この記事で分かること
- 二重トークン型のステーブルコインが額面(1コイン=1円相当)に連動し続ける条件を、裁定の損益から検算する方法
- 償還が続いたとき、変動トークンの供給量が日ごとに何倍になるかを、時価総額の前提3通りで追う計算表
- 準備資産型との比較と、日本の電子決済手段の要件(払戻し・準備資産の保全)が連鎖を断つ点・断てない点、取引先や投資先の設計を見る確認5項目(2026年10月時点)
想定読者:ステーブルコインを扱う取引先・投資先の設計を評価する、金融機関・VC・事業会社の財務担当者
前提知識:特に不要です(裁定・償還・準備資産は本文で説明します)。
結論:連動の裏付けは、裏付け資産の有無と償還の約束の2点で言い切れる
「1コイン=1円相当に連動する」と説明される仕組みを評価するとき、最初に確かめるのは裏付けです。償還を求められたときに払い戻せる資産が手元にあるか、その償還がどんな形で約束されているかの2点です。数字で追うと、二重トークン型(コインと変動トークンの組み合わせ)では、償還が続くほど変動トークンの供給量が増えて単価が下がり、さらに償還を呼ぶ連鎖が起こり得ます。
以下は学習用の架空事例で、実在の Terra とは別の数値です。円連動の架空プロトコルに、連動コイン「Aコイン」(発行残高30,000百万コイン)と変動トークン「Bトークン」(供給量1,000百万枚、時価総額30,000百万円、単価30円)を置きます。償還(Aコインを焼却してBトークンを新規発行する交換)が毎日1,500百万コイン(発行残高の5.0%)続くと、時価総額が一定でも10日でBトークンの供給量は1.63倍になります。時価総額が日ごとに20%減る仮定では4.49倍、40%減る仮定では497.07倍です(図表3)。
一方、現金と短期国債で30,000百万円の準備資産を持つ設計は、償還率60%でも払戻しに足りました。国債を額面の99%でしか売れない仮定では、残る準備資産は残る発行残高の99.0%です(図表4)。日本の電子決済手段の制度は「払戻しの約束」と「準備資産の保全」を条文に置き、設例の連鎖を断つ方向に働きます。ただし準備資産型にも別の経路のリスクは残るため、「日本の制度なら安全」とは言いません(2026年10月時点)。
本記事は、実在の Terra の崩壊の経過や引き金を論じません。崩壊のきっかけを一つの原因に断定することはせず、設計が償還の集中にどう反応するかだけを検算します。
二重トークン型の仕組み:裏付けは変動トークンの市場価値だけ
ステーブルコインとは、円や米ドルなどの価値に連動するよう設計されたデジタル資産です。現金や国債を持つ方式、他の暗号資産を担保にする方式、供給量の調整で価値を保とうとするアルゴリズム型があります。金融安定理事会(FSB)は、アルゴリズム型を「需要の変化に応じて供給を増減させるプロトコルにより安定した価値を保とうとするもの」と定義しています(訳は編集部)1。額面に連動させる点は、為替で一定の水準を保つペッグ
設例の二重トークン型は、Aコインを1コイン持つ人がいつでも1円分のBトークンと交換できる、という約束だけで成り立ちます。交換では、Aコインを焼却し、同じ円価値のBトークンを新規に発行します。逆向きの交換もできます。こうした契約上の発行・焼却と、価格が額面を外れたときに取引者が利益を得ながら供給を戻す裁定が、Corporate Finance Institute(CFI)の解説する二重トークン型の連動維持の考え方です2。
裁定とは、同じ価値のものが違う価格で売られているとき、安い方で買って高い方で売り、差額の利益を得る取引です。図表1のとおり、Aコインが0.95円なら、買って焼却し、1円分のBを受け取って売れば、1コインにつき0.05円の利益になります。この利益が取引者を動かし、Aコインを減らして価格を1円へ戻すのが設計の狙いです。
図表1の右端のとおり、利益の源泉は「Bトークンを市場で売れること」です。払戻しの原資が別に積んであるわけではないため、連動が保たれるかは、Bの市場が償還で出る売りをどこまで吸収できるかに懸かっています。
裁定が働く条件:売却額が時価総額に比べて小さい間だけ
1コインをp円で買い、Aを焼却して1円分のBトークンを受け取り、すぐに売る取引を考えます。Bの売却価格が下がらなければ利益は(1-p)円ですが、売りが重なればBの単価は下がります。ここでは、売却額の合計Xに対し、売却価格がX÷Bの時価総額と同率だけ下がると仮定します(実際の値動きとは限らない、計算のための仮定です)。
1コインの利益(円)
利益=(1-売却額X÷Bの時価総額M)-p。Bの時価総額Mが30,000百万円のとき、利益が0になる売却額は X=(1-p)×30,000(百万円)
| Aコインの価格(円) | 1コインの利益(円) | 購入額に対する利益率(%) | 利益が残る売却額の上限(百万円) | 上限÷Bの時価総額(%) |
|---|---|---|---|---|
| 0.98 | 0.02 | 2.0 | 600 | 2.0 |
| 0.95 | 0.05 | 5.3 | 1,500 | 5.0 |
| 0.90 | 0.10 | 11.1 | 3,000 | 10.0 |
| 0.80 | 0.20 | 25.0 | 6,000 | 20.0 |
図表2で読みます。Aコインが0.95円のとき、1コインの利益は0.05円(購入額0.95円に対し5.3%)で、売却額が1,500百万円(時価総額の5.0%)に達すると利益は0になります。売却額が3,000百万円(10.0%)なら、実現価格は1-0.10=0.90で、利益は0.90-0.95=-0.05円と赤字になり、裁定は働きません。同じ3,000百万円でも、Aコインが0.80円なら利益は0.90-0.80=+0.10円です。連動が戻るのは、償還で出る売りの規模が、時価総額に(1-p)を掛けた上限の内側にある間だけです。
この上限は、Bの時価総額が小さくなれば同じ割合で小さくなります。連動への信頼が揺らぐときにはBの価値も同時に下がりやすい、というのが次節の出発点です(編集部の見方で、断定ではありません)。
償還の連鎖:供給量が増えるほど、同じ償還に必要な発行量が増える
償還が続く場合を日ごとに追います。償還は毎日1,500百万コイン(初期の発行残高の5.0%)、10日で累計50.0%とします。
1日の計算
Bの単価=日初の時価総額÷前日末の供給量。新規発行枚数=償還額÷単価。日末の供給量=前日末の供給量+新規発行枚数。倍率=日末の供給量÷1,000
時価総額の前提は3通りの仮定です(前提を厳しく置いて結果を見る点はストレステストと同じです)。前提1は30,000百万円で一定。前提2は日初に前日の80%(日次20%減)、前提3は日初に前日の60%(日次40%減)とします。1日目は全前提で、単価30円、新規発行50.0百万枚(=1,500÷30)、供給量1,050百万枚です。2日目の前提2では、時価総額が24,000百万円(=30,000×0.8)になり、単価は24,000÷1,050=22.86円、新規発行は1,500÷22.857=65.6百万枚、供給量は1,115.6百万枚(1.12倍)です。
| 日 | 累計償還率(%) | 前提1:時価総額が一定 | 前提2:日次20%減 | 前提3:日次40%減 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単価(円) | 供給量の倍率(倍) | 単価(円) | 新規発行(百万枚) | 供給量の倍率(倍) | 単価(円) | 供給量の倍率(倍) | ||
| 1 | 5.0 | 30.00 | 1.05 | 30.00 | 50.0 | 1.05 | 30.00 | 1.05 |
| 2 | 10.0 | 28.57 | 1.10 | 22.86 | 65.6 | 1.12 | 17.14 | 1.14 |
| 3 | 15.0 | 27.21 | 1.16 | 17.21 | 87.2 | 1.20 | 9.49 | 1.30 |
| 4 | 20.0 | 25.92 | 1.22 | 12.77 | 117.5 | 1.32 | 5.00 | 1.60 |
| 5 | 25.0 | 24.68 | 1.28 | 9.31 | 161.2 | 1.48 | 2.44 | 2.21 |
| 6 | 30.0 | 23.51 | 1.34 | 6.64 | 226.0 | 1.71 | 1.06 | 3.63 |
| 7 | 35.0 | 22.39 | 1.41 | 4.61 | 325.7 | 2.03 | 0.39 | 7.53 |
| 8 | 40.0 | 21.32 | 1.48 | 3.09 | 484.7 | 2.52 | 0.11 | 20.97 |
| 9 | 45.0 | 20.31 | 1.55 | 2.00 | 750.4 | 3.27 | 0.02 | 83.38 |
| 10 | 50.0 | 19.34 | 1.63 | 1.23 | 1,217.5 | 4.49 | 0.004 | 497.07 |
図表3の結論は3点です。第1に、時価総額が一定でも供給量は増えます。単価が下がるほど同じ償還に必要な新規発行が増え、倍率は毎日(1+1,500÷30,000)=1.05倍ずつ掛かって、10日目は1.63倍です。第2に、時価総額が減る前提では伸びが加速し、前提2の10日目の倍率は4.49倍です。第3に、前提3の日初の時価総額は7日目に1,399.7百万円となり、1日の償還額(1,500百万円)を下回ります。以降は1日の償還だけで供給量が2倍を超えて増え、10日目の倍率は497.07倍です。これが、Bの時価総額が償還額を吸収できなくなる分岐点です。
この連鎖は「償還が集中すると供給量が増え、単価が下がり、さらに償還が増える」という構造の説明で、崩壊のきっかけの説明ではありません。CFIも、売りが始まった理由は明らかでないとし、原因の見方を紹介するにとどめています3。前提は計算のための仮定で、実際の市場がこのとおりに動くとは限りません。
高利回りによる需要づくりの限界:預入利率と運用利回りの差
二重トークン型にはコインを持つ理由が要り、その一つが預ける人へ高い利率を払う方法です。学習用の架空数値で収支を見ます。預入残高が10,000百万コイン、預入利率が年12%、預かったコインを貸し出す運用利回りが年4%とします。差は8.0ポイントで、年間の逆ざやは10,000×8.0%=800百万円です。補填の原資が4,000百万円なら、4,000÷800=5.0年で尽きます。預入残高が20,000百万コインへ2倍になると、逆ざやは1,600百万円、補填は2.5年です。
残高が増えるほど赤字は膨らみます。利率を下げれば需要が細る可能性があり、原資を変動トークンの発行に頼れば供給量の増加(図表3)につながります(編集部の整理で、仮説です)。
準備資産型との比較と、日本の制度との対応
準備資産型の検算
準備資産型は、発行残高と同じ額の資産(現金・短期国債)を持ち、額面での払戻しに応じる設計です。準備資産が現金6,000百万円と短期国債24,000百万円(構成は仮定)の場合を置きます。償還率30%は9,000百万円で、現金6,000に加えて国債3,000を現金化します。国債を額面の99%で売る仮定なら(残る国債は額面で数えます)、必要な額面は3,000÷0.99=3,030.3、残る準備資産は30,000-6,000-3,030.3=20,969.7で、残る発行残高21,000の99.9%です。償還率60%は18,000百万円で、国債の売却額12,000に必要な額面は12,000÷0.99=12,121.2、残る準備資産は24,000-12,121.2=11,878.8、残る発行残高12,000の99.0%です。
図表4のとおり、準備資産型は償還に応じられる上限が準備資産÷発行残高の100.0%で、償還のたびに裏付けの価値が薄まる構造ではありません。ただし、償還が続けば国債の売却を重ねるため、値引きや買い手の不在という問題が出ます。この点は流動性リスク
| 項目 | 二重トークン型(Aコイン) | 準備資産型(同じ発行残高30,000百万円) |
|---|---|---|
| 裏付けになるもの | Bトークンの時価総額(開始時30,000百万円。市場価格で動く) | 現金6,000+短期国債24,000=30,000(百万円。構成は仮定) |
| 償還の約束の中身 | 1コインにつき額面(1円)相当のBトークンと交換 | 1コインにつき1円を払い戻す |
| 償還率30%(9,000百万コイン)の後 | 償還額はB時価総額の30.0%(時価総額が減れば新規発行が膨らむ。図表3) | 残る準備資産÷残る発行残高=99.9%(国債を額面の99%で売る仮定) |
| 償還率60%(18,000百万コイン)の後 | 償還額はB時価総額の60.0% | 同=99.0%(同じ仮定。値引きがなければ100.0%) |
| 時価総額が日次40%減の5日目 | B時価総額÷発行残高(日初)=16.2% | Bの価格に依存しない(国債の値動きは別の前提) |
| 発行者(制度の整理) | 設例は発行者の資格を置かない | 報告書は1号を資金移動業者、特定信託受益権を信託受託者が発行する形で整理 |
| 額面での払戻し | 円での払戻しの約束がない設計。通貨建資産に当たるかは別に判定 | 電子決済手段(第1号)は通貨建資産に限られる |
| 準備資産の保全 | 保全の規定を当てはめる準備資産がない | 資金移動業者型は履行保証金の供託等(第43条〜第45条)、信託型は預貯金等と国債等での管理(第2条第9項) |
日本の電子決済手段の要件との対応(2 026年10月時点)
日本では、資金決済に関する法律が、法定通貨に連動するステーブルコインの一部を「電子決済手段」として規制します。第2条第5項第1号は、代価の弁済に不特定の者へ使え、不特定の者を相手に売買できる財産的価値で、通貨建資産に限ると定めます。通貨建資産は、通貨で表示されるか、通貨で債務の履行や払戻しなどが行われることとされている資産です(第7項)4。金融審議会のワーキング・グループ報告も、電子決済手段は法定通貨と連動する価値を有し額面で償還を約するもの等であり、アルゴリズム型等には当てはまらないものも存在する、と記しています5。
要件に当たる設計では、準備資産の保全も条文に置かれます。資金移動業者が発行する場合は、利用者に負う債務の額(未達債務)などを基に算出した額以上を、履行保証金として供託します6。信託型の特定信託受益権では、預貯金で管理する額の割合の下限と、残りを国債などの債券で運用すること等が定められ7、受託者は信託財産のみで償還に応じる責任を負う、と報告書は整理します8。払戻しの約束と準備資産の保全が条文にあることが、図表3のような裏付けの薄まりを構造上起こしにくくします。
国際的には、FSBの勧告9が、準備資産を流通額以上に常時保有すること、裁定取引に頼らないこと、アルゴリズムから価値を得ないことを求め、アルゴリズム型はこれを満たさないとしています(訳は編集部)9。ただし、これは各国当局への提言であり、日本の法令で「アルゴリズム型が一律に禁止されている」とは書けません。電子決済手段に当たるかは条文の定義への当てはめで決まり、当たらない場合は暗号資産として別の規制になり得ます。その判定は暗号資産・電子決済手段・STの判定手順に委ねます。
制度は見直しが続いています。金融庁の法律案の概要では、暗号資産の規制は金融商品取引法へ移り、ステーブルコインは資金決済法に残る図になっています10。発行者の範囲や保全の方法は改正があり得るため、取引先を見るときは条文と金融庁の登録一覧で最新を確認してください。取引所側の分別管理や統治はFTXの記事が扱います。中央銀行が発行するCBDC
実務チェックリスト:取引先・投資先の設計を見る確認5項目
検算を取引先・投資先の説明資料に当てはめる確認項目です。売買や保有の推奨ではありません。
- 裏付け資産:償還に充てられる資産の種類と額が開示されているか。準備資産÷発行残高の比率と時点を確かめる。裏付けが自社発行トークンの市場価値だけなら、図表3の連鎖を前提に評価する。
- 償還の約束:1コインにつき何を、いつ、誰から受け取れると約束されているか。円での払戻しなのか、別のトークンとの交換なのかを区別する。
- 需要の源泉:保有される理由が決済などの実需か、高い預入利率か。利率と運用利回りの差と、それを賄う原資の年数を試算する。
- 発行者の登録・資格:発行者と仲介者が、資金決済法上の登録を受けた業者か。条文と金融庁の登録一覧で確認し、電子決済手段に当たるかは判定手順で別に確認する。
- 開示と検証:準備資産の構成・保全方法・直近の残高が定期的に開示され、第三者が確認できるか。償還が集中した場合の売却コスト(流動性)が想定されているか。
詐欺の兆候の見分け方は暗号資産詐欺の典型パターンにあります。
よくある質問(F AQ)
Bトークンの時価総額が大きければ、二重トークン型は安全ですか。
吸収できる上限は時価総額に比例して大きくなりますが、図表3の前提2・3のように時価総額が償還と同時に減る場合には上限も縮みます。時価総額が大きいことと、償還の集中に耐えられることは別です。
準備資産型なら、償還が集中しても問題は起きませんか。
準備資産の質と流動性次第です。図表4では、国債を額面の99%でしか売れない仮定で、償還率60%の後の準備資産は残る発行残高の99.0%でした。
電子決済手段の登録業者が出すコインなら、預金と同じ保護がありますか。
同じ保護とは言えません。預金保険の対象かどうかなど預金との違いは、ステーブルコインの用語解説にまとめてあります。本記事の準備資産の保全は、払戻しの原資を確保する仕組みです。
まとめ
二重トークン型の連動は、裏付け資産ではなく、変動トークンの市場が償還の売りを吸収できることに支えられています。時価総額が償還と同時に減る前提では、供給量が加速度的に増えました(図表3)。準備資産型は払戻しの原資を別に持ちますが、売却時の値引きなど別の経路のリスクは残ります。取引先・投資先の設計は、まず裏付け資産と償還の約束の2点を数字で確かめてください。
脚注
- 金融安定理事会(FSB)「High-level Recommendations for the Regulation, Supervision and Oversight of Global Stablecoin Arrangements: Final report」(2023年7月17日)の用語集(PDF p.21)。アルゴリズム型ステーブルコインを、需要の変化に応じて供給を増減させるプロトコルにより安定した価値を保とうとするもの、と定義しています(訳は編集部。参考文献 R1)。↩
- Corporate Finance Institute(CFI)「What Happened to Terra?」の「How Was the UST/LUNA Algorithmic Stablecoin Supposed to Work?」の節。一方のトークンを売ると、その発行残高が減り、買う側のトークンの発行残高が増えるという契約上の仕組みと、価格が額面を下回ると取引者が交換して利益を得ることで供給が減る、という裁定の説明を、一般的な仕組みの参考にしました。設例・数値・図表は本記事独自のものです(参考文献 R2)。↩
- CFI 同ページ「So, How Did Terra Collapse?」の節。売りが重なれば交換先のトークンの価格も下がり、供給を調整する仕組みがあっても下落に歯止めがかからない、という趣旨の説明があります。同ページ「What Happened in May 2022?」の節は、売りが始まったきっかけは明らかでないと書き、利率の引き下げを原因とみる見方を紹介するにとどまります(参考文献 R2)。↩
- 資金決済に関する法律(e-Gov 法令検索の2026年8月12日施行の改正を反映した版を2026年10月18日に取得)第2条第5項第1号・第7項。電子決済手段(第1号)は通貨建資産に限るとされ、通貨建資産は、通貨で表示されるか、通貨で債務の履行・払戻しなどが行われることとされている資産とされています(参考文献 R3)。↩
- 金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ報告」(2025年1月22日)Ⅲ-3(報告書 p.15〜16)と脚注61。電子決済手段(ステーブルコイン)は法定通貨と連動する価値を有し額面で償還を約するもの等を指し、アルゴリズム型ステーブルコイン等、定義に当てはまらないものも存在すると記されています(参考文献 R4)。↩
- 同法第43条第1項・第2項(資金移動業者は、未達債務の額などを基に算出する要履行保証額以上の履行保証金を供託する)。第44条・第45条は、履行保証金保全契約や履行保証金信託契約で供託に代えられる場合を定めます(参考文献 R3)。↩
- 同法第2条第9項。特定信託受益権は、金銭信託の受益権で、預貯金により管理する額の割合が内閣府令で定める割合以上であること、残りの額を内閣府令で定める国債証券などの債券の保有で運用することなどの要件を満たすものとされています。割合の具体的な数値は本記事では確認していません(参考文献 R3)。↩
- 同報告 脚注62(p.16)。資金移動業者が発行する1号電子決済手段と異なり、特定信託受益権の発行者(信託受託者)は信託財産のみで償還請求に応じる責任を負う、と整理しています。あわせて、1号の発行見合い金を履行保証金信託契約に基づく信託で保全することが認められている、とも記しています(参考文献 R4)。↩
- FSB 同報告書の勧告9「Stabilisation mechanism」の項(PDF p.14)と脚注2(PDF p.5)。準備資産を流通するステーブルコインの額以上に常時保有することを有効な安定化手法の要素とし(発行者が銀行規制と同等の健全性規制を受ける場合を除く)、裁定取引に頼らず、アルゴリズムから価値を得てはならないとして、アルゴリズム型は勧告9を満たさないとしています(訳・要約は編集部)。対象は国際的に広がるグローバル・ステーブルコインの取り決めで、勧告は各国当局への提言であり、日本の法令そのものではありません(参考文献 R1)。↩
- 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案の概要」p.1。暗号資産に係る規制を資金決済法から金商法に移管する内容で、図では、ステーブルコインとプリペイドカードは資金決済法の側に置かれたままです。e-Gov 法令検索では、同法の改正法として令和8年法律第64号(2026年7月23日公布)の施行(2026年8月12日)が反映された版を確認しましたが、未施行の部分があるかは確認していません(参考文献 R5・R3)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 金融安定理事会(FSB)「High-level Recommendations for the Regulation, Supervision and Oversight of Global Stablecoin Arrangements: Final report」(2023年7月17日公表) fsb.org (参照箇所:勧告9(PDF p.13〜14)、脚注2(PDF p.5)、用語集(PDF p.21)。脚注1・9の根拠。閲覧日:2026年10月18日)
- R2 Corporate Finance Institute「What Happened to Terra?」(一般的な概念の参考。日本の制度の根拠ではありません) corporatefinanceinstitute.com (参照箇所:「How Was the UST/LUNA Algorithmic Stablecoin Supposed to Work?」「So, How Did Terra Collapse?」「What Happened in May 2022?」の各節。脚注2・3の根拠。閲覧日:2026年10月18日)
- R3 e-Gov 法令検索「資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)」(2026年8月12日施行の改正を反映した版) laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第2条第5項・第7項・第9項、第43条〜第45条。脚注4・6・7の根拠。閲覧日:2026年10月18日)
- R4 金融庁 金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ報告」(2025年1月22日) fsa.go.jp (参照箇所:Ⅲ-3(報告書 p.15〜16)、脚注61・62。脚注5・8の根拠。閲覧日:2026年10月18日)
- R5 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案の概要」(第221回国会) fsa.go.jp (参照箇所:p.1「1.暗号資産に係る規制の見直し」の図。脚注10の根拠。閲覧日:2026年10月18日)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。