この記事で分かること
- 予想外の利上げのあと、米国のM&Aの件数・金額と、上場企業が買収に踏み切る確率がどれだけ、どのくらい遅れて下がったか
- 減ったのはどの買い手の買収か(借入が多い会社、手元資金や収益力が薄い会社)と、残った買収を株式市場がどう評価したか
- 日本の利上げ局面で、売り手のFAと買い手の財務部門が買い手候補・自社の買収資金をどう見直すか(設例つき)
想定読者:M&Aのアドバイザー(FA・M&A仲介)、事業会社の経営企画・財務・M&A担当、買収資金を審査する銀行員
前提知識:M&Aの基本的な流れ、EBITDA、借入の返済能力の考え方(用語は本文で説明します)
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を終え、2026年9月には無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.25%程度へ引き上げた1。売却案件を預かるFAにとって、金利の話は価格の話にとどまらない。入札に誰が残るのか、どの買い手が資金を付けられるのかという、買い手の顔ぶれの話でもある。
金利が上がればM&Aは減る、というのは多くの実務家の実感だろう。ただ、減るのは件数なのか金額なのか、どのくらい遅れて効くのか、どの会社の買収が消えるのかまで言える人は少ない。本稿は、これらを米国のデータで測った研究を手がかりに、日本の案件で使える見方に置き換える。
この記事が主に参照する研究
Johannes J. Fischer, Carl-Wolfram Horn(2023)「金融政策とM&A(Monetary Policy and Mergers and Acquisitions)」著者公開のワーキングペーパー
- 公表:初版 2021年3月(旧題「Does Monetary Policy Affect Mergers and Acquisitions?」、ドイツ経済学会の年次大会の論文)。参照した版:2023年12月21日の著者公開版。Journal of Corporate Finance 第102巻(2027年1月号)に掲載が決まっているが、掲載誌版は本稿では読めていない2
- データ:米国のM&A(Refinitiv SDC、完了した100万ドル以上の取引)と、米国上場企業の四半期財務(Compustat、1990〜2019年、企業×四半期455,514)3
- 方法:FOMCの発表を挟む30分間に生じた金利先物の変化(予想外の政策変更の成分)を使い、金利がM&Aに与える因果的な効果を推定しようとしている4
- 位置づけ:金融政策が設備投資に伝わる経路の研究を、M&Aに広げた検証。新しい理論ではなく、新しいデータの組み合わせと識別の工夫による
金利がM&A に届く二つの道
著者らは簡単なモデルで、利上げが買収に効く道を二つに分ける。一つは資金調達の経路で、借入の上限が締まり、既存の借入の利払いも重くなるため、買い手が資金をそろえにくくなる。もう一つは評価の経路で、割引率が上がって標的の価格が下がるため、むしろ買いやすくなる。二つは逆向きなので、理論の上では利上げが買収を減らすとは言い切れない5。
モデルが示す条件は、標的が統合後の会社に比べて十分に小さければ資金調達の経路が勝つ、というものだ。著者らは、米国の取引の9割で買い手の純利益が標的を上回ることから、こちらが現実に近いと見る6。そこから導かれる予測は二つある。利上げで買収の確率は下がる。その下がり方は、既存の借入が大きい会社ほど大きい。
ここで言う「金利」は、市場が予想していなかった部分である。FOMCの決定が事前に織り込まれていれば、発表の前後で先物はほとんど動かず、推定には効かない。日本の利上げを考えるときも、事前に観測されていた変化かどうかで、この区別が後で効いてくる。
研究が示した結果:件数より金額が大きく、1年半ほど遅れて底
まず市場全体である。米国の買い手によるM&Aの月次の件数と金額を使った推定では、1年国債の利回りが予想外に25bp上がると、件数は14か月後に最大4.75%、金額は17か月後に最大8.06%減った。底はおよそ18か月後で、効果は2〜3年続いた。上場・非上場の買い手を分けても、標本期間やショックの測り方を変えても、結果はほぼ同じだった7。
次に個々の企業である。1年国債が1%ポイント上がると、上場企業が今後1年に買収を行う確率は0.9%ポイント下がった。平均の確率は15.9%なので、相対では5.7%の低下にあたる8。四半期ごとに追うと効果は5年の期間を通じて負で、約2年後に最も大きく、1年の窓で測った値は影響を小さめに見せていると著者らは書く9。
図1の二つの段は金利の幅が違う(25bpと1%ポイント)ので、数字どうしを直接比べないでほしい。読み取るべきは、件数より金額の落ち方が大きいこと、効果が数か月ではなく1年以上かけて現れることの二点である。金額が大きく落ちるのは、大型案件ほど借入への依存が大きいからだと考えたくなるが、論文はそこまで検証していない。
減ったのは財務の余力が薄い買い手の買収
研究の中心は、どの会社の買収が減ったかにある。企業の規模・手元流動性・トービンのQ・収益性は買収の確率を押し上げ、借入の比率と過去5年の買収歴は押し下げた10。そのうえで金利と借入の比率(短期・長期の借入÷総資産)の掛け合わせを入れると、借入の多い会社ほど利上げで買収を控える度合いが大きかった(1%水準で有意)11。
図2は、論文の推定値をいくつかの借入水準に当てはめた編集部の計算である。借入のない会社でも確率は0.80%ポイント下がり、標本平均(0.29)では0.95、平均より1標準偏差多い会社では1.22%ポイント下がる。差は小さく見えるが、年に1割台半ばという確率に対する値であることに注意したい。
借入の比率の代わりに別の物差しを使っても、向きは同じだった。手元流動性が厚い会社、総資産に対するEBITDAが高い会社は、利上げへの反応が小さかった12。一方、市場支配力の強弱による反応の差は概ね確認されなかった。市場シェアとの掛け合わせだけは有意だったが、その大きさは経済的に無視できる程度だと著者らは書く。資本ストックが伸びている会社は買収しやすく、反応も小さかった。
では残った買収の質はどうか。著者らは、買収発表の前後3日間に買い手の株価が市場の想定からどれだけ外れたか(異常収益率の累積、CAR)を、市場が見込む取引の価値の目安に使った。記述統計ではCARの平均は1.2%、中央値は0.4%と正だった。著者らは本文で平均を0.6%と記すが、参照先の表では金利などを説明変数に含む回帰の定数であり、記述統計の平均とは一致しない。買い手の属性をそろえずに比べると、引き締めの局面ほどCARは高かったが、借入や規模などの属性をそろえると、その差は統計的に有意でなくなった13。
著者らはこれを、利上げで財務の余力が薄い買い手が抜け、財務の健全な買い手が残るという構成の変化で説明する。取引は減るが、残る取引は市場の評価が高い。裏返せば、緩和の局面で増える取引の一部は、評価がやや低い買い手によるものだという14。
この研究で言えること、言えないこと
対象は米国の上場企業の買い手で、企業の分析は1990〜2019年である。2022年以降の急速な利上げは標本に入っていない。著者ら自身、非上場の買い手は制約がより強い可能性があり、結果は下限かもしれないと書く。標的側の属性は分析に入っておらず、CARは発表時の市場の評価であって、買収後の実際の成果ではない15。
結果の安定性にも留保がある。情報効果(中央銀行の発表が景気の見通しまで伝えてしまう効果)を除いたショックを使うと、平均の効果は同程度だが統計的に有意でなくなり、借入との掛け合わせは有意なまま強くなった。1990〜2007年に限ると、その掛け合わせが有意でなくなった。数値の記載にも揺れがあり、序論・結論・表で値が一致しない箇所がある(脚注7・8)。掲載誌版で改訂されている可能性があり、細かな数値より向きと相対的な大きさを読むのが妥当だ16。
CARの向きは先行研究と食い違う。Adra, Barbopoulos and Saunders(2020)は、FF金利の上昇が買収発表への否定的な市場の反応を予測すると報告した。著者らは、政策の測り方と買い手の財務の統制の違いが理由だろうと推測している17。逆に、36か国47,378件(日本を含む)を調べたErel, Jang, Minton and Weisbachの研究は、手元資金の多い会社ほど景気による買収の振れが小さく、景気の悪い時期の買収ほど発表時の評価が高いと報告しており、本研究の構図と整合する18。
なお、この研究は支払手段(現金か株式か)を分析していない19。支払手段と自社株の評価の関係は日本の上場企業の買収を調べた別稿で、PEファンドの取得金額や取得倍率への金利の効果は利上げとPEの買収を扱った別稿で取り上げている。
大手町プレップの考察:日本に持ち込むときの三つの注意
以下は編集部の推論であり、日本のデータで検証されたものではない。
第一に、予想外の変化と予告された変化を分けること。研究が測ったのは市場が織り込んでいなかった金利の動きである。政策変更が事前に市場で観測されていた場合、その分はすでに買い手の計画や貸し手の条件に織り込まれている可能性がある。「利上げが決まったからM&Aは何%減る」と研究の数字をそのまま当てるのは誤りで、使えるのは「誰の買収が先に細るか」という構図のほうだと考える。
第二に、買収資金(アクイジションファイナンス)や既存の借入を変動金利の銀行借入で賄っている会社では、利上げは新規の買収資金だけでなく、既存の借入の利払いを通じて返済能力の余裕を削る。研究のモデルが「既存の借入」を重視するのと同じ構図が、日本ではより直接に現れるかもしれない(仮説)。
第三に、評価の経路を当てにしすぎないこと。利上げで標的の価格も下がるなら、買い手の資金の目減りは相殺される。しかし売り手が希望価格をすぐに下げるとは限らない。研究は価格の調整の速さや売り手の価格の硬直性を検証しておらず、米国のデータで資金調達の経路が上回った理由をそこに求めることはできない。それでも、価格が十分に下がらなければ買い手の資金の制約が強まるという見方は、実務上の仮説として持っておく価値がある。
学習用の設例:同じ案件に3社が手を挙げたら
学習用の設例(架空)
- EBITDA 10億円の会社の売却。買い手候補はEBITDAが同じ40億円のA社・B社・C社。違いは既存の借入(0・70・130億円)と手元現金(60・25・15億円)だけ
- 借入金利は短期金利+1.0%の変動金利。貸し手は、統合後の返済原資(EBITDAの60%)が利息と10年均等返済の合計の1.5倍以上、総借入がEBITDAの3.5倍以下を求める
- 標的の価格は二通り。売り手が短期金利1.25%のときの96億円から下げない「固定」と、年6億円のFCFを短期金利+5.0%で割り引く「連動」
返済能力の上限の考え方はDSCR
表1 設例:短期金利と買い手3社の買収資金(架空)
表は横にスクロールできます →
| 短期金利 | 借入上限 | A社の資金 | B社の資金 | C社の資金 | 標的価格(固定/連動) |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.5%(借入1.50%) | 173.9 | 223.9(○/○) | 118.9(○/○) | 48.9(×/×) | 96.0/109.1 |
| 1.25%(借入2.25%) | 163.3 | 213.3(○/○) | 108.3(○/○) | 38.3(×/×) | 96.0/96.0 |
| 2%(借入3.00%) | 153.8 | 203.8(○/○) | 98.8(○/○) | 28.8(×/×) | 96.0/85.7 |
| 2.75%(借入3.75%) | 145.5 | 195.5(○/○) | 90.5(×/○) | 20.5(×/×) | 96.0/77.4 |
短期金利が1.25%から2.75%へ上がると、借入の上限は163.3億円から145.5億円へ下がり、B社の資金は17.8億円減る。A社は常に足り、C社は常に足りない。結論が金利で変わるのはB社だけで、売り手が価格を据え置けば2.75%で資金が届かず、価格が割引率どおり下がれば(18.6億円の低下)届く。研究が示した「借入の多い買い手から抜ける」という構図と、理論上の「評価の経路が相殺しうる」という留保の両方が、一つの表に現れる。
この設例は手数料・税・統合費用や、買収後の利益の伸びを置いていない。実務では、貸し手の基準も会社ごと・案件ごとに違う。数字そのものより、同じ金利の変化で買収できる候補が入れ替わりうることを確かめるための枠組みとして使ってほしい。
明日から使える確認項目
- 売り手のFAは、買い手候補のロングリストに「金利が1%ポイント上がった場合の買収余力」の列を足す。開示資料から、借入÷総資産、手元流動性、EBITDA÷総資産、変動金利の借入の割合を拾い、上位と下位を見比べる(高い・低いを分ける閾値は自社で仮に置く。研究で検証された閾値はない)。
- 買い手の財務部門は、自社の借入余力を金利のシナリオ(現状、+0.5%ポイント、+1%ポイント)で試算し、財務制限条項の余裕度と並べて取締役会の資料に載せる。計算の組み立ては借入余力と返済能力の分析シートの作り方が参考になる。
- 入札の段階で、買い手候補に「資金の裏付け(コミットメントの有無と金利の条件)」を確認する(オークションでのファイナンス確実性の論点)。研究が示したのは、引き締めの局面で財務の余力が薄い買い手の完了した買収が減ることまでで、入札の途中の脱落やその時期は検証していない。この質問を終盤の脱落の早期発見に使うのは、編集部の実務上の提案である。
- 価格の議論では、「利上げで標的の価格も下がるはずだ」という前提を明示し、売り手がそれを受け入れるかを別に確かめる。設例のB社のように、結論がこの一点で入れ替わることがある。
- 金利の変化が予想外だったのか、事前に織り込まれていたのかを区別して社内で説明する。前者は計画の見直しを要し、後者はすでに条件に反映されている可能性がある。
よくある質問
利上げでM&A の価格は下がるのですか。
この研究は価格を直接は分析していません。モデルの上では標的の価格は下がりうるものの、データで確かめたのは件数・金額・買収の確率と、発表時の買い手の株価の反応です。PEファンドの取得価格については、別の研究が予想外の利上げで下がったと報告しています20。
利上げの局面の買収は成功しやすいということですか。
そこまでは言えません。発表時の市場の評価が高かったのは、財務の健全な買い手が残ったためと説明されており、同じ買い手どうしで比べると差は統計的に確認されませんでした。発表時の株価の反応は、買収後の実際の成果とも別物です。
まとめ
米国のデータを使ったFischerとHornの研究では、予想外の利上げのあとM&Aの件数と金額が1年半ほどかけて減り、上場企業の買収の確率も下がった。減り方は借入の多い会社で大きく、手元流動性や収益力の厚い会社で小さかった。残った取引の市場の評価が高かったのは、買い手の顔ぶれが変わったためだと著者らは解釈している。日本の利上げ局面では、研究の数字を当てはめるより、買い手候補の財務の余力を金利のシナリオで並べ直し、価格の調整を前提にしすぎないことが実務上の使い方になるだろう。
脚注
- R7(日本銀行, 2024年3月19日)p.1:マイナス金利政策を含む枠組みの見直しを決定し、無担保コールレート(O/N)を0〜0.1%程度で推移するよう促すとした。R8(日本銀行, 2026年9月18日)p.1:1.25%程度で推移するよう促す方針を決定(翌営業日の9月24日から適用、注1)。↩
- R2(EconStor 10419/242445)PDF p.2「This version: March 1, 2021」、同じ著者2名・同じ問いと手法の会議論文で、本稿はこれを初出とみなした。それより前の版は、Web検索・著者の研究者ページの過去の保存版・謝辞から見つからなかった(存在しないことの確認ではない)。R1はPDF p.1の日付が2023年12月21日。掲載誌版の書誌(第102巻・論文番号103096・2027年1月号、CC BY 4.0)はCrossrefで確認したが、本文は掲載誌のサイトの自動アクセス制限のため取得せず、未読。掲載誌版で数値・分析が変わっている可能性がある。↩
- R1 p.5(第2.1節)、p.6(表1)、p.7〜8(第2.2節)、p.20〜21(第5.1節・表2)。SDCの全取引188,673件のうち米国の買い手は72,676件、Compustatと結び付けた上場企業の買い手は49,265件。金融・不動産・保険の企業は除く。期間の記載は本文が1982年1月〜2019年11月、表1の注が1985年1月〜2019年12月で揺れている。↩
- R1 p.8〜9(第2.4節)。Gurkaynak, Sack and Swanson(2005)の、FOMC発表前後30分間のFF金利先物の変化を、1年国債利回りの操作変数として用いる。↩
- R1 p.13〜18(第4節)。利上げで借入の上限が締まり既存の借入の返済額が増える効果を著者らは financing channel、標的の価格が下がる効果を valuation channel と呼ぶ(p.16〜17、式20)。両者の大小で符号が決まり、理論上は不定。標的が十分小さい場合の条件は式21(p.17)。↩
- R1 p.17 脚注12。SDCの標本で、9割の取引で買い手の純利益が標的より大きく、総資産で比べるとさらに多いと記す。↩
- R1 p.11(第3.2節、図2・図3)、p.12(第3.3節)。月次のベイズ型VAR(1年国債・鉱工業生産・物価・社債の超過プレミアム・株価の評価・M&A)で、1年国債25bpの上昇への反応。区間は事後分布の95%・68%。なお序論(p.3)は「1%ポイントの上昇で件数は最大23%、金額は最大33%減」と書くが、第3.2節の25bpの値を4倍すると件数19.0%・金額32.2%で、件数が一致しない(大手町プレップの検算)。本文は第3.2節の値を用いた。↩
- R1 p.20(第5.1節)、p.21(表2)。今後4四半期に買収を行う確率の線形確率モデル(2SLS、企業固定効果)。序論(p.3)と結論(p.31)は「1%ポイント・5.5%」と書く。表2列4の係数の表示は−0.005で本文の値と一致せず、付録の表C.1〜C.3(p.44〜46)の同じ係数は−0.008〜−0.011。本文は第5.1節の記述(0.9%ポイント・5.7%)を用いた。↩
- R1 p.24(第5.3.1節)、付録の図C.1(p.43)。四半期ごとの局所射影の推定。↩
- R1 p.20(第5.1節)・p.21(表2)。年齢は買収の確率を下げる方向で有意で、著者らは先行研究から予想される向きと逆だと述べている。↩
- R1 p.22〜23(第5.2節・表3列4)。金利の係数−0.008、金利×レバレッジ(短期・長期借入÷総資産、過去4四半期の平均)の係数−0.005(いずれも1%水準)。図2はこの点推定に、表A.2(p.38)の平均0.29・標準偏差0.54を当てはめた大手町プレップの計算で、論文はこの値を示していない。↩
- R1 p.26(第5.3.2節)、p.46(表C.3):流動性比率との掛け合わせ0.004、EBITDA÷総資産との掛け合わせ0.026(いずれも1%水準)。年齢との掛け合わせは小さく10%水準。市場支配力はp.25・p.44(表C.1。掛け合わせはほぼ有意でなく、市場シェアとの掛け合わせのみ有意だが、著者らは経済的な大きさは無視できる程度とする)、資本ストックの伸びはp.25〜26・表C.2。↩
- R1 p.27〜30(第6節・表4)。CARはFama-Frenchの3ファクターで期待収益を求めた発表日前後3日間の値。著者らが本文(p.29)で平均として挙げる0.6%は、表4列1(説明変数は1年国債の過去4四半期平均とWilshire 5000)の回帰の定数0.006である。金利(過去4四半期平均)の係数は、買い手の属性を入れない列1・列2で0.002・0.003(1%水準)、入れた列3・列4で0.001(有意でない)。標本19,653件。記述統計の表A.3(p.38)ではCARの平均は1.2%・中央値0.4%で、定数の0.6%とは一致しない。本文はこの平均を用いた。両者の差の理由を論文は説明していない。↩
- R1 p.29(第6節)、p.31〜32(第7節)。著者らの解釈。↩
- R1 p.5(標的の属性を扱わない理由)、p.7(上場企業のみで結果は下限の可能性)、p.27〜29(CARによる測定の限界と、複数の経路の合成であること)。↩
- R1 p.26〜27(第5.3.2節、表C.4〜C.6)。情報効果を除いたショックはMiranda-Agrippino and Ricco(2021)による。また、Hornの博士論文審査の案内(R6)の要約は、引き締め後に買い手がより小さく若い標的と組むとも記すが、R1(2023年12月版)にこの分析はなく、本稿では扱わない。↩
- R4の要旨(本文は未読)。FF金利の上昇は、買収発表への否定的な市場の反応、撤回の増加、買収後の資金面の困難を予測するとし、集計のM&Aの減少の主因は金融引き締めだとする。食い違いについての著者らの推測はR1 p.29〜31。↩
- R3(NBER WP 23493, 2017年6月)p.2(要旨)、p.4〜6(序論)、p.35(表1 Panel B、日本は2000〜2014年)。1997〜2014年、36か国47,378件。景気の指標はGDP成長率などで、金融政策のショックそのものではない。↩
- R1の全文で支払手段(現金・株式対価)を分析した箇所はない(大手町プレップの確認)。↩
- R5(BIS WP 1326, 2026年1月)PDF p.3(要旨、本文の日付 2026年1月19日)。予想外の短期金利の上昇でPEの取得金額・レバレッジ・取得価格が下がると報告している。↩
参考文献(2 026年10月確認)
- R1 Fischer, J. J. and C.-W. Horn (2023), “Monetary Policy and Mergers and Acquisitions,” 著者公開ワーキングペーパー(2023年12月21日版)。掲載誌版:Journal of Corporate Finance 102, 103096(2027年1月号). DOI: 10.1016/j.jcorpfin.2026.103096. 参照した版:著者公開WP版(2023年12月21日、54ページ)。査読:本稿が参照した版は査読前のWP(掲載誌版は査読済み・未読)。 wolframhorn.github.io (参照箇所:PDF p.1〜32、p.36〜46(本文・表1〜4・表A.1〜A.3・表C.1〜C.3)。脚注2〜16・19の根拠。掲載誌の書誌はCrossref(https://api.crossref.org/works/10.1016/j.jcorpfin.2026.103096)で確認。閲覧日:2026年10月)
- R2 Horn, C.-W. and J. J. Fischer (2021), “Does Monetary Policy Affect Mergers and Acquisitions?,” Beiträge zur Jahrestagung des Vereins für Socialpolitik 2021, ZBW, EconStor handle 10419/242445. 参照した版:会議論文(This version: March 1, 2021)。査読:未査読(会議論文)。 econstor.eu (参照箇所:PDF p.1〜2(表紙・要旨・版の日付)。脚注2の根拠(R1の前身稿)。閲覧日:2026年10月)
- R3 Erel, I., Y. Jang, B. A. Minton and M. S. Weisbach (2021), “Corporate Liquidity, Acquisitions, and Macroeconomic Conditions,” Journal of Financial and Quantitative Analysis 56(2), 443–474. 参照した版:NBER Working Paper No. 23493(2017年6月)。査読:掲載誌版は査読済み(本稿はWP版を参照)。 nber.org (参照箇所:WP版 PDF p.2(要旨)、p.4〜6(序論)、p.35(表1 Panel B)。脚注18の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R4 Adra, S., L. G. Barbopoulos and A. Saunders (2020), “The impact of monetary policy on M&A outcomes,” Journal of Corporate Finance 62, 101529. DOI: 10.1016/j.jcorpfin.2019.101529. 参照した版:要旨のみ(RePEcの書誌ページ)。査読:済。 ideas.repec.org (参照箇所:要旨。脚注17の根拠(本文は未読)。閲覧日:2026年10月)
- R5 Avalos, F., B. Hofmann and J. M. Serena (2026), “Monetary policy and private equity acquisitions: tracing the links,” BIS Working Papers No 1326. 参照した版:BIS WP版(2026年1月、本文の日付 2026年1月19日)。公表形態:ワーキングペーパー(査読状況は未確認)。 bis.org (参照箇所:PDF p.3(要旨)。脚注20の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R6 European University Institute, “PhD thesis defence: Carl-Wolfram Horn — Essays on Firm Heterogeneity and its Implications for Macroeconomic Policy”(2024年5月13日開催の案内ページ)。 eui.eu (参照箇所:第1章(Fischerとの共著)の要約。脚注16の根拠(論文本体は未読)。閲覧日:2026年10月)
- R7 日本銀行(2024)「金融政策の枠組みの見直しについて」2024年3月19日公表。 boj.or.jp (参照箇所:p.1。脚注1の根拠。閲覧日:2026年10月)
- R8 日本銀行(2026)「金融市場調節方針の変更について」2026年9月18日公表。 boj.or.jp (参照箇所:p.1(本文と注1)。脚注1の根拠。閲覧日:2026年10月)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、投資助言・法務・税務の助言ではありません。研究結果は各論文の対象・期間・方法の範囲で得られたもので、日本の個別企業・案件にそのまま当てはまるとは限りません。設例は学習用の架空の数値です。アイキャッチ画像は生成AIによるイメージです。