この​記事で​分かる​こと

  • 営業外収益・営業外費用に含まれる項目と、経常利益の計算
  • 営業利益5,000から経常利益4,600までを整数設例で計算し、EBIT・EBITDA・インタレスト・カバレッジでの扱いを比較
  • 利息・配当のCF区分と営業外損益の関係
  • 経常利益が日本基準特有であることと、IFRSとの比較での注意点(2026年11月時点)

30秒で​分かる​定義

営業外損益(営業外収益・営業外費用、Non-Operating Income and Expenses、えいぎょうがいそんえき)とは、受取利息・受取配当金、支払利息、為替差損益など、本業(営業活動)以外の経常的な活動から生じる収益と費用です。日本基準の損益計算書では、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を引いた額を経常利益として表示します[1]。営業外収益には受取利息、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、仕入割引などがあり[1]、営業外費用には支払利息、リース負債に係る利息費用、社債利息、社債発行費償却、創立費償却、開業費償却、有価証券売却損などがあります[1]。

臨時の損益は特別損益、税引前の最終的な段階は税引前当期純利益のページで扱います。

なぜ実務で​重要なのか

営業外損益は、本業の力ではなく、財務の構成や為替・市況の影響を映します。IB・PE・FASは、営業利益からEBIT・EBITDAを作るとき、営業外のどの項目を含めるかを決めます。融資担当は、支払利息と受取利息配当から、利息の負担力(インタレスト・カバレッジ)を確認します。経営企画は、為替差益や有価証券売却益で経常利益が押し上げられていないかを点検します。補助金収入のように営業外収益に計上される項目の資金繰りの影響は補助金の​会計処理と​資金繰りで扱っています。

計算式​(または仕組み)

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
区分主な項目性格
営業外収益受取利息・有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、仕入割引、(連結では)持分法による投資利益金融・投資活動による収益
営業外費用支払利息、社債利息、リース負債に係る利息費用、社債発行費償却、貸倒引当金繰入額・貸倒損失(販売費とされるものを除く)、有価証券売却損資金調達・投資に伴う費用
その他為替差損益、補助金収入、雑収入・雑損失など実務上、営業外に表示されることが多い

各項目のうち金額が営業外収益(費用)の総額の10%以下のものは、一括して示す名称の科目で掲記できます[1]。連結財務諸表の営業外収益には、持分法による投資利益が例示されています[2]。なお、銀行・保険など別記事業を営む会社は別の様式に従うため、利息収支が本業の損益になります[1]。

整数設例で​確認する

設例(架空数値)。単位は百万円。営業利益5,000。営業外収益は受取利息60、受取配当金140、為替差益100。営業外費用は支払利息520、社債発行費償却80、有価証券売却損100とします。

  • 営業外収益 = 60 + 140 + 100 = 300
  • 営業外費用 = 520 + 80 + 100 = 700
  • 経常利益 = 5,000 + 300 − 700 = 4,600(営業利益より400減)

分析での扱いの例です。EBITとして営業利益5,000をそのまま使う方法のほか、為替差益100が事業の営業活動に伴うと判断すれば、5,100とする方法もあります。本稿のように営業利益を起点とするEBITDAでは、償却費を足し戻すだけなので営業外損益は含めません(税引前利益などを起点に定義する場合は、どの営業外項目を戻すかで値が変わります)。インタレスト・カバレッジは、営業利益 ÷ 支払利息 = 5,000 ÷ 520 = 約9.6倍、受取利息・配当金を加えた (5,000 + 60 + 140) ÷ 520 = 5,200 ÷ 520 = 10.0倍のように、定義によって値が変わります。どの定義かを必ず明記します。

PL・​BS・​CFへの​影響

PL:営業外損益は営業利益と経常利益の間に入り、設例では経常利益を営業利益より400押し下げています。借入が多い会社ほど、支払利息で経常利益が営業利益より小さくなります。BS:受取利息・配当は現金預金や投資有価証券に、支払利息は借入金や社債に結び付きます。CF:受取利息・受取配当金・支払利息は、日本基準では営業CFに区分する方法と、受取を投資CF・支払利息を財務CFに区分する方法から選べます(支払配当金はどちらの方法でも財務CF)[3]。このため、営業利益は同じでも営業CFの水準が会社によって変わる点に注意が必要です。為替差損益は実現・未実現で現金の動きが異なります。

財務​モデル・​Excelでの​使い方

  • 行の設計:営業利益の下に、受取利息・受取配当金・為替差損益・その他の営業外収益と、支払利息・その他の営業外費用の行を置き、=営業利益+営業外収益合計-営業外費用合計 で経常利益を求めます。
  • 利息の計算:支払利息は =平均借入残高×金利 で計算します。期首残高で計算すると循環参照を避けられますが、期中の返済が多いと誤差が出ます。
  • 為替差損益:将来予測では0と置くか、為替前提と外貨建て資産・負債残高から計算します。予測に入れる場合は前提を明示します。
  • 勘定科目の対応:試算表の勘定科目をPLの区分へ対応づける手順は月次試算表から​財務モデルの​Historicalsを​作る​方法が参考になります。

この​用語を​実務で​「使える」​状態に​する

営業利益から​経常利益までの​PLを​組み、​営業外損益を​項目別に​予測して​利息・​カバレッジの​計算へ​つなげられるようになる。

会計の​教材で​PLの​段階利益と​営業外損益の​予測の​組み方を​学ぶ →

実務家が​確認する​ポイントと​よく​ある​誤解

誤解1:「営業外損益は一過性だから無視してよい」→ 支払利息のように毎期発生し、資本構成で決まる項目は、予測に必須です。一過性かどうかは項目ごとに判断します。

誤解2:「経常利益は本業の利益だ」→ 経常利益は営業外損益を含みます。本業の力は営業利益やEBITで見ます。

誤解3:「営業外と特別は、金額の大きさだけで分かれる」→ 区分の基本は経常的か臨時かという性格ですが、金額が関係する場合もあります。例えば棚卸資産の収益性低下による簿価切下額は、臨時の事象に起因し、かつ多額であるときに特別損失とされます[4]。金額の大きな有価証券売却益でも、反復性の有無で判断が分かれます。

日本実務での​扱い

(2026年11月時点)経常利益は日本基準特有の段階利益で、財務諸表等規則の様式に従って営業利益に営業外損益を加減して表示します[1]。IFRSには経常利益という段階がなく、IFRS任意適用会社は経常利益を表示しないため、日本基準の会社と比較するときは営業利益や税引前利益で比べます。決算短信では経常利益が重視される慣行があり、会社の業績予想も経常利益で示されることがあります。

M&A・LBOの実務では、営業外損益のうち支払利息は借入の置換えで消えるため、買収後の損益では新しい資本構成に基づく利息に置き換えます。受取配当金や持分法投資損益は、事業の価値評価で別に扱います。

面接・​モデルテストで​問われる​ポイント

Q:営業利益から経常利益までの調整項目と、EBITを出すときの扱いを説明してください。
「経常利益は、営業利益に受取利息・配当金などの営業外収益を足し、支払利息などの営業外費用を引いた額です。EBITは営業利益を基本にしますが、為替差損益や持分法損益のうち事業に関わるものを含める場合は、定義を明記します。支払利息は資本構成の違いを外すために除きます。」

深掘りの観点:営業外と特別損益の区分/利息・配当のCF区分の選択/インタレスト・カバレッジの定義。

よく​ある​質問​(FAQ)

Q. 為替差損益は営業外ですか。
A. 日本基準では、為替差損益は営業外収益・営業外費用に表示する会社が多くあります。ただし、事業の性質(輸出入が中心の事業など)によっては、営業損益に含める判断もあり、会社の会計方針の注記で確認します。

Q. 営業外収益の補助金収入は営業利益に入りますか。
A. 営業外収益として表示する会社が多く、営業利益には含まれません。営業利益の比較では、補助金の有無による影響を確認します。

出典・参考​(2026-11確認)

  1. e-Gov法令検索「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和三十八年大蔵省令第五十九号) 第2条・第90条・第93条・第95条. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338M50000040059(2026年11月参照)
  2. e-Gov法令検索「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和五十一年大蔵省令第二十八号) 第57条. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=351M50000040028(2026年11月参照)
  3. 企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」(金融庁掲載) 第二 二 3(利息及び配当金の表示区分). https://www.fsa.go.jp/p_mof/singikai/kaikei/tosin/1a909b2.htm(2026年11月参照)
  4. 企業会計基準委員会(ASBJ)企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」 第17項. https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards_system/details.html?topics_id=24(2026年11月参照)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための架空数値です。

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