想定読者:金融機関や事業会社で、持ち込まれたトークンの案を法務部に回す前に仮判定する新規事業・企画・コンプライアンスの担当者
前提知識:資金決済法と金融商品取引法(金商法)という法律名を知っていれば足ります。条文の言葉は本文で説明します。

結論:トークンの​名前ではなく、​権利・​払戻し​義務・​使い道の​順に​条文へ​当ては​める

トークンの案が持ち込まれたとき、最初に確かめるのは「暗号資産か、ステーブルコインか、STか」という呼び名ではありません。持ち主にどんな権利が付き、誰が何で払い戻す約束をし、どこまで決済や売買に使えるかです。分類が違えば必要な登録や開示が変わるため、初動の仮判定を誤ると手戻りが大きくなります。

本記事は、学習用の架空事例として、金融機関のA社の新規事業部門が6種類のトークン案を法務部へ回す前に仮判定する場面を使います。条文は3分類を別々の法律に置きながら、定義の中で互いを除外しています。そのため、①収益の分配などの権利を表示するか、②法定通貨で払い戻す義務があるか、③不特定の者への代価の弁済と売買に使えるか、の順に問うと、多くの案は同じ手順で整理できます。発行者の有無は、現行法の定義では3分類を分ける要件になっていません(条文の読み方についての編集部の整理です)。

対象時点は2026年10月8日の現行法です(e-Gov法令検索で取得した、2026年8月12日施行時点の資金決済法と金商法)。以下は法務確認の前段にあたる見立てで、実在のトークンや企業の分類は扱いません。ICO・IEO・STOの調達手続の比較は別の​記事に譲ります。

3分類の​定義と、​互いを​除外し合う​仕組み

まず用語です。本記事では、条文の「電子的方法により記録され」「電子情報処理組織を用いて移転することができる」財産的価値を、ネットワーク上で移転できる価値と言い換えます。通貨建資産とは、本邦通貨または外国通貨で表示されるか、通貨で払戻しなどが行われることとされている資産です1。

暗号資産は、資金決済法第2条第14項で、物品の購入などの代価の弁済のために不特定の者に対して使え、かつ不特定の者を相手方に売買できる財産的価値(第1号)、またはそれと不特定の者を相手方に相互に交換できる財産的価値(第2号)と定義されます。通貨、通貨建資産、電子決済手段は除かれ、さらにただし書で、金商法第29条の2第1項第8号の権利を表示するものも除かれます2。

電子決済手段は、同法第2条第5項で、通貨建資産に限り、同様に不特定の者への代価の弁済と売買に使える財産的価値(第1号)などと定義されます。有価証券、電子記録債権(でんさい。電子的に記録される金銭債権)、前払式支払手段などは除かれます。特定信託受益権(預貯金等で管理する金銭信託の受益権)も第3号に含まれます3。

電子記録移転有価証券表示権利等は、金商法第29条の2第1項第8号の言葉です。金商法第2条第2項は、証券が発行されなくても有価証券として扱う権利(みなし有価証券)を定めます。第1号は信託の​受益権、第5号は出資した金銭を充てる事業の収益の配当や財産の分配を受けられる権利です。株式や社債など本来は証券に表示される権利(有価証券表示権利)も同項でみなし有価証券になります。これが電子情報処理組織で移転できる財産的価値に表示されたものを、内閣府令が第8号の権利とします。同条第3項は、この形のものを電子記録移転権利といい、第一項有価証券として扱います4。

図表1:3分類の定義・除外関係・主な登録の対比(2026年10月8日時点の現行法と、改正法の施行後)
項目暗号資産電子決済手段電子記録移転有価証券表示権利等
根拠条文資金決済法第2条第14項資金決済法第2条第5項(通貨建資産は第7項)金商法第29条の2第1項第8号(金商業等府令第1条第4項第17号・第6条の4)
定義の核不特定の者への代価の弁済と売買に使える財産的価値(またはそれと交換できるもの)通貨建資産で、同様に代価の弁済と売買に使えるものみなし有価証券のうち、電子的に移転できる財産的価値に表示されるもの
定義からの除外通貨、通貨建資産、電子決済手段、第8号の権利を表示するもの有価証券、電子記録債権、前払式支払手段など暗号資産と電子決済手段の定義から外れる側
現行の主な登録暗号資産交換業(資金決済法第63条の2)電子決済手段等取引業(同法第62条の3)電子記録移転権利は第一種、それ以外の第二項有価証券は第二種金融商品取引業(金商法第28条)
改正法の施行後(成立法律)金商法第2条第49項に定義を置く。業は暗号資産取引業(同法第28条第5項)資金決済法に残る暗号資産の定義のただし書が、第29条の2第1項第8号を引き続き参照
単位:該当なし​(条文の対比)。​対象時点:2026年10月8日。​出所:資金決済法、​金商法、​電子決済手段等取引業者に​関する​内閣府令、​金商業等府令、​令和8年法律第64号​(成立法律)を​基に​大手町​プレップ​作成。​加工内容:​要点を​抜粋して​要約。​(スマートフォンでは​表を​横に​スクロールできます)

図表1のとおり、除外の向きが分類の順序を決めます。電子決済手段は有価証券を除き、暗号資産は通貨建資産・電子決済手段と第8号の権利を除きます。つまり、金商法の権利が最優先、次に通貨建ての電子決済手段、最後に残るものが暗号資産という読み方です(編集部の整理です)。登録の区分も、条文ごとに分かれています5。

判定の​流れ​図:上から​順に​3つの​問いを​当ては​める

この順序を流れ図にしたものが図表2です。海外の解説では、法定通貨に連動し準備資産で価値を保つ設計をステーブルコイン、他の資産への権利を表すものをセキュリティトークン、代替性のないものをNFTと呼び分けます6。しかし、これは技術や用途による整理で、日本の分類は呼び名ではなく条文の定義に当たるかで決まります。

図表2:トークンの判定の流れ(上から順に当てはめる) 問い1 収益の分配などを受ける権利を表示し、 電子的に移転できる形になっているか 金商法第2条第2項・第3項、第29条の2第1項第8号 はい 電子記録移転有価証券表示権利等 金商法の規制の側。登録は第一種 または第二種金融商品取引業 いいえ 問い2 発行者等が、法定通貨(外貨を含む)で 払い戻す義務を負っているか 通貨建資産(資金決済法第2条第7項) はい 電子決済手段(第2条第5項) 不特定の者に決済・売買が開かれている 前払式支払手段など(第3条) 使い道が発行者側に限られる いいえ 問い3 不特定の者への代価の弁済に使え、 不特定の者を相手に売買・交換できるか 資金決済法第2条第14項 はい 暗号資産(第2条第14項) 登録は暗号資産交換業 (第63条の2) いいえ いずれにも当たらない(個別判断) 他の法令の検討が別に必要 発行者の有無は分岐に入らない 現行法では分類を分けない
単位:該当なし​(判定の流れ)。​対象時点:2026年10月8日の​現行法。​出所:資金決済法、​金商法に​基づき大手町​プレップ​作成。​(スマートフォンでは​図を​横に​スクロールできます)

各要素を、確認する順に説明します。

問い1:収益の分配などの権利があるか。出資した金銭を充てる事業の収益の配当や財産の分配を受けられる権利、または信託の受益権が、電子的に移転できる形のトークンに表示されていれば、金商法の側に入ります。名称ではなく、規約やホワイトペーパー(発行者が公表する説明資料)に書かれた権利を読みます。電子記録移転権利から除かれる場合は定義府令第9条の2が定めるため、専門家に確認します7。

問い2:法定通貨で払い戻す義務があるか。金融庁の事務ガイドラインは、通貨建資産の該当性を、発行者等が利用者に券面額と同額の法定通貨で払い戻す義務を負っているかなどから判断するとしています。条文上は、円や外貨の金額で表示される資産も通貨建資産に含まれるため、払戻し義務がなくても金額表示の設計は確認が要ります。払戻し義務があり不特定の者への決済と売買に使えれば電子決済手段、使い道が発行者側に限られれば前払式支払手段など別の制度の検討に進みます8。

問い3:不特定の者への代価の弁済と売買に使えるか。ガイドラインは、ブロックチェーン等で不特定の者の間で移転できる仕組みか、発行者の制限なく法定通貨と交換できるか、交換市場があるか、使える店舗が限定されていないかなどを見るとし、最終的には個別具体的に判断するとしています9。

発行者の有無。暗号資産の定義は発行者の有無を要件にしていません。発行者がいると販売時の登録や開示の検討(ICO・IEOの論点)が加わり、改正法の施行後は特定暗号資産の扱いが分かれます。分類そのものは問い1〜3で決まります。

架空​トークン6件への​当てはめ

以下は学習用の架空事例です。A社の新規事業部門が、発行者・権利・償還の約束・譲渡方法・販売先・数量と単価の6項目で表した6件のトークン案を、図表2の順に当てはめます。金額は分類を決める要素ではなく、設計の例示と検算のために置きます。ステーブルコインの設計にあたるのは主にトークン1とトークン5、不動産STO(不動産の信託受益権をトークン化する仕組み)にあたるのはトークン2です。

検算式
発行総額=数量×1単位の価格。担保率=担保の時価÷発行額。
トークン1:100,000,000×1円=100,000,000円。トークン2:10,000口×100,000円=1,000,000,000円(想定年間分配40,000,000円は1口4,000円、発行価格の4.0%)。トークン4:500点×30,000円=15,000,000円。トークン5:100,000×1米ドル=100,000米ドル、担保150,000米ドルで担保率150%。

結果は図表3のとおりです。6件のうち5件は、分かれ目の項目を1つで言えます(トークン2は権利、トークン1と5は払戻し義務、トークン3と4は使い道)。トークン6のように、発行者がいなくても暗号資産に当たることがあります。

図表3:架空トークン6件の設計と判定の見立て(金額の単位:円。トークン5のみ米ドル)
トークンと設計見立て決め手主な業規制と専門家確認
1 円建て償還型 発行者あり/1トークン=1円の払戻請求権/円で払戻し義務あり/不特定の者へ移転でき取引所で売買/一般販売/100,000,000トークン×1円=100,000,000円電子決済手段払戻し義務があり通貨建資産(問い2)。決済と売買が不特定の者に開かれている電子決済手段等取引業。発行体の資格は別論点
2 収益分配付き不動産トークン 発行者あり(信託の受託者)/賃料収益の分配を受ける信託受益権/償還なし/電子的に移転可/投資家向け/10,000口×100,000円=1,000,000,000円電子記録移転有価証券表示権利等(電子記録移転権利に当たり得る)信託の受益権が電子的に移転できる形で表示される(問い1)第一種金融商品取引業。電子記録移転権利から除かれるかを確認
3 ゲーム内通貨型 発行者あり/ゲーム内でアイテムを購入できる/円での払戻しなし/運営の管理下のゲーム内に限る/1,000円で1,000コイン暗号資産にも電子決済手段にも当たらない見立て(前払式支払手段に当たり得る)使い道が発行者側に限られ、不特定の者への代価の弁済にならない(問い3)前払式支払手段の規制(本記事では扱わない)。外部売買を認めると変わり得る
4 会員権型NFT 発行者あり/会員限定イベントへの参加権/償還なし/会員間の売買は可、規約で決済への使用を禁止/500点×30,000円=15,000,000円暗号資産に当たらない見立て(個別判断)規約で決済使用を禁止。1点30,000円(例示の1,000円以上)、500点(例示の100万個以下)二次流通価格が一定期間1,000円を下回る場合や、収益の分配を付ける場合は再判定
5 暗号資産担保型の米ドル連動トークン 発行者あり/米ドルへの連動を目指す/米ドルでの払戻し義務なし/不特定の者へ移転、市場で売買/100,000トークン×1米ドル=100,000米ドル、担保150,000米ドル相当(担保率150%)暗号資産払戻し義務がなく通貨建資産でない(問い2)。決済・売買に不特定の者が使える(問い3)暗号資産交換業。約款上の償還請求権の有無と、運営者の関与を確認
6 発行者のいない決済用トークン 発行者なし/権利なし/償還なし/不特定の者へ移転、交換所で円と交換、店舗決済に使われる/発行上限10,000,000単位暗号資産(第1号)発行者の有無は要件にない。決済に使われ、円との交換市場がある(問い3)取扱事業者は暗号資産交換業の登録が必要か。実際の使われ方を確認
対象時点:2026年10月8日の​現行法。​出所:学習用の​仮定に​基づき大手町​プレップ作成​(設計は​すべて​架空。​判定は​資金決済法、​金商法、​事務​ガイドラインに​沿った​見立て)。​(スマートフォンでは​表を​横に​スクロールできます)

トークン3は前払式支払手段(対価を得て発行され、発行者等から物品等を購入する際の代価の弁済に使える電子的な記録など)に当たり得ます。ただし移転に発行者の関与を要しない前払式支払手段は電子決済手段の範囲に入り得るため、運営の管理下に置く設計が前提です10。

設計項目を​1つ​変えると、​分類は​どう​移るか

図表4は、基準となるトークン(発行者があり、権利は付かず、不特定の者が売買と決済に使える)から、設計を1つだけ変えた場合の移り変わりです。

図表4:設計を1つ変えたときの分類の移り変わり 基準トークン 発行者あり・権利は付かない 不特定の者が売買と 決済に使える → 暗号資産 ① 収益の分配を受ける権利を付ける → 電子記録移転有価証券表示権利等 金商法の側へ移る(暗号資産の定義から除外) ② 1トークン=1円の払戻し義務を付ける → 電子決済手段 通貨建資産となり、暗号資産から外れる ③ 発行者を外し、運営者のいない仕組みにする → 暗号資産のまま(分類は不変) 改正法の施行後は特定暗号資産の扱いが変わり得る ④ 決済使用を禁止し、30,000円・500点に限る → 暗号資産に当たらない見立て 個別判断。ガイドラインの注(イ・ロ)を満たす場合
単位:円。​対象時点:2026年10月8日の​現行法。​出所:学習用の​仮定に​基づき大手町​プレップ作成​(設計は架空)。​(スマートフォンでは​図を​横に​スクロールできます)

図表4のとおり、①と②は定義の除外関係によって分類が移ります。③の発行者の有無は、現行法では分類を動かしません。④は、ガイドラインの考え方に基づき、決済に使える要件に当たらない設計にする例です。

判定が​揺れる​論点:外貨建て​連動・​NFT・​複数の​性質

外貨建て連動。米ドルに連動するトークンでも、発行者等が米ドルで払い戻す義務を負えば通貨建資産に当たり得ます(資金決済法第2条第7項は外国通貨を含みます)。トークン5のように、担保の暗号資産の価値で連動を保つだけで払戻し義務がなければ、暗号資産に傾きます。分かれ目は円か外貨かではなく、払戻し義務の有無です。なお、法定通貨担保型などの3類型は設計の類型で、電子決済手段の類型ではありません。

NFT(代替性のないトークン)。NFTは、暗号資産とも非暗号資産とも一律には言えません。ガイドラインは、発行者等が代価の弁済に使わせない意図を明確にしていること(イ)と、価格や数量などから代価の弁済に使える要素が限定的であること(ロ)を充足するなど、法定通貨や暗号資産で売買できる物品等にとどまるものは、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる」要件を満たさないとします。金融庁は2023年3月24日公表の回答で、ロの例として「最小取引単位当たりの価格が1000円以上」「発行数量を最小取引単位で除した数量が100万個以下」を挙げました。いずれも例示で、基準値ではありません。一定期間1000円未満で取引される状況が続けば、数量が限定的な場合などを除き、該当の蓋然性は高まるとされています11。

トークン4で検算すると、30,000円は例示の1,000円の30倍、500点は例示の100万個の範囲内です。同じ会員権を1点500円・2,000,000点にすると、どちらの例示も満たさず、ほかの事情と合わせた再検討が必要です。

複数の性質を併せ持つ場合。円の払戻し義務と事業の収益の分配を併せ持つ設計は、条文の除外関係では有価証券の側に倒れます。電子決済手段は有価証券を除き、暗号資産は第8号の権利を表示するものを除くためです。ほかの法令の検討は別に必要です。CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、本邦通貨や外国通貨が暗号資産の定義から除かれていることもあり、3分類の判定には含めません。

2026年の​改正法で、​判定の​手順は​どう​変わり​得るか

2026年7月23日公布の令和8年法律第64号(金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律)は、暗号資産の規定を資金決済法から金商法へ移します。成立法律では、金商法第2条に暗号資産の定義(第49項)が置かれ、構造は現行と同じです。通貨、通貨建資産、電子決済手段(通貨建資産に該当するものを除く)を除き、第29条の2第1項第8号の権利を表示するものも除きます12。そのため図表2の問い1〜3の順序は、移管後も使える可能性が高いと読めます(編集部の見解。施行後の内閣府令は未確認です)。

変わる点は主に2つです。1つ目は規制の置き場所で、暗号資産の売買などは金商法の暗号資産取引業(第28条第5項)に入ります。2つ目は発行者の有無の意味です。特定の者のみが発行する権限を有する暗号資産は特定暗号資産(新第2条第50項)とされ、その募集・売出しは、原則として発行者が所定の情報を公表していなければ行えません(新第27条の39第1項)。金融庁の説明資料は、暗号資産を有価証券とは別の金融商品に位置づける趣旨と説明しています13。

施行日は、附則第1条により、公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日です。施行日を定める政令は、検索した範囲では確認できていません。施行までは現行の資金決済法の定義が適用されるため、図表2は現行法で使います。

実務​チェックリスト:仮判定を​依頼資料に​まとめる

  • 権利内容:収益の分配や信託受益権など、金銭を受け取る権利が規約やホワイトペーパーにあるか。あれば問い1へ進みます。
  • 償還条件:払戻し義務の有無、義務を負う相手、通貨(円・外貨)、額面との関係を、約款の該当条項で確認します。
  • 使い道:決済に使える範囲が発行者側に限られるか、不特定の者に開かれているか。決済使用を禁止する規約やシステム上の制限の有無を確認します。
  • 譲渡と流通:移転がブロックチェーン上か運営の台帳内か、発行者の承諾が要るか、取引所や二次流通市場があるかを確認します。
  • 販売先:一般の投資家か、適格機関投資家など限られた相手か、勧誘人数はどの程度か。区分は募集と​私募の​区分基準で整理します。
  • 数量と価格:発行数量を最小取引単位で除した数量、最小取引単位の価格(有償は販売価格、無償は0円)、二次流通価格を表にします。
  • 発行者と関与者:発行者、運営者、販売事業者の有無と登録の有無を確認します。
  • 記録:判定日、参照した条文、前提にした設計を残し、設計変更や二次流通の開始で見直します。

よく​ある​質問​(FAQ)

ポイントを​ブロックチェーンで​管理し、​ユーザー間の​譲渡を​認めると​暗号資産に​なりますか。

ガイドラインは、​ポイント・​サービスに​おける​ポイントは、​発行者と​店舗等との​関係では​不特定の​者への​代価の​弁済の​要件​(①)​または​売買の​要件​(②)を​満た​さず、​暗号資産に​当たらないと​しています。​ただし、​ユーザー間で​自由に​売買され、​外部の​市場で​法定通貨と​交換できる​状況に​なれば、​売買の​要件が​問題に​なります。​実態に​よる​個別判断です。

どの​分類にも​当たらない​とき、​規制は​何も​ないのですか。

資金決済法と​金商法の​定義に​当たらないと​いうだけで、​ほかの​法令の​対象に​なる​ことは​あります。​トークン3は​前払式支払手段の​規制を​検討します。​社内へ​「非該当」と​報告する​ときは、​どの​法令の​どの​定義に​当たらないと​見立てたかも​併記します。

まとめ

暗号資産・電子決済手段・電子記録移転有価証券表示権利等は、条文の定義の中で互いを除外し合っています。そのため、①収益の分配などの権利、②法定通貨での払戻し義務、③不特定の者への代価の弁済と売買、の順に問うと整理できます。揺れるのは外貨建て連動、NFTの価格と数量、複数の性質を併せ持つ設計です。施行日を定める政令は確認できていないため、現行法で判定してください。

脚注

  1. 資金決済法第2条第7項(通貨建資産の定義。本邦通貨もしくは外国通貨で表示され、または通貨で債務の履行・払戻しその他これらに準ずるものが行われることとされている資産)と、同条第8項(有価証券の定義)。e-Gov法令検索の現行版で確認した(参考文献 R2)。↩
  2. 資金決済法第2条第14項本文第1号・第2号とただし書。第1号の括弧書に「本邦通貨及び外国通貨、通貨建資産並びに電子決済手段(通貨建資産に該当するものを除く。)を除く」とあり、ただし書に「金融商品取引法第二十九条の二第一項第八号に規定する権利を表示するものを除く」とある(参考文献 R2)。↩
  3. 資金決済法第2条第5項第1号〜第4号(括弧書で有価証券、電子記録債権法第2条第1項の電子記録債権、第3条第1項の前払式支払手段、これらに類するものとして内閣府令で定めるものを除く)と、同条第9項(特定信託受益権)。内閣府令(電子決済手段等取引業者に関する内閣府令)第2条第1項は、対価を得ないで発行され発行者等から物品等を購入できる財産的価値と、有価証券・特定信託受益権に該当しない信託の受益権を、内閣府令で定める類するものとして挙げる。同条第2項は、前払式支払手段のうち残高譲渡型、番号通知型、移転にその都度発行者の関与を要するものを除いたものを、流通性などを勘案して定めるものとする(参考文献 R2、R4)。↩
  4. 金商法第29条の2第1項第8号は「第二条第二項の規定により有価証券とみなされる権利(当該権利に係る記録又は移転の方法その他の事情を勘案し、公益又は投資者保護のため特に必要なものとして内閣府令で定めるものに限る。)」と定める。金融商品取引業等に関する内閣府令第1条第4項第17号は「電子記録移転有価証券表示権利等」を同号に規定する権利とし、第6条の4は、その内閣府令で定めるものを、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合に該当するものと定める。金商法第2条第2項前段は、有価証券に表示されるべき権利(有価証券表示権利)を、その有価証券が発行されていない場合も有価証券とみなす。同項第1号は信託の受益権、同項第5号は出資・拠出した金銭を充てて行う事業から生ずる収益の配当や財産の分配を受けることができる権利(一定の例外を除く)を挙げ、同条第3項は、財産的価値に表示される場合を電子記録移転権利とし、第一項有価証券に含める(参考文献 R3、R5)。↩
  5. 資金決済法第62条の3(電子決済手段等取引業は登録を要する)、第63条の2(暗号資産交換業は登録を要する)、第2条第10項・第15項(各業の定義)。金商法第28条第1項第1号は、第一種金融商品取引業の対象から、電子記録移転権利を除く第二項みなし有価証券の取扱い等を除き、同条第2項第2号は、その除かれたものを第二種金融商品取引業とする(参考文献 R2、R3)。↩
  6. Corporate Finance Institute「Types of Cryptocurrency」。ステーブルコインを法定通貨に連動し準備資産で価値を保つ設計として説明する節、トークンを他のブロックチェーン上で動く暗号資産とする節、セキュリティトークンを他の資産への権利を表すものとする節、NFTを代替性がなく暗号資産とは区別して扱う節がある。技術・用途による分類を示す一般概念の参考であり、日本の法的分類の根拠ではない(参考文献 R1)。↩
  7. 金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第9条の2は、電子記録移転権利から除かれる場合として、取得者を適格機関投資家等に限る技術的措置と、移転の都度、権利者の申出と発行者の承諾を要する技術的措置をとることなどを定める。要件の詳細は条文で確認が必要である(参考文献 R6)。↩
  8. 金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)16 暗号資産交換業者関係」Ⅰ-1-1④に、通貨建資産の該当性は、発行者等が利用者に対してその券面額と同額の法定通貨で払い戻す等の義務を負っているかなどから判断するとあり、その注に、通貨建資産に該当すれば暗号資産には該当しないが、前払式支払手段や為替取引その他の規定に該当する可能性があるとある。版・改訂日は確認していない(参考文献 R7)。↩
  9. 同ガイドラインⅠ-1-1本文・①〜③・注。①は代価の弁済のために不特定の者に対して使用できるかを判断する際に、ブロックチェーン等で不特定の者の間で移転可能か、使用可能な店舗が限定されていないか等を、②は売買に関し、発行者の制限なく法定通貨と交換できるか、交換市場が存在するか等を、申請者から詳細に説明を求めるとする。本文は、暗号資産の該当性は最終的には個別具体的に判断するとし、②の注はプリペイドカードやポイントは暗号資産に該当しないとする(参考文献 R7)。↩
  10. 資金決済法第3条第1項第1号(前払式支払手段)と同条第4項(自家型前払式支払手段)。電子決済手段等取引業者に関する内閣府令第2条第2項は、移転を完了するためにその都度発行者の承諾その他の関与を要する前払式支払手段などを、電子決済手段の範囲に戻さないものとして扱う(参考文献 R2、R4)。↩
  11. 金融庁「『事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)』の一部改正(案)の公表に対するパブリックコメントの結果等について」(令和5年3月24日)の別紙1「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」No.16〜23(p.9〜12)に、最小取引単位当たりの価格が例えば1000円以上、発行数量を最小取引単位で除した数量が例えば100万個以下であれば、それぞれ高額・限定的といえると考えられること、トークンを新規に提供する際の基準となる価格は有償なら販売価格・無償なら0円となるが二次流通価格も基準になり得ること、一定期間1000円未満で取引される状況にあれば該当の蓋然性が高まることが記載されている(参考文献 R8)。↩
  12. 令和8年法律第64号(成立法律)の金融商品取引法の改正部分に、新第2条第49項(暗号資産)・第50項(特定暗号資産)、新第27条の39、新第28条第5項(暗号資産取引業)がある。附則第1条は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日を施行日とする(一部の規定を除く)。参議院の議案情報に、公布年月日が令和8年7月23日、法律番号が64、議案要旨に「暗号資産取引に係る規制を資金決済に関する法律から削除する」とある(参考文献 R9、R10)。↩
  13. 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月)のp.2・p.3に、暗号資産取引に係る規制を資金決済法から金商法に移管し、有価証券とは別の金融商品に位置づけること、情報提供の充実などを課題とすることが記載されている。法案段階の資料であり、成立後の細則は確認していない(参考文献 R11)。↩

参考文献​(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。