想定読者:製造業の経理・原価管理・経営企画の担当者、不良対策や検査設備の投資案を作る方・審査する方
前提知識:固定費と変動費の区別

結論:品質コストは 4 区分に組み替えて、対策の作用点別に比べます

樹脂製の配管継手を成形・組立する部品メーカー X 社(学習用の架空事例)で、品質保証の担当者が、出荷前の検査を全数自動化する案(案 A)と、成形条件の管理と作業標準を見直す案(案 B)のどちらかを稟議に出す場面を考えます。検査員の人件費は製造原価、廃棄損は売上原価、保証修理費は製品保証引当金、クレーム対応は販売費及び一般管理費(販管費)と、費用が別々の勘定に散らばり、「品質にいくらかかっているか」を示す行は損益計算書にありません。

結論は 3 点です。第一に、4 区分に組み替えると、X 社の品質コストは年間 40,350 千円(売上高 600,000 千円の 6.7%)で、うち失敗コスト(内部失敗と外部失敗の合計)が 15,750 千円を占めます。第二に、検査強化は不良の発生を減らさず流出を減らすため内部失敗が増えて外部失敗が減り、予防は発生そのものを減らすため両方が減ります。第三に、投資が回収できるかは、不良の削減幅、外部失敗 1 件当たりの単価、効果が現れる時期で決まります。設例では案 B が約 3.0 年、案 A が約 6.5 年で回収できますが、外部失敗の単価が 1 件 17.5 千円を超えると、年間の純効果は案 A が上回ります。数値はすべて学習用の仮定です。

品質コストの 4 区分:定義と、制度上の費目との関係

日本品質管理学会の規格『品質管理用語』(JSQC-Std 01-001:2023、2023 年 9 月 20 日制定。2026 年 10 月に確認)は、6.14 で品質コストを「品質管理(1.2)の実施に伴って発生するコスト(予防コスト,評価コスト)と,これらの活動が不完全であったために被る損失(内部失敗コスト,外部失敗コスト)の総称」と定めています(括弧内の数字は規格内の用語番号)1。本記事では 4 区分を次のように読みます。

  • 予防コスト:不良を作り込まないための費用(教育、金型保全)。
  • 評価コスト:製品が要求を満たすかを確かめる費用(検査員、検査設備、校正)。
  • 内部失敗コスト:出荷前に不良が見つかって生じる損失(廃棄、手直し・再検査)。
  • 外部失敗コスト:出荷後に不良が見つかって生じる損失(保証修理、交換、クレーム対応)。

規格は 4 つの名称と全体の定義を示すだけで、検査員の人件費や再検査をどの区分に入れるかは書いていません。「検査員は評価、教育は予防、再検査は内部失敗」という線引きは本記事の設例のための編集部の整理で、実務では会社の方針として基準を決めて文書にします。同規格 6.4 は未然防止(予防処置)を「活動・作業の実施にともなって発生すると予想される問題(7.3)を,あらかじめ計画段階で洗い出し,それに対する対策を講じておく活動」と定義しており2、本記事は予防コストの「予防」をこの向き、つまり不良の発生そのものを減らす活動と読みます(編集部の読み)。

4 区分は管理会計上の整理で、制度会計の費目ではありません。原価計算制度における原価について、原価計算基準は、原価を「正常的なもの」とし「異常な状態を原因とする価値の減少を含まない」と定め(第 1 章 3(四))、非原価項目の例に「異常な仕損、減損、たな卸減耗等」を挙げています(第 1 章 5(二)1)3。同じ不良の費用は財務会計では売上原価、販管費、原価に算入しない項目に分かれ得るため、品質コストの合計を損益計算書の特定の行と一致させようとしても合いません。なお Corporate Finance Institute(CFI)のページは、品質管理の 4 要素を示すだけで、費用の区分には触れていません4。

勘定科目を 4 区分に組み替える

設例の前提です(すべて仮定)。X 社の年間出荷は 200,000 個、単価 3,000 円、売上高 600,000 千円です。製造原価は 1 個 1,800 円で、うち材料費と変動加工費が 1,300 円、固定費が 500 円です。出荷数量の 3.0%にあたる 6,000 件に不良が発生します(通常の範囲の仕損と仮定。JSQC は不良を「製品・サービス(2.1)が,意図された用途又は規定された用途に関する要求事項を満たしていないこと」と定義しています5)。出荷前検査の検出率は 90%で、5,400 件を検出し、600 件が流出して出荷後に見つかります。検出分の半数(2,700 件)は廃棄、残り半数(2,700 件)は手直しして出荷します。出荷数量は一定とします。組み替えでは、次の 4 つのルールを先に決めます。

  1. 工数は活動別の賃率で金額にします。手直し・再検査とクレーム対応には 1 時間 3,000 円を使います(活動ごとに費用を集める考え方は活動基準原価計算(ABC)と同じです)。
  2. 外部失敗は「発生ベース」、つまり当期に出荷した製品が将来起こす修理の見込みで数えます。製品保証引当金(販売した製品の無償修理費用を販売時に見積って計上する引当金)の繰入額 5,400 千円を採用し、同じ期の使用額 5,100 千円(前期までの出荷分への支出で、引当金を取り崩すもの)は加えません。
  3. 失敗コストは、不良が減れば実際に減る費用で置きます。廃棄 1 件の損失は、材料費と変動加工費 1,300 円から再生材の売却価値 300 円を引いた 1,000 円とし、固定費の配賦額は含めません(不良が減っても固定費は減らないためで、限界利益と同じ変動費の考え方です)。帳簿上の仕損費とは一致しません。
  4. 設備の減価償却費は、現状の評価コストには年間の償却額を入れますが、投資案の比較では償却費を足さず、初期投資額として別に回収を見ます(二重に数えないためです)。

組み替えた結果が図表1です(把握元は配置表、廃棄の記録、工数記録、保証修理の実績など)。

図表1:品質コストの組み替え表と現状集計(単位:千円)
区分費用項目現在の計上先年間金額
予防教育訓練費販管費1,800
予防金型保全費製造間接費(修繕費)4,200
予防コスト 小計(構成比 14.9%・売上高比 1.0%)6,000
評価検査員の人件費製造原価(労務費)14,400
評価検査設備の減価償却費製造間接費3,600
評価校正費製造間接費(経費)600
評価コスト 小計(構成比 46.1%・売上高比 3.1%)18,600
内部失敗廃棄損(2,700 件 × 1,000 円)売上原価(仕損費)2,700
内部失敗手直し・再検査の工数(2,700 件 × 0.5 時間 × 3,000 円)製造原価(労務費・間接費)4,050
内部失敗コスト 小計(構成比 16.7%・売上高比 1.1%)6,750
外部失敗保証引当金の繰入額(600 件 × 9,000 円)販管費5,400
外部失敗クレーム対応の工数(600 件 × 2.0 時間 × 3,000 円)販管費(人件費)3,600
外部失敗コスト 小計(構成比 22.3%・売上高比 1.5%)9,000
品質コスト合計(売上高 600,000 千円に対し 6.7%)40,350
集計に入れないもの:保証引当金の当期使用額(引当金を取り崩す支出)(5,100)
対象期間:X 社の 1 年間(現状)。廃棄損は帳簿の仕損費ではなく、ルール 3 の単価で置き直した額。構成比・売上高比は小数第 2 位を四捨五入。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

図表1から読み取れるのは 3 点です。第一に、品質コストは年間 40,350 千円で売上高比 6.7%、評価コストが 18,600 千円(構成比 46.1%)で最大です。第二に、失敗コスト 15,750 千円は、予防・評価コストの合計 24,600 千円の約 64%に当たります。第三に、検算が合います。外部失敗は 600 件 × 15,000 円 = 9,000 千円、内部失敗は 5,400 件 × 1,250 円 = 6,750 千円です(単価は次の節)。売上高比は、線引きが違う他社とは比べず、自社の推移で見ます。

失敗 1 件当たりの単価と、損益計算書に載らない損失

失敗コストを「件数 × 単価」で組み立てると、対策の効果を件数の変化から換算できます。内部失敗は、廃棄が 1 件 1,000 円、手直し・再検査が 1 件 1,500 円(0.5 時間 × 3,000 円)で、半数ずつなので平均 1,250 円です。外部失敗は、交換品の変動製造費 1,300 円、出張修理 6,200 円、運送 1,500 円、クレーム対応 2.0 時間 × 3,000 円 = 6,000 円の合計 15,000 円です。JSQC の用語では、クレームは不満のうち第三者へ具体的請求を行うものを指し、具体的請求には「修理,取替え,値引き,解約,損害賠償」などがあります6。本設例は修理・取替えの費用だけを数えます。

販売機会の損失、信用の毀損、取引停止は、確認できない推計です。合計に入れるなら仮定を明示して別枠にし、本記事の表には入れません。リコールや重大事故の賠償は低頻度で高額なため、期待値で平均せず別建ての注記にとどめます。

検査強化は流出を、予防は発生を減らす

2 つの対策が不良の流れのどこに効くかを図表2に示します。案 A は検査の検出率に、案 B は不良の発生率に作用します。

図表2:不良の流れと 2 つの対策の作用点(年間・件数) 工程で不良が発生 6,000 件(3.0%) 出荷 200,000 個中 出荷前検査 検出率 90% 検出 90% 見逃し 10% 内部失敗:5,400 件 廃棄 2,700/手直し 2,700 案A:+480 件(増える) 案B:-1,800 件(減る) 外部失敗:600 件 出荷後に発覚(修理・交換) 案A:-480 件(減る) 案B:-200 件(減る) ▲ 案B:発生を減らす 発生率 3.0% → 2.0% 発生 6,000 → 4,000 件 ◆ 案A:見逃しを減らす 検出率 90% → 98% 検出 5,880/流出 120 件 対策の枠:案A は実線・太線、案B は破線
単位:件。対象期間:X 社の 1 年間。内部失敗の「+」は増加、「-」は減少。検出した不良の半数を廃棄、半数を手直しとする。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

案 A(全数水圧検査の自動化)は、検出率を 90%から 98%に高めます。発生は 6,000 件のままで、検出が 480 件増え、流出は 600 件から 120 件へ 480 件減ります。案 B(成形条件の管理と作業標準の見直し)は、発生率を 3.0%から 2.0%(4,000 件)へ 1.0 ポイント下げます。検出率は 90%のままなので、検出は 3,600 件、流出は 400 件となり、内部失敗が 1,800 件、外部失敗が 200 件減ります。

検査強化で内部失敗が増えるのは検査が機能した結果で、悪化とは限りません。ただし検査は選別するだけで、全数検査でも検出率は 100%になりません(案 A でも 98%と置きます)。

2 案を同じ表で比べる

比べ方は次の式で統一します。回収年数・NPV・IRR の使い分けは社内投資評価の作法に委ね、ここでは時間価値を考えない回収年数で比べます。

年間の純効果と回収年数
年間の純効果 =(現状の失敗コスト - 案の失敗コスト)- 追加の年間運用費
回収年数 = 初期投資 ÷ 年間の純効果

案 A は初期投資 15,000 千円、追加の年間運用費 4,300 千円(保守・校正・消耗品・電力から、検査工数が減る分を引いた純額)で、評価コストに加えます。案 B は初期投資 9,000 千円、年間運用費 2,250 千円(条件モニタリングの保守、教育、標準書の改訂工数)で、予防コストに加えます。いずれも仮定で、結果が図表3です。

図表3:現状・案A・案B の比較(単位:千円。件数・率は表中のとおり)
項目現状案A(検査強化)案B(工程の作り込み)
不良の発生率(%)3.03.02.0
検出率(%)909890
検出件数=内部失敗の件数(件)5,4005,8803,600
流出件数=外部失敗の件数(件)600120400
予防コスト6,0006,0008,250
評価コスト18,60022,90018,600
内部失敗コスト6,7507,3504,500
外部失敗コスト9,0001,8006,000
合計(4 区分の小計の和)40,35038,05037,350
年間の純効果(費用の減少額)-2,3003,000
初期投資-15,0009,000
回収年数(定常)-約 6.5 年3.0 年
1 年目の純効果-−1,300+1,500
回収年数(時期ずれあり)-約 8.1 年3.5 年
対象期間:定常状態の 1 年間(「1 年目」の行のみ投資後 1 年目)。純効果は費用の減少額でプラスが有利、マイナスは費用の増加。「-」は該当なし。減価償却費は含めず、初期投資額で回収を見る。回収年数は小数第 2 位を四捨五入。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成。(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)

案 A は、失敗コストが 15,750 千円から 9,150 千円へ 6,600 千円減り、運用費を引いた純効果は 2,300 千円、回収年数は 15,000 ÷ 2,300 ≒ 6.52 で約 6.5 年です。案 B は、10,500 千円へ 5,250 千円減り、純効果は 3,000 千円、回収年数は 9,000 ÷ 3,000 = 3.0 年です。外部失敗の削減額は案 A が 7,200 千円で案 B の 3,000 千円より大きいものの、案 A は内部失敗が 600 千円増え、運用費と初期投資も大きいため、案 B が上回ります。

回収できる条件を確かめる

図表3は仮定がすべて当たった場合の結果です。仮定が外れても結論が変わらないかを、4 点で確かめます。

1. 損益分岐の不良削減幅

案 B では、不良の発生を 1 件防ぐと、平均 2,625 円の失敗コストが減ります(検出される 90% × 1,250 円 + 流出する 10% × 15,000 円)。発生率を 1 ポイント(2,000 件)下げると 5,250 千円です。低下幅をΔ(ポイント)とすると、年間の純効果は 5,250 × Δ - 2,250 です。これが 0 になるのはΔ ≒ 0.43 ポイント、5 年で回収できるのは(2,250 + 9,000 ÷ 5)÷ 5,250 ≒ 0.77 ポイント、3 年で回収できるのは 1.0 ポイントです。低下幅が 0.5 ポイントなら純効果は年 375 千円で、回収に 24 年かかります。案 A は、検出率 1 ポイントごとに 825 千円(60 件 × 13,750 円)減るため、5 年で回収できる検出率は約 98.8%で、98%の仮定でも余裕は大きくありません。

2. 外部失敗の単価(図表4)

外部失敗 1 件当たりの単価を u(千円)とすると、案 A の純効果は 480 × u - 4,900(内部失敗の増加 600 と運用費 4,300 の合計)、案 B は 200 × u です(内部失敗の減少 2,250 が運用費 2,250 と等しいため)。

図表4:外部失敗の単価と年間の純効果(案A・案B) 年間の純効果(千円) 案A 検査強化(実線・●) 案B 予防(破線・◆) −4,00004,0008,000510152025 設例の置き方:15 交点:17.5 千円/件 案A=案B=年 3,500 案Aがゼロ:約 10.2 B:3,000 A:2,300 案A 案B 外部失敗 1 件当たりの単価(千円/件)
単位:縦軸は千円/年、横軸は千円/件。対象期間:定常状態の 1 年間。内部失敗の単価(1,250 円)・件数・追加運用費・初期投資は固定し、外部失敗の単価だけを動かした。出所:学習用の仮定に基づき大手町プレップ作成(座標は calc.py の値から計算)。(スマートフォンでは図を横にスクロールできます)

図表4のとおり、2 本の線は u = 17.5 千円(480u - 4,900 = 200u)で交わり、純効果は年 3,500 千円です。単価が 10 千円なら案 A は −100 千円(回収できない)、案 B は 2,000 千円、20 千円なら案 A は 4,700 千円、案 B は 4,000 千円です。案 B は内部失敗の削減だけで運用費をまかなえますが、3 年で回収できる最低の単価は 15 千円で、設例はちょうどその水準です。案 A は約 10.2 千円を下回るとマイナスです。順位が単価で入れ替わるため、単価は実績の保証修理費とクレーム対応の工数から作り、損益計算書に載らない損失の推計は足し込まず別枠で並べます。

3. 効果の時期ずれ

内部失敗の変化は投資後すぐ現れますが、外部失敗の削減は、出荷した製品が使われる保証期間中に現れます。設例では、1 年目に現れる外部失敗の削減を半分と仮定します(保証期間と遅れは仮定)。案 A の 1 年目は、内部失敗 +600、外部失敗の削減 3,600、運用費 +4,300 で純効果が −1,300 千円となり、品質コストの合計は 40,350 千円から 41,650 千円へ見かけ上悪化します。案 B の 1 年目は、内部失敗の削減 2,250、外部失敗の削減 1,500、運用費 2,250 で純効果 1,500 千円です。2 年目以降は定常の純効果なので、回収年数は案 B が 1 +(9,000 - 1,500)÷ 3,000 = 3.5 年、案 A は約 8.1 年です。引当金の繰入率は過去の実績率で決まるため、繰入額が下がるのも実績が出てからです。

4. 数字が外れる場合と限界

本記事は出荷数量を一定とし、不良が減って浮いた生産能力が売上増につながる効果を含めません(効き方は需要と能力の制約で変わります。稼働率と歩留まりを参照)。回収期間法の回収年数は時間価値を考えません。NPV(正味現在価値)での評価は設備投資の判断シートの作り方で扱っています。教科書にある U 字の「品質コスト最小点」の曲線は概念図で実測値ではないため、描かず設例の数値で比べました。

投資後の追跡:結果指標と投入指標を組にする

投資後は、区分別の売上高比(設例の現状は予防 1.0%、評価 3.1%、内部失敗 1.1%、外部失敗 1.5%)を四半期ごとに更新し、製品別の推移も見ます。このとき、結果指標(流出不良率=流出件数 ÷ 出荷数量、現状は 0.30%。客先クレーム件数)と投入指標(予防・評価への支出)を組にして予実を比べます。投入が増えても結果が動かなければ投資は効いておらず、結果が良いのに投入が減っていれば検査や記録の省略を疑います。内部失敗は数か月で、外部失敗は保証期間を経て確認できます。

案 B の計画は、発生率 2.0%、流出 400 件(流出不良率 0.20%)です。実績の低下幅が損益分岐の約 0.43 ポイントを下回れば追加対策か撤退の判断、3 年回収の 1.0 ポイントを下回れば回収年数の再計算が必要です。運用は投資後評価と投資案件の事後評価に、指標の設計はKPI設計の技術に委ねます。

実務チェックリスト

  • 4 区分の線引き基準を文書にし、費用ごとに区分・計上先を一覧にしたか。
  • 引当金の繰入額と使用額、発生ベースか支出ベースかを決め、同じ費用を二重に数えていないか。
  • 失敗コストの単価を、不良が減れば実際に減る費用から作ったか。
  • 案ごとに作用点(発生率か検出率か)を明示し、失敗コストの増減を金額に換算したか。
  • 損益分岐の不良削減幅、回収年数、外部失敗の単価と検出率を動かした結果を判断表にしたか。
  • 外部失敗の時期ずれと、損益計算書に載らない損失・重大事故の別枠扱いを明記したか。
  • 投資後に、流出不良率やクレーム件数と予防・評価への支出を組で追い、検証の時点を決めたか。

よくある質問(FAQ)

検査を減らせば、品質コストは下がって見えませんか。

評価コストは下がりますが、流出が増えれば外部失敗が増えます。流出不良率やクレーム件数と組で見ます。検査の省略や記録の改ざんで費用を削れば、外部失敗のリスクを積むだけです(一般論)。法令や安全規格で求められる検査は削りません。

品質コストは売上高の何%が適正ですか。

本記事は水準を示しません(一次資料で確認できていません)。線引きが会社ごとに違うため、自社の推移で見ます。

まとめ

品質コストは、散らばった費用を 4 区分に組み替え、売上高比で見ることから始まります。検査強化は流出を減らして内部失敗を増やし、予防は発生を減らして内部・外部の両方を減らすため、対策は作用点と件数で比べます。回収できるかは、不良の削減幅、外部失敗の単価、効果の時期ずれで決まります。判断表と追跡指標を残せば、稟議の前提を後から金額で検証できます。

脚注

  1. 日本品質管理学会規格『品質管理用語』JSQC-Std 01-001:2023(2023.9.20 制定)、6.14「品質コスト」(12 ページ)。引用は原文のとおり(参考文献 R1)。↩
  2. 同規格 6.4「未然防止/予防処置」(11 ページ)。引用は原文のとおり(参考文献 R1)。↩
  3. 企業会計審議会「原価計算基準」(1962 年)第 1 章「原価計算の目的と原価計算の一般的基準」3「原価の本質」(四) と 5「非原価項目」(二)1。引用は原文のとおり。条番号は掲載ページの表記による(参考文献 R2)。↩
  4. CFI「Quality Management」の冒頭の節は、品質管理を品質計画(Quality Planning)・品質改善(Quality Improvement)・品質管理(Quality Control)・品質保証(Quality Assurance)の 4 要素で説明している。訳・要約は編集部。同ページに品質コストの区分や投資採算の記述は見当たらない(参考文献 R3)。↩
  5. JSQC-Std 01-001:2023、10.9「不良」(18 ページ)。引用は原文のとおり(参考文献 R1)。↩
  6. JSQC-Std 01-001:2023、11.2「クレーム」とその注記(19 ページ)。クレームの定義は要約、具体的請求の例示(「修理,取替え,値引き,解約,損害賠償」)は注記の原文のとおり(参考文献 R1)。↩

参考文献(2026年10月確認)

※本記事は教育目的の一般的な解説であり、法務・税務・投資助言ではありません。設例は理解のための学習用の架空事例であり、実在の企業・案件とは関係ありません。