この記事で分かること
- 米国上場企業5,723社の決算説明会の発言から「供給網のリスク」を測った研究で、リスクが高まった翌年に国内・同一大陸の仕入先と業界上位の仕入先が増え、他の大陸の仕入先が減った証拠は見られなかったこと
- 同じリスクの上昇で、川上・川下の企業とのM&A(垂直M&A)の確率が上がり、その反応は財務制約の小さい企業に偏っていたこと
- 日本で調達網の見直しや垂直買収を検討するときの確認項目(買収プレミアムを供給安定の価値で賄えるかを試算する設例つき)
想定読者:事業会社の経営企画・FP&A、調達・購買、M&A・事業開発の担当者、製造業を担当する投資銀行・FAS・PEの実務家
前提知識:EBITDAと負債倍率、確率×損失の期待値の考え方(研究で使う統計の手法は本文で説明する)
主要な材料の供給が数週間止まった翌期、取締役会で意見が割れる。「海外の仕入先を国内に切り替えるべきだ」「いっそ仕入先を買ってしまえばよい」。経営企画はどちらにも数字の裏づけを求められる。
供給の不安が高まったとき、企業は実際に何を変えたのか。遠い仕入先を切って近くへ移したのか、数を増やして分散したのか。買収で川上を取り込む企業はどの程度増え、どんな企業がそれをできたのか。本稿は、この問いに米国上場企業の大規模なデータで答えた研究を読み、日本で調達網の見直しや垂直統合を検討するときに確かめる点を整理する。
この記事が主に参照する研究
Nuri Ersahin、Mariassunta Giannetti、Ruidi Huang(2023)「供給網のリスク:仕入先の構成の変化と垂直統合(Supply Chain Risk: Changes in Supplier Composition and Vertical Integration)」NBER Working Paper No. 31134
- 公表:初版 2022年2月(SSRN)。参照した版:NBER WP 版(2023年4月)。査読:Journal of International Economics 147(2024年)に掲載済み。掲載版は本稿では未確認
- データ:米国上場5,723社の決算説明会の逐語録194,561件(2002〜2020年)、仕入先・顧客の関係のデータ(FactSet Revere)、M&Aのデータ(SDC)
- 方法:発言のテキスト分析で企業ごとの供給網リスクを年次で測り、翌年の仕入先の構成・M&Aとの関係を分析(企業固定効果つきの回帰。仕入先のリスクを使う操作変数推定で補強)
- 位置づけ:新しい測定方法による、供給確保と垂直統合をめぐる既存理論の検証
「供 給網のリスク」をどう測ったか:不確実性と実際の打撃を分ける
供給網の研究は、地震や取引先の倒産のように実際に起きた打撃が、取引関係を通じてどう広がるかを主に調べてきた。本研究が測ろうとしたのは、その手前にある「この先、必要なものが予定どおり届かないかもしれない」という不確実性である。大企業は数千社の仕入先を抱え、データベースで見える主要な仕入先が健全でも、港湾の混雑や輸送費、地政学の動きで調達が危うくなりうる。
指標の作り方はこうだ。供給網管理の教科書に出て会計の教科書に出ない2語の組(「安全在庫」「輸送費」など)に、会計の教科書にも出るが供給網の教科書で30倍以上多く出る組を加え、70,820個を選ぶ(後者は59個)。決算説明会の発言の中で「リスク」「不確実性」とその類義語の前後10語以内に現れた回数を、教科書での出現頻度で重み付けして数え、その年の逐語録に含まれる2語の組の総数で割る。これを企業ごと・年ごとに集計する1。同じ語の近くにある肯定的・否定的な言葉からは、実際に起きた良し悪しを表す別の指標も作った。二つの指標の相関は約−4%と低く、著者らは不確実性と実際の打撃を分けて測れていると見る。同じ方法を米国の臨時報告書(8-K)に当てはめた指標とも、時系列の相関は90%を超えた2。
指標の平均は、東日本大震災とタイの洪水があった2011年や米中の貿易摩擦の時期に上がり、2020年のコロナ禍で過去にない水準に達した。ただ、経済全体の動きで説明できる部分は小さい。年の違いで説明できる分散は約6%、産業×年でも10〜20%にとどまり、大半は企業ごとの違いだった3。
どんな会社でリスクが高いのか。他の大陸にある仕入先の比率が1標準偏差高いと、指標は中央値比で4.7%高く、規模の大きい会社も高かった。逆に、同じ投入物の仕入先が1社多いと4.8%低く、仕入先に比べて規模の大きい買い手も低い。財務制約の強さとは統計的に有意な関係が見られなかった4。いずれも同じ時点の相関で、指標の妥当性の確認である。
リスクが上がった翌年、仕入先は「近 く」と「大 手」で増えた
中心の分析は、前年の指標が上がった企業で、翌年の仕入先の数と顔ぶれがどう変わったかである。企業固定効果(企業ごとの平均的な違いを取り除く処理)と産業×年の固定効果(業界全体の動きを取り除く処理)を入れ、同じ企業の中での変化を、同じ業界・同じ年の他社と比べる形にしている。仕入先は公開資料から取引関係を集めたデータベースで把握できるもので、標本企業の平均は8社と、主要な取引先が中心である5。
指標が中央値から上位5%の水準まで上がると、翌年の仕入先の数は6.0%増えた。増えたのは同じ大陸の仕入先(係数0.0127)、とりわけ米国内の仕入先(0.0125)で、いずれも1%水準で有意だった。売上が業界の中央値を超える「業界上位」の仕入先も増えた(10%水準)。他の大陸の仕入先の係数(0.0061)は統計的に有意でなく、遠い仕入先を減らした証拠は見られなかった6。図1は、指標が1標準偏差上がった場合の変化を各項目の平均比に直したものである。
比率に直すと、他の大陸の仕入先も平均比で2.4%と、米国内(2.7%)に近い値になる。ただし他の大陸の係数は有意でなく(標準誤差0.0051)、国内と他大陸の差の検定も論文に無い。図1から「国内だけが増えた」と読むのは行き過ぎで、言えるのは、国内・同一大陸と業界上位の仕入先の増加は統計的に確認され、他の大陸の仕入先の減少は確認されなかった、というところまでである。
自社の発言が都合よく作られている可能性もある。仕入先を替えたい会社が、理由づけにリスクを強調するかもしれない。そこで著者らは、自社の仕入先が語るリスクの最大値を使って推定し直した(操作変数推定)。仕入先の発言は自社の計画とは別に決まる、という前提に立つ方法である。この推定でも同じ方向の結果が出て、操作変数で予測された指標が中央値から95パーセンタイル(上位5%)まで上がると、仕入先の数は44.9%増え、他の大陸の仕入先も有意に増えた7。係数が大きくなる理由を、著者らは指標の測定誤差と、仕入先まで語るほどの大きなリスク上昇を捉えていることに求めている。第1段階のF値は約13.3で、弱い操作変数を疑う目安としてよく使われる10は超えるが、余裕は大きくない(編集部の評価)8。
実際の打撃を表す指標を加えても結果は変わらず、その指標の低下(悪い知らせ)は仕入先の分散の拡大と結びつかなかった。むしろ良い知らせのときに近くの仕入先が増える傾向があった9。分散の拡大と結びついていたのは不確実性のほうで、起きた損失ではなかった。著者らはこれを、同じ著者らの別の研究が示した「負のショックの後も供給網はおおむね保たれる」という結果と整合的だと述べる。その研究では、打撃を受けた企業が顧客への支払猶予(企業間信用)を増やし、その仕入先も信用を与えて取引の網を支えていた10。
垂直M&A は増えたが、応じられたのは財務に余力のある企業
次は事業の境界である。供給の確保に不安があると、仕入先と買い手が別の会社であることの不都合、つまり相手に足元を見られる問題(ホールドアップ)が大きくなり、川上や川下の段階を一つの会社にまとめる利点が増す。Williamson(1971)以来の古典的な議論で、本研究はこれを検証の枠組みにしている11。垂直型の企業結合は、調達か内製かの判断(メイク・オア・バイ)を、買収という形で行うものとも言える。
研究では、前年の指標が1標準偏差上がると、翌年に仕入先側(川上)の産業の企業とM&Aを行う確率が基準の0.51%から32.5%、顧客側(川下)とは基準の0.43%から38.6%上がった。垂直に関係しない産業とのM&Aには統計的に有意な関係が見られず、買収全般が増えたのではない12。図2は、これを確率に直したものである。
基準の確率がもともと1%に満たないので、上昇幅は0.2%ポイントに届かない。相対的に3割以上増えても、垂直M&Aを行う会社は少数のままである。操作変数推定では効果がさらに大きかった13。
株式市場の評価も同じ方向を指す。M&A発表前後3日間の異常収益率の累計を調べた回帰(6,300件)では、指標が高いほど累計が高まる関係が、垂直に関係しないM&Aより垂直M&Aで有意に強かった。指標が中央値から上位10%の水準まで上がると、垂直M&Aの累計異常収益率は1%ポイント高まり、平均の2%に対して5割増しにあたる14。
では、誰が動けたのか。規模と社齢から作る指数、あるいは別の財務指標で財務制約が強いと分類された企業(中央値超)では、リスクの上昇に伴う垂直M&Aの増加が有意に小さかった。リスクの高さ自体は財務制約と関係がなかったので(前述)、リスクは同じように抱えながら、対応の手段である買収を使いにくい企業がある、と著者らは解釈し、財務難に近づいた航空会社が燃料価格のヘッジを減らす例になぞらえている15。
研究の対象と限界
結果は米国の上場企業の2002〜2020年のものである。仕入先は公開資料で把握できる主要な関係に限られ、数千社に及ぶ取引先の全体ではない。指標は経営者の発言であって、実際に途絶する確率ではない。政治リスク・気候リスクの指標や説明会全体の論調を統制し、雑音の多い観測を除いても結論は保たれたが16、全体は相関の分析で、操作変数推定がその弱点を補う構成である。標本は2020年で終わり、2021年以降の部品不足や物流の混乱の時期は含まない。M&Aは実施の有無を見たもので、買収の規模や、統合が実際に供給を安定させたかは測っていない。
理論の側にも留意点がある。著者らが予測の根拠に引くElliott、Golub、Leducの理論は、企業は複数の調達先を持ち、取引関係を強めることで途絶に備えるが、その努力は他社の生産の安定にも役立つため、自社の損得だけで決めると社会的に望ましい水準を下回ると示した17。企業が自発的に仕入先を増やしたという本研究の結果は、それで供給網全体が十分に強くなったことまでは意味しない。
大手町プレップの考察:「国 内回帰か分散か」は問いの立て方が粗い
ここからは編集部の推論で、論文が検証したことではない。
第一に、不確実性と実際の打撃を分けて扱う意義である。研究で仕入先の分散の拡大と結びついていたのは前者で、後者の悪化ではなかった。社内でも、「先月どれだけ止まったか」の実績と「この先止まりうるか」の見通しを別々に記録しておかないと、直近の損失の大きさで対策の規模が決まりやすい。実績は在庫や保険の見直しに、見通しは仕入先の構成や資本の配分に、とつなぎ先を分けるのが筋だと考える。
第二に、近くの仕入先を増やすことと、遠くの仕入先を残すことは両立していた。著者らも、近接化と分散を補い合う手段と解釈している18。国内回帰を「海外を切る」ことと同一視すると、研究で観察された平均的な行動とは逆の方向に振れかねない。
第三に、垂直統合は資金を要する選択肢で、必要になってから資金を探すのでは遅い。供給の不安が大きい事業を持つ会社では、平時の借入余力(コミットメントラインや負債倍率の余裕)を、調達網に対する備えとしても位置づける余地がある(仮説)。
日本の実務への応用:開示の読み方と、垂直買収の審査
研究は米国の資料に基づくので、日本への当てはめは推論になる。以下の三点を挙げる。
一つ目は情報源である。研究は決算説明会の逐語録を使った。日本では、有価証券報告書の
二つ目は垂直買収の審査である。公正取引委員会の企業結合ガイドラインは、垂直型の企業結合について、当事会社が関係するすべての一定の取引分野で、統合後の当事会社グループの市場シェアが10%以下、またはHHIが2,500以下でシェアが25%以下なら、通常は競争を実質的に制限しないとしている20。これを超える場合は、川上の当事会社がライバルへの供給を拒む「投入物閉鎖」や、川下の当事会社がライバルからの購入を拒む「顧客閉鎖」を、当事会社の能力と動機の両面から検討する21。供給の確保を目的とする買収でも、買収後のライバルへの供給方針を、閉鎖の能力とインセンティブの観点から検討の初期に確認しておきたい(編集部の提案)。
三つ目は制度の動きである。公取委は2026年7月17日、供給の安定性の改善・維持などを競争を促す効果として考慮することを明記する、ガイドラインの改定案への意見募集を公表した(締切は8月31日)22。本稿の確認時点(2026年10月25日)では、確定版の公表を公取委の報道発表の一覧で確認できなかった。
学習用の設例:垂直買収のプレミアムを供給安定の価値で賄えるか
学習用の設例(架空)
- 電子部品メーカーA社(EBITDA 6,000百万円)が、主要な材料を1社に頼っている特殊材料メーカーB社(EBITDA 1,250百万円)の買収を検討する
- B社の単独の事業価値は10,000百万円(EBITDAの8.0倍)。25%のプレミアムを付けて12,500百万円で買う(プレミアム2,500百万円)
- B社の材料が止まると、A社は3か月生産できず、月900百万円の限界利益を失う(2,700百万円)
- 統合しても、B社の工場の事故や原料の不足は防げない。統合で途絶の確率を下げられる割合を30%・50%・80%の3通りで置く
- 供給安定の価値は、成長なしの永続価値として8.0%で割り引く。他のシナジー、統合費用、税金は入れない
統合前の年間の途絶確率を5%とし、統合でそれを半分にできるとすると、年あたりの期待損失の減少は67.5百万円、その価値は844百万円で、プレミアムの34%しか賄えない。図3は、途絶確率と低減割合を動かしたときの価値である。
プレミアムを供給安定の価値だけで回収するには、低減割合が50%なら途絶確率が年14.8%、80%でも9.3%要る。年にそれだけの確率で止まると見込める材料でなければ、この買収を供給安定だけで説明するのは難しい。残りを他のシナジーで説明するなら、その中身を別に積み上げることになる(必要シナジーの逆算と同じ考え方)。
資金面では、同じ買収でもA社の財務状態によって実行の難しさが変わる(表1)。
表1 設例:同じ買収でも、財務余力で実行の難しさが変わる
表は横にスクロールできます →
| 項目 | 財務余力のあるA社 | 財務余力の小さいA社 |
|---|---|---|
| 買収前の純有利子負債/EBITDA | 6,000百万円/1.0倍 | 18,000百万円/3.0倍 |
| 買収価格(全額を借入で調達) | 12,500百万円 | 12,500百万円 |
| 買収後の純有利子負債/EBITDA | 2.55倍 | 4.21倍 |
| 目安3.0倍に収めるのに借入以外で賄う額 | 不要 | 8,750百万円 |
| プレミアムを供給安定の価値だけで回収する途絶確率 | 低減30%:24.7%/50%:14.8%/80%:9.3% | 同左 |
買収前のネットデット/EBITDA倍率が1.0倍のA社なら、B社の純有利子負債はゼロと仮定して全額を借入で賄っても2.55倍に収まる。3.0倍のA社では4.21倍になり、仮の目安の3.0倍に収めるには8,750百万円を株式などで賄う必要がある。設例は研究の推定を再現したものではない。
調達網の見直しと垂直統合の前に確かめること
- 供給リスクの記録を二つに分ける。直近の途絶の実績(停止日数、失った限界利益)と、今後の見通し(主要な仕入先・顧客の開示や説明会でリスクに触れる度合いの年ごとの変化)である。確認点は、見通しの悪化だけで仕入先の構成の見直しを議題に載せられる書式になっているか。
- 品目ごとに、仕入先の数、同じ地域の仕入先の比率、業界上位の仕入先の比率を一覧にする。サプライチェーンDDで集中度を確かめる表と同じ形で足りる。会議では「国内の仕入先を増やす案は、海外の仕入先を減らす前提になっていないか」を問う。
- 2社目の認定と垂直買収を同じ物差しで比べる。2社目の年間コストと期待損失の比較は仕入先を1社に絞るか2社目を認定するかを比べる手順で、買収は設例の式(プレミアム×割引率÷(低減割合×途絶時の損失))で損益分岐の途絶確率を出す。その確率が社内の見通しとかけ離れていれば、買収の根拠を供給安定以外に求める。
- 公取委の垂直型の基準を早い段階で当てる。当事会社が関係するすべての一定の取引分野(川上・川下の両方)で、統合後のシェアが10%以下か、HHIが2,500以下でシェアが25%以下か。超えるなら、ライバルへの供給を続ける方針を説明できるかを詰め、改定案の確定版の文言も確かめる。
- 財務余力を平時に測る。買収後のネットデット/EBITDA倍率と、借入以外で賄う必要額を出しておく。閾値は自社の格付や財務制限条項で決めるもので、本稿の3.0倍は編集部の仮の目安(研究で検証されていない)である。
よくある質問
研究は「国 内回帰が進んだ」と示したのですか。
米国の上場企業では、供給網のリスクが上がった翌年に、米国内・同一大陸の仕入先と業界上位の仕入先が統計的に有意に増えました。他の大陸の仕入先が減った証拠はなく、操作変数推定では他の大陸の仕入先も増えています。遠い仕入先を国内に置き換えたというより、近くの仕入先を加えて分散した姿に近い結果です。
日本企業にも同じ結果が当てはまりますか。
研究は日本企業を対象にしていないため、分かりません。社内の判断に使うなら、自社の取引データで確かめる前提の仮説として扱うのが妥当です。
まとめ
供給の不安が高まった米国企業は、翌年に近くの仕入先と業界上位の仕入先を加え、遠い仕入先を減らした証拠は見られなかった。同じ不安は川上・川下の企業とのM&Aの確率も押し上げたが、その反応は財務に余力のある企業に偏っていた。結果は相関の分析を中心に操作変数推定で補強したもので、日本企業への当てはめは推論にとどまる。実務では、不確実性と実際の打撃を分けて記録し、国内回帰と分散を二者択一にせず、垂直買収のプレミアムを供給安定の価値だけで説明できるかを先に試算しておきたい。
脚注
- R1(NBER WP 版, 2023年4月)p.10(1節。逐語録は Refinitiv Eikon から取得)、p.12(2節。大企業は数千社の仕入先を持つ、港湾・輸送費・地政学の影響)、p.13〜15(2.1節。2語の組は供給網管理の教科書 Chopra and Meindl 第6版に出て、会計の教科書 Libby ほか第10版に出ないもの、および会計の教科書にも出るが供給網の教科書で30倍以上多く出るもの。70,820個のうち後者は59個で、除いても結果は変わらないとする。教科書での出現頻度で重みを付け、分母は逐語録の2語の組の総数)。年次で集計するのは、仕入先の変更や統合の判断に1四半期以上かかるためと著者らは説明する(p.14)。ページは PDF の物理ページで、論文に印刷されたページ番号は p.N−2(以下同じ)。↩
- R1 p.15〜16(2.1節。肯定・否定の語は Loughran and McDonald の辞書による)、p.18(2.2節。相関は約−4%)、p.16(8-K の指標との相関が90%超、付録の図IA.1)。↩
- R1 p.23(3.2節)・図2(p.45)、p.24(3.3節)・表7(p.55)。企業固定効果と産業×年の固定効果を合わせると、説明できる分散は37%。2003年のSARSの時期には上昇が見られなかった(p.23)。↩
- R1 p.26〜27(4節)・表9(p.57)。産業×年の固定効果を入れた同じ時点の関係(相関)。中央値比の%は著者の本文による。↩
- R1 p.10〜11(1節。FactSet Revere は10-K、IR資料、プレスリリースなどの公開情報から関係を収集)、p.29(5.1節。被説明変数は翌年、説明変数は前年の指標)。回帰の標本は2002〜2020年の23,804企業・年(表10)。統制変数は規模、トービンのQ、現金保有、キャッシュフロー。↩
- R1 p.29〜30(5.1節)・表10 Panel A 列1〜5(p.59)。係数は指標1単位あたりの仕入先の社数の変化で、標準誤差は企業単位でクラスター(他大陸の列4は係数0.0061・標準誤差0.0051)。業界上位は、3桁の産業分類で売上が中央値を超える仕入先(p.30)。図1の平均比は表1(p.47)の平均と指標の標準偏差(8.2963)を使った編集部の換算。↩
- R1 p.31〜32(5.1節)・表10 Panel B(p.60)。操作変数は、FactSet Revere で把握でき、決算説明会の記録がある仕入先(国内外を問わない)の指標の最大値。↩
- R1 p.32(係数が大きい理由の説明)。第1段階のF値は13.316(表10 Panel B、p.60)。「10」は弱い操作変数を判断する際に広く使われる経験則で、論文の記述ではない。↩
- R1 p.31(5.1節)・表10 Panel A 列6〜10(p.59)。実際の打撃の指標(SCSentiment)が下がっても仕入先の分散は増えず、良い知らせのときに近くの仕入先が増える傾向があった(SCSentiment の係数は同一大陸0.0009・米国内0.0010でいずれも5%水準、総数0.0011・他大陸0.0001は有意でない)。↩
- R1 p.7(序論)・p.31。別の研究は R2。R2 は本文を確認できず、掲載誌の書誌情報(Crossref)と Stockholm School of Economics の紹介記事(2024年)による。↩
- R1 p.8(序論)・p.33(5.2節)。供給確保の懸念と垂直統合の理論として Williamson(1971)、Bolton and Whinston(1993)、Grossman and Hart(1986)を挙げる。↩
- R1 p.33〜34(5.2節)・表11 Panel A(p.61)。川上・川下は米国経済分析局(BEA)の産業連関表で取引のある産業(取引額の大小を問わない。購入・販売の1%以上に限る定義でも結果は同様、表IA.4)。係数は0.0002(5%水準、線形確率モデル)。0.0002×標準偏差8.2963÷基準確率0.0051=32.5%で、本文の数値と整合する(編集部の確認)。↩
- R1 p.34・表11 Panel B(p.62)。本文は1標準偏差あたり64.1%・83%の増加とするが、表の係数(0.0076・0.0083)からこの値を再現する基準が本文に示されておらず、本稿は数値を示さない。↩
- R1 p.35(5.2節)・表12(p.63)。異常収益率は市場モデル(推定期間は発表の255日前〜31日前)で、発表の前日から翌日まで([−1, +1])を累計(表12の注)。取引単位の回帰で、垂直M&Aのダミーは垂直に関係しないM&Aを0とする。交差項(指標×垂直M&A)の係数は列1で1.8096(5%水準)、統制変数・固定効果を加えた列2・3でも正で有意。1%ポイント・5割増しは著者の本文による換算(p.35)。↩
- R1 p.35〜36(5.2節)・表13(p.64)。財務制約は Hadlock-Pierce 指数(規模と社齢)と Whited-Wu 指数で測り、中央値超を制約ありとする。いずれも交差項が負で有意。制約のある企業での効果の合計が0と異なるかの検定は表に無い。航空会社の例は Rampini, Sufi and Viswanathan(2014)を引いたもの(p.36)。財務制約とリスクの高さの関係は脚注4。↩
- R1 p.10(米国企業に限定した理由)、p.36〜38(5.3節)・表14(p.65)・付録の表IA.5〜IA.8。政治リスクは Hassan ほか(2019)、気候リスクは Sautner ほか(2022)の指標。↩
- R3(AER 掲載版, 2022年8月)p.1(要旨)、p.37(Corollary 2:均衡では取引関係への投資が社会的に最適な水準を下回る)。中程度の生産性の範囲で供給網が脆弱になると示す。R1 は p.29 でこの理論を複数調達の予測の根拠に挙げる。↩
- R1 p.6(序論)・p.31(5.1節)。↩
- R4(金融庁, 2019年3月19日)「Ⅱ 2. 事業等のリスク」(印刷ページ p.10〜11)。↩
- R5(企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針、令和元年12月17日改定)第5の1(2)。これらの基準に当たらなくても直ちに問題となるわけではなく、HHI 2,500以下かつシェア35%以下なら競争を実質的に制限するおそれは小さいと通常考えられる、とも記す。↩
- R5 第5の2(1)・(2)。投入物閉鎖・顧客閉鎖を行う能力(当事会社のシェア、競争者の供給余力、切替えの容易さなど)とインセンティブを検討する。↩
- R6(公正取引委員会, 2026年7月17日)。改定案は、投資拡大・イノベーション促進による新商品の創出、環境性能の向上なども競争促進効果として考慮することを明記するとしている。確定版の有無は、2026年8月〜10月の公取委の報道発表一覧で確認した(2026年10月25日時点)。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Ersahin, N., M. Giannetti and R. Huang (2023), “Supply Chain Risk: Changes in Supplier Composition and Vertical Integration,” NBER Working Paper No. 31134. DOI: 10.3386/w31134. 参照した版:NBER WP 版(2023年4月)。初版:SSRN 4036798(2022年2月18日、Crossref の記録)。掲載誌:Journal of International Economics 147 (2024), 103854, DOI: 10.1016/j.jinteco.2023.103854(査読済み・CC BY 4.0。掲載版の本文は未確認)。査読:本稿が参照した版は未査読(WP)。 nber.org (参照箇所:PDF p.3〜38(本文)、p.45(図2)、p.47(表1)、p.55〜64(表7〜13)、p.65(表14)。脚注1〜18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R2 Ersahin, N., M. Giannetti and R. Huang (2024), “Trade credit and the stability of supply chains,” Journal of Financial Economics 155, 103830. DOI: 10.1016/j.jfineco.2024.103830. 参照した版:書誌情報(Crossref)と Stockholm School of Economics の紹介記事(2024年)のみ。本文は未確認。査読:済。 doi.org (参照箇所:要旨・紹介記事。脚注10の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R3 Elliott, M., B. Golub and M. V. Leduc (2022), “Supply Network Formation and Fragility,” American Economic Review 112(8): 2701-2747. DOI: 10.1257/aer.20210220. 参照した版:arXiv:2001.03853v7(掲載版の体裁)。査読:済。 arxiv.org (参照箇所:p.1(要旨)、p.37(Corollary 2)。脚注17の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 金融庁(2019)「記述情報の開示に関する原則」(2019年3月19日公表)。 fsa.go.jp (参照箇所:Ⅱ 2. 事業等のリスク(印刷ページ p.10〜11)。脚注19の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R5 公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(平成16年5月31日、最終改定 令和元年12月17日)。 jftc.go.jp (参照箇所:第5 垂直型企業結合(1(2)、2(1)・(2))。脚注20・21の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R6 公正取引委員会(2026)「『企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針』改定案に対する意見募集について」(令和8年7月17日)。 jftc.go.jp (参照箇所:改定の背景と意見募集の期限。脚注22の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。