条第3項〜第6項、第8項、第39条. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338M50000040059(2026年11月参照)
  4. e-Gov法令検索「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第5条、第10条第1項・第2項. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=351M50000040028(2026年11月参照)
  5. 企業会計基準委員会「企業会計基準第22号 連結財務諸表に関する会計基準」(最終改正2026年6月2日)第6項、第7項、第13項、第14項、第26項. https://www.asb-j.jp/jp/wp-content/uploads/sites/4/ecl20261016_34.pdf(2026年11月参照)
  6. IFRS Foundation「IFRS 10 Consolidated Financial Statements」. https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ifrs-10-consolidated-financial-statements/(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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