この記事で分かること
- 産業連関表の取引基本表から、投入係数・レオンチェフ逆行列(開放型)・生産誘発額・付加価値誘発額まで、1枚のExcel計算表(MINVERSE・MMULT・SUMPRODUCT)で組む手順
- 学習用の架空の4部門の経済で、工場の事業費100億円を直接効果・第1次間接波及効果・第2次間接波及効果に分け、段階を追った足し上げが逆行列の結果に一致することを検算する方法
- 公表された「経済効果」の数字を、需要額の確定・純増・域内調達・前提の限界から読み解く確認表
想定読者:工場の新設・設備投資・イベントなどについて「経済効果○億円」と説明したい、または他者が出した数字の中身を確かめたい、経営企画・自治体や金融機関の連携担当の方
前提知識:Excelの基本操作(行列の掛け算と逆行列は、考え方から説明します)
結論:需要額を確定し、直接・第1次・第2次の順に足し上げ、段階追跡で検算する
「経済効果○億円」という数字は、産業連関表から作る係数を、新しく生じた需要額に順に掛けた結果です1。以下の学習用の架空事例(部品メーカーX社の新工場、事業費100億円=建設工事60億円+生産設備40億円)では、国内の生産に結び付く直接効果が96.0億円、原材料の購入などを通じて広がる第1次間接波及効果まで含めて153.5億円、雇用者所得が消費に回る第2次間接波及効果まで含めた総合効果は188.3億円です。同じ事業でも「どこまで含む数字か」で2倍近く違うため、公表値はまず範囲を確認します2。計算は次の順で、1枚のExcel計算表に収まります。
- 需要額を確定する(図表4の上段)
- 取引基本表から投入係数と逆行列を作る(図表1・2。MINVERSE)
- 直接・第1次・第2次の生産誘発額と付加価値誘発額を求める(図表4。MMULT・SUMPRODUCT)
- 段階を追った足し上げなどで検算する(図表3)
生産誘発額は取引額(中間投入を含む)の合計で、事業の利益やGDP(国内で生み出された付加価値の合計)、税収の増加額とは別の概念です。事業そのものの採算判断(NPV・IRRなど)は社内投資評価の作法に委ね、本記事は産業全体への生産の波及の試算に絞ります。
取引基本表の読み方:行は売り先、列は費用の内訳
産業連関表は、一定期間(通常1年間)の財・サービスの産業間取引を行列に示した統計表です。列(タテ)には、その部門の生産に使った原材料などの内訳(投入)と粗付加価値(生産で新たに付け加えられた価値)、行(ヨコ)には、その部門の生産物の販売先(産出)が並びます3。各部門で行の合計と列の合計はともに国内生産額になり、行は「中間需要+国内最終需要+輸出-輸入」、列は「中間投入+粗付加価値」です4。実際の2020年表でも、国内生産額1,026兆1,540億円は、中間投入464兆6,529億円(45.3%)と粗付加価値561兆5,010億円(54.7%)に分かれます5(GDP成長率から自社の市場成長率を置くと同じ版・数字です)。
以下は学習用の架空事例の4部門の表です(単位:億円)。図表1の製造業は、行が中間需要計333+国内最終需要367+輸出170-輸入70=800、列が中間投入計320+粗付加価値480=800で、どちらも国内生産額に一致します。粗付加価値の合計1,275も、国内最終需要1,075+輸出306-輸入106に一致します。
| 売り手\買い手 | 製造業 | 建設業 | 商業運輸 | サービス業 | 中間需要計 | 国内最終需要 | 輸出 | 輸入 | 国内生産額 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 200 | 84 | 25 | 24 | 333 | 367 | 170 | −70 | 800 |
| 建設業 | 0 | 6 | 5 | 16 | 27 | 273 | 0 | 0 | 300 |
| 商業運輸 | 64 | 21 | 50 | 28 | 163 | 237 | 120 | −20 | 500 |
| サービス業 | 56 | 24 | 70 | 52 | 202 | 198 | 16 | −16 | 400 |
| 中間投入計 | 320 | 135 | 150 | 120 | 725 | 1,075 | 306 | −106 | 2,000 |
| 粗付加価値 | 480 | 165 | 350 | 280 | - | - | - | - | - |
| うち雇用者所得 | 240 | 105 | 175 | 160 | - | - | - | - | - |
| 国内生産額 | 800 | 300 | 500 | 400 | - | - | - | - | - |
投入係数とレオンチェフ逆行列:1億円の最終需要が各部門に生む生産額
投入係数は、その部門が1億円分を生産するために、他の部門から何億円分の原材料などを買うかを表します。部門 j の国内生産額を X_j、部門 i から j への取引額を x_ij として、a_ij=x_ij÷X_j です6。図表2のとおり、製造業の列は自部門から0.25、商業運輸から0.08、サービス業から0.07などで、列和(中間投入率)は0.40、残りの0.60が粗付加価値率です。
需給は X=AX+F(X:国内生産額、A:投入係数の行列、F:最終需要)で表せ、X について解くと X=(I-A)^-1 F です(I は単位行列)。(I-A)^-1 の成分が逆行列係数で7、第 j 列は「j 部門に最終需要が1億円生じたときの各部門の生産誘発額」、列和は産業全体への生産波及の大きさです。
逆行列には輸入の扱いで型があり、(I-A)^-1 は輸入を考えない単純なモデルです。総務省の解説は、輸入に漏れる分を除いた国内の生産への波及を求めるため、輸入係数 m(輸入÷〔中間需要計+国内最終需要〕)を使う [I-(I-M)A]^-1 型を、わが国で一般的に利用される型としています8。M は m を対角に並べた行列、1-m は国産品で満たされる割合(自給率)で、地方自治体の手引きはこの型を開放経済型(前者は封鎖経済型)と呼びます。
開放型の逆行列
B=[I-(I-M)A]^-1 (A:投入係数、M:輸入係数を対角に並べた行列、I:単位行列)
図表2は、図表1から作った A(左)と B(右)です。製造業に最終需要が1億円生じると、製造業に1.308億円、建設業に0.006億円、商業運輸に0.119億円、サービス業に0.119億円、合計1.552億円の生産が誘発されます。同じ事業費100億円(図表4)に輸入を考えない (I-A)^-1 を掛けると167.3億円で、開放型の第1次まで(153.5億円)より13.9億円(9.0%)大きくなり、輸入に漏れる分だけ開放型が小さくなります。
| 部門(行) | 輸入係数 m | 投入係数 A(列=買い手) | 開放型の逆行列 B(列=需要が生じた部門) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 建設業 | 商業運輸 | サービス業 | 製造業 | 建設業 | 商業運輸 | サービス業 | ||
| 製造業 | 0.10 | 0.25 | 0.28 | 0.05 | 0.06 | 1.308 | 0.350 | 0.084 | 0.103 |
| 建設業 | 0.00 | 0.00 | 0.02 | 0.01 | 0.04 | 0.006 | 1.027 | 0.019 | 0.049 |
| 商業運輸 | 0.05 | 0.08 | 0.07 | 0.10 | 0.07 | 0.119 | 0.115 | 1.127 | 0.098 |
| サービス業 | 0.04 | 0.07 | 0.08 | 0.14 | 0.13 | 0.119 | 0.135 | 0.181 | 1.170 |
| 列和 | - | 0.40 | 0.45 | 0.30 | 0.30 | 1.552 | 1.626 | 1.411 | 1.420 |
| 参考:(I-A)^-1列和 | - | - | - | - | - | 1.624 | 1.707 | 1.447 | 1.456 |
段階追跡:波及は回を追って小さくなり、足し上げると逆行列に一致する
逆行列は、波及を無限に足し上げた結果です。0回を直接効果 D、1回を原材料の購入による生産 (I-M)A×D、2回をその原材料による生産 [(I-M)A]^2×D…と数えると、D+(I-M)AD+[(I-M)A]^2 D+…=BD が成り立ちます9。図表3のとおり、各回の生産誘発額は96.0、38.2、13.0、4.3、1.4、0.5億円…と小さくなり、累計は逆行列で求めた153.5億円に収束します。
小さくなるのは、各回で受け取った生産額のうち、粗付加価値と輸入に回る分は次の回の原材料需要にならないためです(1回目は0回目の0.40倍、2回目は1回目の0.34倍、以降は0.32〜0.33倍)。用語にも注意が必要で、総務省の解説は波及の各段階を「第1次の生産波及」などと数えますが、本記事の「第1次間接波及効果」は、直接効果以外の1回以降すべての合計(57.5億円)を指します10。
経済波及効果を試算する:需要額の確定から付加価値誘発額まで
手順1:需要額を確定し、直接効果を求める
X社の新工場の事業費100億円は、すべて新たに生じた国内の需要(純増)で、表と同じ生産者価格に換算済みと仮定します。建設工事60億円は建設業、生産設備40億円は製造業に割り当て、国産品で満たされる分(自給率を掛けた分)が直接効果です。製造業は40×0.90=36.0、建設業は60×1.00=60.0で計96.0億円、残り4.0億円は輸入に漏れます。見積額が購入者価格なら、商業・運輸マージンを商業運輸部門へ振り替えます11。用地取得費・補償費は事業費に含めていません。需要に含めてよいかは手引きで確認し、群馬県の事例集は工場進出の例で土地取得費を除いて入力しています12。
手順2:第1次間接波及効果を求める
直接効果に投入係数を掛けて原材料の需要を求め、自給率を掛けて国産品の需要にし、逆行列を掛けます。結果は、直接効果 D に逆行列を掛けた BD から D を引いた値と一致します。Excelでは MMULT(B, D) で BD を求め、図表4の⑤が153.5、④(⑤-③)が57.5です。
生産誘発額・付加価値誘発額の式
直接効果 D=(I-M)F (F:事業費の部門別金額)
第1次まで=B×D 第1次間接波及効果=B×D-D
付加価値誘発額=Σ(粗付加価値率×生産誘発額)
手順3:第2次間接波及効果と付加価値誘発額を求める
直接効果と第1次間接波及効果で誘発された雇用者所得(雇用者所得率×⑤)は50.9億円です。消費転換係数(学習用の仮定で0.50)を掛けた消費誘発額25.5億円を消費の部門構成比で各部門に振り分け、自給率を掛けた国産分23.9億円に逆行列を掛けた34.8億円が第2次間接波及効果です。消費転換係数の定義は手引きで異なり、山形県は家計調査の消費支出÷実収入の5年平均、群馬県は勤労世帯の平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合)で、使う手引きにそろえます13。
図表4のとおり、第1次までの⑤は153.5億円(倍率=生産誘発額÷事業費100億円で1.53倍)、第2次を足した総合効果⑦は188.3億円(1.88倍)です。付加価値誘発額は第1次までが91.3億円、総合が114.5億円で、第1次までの91.3億円と輸入に漏れる分(輸入誘発額)8.7億円を足すと事業費100.0億円に一致します。総合が100億円を超えるのは、第2次で消費需要25.5億円が新たに加わるためです。
| 項目 | 製造業 | 建設業 | 商業運輸 | サービス業 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 需要額の確定(事業費100億円=建設工事60+生産設備40) | |||||
| ①国内最終需要の増加(事業費) | 40 | 60 | 0 | 0 | 100 |
| ②自給率(1-輸入係数) | 0.90 | 1.00 | 0.95 | 0.96 | - |
| 生産誘発額(億円) | |||||
| ③直接効果(①×②) | 36.0 | 60.0 | 0.0 | 0.0 | 96.0 |
| ④第1次間接波及効果 | 32.1 | 1.8 | 11.2 | 12.4 | 57.5 |
| ⑤小計(③+④)=第1次まで | 68.1 | 61.8 | 11.2 | 12.4 | 153.5 |
| ⑥第2次間接波及効果 | 10.6 | 0.7 | 8.7 | 14.8 | 34.8 |
| ⑦総合効果(⑤+⑥) | 78.7 | 62.5 | 19.9 | 27.2 | 188.3 |
| 付加価値誘発額と倍率 | |||||
| ⑧粗付加価値率 | 0.60 | 0.55 | 0.70 | 0.70 | - |
| ⑨付加価値誘発額(⑤×⑧) | 40.8 | 34.0 | 7.8 | 8.7 | 91.3 |
| ⑩付加価値誘発額(⑦×⑧) | 47.2 | 34.4 | 13.9 | 19.0 | 114.5 |
| 倍率(⑤÷100/⑦÷100) | - | - | - | - | 1.53倍/1.88倍 |
| 検算(図表3の累計⑤との差) | - | - | - | - | 1E-9未満 |
Excelで1枚の計算表に組む:式と検算セル
計算表は、入力(図表1、事業費、第2次の仮定)、係数(A・輸入係数)、逆行列、結果の順に1枚のシートへ並べ、前提は値・単位・出典・更新日を前提一覧シートの形で1か所に置きます。総務省が公開する令和2年表の簡易計算ツール(統合大分類37部門)も、国産品需要の列ベクトルに逆行列を MMULT で掛ける作りです14。主な式は次のとおりです。
- 投入係数:=x_ij÷X_j(列の国内生産額を絶対参照)。輸入係数は=輸入÷(中間需要計+国内最終需要)で、輸入は表では負の値なので符号に注意します。
- 逆行列:=MINVERSE(I-(I-M)A)。(I-M)A は各セルを「(1-m)×a」とした別ブロックで作り、I は対角に1を置いた範囲とします。Microsoft 365 では出力範囲の左上のセルに入力して Enter(4×4に自動で広がる)、それ以外のバージョンでは出力範囲の4×4を選んでから Ctrl+Shift+Enter で確定します15(違いはレガシー配列数式とスピルの違い)。
- 生産誘発額:=MMULT(B, D)。B の列数と D の行数が合わないと #VALUE! です。第2次も同じ式です。
- 付加価値誘発額:=SUMPRODUCT(粗付加価値率, 生産誘発額)。SUMPRODUCT関数は、対応する要素どうしを掛けて合計します。
検算セルは、差を出して許容誤差で判定する差分方式で作り(検算チェックの設計)、モデルチェックサムで1セルに集約します。本事例の検算は6つです。
- 取引基本表で、全部門の「行の合計-列の合計」が0(図表1)。
- 投入係数の列和がすべて1未満(本事例は0.30〜0.45)。総務省の解説は、非負の需要に非負の生産額が対応する十分条件として、この条件(ソローの条件)を示しています16。
- (I-(I-M)A)×B-I の最大絶対値が1E-9未満。MINVERSE は約16桁の精度で誤差が残るため、許容誤差で判定します。逆行列がないと #NUM! になります。
- MMULT(B, D) と、段階追跡の累計(40回)の差が1E-9未満(図表3)。
- 付加価値誘発額+輸入誘発額=国内最終需要の増加額(第1次まで。91.3+8.7=100.0)。輸入誘発額は輸入係数×(投入係数×生産誘発額+国内最終需要の増加額)の合計で、この関係は本記事での導出です。
- 倍率が桁違いでないこと。実際の2020年表の生産波及の大きさ(逆行列の列和)は、統合大分類(37部門)の平均で1.7606倍です17。10倍が出たら桁感チェックで疑います。
結果の読み方と限界:「この前提を置いた試算」として使う
試算結果は予測ではなく、「この前提を置いた場合の試算」です。投入係数と価格は表の作成年のまま、生産能力に制約がなく、在庫の取り崩しなどで波及が途中で止まらないという前提に立ち、波及が達成される時期も明確になりません(建設期間と稼働期間は分けて書きます)18。人手不足の地域や好況期には、実際の波及は試算より小さくなり得ます。最新の全国表は、2026年10月2日に確認した総務省のページで令和2年(2020年)表(令和7年7月再推計)で、2025年表は掲載がありません19。
総務省の解説は、波及分析が需要額の源泉を問わず、一部の支出が増えて他の支出が減るなら、その減少はマイナスの波及効果になると述べます20。需要額を純増に絞る理由です。本事例の仮定では、事業費の30%が既存投資の付け替えなら総合効果は131.8億円(基本の188.3億円の70%)、生産設備40億円がすべて輸入品なら120.5億円で、需要額の置き方だけで結果が大きく変わります。幅を見るには感応度分析・シナリオ分析の作り方が使えます。
公表された「経済効果」も、どこまでを含む数字かで大きさが変わります。山形県の手引きは第2次まで足した総合の生産誘発額を「経済波及効果」と呼び、総務省の簡易計算ツールは雇用者所得から消費への転換を計算しません21。再現には、需要額、表と年次、地域、第2次の係数が必要で、公表されていなければ再現できません。最終需要を超える部分は、新しく生まれた所得ではなく、産業間の取引が積み上がった結果です。
実務チェックリスト:需要額・価格・純増・域内調達・前提の確認表
- 需要額:事業費を、生産に結び付く部門別の金額に分けたか。用地取得費・補償費・金融費用を含めてよいかを、使う手引きで確認したか。
- 価格と単位:需要額を表と同じ生産者価格にそろえたか(購入者価格なら商業・運輸マージンを振り替える)。単位と、表の価格年との違いを書いたか。
- 純増:他の消費・投資・地域からの付け替えを除いたか。除かなければ過大になる。
- 域内調達・輸入:国産品(地域の表なら域内)で満たされる分だけを直接効果にし、自給率の出所を書いたか。
- 範囲と前提:直接効果・第1次・第2次のどこまでの数字か、第2次の仮定、投入係数固定・価格不変・供給制約なし、表の年次、期間の区別を併記したか。
- 検算:行と列の合計、逆行列×(I-(I-M)A)=単位行列、段階追跡との一致、付加価値誘発額+輸入誘発額=需要額が、0または許容誤差内か。
- 言い換え:生産誘発額を、利益・GDP・税収の増加額として書いていないか。
よくある質問(FAQ)
工場の稼働後の生産も、建設時の需要と一緒に足してよいですか。
建設・設備投資の需要と稼働後の生産は別の計算にして、期間を分けて示します。山形県の手引きは、企業が立地して生産を開始した場合は県内生産がそのまま直接効果になり、そこから分析を始めるとし、群馬県の事例集も建設分と設備投資分を別に計算して合計しています22。
まとめ
経済波及効果は、需要額の確定、直接効果、第1次間接波及効果、第2次間接波及効果の順に係数を掛け、段階追跡と恒等式で検算する計算です。本事例では事業費100億円に対し、直接効果96.0億円、第1次まで153.5億円、総合188.3億円で、どこまでを含む数字かで大きさが変わります。生産誘発額は取引額で、利益・GDP・税収とは別の概念です。公表された「経済効果」は、純増・価格・域内調達・前提の限界を確認して読みます。
脚注
- 総務省ほか「令和2年(2020年)産業連関表」の「(参考)産業連関表の概要」2 産業連関表の利活用(p.14)。取引額から求められる各種係数を用いて経済波及効果等の分析ができると記載(参考文献 R1)。↩
- 香川県「第4章 波及効果分析の方法」2(p.56〜57)に、経済波及効果を直接効果(需要増加額のうち県内で調達できる分)、第1次間接波及効果、第2次間接波及効果(直接効果と第1次間接波及効果で増加した雇用者所得のうち消費に回る分による生産誘発)の3つに分ける旨の記載。山形県「産業連関分析の手引」p.11は同じ3段階を「直接効果」「第1次波及効果」「第2次波及効果」と呼び、その合計を「総合波及効果」とする(参考文献 R2、R3)。↩
- 総務省ほか「令和2年(2020年)産業連関表からみた我が国の経済構造」1 概況(p.1)。列方向は国内生産額と投入費用の内訳、行方向は国内生産額と輸入額の産出(販売)先の内訳を示す。一般的な概念の参考として、CFIの投入産出分析の解説も、各産業の産出を行、他産業の投入を列に示すと説明している(CFIには投入係数・逆行列・日本の産業連関表の記載はない)(参考文献 R1、R4)。↩
- 総務省ほか「令和2年(2020年)産業連関表」(参考)1 産業連関表の構造(p.13)に、各部門とも「A+B-C=D+E」(国内生産額を行側と列側から求めた式)となるように作表する旨。p.11〜12の用語解説に、粗付加価値は「生産活動によって新たに付け加えられた価値」とある(参考文献 R1)。↩
- 総務省ほか「令和2年(2020年)産業連関表からみた我が国の経済構造」1 概況(p.1)。国内生産額1026兆1540億円、中間投入464兆6529億円(中間投入率45.3%)、粗付加価値561兆5010億円(粗付加価値率54.7%)(参考文献 R1)。↩
- 総務省「産業連関分析のための各種係数の内容と計算方法」第5章第1節1(p.91)。投入係数は、取引基本表の各列部門の原材料等の投入額を、その列部門の国内生産額で除した係数で、粗付加価値を含む投入係数の和は各列部門とも1.0。金額ベースの係数で、対象年次の価格で評価される(参考文献 R5)。↩
- 同第2節1(p.93〜94)。X=AX+F を X について解くと X=(I-A)^-1 F となり、この成分を逆行列係数と呼ぶ。逆行列の第 i 列は i 部門に1単位の最終需要が発生した場合の各部門の生産増加単位を表し、第 i 列の列和は生産誘発係数に相当する(参考文献 R5)。↩
- 同第2節2(p.94〜95)。(I-A)^-1 は輸入を考えない単純なモデルに基づく(p.94)。輸入品の投入を考慮した [I-(I-M^)A]^-1 型の逆行列係数が一般的に利用され(p.95)、輸入係数は輸入÷(中間需要+国内最終需要)で定義される(p.95)。輸入額を外生とする (I-A)^-1 型は、一般的な経済波及効果分析ではあまり利用されていないとある(p.95)。山形県p.7・香川県p.59は、前者を封鎖経済型、後者を開放経済型と呼び、経済波及効果の計算には通常(一般に)開放経済型を使うと説明(参考文献 R5、R3、R2)。↩
- 総務省「産業連関分析のための各種係数の内容と計算方法」第5章第1節2(p.92)。ある部門に対する需要が1単位増えると、投入係数に従って原材料等の中間需要が生じ(これを第1次の生産波及と呼ぶ)、その後の波及も無限に続き、各部門の国内生産額の水準は生産波及の総和として計算できる(参考文献 R5)。↩
- 香川県「第4章 波及効果分析の方法」2(p.56)。第1次間接波及効果は、直接効果によって生産が増加した産業で必要となる原材料等のために新たに生じる生産の波及効果で、「生産誘発が0になるまでのすべての段階を含む」とある(参考文献 R2)。↩
- 山形県「産業連関分析の手引」p.15(価格の取扱い)・p.16。産業連関表の取引は生産者価格で評価され、流通マージン(商業マージン・貨物運賃)は商業部門・運輸部門に一括計上されるため、最終需要額も生産者価格にそろえる。購入者価格で特定した場合は、商業マージンと貨物運賃を取り除き、商業部門・運輸部門の最終需要に振り分ける(参考文献 R3)。↩
- 群馬県「産業連関分析事例集」【事例6-1】工場進出の場合の経済波及効果①(p.85)。投資額50億円を「建物建設30億円、設備投資20億円、土地取得費を除く」として建設投資と設備投資の2つで入力している。【事例5】新病院建設(p.65)では、土地購入費10億円を建設投資ではなく「収入増加」として別に入力している(参考文献 R6)。↩
- 山形県「産業連関分析の手引」p.23。消費転換率は雇用者所得誘発額に乗じて消費誘発額を求める比率で、例では家計調査の山形市の消費支出÷実収入の過去5年間の平均値を使って0.518としている。群馬県「産業連関分析事例集」p.4の用語説明は、消費転換率を所得のうち消費に充てる割合とし、家計調査の勤労世帯の平均消費性向を使うとする。平均消費性向は可処分所得に対する消費支出の割合(山形県 p.36 注3)(参考文献 R3、R6)。↩
- 総務省「経済波及効果を計算してみましょう」に掲載された令和2年(2020年)計算シート(統合大分類37部門)を取得して開いた。シート「④計算の流れ」は、新規需要額【A】、Aのうち国産品で対応する分【A*】(A×自給率)、波及効果【B】(逆行列×列ベクトルA*)の3列で、波及効果は MMULT(⑥逆行列!C5:AM41, D3:D39)。「⑥逆行列」は [I-(I-M^)A]^-1、自給率は1-輸入係数(輸入÷国内需要合計)。雇用者所得から消費への転換を計算する列はない(参考文献 R7)。↩
- Microsoft サポート「MINVERSE 関数」「MMULT 関数」。Microsoft 365 の現在のバージョンでは出力範囲の左上のセルに入力して Enter、それ以外は出力範囲を選択して Ctrl+Shift+Enter で配列数式として確定する。MINVERSE は正方行列を指定し、逆行列がないと #NUM! を返し、約16桁の精度で計算するため結果にわずかな誤差が生じることがある。MMULT は、array1 の列数が array2 の行数と異なると #VALUE! を返す(参考文献 R8、R9)。↩
- 総務省「産業連関分析のための各種係数の内容と計算方法」第5章第2節1の(注)(p.93〜94)。非負の最終需要に対して非負の解を持つための必要十分条件はホーキンス・サイモンの条件で、その十分条件として、投入係数の列和がすべて1未満であること(ソローの条件)が示されている(参考文献 R5)。↩
- 総務省ほか「令和2年(2020年)産業連関表」「5 生産波及の大きさ」(p.6)。統合大分類で、1単位当たりの最終需要に対する生産波及の大きさは平均1.7606倍。p.12の用語解説は、生産波及の大きさを逆行列係数表の列和と定義する(参考文献 R1)。↩
- 総務省「産業連関分析のための各種係数の内容と計算方法」第8節(p.109)に、投入係数の安定性、生産能力・過剰在庫・雇用による波及の中断、波及効果が達成される時期は明確にされないこと等の留意点。山形県p.14は、結果が産業連関表作成対象年の価格で表示されること、投入構造一定・生産能力の限界なし・波及の所要時間が必ずしも1年以内とは限らないこと等を記載。群馬県p.5は、需要増による価格変化はなく自給率は一定との仮定を記載(参考文献 R5、R3、R6)。↩
- 総務省「産業連関表」ページ(2026年10月2日に確認)。更新情報の最新は令和7年8月29日(令和2年表の総合解説書の追加)、令和7年7月11日(令和2年表の再推計)で、推計結果の一覧の最新の対象年は令和2年(2020年)。関連統計の欄に、経済産業省の産業連関表(簡易延長表、地域間表、国際表等)が挙げられている(参考文献 R10)。↩
- 総務省「産業連関分析のための各種係数の内容と計算方法」第8節2(1)(p.109)。波及分析は需要額が何によってもたらされたかを考慮せず、一部の支出が増えて他の支出が減少する場合、その減少は「いわばマイナスの経済波及効果をもたらしている」とある(参考文献 R5)。↩
- 山形県「産業連関分析の手引」p.11。直接効果・第1次波及効果・第2次波及効果の合計を「総合波及効果」と呼び、その生産誘発額を「経済波及効果」と呼ぶ。総務省の簡易計算ツールについては前掲の参考文献 R7(シート「④計算の流れ」)を確認した(参考文献 R3、R7)。↩
- 山形県「産業連関分析の手引」p.18。最終需要ではなく直接県内生産について経済波及効果を求める場合(例:企業が県内に立地し生産を開始した場合)は、県内生産=直接効果としてそこから分析を始める。群馬県「産業連関分析事例集」【事例6-1】(p.85)は、建設分と設備投資分を別のファイルで計算し、結果を合計している(参考文献 R3、R6)。↩
- 山形県「産業連関分析の手引」p.4・p.7・p.17。地域の産業連関表は、県外からの購入を「移輸入」として区別し、県内自給率=1-移輸入率として直接効果を求める。全国表の輸入係数は、総務省「産業連関分析のための各種係数の内容と計算方法」第2節2(p.95)のとおり輸入÷国内需要で、国外からの輸入に関する係数(参考文献 R3、R5)。↩
- Corporate Finance Institute「Input-Output Analysis」の「Use of Input-Output Analysis」。環境に関する投入(ガソリンや石炭など)の列を加えて環境関連の投入を考慮する Environmentally Extended Input-Output Analysis(EEIOA)に触れている。一般的な概念の参考(参考文献 R4)。↩
参考文献(2026年10月確認)
- R1 総務省ほか(10府省庁共同編集)「令和2年(2020年)産業連関表」(令和6年6月、令和7年7月再推計) soumu.go.jp (参照箇所:p.1「1 概況」、p.6「5 生産波及の大きさ」、p.11〜12「用語の解説」、p.13〜14「(参考)産業連関表の概要」。脚注1・3・4・5・17の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R2 香川県「第4章 波及効果分析の方法」(平成27年産業連関表に基づく解説。公表日の記載なし) pref.kagawa.lg.jp (参照箇所:p.56〜57「2 経済波及効果の流れ」、p.59「4 経済波及効果分析(1)」。脚注2・8・10の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R3 山形県みらい企画創造部統計企画課「産業連関分析の手引(経済波及効果分析マニュアル)」(令和8年6月) pref.yamagata.jp (参照箇所:p.4・p.7(表の見方・逆行列の型)、p.11〜14(段階・手順・留意事項)、p.15〜18(最終需要額の設定・価格・自給率)、p.23(消費転換率)、p.36(表4)。脚注2・8・11・13・18・21・22・23の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R4 Corporate Finance Institute「Input-Output Analysis」(2021年3月31日公開) corporatefinanceinstitute.com (参照箇所:「Input-Output Analysis Table」「Use of Input-Output Analysis」の節。一般的な概念の参考。脚注3・24の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R5 総務省「産業連関分析のための各種係数の内容と計算方法」(総務省「産業連関分析について」ページ掲載。令和2年表の13部門の数値例を含む。公表日の記載なし) soumu.go.jp (参照箇所:第5章 第1節1〜2(p.91〜93)、第2節1〜2(p.93〜95)、第8節(p.109)。脚注6・7・8・9・16・18・20・23の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R6 群馬県企画部統計課「平成23年(2011年)群馬県産業連関表 産業連関分析事例集」(平成28年12月) toukei.pref.gunma.jp (参照箇所:p.4(用語説明)、p.5(分析にあたっての留意点)、p.65(事例5)、p.85(事例6-1)。脚注12・13・18・22の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R7 総務省「経済波及効果を計算してみましょう」(令和2年表の簡易計算ツール掲載ページ) soumu.go.jp (参照箇所:掲載ページと、リンク先の令和2年(2020年)計算シート(https://www.soumu.go.jp/main_content/000956053.xlsx)のシート「④計算の流れ」「⑥逆行列」。脚注14・21の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R8 Microsoft サポート「MINVERSE 関数」 support.microsoft.com (参照箇所:「適用先」「注」「構文」「解説」。脚注15の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R9 Microsoft サポート「MMULT 関数」 support.microsoft.com (参照箇所:「適用先」「注」「構文」「解説」。脚注15の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R10 総務省「産業連関表」ページ soumu.go.jp (参照箇所:「更新情報」「関連統計」。脚注19の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。