想定読者:外貨建ての借入や社債を検討する事業会社の財務・経営企画の方、外貨建てファイナンスを扱うIB・PEの若手の方
前提知識:変動金利ローンの利息が「基準金利+スプレッド」で決まること(本文で説明します)

結論:​「政策金利」は​4中銀で​別物で、​借入金利には​もう​一段の​参照金利を​挟んで​届く

「FRBが利上げ」「ECBが据え置き」といった見出しの「政策金利」は、中央銀行ごとに指す金利の種類が違います。FRBは連邦準備制度の誘導目標の幅(レンジ)、ECBは複数ある公定金利のうち預金ファシリティ金利、BoE(イングランド銀行)は Bank Rate、日銀は無担保コールレート(翌日物)の誘導目標です。これらの政策金利の近くに、SOFR・€STR・SONIA・TONAという翌日物のリスクフリーレート(無リスク金利。ここでは各通貨の翌日物の基準金利)が位置します。ただし、借入契約が実際に参照する金利は、これらの翌日物そのものとは限りません。

本稿は、各中銀・指標運営機関の公式サイトを開いて確認した値を使います。政策金利は2026年10月30日時点(FRBは10月28日、ECBは10月29日の決定を反映。日銀は10月29〜30日の会合の結果公表前)、翌日物指標は2026年10月22日に確認した参照日付きの値です。政策金利の水準は会合のたびに変わるため、数値には時点を付けます。まず4中銀を図表1で並べ、図表2で政策金利から借入金利までの経路を見ます。そのうえで、学習用の架空企業が円換算で同額(10,500百万円)を4通貨で借りたとき、年間利払いはどう違うかを図表3で試算します。結論の一つは、元本が円換算で同額なら、政策金利が0.25ポイント動いたときの利払いの増減は通貨によらず円換算で26.25百万円になることです。水準の差は金利差から生じます。ただしこれは機械的な感応度であり、予測ではありません。

日銀の政策手段そのものは金融政策と​市場​(日本銀行)、利上げの経緯は日銀​マイナス​金利政策を​振り返る、政策金利の到達点を借入計画に落とす方法は中立金利から​政策金利の​到達点を​読む、FF金利の誘導の仕組みは用語集のFF金利と​FOMCに委ね、ここでは重ねて説明しません。

4中銀の​政策金利は​何を​指すのか

中央銀行は金融政策を決め、短期の金利に働きかけて物価や景気に影響を与える機関です1。ただし、どの金利を操作の中心に置くかは各行で異なります。図表1に、物価目標・政策金利の定義・水準・会合・公表物を並べました。

図表1:4中銀の政策金利の比較(2026年10月30日時点)
項目FRB(米)ECB(ユーロ圏)BoE(英)日銀(日)
物価目標PCE物価指数の前年比2%HICPで中期的に2%CPIで2%(政府が設定)CPI前年比2%
報道の「政策金利」が指すものFF金利の誘導目標レンジ預金ファシリティ金利Bank Rate無担保コール翌日物の誘導目標
水準3.75〜4.00%2.50%3.75%約1.25%
併せて決める主な金利IORB 3.90%ON RRP 3.75%主要リファイナンス金利 2.65%限界貸出金利 2.90%本稿では扱わない補完当座預金 1.25%基準貸付利率 1.5%
直近の決定10月28日決定、据置き(10対2)。前回9月は+0.25ポイント10月29日決定、据置き。前回9月は+0.25ポイント9月17日公表。据置き(6対3)9月18日決定、24日適用。+0.25ポイント
決定会合2026年は8回6週間ごと2026年は8回年8回
主な公表物FOMC声明、実施メモ金融政策決定の公表と記者会見Monetary Policy Summary and minutes金融市場調節方針の変更の公表文
時点:2026年10月30日​(日銀は​10月29〜30日の​会合の​結果​公表前)。​水準の​単位は%。​出所:FRB・​ECB・​BoE・​日本銀行の​公表資料​(脚注2〜10)を​基に​大手町​プレップ​作成。​IORB=準備預金に​付ける​利率、​ON RRP=翌日物​リバースレポの​提示金利。​「直近の決定」の​+0.25ポイントは​直前の​水準との差。​(スマートフォンでは​表を​横に​スクロールできます)

FRBは、FF金利(銀行どうしが準備預金を翌日物で貸し借りする金利)の誘導目標レンジを決めます。2026年9月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)は、レンジを3.50〜3.75%から3.75〜4.00%へ0.25ポイント引き上げました。あわせて、準備預金に付ける利率(IORB)を3.90%、翌日物リバースレポ(ON RRP)の提示金利を3.75%とし、常設の翌日物レポは4.0%としています(いずれも9月17日適用)。10月28日のFOMCは、10対2でレンジを3.75〜4.00%に据え置き、反対の2人は0.25ポイントの引上げを支持しました。同日の実施メモでも、IORB・ON RRP・常設レポの金利は同じ水準のまま維持されています(10月29日適用)2。FOMCの2026年の会合は8回で、次回は12月8〜9日です3。物価目標は、個人消費支出(PCE)物価指数の前年比2%です4。

ECBは金利を3本決めます。預金ファシリティ金利は2.50%、主要リファイナンス金利は2.65%、限界貸出ファシリティ金利は2.90%で、いずれも2026年9月16日から適用され、10月29日の会合では3本とも据え置かれました。ECBは2024年3月に、金融政策のスタンスを引き続き預金ファシリティ金利で舵取りすると決めており5、報道で「ECBの政策金利」と言えば、通常はこの金利を指すと読むのが自然です(これは編集部の読み方です)。決定は6週間ごとで、次回の金融政策会合は12月16〜17日です6。物価目標は、ユーロ圏の消費者物価調和指数(HICP)で中期的に2%です7。

BoEの金融政策委員会(MPC)は、9月16日に終えた会合で(公表は2026年9月17日) Bank Rate を3.75%に据え置きました。投票は6対3で、3人は0.25ポイントの引上げを支持しています8。2026年の発表は8回で、次回は11月5日です。目標は、政府が定めたCPI2%です9。

日銀は、無担保コールレート(オーバーナイト物)を「1.25%程度で推移するよう促す」という誘導目標を決めます。2026年9月18日の決定会合は賛成7対反対2で、1.0%程度から引き上げ、9月24日に適用されました。補完当座預金の適用利率は1.25%、基準貸付利率は1.5%です10。会合は年8回で、2026年10月29〜30日の会合の結果は本稿の確認時点で未公表です。物価安定目標はCPI前年比2%です11。日銀の誘導目標は、FRBのようなレンジではなく、1点(約1.25%)で示される点が違います。

見出しを読むときは、次の3点を確認します。第一に、どの金利の変更か(FRBならレンジ、ECBなら預金ファシリティ金利)。第二に、決定日と適用日が違うこと(FRB・ECB・日銀は決定の数日後に適用)。第三に、9月に引き上げた3行の変更幅はいずれも0.25ポイントですが、水準は1.25%から3.75〜4.00%まで開いている点です。

政策金利から​翌日物指標へ:担保の​有無と​水準の差

政策金利そのものは、銀行間の取引で成立した金利ではなく、中央銀行が定めた水準です。これに対して SOFR・€STR・SONIA・TONA は、実際の取引から算出される翌日物の金利です。図表2は、政策金利から翌日物指標、契約の参照金利、適用金利までの経路を通貨別に並べた図です。

図表2:政策金利から借入金利へ届く経路(通貨別) 政策金利(報道) 翌日物指標 契約上の参照金利 適用金利(+2.00%) 米ドル/FRB FF金利の誘導目標 3.75〜4.00% SOFR 3.88% 担保付(米国債レポ) 10月21日の値 Term SOFR または 複利SOFR 本稿はSOFRで代用 3.88+2.00 =5.88% ユーロ/ECB 預金ファシリティ 金利 2.50% €STR 2.44% 無担保 10月21日の値 Euribor(期間物) €STRとは別の指標 本稿は€STRで代用 2.44+2.00 =4.44% 英ポンド/BoE Bank Rate 3.75% SONIA 3.734% 無担保 10月20日の値 複利SONIA (日次の複利で計算) 本稿はSONIAで代用 3.734+2.00 =5.734% 円/日銀 無担保コールO/N物 誘導目標 約1.25% TONA 1.227% 無担保 10月21日の値 TONA複利 または TIBOR(期間物) 本稿はTONAで代用 1.227+2.00 =3.227% 実線の青=翌日物指標(実取引から算出)、破線の緑=契約上の参照金利(契約ごとに異なる。本稿は仮定)。 担保付=国債などを担保にした取引、無担保=担保なしの取引。スプレッド2.00%は学習用の仮定。 単位:%(年率)。
時点:政策金利は​2026年10月30日​(日銀は​10月29〜30日の​会合の​結果​公表前)、​翌日物指標は​各欄の​日付の​値。​出所:FRB・​ニューヨーク​連銀・​ECB・​BoE・​日本銀行の​公表値​(脚注2・5・10・12〜15)を​基に、​契約上の​参照金利と​スプレッドは​学習用の​仮定と​して​大手町​プレップ​作成。​(スマートフォンでは​図を​横に​スクロールできます)

図表2のとおり、翌日物指標は政策金利の近くにあります。政策金利との差は、SOFRがレンジ中央(3.875%)より0.5bp高く(bpはベーシスポイント。1bp=0.01ポイント)、IORB(3.90%)より2bp低い水準です。€STRは預金ファシリティ金利より6bp低く、SONIAは Bank Rate より1.6bp低く、TONAは誘導目標(約1.25%)より2.3bp低くなっています(いずれも2026年10月の1日分の値で、日々動きます)。政策金利を決める中銀の側から見れば、翌日物指標はその水準の近くに収まるよう運営されています。

指標の性格は同じではありません。SOFRは、米国債を担保にした翌日物の借入コストを示す指標で、トライパーティ・レポなどの取引データから出来高加重の中央値として計算されます12。FF金利が銀行どうしが準備預金を貸し借りする取引の金利であるのに対し、SOFRは国債を担保とする取引の金利です。€STRは ECB が営業日ごとに公表する無担保の翌日物金利です13。SONIAはBoEが公表する無担保・1営業日物の取引から、出来高加重分布の中央50%を基に算出され、2020年8月からは複利指数も公表されています14。TONAは、日銀が公表する無担保コールレート(オーバーナイト物)です15。4つとも翌日物のリスクフリーレートと呼ばれる点は共通ですが、「同じ翌日物金利」ではなく、担保の有無と算出方法が違います。

翌日物指標が​借入金利に​なる​経路:契約の​参照金利は別

変動金利の借入では、利息を「参照金利+スプレッド(上乗せ幅)」で計算します。参照金利を何にするかは契約が決めます。翌日物指標は1日分の金利なので、3か月間の利息に使うには、日々の値を複利で積み上げる(後決め複利)か、期間の初めに確定する期間物の指標を使う必要があります。

米ドルでは、ARRC(ドルLIBOR廃止後の指標への移行を進めた委員会)が Term SOFR(期間物のSOFR)を推奨し、使ってよい範囲(scope of use)も示しています16。ユーロでは、Euribor(欧州マネー・マーケット協会〔EMMI〕が運営する、無担保のホールセール資金の調達金利)が1週間・1・3・6・12か月物で公表されており17、ECBが公表する€STRとは運営機関も指標の性格も別です。ポンドでは、BoEが公表する SONIA の複利指数を、日次の複利計算の基礎にできます。円では、全銀協TIBOR運営機関が公表する円TIBOR(無担保コール市場の金利を反映した期間物)18とTONAの複利が併存します。TONAとTIBORの違いは用語集のTONA・​TIBOR、日銀の誘導目標とTONAの関係はコール市場と​無担保​コールレートで扱っています。

実際の契約がどの参照金利、どの複利方式、どのフロア(下限)を採るかは、貸し手と借り手の契約次第です。本稿の試算は、これらを翌日物指標で代用した機械的な計算で、実際の契約条項の代わりにはなりません。

設例:同額を​4通貨で​借りた​ときの​年間利払い

以下は学習用の架空事例です。製造業のA社が、円換算で10,500百万円を、円・米ドル・ユーロ・英ポンドのいずれかで変動金利借入することを検討しています。換算レートは、実勢ではなく学習用の仮定で、1米ドル=150円、1ユーロ=175円、1英ポンド=200円とします。元本は、米ドル70百万、ユーロ60百万、英ポンド52.5百万、円10,500百万です。スプレッドは全通貨で2.00%と仮定し、参照金利には図表2の翌日物指標をそのまま使います。

年間利払い(単純な年率計算)
年間利払い=元本×(翌日物指標+スプレッド)  政策金利±0.25ポイントの増減=元本×0.25%

米ドルなら、70×(3.88%+2.00%)=70×5.88%=4.116百万ドルで、円換算は4.116×150=617.4百万円です。ユーロは60×4.44%=2.664百万ユーロ(円換算466.2百万円)、英ポンドは52.5×5.734%=3.01035百万ポンド(同602.07百万円)、円は10,500×3.227%=338.835百万円です。日数計算(実日数で数える基準が360日か365日か)は契約で異なるため、年率をそのまま掛けて単純化しています。

図表3:通貨別の利払い試算(学習用の仮定)
通貨元本適用金利年間利払い同・円換算±0.25pt増減同・円換算
米ドル705.884.116617.4000.17526.250
ユーロ604.442.664466.2000.15026.250
英ポンド52.55.7343.010602.0700.13126.250
円10,5003.227338.835338.83526.25026.250
対象期間:1年間​(単純な年率計算)。​スプレッドは​全通貨2.00%​(仮定)。​換算​レート:1米​ドル=150円、​1ユーロ=175円、​1英​ポンド=200円​(仮定)。​単位:元本・​年間利払い・±0.25pt​増減は​各通貨の​百万単位、​適用金利は%、​「同・円換算」は​百万円。​表示は​小数第3位までの​四捨五入で、​円換算は​丸め前の​値から​計算​(英ポンドの​3.010×200は​丸め前の​3.01035×200)。​出所:図表2の​翌日物指標と​学習用の​仮定に​基づき大手町​プレップ​作成。​(スマートフォンでは​表を​横に​スクロールできます)

図表3から読めることは二つです。第一に、同額を借りても、年間利払いは米ドルの617.4百万円から円の338.835百万円まで開きます。適用金利は米ドル5.88%、円3.227%で、比は約1.8倍です。この差は、スプレッドを揃えたため、翌日物指標の水準の差(SOFR 3.88%とTONA 1.227%)から生じています。第二に、政策金利が0.25ポイント動いたと仮定すると、利払いの増減は元本×0.25%です。円換算の元本が同額なので、4通貨とも26.25百万円になり、通貨による違いは出ません。ただし、利払い全体に対する増加率は、米ドル4.25%、ユーロ5.63%、英ポンド4.36%、円7.75%と、金利水準の低い通貨ほど大きくなります。

試算の​読み方と​限界

図表3は、政策金利の変化が借入金利に同じ幅で、かつすぐ届くことを前提にした機械的な感応度です。実際には、期間物の指標が将来の政策金利の見通しを先に織り込むこと、金利の改定日が利払期間の途中にあること、スプレッドが借り手の信用力で変わることから、同幅・同時期にはなりません。また、政策金利と借入金利の動きの関係は、相関はあっても、因果の大きさまでは図表3から言えません。

通貨間の金利差は、為替予約でヘッジすると先物レートに織り込まれます。金利の低い通貨で借りても、ヘッジのコストを含めると利点がそのまま残るとは限らない、という方向だけを押さえてください。計算は金利平価説と為替予約の用語集に委ねます。為替レートそのものも、金利差から将来の値が決まるわけではありません。

また、本稿の政策金利は2026年10月30日に、翌日物指標は10月22日に確認した値です。ECB・日銀・FRBは2026年9月に引き上げ、FRBは10月28日、ECBは10月29日に据え置きました。BoEは9月に据え置き、次回の発表は11月5日です。日銀の10月29〜30日の会合の結果は、本稿の確認時点で未公表です。数日で動く値なので、次の更新手順で必ず取り直してください。

数値を​取り直す手順​(時点を明記する方法)

  1. 政策金利:FRBは最新のFOMC声明と実施メモ、ECBは「Key ECB interest rates」の表、BoEは Bank Rate のページと Monetary Policy Summary、日銀は「金融市場調節方針の変更」の公表文で、決定日と適用日を確認します。
  2. 翌日物指標:SOFRはニューヨーク連銀、€STRはECB、SONIAはBoE、TONAは日銀の公表ページで、参照日付きの値を取ります。公表は前営業日分です。
  3. 資料には「2026年10月30日時点」のように日付を書き、翌日物指標は参照日を別に書きます。確認できなかった値は書かず、前回の値で埋めません。

実務​チェックリスト

  • 見出しの「政策金利」が、レンジ、預金ファシリティ金利、Bank Rate、誘導目標のどれかを特定する。
  • 決定日と適用日を分けて記録する(FRB・ECB・日銀は適用が数日後)。
  • 借入契約の参照金利(Term SOFR、複利SOFR、Euribor、複利SONIA、TONA複利、TIBOR)と、フロアや改定頻度を契約書で確認する。
  • 翌日物指標を参照金利の代用にするときは、期間物との違いを注記する。
  • 金利水準とスプレッドは別の列で持ち、感応度は元本×変化幅で検算する。
  • 換算レートは仮定値か実勢値かを明示し、ヘッジ後のコストは別に計算する。
  • 数値には時点と公表元の URL を付け、更新日を資料に残す。

よく​ある​質問​(FAQ)

ECBの​主要​リファイナンス​金利は、​政策金利ではないのですか。

3本とも​ECBが​決める​公定金利です。​主要​リファイナンス​金利は​2.65%で、​預金​ファシリティ​金利​(2.50%)より​15bp​高く、​限界貸出​ファシリティ​金利は​40bp​高くなっています。​ECBは​金融政策の​スタンスを​預金​ファシリティ​金利で​舵取りすると​している​ため、​見出しでは​この​金利を​指すことが​多いと​読めます。

日銀の​「政策金利」は​誘導目標だけですか。

誘導目標の​ほかに、​補完当座預金の​適用利率​(1.25%)と​基準貸付利率​(1.5%)も​同時に​変更されました。​ただし、​借入金利の​比較には、​実際に​取引される​無担保​コール​翌日物の​水準​(TONA)を​使います。

翌日物指標が​政策金利より​高くなる​ことは​ありますか。

あります。​2026年10月21日の​SOFR​(3.88%)は、​FF金利の​誘導目標​レンジの​中央​(3.875%)を​わずかに​上回っています。​この​日の​SOFRは、​翌日物​リバースレポの​提示金利​(3.75%)と​常設レポの​金利​(4.0%)の​間に​あります。​担保付か​無担保か、​取引の​範囲が​異なる​ため、​政策金利との​差は​一定ではありません。

まとめ

「政策金利」は、FRBではレンジ、ECBでは預金ファシリティ金利、BoEでは Bank Rate、日銀では無担保コール翌日物の誘導目標です。SOFR・€STR・SONIA・TONAはその近くにありますが、担保の有無と算出方法が違い、借入契約の参照金利は別に決まります。円換算で同額なら、政策金利0.25ポイントの変化は4通貨とも26.25百万円で、水準の差は金利差から生じます。数値は時点を付けて公式サイトから取り直してください。

脚注

  1. Wall Street Oasis「Central Bank: What is it?」。中央銀行が金融政策を策定し、金利の水準に影響を与える機関であるという一般的な概念の参考(米国中心の記述のため、各行の制度は公式資料で確認した)。(参考文献 R1)↩
  2. FRB「Federal Reserve issues FOMC statement」(2026年9月16日)は、FOMCが12対0で誘導目標レンジを「3-3/4 to 4 percent」へ1/4ポイント引き上げたと述べる。同日の Implementation Note は、IORBを3.90%(9月17日適用)、ON RRP提示金利を3.75%、常設の翌日物レポを4.0%、プライマリークレジットレートを4.0%とする。FRB「Open Market Operations」の表は、レンジが2025年12月11日以降3.50〜3.75%だったことを示す。FRB「Federal Reserve issues FOMC statement」(2026年10月28日)は、10対2でレンジを「3-3/4 to 4 percent」に維持したと述べ、反対した2人は1/4ポイントの引上げを支持した。同日の Implementation Note は、IORBを3.90%に維持(10月29日適用)し、ON RRP提示金利3.75%、常設の翌日物レポ4.0%、プライマリークレジットレート4.0%を据え置く。(参考文献 R2・R3・R4・R28・R29)↩
  3. FRB「FOMC Meeting calendars and information」。2026年の会合は1月27〜28日、3月17〜18日、4月28〜29日、6月16〜17日、7月28〜29日、9月15〜16日、10月27〜28日、12月8〜9日。(参考文献 R5)↩
  4. FRB「Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy」(2026年1月27日付で再確認)。「inflation at the rate of 2 percent, as measured by the annual change in the price index for personal consumption expenditures」が長期的な目標に最も整合的と述べる。(参考文献 R6)↩
  5. ECB「Key ECB interest rates」の表は、2026年9月16日適用の預金ファシリティ金利2.50%、主要リファイナンス金利2.65%、限界貸出ファシリティ金利2.90%、2026年6月17日適用が2.25%・2.40%・2.65%であることを示す。同ページは、2024年3月に政策スタンスを引き続き預金ファシリティ金利で舵取りすると決めた(decided … to continue to steer)と述べる。ECB「Monetary policy decisions」(2026年10月29日)は、3本の金利を2.50%・2.65%・2.90%で据え置くと述べる。(参考文献 R7・R30)↩
  6. ECB「The Governing Council」は、金融政策の決定を6週間ごとに行うと述べる。ECB「Calendar」には、2026年10月28〜29日の金融政策会合(2日目に記者会見)と、次回の12月16〜17日の金融政策会合が載る。同サイトは直近の金融政策会見を2026年10月29日と表示する。(参考文献 R8・R10)↩
  7. ECB「Price stability」。2021年の戦略見直し後、評議会は中期的に2%のインフレを目指すことで物価の安定が最もよく保たれると判断し、物価の測定にはHICPを用いると述べる。(参考文献 R9)↩
  8. BoE「Bank rate maintained at 3.75% – September 2026」。2026年9月16日に終わった会合で、MPCは6対3の多数で Bank Rate を3.75%に維持し、3人は0.25ポイント引上げ(4%)に投票した。(参考文献 R11・R12)↩
  9. BoE「Monetary Policy Committee dates for 2026 and 2027」。2026年の発表日は2月5日、3月19日、4月30日、6月18日、7月30日、9月17日、11月5日、12月17日。BoE「Inflation and the 2% target」は、政府がCPI2%の目標を設定していると述べる。(参考文献 R13・R14)↩
  10. 日本銀行「Change in the Guideline for Money Market Operations」(2026年9月18日)は、7対2の多数で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を「around 1.25 percent」で推移するよう促す方針を決め、補完当座預金の適用利率を1.25%、基準貸付利率(basic loan rate)を1.5%とした(9月24日適用)。同6月16日の公表文は1.0%程度、1.25%(基本貸付利率)で、6月17日適用。(参考文献 R15・R16)↩
  11. 日本銀行「Outline of Monetary Policy」。金融政策決定会合は年8回、各2日間。物価安定の目標を2013年1月にCPI前年比2%と定めたと述べる。日本銀行「Monetary Policy Meetings」の2026年の日程には10月29〜30日の会合が載り、2026年10月30日未明(日本時間)の確認時点で同会合の公表文は未掲載。(参考文献 R17・R31)↩
  12. ニューヨーク連銀「Secured Overnight Financing Rate Data」。SOFRは米国債を担保とする翌日物の借入コストの広い指標で、トライパーティ・レポのデータ等から出来高加重の中央値として計算される。同サイトの公開データでは2026年10月21日の値が3.88%。(参考文献 R18)↩
  13. ECB「Euro short-term rate (€STR)」。€STRはTARGET2の営業日ごとに前営業日の取引を基に公表され、参照日2026年10月21日の値は2.440%。ECBデータポータルの系列名は「Unsecured – Overnight – Borrowing」。(参考文献 R19)↩
  14. BoE「SONIA interest rate benchmark」「SONIA key features and policies」。SONIAはBoEが公表し、無担保で1営業日物、25百万ポンド以上などの条件を満たす取引から、出来高加重分布の中央50%を基に算出される。BoE統計データベース(IADB、系列IUDSOIA)の2026年10月20日の値は3.7340%。複利指数は2020年8月3日から公表。(参考文献 R20・R21・R22)↩
  15. 日本銀行「Uncollateralized Overnight Call Rate」のページは、2026年10月21日の確報の平均を1.227%とする(データはXLSX)。同「Interest Rate Benchmark Reform」のページは、円のリスクフリーレートを「Uncollateralized Overnight Call Rate (Tokyo Overnight Average rate: TONA)」と表記する。(参考文献 R23・R24)↩
  16. ニューヨーク連銀「ARRC」のページは、ARRCがTerm SOFRを推奨し、その推奨する使用範囲(scope of use)を示したこと、Term SOFRの利用を同範囲に限ることを挙げている。(参考文献 R25)↩
  17. EMMI「Euribor」。EU・EFTA諸国(過去の加盟国を含む)の信用機関が無担保のホールセール市場でユーロ資金を調達できる金利を測る指標で、1週間・1・3・6・12か月物をTARGET2の営業日に公表する。(参考文献 R26)↩
  18. 全銀協TIBOR運営機関「JBA TIBOR」のページ。円TIBORは日本の無担保コール市場の金利を反映し、営業日ごとに公表されると説明する。(参考文献 R27)↩

参考文献​(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。