この記事で分かること
- 経営陣の「過信」を、予想を楽観側に外す傾向(過大見積もり)と、予想の幅を狭く言い切る傾向(過度の精確さ)に分けて測った米国の研究の方法と結果
- 前者は5年先までの業績と負の関係、後者は1〜2年の業績と正の関係を示したが、標本・測り方・因果の面でどこまで言えるか
- 東証の集計で点予想が中心の日本で、取締役会・投資家・PEの経営陣評価と社内の計画管理に、何を記録し、何を問うか(設例つき)
想定読者:経営企画・FP&Aの担当者、社外取締役や指名委員会の事務局、上場企業を分析するアナリスト、経営陣の評価を行うPE・FASの実務家
前提知識:決算短信の業績予想、ROAの意味、回帰分析の結果の読み方の基本(研究で使う指標は本文で説明する)
投資検討の資料に、対象会社が過去5期に出した期首の利益予想と実績を並べた表がある。2期は予想を下回り、1期は上回り、2期は予想の範囲に収まった。経営陣は「保守的に出している」と言う。この表から、経営陣の判断の質について何か読み取れるのか。読み取れるとすれば、外れた方向を見るべきか、外れた大きさを見るべきか、それとも予想の示し方そのものを見るべきか。
経営者の自信過剰が企業の価値を損ねるという議論は多いが、自信の「どの面」が問題なのかを分けて測った研究は少ない。本稿は、米国の大企業が出した予想レンジを手がかりに、楽観の偏りと言い切りの強さを分けて業績との関係を調べた研究を読み、日本の実務での使い方を考える。売上見込みの精度を社内でどう高めるかという問いとは別に、すでに出された予想の履歴を、経営陣を評価する材料としてどう読むかに焦点を当てる。
この記事が主に参照する研究
Wayne G. Borchardt、Dan P. Lovallo、Mikael Samuelsson、Ayrton da Silva(2025)「二つのバイアスの物語:過大見積もりと過度の精確さが企業業績に与える影響を解きほぐす(A tale of two biases: Unpacking the relationship of overestimation and overprecision on firm performance)」Strategic Management Journal 47(1)
- 公表:前身は筆頭著者の博士論文(ケープタウン大学、2021年4月)。掲載版は2025年9月にオンライン公開。参照した版:博士論文版(数値はすべてこの版による)。掲載版は要旨のみ確認。査読:掲載版は済1
- データ:2003〜2020年にS&P 1500に入った米国企業のうち、2009〜2019年に期首の利益予想をレンジで出した企業年5,116件(557社、金融業を除く)を収集。指標や期間によって分析に使えた件数は異なる2
- 方法:予想と実績から二つの指標を作り、1〜5年後の業種調整ROAとの関係を企業・年の固定効果つき回帰で推計(相関の分析で、因果の識別ではない)
- 位置づけ:経営者の予想という公開情報から二種類の過信を同時に測る新しい測り方で、既存の理論(ヒューブリス仮説など)を検証した実証研究
「過 信」を二つに分けると、予想の外し方と幅が別々の手がかりになる
心理学では、過信を少なくとも三つに分けて扱う。自分の能力や見通しを実際より良く見積もる過大見積もり、自分の判断が正しいという確信が強すぎる過度の精確さ、他人より優れていると思い込む過大配置である。研究は、戦略判断のような難しい課題に関係が深いとして、前の二つを取り上げた3。
二つの測り方は単純である。過大見積もりは、期末の実績が期首の予想レンジの下限を下回ったとき、その不足分をレンジの中央値の絶対値で割って測る。実績が上限を上回れば同じ分母で負の値(過小見積もり)になり、レンジ内なら0とする。過度の精確さは、レンジの幅を中央値の絶対値で割った値に負の符号を付けたもので、幅が狭いほど値が大きい。この連続的な指標は実績がレンジの外に出た観測(5,116件のうち3,866件)だけで定義され、後述の7段階の分析ではレンジ内も含めて幅を測っている4。本来、過度の精確さは「80%の確率で入る」と述べた範囲に実績が何割入ったかで測るが、経営者のレンジは確率を添えて示されないため、幅そのものを代わりに使った。著者自身がこれを限界として書いている5。
予想は、期首の前後3か月以内に出された年間の利益予想に限っている。経営陣が1年先の利益をどう見積もり、どれだけ言い切ったかを、チームとしての判断の癖の代理として使う発想である。先行研究で最も多く使われてきたCEO個人のストックオプションの行使行動による指標と違い、経営陣全体の判断を映すと著者は論じている。
図1は、5,116件の予想に対して実績がどこに着地したかを示す。
実績がレンジ内に収まったのは4件に1件にとどまり、半数近くは実績が予想の上限を超えた。著者は、利益の下振れを避けたい圧力で過小見積もりが多くなると解釈している6。日本の実務でいう決算サプライズ、特に悪い方向のサプライズを避ける行動と同じ向きの話である。また、二つの指標の相関は0.015と非常に低かった(過度の精確さが定義されるレンジ外の観測についての値と読める)7。楽観的に外す経営陣が幅も狭く言い切るとは限らず、二つは別々に観察できる性質だということになる。
楽観の外れは業績の低さと、幅の狭さは業績の高さと結びついていた
業績は業種調整後の総資産利益率
過大見積もりの係数は、1〜5年後のどの期間でも負で、1%水準で統計的に有意だった。過大見積もりが1標準偏差(予想中央値の約20.6%ポイント分)大きいと、翌年の業種調整ROAは1.32%ポイント低く、5年累計では3.12%ポイント低かった。翌年の差は、業種調整ROAのばらつき(標準偏差)の14%に当たる9。
予想の幅の狭さは正の関係だった。幅が1標準偏差(中央値比で約9.4%ポイント)狭いと、翌年の業種調整ROAは+1.79%ポイント高い。ただし単独で入れたモデルで1%水準の有意性があるのは1〜2年後までで、3〜5年後は有意でない。過大見積もりと同時に入れると4年後は1%、5年後は10%水準で有意になる10。ばらつき(標準偏差)に対する大きさで見ると、過大見積もりは翌年の14%から5年後の9%へ緩やかに縮むのに対し、幅は19%から5%へ早く薄れる。二つを掛け合わせた交差項は小さく有意でなく、二つの関係はほぼ足し算で効いていた11。
指標をそれぞれ7段階に区切って組み合わせると、翌年の業種調整ROAは、実績が予想を最も大きく上回り幅が最も狭い組で+3.9%ポイント、反対の組で−3.1%ポイントだった。差は7.0%ポイントで、ばらつきの約4分の3に当たる。ほどほどの楽観、ほどほどの言い切りが最もよいという仮説を立てていたが、関係は単調で、この仮説は支持されなかった12。著者はこの結果を、最良は「具体的な悲観型(specific pessimists)」、最悪は「漠然とした楽観型(vague optimists)」と要約している13。
金額の感覚をつかむため、著者は標本の総資産の中央値(20億ドル)に当てはめている。過大見積もり1標準偏差の差は年2,600万ドル、それが永続するとして加重平均資本コスト(WACC)10%で割り引くと2.6億ドルになる。二つの指標が同時に好ましい方向へ1標準偏差動けば、ROAで3.11%ポイント、年6,220万ドル、価値で6.22億ドルという換算である14。博士論文のこの換算は、差が永続するという強い仮定を置いたもので、回帰の推計値そのものではない。掲載版の要旨は、二つの面を合わせると企業の資産価値の3分の1超を説明できると述べるが、その計算根拠は掲載版の本文を読めておらず確認できていない15。
なぜこうした関係が出るのか。著者は補足の分析で、過大見積もりが営業利益率の低さと有意に結びつく一方、研究開発や投資の強度、レバレッジとは統計的に有意な関係が確認されなかったことを示した。幅の狭さは、営業利益率と7段階のうち4段階で5%水準の正の関係があった16。ここから著者は、過信は投資の「量」ではなく「質」を通じて業績に効くのではないかという推測を示しているが、さらに検証が必要な予備的な見方だと明記している17。
研究の対象と限界:予想を出す米国大企業の、相関の分析である
第一に、標本は無作為ではない。予想の公表は任意で、分析に使えた観測は理論上の最大の約16%だった。著者は統計的な検定でも欠落が無作為でないことを確かめ、結果を予想を出さない企業やS&P 1500の外へ一般化できないと述べている。記述的な比較では、レンジ予想を出す企業は出さない企業より業績の悪い側の裾が小さかった18。
第二に、因果は主張されていない。説明変数を1〜5年前にずらし、逆向きの回帰(業績が幅の狭さを生むという方向)も試した結果、順方向の関係のほうが強かったが、著者は無作為化実験なしに因果は言えないとする。前の期の業績を説明変数に加える動学的なモデル(GMM)では、過大見積もりは1%水準で有意のままだった一方、幅の狭さは有意でなくなった19。業種別に推計すると、9業種のうち4業種(観測の19%)で一方または両方の符号が逆転した20。幅の狭さの結果は、過大見積もりの結果より頑健性が弱いと読むべきだろう。
第三に、幅の指標には測り方の癖がある。米国の予想は10セント、20セントといったきりのよい幅で示されることが多く、著者は利益水準と幅の指標の間に1%水準で有意な関係があることを報告し、慎重な検討が必要としている21。経営陣の交代も統制していない。
第四に、本稿の数値は博士論文版によるもので、査読を経た掲載版の数値と一致するかは確認できていない。掲載版の要旨が示す方向(過大見積もりは負、過度の精確さは正、両者は無相関)は博士論文と一致する。
同じ業績予想レンジから楽観と過度の精確さを分けた先行の研究として、Huangらの2018年の稿がある。2001〜2014年の15,303件の経営者予想を使い、過度に精確なCEOほど実物投資、特にM&Aを増やし、楽観的なCEOにはその傾向がないと報告した22。投資の量とは有意な関係が確認されなかった本研究とは、標本・指標の作り方・分析の単位が違い、単純には比べられない。
大手町プレップの考察:幅の狭さを目標にすると、指標は意味を失う
以下は編集部の推論であり、研究が検証したものではない。
研究の結果を「幅を狭く言い切る経営陣を評価せよ」と読むのは危うい。幅の狭さが業績と結びつく理由として、著者は事業をよく理解している経営陣ほど精確に予想できるという推測を挙げている23。そうであれば、評価すべきは事業の理解であって、幅の狭さはその表れの一つにすぎない。幅を評価項目にすれば、経営陣は根拠のないまま幅を狭めるだけで点数を上げられる。指標を目標にした途端に指標が役に立たなくなる、という典型的な問題が起きる。
過大見積もりの結果は、実務に使いやすい。予想を楽観側に外す経営陣は、投資計画でも楽観的な前提を置いている可能性がある。著者が実務への示唆として、大型投資の承認前に実行可能で異なる二つ以上の代替案を示させることを挙げているのは、この見方と整合する24。一方で、外れの方向は経営陣が操作しやすい。下振れを避けるために予想を低めに置く行動(社内予算でいう予算スラック)は、この指標では「良い」側に数えられる。研究の結果は外部に公表された予想についてのもので、社内予算の握り込みを勧めるものではない。
もう一つの論点は、外れの方向と幅を分けて記録する価値である。二つの相関がほぼ0だったことは、楽観と言い切りが別々の癖であることを示している。予実の記録が「何%外れたか」という一つの数字にまとめられていると、この二つは混ざってしまう。
日本の実務への応用:点予想の国で、何を記録できるか
引用する東証の集計では、決算短信の業績予想は、特定の値(点)で示すものが大半である。東京証券取引所による3月期決算会社の集計では、2022年3月期の決算発表で業績予想を開示した会社は2,136社(93.4%)で、レンジで開示した会社は14社だった25。2015年3月期の集計でも、レンジは各区分を合わせて10社にとどまる26。少なくともこれらの集計の対象では、研究の幅の指標は公表予想からほとんど計算できない。外れの方向と大きさは点予想と実績の差として計算できるが、研究の指標はレンジの端からの距離であり、同じものではない。
そこで編集部は、使い道を三つに分けて考える。一つ目は投資家・PEによる経営陣の評価である。期首予想と実績の差を5〜10期並べ、外れの方向が偏っていないか、業績予想の修正がどの方向に何回あったかを確かめる。PEが経営陣を評価するマネジメントDDや、マネジメント・プレゼンテーションでの質問の材料になる。
二つ目は取締役会である。研究が示唆するのは、公表予想だけでなく、経営陣が社内で示す見通しの癖を知ることの価値である。中期経営計画や大型投資の稟議で、計画値を「悲観・中央・楽観」の範囲で出させ、その範囲が何%の確率で入る想定かも書かせる。事後の投資後評価で、実績が範囲に入った割合を数えれば、研究が使えなかった本来の過度の精確さの測り方に近いものが社内で得られる。
三つ目はFP&A自身の予測管理である。着地見込みと予測精度の管理で扱う誤差率やバイアスの記録に、範囲の的中率を加えると、外れの方向と言い切りの強さを分けて見られる。
設例:B社の5期分の予想を二つの物差しで読む
学習用の設例(架空)
- B社は社内で当期純利益の期首予想をレンジで作り、取締役会に報告している(数値はすべて架空)
- 5期分のレンジと実績は図3・表1のとおり。計算は研究の式に倣う
- 総資産は2,000億円とする。研究の結果をそのまま当てはめた換算は練習であり、予測ではない
表1 設例:B社の予想の外れ方と幅(架空、億円・%)
表は横にスクロールできます →
| 期 | 予想レンジ | 実績 | 外れ方 | 外れの大きさ(%) | 幅÷中央値(%) | 中央値との差(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| X1期 | 90〜110 | 104 | レンジ内 | 0.0 | 20.0 | +4.0 |
| X2期 | 100〜120 | 92 | 下振れ | +7.3 | 18.2 | −16.4 |
| X3期 | 105〜115 | 96 | 下振れ | +8.2 | 9.1 | −12.7 |
| X4期 | 95〜125 | 101 | レンジ内 | 0.0 | 27.3 | −8.2 |
| X5期 | 108〜112 | 117 | 上振れ | −4.5 | 3.6 | +6.4 |
| 5期平均 | +2.2 | 15.6 |
5期のうち実績がレンジ内だったのは2回、下振れが2回、上振れが1回である。X2期とX3期は、実績がレンジの下限を中央値に対しそれぞれ7.3%、8.2%下回った。X3期は幅を中央値の9.1%まで狭めたうえで外している。X4期は幅を27.3%に広げて実績を収めたが、X5期は3.6%まで狭めて上に外した。5期平均の外れは+2.2%、幅は15.6%で、研究の標本の幅の中央値(約5.4%)よりかなり広い。
この記録から読み取れるのは、外れの方向がやや下に偏っていること、そして幅の取り方が直前の外れの経験に振り回されているように見えることである。点予想しか残していなければ、表1の右端の列(X2期−16.4%、X5期+6.4%など)しか分からず、幅の情報は失われる。
次に、研究の1年目の大きさをB社に当てはめると、過大見積もり1標準偏差分の差は総資産2,000億円×1.32%=年26.4億円、幅1標準偏差分は年35.8億円、両方で年62.2億円になる。米国の大企業で推計された関係の大きさを、そのまま1社に当てはめた数字であり、B社が予想の出し方を変えれば利益がこれだけ増えるという意味ではない。
社内の範囲予想の較正も同じ考え方で点検できる。たとえば「80%の確率で入る」として出した10件の投資計画のうち、実績が範囲に入ったのが4件なら的中率は40%で、想定の8件を大きく下回る。範囲が狭すぎるのか、予想が一方に偏っているのかを点検する材料になる。
明日から使える確認項目
- 対象会社(または自社)の期首の業績予想と実績を最低5期並べ、(実績−予想)÷予想の符号と大きさを記録する。下振れが過半を占めるか、上振れが過半を占めるかを先に見る(判断の閾値は置かない。研究で検証された基準はない)。
- 期中の業績予想の修正を、方向・回数・時期で一覧にする。期首に下振れした年に、期中の修正が遅れていないかを確かめる。
- 経営陣に「この予想の前提が崩れるのはどの数字がどれだけ動いたときか」「予想に幅を持たせるなら、どの程度か」と質問し、答えの具体性を記録する。研究の言う「具体的な悲観型」は、外れ方と幅の両方に表れる性質である。
- 社内の中期計画・投資稟議では、計画値を範囲で出させ、何%の確率で入る想定かを書かせる。事後評価で的中率を数え、想定(80%なら10件中8件)から大きく外れていれば範囲の付け方を見直す。
- 予実の記録を「外れの方向と大きさ」と「範囲の幅・的中率」の2列に分ける。一つの誤差率にまとめない。
- 幅の狭さそのものを経営陣やFP&Aの評価目標にしない。評価するのは前提の説明と事後の的中率である。
よくある質問
予想を低めに出して上振れさせる経営陣のほうが優秀だということですか。
研究では、実績が予想を大きく上回る組の業績が最も高い傾向がありましたが、これは相関で、予想を低めに出せば業績が上がるという意味ではありません。著者も、過小見積もりの多さには下振れを避けたい圧力が影響していると解釈しています。
日本の決算短信の点予想でも、この研究は使えますか。
外れの方向と大きさに近いものは計算できますが、研究の幅の指標は計算できません。東証の2015・2022年の3月期決算会社の集計では、レンジ形式の業績予想がごく少数のためです。幅の情報は、社内の計画や稟議で範囲を出してもらう形で補うのが現実的です。
研究の結果は日本企業にも当てはまりますか。
分かりません。研究は米国の
まとめ
米国の大企業が期首に出した利益予想レンジを使った研究は、予想を楽観側に外す傾向と、予想の幅を狭く言い切る傾向が互いにほぼ無相関で、前者は5年先までの業績の低さと、後者は1〜2年の業績の高さと結びついていたことを示した。相関分析で、標本は予想を出す米国大企業に限られ、幅の結果は頑健性が弱い。東証の集計で点予想が中心の日本では、公表予想から読めるのは外れの方向と大きさまでで、言い切りの強さは社内の範囲予想と事後の的中率で補う。予実は一つの誤差率にまとめず、方向と幅に分けて残すことが、経営陣の判断の癖を知る最初の手順になる。
脚注
- R1(博士論文、2021年4月)p.1(表紙)・p.4(宣誓の日付 2021年4月27日)。R2 は Crossref の書誌で2025年9月11日オンライン公開、47巻1号107〜140頁、CC BY-NC-ND 4.0。博士論文は筆頭著者の単著で、Samuelsson(主)と Lovallo が指導教員(p.1)、da Silva は謝辞に計量分析の協力者として登場する(p.6)。掲載版の本文は出版社サイトから取得できず(自動取得の拒否)、要旨だけを確認した。ページは博士論文 PDF の物理ページ(印刷ページ+13。以下同じ)。↩
- R1 p.93〜95(3.2節・表8)、p.129(4.5.7節)。2,952社のうち、2009〜2019年に業績予想のある企業年が6,618件、レンジ予想と実績がそろうものが6,008件、金融業を除いて5,116件。予想を出した557社のうち S&P 500 の企業は259社。予想と実績は FactSet、その他の財務データは Bloomberg。過度の精確さ(連続変数)が定義されるのはレンジ外の3,866件(p.105・表9)。回帰の観測数は期間で異なり、翌年の全変数モデルは2,443件・557社、3年累計1,935件、5年累計1,392件(p.111・表14)。↩
- R1 p.18〜19(1.3節)。3分類は Moore and Healy(2008)の整理を著者が採用したもの。過大配置は扱わない。↩
- R1 p.98(3.4.1節・式(4))、p.100(3.4.2節・式(5))。どちらも分母は中央値の絶対値。連続変数の過度の精確さは実績がレンジ外の場合だけ定義し、7段階の区分の分析ではレンジ内も含めて幅を測る(p.113)。経営陣全体の判断を映す点で、CEO のストックオプションの行使行動による指標より優れると著者は論じる(p.22)。↩
- R1 p.99 注142。80%の区間なら10回中8回入れば較正されているとみなす測り方を紹介し、経営者のレンジでは使えないことを限界として記している。↩
- R1 p.105〜106(4.2節)。レンジ内1,250件(24%)、下限より下1,385件(27%)、上限より上2,481件(48%)。割合は論文の表示(計算すると48.5%だが論文は48%と表示)。↩
- R1 p.106(表10)。表に観測数の記載はない。過度の精確さはレンジ外の観測だけで定義されるため、相関はその観測についての値と読める(編集部の読み)。↩
- R1 p.95〜96(3.3節・式(2)(3))、p.101〜103(3.5〜3.7節・式(6))。ROA の定義は Bloomberg の純利益÷平均総資産。業種の中央値は同じ年の値。トービンの Q の定義は論文の記載による。↩
- R1 p.110〜111(表12・表13・4.3.2節)。全変数モデルの係数は −0.064〜−0.152。1標準偏差の差は係数×標準偏差(表13の値)。本文の1標準偏差は表13が効果の換算に使った値(翌年は過大見積もり20.62、過度の精確さ9.37)。表9(p.105)の記述統計の標準偏差は20.45と9.22で、わずかに異なる。単位は予想の中央値に対する%と読める(単位の読みは編集部)。↩
- R1 p.112(4.3.2節)、p.110(表13)。全変数モデルの係数は 0.172〜0.216。↩
- R1 p.110〜111(表14)。↩
- R1 p.112〜118(4.3.3節・図13・表15・表16)。7段階は過大見積もり・幅のそれぞれを分位で区切った区分。最良と最悪の差の統計的な検定は示されていない。差の累計は5年後に15.2%ポイントで、ばらつきに対する比は年数とともに下がる(表16、p.117)。↩
- R1 p.25(1.6節)、p.131(4.6節)。↩
- R1 p.111〜112(4.3.2節)、p.117(表17)。中央値の総資産は20億ドル、平均は100億ドル(p.111 注147)。永続と WACC 10% は著者の仮定。7.0%ポイントの差について、序章(p.25)は年1.58億ドル・現在価値15.8億ドル、結果の章(p.116〜117)は年1.4億ドル・14億ドルとしており食い違う。総資産20億ドル×7.0%=1.4億ドルなので結果の章の値が計算と合う。↩
- R2 の要旨(Research Summary・Managerial Summary、Crossref の書誌に収録)。3分の1超の計算根拠は掲載版の本文を読めていないため未確認。参考までに、博士論文の両指標1標準偏差の換算(現在価値6.22億ドル)は中央値の総資産20億ドルの約31%に当たる(編集部の計算。掲載版の根拠と同じかは不明)。↩
- R1 p.119〜121(4.4.3節・表18)。過大見積もりは業種調整後の売上成長とも負(5%水準)、幅の狭さは正(5%水準)。研究開発・投資の強度・負債比率・レバレッジとは、いずれの指標も統計的に有意な関係が確認されなかった。↩
- R1 p.121〜122(4.4.4節)。著者は「推測(conjecture)」と呼び、仮説として検証する研究が必要としている。↩
- R1 p.145〜147(5.4.1節・図19)。観測は理論上の最大(企業数×年数)の16%。「完全に無作為な欠落」の検定で無作為な標本でないことを確認している。↩
- R1 p.125〜127(4.5.5〜4.5.6節・表20・表21)、p.147(5.4.2節)。逆向きの回帰は過度の精確さについて行い、順方向は1%水準で有意、逆方向の多変量モデルは有意でなかった。GMM は3年累計の業種調整 ROA で推計。↩
- R1 p.129(4.5.7節、付録の表41)。年別の推計では過大見積もりは全年で5%か1%水準で有意、幅の狭さは有意でない年がある。S&P 500 とそれ以外では同じ符号・同程度の大きさ(p.129〜130)。↩
- R1 p.149〜150(5.5.10節・図20・図21)。著者は予想の中央値を統制変数に加えると主たるモデルが改善するようだが、より慎重な検討が必要と述べる。↩
- R3(Huang, Tan, Sulaeman and Faff、2018年9月1日版)p.2(要旨)、p.7(1章)。経営者予想は IBES Guidance による。アナリスト予想のばらつき等を回帰で差し引いて指標を作る点が R1 と違う。学術誌への掲載の有無は確認できなかった。↩
- R1 p.121(4.4.3節)。↩
- R1 p.145(5.3.8節)。著者は、経営陣の選任で具体的で悲観的な判断をする人材を重視すること、投資家が投資戦略に反映しうることも挙げている。↩
- R4(東京証券取引所「2022年3月期決算発表状況の集計結果について」2022年6月3日)p.2〜3。前年(2021年3月期)は2,108社(91.6%)が開示した(同資料)。↩
- R5(東京証券取引所「平成27年3月期決算短信発表状況の集計結果について」2015年6月15日)p.5。業績予想を開示した2,288社のうち、第2四半期と通期を特定値で開示した会社が1,892社(82.7%)。レンジは第2四半期と通期2社、通期のみ7社、第1四半期と通期1社で、合計10社は編集部の合算。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Borchardt, W. (2021), The Impact of Overconfidence Bias on Firm Performance: An Empirical Analysis of S&P 1500 Firms, PhD thesis, Graduate School of Business, University of Cape Town. Handle: 11427/41390. 参照した版:OpenUCT の公開版(表紙 2021年4月、206ページ)。査読:学位論文(学術誌の査読は経ていない。同じ研究の掲載版が R2)。 open.uct.ac.za (参照箇所:PDF の物理ページ p.1〜4、p.18〜25(1章)、p.93〜103(3章)、p.104〜131(4章・表8〜21)、p.145〜150(5章)。脚注1〜14・16〜21・23〜24の根拠。図1・図2は表の数値を基にした独自の図で、原図の転載ではない。閲覧日:2026年10月)
- R2 Borchardt, W. G., D. P. Lovallo, M. Samuelsson and A. da Silva (2025), “A tale of two biases: Unpacking the relationship of overestimation and overprecision on firm performance,” Strategic Management Journal 47(1), 107-140. DOI: 10.1002/smj.70007. 参照した版:要旨のみ(Crossref の書誌、2026年10月確認)。本文は未読。査読:済。 doi.org (参照箇所:Research Summary・Managerial Summary。脚注1・15の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Huang, R., K. J. K. Tan, J. Sulaeman and R. Faff (2018), “Optimism or Over-Precision? What Drives the Role of Overconfidence in Managerial Investment Decisions?” Working paper(2018年9月1日版、American Economic Association 2019年年次大会の予備稿). 参照した版:同予備稿。査読:未査読(WP。掲載の有無は未確認)。 topcat.aeaweb.org (参照箇所:p.2(要旨)、p.3〜7(1章)。脚注22の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 株式会社東京証券取引所(2022)「2022年3月期決算発表状況の集計結果について」東証上会第600号、2022年6月3日。 jpx.co.jp (参照箇所:p.2〜3(業績予想の開示状況・開示方法)。脚注25の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R5 株式会社東京証券取引所(2015)「平成27年3月期決算短信発表状況の集計結果について」東証上会第1003号、2015年6月15日。 jpx.co.jp (参照箇所:p.5(業績予想の開示状況【予想対象期間・開示形式による分類】)。脚注26の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。