この記事で分かること
- 資産効果(株価・地価の変化が家計の資産を通じて消費を動かす効果)の経路と、日本の公的資料が示す大きさのばらつき
- 架空の高額品小売V社の売上前年比を、所得・株価・インバウンド(免税)・その他に分ける5年分の分解表の作り方
- 株価下落(-10%・-20%・-30%)と感応度(低・中・高)で売上と営業利益の変化を見る表と、計画への入れ方
想定読者:時計・宝飾品・高級衣料・旅行などの売上計画を作る、小売・消費財メーカーの経営企画・FP&A・営業企画の方
前提知識:前年比(%)と%ポイントの違い(経済学の知識は不要です)
結論:売上の伸びを「資産・所得・訪日客」に分け、株価分は下落シナリオの幅で置く
株価や地価が上がった年に時計・宝飾品や旅行の売上が伸びると、その伸び率を来期以降の計画にもそのまま置きたくなります。しかし同じ年には賃金や訪日客の増加も重なることが多く、伸びのうち資産価格による部分は分かりません。分けておかないと、相場が反転したときの下振れを見積もれません。
資産効果とは、株価などの資産価格の上昇(下落)が、個人消費を増加(減少)させる効果を指します1。本記事の結論は次の3点です。
- 売上の前年比を、所得要因・株価要因・インバウンド(訪日客の免税購入)要因・その他(残差)に分けて、毎年記録します(図表3)。
- 株価要因の大きさ(感応度)は、5年分の実績だけでは絞り込めません。低・中・高の幅で置き、株価下落シナリオごとに売上と営業利益の変化を見ます(図表4)。
- 前年の伸び率をそのまま置かず、要因ごとに置いたうえで、株価を切替条件にしたシナリオとして計画に持ちます。株価や地価そのものの予想はしません。
資産効果とは何か:定義と、日本の公的資料が示す大きさ
日本銀行は、資産効果を「株価の変動によって家計の保有する金融資産の価値が100円変化した場合、これに伴って個人消費は何円変化するか」という限界消費性向(資産が1単位増えたとき、消費が何単位増えるかの比率)のかたちで測るのが一般的としています2。
Corporate Finance Institute(CFI)の解説は、資産効果を、株式の値上がりが続くと保有者が豊かになったと感じて非必需品や高額品への支出を増やす、という心理的な要素を含む理論として説明し、相場が調整すると支出が急に抑えられる場合があるという一般論も示しています(訳・要約は編集部)3。米国を前提とした概説で推計値はなく、日本の感応度の根拠にはなりません。
日本銀行『展望レポート』(2016年4月)のBOXは、家計の金融資産の価値が100円変化したときの消費の変化を、先行研究7本について並べています。最小は0.0円、最大は4.9円で、残る5本は2.2〜4.0円です。日本銀行はこれを「2〜4円程度」とまとめ、10%程度の株価下落で株式・投資信託残高(2015年12月末で195兆円)が20兆円程度減るとすれば、個人消費は4,000〜8,000億円程度下振れる計算になると「ラフに試算」しています(年間の個人消費は280〜290兆円程度)4。これは個人消費全体の約0.14〜0.29%(下限は4,000億円÷290兆円、上限は8,000億円÷280兆円)で、10で割ると株価1%あたり約0.014〜0.029ポイントです(編集部の換算。影響が下落率に比例すると仮定し、2015年末の残高と当時の個人消費を前提とした値)。家計の株式・投資信託の残高はその後大きく増えたため(後述)、同じ係数を当てはめれば現在の値はこれより大きくなります。このBOXの数値は金融資産の効果で、地価や住宅の効果は含みません。
内閣府の2025年7月の年次経済財政報告は、実質の金融純資産(金融資産から負債を引いた額)が増加傾向にあり「資産効果を通じて、マクロとしての個人消費の下支えに寄与していると言える」と記述し、付注の推計式では、実質の金融純資産が1%多いと実質の個人消費が約0.11%多いという結果です。ただし預金なども含む金融純資産全体の値で、内閣府も結果は幅をもって解釈する必要があるとしています5。2026年7月の報告の第2章第1節は、家計の資産・負債の保有構造と、金利・株価の変化が家計の金融資産に与える影響を分析するもので、株価が消費に与える効果の推計は含みません6。つまり、推計の大きさも測り方(100円あたりの金額か弾性値か)も資料ごとに異なります。本記事の感応度の幅は、この不確かさを踏まえた学習用の仮定です。
経路を分ける:資産価格・所得・訪日客は別々に売上へ届く
図表1は、V社のような高額品小売の売上に届く3つの経路です。
資産価格の経路(実線):株価や地価が上がると、家計の資産評価額が増えます。豊かになったと感じて支出が増える(心理の経路)、評価益の一部を実際に使う(資産増の経路)という両面が考えられます。どちらがどれだけ効くかは仮説です。心理面の公的統計として、内閣府の消費動向調査は、世帯で所有する株式・土地などの資産価値が今後半年間に増えるか減るかを尋ね、「資産価値」の意識指標を公表しています(消費者態度指数の4項目には含まれません)7。売上への先行性の検証は、記事「消費者心理の指標は売上予測に使えるか」に委ねます。
国土交通省の地価公示(毎年1月1日時点の標準的な地点の価格)は、2026年に全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇しました8。ただし持ち家や土地は、売却や借入れをしない限り現金が増えないため、金融資産とは効き方が違うと考えられます(編集部の仮説)。公的な土地評価の種類は、用語集の一物四価に委ねます。
所得の経路(破線):内閣府の2026年7月の報告は、長い目でみて個人消費の動きを規定する最も重要な要素は可処分所得の動向だと述べています9。V社でも所得要因を先に引きます。購買力の入れ方は、記事「可処分所得から家計の購買力を需要予測に入れる」に委ねます。
訪日客の経路(点線):免税売上は国内の家計の資産とは別の需要で、訪日客の数・国や地域・為替などで動くと考えられます。日本百貨店協会の2026年8月の概況では、全国の百貨店の免税売上は461億円(前年同月比+4.6%、売上総額に占める割合10.9%)で、国・地域別では中国が売上高約17%減、購買客数約37%減でした。協会は免税について「円安を背景に高額品需要は堅調」と記しています10。
資産の増加は誰に起きたか:保有層の偏りを確認する
日本銀行の資金循環統計(速報)によると、家計の金融資産は2026年6月末で2,519兆円(前年比+11.0%)です。内訳は現金・預金が1,132兆円(構成比44.9%、前年比+0.5%)、株式等が486兆円(19.3%、+47.0%)、投資信託が193兆円(7.7%、+36.8%)でした11。内閣府によると、1980〜2025年度に家計の株式・投資信託は500兆円超増え、うち購入・売却のフロー由来は約78兆円(15%程度)で、残る約432兆円は評価額の上昇です12。増えた分の大半は評価益で、売却しなければ未実現です(読み方は用語集の資金循環統計)。
ただし、平均は保有の偏りを隠します。内閣府が金融経済教育推進機構の調査(二人以上世帯)を集計した結果では、2025年の金融資産の中央値は720万円、平均値は1,940万円で、平均値は中央値の約2.7倍です。2024年時点の分布では、保有額が1億円以上の世帯は2%程度でした。収入が1,200万円を超える世帯は、株式・投資信託の割合が高く、預貯金の割合が低くなっています13。内閣府は、株価上昇の恩恵は株式保有者に集中するなど属性によって影響が異なると考えられるとし、日本では株式の保有状況別の景況感は把握できないとしています14。
そのため、顧客層(購入額の上位層、年齢、地域)が株式保有層と重なるかを、自社の顧客データから仮説として置きます。
数値例:V社の売上前年比を3つの要因に分ける
以下は学習用の架空事例です。V社は都市部で時計・宝飾品を販売する小売チェーンで、X5年度の年商は300億円です。売上は国内顧客売上と免税売上に分けて管理し、図表2が5年分の入力値です。株価指数(TOPIXのような指数を想定)は架空の系列で、弾性値と感応度はすべて仮定です。
| 年度 | 国内顧客売上 | 免税売上 | 総売上 | 可処分所得の伸び(%) | 株価指数の前年比(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| X0(基準) | 21,000 | 3,000 | 24,000 | - | - |
| X1 | 21,400 | 3,400 | 24,800 | +1.0 | +6 |
| X2 | 22,400 | 4,400 | 26,800 | +2.0 | +30 |
| X3 | 23,200 | 4,800 | 28,000 | +2.0 | +10 |
| X4 | 23,900 | 4,400 | 28,300 | +2.0 | -15 |
| X5 | 25,000 | 5,000 | 30,000 | +2.0 | +20 |
売上増減額の要因分解(仮定した係数による割り当て。単位:百万円)
所得要因=前年度の国内顧客売上×可処分所得の伸び(%)×所得弾性値(仮定1.5)
株価要因=前年度の国内顧客売上×株価指数の前年比(%)×株価感応度(仮定0.05)
インバウンド要因=免税売上の当年度-前年度
その他(残差)=売上増減額-上の3つ(百万円未満は四捨五入)
所得弾性値1.5は、可処分所得が1%増えると国内顧客売上が1.5%増える仮定です(商品別の考え方は記事「所得弾力性で商品別の需要の伸びを見分ける」)。株価感応度0.05は、株価指数が1%動くと、国内顧客売上の前年比が0.05ポイント動く仮定です。X2年度で確かめます。所得要因は21,400×2.0%×1.5=642、株価要因は21,400×30%×0.05=21,400×1.5%=321、インバウンド要因は4,400-3,400=1,000です。売上増減額は26,800-24,800=2,000なので、その他(残差)は2,000-642-321-1,000=37になります。
| 年度 | 売上前年比(%) | 売上増減額 | 所得要因 | 株価要因 | インバウンド要因 | その他(残差) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| X1 | +3.3 | +800 | +315 | +63 | +400 | +22 |
| X2 | +8.1 | +2,000 | +642 | +321 | +1,000 | +37 |
| X3 | +4.5 | +1,200 | +672 | +112 | +400 | +16 |
| X4 | +1.1 | +300 | +696 | -174 | -400 | +178 |
| X5 | +6.0 | +1,700 | +717 | +239 | +600 | +144 |
| 5年累計 | +25.0 | +6,000 | +3,042 | +561 | +2,000 | +397 |
| 構成比(%) | - | 100.0 | 50.7 | 9.4 | 33.3 | 6.6 |
図表3のとおり、X2年度は売上が8.1%伸びましたが(増減額2,000)、内訳は免税1,000(50%)、所得642(32%)、株価321(16%)で、株価要因は前年度総売上(24,800)の約1.3ポイントです。株価が30%上がり免税売上も29.4%増えた年なので、伸び2,000の全部を株価によるものとみなすと、この置き方の株価要因321の約6倍になります。
この置き方では、株価要因は株価の水準ではなく変化に反応し、上昇が続いても伸びが鈍れば縮み(X2の321→X3の112)、下落したX4年度は-174です。X4年度は免税の-400も重なり、所得要因696があっても総売上の伸びは1.1%にとどまりました。5年累計(図表3の下2行)の増加額6,000では、所得が約51%、免税が約33%、株価が約9%です。
ただし、その他(残差)が小さいことは、感応度0.05が正しい証拠ではありません。X2年度の株価要因は、感応度0.02なら128(その他は230)、0.10なら642(その他は-284)で、どの値でも売上は説明できます。株価要因は感応度を置いて割り当てた結果で、因果の推定ではありません。観測は5点にとどまり、価格改定や円安など他の要因も同時に動くため、感応度は絞り込めません。
株価下落シナリオ別の感応度表:売上と営業利益の変化を幅で見る
X6年度の基準計画を、可処分所得+2.0%、株価は横ばい、免税売上は5,000のまま、その他は0と置くと、増えるのは所得要因の25,000×2.0%×1.5=750だけで、総売上は30,750(前年度比+2.5%)です。前年度の伸び率6.0%をそのまま置いた31,800(30,000×6.0%=1,800増)との差は1,050(X5年度総売上の3.5%)です。
基準計画に対する株価下落の影響を、感応度の低0.02・中0.05・高0.10で見ます。低は、日本銀行の試算を2015年末の残高で換算した値(約0.014〜0.029)に近い置き方です。中と高は「V社の顧客は株式保有層に偏る」という仮説や、その後の残高の増加を踏まえた仮定で、根拠のある数値ではありません。高は、下落局面で反応が強まる場合(非対称性、仮説)も含めた幅です。
株価下落シナリオの影響額(単位:百万円)
国内顧客売上の変化額=前年度(X5)の国内顧客売上25,000×株価の下落率(%)×感応度
営業利益への影響=売上の変化額×限界利益率40%(売上が増減したとき、固定費の回収と利益に回る割合。固定費は変わらないと仮定)
| 株価指数の前年比 | 感応度 低(0.02) | 中(0.05) | 高(0.10) | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 国内顧客売上 | 営業利益 | 国内顧客売上 | 営業利益 | 国内顧客売上 | 営業利益 | |
| -10% | -50 | -20 | -125 | -50 | -250 | -100 |
| -20% | -100 | -40 | -250 | -100 | -500 | -200 |
| -30% | -150 | -60 | -375 | -150 | -750 | -300 |
株価が10%下がり感応度が低なら、国内顧客売上は0.2%(50)減り、営業利益は20の減少で、X5年度の営業利益2,400(営業利益率8.0%、仮定)の0.8%です。株価が30%下がり感応度が高なら、国内顧客売上は3.0%(750)、営業利益は300(同12.5%)減ります。最大は最小の15倍で、下落率の幅(10%→30%で3倍)より、感応度の幅(0.02→0.10で5倍)のほうが結果を大きく動かします。
使い方は点の予測ではなく、シナリオの切替条件です。たとえば「株価指数が計画の前提より10%以上低い状態が続いたら、国内顧客売上を中のシナリオに切り替える」という社内ルールを事前に決め、実際の切替は外商の受注や客数・客単価などの自社データで確かめて判断します(切替条件の作り方は「シナリオプランニングの実務」、固定費と変動費の分け方は「コスト構造とマージン予測」)。株価が大きく下がる局面では所得や免税売上も同時に動くことがあるため、3つを独立に動かさず、相関を考えて組み合わせを決めます(相関を考慮したシナリオ設計)。
相関と因果、非対称性、保有の偏り:この方法の限界
- 株価と売上が同時に上がっても、因果とは限りません。景気・円安・所得・訪日客・価格改定が共通の要因になり得ます。内閣府も、高価格帯を中心とする百貨店の食料品販売額が2025年後半にプラスに転じたことについて、中食需要、訪日外国人の消費、株価上昇や賃上げが高所得世帯を中心に表れている「可能性がある」と記すにとどまります15。
- 効果が上下対称か、効くまでの時間差があるかは、仮説です。上昇時と下落時の違いや、評価益が支出に回るまでの期間を分析した記述は、本記事で読んだ公的資料にはありません。図表4は同じ年度内に全額が反映される単純化で、時間差は含みません。
- 資産の増加は、株式を持つ世帯に偏ります。全世帯の平均や全体の換算値は、V社の顧客の反応をそのまま表しません。
- 免税売上は、制度の変更の影響も受け得ます。令和7年度税制改正により、2026年11月1日以降の販売からは、免税店が税込価格で販売し、購入者が購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受けた後に消費税相当額を返金する方式(リファンド方式)に変わります16。この影響は本記事では見積もらず、インバウンド要因は別枠の前提で置きます。
実務チェックリスト
- 売上を国内顧客売上と免税売上に分けて記録しているか
- 可処分所得の伸びと所得弾性値(仮定)を明記し、所得要因を先に引いたうえで株価要因を置いたか
- 感応度を低・中・高の幅で置き、「仮定」と書いたか。公的資料の換算値との差の理由を説明できるか
- 顧客層(購入額の上位層・年齢・地域)が株式保有層と重なるかを、仮説として記録したか
- 株価下落を予測ではなくシナリオとして置き、売上と営業利益の変化額を表にして、切替条件(社内ルール)を決めたか
- 免税売上を訪日客の国・地域別、為替、制度の変更で別に置き、株価要因に混ぜていないか
よくある質問(FAQ)
自社の顧客が株式を持っているかは分かりません。感応度はどう決めればよいですか。
購入額の上位層・年齢・地域ごとの売上を、株価指数の前年比と並べて確認するのが現実的です。ただし分かるのは相関で、因果ではありません。根拠が弱いうちは低・中・高の幅を残し、「仮定」と明記して置きます。
資産効果は、株価が下がるときのほうが強く出ますか。
本記事で読んだ公的資料には記述がなく、日本銀行の試算も上昇と下落を同じ係数(100円あたり2〜4円)で扱っています。非対称性は仮説として高の幅に含め、実績で確かめます。
まとめ
日本での資産効果の大きさは、先行研究で0.0〜4.9円とばらつきます。高額品の売上の伸びは、所得・株価・インバウンド(免税)・その他に分けて記録し、株価要因は低・中・高の感応度の幅で置きます。株価下落は予測ではなくシナリオとして、売上と営業利益の変化額を表にし、切替条件を決めて計画に持ちます。
脚注
- 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2016年4月)」(BOX5)個人消費の資産効果、p.39。「資産効果とは、株価などの資産価格の上昇(下落)が、個人消費を増加(減少)させる効果を指す」と記載(参考文献 R2)。↩
- 同 p.39。資産効果は「株価の変動によって家計の保有する金融資産の価値が100円変化した場合、これに伴って個人消費は何円変化するか」という限界消費性向のかたちで計測されるのが一般的、と記載(参考文献 R2)。↩
- Corporate Finance Institute「Wealth Effect」。株式ポートフォリオが継続的に収益を上げると保有者が資産に安心感を持ち支出しやすくなる理論で、心理的な要素を含み、非必需品・高額品への支出が増えると説明している。相場の調整で過度に支出を広げた消費者が支出の抑制や投資の換金を迫られる、という反転の一般論も記載。米国の消費を前提とした記述で、推計値は示していない(参考文献 R1)。訳・要約は編集部。↩
- 同 p.39 と BOX図表5(1)。先行研究7本の「金融資産効果」(推計期間)は、武藤・河井・佐野(1993)0.0(1955〜1991年)、Horioka(1996)2.9(1955〜1993年)、Boone, Giorno and Richardson(1998)3.8(1979年1Q〜1996年2Q)、小川・北坂(1998)4.9(1980・1985・1990年)、Ludwig and Slok(2002)4.0(1960年1Q〜1999年4Q)、内閣府(2009)3.5(1980〜2006年)、宇南山・古村(2014)2.2(2012年11月〜2013年5月)。弾性値で報告された研究は日本銀行が消費と資産価値の比率で変換している(注2)。p.39に「2〜4円程度」「ラフに試算」「4,000〜8,000億円程度」「年間の個人消費は280〜290兆円程度」の記載。株式・投資信託残高は上場株式と投資信託受益証券の合計(BOX図表5(2)の注)。個人消費に対する比率と株価1%あたりの値は編集部の換算(参考文献 R2)。↩
- 内閣府「令和7年度 年次経済財政報告」(2025年7月)第1章第1節3(p.45・p.47〜48)と付注1-3(p.434)。p.48に、金融資産への投資の増加やキャピタルゲインを背景に「実質金融純資産は増加傾向にあり、資産効果を通じて、マクロとしての個人消費の下支えに寄与していると言える」と記載。p.45と付注1-3は、実質民間最終消費支出を実質可処分所得・前期の実質家計純金融資産残高・高齢化率等で説明する回帰式(主な変数の対数をとった式。推計期間2002年1-3月期〜2024年10-12月期)を示し、純金融資産の係数は0.11。付注に「消費関数の推計結果は前提となるデータや推計の方法によって大きく異なるため、結果については幅をもって解釈する必要がある」と記載(参考文献 R4)。↩
- 内閣府「令和8年度 年次経済財政報告」(2026年7月)第2章第1節。1「家計資産・債務の動向と物価・金利の上昇」(p.73〜)と2「家計属性ごとにみた物価・資産価格の変動による影響」(p.82〜)の前半(〜p.91)は、家計の金融資産・負債の保有構造と、金利・株価の変化が家計の金融資産に与える影響の試算を扱う。p.91に、試算は金額そのものではなく金利構造や株価との相対関係の影響を議論するためのもの、との趣旨の記載(参考文献 R3)。↩
- 内閣府経済社会総合研究所「消費動向調査 令和8年8月実施調査結果」(2026年9月1日公表)p.2、p.8「利用上の注意」、調査票の設問⑸。「あなたの世帯で所有している株式・土地などの資産価値は、今後半年間に今よりも増えると思いますか、減ると思いますか。」を5段階で尋ねて「資産価値」の意識指標を公表し、消費者態度指数は「資産価値」を除く4項目の単純平均で算出する(参考文献 R9)。↩
- 国土交通省「全国の地価動向は全用途平均で5年連続上昇~令和8年地価公示~」(2026年3月17日)p.1。地価公示は、地価公示法に基づき都市計画区域等における標準的な地点の毎年1月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を判定・公示するもの。全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇と記載(参考文献 R7)。↩
- 内閣府「令和8年度 年次経済財政報告」第1章第2節2「GDPの需要項目等の動向」、p.29。「長い目でみて、個人消費の動きを規定する最も重要な要素は可処分所得の動向である」と記載(参考文献 R3)。↩
- 日本百貨店協会「2026年8月 全国百貨店売上高概況」(2026年9月25日)p.1「特徴」。免税売上は461億円(4.6%増、シェア10.9%)、購買客数44.7万人(9.5%減)。中国は売上高約17%減・購買客数約37%減、台湾・香港・韓国は伸長。国内は2.4%増(シェア89.1%)。免税について「円安を背景に高額品需要は堅調」と記載。全国・国内・免税売上の前年同月比は店舗数調整後(参考文献 R6)。↩
- 日本銀行調査統計局「2026年第2四半期の資金循環(速報)」参考図表(2026年9月17日)図表3-1(資料p.4)。2026年6月末の家計の金融資産は2,519兆円(前年比+11.0%)、現金・預金1,132兆円(構成比44.9%、前年比+0.5%)、株式等486兆円(19.3%、+47.0%)、投資信託193兆円(7.7%、+36.8%)(参考文献 R5)。↩
- 内閣府「令和8年度 年次経済財政報告」第2章第1節1、p.74〜75。1980年度から2025年度の45年間で家計の株式・投資信託の保有額は500兆円超増加し、うちフロー由来は約78兆円(15%程度)、残りの約432兆円は評価額が上がったことによる増加と記載。評価額の変化は「資金循環統計」のストックの増減額からフローの増減額を差し引いた「調整額」でみている(参考文献 R3)。↩
- 内閣府「令和8年度 年次経済財政報告」第2章第1節2、p.83・p.85。金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査」(二人以上世帯)を内閣府が集計。金融資産の中央値は2019年419万円→2025年720万円、平均値は1,139万円→1,940万円。2024年時点で保有額300万円未満の世帯が5割近く、3,000万円以上5,000万円未満が6%程度、1億円以上が2%程度(p.83。中央値・平均値とは集計の年が異なるため、直接は比べられない)。約2.7倍は1,940÷720による編集部の計算。収入が1,200万円を超えると株式・投資信託の割合が高く、預貯金の割合が低い(p.85)(参考文献 R3)。↩
- 内閣府「令和8年度 年次経済財政報告」第2章第1節、p.82・p.76。p.82に「株価の上昇で恩恵を受けるのは株式保有者に集中するなど、属性によって、経済・金融状況の変化による影響が異なると考えられる」、p.76に「我が国では、株式の保有状況別にみた景況感は把握できない」と記載(同文は、世帯の年間収入階級別では収入が高いほど消費者マインドの水準が高い傾向がある、と続く)(参考文献 R3)。↩
- 内閣府「令和8年度 年次経済財政報告」第1章第2節2、p.30。高価格帯を中心とする品揃えの百貨店(食料品販売額)が2025年後半に前年比プラスに転じたことについて、「デパ地下」を始めとする中食需要の増加や訪日外国人による消費、株価上昇や賃上げの進展といった所得環境の改善が高所得世帯を中心に表れている「可能性がある」と記載。図の注は百貨店の食料品販売額を「飲食料品」の既存店ベースとする(参考文献 R3)。↩
- 国税庁消費税室「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」(令和7年4月、令和8年4月改訂)問1(p.1〜2)。令和8年11月1日以降に免税店が免税購入対象者に行う免税対象物品の販売から、税込価格で販売し、購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受けた後に事業者が消費税相当額を返金する方式(リファンド方式)が適用される(参考文献 R8)。↩
参考文献(2026年10月確認)
- R1 Corporate Finance Institute「Wealth Effect」(2019年3月25日公開) corporatefinanceinstitute.com (参照箇所:「What is the Wealth Effect?」「The Wealth Effect and Spending」「Real World Impact of the Wealth Effect」。資産効果の一般的な概念の参考(米国を前提とした概説で、日本の推計値の根拠ではない)。脚注3の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R2 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2016年4月)」BOX5「個人消費の資産効果」 boj.or.jp (参照箇所:p.39 本文、BOX図表5(1)。脚注1・2・4の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R3 内閣府「令和8年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)」(2026年7月) www5.cao.go.jp (参照箇所:第1章第2節(p.29・p.30)、第2章第1節(p.73〜91)。脚注6・9・12・13・14・15の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R4 内閣府「令和7年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)」(2025年7月) www5.cao.go.jp (参照箇所:第1章第1節3(p.45・p.47〜48)、付注1-3(p.434)。脚注5の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R5 日本銀行調査統計局「2026年第2四半期の資金循環(速報)」参考図表(2026年9月17日公表) boj.or.jp (参照箇所:図表3-1「家計の金融資産」(資料p.4)。脚注11の根拠。同URLは四半期ごとに最新の速報へ差し替わる。本記事が参照したのは、閲覧時点で掲載されていた上記の版(2026年第2四半期速報)。閲覧日:2026年10月2日)
- R6 日本百貨店協会「2026年8月 全国百貨店売上高概況」(2026年9月25日) depart.or.jp (参照箇所:p.1「Ⅰ.概況」「特徴」。脚注10の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R7 国土交通省「全国の地価動向は全用途平均で5年連続上昇~令和8年地価公示~」(2026年3月17日) mlit.go.jp (参照箇所:p.1「全国平均」「『地価公示』とは」。脚注8の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R8 国税庁消費税室「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」(令和7年4月、令和8年4月改訂) nta.go.jp (参照箇所:問1(p.1〜2)。脚注16の根拠。閲覧日:2026年10月2日)
- R9 内閣府経済社会総合研究所「消費動向調査 令和8年8月実施調査結果」(2026年9月1日公表) esri.cao.go.jp (参照箇所:p.2「調査結果の概要」、p.8「利用上の注意」、調査票の設問⑸。脚注7の根拠。同URLは毎月、最新の調査結果へ差し替わる。本記事が参照したのは、閲覧時点で掲載されていた令和8年8月実施分。閲覧日:2026年10月2日)
※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。