この記事で分かること
- 米国の大手銀行の監督データでは、商業用不動産の価格が1%ポイント高いと、不動産を差し入れた銀行依存度の高い非上場企業の与信の伸びは約9.5bp高かった。
- 無担保で借りる企業では、不動産を所有していても統計的に有意な関係は確認されなかった。ただし推定の幅は広く、効果がゼロとまでは言えない。
- 担保余力の計算上の増加と、研究の平均的な反応には大きな開きがある。与信と借入の場面で確かめる項目を、日本の根抵当権の仕組みと合わせて整理する。
想定読者:銀行の法人営業・審査、事業会社の財務、PE・FASでデューデリジェンスを担当する方
前提知識:LTV、信用スプレッド、PD・LGDの意味が分かること
取引先の非上場メーカーから、こう相談される。「本社工場の周辺の地価がずいぶん上がった。担保の評価を見直して、設備資金を増やしてもらえないか」。評価額が1割上がれば、掛目を掛けた担保枠も1割広がる。電卓の上では話は簡単だが、銀行融資の現実は電卓どおりに動くのだろうか。
逆の場面もある。買収対象の会社が都心に不動産を持っていて、売り手が「含み益があるので借入余力は十分だ」と説明する。この会社が無担保でしか借りていないとき、不動産の値上がりは借入の増加に結びついてきたのか。
2つの問いに、担保の差入れを融資ごとに観察したデータで答えようとしたのが、FRBの研究者らの論文である。結論を先に言えば、主な推定で値上がりが融資の増加として確認された企業はかなり限られ、地域全体では向きが逆になる推定まである。
この記事が主に参照する研究
Gupta, Sapriza and Yankov(2025)「The Collateral Channel and Bank Credit」Finance and Economics Discussion Series 2022-024r1(FRBの研究者らの論文で、FRBの公式見解ではない)
- 公表:第1稿 2021年4月、公開版の初版 2022年5月。参照した版:2025年11月9日付の改訂版。査読:未査読(WP)
- データ:米国の大手銀行が報告する監督データ。68都市圏、32の銀行持株会社、借り手92,069社、2013年第1四半期〜2019年第4四半期
- 方法:土地の供給制約と破産裁判所の効率を操作変数に使い、同じ銀行・同じ市場の中で比べる因果の識別を試みる分析
- 位置づけ:担保チャネルという既存理論の、新しいデータ・手法による検証
「持 っている」と「差 し入れている」は別の話である
担保チャネルとは、担保の価値が上がると借入の上限が緩み、企業がより多く借りて投資できるという経路を指す。論文は、借入額が担保の時価に一定の比率を掛けた額を超えられないという単純な制約から出発する1。この比率がLTVの上限に当たる。
この分野の代表的な研究である Chaney らは、米国の上場企業が追加の担保1ドルにつき6セント投資すると推定した2。ただし、そこで見ていたのは不動産の所有であり、銀行に差し入れたかどうかではない。一方で Lian と Ma は、米国の企業負債の価値の80%は営業キャッシュフローを基準に貸されており、特定の実物資産を担保にするものは20%だと指摘した3。大企業が不動産を差し入れていないなら、値上がりはどのように融資に効くのか。ここに疑問が生じる。
今回の論文の材料は、総資産1,000億ドル超の銀行持株会社が報告する融資ごとのデータで、与信枠100万ドル超の融資を対象とする4。担保の種類が融資ごとに分かり、非上場企業も含む。借り手の総資産の中央値は約2,100万ドルで、上場企業の分析とは顔ぶれが違う。全体の21%が不動産を差し入れており5、規模で見ると、最小の十分位では与信の約6割が不動産担保、最大の十分位では6割超が無担保だった。不動産を差し入れた企業の総資産の中央値は400万ドルにとどまる6。
もう1つの軸が銀行依存度である。論文は、非上場で、銀行与信が負債の50%を超える企業を「高銀行依存」と定義する7。以下の数字は、都市圏の商業用不動産価格が1%ポイント高いときの反応をbp(0.01%ポイント)で表す8。
主な推定で反応したのは、銀行依存度の高い企業の融資だった
価格の内生性を補正した推定で、不動産を差し入れた高銀行依存の企業の与信の伸びは、価格1%ポイントにつき年9.45bp高かった。低銀行依存の企業は−0.02bpで、統計的に有意でない9。この低依存の推定は幅も狭く、95%区間はおよそ−3.8〜3.7bpである10。
金額の感覚をつかむには、10%の値上がりに置き換えるとよい。単純に線形で伸ばせば、与信の伸びは年0.95%ポイント高い計算になる。新規融資の条件も動くが、大きくはない。高依存の企業では、信用スプレッドが約1.2bp低下し、満期が約0.6か月延び、銀行が見積もるLGDが約0.63%ポイント、PDが約0.22%ポイント下がる計算だ11。低依存の企業では、LGDは下がるのにスプレッドと満期に有意な変化はなかった12。
新規融資の条件では、値上がりへの反応より、不動産を差し入れているかどうかの係数の方がはるかに大きい。差入れダミー単独の係数は、スプレッドで約−28bp、PDで約−2.5%ポイントである。著者らは価格を固定して無担保と比べた差と説明するが、同じ推定に差入れと価格の交差項が別に入っているので、どの価格水準でも同じ差という意味ではない。別の推定では、不動産担保のLGDの見積もりも約9%ポイント低い13。
融資の増加は企業活動にもつながった。高依存の企業で、価格1%ポイントにつき設備投資の伸びは約27bp、総負債の伸びは約7bp高い。総資産は約2bpで、有意性は10%水準にとどまる。売上は有意でなかった14。時間を追うと、設備投資は2四半期後に73bpで頂点をつけて薄れ、負債比率の上昇は続く15。投資の押し上げは一時的で、借金は残るという組み合わせである。
銀行依存度以外の切り口では、負債比率や債務倍率が上位4分の1の企業、収益性が下位4分の1の企業で、総負債の係数は12〜13bpで、5%水準で有意だった。それ以外の企業の係数は5〜6bpで有意でなく、点推定は財務の弱い群の方が大きい。著者らは制約の強い企業ほど感応的だと解釈するが、群間の差の検定は示されていないので、差があるとまでは確定できない16。
差し入れていない企業では有意な関係が確認されなかった
著者らは検算として、無担保でしか借りず、不動産を差し入れない7,153社を調べた。ここでは設備投資、売上、総負債など、どの項目でも統計的に有意な関係は確認されなかった17。著者らはこれを、所有だけでは足りない証拠と位置づける。倒産時に値上がり分を得られるか貸し手に確信がなければ、貸し増す理由が弱いという解釈である18。
ただし、図1のように総負債の係数を並べると、読み方には注意が要る。差し入れていない企業の点推定は8〜9bpで、差し入れた高依存の企業の約7bpとほぼ同じ水準にある。有意でない理由は、標準誤差が約7bpと大きいことだ19。「所有では増えない」より「所有で増えるとは示せなかった」と読むのが正確である。
図1で紺の上段の区間だけが0を含まない。下の3本の区間はいずれも0をまたぐが、幅の広さは金色の2本で際立つ。
地域全体では、差入れの割合で符号が変わる
個社で融資が増えるなら、都市全体でも増えるはずだと考えたくなる。論文の最後の部分はこの推論に留保をつける。都市圏レベルの推定では、値上がりの効果が「差し入れる企業の割合」に比例する部分と、割合によらない価格そのものの部分に分かれ、後者が負だった。
2つを足すと図2になる。割合が中央の20%の市場では、二段階の2つの推定で総効果は−4.7bp、−2.5bpとわずかな負で、0を超えるには割合が約20.9%、20.4%必要になる。一段階の推定では同じ市場で100.4bpの正で、分岐点は5.6%まで下がる20。論文の本文の一部の数値は表の係数と食い違っており、本稿は表から計算し直した21。
推定の間で差が大きいので、水準より形を読みたい。差し入れる企業が多いほど傾きは効き、少ない市場では価格上昇が信用を押し下げる側に出うる。見方を変えると、二段階の推定では値上がりが少なくとも20%なければ、差し入れる企業の多さは信用にプラスにならない22。正の領域では増幅も大きく、市場レベルの反応は企業レベルの3〜11倍と推定されている23。
雇用にも同じ構図がある。中央の市場で値上がり1%ポイントにつき雇用の伸びは約6bp高いとされるが、これは交差項だけの値で、価格単独の項を足すと−3.0bpになり、割合が約29.9%を超えないと正にならない24。著者らは平均的な値上がりで雇用成長の約38bp分、平均の約6%を説明すると書くが、同じ段落の数値で割ると約16%になる25。価格単独の負の効果について、著者らは不動産を持たない企業の賃料や人件費の上昇と解釈している26。
数字は改訂で大きく動いた。研究の範囲と限界
この論文は未査読のWPで、版によって結論の強さが変わっている。初版の「雇用成長の最大37%を説明する」は、改訂版では約6%に変わった27。
表1 同じ論文の初版と改訂版の主な違い
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| 項目 | 初版(2022年5月) | 改訂版(2025年11月) |
|---|---|---|
| 信用の弾力性(価格1%ポイント) | 12bp | 制約の強い借り手で5〜9.5bp |
| 市場レベルの増幅 | 企業レベルの約7倍 | 3〜11倍(推定による) |
| 雇用の伸び(中央の市場・交差項の部分) | 約14bp | 約6bp |
| 失業率(中央の市場・交差項の部分) | 約−0.8bp | 約−1.1bp |
| 雇用成長への寄与 | 最大37% | 約6%(本文の表記) |
| 担保選択の扱い | 破産裁判所の操作変数なし | 破産裁判所の効率を操作変数に追加 |
| 市場全体の符号 | 要旨は拡大の面のみ | 差入れの割合と値上がり幅で符号が変わる |
初版の数字を紹介した記事や資料が残っている以上、引用するときは版の確認が欠かせない。改訂版にも次の留保がある。
- 担保の時価が分かる3,806社に絞った別の仕様では、高依存と低依存の係数は近くなり、低依存の方が大きい項目もある。著者らは標本の偏りと説明するが、補正はできていない28。
- Hausman検定では、OLSと操作変数の推定の差を統計的に棄却できなかった。低依存の「ゼロ」は操作変数の推定に依存する29。
- 企業ごとの担保の時価は大半で不明で、都市圏の価格指数で代用し、担保は本社の所在地にあると仮定している。対象は事業会社の融資で、賃貸不動産の融資は別枠である30。
- 標本は金融危機後の回復期で、不動産価格が上がる局面が中心である。値下がりのときに同じ大きさで逆に動くかは、この論文では検証されていない。
大手町プレップの考察:担保余力は「上 限」であって「需 要」でも「実 行額」でもない
ここからは編集部の見方である。主な推定を素直に読むと、担保価値の上昇が与信の量として有意に現れたのは、不動産を差し入れた高銀行依存の企業だった。著者らはこの群の借入制約が強いためと説明するが、高銀行依存は非上場であることと銀行与信の比率で分けた代理指標で、個社が借入の上限に達していたかや、銀行以外の調達手段の有無を測ったものではない31。論文の低銀行依存の企業は、値上がりでLGDの見積もりは下がったのに、融資は有意に増えなかった。銀行の採算の改善と、融資の増加は別の出来事だと考えられる(仮説)。
もう1つは、財務の弱い先で反応が有意に出た点の読み方である。群間の差は検定されていないので断定はできないが、担保が返済力を代替しているなら、与信ポートフォリオの中で、地価が高い時期ほど弱い先の負債が伸びることになる。負債比率の上昇が続くという結果と合わせると、値上がり局面の増額は、値下がり局面の弱点を仕込んでいる可能性がある。論文はこの下落局面を検証していないので、これは仮説にとどまる。
日本の実務に持ち込むときの4つの違い
まず融資の構成が違う。国内銀行の担保別の貸出は信用(無担保)が過半で、次いで保証、不動産担保の順である一方、信用金庫では不動産担保の比率が最も高い32。研究の「差し入れた高依存の企業」に近いのは、信用金庫や地域銀行の取引先の一部だろう(編集部の推論)。Lian と Ma も、日本の企業金融は歴史的に実物資産、特に不動産を重視してきたと対比している33。
次に担保の形が違う。研究の標本では担保付き融資の96%超が第1順位で、値上がり分を取り出す主な手段は借換えだった34。日本では根抵当権が使われ、極度額の範囲なら銀行は同じ担保の下で継続的に貸せる(貸出の確約ではない)。極度額を超える増額には、極度額の変更(利害関係者の承諾が要る)や後順位の設定などが必要になる35。担保の評価が上がっても、極度額の中なら増額の余地は登記の面からは変わらず、値上がりが融資に届く経路は米国と同じではないと考えられる(編集部の推論)。
3つ目は倒産制度である。研究は米国の第7章・第11章の処理の速さを、担保の選択を説明する材料に使った36。日本では破産と民事再生で担保権は別除権として手続の外で行使でき、民事再生には実行の中止命令があり、会社更生では更生担保権として手続の中に入る37。回収の見込みの作り方が違うので、裁判所の効率という米国の材料はそのまま使えない。2026年5月25日に施行された企業価値担保権は、不動産に限らない担保の選択肢である38(担保を出す側のコストは担保付き債務の便益とコストの記事で整理した)。実際の回収の比較は担保不動産の回収方法の比較、ABLとの関係はABLと事業性融資の実務が参考になる。
4つ目は足元の局面である。日本銀行の2026年10月の金融システムレポートは、不動産価格が三大都市圏で上昇ペースを高めていること、不動産業向け貸出の伸びが高めであることを記している39。日本の登記データを使った Ono らは、1975〜2009年の事業向け融資で、貸出と地価はともに景気に順行する一方、LTVはバブル開始期から少なくとも2000年代初めまで逆行したと報告した40。編集部の見方では、LTVが下がっていることは、融資の膨張がないことを意味しない。
設例:計算上の担保余力と、研究の平均的な反応を比べる
学習用の設例(架空)
- A社:非上場の製造業。本社工場の担保評価額 1,000百万円、掛目 70%
- 既存の銀行借入 500百万円(第1順位)、EBITDA 100百万円
- 銀行の見積もり PD 2.0%、LGD 30.0%
表2 担保評価の変化と計算上の担保余力(学習用の設例・架空、単位:百万円)
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| 評価額の変化 | 評価額 | 担保枠(掛目70%) | 担保余力 | LTV |
|---|---|---|---|---|
| +10% | 1,100 | 770 | 270 | 45.5% |
| 0% | 1,000 | 700 | 200 | 50.0% |
| −10% | 900 | 630 | 130 | 55.6% |
| −20% | 800 | 560 | 60 | 62.5% |
| −30% | 700 | 490 | −10 | 71.4% |
評価額が10%上がると、計算上の担保余力は200百万円から270百万円へ、70百万円増える。一方、論文の高依存の係数9.45をA社に当てはめると、10%の値上がりで与信の伸びは年0.945%分、金額で約4.7百万円である。3年続けても約14.3百万円にすぎない。計算上の増加は1年分の平均的な反応の約15倍ある。
この比較は論文が検証したものではなく、平均的な関係を1社に流用した編集部の試算である。それでも開きの大きさは示唆的だ。平均には借り換えなかった企業が含まれ、銀行は余力の全額を貸さず、企業も全額を借りない。担保余力は上限であって、実行額の見込みではない。
条件面も同様に試算できる。スプレッドの約1.2bpの低下は、500百万円の借入で年約6万円にとどまる。銀行の期待損失(PD×LGD)は0.60%から0.52%へ約7.6bp下がる計算で、銀行の見積もりの改善に比べて金利の低下は小さい。別々の係数を組み合わせた試算で、因果の分解ではない。
増額を使い切ると有利子負債÷EBITDAは5.0倍から5.7倍になる。担保枠は広がっても、返済力の指標は悪化する。下方向では、評価額が30%下がると余力は−10百万円となり、追加の担保か条件の見直しが議論になる。増額の判断は債務償還年数とDSCRの分析シートのように、返済力の側から必ず検算したい。DSCRが増額後も基準を満たすかが、担保余力より先に来る。
与信と資金調達で明日から確かめる項目
いずれも編集部の提案で、論文が検証した手順ではない。数値の目安は仮のものである。
- 所有と差入れを分けて台帳にする。融資先ごとに、不動産の所有、担保差入れの有無、順位、極度額、直近の評価日を並べる。登記事項証明書で確かめ、決算書の固定資産だけで判断しない。
- 増額の根拠を1行で書く。稟議で「担保余力」と「返済原資」のどちらが増額を支えているかを分ける。担保余力だけが根拠の増額には、理由を別に求める。
- 銀行依存度を計算する。銀行与信÷(負債+未使用枠)が50%を超える非上場企業を、値上がりの影響を受けやすい候補として抽出する。50%は研究の定義で、日本で検証された閾値ではない。
- 財務の弱い先の増額を別に集計する。有利子負債÷EBITDAの上位4分の1の先で、評価見直しに伴う増額がどれだけあるかを見る。
- 下落を先に計算する。担保評価を−20%、−30%にしたときの余力とLTVを出す。余力が負になる先の残高を、地域別に合計する(−30%は編集部の仮の目安)。
- 買収監査では「含み益=借入余力」と読まない。差し入れていない不動産は、順位・極度額・既存の担保制限条項を確かめてから余力に数える。
- 財務部は、増額の交渉に使う前に、値上がり分で得られるのは主に量か、金利かを見積もる。金利の低下は小さい可能性が高い。
よくある質問
担保の評価が上がれば金利は下がりますか。
研究の高依存の企業では下がりましたが、10%の値上がりで約1.2bpの計算で、大きくありません。不動産の差入れダミー単独の係数は約−28bpとこれより大きいものの、価格との交差項を別に置いた推定の値で、どの価格水準でも同じ差という意味ではありません。
この結果は日本の中小企業にも当てはまりますか。
そのままは当てはまりません。研究は米国の大手行の与信枠100万ドル超の融資で、不動産価格の上昇局面の分析です。日本は根抵当権や倒産制度が異なり、同じ規模の推定は本稿では確認できていません。
まとめ
主な推定では、担保の値上がりは差し入れた不動産を通じて、銀行依存度の高い非上場企業の与信と投資の伸びを高めた。所有しているだけの企業では有意な関係が確認されず、ただし推定の幅は広い。地域全体では差入れの割合で符号が変わり、数字は版によって大きく動いた。計算上の担保余力をそのまま融資の見込みとせず、返済力と下落時の数字を並べて判断したい。
脚注
- R1 p.16 の式(1)。担保の時価に貸し手が決める比率を掛けた額を借入の上限とする定式化で、比率は銀行の資本・流動性や倒産時の回収見込みで変わると説明している。↩
- R4(NBER WP 16060)PDF p.2(1993〜2007年、追加の担保1ドルにつき投資が6セント増える)・p.3(米国上場企業)。↩
- R5(2018年3月1日付の草稿)p.1・p.15。掲載誌版(QJE 2021年)の本文は未確認。R1 p.22 は同論文の掲載版を「上場企業の負債契約の約80%が収益基準」と紹介している。↩
- R1(FEDS 2022-024r1, 2025年11月)PDF p.3・p.9〜11。ページは PDF の物理ページで、論文に印刷された番号より1大きい。銀行数は p.9 と p.68 が32持株会社、p.10 の表1注が34行、p.55 が35行と書いており、本稿は p.9 の32を使う。↩
- R1 p.3(21%)、p.13 表2(市場平均21%)。一方、p.22 は「約37%」と書き、p.37 の表11注の16,485社÷49,242社は33%(編集部計算)で、定義や標本で値が異なる。本稿は p.3 の21%を使う。68%は資産ベースの担保の割合(p.3・p.22)。↩
- R1 p.21 図3・p.22(2019年末の貸出額ベース)、p.22(総資産の中央値400万ドル)。↩
- R1 p.11 と脚注3。負債は未使用の与信枠を含めて計算し、負債情報の欠損も高依存に分類している。割合は全標本で約45%(p.11)、表11の推定標本で68%(p.37 注)。↩
- R1 p.36。価格指数は小数、与信の伸びは年率%で測るため、係数9.45は価格1%ポイントで0.0945%ポイント、すなわち約9.5bpを意味する。↩
- R1 p.37 表11 列(5)。括弧内は標準誤差。高依存は1%水準で有意。全体の係数は5.11(列(3))。価格の内生性の補正後の値で、OLS(列(2))では高依存7.44、低依存5.82とどちらも有意だった。↩
- 95%区間は係数±1.96×標準誤差の編集部計算(−3.8〜3.7bp)。高依存との差について表11に検定の記載はなく、共分散を無視した単純な計算ではz値が約3.6になる(編集部計算)。↩
- R1 p.39〜40 表12。1%ポイント当たりの換算(0.12bp、0.06か月、6bp、2bp)は p.39 本文による。10%への換算は係数を線形に伸ばした編集部計算で、新規融資についての推定である。↩
- R1 p.40 表12。低依存はスプレッド0.38、満期−3.66、PD−0.59が有意でなく、LGD−8.64は1%水準で有意。↩
- R1 p.39〜40 表12(無担保との比較)。−28.20と−2.52は差入れダミー単独の係数で、p.39 は価格を固定した差と説明する。同じ推定に差入れと価格の交差項があり、価格の変数は累積の上昇率(p.17)なので、単独の係数は累積の値上がりがゼロのときの差に当たる(編集部の読み)。LGD は p.30〜31 表9で、不動産担保が−9.02%ポイント、無担保が+4.24%ポイント。表12の差入れの係数(LGD−1.38)とは推定の仕様が異なる。↩
- R1 p.41〜42 表13。設備投資26.51と総負債6.91は高依存、総資産1.82は10%水準でのみ有意、売上0.82は有意でない。低依存で有意なのは売上3.39と総資産3.10。p.42 は負債比率の反応を「84bp」と書くが、表の係数は0.84で、他の列と同じ換算なら約0.84bpになり、図6の水準とも合わない。本稿はこの数値を使わず、著者に確認もしていない。↩
- R1 p.45〜46 図6・§5.2.2。↩
- R1 p.47〜48 表16。いずれも5%水準で有意。著者らの解釈は p.47。比較相手(低レバレッジ5.74、高ROA 6.08、低D/E 4.90)は有意でないが、どの係数も標準誤差が5.5〜6.3と大きく、群間の差の検定は示されていない。↩
- R1 p.47〜49 表17。無担保でしか借りず不動産を差し入れない7,153社で、うち3,313社に所有の情報がある。設備投資・売上・総負債・総資産・負債比率のいずれも統計的に有意でない。↩
- R1 p.49 §5.2.4。著者らの解釈。↩
- R1 p.41 表13 列(3)の6.91(標準誤差2.52)と、p.49 表17 列(3)の8.18(7.14)・9.17(7.04)。区間は編集部計算。両表は標本が違い、直接比較の検定は論文にない。↩
- R1 p.53 表19・p.54。交差項は列(2)510.30、列(3)564.44、列(4)695.58。価格単独の項は−106.75(10%有意)、−115.36(10%有意)、−38.69(有意でない)。総効果と損益分岐は編集部が同じ係数で再計算し、p.54 の約−5bp、−2.5bp、約100bp、21%、20.4%、約6%と整合することを確かめた。↩
- R1 p.54 は単独の価格効果を「約85bp」とし、シェア26%超の市場の総効果を48bp以上、34bp以上と書く。これらは価格の項ではなくシェアの項(−84.65、−112.10)を使うと再現できる値で、表の価格の項を使うと約25.9bp、約31.4bpになる(編集部計算)。本稿の図2は価格の項を使う。↩
- R1 p.53 表19(シェア単独の負の係数)、p.55(少なくとも20%、一段階推定では78%の値上がりが必要)、p.13 表2(シェアの分布)。↩
- R1 p.5・p.55〜56。OLS で約3倍、操作変数の推定で9〜11倍。↩
- R1 p.56 表20 列(2)、p.57。交差項30.23は5%有意、価格単独−9.05は10%有意。失業率の約1.1bp低下(p.57)も交差項−5.45に0.20を掛けた部分で、価格単独の2.24を足すと約+1.2bpになる。総効果と損益分岐は編集部計算。↩
- R1 p.57 は38bpを平均雇用成長の「約6%」と書くが、同じ段落の平均2.3%で割ると約16%になる(編集部計算)。本稿は両方を示し、どちらが意図された値かは未確認とする。↩
- R1 p.57。著者らの解釈で、賃料・賃金の上昇が不動産を持たない企業の費用を押し上げるとしている。↩
- 初版は R2 p.2・p.29、Economic Brief は R3、改訂版は R1 p.2・p.4〜5・p.54〜57。第1稿の日付は R1 p.2 の謝辞(2021年4月15日)。↩
- R1 p.42〜44 表14・表15。担保の時価が報告された3,806社で、価格の伸びではなく時価の対数を使う別の仕様である。高低とも有意。著者らは係数の近さを標本の構成の違いと報告の有無による選択で説明し、その選択は補正できないと書いている。群間の差の検定は示されていない。↩
- R1 p.36〜37 の脚注19。検定統計量14.82、自由度12、p値0.251。著者らは操作変数の戦略を否定するものではないと述べる。↩
- R1 p.17(都市圏の価格指数で近似)、付録A p.67〜68(本社所在地の仮定、賃貸用不動産の融資は別の報告様式)、p.15(標本は回復期)、p.9(与信枠100万ドル超)。↩
- R1 p.36(著者らの説明)、p.11(定義)、p.43〜44(3,806社の標本では低依存の係数も有意)。↩
- R7。日本銀行「貸出金の担保内訳」を基にした信金中央金庫の整理で、2023年度まで。本稿では日銀の原統計の数値は確認していない。↩
- R5(2018年草稿)p.6・p.17。1990年代の地価下落の影響として Gan(2007)を挙げるが、Gan の本文は未確認。↩
- R1 p.22。「値上がり分を取り出す主な方法は借換え」は同頁の著者の記述。↩
- R9(民法第373条・第398条の2・第398条の5)。R6 p.23〜24 は、日本の根担保が同じ貸し手の将来の貸出を上限まで担保し、貸出の確約ではないことを説明している。↩
- R1 p.34〜35 表10、p.49・p.58。↩
- R10(破産法第2条第9項・第65条)、R11(民事再生法第31条・第53条)、R12(会社更生法第2条第10項・第50条)。↩
- R13(施行日は e-Gov の改正履歴による)。↩
- R8 p.7・p.23。本稿は事業法人が自社不動産を担保に借りる融資に限った統計は確認していない。↩
- R6 p.2・p.7・p.23・p.48。登記情報に基づく420,889件、1975〜2009年。LTV の分母は地価の推計値で建物を含まず、2008〜2010年に登記が残るものに限られる(p.25・p.27)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Gupta, A., H. Sapriza and V. Yankov (2025), “The Collateral Channel and Bank Credit,” Finance and Economics Discussion Series 2022-024r1, Board of Governors of the Federal Reserve System. DOI: 10.17016/FEDS.2022.024r1. 参照した版:2025年11月9日付の改訂版。査読:未査読(WP)。 federalreserve.gov (参照箇所:PDF p.2〜59・付録 p.67〜68。主要な脚注の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Gupta, A., H. Sapriza and V. Yankov (2022), “The Collateral Channel and Bank Credit,” Finance and Economics Discussion Series 2022-024. DOI: 10.17016/FEDS.2022.024. 参照した版:2022年5月5日付の初版。査読:未査読(WP)。 federalreserve.gov (参照箇所:PDF p.2・p.29・p.45(表13)。表1の初版の数値の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Gupta, A., H. Sapriza and V. Yankov (2023), “The Collateral Channel and Bank Credit,” Federal Reserve Bank of Richmond Economic Brief No. 23-33. 参照した版:2023年10月。査読:未査読(機関の解説)。 richmondfed.org (参照箇所:本文。表1の「約7倍」の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 Chaney, T., D. Sraer and D. Thesmar (2012), “The Collateral Channel: How Real Estate Shocks Affect Corporate Investment,” American Economic Review 102(6), 2381–2409. DOI: 10.1257/aer.102.6.2381. 参照した版:NBER WP 16060。査読:掲載誌版は済(参照したのは WP)。 nber.org (参照箇所:WP 版 PDF p.2〜3。閲覧日:2026年10月)
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- R6 Ono, A., H. Uchida, G. F. Udell and I. Uesugi (2021), “Lending Pro-Cyclicality and Macroprudential Policy: Evidence from Japanese LTV Ratios,” Journal of Financial Stability 53, 100819. 参照した版:受理稿(神戸大学リポジトリ)。査読:済。 da.lib.kobe-u.ac.jp (参照箇所:受理稿 p.2・p.7・p.23〜25・p.27・p.48。閲覧日:2026年10月)
- R7 信金中央金庫 地域・中小企業研究所「担保別貸出金の動向」ニュース&トピックス No.2024-143(2025年2月5日) scbri.jp (参照箇所:p.1。日本銀行「貸出金の担保内訳」に基づく整理。閲覧日:2026年10月)
- R8 日本銀行
「金 融システムレポート」2026年10月号 boj.or.jp (参照箇所:PDF p.7・p.23。閲覧日:2026年10月) - R9 民法
(明 治29年法律第89号) laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第373条・第398条の2・第398条の5。閲覧日:2026年10月) - R10 破産法
(平 成16年法律第75号) laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第2条第9項・第65条。閲覧日:2026年10月) - R11 民事再生法
(平 成11年法律第225号) laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第31条・第53条。閲覧日:2026年10月) - R12 会社更生法
(平 成14年法律第154号) laws.e-gov.go.jp (参照箇所:第2条第10項・第50条。閲覧日:2026年10月) - R13 事業性融資の推進等に関する法律
(令 和6年法律第52号) laws.e-gov.go.jp (参照箇所:施行日(e-Gov 改正履歴、2026年5月25日)。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。